JP3959469B2 - 膜の屈折率及び厚さの測定方法、測定プログラム及びコンピュータ読取可能な記録媒体 - Google Patents

膜の屈折率及び厚さの測定方法、測定プログラム及びコンピュータ読取可能な記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、エリプソメトリーを用いて膜の屈折率及び厚さを測定する方法に関する。
光学フィルタのコーティングにおいて、設計が複雑になれば、積層工程における屈折率及び膜の成長速度の正確な制御が重要になる。エリプソメトリーは、形成される薄膜の屈折率、膜厚の測定精度が高いので、コーティング制御における有効な測定手段と考えられている。しかし、従来の光学モデルでは、一定の屈折率である均質な薄膜に関する測定方法しか開示されていない(下記非特許文献1参照)。
また多くの場合、リアルタイムに製膜の制御を行うことが望ましく、そのためには、ほぼ瞬時に積層物の特性を得ることが必要であり、最外層の屈折率及び厚さを、同時に決定するために、エリプソメトリーデータの「直接数値反転」(下記非特許文献2〜4参照)及びフィッティングプロセス(下記非特許文献5、6参照)が使用されるようになってきた。
この場合、「共通擬似基板近似」が有効であることが知られている。その理由は、多層又は基板の下層について完全に計算を行うことなく、最上層の特性評価が可能であるからである(下記非特許文献7参照)。しかし、この方法を拡張して、厚膜に適用することはできない。
一方、多層構造の下層に関する特性値を用いた繰り返し計算は、アルゴリズムが正確であるだけでなく、効率的である。その理由は、下層に関する特性値に基づき、次の外層に関する特性値が計算されるからである(下記非特許文献2〜4、6参照)。特に、2×2マトリックス法は、有効であり、反射及び透過の両方を扱うことができ、不均一な層の場合にも容易に拡張することができる。
M. Kildemo and B. Drevillon, "Real-time monitoring of the growth of transparent thin films by spectroscopic ellipsometry," Rev. Sci. Instrum., 67, 1956-1960(1996) I-F. Wu, J.B. Dottellis, and M. Dagenais, "Real-time in situ ellipsometric control of antireflection coatings for semiconductor laser amplifiers using SiOx," J. Vac. Sci. Technol. A, 11, 2398-2406(1993) G. M. W. Kroessen, G. S. Oehrlein, E. de Fresart, and M. Hverlag, "Depth profiling of the Ge concentration in SiGe alloys using in situ ellipsometry during reactive-ion etching," J. Appl. Phys., 73, 8017-8026(1993) D. Kouznetsov, A. Hofrichter, and B. Drevillon, "Direct numerical inversion method for kinetic ellipsometric data. I. Presentation of the method and numerical evaluation," Applied Optics, 41, 4510-4518(2002) M. Kildemo, "Real-time monitoring and growth control of Si-gradient-index structures by multiwavelength ellipsometry," Appl. Opt., 37, 113-124(1998) T. Heitz, A. Hofrichter, P. Bulkin, and B. Drevillon, "Real time control pf plasma deposited optical filters by multiwavelength ellipsometry," J. Vac. Sci. Technol. A, 18, 1303-1307(2000) D. E. Aspens, "Minimal-data approaches for determining outer layer dielectric responses of films from kinetic reflectometric and ellipsometric measurements," J. Opt. Soc. Am. A, 10, 974-983(1993)
しかし、従来報告されている2×2マトリックス法を使用したアルゴリズムでは、マトリックスの要素を2次項までのテイラー級数で近似するため、数nm程度以下の小さな膜厚変化にしか対応できず、急激な膜厚の変化が起こった場合計算不能に陥る欠点があった(上記非特許文献5参照)。また、屈折率と膜厚を求めるために高次(8次)の多項式を解かなければならなかった(上記非特許文献5参照)。また、フィッティング処理が必要である(上記非特許文献6参照)ため、計算に時間がかかりリアルタイム処理が困難であった。
一方、エリプソメトリーは、膜厚の増加とともに周期的に精度が大きく低下するという原理的な問題点を有しているため、膜厚の大きな積層膜の製膜過程を単一波長で測定することは困難であり、一般に多波長で測定が行われる。しかし、多層構造の下層に関する特性値を用いた繰り返し計算の多くは、単一の波長で測定したデータを用いる場合しか検討されていない(上記非特許文献2および3参照)。複数の波長に対応した手法についても、屈折率の波長依存性を適当な数式であらかじめ仮定するため、異なる波長における屈折率を精度よく求めることができなかった(上記非特許文献5および6参照)。
本発明は、以上の課題を解決すべく、エリプソメトリーを用い、近似や仮定を用いることなく、また高次多項式の数値解法やフィッティング処理を使用することなく、大きな膜厚変化にも対応して、単一または複数の波長において測定したエリプソメトリーの係数から、多層膜の最上位層の屈折率及び厚さを、高速に精度良く求めることができ、リアルタイム制御に適用可能な、膜の屈折率及び厚さの測定方法、測定プログラム及びコンピュータ読取可能な記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の目的は、以下によって達成される。
即ち、本発明に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法(1)は、エリプソメトリーの計数を用いて膜の屈折率及び厚さを測定する方法であって、前記膜が、2つの透明な媒体とそれらに挟まれた多層膜からなる光学系において、2つの前記媒体と前記多層膜との2つの界面のどちらか一方の界面に新しく形成される薄膜であって、前記一方の界面の側または他方の界面の側から少なくとも1つの波長の光を入射し、反射光を測定することによって得られる反射型エリプソメトリーの計数Ψr、Δrを使用し、ln|X|=0(ここで、Xは、a=B2 s2 pρr−B2 p2 s、b=(B1 s2 p+B2 s1 p)ρr−B1 p2 s+B2 p1 s
c=B1 s1 pρr−B1 p1 sを係数とする2次方程式aX2+bX+c=0の根であり、ρr=tanΨrexp(−jΔr)であり、係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、B1 s、B2 s、B1 p、B2 p
は、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行
列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112
m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められ、前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒体との境界面の特性行列
m(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)、又は、(|c|2−|a|2)2−|c*b−cb*2=0(ここで、a=B2 s2 pρr−B2 p2 s、b
=(B1 s2 p+B2 s1 p)ρr−B1 p2 s+B2 p1 s、c=B1 s1 pρr−B1 p1 s、ρr=tanΨrexp(−jΔr)であり、係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、B1 s、B2 s、B1 p、B2 pは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1
によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められ、前記薄膜が新しく形成され
る側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm
、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=S’m-1(m-1)m
mm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)を評価関数として、非線形方程式の数値解法を用いて、前記波長に対する屈折率を計算する屈折率計算ステップを含むことを特徴としている。
また、本発明に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法(2)は、エリプソメトリーの計数を用いて膜の屈折率及び厚さを測定する方法であって、前記膜が、2つの透明な媒体とそれらに挟まれた多層膜からなる光学系において、2つの前記媒体と前記多層膜との2つの界面のどちらか一方の界面に新しく形成される薄膜であって、前記一方の界面の側または他方の界面の側から少なくとも1つの波長の光を入射し、前記多層膜を透過した透過光を測定することによって得られる透過型エリプソメトリーの計数Ψt、Δtを使用し、ln|X|=0(ここで、Xは、a=Kp2 pρt−Ks2 s、b=Kp1 pρt−Ks1 sを係数とする、1次方程式aX+b=0の根であり、ρt=tanΨtexp(−jΔt)であり、係数A1 s
2 s、A1 p、A2 p、Ks、Kpは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記薄膜を除いた多層膜と前記
薄膜との間の境界面の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素として求め
られ、前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前
記媒体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素
として求められる)、又は、(a*+b*)―(a+b)=0(ここで、a=Kp2 pρt−Ks
2 s、b=Kp1 pρt−Ks1 s、ρt=tanΨtexp(−jΔt)であり、係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、Ks、Kpは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との
間の境界面の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、
m=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められ、前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒体と
の境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から
、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)を評価関数として、非線形方程式の数値解法を用いて、前記波長に対する屈折率を計算する屈折率計算ステップを含むことを特徴としている。
また、本発明に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法(3)は、上記の膜の屈折率及び厚さの測定方法(1)又は(2)において、前記屈折率計算ステップによって計算された前
記屈折率を用いて、d=Re{j(1/4π)λ(n2−n0 2sinφ0)-1/2lnX}(ここで、nは前記薄膜の屈折率、n0は前記媒体の屈折率、λは前記波長、φ0は前記光の入射角である)によって、前記薄膜の膜厚dを計算する膜厚計算ステップをさらに含むことを特徴としている。
また、本発明に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法(4)は、上記の膜の屈折率及び厚さの測定方法(3)において、複数の波長の各々に対して、前記屈折率計算ステップによって前記屈折率を計算し、且つ前記膜厚計算ステップによって前記膜厚を計算し、計算された複数の前記屈折率及び前記膜厚の良否を判断し、精度良く前記薄膜の膜厚を決定する良否判断ステップをさらに含むことを特徴としている。
また、本発明に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法(5)は、上記の膜の屈折率及び厚さの測定方法(4)において、前記良否判断ステップの後に、前記良否判断ステップにおいて不良と判断された屈折率を新たに計算する修正ステップをさらに含むことを特徴としている。
また、本発明に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法(6)は、上記の膜の屈折率及び厚さの測定方法(5)において、前記良否判断ステップが、同じ波長に対する、前記屈折率計算ステップによって計算された前記屈折率、及び前記膜厚計算ステップによって計算された前記膜厚からなる複数の組の中から、良好な組を選別する選別ステップと、前記良好な組を、所定のグループ数のグループに分類する分類ステップと、分類された前記グループを用いて、信頼性の高い膜厚を含む最適グループを決定する最適グループ決定ステップと、前記最適グループに含まれる膜厚の平均値及び規格化標準偏差を用いて、前記良好な組の中から、良好な屈折率及び良好な膜厚を併せ持つ良好な組を再度選別する再選別ステップと、前記良好な膜厚の平均値を計算することによって精度良く前記薄膜の膜厚を決定する平均値計算ステップとを含むことを特徴としている。
また、本発明に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法(7)は、上記の膜の屈折率及び厚さの測定方法(6)において、前記修正ステップが、前記再選別ステップにおいて再度選別された前記良好な屈性率の平均値を計算し、該平均値から屈折率の探索範囲を決定する範囲決定ステップと、非線形関数の極小探査法によって、前記探索範囲の中で、前記良否判断ステップにおいて不良と判断された屈折率を新たに計算する再計算ステップとを含むことを特徴としている。
また、本発明に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法(8)は、上記の膜の屈折率及び厚さの測定方法(7)において、前記グループ数が、前記良好な組の数に応じて多くなるようにあらかじめ定めた規則に基づいて決定され、前記分類ステップが、各々のグループに属する膜厚の分散値の総和が最小になるように、前記良好な組を、前記グループ数のグループに分類するステップを含み、前記最適グループ決定ステップが、分類された前記グループの要素の数が2以上かつ最大である1つのグループ、および、そのグループを除く前記グループの要素の数が2以上かつ最大のグループを仮の最適グループとする仮最適グループ群決定ステップと、すべての仮最適グループG1、G2、G3、…について、すべての
良好な組を対象として、仮最適グループGiの要素dijの対数値lndijの平均値(lnd)ai
(添字aは平均値を表す)及び標準偏差σを用いて計算した規格化標準偏差(σ/(lnd)ai)をσdNiとして、それぞれの仮最適グループGiの(lnd)aiに対する許容偏差δdiがδdi=γσdNiによって表され、σdNiが大きくなるほど大きくなるようにあらかじめ定めたγの値に基づき、すべての良好な膜厚についての(lndk−(lnd)ai2の総和が最小になるように、前記良好な組の膜厚がabs(lndk−(lnd)ai)<δd(ここで、absは()内の絶対値を求める演算を表す)の条件を満たす良好な組(nk、dk)をそれぞれの仮最適グループに取り込む処理をG1、G2、G3、…の順に行う取込ステップと、前記仮最適グルー
プ群へのデータの取込処理によって変化した要素の組み合わせに応じて、仮最適グループ群Giのうち要素数最大のグループおよび2番目のグループを決定し、それぞれ最適グル
ープG1および準最適グループG2とする並べ替えステップと、前記最適および準最適グループGiの要素数をN(Gi)、規格化標準偏差をσdN(Gi)(i=1又は2)とし、「
N(G1)=N(G2)」および「σdN(G2)<σdN(G1)」の条件を両方満たす場合、最適グループG1と準最適グループG2とを入れ替える処理を行い、最終的に最適グループG1を決定する入替ステップとを含み、前記再選別ステップが、前記最適グループの屈折
率niの平均値na及び標準偏差σを用いて規格化標準偏差σnN(=σ/na)を計算し、
