JP4122538B2 - アルデヒド類の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアセチレン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させて、アルデヒド類を製造する方法に関するものである。詳しくは本発明はこの反応を新規な触媒の存在下に行う方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させて炭素数が1つ多いアルデヒドを生成させるヒドロホルミル化反応は周知であり、工業的にも広く利用されている。この反応の触媒としては、工業的には、コバルト又はロジウムを含む均一系触媒が用いられている。
これらの触媒系を用いて、オレフィン性化合物に代えてアセチレン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させる方法についても、いくつかの報告がなされている。その報告によれば、コバルト系触媒を用いた場合には、アセチレン性化合物の三重結合への水素添加反応が進行し易く、対応する飽和炭化水素や飽和アルコールが得られる。ロジウム系触媒を用いた場合にも炭素−炭素不飽和結合への水素添加反応が進行し易く、アルデヒドとしてはα、β−不飽和アルデヒドではなく、飽和アルデヒドが選択的に生成する(「New Syntheses with Carbon Monoxide」,Ed.by Falbe,Springer−Verlag(1980))。また2座配位子として作用する特殊なホスファイトを含むロジウム錯体を用いて、内部アセチレン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させ、α、β−不飽和アルデヒドを製造したことも報告されている(J.R.Johnson,G.D.Cuny,and S.L.Buchwald,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,34,1760(1995))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、アセチレン性化合物から対応する不飽和アルデヒド類を、安価な触媒系を用いて効率よく製造する方法は未だ知られていない。従って本発明は安価な触媒系を用いて、アセチレン性化合物から対応する不飽和アルデヒドを効率よく製造する方法を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、パラジウム及びパラジウム以外の周期表の第6族ないし第11族から選ばれる金属を含む触媒系の存在下に、アセチレン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させることにより、対応する不飽和アルデヒドを効率よく製造することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明について更に詳細に説明すると、本発明において反応原料として使用されるアセチレン性化合物とは、分子内にアセチレン性三重結合を少なくとも一つ有する有機化合物である。アセチレン性化合物としては、例えばアセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、3−メチルブチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、3,3−ジメチル−1−ブチン等のヘキシン類、1−ヘプチン、2−ヘプチン、3−ヘプチン等のヘプチン類、1−オクチン、2−オクチン、3−オクチン、4−オクチン等のオクチン類、1−ノニン、2−ノニン、4−ノニン等のノニン類、1−デシン、5−デシン等のデシン類、シクロドデシンのようなシクロアルキン類、フェニルアセチレン、p−メトキシフェニルアセチレン、トリメチルシリルアセチレン、ジフェニルアセチレン、トリメチルシリルフェニルアセチレン、1−トリメチルシリル−1−オクチン、1−トリメチルシリル−5−クロロ−1−ペンチン、1,7−オクタジイン、シクロドデカ−1,6−ジイン、ジプロパルジルエーテル、プロパルジルアセテート、アセチレンジカルボン酸ジメチルエステル等が用いられる。
【0006】
本発明では、触媒として、周期表の第6族ないし第11族から選ばれた2種以上の金属を含むものを用いる。通常は第6族ないし第11族から選ばれた2種以上の金属のそれぞれの化合物を反応系に供給するが、同一分子内に2種以上の金属を含むヘテロポリメタリック錯体を合成して反応系に供給してもよい。
2種以上の金属のそれぞれの化合物を反応系に供給する場合には、それぞれの化合物としては式(1)で表されるものが用いられる。
【0007】
【化1】
MpXq …(1)
【0008】
式(1)中、Mは周期表の6〜11族から選ばれる金属を示し、pは1〜6の整数を示す。好ましくは周期表の6〜10族から選ばれる金属の化合物が用いられる。これらの金属化合物の金属の価数は、6族のCr、Mo、Wの場合には0〜6価、7族のMn、Reの場合には0〜7価、8族のFe、Ru、Os、9族のCo、Rh、Ir、10族のNi、Pd、Ptの場合には0〜8価、11族のCu、Ag、Auの場合には0〜2価である。
【0009】
式(1)において、Xは無機若しくは有機の基又は陰性原子を示し、qは0〜16の整数を示す。qが2以上の整数の場合には複数のXは相互に異っていてもよい。qが0の場合には式(1)は金属そのものを示す。金属はそのままでも、又はシリカ、ゼオライト、活性炭、モンモリロナイト等の担体に担持させて用いてもよい。