δn=4σnNによって許容偏差δnを決定し、前記良好な組の屈折率の中で、abs(nk−na)<δnを満たす屈折率を前記良好な屈折率とし、前記最適グループの膜厚データdi
対数値の平均値(lnd)a及び標準偏差σを用いて規格化標準偏差σdN(=σ/(lnd)a)を計算し、許容偏差δdがδd=γσdNによって表され、σdNが大きくなるほど大きくなるようにあらかじめ定めたγの値に基づき、前記良好な組の膜厚がabs(lndk−(lnd)ai)<δdの条件を満たす膜厚を前記良好な膜厚とし、屈折率と膜厚が両方とも良好であること
を条件として、良好なデータの組(nk、dk)を決定するステップであることを特徴としている。
また、本発明に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法(9)は、上記の膜の屈折率及び厚さの測定方法(8)において、前記範囲決定ステップが、前記良好な屈性率の平均値ngaと、あらかじめ定めた探索範囲の相対値rを用い、前記探索範囲の上限値を(1.0+r)nga、下限値を(1.0−r)ngaと決定するステップを含み、前記再計算ステップが、f(n)=(IS'−IS)2−(IC'−IC)2(ここで、エリプソメメトリーの計数の測定値をΨ、Δとし、前記探索範囲内の屈折率n'から計算されたエリプソメメトリーの計数を
Ψ'、Δ'とし、IS=sin2ΨsinΔ、IC=sin2ΨcosΔ、IS'=sin2Ψ'sinΔ'、IC'=sin2Ψ'cosΔ'である)を評価関数とする極小探査法を用いて、前記不良と判断された屈折率を新たに計算するステップを含むことを特徴としている。
また、本発明に係る膜の屈折率及び厚さの測定プログラム(1)は、コンピュータに、エリプソメトリーの計数を用いて膜の屈折率及び厚さを測定する機能を実現させるプログラムであって、前記膜が、2つの透明な媒体とそれらに挟まれた多層膜からなる光学系において、2つの前記媒体と前記多層膜との2つの界面のどちらか一方の界面に新しく形成される薄膜であって、前記一方の界面の側または他方の界面の側から少なくとも1つの波長の光を入射し、反射光を測定することによって得られた反射型エリプソメトリーの計数Ψr、Δrを、記録手段から読み出して、ln|X|=0(ここで、Xは、a=B2 s2 pρr
−B2 p2 s、b=(B1 s2 p+B2 s1 p)ρr−B1 p2 s+B2 p1 s、c=B1 s1 pρr
1 p1 sを係数とする2次方程式aX2+bX+c=0の根であり、ρr=tanΨrexp(−jΔr)であり、係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、B1 s、B2 s、B1 p、B2 pは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I12、及び前記薄
膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められ、前記薄膜が新しく形成される側と反対側の
前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前
記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)、又は、(|c|2−|a|2)2−|c*b−cb*2=0(ここで、a=B2 s2 pρr−B2 p2 s、b=(B1 s2 p+B2 s
1 p)ρr−B1 p2 s+B2 p1 s、c=B1 s1 pρr−B1 p1 s、ρr=tanΨrexp(−jΔr)であり、係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、B1 s、B2 s、B1 p、B2 pは、前記薄膜が新しく
形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1
、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められ、前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他
方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜
を通過する光がさらに透過する前記媒体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)を評価関数として、非線形方程式の
数値解法を用いて、メモリ上で前記波長に対する屈折率を計算する機能を実現させることを特徴としている。
また、本発明に係る膜の屈折率及び厚さの測定プログラム(2)は、コンピュータに、エリプソメトリーの計数を用いて膜の屈折率及び厚さを測定する機能を実現させるプログラムであって、前記膜が、2つの透明な媒体とそれらに挟まれた多層膜からなる光学系において、2つの前記媒体と前記多層膜との2つの界面のどちらか一方の界面に新しく形成される薄膜であって、前記一方の界面の側または他方の界面の側から少なくとも1つの波長の光を入射し、前記多層膜を透過した透過光を測定することによって得られた透過型エリプソメトリーの計数Ψt、Δtを、記録手段から読み出して、ln|X|=0(ここで、Xは、a=Kp2 pρt−Ks2 s、b=Kp1 pρt−Ks1 sを係数とする、1次方程式aX+b=0の根であり、ρt=tanΨtexp(−jΔt)であり、係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p
s、Kpは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面
の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められ、前記薄膜が新
しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒体との境界面の
特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)
、又は、(a*+b*)―(a+b)=0(ここで、a=Kp2 pρt−Ks2 s、b=Kp1 pρt−Ks1 s、ρt=tanΨtexp(−jΔt)であり、係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、Ks、Kp
は、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行
列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112
m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められ、前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒体との境界面の特性行列
m(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)を評価関
数として、非線形方程式の数値解法を用いて、メモリ上で前記波長に対する屈折率を計算する機能を実現させることを特徴としている。
また、本発明に係るコンピュータ読取可能な記録媒体(1)は、上記の膜の屈折率及び厚さの測定プログラム(1)又は(2)を記録していることを特徴としている。
上記した課題解決手段によって、多層膜の最も外側に位置する薄膜の膜厚、及び測定に使用する光の波長に応じた屈折率を求めることができる。
また、従来の方法(上記非特許文献2および3参照)と対照的に、単一波長および多波長で測定したデータに対応しており、一時的な精度の低下のために膜の屈折率及び厚さの決定が単独ではできない波長についても、精度の高い他の波長のデータで補正することにより、その波長の屈折率を決定することができる。また、従来の方法(上記非特許文献5および6参照)のように屈折率の波長依存性をあらかじめ仮定する必要がないため、異なる波長における屈折率を精度よく求めることができる。すなわち、求められた膜厚、屈折率を良否判断した結果、特定の波長に対する屈折率が不良であると判断された場合でも、その不良な屈折率を修正することができ、測定に使用する光のほぼ全ての波長に対応する屈折率を精度良く求めることができる。即ち、測定に使用する波長に応じて周期的に発生する一時的な測定精度の低下を補償することができ、従って、測定精度が低下する領域を通過した後、不良データを生じた波長において、再び良データを得ることができる。このようにして、膜厚の大きな積層膜の場合でも、新たに積層される薄膜の膜厚及び屈折率を精度良く求めることができる。
また、本発明に係る測定方法では、近似を用いることなく評価関数を導出することができるため、従来の方法(例えば、マトリックスの行列要素を2次項までのテイラー級数で近似する方法(上記非特許文献5参照))で問題であった、急激な膜厚の変化が起こった場合に計算不能に陥る危険性が無く、高精度で膜の屈折率及び厚さを決定することができる。また、評価関数の導出に使用する方程式の次数が高々2次であることから、従来の方法(例えば、8次方程式を使用する方法(上記非特許文献5参照))と比較して、数値計算に要する時間が短時間になる。従って、本発明に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法を薄膜の製造に適用した場合、製膜工程中において、膜厚をほぼリアルタイム且つ高精度に求めることができ、製膜のリアルタイム制御が可能となり、指定の膜厚の薄膜を高精度に形成することができる。
以下に、図面を参照して、本発明の本実施の形態について説明する。先ず、本発明の原理を説明する。
図1は、本実施の形態に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法の原理を説明する図である。外入射型配置の場合、入射光学系INおよび射出光学系OUTは、光を入射する透明な媒体(雰囲気、層0)中に配置され、多層膜(層1〜層m)は光が透過する媒体(基板、層m+1)の上に形成される。入射光学系INから所定波長の入射光Linを入射角φ0
多層膜の表面に照射し、その反射光Loutを射出光学系OUTで観測する。内入射型配置
の場合、入射光学系INおよび射出光学系OUTは、基板の裏側に配置され、基板の裏側にプリズムを装着し、プリズムを通して基板の裏側から光を入射する。すなわち、多層膜(層1〜層m)は光を入射する媒体(基板、層0)の下に形成される。入射光学系INから所定波長の入射光Linを入射角φ0で多層膜の裏面に照射し、その反射光Loutを射出光学系OUTで観測する。また、測定データはリアルタイムまたは測定後まとめて演算手段(例えば、コンピュータ)PCに伝送される。
図1に示すように、層0と層m+1とに挟まれたxy平面に平行な多層膜(層1、2、・・・、m)からなる光学系を対象とする。層0と層1との間の境界面(01界面)の層0側における電場E(z0−0)と、m(m+1)界面の層m+1側における電場E(zm+0)とは系の光学効果を表す散乱行列Sによって、次式(1)又は(2)のように関係づけられる。
E(z0−0)=SE(zm+0) (1)
Figure 0003959469
ここで、E+は+(プラス)方向に進む光の電場を表し、E-は−(マイナス)方向に進む光の電場を表す。
新しい層は雰囲気と接する多層膜の最外層の外側に形成される。雰囲気が真空または空気の場合、雰囲気から光を入射し反射光を測定する外入射型配置によって測定が行われる。すなわち、図1において、雰囲気が層0、基板が層m+1となり、新しい層は01界面に形成される。一方、雰囲気が液体または特殊気体の場合、基板から光を入射しその反射光を測定する内入射型が測定に適している。この場合、図1において、雰囲気が層m+1、基板が層0となり、新しい層はm(m+1)界面に形成される。いずれの場合も、m層の積層膜からなる光学系全体の散乱行列Smは、各層および各界面の光学効果を表す行列
の積であり、式(3)のように表される。
Figure 0003959469
ここで、Ljは層jの特性行列であり、Ij(j+1)は層jと層(j+1)との間のj(j
+1)界面の特性行列であり、それぞれ、次式(4)で表される。
Figure 0003959469
ここで、exp関数の指数部分の添字でないjは、虚数(j2=−1)を表す(以下において同じ)。また、rj(j+1)、tj(j+1)は、それぞれフレネルの反射係数、透過係数であり、層jの屈折率nj、入射角φjを使用して、S偏光、P偏光に関して、次式(5)で表される。
Figure 0003959469
また、βjは、膜厚dj(複素数であり光学的な厚さを表す)、測定波長λを使用して、次式(6)のように表される。
βj=2π(dj/λ)(nj 2−n0 2sinφ0)1/2 (6)
今、図1において、層1(またはm)が形成される前の、層2〜層m(又は層1〜層(m−1))のm−1個の積層膜に、新しい層1(またはm)が形成されるとする。この時、新しい層、即ち層1(またはm)を含む系全体の散乱行列Smは次式(7)で表すこと
ができる。
Figure 0003959469
ここで、X、βは、新しく形成される層1(またはm)の未知の膜厚d、測定波長λ(既知)、層0の屈折率n0(既知)を使用して、
X=exp(−j2β) (8)
β=2π(d/λ)(n2−n0 2sinφ0)1/2 (9)
である。
また、式(7)の係数Ai、Bi、Ci、Di(i=1、2)、およびKは、新しく形成される層1(またはm)の未知の屈折率nに加え、層0における光の入射角φ0と、既存の
層全体の光学効果を現す擬散乱行列S’m-1の行列要素と、外入射の場合、層0と既存の
層2の屈折率、内入射の場合、既存の層m−1と層m+1の屈折率によって表すことができる。
このとき、系全体の反射率Rおよび透過率Tは、散乱行列Smの行列要素を用いて、そ
れぞれ次式(10)、(11)のように決定される。
Figure 0003959469
S偏光とP偏光に対する光学系全体の反射率Rの比ρrおよび透過率Tの比ρtは、エリプソメトリーの測定によって求められる計数Ψ、Δと次式(12)、(13)のような関係にある。
Figure 0003959469
ここで、添字のp、sはそれぞれ、P偏光、S偏光に関する値であることを表す(以下において同じ)。
反射型エリプソメトリーによる場合は、式(12)に式(10)を代入して整理することにより、次式(14)のXについての2次方程式が導かれる。
aX2+bX+c=0 (14)
ここで、a、b、cは、
Figure 0003959469
である。
一方、透過型エリプソメトリーによる場合は、式(13)に式(11)を代入し整理することにより、式(16)のXについての1次方程式が導かれる。
aX+b=0 (16)
ここで、a、bは、
Figure 0003959469
である。
式(15)および式(17)に示す係数a、b、cは未知数として新しい層1(又はm)の屈折率nのみを含む。そこで、屈折率nを決定するために、光を入射する層0と新しく形成される層1(またはm)は透明という仮定を用いる。その場合、層0の屈折率n0
および新しい層1(又はm)の屈折率nは実数となり、新しい層1(又はm)の膜厚dも幾何学的な長さを表す実数となる。従って、式(8)の指数部は虚数となり、Xの絶対値は1に等しくなり、次式(18)が成り立つ。
ln|X|=0 (18)
さらに、この場合は、反射型エリプソメトリーにおいて、式(14)の複素共役は式(19)のように表され、式(14)と式(19)が同一の解を有することから、式(20)が成り立つ。
*2+b*X+a*=0 (19)
G=(|c|2−|a|2)2−|c*b−cb*2=0 (20)
また、透過型エリプソメトリーの場合は、式(16)の複素共役は式(21)のように表され、式(16)と式(21)が同一の解を有することから、式(22)が成り立つ。b*X+a*=0 (21)
G=(a*+b*)−(a+b)=0 (22)
従って、反射型エリプソメトリーの場合は式(18)または(20)を用い、透過型エリプソメトリーの場合は式(18)または(22)を用いることによって新たな層の屈折率n(実数)を決定し、式(8)および(9)を用いて膜厚d(実数)を求めることができる。
次に、図2、3に示した、フローチャートに基づいて、本実施の形態に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法を説明する。なお、ここでは簡単のために、外入射型配置とする。
ここで、図1に示したように、入射光学系INから所定波長の光を入射角φ0で多層膜
の表面に照射し、その反射光を射出光学系OUTで観測する。また、既に、基板層(層(m+1))の上に層m〜層2が形成されており、これらの光学的特性が既知であり、層2の上に新たに形成される層1の屈折率及び膜厚が未知であると仮定する。即ち、層1の製膜を行う前に既に存在している既存の層を含む光学系の擬散乱行列S'm-1は、式(3)を用いて、層mから開始して順にその時点の最外層である層2まで、各層の光学効果を現す伝達行列Ljj(j+1)を積算することによって、求められていると仮定する。
また、図2、3に示したフローチャートは、主に測定データを演算手段PCで、即ち、演算手段PC内のCPUで処理することによって実現される。従って、以下の説明においては、特に断らない限り、CPUが行うものとして説明する。また、各処理において、CPUは、記録手段に予め記録された測定データなどを読み出し、メモリに書き込み、メモリ上のワーク領域で所定の処理を行い、処理結果を、必要に応じてメモリ、記録手段などに記録し、モニターなどの表示手段に提示する。
先ず、ステップS1において、上記したように、雰囲気中(層0)に配置された入射光学系IN及び射出光学系OUTを用いて、所定の波長λiでのエリプソメトリーの計数Ψi、Δiを、複数の波長λi(i=1〜N)に関して測定する。測定されたエリプソメトリーの計数Ψi、Δi(i=1〜N)、及びλi(i=1〜N)は、対応させて記録手段に記録