Xが無機の基である場合には、Xは硝酸基、硫酸基、炭酸基等の金属塩形成基を示す。Xが陰性原子である場合には、Xは酸素原子、ハロゲン原子等を示す。Xが有機基である場合には、Xは通常は炭素数1〜30のもの、例えば炭化水素基、カルボニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、β−ジケトナート基、β−ケトカルボキシル基、β−ケトエステル基又はアミド基等を示す。炭化水素基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルケニル基、シクロペンタジエニル基等が挙げられる。置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アリール基、アリロキシ基等が挙げられる。
【0010】
また、上記の金属化合物と電子供与体からなる錯体も好適に使用することができる。電子供与体としては、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、窒素、酸素、リン、硫黄、または砒素を含有する化合物の中から選択されたものが用いられる。
炭素−炭素不飽和結合を有する化合物としては、オレフィン性化合物、ジエン類、アセチレン性化合物などが用いられ、例えばエチレン、1,5−シクロオクタジエン、ブタジエン、アセチレンジカルボン酸ジメチル、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン等が用いられる。
【0011】
窒素含有化合物としては、ニトリル、アミン、アミド等が用いられ、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ピリジン、ジメチルピリジン、2,2′−ビピリジン、フェナンスロリン、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アニリン、ニトロベンゼン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、ヘキサメチルジシラザン、ピロリドン等が用いられる。
【0012】
酸素含有化合物としては、エステル、エーテル、ケトン、アルコール、アルデヒド等が用いられ、例えば、エチルアセテート、メチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、アセトアルデヒド等が用いられる。
【0013】
リン含有化合物としては、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルホスホラストリアミド、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリブチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、ジフェニルホスフィノフェロセン、2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフタレン等が用いられる。
【0014】
硫黄含有化合物としては、二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、チオフェン、ジメチルスルフィド等が用いられ、砒素含有化合物としては、トリフェニルアルシン、トリメチルアルシン等が用いられる。
式(1)で示される金属化合物のいくつかを例示すると、次の通りである。
クロム化合物としては、クロムカルボニル、ベンゼンクロムカルボニル、酢酸クロム、2−エチルヘキサン酸クロム、塩化クロム、CrCl3 ・3THF(THFはテトラヒドロフランを表す)、硝酸クロム、酸化クロム等が挙げられる。
【0015】
モリブデン化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)モリブデンジクロリド、モリブデンカルボニル、塩化モリブデン、ヨウ化モリブデン、酸化モリブデン、トリス(ジメチルフェニルホスフィン)モリブデントリカルボニル等が挙げられる。
タングステン化合物としては、塩化タングステン、臭化タングステン、タングステンカルボニル、テトラキス(ジメチルフェニルホスフィン)タングステンジクロリド等が挙げられる。
【0016】
マンガン化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)マンガン、酢酸マンガン、マンガンアセチルアセトナート、臭化マンガン、マンガンカルボニル、フッ化マンガン、酸化マンガン、硫化マンガン(MnS)等が挙げられる。
レニウム化合物としては、過レニウム酸(HReO4)、レニウムカルボニル、塩化レニウム、酸化レニウム等が挙げられる。
鉄化合物としては、フェロセン、シクロペンタジエニル鉄ジカルボニルダイマー、酢酸鉄、塩化鉄、アセチルアセトナート鉄、鉄カルボニル等が挙げられる。
【0017】
ルテニウム化合物としては、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、ヨウ化ルテニウム、酸化ルテニウム、ルテニウムカルボニル、クロロ(シクロペンタジエニル)ルテニウムビス(トリフェニルホスフィン)、ジカルボニルシクロペンタジエニルルテニウムダイマー、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ヘキサアンミンルテニウムクロリド等が挙げられる。
【0018】
オスミウム化合物としては、塩化オスミウム、オスミウムカルボニル、酸化オスミウム等が挙げられる。
コバルト化合物としては、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト、酢酸コバルト、コバルトアセチルアセトナート、コバルトカルボニル等が挙げられる。
【0019】
ロジウム化合物としては、塩化ロジウム、酢酸ロジウム、アセチルアセトナートビス(エチレン)ロジウム、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウムトリフルオロメタンスルホネート、クロロカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、クロロノルボルナジエンロジウムダイマー、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジカルボニルアセチルアセトナートロジウム、ヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、テトラロジウムドデカカルボニル、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル等が挙げられる。
【0020】
イリジウム化合物としては、塩化イリジウム、臭化イリジウム、酸化イリジウム、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)イリジウムダイマー、クロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)イリジウム、イリジウムカルボニル等が挙げられる。
ニッケル化合物としては、ニッケルカルボニル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、硝酸ニッケル、ヨウ化ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}ニッケルクロリド、{1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン}ニッケルジクロリド、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ヘキサアンミンニッケルクロリド等が挙げられる。
【0021】
パラジウム化合物としては、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、酸化パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、カリウムヘキサクロロパラデート、ナトリウムヘキサクロロパラデート、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリブチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジメチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス{トリ(o−トリル)ホスフィン}パラジウム、ジクロロビス{トリ(p−トリル)ホスフィン}パラジウム、ジクロロ{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}パラジウム、ジクロロ{1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン}パラジウム、ジクロロ{1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン}パラジウム、ジクロロ{1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン}パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスファイト)パラジウム、テトラキス(アセトニトリル)パラジウムテトラフルオロボレート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスファイト)パラジウム、ジクロロビス(トリブチルホスファイト)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム等が挙げられる。
【0022】
白金化合物としては、塩化白金酸、塩化白金、ジクロロビス(ベンゾニトリル)白金、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金、ジクロロビス(ピリジン)白金、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)白金、ジクロロアンミン白金、ジクロロ(ジシクロペンタジエン)白金、ヘキサフルオロアセチルアセトナート白金、酸化白金等が挙げられる。
【0023】
銅化合物としては、塩化第一銅、塩化第二銅、酢酸銅、硝酸銅、硫酸銅、アセチルアセトナート銅、イソブチル酸銅、炭酸銅等が挙げられる。
銀化合物としては、塩化銀、硝酸銀、AgBF4 等が挙げられる。
金化合物としては、クロロトリエチルホスフィン金、塩化金、臭化金、酸化金等が挙げられる。
【0024】
それぞれの金属化合物は、反応帯域における濃度が、液相1リットルにつき金属換算で0.5mg〜100g、好ましくは1mg〜50gとなるように反応系に添加する。併用される金属化合物相互の比率は、通常は原子比で1:100〜100:1である。1:50〜50:1、特に1:10〜10:1であるのが好ましい。
【0025】