させることができる。また、測定後にまとめて演算を行う場合には、記録手段に記録した複数の波長λi(i=1〜N)におけるエリプソメトリーの計数Ψi、Δiを読み出す。
ステップS2において、複数の波長に関して計算するための繰り返し処理のカウンタk1に初期値として1を設定する。
ステップS3において、層1の屈折率の初期値n(0)を設定し、繰り返し処理のカウンタk2に1を設定する。層1の屈折率の初期値n(0)は任意であるが、約2.0を使
用することが望ましい。
ステップS4において、上記で説明した、反射型エリプソメトリーに関する式(12)、(14)、(15)の条件の下で、(18)を評価関数として、Newton-Raphson法を用いて、波長λk1に対する屈折率n(k2)(ここでは、繰り返しの初回でありk2=1)を計算する。式(14)、(18)から、評価関数をより明示的に記載すれば、次式(23
)となる。
Figure 0003959469
ここで、a、b、cは、式(15)で定義されており、式(15)の中で、ρrは、ステ
ップS1で測定され、または記録手段から読み出されたエリプソメトリーの計数Ψi、Δi(i=1〜N)を使用して、求めることができる。また、係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、B1 s、B2 s、B1 p、B2 pは、新しく形成される層1を含む系の散乱行列Sm=I01112S’m-1の行列要素として求めることができる。
上記したように、a、b、cは、未知数として、層1の屈折率n(k2)(ここで、k2=1)のみを含む。従って、f(x)=ln|X(x)|、x=n(k2)(k2=1)として、次式(24)によって、n(0)、及びn(0)を微小変化させた値から新たな屈折率n(1)を計算する。
Figure 0003959469
ステップS5において、ステップS4において計算された屈折率n(k2)とn(k2−1)との差が所定の値δnよりも小さいか否かを判断することによって、計算の収束性を判断する。ここでは、k2=1であり、n(1)−n(0)<δn か否かを判断する。
n(1)−n(0)<δn でないと判断すれば、ステップS6に移行する。δnは、例えば、0.00001に設定することができる。
ステップS6において、繰り返し回数を制限するために、カウンタk2が所定の値より
も小さいか否かを判断する。ここでは、繰り返し回数の上限を20とし、k2が20以上
であると判断すれば、繰り返し処理を止めて、計算時間短縮のためステップS10に移行する。k2が20よりも小さいと判断すれば、ステップS7に移行する。
ステップS7において、カウンタk2を1だけ増大させて、n(0)にステップS4で
計算した屈折率n(k2)(k2=1)を設定して、ステップS4に戻る。その後、繰り返し回数が上限値を超えない範囲で、n(k2)−n(k2−1)<δn となるまで、ステップS4〜S7を繰り返す。
ステップS8において、以上の繰り返し処理によって求められた屈折率n(k2)を、
波長λk1に対する屈折率nk1として、記録手段に記録する。
ステップS9において、式(8)、(9)から得られる次式(25)に、波長λk1に対する屈折率nk1を代入して、対応する層1の膜厚dk1を求める。
d=Re[j(1/4π)λ(n2−n0 2sinφ0)-1/2lnX] (25)
ここで、Reは{ }内の複素数の実数部分を表す。
ステップS10において、繰り返しのカウンタk1が測定したデータ数N(波長λi
数)よりも大きいか否かを判断し、k1<Nであると判断すれば、ステップS11において、カウンタk1を1だけ増大させた後、ステップS3に戻る。これによって、測定データ全てに関して、ステップS3〜S11の処理を繰り返し、i=1〜Nの各々の波長λi
に対する屈折率ni、膜厚diを求める。
次に、ステップS12において、以上で求められた屈折率ni、膜厚di(i=1〜N)の良否を判断し、不良データの修正を行う。測定されるエリプソメトリーの計数Ψ、Δは、ある膜厚で周期的に精度が大きく低下することが知られている。そのため、複数の波長で測定を行うのが一般的であり、各々の波長λiに関する測定データについて良否を判断
することが重要である。測定波長λiが異なっていても膜厚は一定であることを基本原理
として、計算結果の良否を判断する方法を、以下に説明する。
図3は、ステップS12における計算結果である屈折率、膜厚の組(ni、di)(i=1〜N)の良否判断及び不良データの修正に関する処理を説明するフローチャートである。
ステップS21において、後述する分類による判断を容易とするために、予備的に計算結果(ni、di)(i=1〜N)を選別する。即ち、S4〜S7の繰り返し処理において、所定の回数以内に収束した(ステップS6でk2≧20と判断されなかった)データの
組のうち、屈折率ni、膜厚di(i=1〜N)について、nmin<ni<nmax、及びdmin<di<dmaxが成り立つ場合に、そのデータの組を「良」、即ち、物理的に妥当なデータとする。ここで、膜厚dの単位はnm(ナノメートル:以下において同じ)であり、nmin、nmaxは、それぞれ屈折率の許容範囲の下限値、上限値である。真空の屈折率が1.0であり、透明材料の屈折率は高々2.5程度であることから、例えば、nmin=1.0、
max=3.0とすることができる。また、dmin、dmaxは、膜厚の許容範囲の下限値、
上限値である。これらの値は、物理的に意味のある限界値もしくは測定対象の薄膜の製膜条件で到達不可能である値を設定する。例えば、dmin=0(nm)、dmax=10(nm)と設定することができる。
ステップS21での予備選別で「良」と判断されたデータの組(ni、di)について、さらにデータの分類と最適グループの決定を行うために、先ずステップS22において、グループ数NGを決定する。ステップS21で良データと選別された組の数をNgoodとし
て、グループ数NGを、例えば次のように決定する。
good<5の場合、NG=floor(Ngood/2)
5≦Ngood<8の場合、NG=floor(Ngood/2)+2
8≦Ngood<10の場合、NG=floor(Ngood/2)+3
10≦Ngood<13の場合、NG=floor(Ngood/2)+4
good≧13の場合、NG=floor(Ngood/2)+5
ここで、floor()は( )内の数値の小数部を切り捨てる演算を表す。
続くステップS23〜25において、Ngood個の良データの組(ni、di)を、膜厚diの対数値(lndi)によってグループ化する。
ステップS23において、ステップS22で決定されたグループ数NGを用いて、各々
のグループに属する膜厚diの分散値(σ2)の総和(Σσ2)が最小になるように、良デ
ータの組(ni、di)をNG個のグループに分類する。ここで、1組の良データのみを含
むグループについては、σ2=0とする。このようにグループに分類する方法は周知であ
り、ここでは説明を省略する。本ステップでの処理の結果、良データの組(ni、di)の
中で、他のデータとかけ離れた値が孤立、即ち単独でグループを形成することになる。
ステップS24において、ステップS23で分類したグループから、仮の最適グループGiの群を決定する。先ず、要素の数が2以上かつ最大である1つのグループを仮最適グ
ループG1とし、G1を除く要素数が2以上かつ最大のグループを仮最適グループG2とす
る。このとき、要素数が等しくかつ最大のグループが複数ある場合には、そのうち1つのグループを選択し仮最適グループG1とする。また、G1を除くグループのうち、要素数が等しくかつ最大のグループが複数ある場合には、それら全てを仮最適グループとし、G2
、G3、…と順序付ける。また、G1を除くグループのうち、要素数が2以上のグループがない場合は仮最適グループはG1のみとする。なお、要素数2以上のグループが少なくと
も1つ存在できるように、グループ数NGがステップS22で決定される。
次に、すべての仮最適グループG1、G2、G3、…について、すべての良データを対象
とし、仮最適グループGiの要素dijの対数値lndijの平均値(lnd)ai(添字aは平均値
を表す)及び標準偏差σを用いて計算した規格化標準偏差(σ/(lnd)ai)をσdNiとし
て、σdNiが大きくなるほど、良データの組に属する膜厚の対数値lndkと(lnd)aiとの差の絶対値abs(lndk−(lnd)ai)の許容値が大きくなるように、次の条件に合致する良データの組(nk、dk)を、仮最適グループG1、G2、G3、…に取り込む。例えば、次の
ように条件を定める。
σdNi=0.0 の場合、abs(lndk−(lnd)ai)<0.02
σdNi<0.00000002 の場合、abs(lndk−(lnd)ai)<200000σdni
σdNi<0.0000002 の場合、abs(lndk−(lnd)ai)<30000σdni