本発明で用いる触媒系は第10族の元素である、ニッケル、パラジウム及び白金のいずれかを含んでいるのが好ましい。なかでもパラジウム化合物とパラジウム以外の金属の金属カルボニルとから調製された触媒系を用いるのが好ましい。パラジウム化合物としては、リン化合物を電子供与体として含むものを用いるのが好ましい。このような化合物としては、例えばジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリブチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジメチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス{トリ(o−トリル)ホスフィン}パラジウム、ジクロロビス{トリ(p−トリル)ホスフィン}パラジウム、ジクロロ{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}パラジウム、ジクロロ{1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン}パラジウム、ジクロロ{1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン}パラジウム、ジクロロ{1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン}パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスファイト)パラジウム、ジクロロビス(トリブチルホスファイト)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスファイト)パラジウム等が用いられる。またパラジウム化合物と併用される金属カルボニル化合物としては、Cr(CO)6 、Mo(CO)6 、W(CO)6 、Mn2 (CO)10、Re2 (CO)10、Fe3 (CO)12、Fe(CO)5 、Fe2 (CO)9 、Ru3 (CO)12、Co2 (CO)8 、Rh4 (CO)12、Rh6 (CO)16等が好ましく用いられる。
【0026】
本発明では第6族ないし第11族から選ばれた2種以上の金属をそれぞれの化合物として反応系に添加する代りに、同一分子内にこれらの金属を2種以上含むヘテロポリメタリック錯体を反応系に添加することもできる。ヘテロポリメタリック錯体化合物としては、金属同士が結合しているものでも良いし、架橋配位子を介在して結合しているものでも良い。その製造方法としては、例えば、J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,3489頁(1995年、Y.Misumi,Y.Ishii,and M.Hidai)に記載されている方法等が挙げられる。ヘテロポリメタリック錯体化合物としては、例えば、(Ph3 P)(CO)RPtCo(CO)3 (PPh3 )(Phはフェニル基を表し、Rは置換基を有しても良いアリール基を表す)、(Me3 P)2 (PhCO)PdCo(CO)4 (Meはメチル基を表す)、(Me3 P)2 PhPtCo(CO)4 等が挙げられる。
【0027】
反応系に添加するヘテロポリメタリック錯体化合物の量は、触媒活性及び経済性等を考慮して決定すればよいが、通常はヒドロホルミル化反応帯域における濃度がそれぞれの金属換算で液相1リットルに対し、0.05mg〜100g、好ましくは1mg〜50gの範囲から選ばれる。
ヒドロホルミル化反応は溶媒の存在下または不存在下で行うことができる。溶媒としては、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、エーテル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N′−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素等の非プロトン性極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等が用いられる。これらのうち、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が好ましい。また、超臨界二酸化炭素やトリフルオロメタンのような、超臨界条件下の媒体中で反応を行うことができる。
【0028】
本発明においては、反応系中にアミン化合物や塩基性塩のような塩基性物質が存在すると、α、β−不飽和アルデヒドの選択性が向上する点で好ましい。アミン化合物としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミンのような3級アミン化合物、ピリジン、キノリン、イソキノリン、2,2′−ビピリジン、フェナンスロリン等の含窒素芳香環化合物などが用いられる。塩基性塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、フッ化カリウム等の無機塩や、酢酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、安息香酸ナトリウム等のカルボン酸塩が用いられる。また、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物や、ナトリウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシド等のアルコキシドも用いることができる。これらの塩基性化合物は、通常、アセチレン性化合物1モルに対し0.01〜100モルとなるように用いられる。好ましくはアセチレン性化合物1モルに対し0.1〜50モル、特に0.5〜10モルとなるように用いられる。
【0029】
本発明によるヒドロホルミル化反応は、通常のオレフィンのヒドロホルミル化と同様の条件で行うことができる。反応は、通常は室温〜350℃、好ましくは50〜250℃の温度、常圧〜300気圧、好ましくは5〜200気圧の圧力で行なわれる。10〜150気圧で反応を行うのが好ましい。反応系に供給する水素と一酸化炭素とのモル比(H2 /CO)は、通常は20/1〜1/20、好ましくは6/1〜1/6の範囲から選択される。反応連続式でも回分式でも行うことができ、反応装置としては撹拌槽型反応器や気泡塔型反応器など常用の反応器を用いることができる。反応放置から抜出した反応液は蒸留して、生成したアルデヒドを留出させ、触媒を含む蒸留残渣を回収する。この蒸留残渣は触媒液として反応系に循環することができる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜3及び比較例1〜4
内容積50ミリリットルのステンレス製オートクレーブに撹拌子を入れ、さらに(Ph3 P)2 PdCl2 、Rh4 (CO)12及びCo2 (CO)8 を表1の記載に従って入れ、系内を窒素置換した。次いで窒素雰囲気下で5ミリモルの4−オクチン及び5ミリリットルのベンゼンを入れ、さらにトリエチルアミンを表1の記載に従って入れて、オートクレーブを密閉した。これに水素ガス及び一酸化炭素ガスを、それぞれの分圧が25kg/cm2 になるまで圧入したのち、撹拌下、150℃に昇温して24時間反応を行った。オートクレーブを室温まで冷却し、内部のガスを放出したのち、オートクレーブ内の液相をガスクロマトグラフを用いて分析した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例4〜10及び比較例5
内容積50ミリリットルのステンレス製オートクレーブに、撹拌子、(Cy3 P)2 PdCl2 (Cy= シクロヘキシル基)0.1ミリモル及び表2の金属成分を入れ、系内を窒素置換した。次いで窒素雰囲気下で5ミリモルの4−オクチン、3ミリモルのトリエチルアミン及び5ミリリットルのベンゼンを入れ、オートクレーブを密閉した。これに水素ガスと一酸化炭素ガスを、それぞれの分圧が35kg/cm2 になるまで圧入したのち、撹拌下、150℃に昇温して1時間反応を行った。オートクレーブを室温まで冷却し、内部のガスを放出したのち、オートクレーブ内の液相をガスクロマトグラフを用いて分析した。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例11〜16
内容積50ミリリットルのステンレス製オートクレーブに、撹拌子、Co2 (CO)8 0.05ミリモル及び表3のパラジウム化合物0.1ミリモルを入れ、系内を窒素置換した。次いで窒素雰囲気下で5ミリモルの4−オクチン、3ミリモルのトリエチルアミン及び5ミリリットルのベンゼンを入れ、オートクレーブを密閉した。これに水素ガスと一酸化炭素ガスを、それぞれの分圧が35kg/cm2 になるまで圧入したのち、撹拌下、150℃に昇温して1時間反応を行った。オートクレーブを室温まで冷却し、内部のガスを放出したのち、オートクレーブ内の液相をガスクロマトグラフを用いて分析した。結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
実施例17
実施例1において、4−オクチンの代りに5ミリモルのシクロヘキシルアセチレンを用いた以外は、実施例1と全く同様にして反応を行った。反応成績は転化率100%、3−シクロヘキシルプロパナールの収率17%、2−シクロヘキシルプロパナールの収率6%、シクロヘキシルエチレンの収率30%であった。
【0037】
実施例18
実施例4において、4−オクチンの代わりに5ミリモルの3−ヘキシンを用いた以外は、実施例4と全く同様にして反応を行った。反応成績は転化率96%、3−ホルミル−3−ヘキセンの収率88%、2−エチルペンタナールの収率3%、(Z)−3−ヘキセンの収率3%であった。
【0038】
実施例19
実施例4において、4−オクチンの代わりに5ミリモルの6−ドテシンを用いた以外は、実施例4と全く同様にして反応を行った。反応成績は転化率99%、6−ホルミル−6−ドデセンの収率95%、2−ペンチルオクタナールの収率2%、(Z)−6−ドデセンの収率2%であった。
【0039】
実施例20
実施例4において、Co2(CO)8の代わりに0.033ミリモルのFe3(CO)12を用いた以外は、実施例4と全く同様にして反応を行った。反応成績は転化率76%、4−ホルミル−4−オクテンの収率68%、2−プロピルヘキサナールの生成量は痕跡、4−オクテンの生成量は痕跡、であった。
【0040】
実施例21
実施例4において、4−オクチンの代わりに5ミリモルのジフェニルアセチレンを用いた以外は、実施例4と全く同様にして反応を行った。反応成績は転化率99%、α−フェニルシンナムアルデヒドの収率53%、スチルベンの収率30%、1,2−ジフェニルエタンの収率16%であった。
【0041】
【発明の効果】
本発明方法により、安価な触媒系を用いて、アセチレン性化合物から対応する不飽和アルデヒドを効率よく製造することが出来る。
Claims (3)
- パラジウム及びパラジウム以外の周期表の第6族ないし第11族から選ばれる金属を含む触媒系の存在下に、アセチレン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させることを特徴とする不飽和アルデヒド類の製造法。
- 塩基性化合物の存在下に、アセチレン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させることを特徴とする請求項1記載の不飽和アルデヒド類の製造法。
- 触媒系が、パラジウム及びパラジウム以外の周期表の第6族ないし第11族から選ばれる金属化合物と電子供与体からなる錯体を含む触媒系である、請求項1または2に記載の不飽和アルデヒド類の製造法。
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JP (1) | JP4122538B2 (ja) |
-
1997
- 1997-03-06 JP JP05198197A patent/JP4122538B2/ja not_active Expired - Lifetime
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