σdNi<0.000002 の場合、abs(lndk−(lnd)ai)<5000σdni
σdNi<0.000006 の場合、abs(lndk−(lnd)ai)<3000σdni
σdNi<0.00002 の場合、abs(lndk−(lnd)ai)<1000σdNi
σdNi<0.00005 の場合、abs(lndk−(lnd)ai)<300σdNi
σdNi<0.0002 の場合、abs(lndk−(lnd)ai)<100σdNi
σdNi<0.0005 の場合、abs(lndk−(lnd)ai)<40σdNi
σdNi<0.002 の場合、abs(lndk−(lnd)ai)<20σdNi
σdNi≧0.002 の場合、abs(lndk−(lnd)ai)<10σdNi
ここで、abs()は( )内の数値の絶対値を求める演算を表す。すべての良データについ
ての(lndk−(lnd)ai2の総和が最小になるように、この処理をG1、G2、G3、…の
順に行う。なお、ここで示している条件の数および許容値は一例であり、エリプソメトリーの計数Ψ、Δを測定した条件に応じて異なる条件の数および許容値を使用することができる。また、許容値の決定法もここで示している方法に限らず、例えば、規格化標準偏差σdNiと許容値とを関係づける適当な数式によって算出しても良い。
次に、仮最適グループ群へのデータの取込処理によって変化した要素数に応じて、仮最適グループ群Giのうち要素数最大のグループおよび2番目のグループを決定し、それぞ
れ最適グループG1および準最適グループG2とする。このとき、要素数が2以上で等しくかつ最大のグループが複数ある場合には、そのうち任意の1つのグループを選択し最適グループG1とする。また、G1を除くグループのうち、要素数が等しくかつ最大のグループが複数ある場合には、そのうち任意の1つのグループを選択し準最適グループG2とする
。また、仮最適グループ群がG1のみである場合は準最適グループG2は決定しない。
さらに、最適および準最適グループGiの要素数をN(Gi)、規格化標準偏差をσdN(Gi)(i=1又は2)とし、「N(G1)=N(G2)」および「σdN(G2)<σdN(G1)」の条件を両方満たす場合、最適グループG1と準最適グループG2とを入れ替える処
理を行い、最終的に最適グループG1を決定する。
ステップS25において、再度、データの良否を判断する。まず、ステップS24で最終的に決定された最適グループG1の要素の屈折率データnjから、膜厚データdjに関し
て上記で行ったのと同様に、屈折率データnjの平均値na及び標準偏差σを用いて計算した規格化標準偏差σnN(=σ/na)から、δn=4σnNによって許容偏差δnを決定し、
ステップS21で良と判断されたデータの組の屈折率データに関して、abs(nk−na
<δnを満たすデータの組(nk、dk)を選別する。
次に、膜厚に関して、ステップS24で決定された最適グループG1の要素の膜厚デー
タdjから、上記で行ったように、膜厚データdjの対数値の平均値(lnd)a及び標準偏差
σを用いて計算した規格化標準偏差σdN(=σ/(lnd)a)から、次のように許容偏差δdを決定し、屈折率データに関して選別したデータの組の膜厚データに関して、abs(lndk−(lnd)a)<δdを満たすデータの組(nk、dk)を良データとする。
σdN<0.00000002 の場合、δd=200000σdni
σdN<0.0000002 の場合、δd=30000σdni
σdN<0.000002 の場合、δd=5000σdN
σdN<0.000006 の場合、δd=3000σdni
σdN<0.00002 の場合、δd=1000σdN
σdN<0.00005 の場合、δd=300σdN
σdN<0.0002 の場合、δd=100σdN
σdN<0.0005 の場合、δd=40σdN
σdN<0.002 の場合、δd=20σdN
σdN≧0.002 の場合、δd=10σdN
なお、ここで示している条件の数および許容偏差δdは一例であり、エリプソメトリーの
計数Ψ、Δを測定した条件に応じて異なる条件の数および許容偏差δdを使用することが
できる。また、許容偏差δdの決定法もここで示している方法に限らず、例えば、規格化
標準偏差σdNと許容偏差δdとを関係づける適当な数式によって算出しても良い。
ステップS26〜S37において、測定波長が異なっていても膜厚は一定であることを基本原理として、ステップS21及びS25で不良と判断されたデータを修正する。
ステップS26において、ステップS25で決定された良データ(dgi、ngi)から、各々の平均膜厚dga、平均屈折率ngaを計算する。また、平均屈折率ngaから屈折率の探索範囲の上限を(1.0+r)nga、下限を(1.0−r)ngaに決定する。ここで、rは探索範囲の相対値であり、例えばその値を0.1とする。
ステップS27において、不良データの総個数Neを求め、後述する計算の収束性を判
断するための閾値fsを、例えば0.00001に設定し、繰り返し処理のカウンタk3
の初期値として1を設定する。
ステップS28において、繰り返し処理のカウンタk4の初期値として1を設定する。
ステップS29〜S34において、ステップS26で決定された平均膜厚dgaを用いて、非線形関数の極小探索法によって、前記探索範囲(0.9nga〜1.1nga)内で探索して、ステップS21及びS25で不良と判断された屈折率を新たに計算する。ここでは一例として、非線形関数の極小探索法としてBrent法を用いる場合を説明する。
次式(26)の評価関数を使用する。
f(n)=(IS'−IS)2−(IC'−IC)2 (26)
ここで、IsおよびIcは、
S=sin2ΨsinΔ (27)
C=sin2ΨcosΔ (28)
であり、測定で得られる値である。IsおよびIcはΨおよびΔよりも周期的な精度の低下が著しくないと考えられる。Is'及びIc'を計算する方法は、下記のステップS31で説明する。
ステップS29において、探索範囲(0.9nga〜1.1nga)の範囲内で新たな屈折率n(k4)を、使用する極小探索法に特徴的な方法で計算する。
ステップS30において、測定により得られたエリプソメトリーの計数Ψ、Δから式(27)および(28)を用いて、IsおよびIcを計算する。
ステップS31において、ステップS26で計算された膜厚平均値dga、ステップS29で計算された新しいn(k4)、およびステップS4で計算されたS’m-1を用いて、式(7)で表されるSmの行列要素を算出し、式(10)に代入して系全体の反射率ρrを求め、式(12)からΨおよびΔを計算し、式(27)および(28)を用いてIs'およびIc'を計算する。計算されたIs'、Ic'、及びステップS30で計算されたIs、Icを使用して、式(26)からf(n)を計算する。
ステップS32において、ステップS31で計算されたf(n)が、閾値fsよりも小さいか否かを判断する。f(n)<fsと判断された場合、繰り返し処理を終了してステップS35に移行する。f(n)≧fsと判断された場合、ステップS33に移行する。
ステップS33において、繰り返し処理のカウンタk4が所定の値よりも小さいかを判
断する。ここでは、繰り返し回数の上限を20とし、k4≧20の場合、繰り返し処理を
終了してステップS36に移行するが、k4<20の場合、ステップS34に移行し、繰
り返しカウンタk4を1だけ増大させた後、ステップS29に戻る。その後、繰り返しの
上限回数を超えない範囲内で、f(n)<fsと判断されるまで、ステップS29〜S34の処理を繰り返す。
ステップS35において、以上の処理で求められたn(k4)を、不良と判断されてい
た屈折率データnek3に設定する。
ステップS36において、不良と判断されたデータの総数Neに関して計算されたか否
かを判断するために、カウンタk3がNeよりも小さいか否かを判断する。k3<Neと判断すれば、ステップS37に移行して、繰り返しカウンタk3を1だけ増大させた後、ステ
ップS28に戻り、k3≧Neと判断されるまでステップS28〜S37を繰り返し、不良と判断されたデータ全てに関して上記した処理を行う。
以上で、測定に使用する波長によっては、測定精度が低下し、不良と判断されていた屈折率neを精度良く、新たに決定することができる。通常の場合、不良データの修正はほ
とんどの場合成功し、光の波長に応じた屈折率を決定することができる。
以上のように、ステップS12での計算結果の良否判断及び不良データの修正の後、ステップS13において、終了の指示があったか否かを判断し、終了の指示が無ければ、ステップS14に移行する。
ステップS14では、新たに擬似散乱行列S'mを計算した後、ステップS1に戻る。即ち、以上で決定された良データの膜厚平均値dga、屈折率ni(良データ及び修正された
不良データ)、およびS'm-1を用い、新しい層の光学効果を表す伝達行列Ljj(j+1)
S’m-1に積算して、S'mを計算する。その後、ステップS1に戻る。
以上のように、ステップS2〜S11の処理によって、最上位層の膜厚、及び測定に使用した光の波長に応じた屈折率を求めることができる。
また、ステップS2〜S11の処理によって求められた複数組の膜厚、屈折率が、ステップS12において良否判断された結果、特定の波長のデータ(膜厚、屈折率)が不良データであると判断された場合でも、同ステップS12において、その不良な屈折率データを修正することができ、全ての測定波長に対応する屈折率を精度良く求めることができる。このようにして、従来の方法(上記非特許文献2および3参照)と対照的に、単一波長および多波長で測定したデータに対応しているため、一時的な精度の低下のために膜の屈折率及び厚さの決定が単独ではできない波長についても、精度の高い他の波長のデータで補正することにより、その波長の屈折率を決定することができる。また、従来の方法(上記非特許文献5および6参照)のように屈折率の波長依存性をあらかじめ仮定する必要がないため、異なる波長における屈折率を精度よく求めることができる。即ち、測定波長に応じて周期的に発生する一時的な測定精度の低下を補償することができ、従って、測定精度が低下する領域を通過した後、不良データを生じた波長において、ステップS2〜S11の処理により再び良データを得ることができる。このようにして、膜厚の大きな積層膜の場合でも、新たに積層される薄膜の膜厚及び屈折率を精度良く求めることができる。
また、本発明の方法では、近似を用いることなく評価関数を導出することができるため、従来の方法(例えば、マトリックスの行列要素を2次項までのテイラー級数で近似する方法(上記非特許文献5参照))で問題であった、急激な膜厚の変化が起こった場合に計算不能に陥る危険性が無く、高精度で膜の屈折率及び厚さを決定することができる。また、方程式の次数が高々2次であることから、従来の方法(例えば、8次方程式を使用する方法(上記非特許文献5参照))と比較して計算に要する時間が短時間でよく、従って、本発明の方法を製膜工程に適用した場合、製膜中に膜厚をほぼリアルタイム且つ高精度に求めることができることから、指定膜厚の薄膜を高精度に形成することができる。
図4は、シミュレーションで求めたエリプソメトリーの計数Ψ、Δを測定データの代りに使用して、本実施の形態に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法で、屈折率および膜厚を求めた結果を示す図である。
シミュレーション条件として、各々の薄膜1層の厚さが2nm、全体で125層(全体の厚さが250nm)からなる多層膜とし、積層された薄膜の屈折率が、所定の境界を挟んで階段状に変化するとした。また、5種類の波長(600、650、700、750、800nm)を想定した。なお、シミュレーションで計算したΨ、Δには、ガウス分布を有する標準偏差0.001°のランダムノイズを含ませている。このノイズの大きさは現在市販されている多くのエリプソメーターの性能に匹敵する値である。
図4のグラフは、縦軸を逆算した屈折率、横軸を逆算した膜厚として描いている。薄膜の屈折率が、所定の境界で階段状に変化している状態を良く再現できていることがわかる。
図5は、シミュレーションで求めたエリプソメトリーの計数Ψ、Δを測定データの代りに使用して、本実施の形態に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法で、屈折率および膜厚を求めた結果を示す図である。
シミュレーション条件として、各々の薄膜1層の厚さが1nm、全体で200層(全体の厚さが200nm)からなる多層膜とし、各薄膜の屈折率が、積層される順序に応じて
、下層から上層に向かって一定勾配で増大するとした。また、3種類の波長(600、700、800nm)を想定した。なお、シミュレーションで計算したΨ、Δには、ガウス分布を有する標準偏差0.001°のランダムノイズを含ませている。
図5のグラフは、縦軸を逆算した屈折率、横軸を逆算した膜厚として描いている。薄膜の屈折率が、積層される順序に応じて、下層から上層に向かって一定勾配で増大している状態を良く再現できていることが分かる。
本実施の形態の方法での計算結果と、シミュレーションデータとを比較した計算精度は、図4の結果について、屈折率に関する平均絶対偏差が0.03%以下、標準偏差が0.4%以下、膜厚に関する平均絶対偏差が−0.01%以下、標準偏差が0.3%以下であった。また、クロック周波数が500MHzの32ビットCPU(PENTIUM(登録商標)
)を搭載したコンピュータを使用した図4についての計算では、1つの波長で逆算により屈折率および膜厚を求めるステップS4〜S9の繰り返し計算において、1回の数値計算に要した平均繰り返し回数は8.5回であり、平均時間は0.72msであった。また、平均膜厚を用いて逆算結果が不良と判断された屈折率を新たに計算するステップS29〜S35の繰り返し計算において、1回の数値計算に要した平均繰り返し回数は17.2回であり、平均時間は2.66msであった。また、1つの最外層についての総所要時間の平均は17.5msであった。従って、本実施の形態に係る方法を製膜工程に適用すれば、膜形成中の膜厚をほぼリアルタイムで測定することができ、膜厚の高精度の制御が可能となる。
以上の説明において、薄膜が新しく形成される側の透明媒体と多層膜との界面に光を入射する外入射型配置としたが、薄膜が新しく形成される側と反対側の透明媒体と多層膜との界面に光を入射する内入射型配置の場合も、系全体の散乱行列Smが当該薄膜を除いた
多層膜と当該薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、当該薄膜の特性行列Lm、当該薄
膜と当該薄膜を通過する光がさらに透過する媒体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び当該薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算されることを勘案し、同様に計算できる。
また、計算に用いるエリプソメトリーの計数はΨとΔとしたが、換算によってΨとΔが得られるのであれば、計算に用いるエリプソメトリーの計数の種類は特に限定されない。例えば、式(27)および(28)で表されるISおよびICが測定値として得られる場合には、式(27)および(28)を用いてΨとΔを逆算し、これを用いて同様に計算を行うことができる。
また、ステップS4(図2)での屈折率の数値計算における評価関数として式(18)を使用する場合を説明したが、評価関数として式(20)を使用してもよい。
また、反射光を測定する反射型エリプソメトリーの場合を説明したが、多層膜を透過した透過光を測定する透過型エリプソメトリーの場合にも、評価関数として式(18)又は式(22)を使用して、同様に屈折率及び膜厚を計算することができる。この場合、方程式は、式(14)の代りに、式(17)を係数とする式(16)を使用する。
また、繰り返し処理における収束性の判断は、上記した方法に限定されず、例えば、評価関数の値が設定した閾値よりも小さくなることを収束条件としてもよい。
また、ステップS4(図2)における数値計算は、Newton-Laphson法に限定されず、種々の数値解法を使用することができる。
また、ステップS29(図3)における極小探索法は、Brent法に限定されず、種々の
極小探索法を使用することができる。
また、以上では、複数の波長で測定したエリプソメトリーの計数を処理対象とする場合を説明したが、ある測定波長で測定精度の低下が起こらないか、あるいは起こっても著しくないことが分かっている場合には、1つの波長でのみ測定したエリプソメトリーの計数を使用して、ステップS2〜S10での処理を行う(N=1の場合)ことによって、屈折率及び膜厚を、高速に且つ高精度に求めることができる。但しこの場合には、ステップS12の処理は行わない。
また、図2、3に示したフローチャートの処理順序に限定されず、本発明の効果を生じる範囲内で、種々の変更、追加が可能である。
図6は、本実施の形態に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法を、多層膜の製造に応用する場合の処理を示すフローチャートである。ステップS41において、最初の第1層を形成する作業を行う。
製膜作業を中断することなく、図2、3に関して上記したのと同様に、ステップS42において、複数の波長の光を使用してエリプソメトリーの計数を測定し、ステップS43において、波長毎の屈折率及び膜厚を計算し、ステップS44において、計算された屈折率、膜厚の良否判断及び不良データの修正を行い、良好な膜厚の平均値を求めると同時に、全ての波長に対応する屈折率を求める。ステップS45において、ステップS44で得られた良好な膜厚の平均値が、所望の値であるか否かを判断する。所望の膜厚でなければ、所望の膜厚になるまで、ステップS46での製膜工程の制御、及びステップS42〜S45を繰り返す。
さらに、ステップS47において、新たな薄膜を形成するか否かを判断し、新たな薄膜が形成される場合、ステップS41に戻り、新たに形成される膜厚の形成を制御するために、上記した測定及び計算処理を繰り返す。これによって、所望の膜厚の層を複数備えた多層膜を製造することができる。
本発明の実施の形態に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法の原理を説明する図である。 本発明の実施の形態に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法における計算結果の良否判断及び不良データの修正処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法によって計算した屈折率と厚さの関係を示す図である。 本発明の実施の形態に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法によって計算した屈折率と厚さの関係を示す図である。 本発明の実施の形態に係る膜の屈折率及び厚さの測定方法を製膜工程に応用する場合を示すフローチャートである。
符号の説明
IN 入射光学系
OUT 射出光学系
PC 演算手段
in 入射光
out 反射光
φ0、φi 入射角
0 雰囲気(外入射型配置)または基板(内入射型配置)
1〜m 薄膜
m+1 基板(外入射型配置)または雰囲気(内入射型配置)

Claims (12)

  1. エリプソメトリーの計数を用いて膜の屈折率及び厚さを測定する方法であって、
    前記膜が、2つの透明な媒体とそれらに挟まれた多層膜からなる光学系において、2つの前記媒体と前記多層膜との2つの界面のどちらか一方の界面に新しく形成される薄膜であって、前記一方の界面の側または他方の界面の側から少なくとも1つの波長の光を入射し、反射光を測定することによって得られる反射型エリプソメトリーの計数Ψr、Δrを使用し、
    ln|X|=0
    (ここで、Xは、a=B2 s2 pρr−B2 p2 s、b=(B1 s2 p+B2 s1 p)ρr−B1 p2 s+B2 p1 s、c=B1 s1 pρr−B1 p1 sを係数とする2次方程式aX2+bX+c=0
    の根であり、
    ρr=tanΨrexp(−jΔr)であり、
    係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、B1 s、B2 s、B1 p、B2 pは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記
    薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められ、
    前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒
    体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1
    から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)、又は、
    (|c|2−|a|2)2−|c*b−cb*2=0
    (ここで、a=B2 s2 pρr−B2 p2 s、b=(B1 s2 p+B2 s1 p)ρr−B1 p2 s+B2 p1 s、c=B1 s1 pρr−B1 p1 s、ρr=tanΨrexp(−jΔr)であり、
    係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、B1 s、B2 s、B1 p、B2 pは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記
    薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められ、
    前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒
    体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1
    から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)
    を評価関数として、非線形方程式の数値解法を用いて、前記波長に対する屈折率を計算する屈折率計算ステップを含むことを特徴とする膜の屈折率及び厚さの測定方法。
  2. エリプソメトリーの計数を用いて膜の屈折率及び厚さを測定する方法であって、
    前記膜が、2つの透明な媒体とそれらに挟まれた多層膜からなる光学系において、2つの前記媒体と前記多層膜との2つの界面のどちらか一方の界面に新しく形成される薄膜であって、前記一方の界面の側または他方の界面の側から少なくとも1つの波長の光を入射し、前記多層膜を透過した透過光を測定することによって得られる透過型エリプソメトリーの計数Ψt、Δtを使用し、
    ln|X|=0
    (ここで、Xは、a=Kp2 pρt−Ks2 s、b=Kp1 pρt−Ks1 sを係数とする、1次方程式aX+b=0の根であり、
    ρt=tanΨtexp(−jΔt)であり、
    係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、Ks、Kpは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記薄膜を除いた多
    層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素
    として求められ、
    前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒
    体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1
    から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)、又は、
    (a*+b*)―(a+b)=0
    (ここで、a=Kp2 pρt−Ks2 s、b=Kp1 pρt−Ks1 s、ρt=tanΨtexp(−j
    Δt)であり、
    係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、Ks、Kpは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記薄膜を除いた多
    層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素
    として求められ、
    前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒
    体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1
    から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)
    を評価関数として、非線形方程式の数値解法を用いて、前記波長に対する屈折率を計算する屈折率計算ステップを含むことを特徴とする膜の屈折率及び厚さの測定方法。
  3. 前記屈折率計算ステップによって計算された前記屈折率を用いて、
    d=Re{j(1/4π)λ(n2−n0 2sinφ0)-1/2lnX}
    (ここで、nは前記薄膜の屈折率、n0は前記媒体の屈折率、λは前記波長、φ0は前記光の入射角である)
    によって、前記薄膜の膜厚dを計算する膜厚計算ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の膜の屈折率及び厚さの測定方法。
  4. 複数の波長の各々に対して、前記屈折率計算ステップによって前記屈折率を計算し、且つ前記膜厚計算ステップによって前記膜厚を計算し、
    計算された複数の前記屈折率及び前記膜厚の良否を判断し、精度良く前記薄膜の膜厚を決定する良否判断ステップをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の膜の屈折率及び厚さの測定方法。
  5. 前記良否判断ステップの後に、前記良否判断ステップにおいて不良と判断された屈折率を新たに計算する修正ステップをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の膜の屈折率及び厚さの測定方法。
  6. 前記良否判断ステップが、
    同じ波長に対する、前記屈折率計算ステップによって計算された前記屈折率、及び前記膜厚計算ステップによって計算された前記膜厚からなる複数の組の中から、良好な組を選別する選別ステップと、
    前記良好な組を、所定のグループ数のグループに分類する分類ステップと、
    分類された前記グループを用いて、信頼性の高い膜厚を含む最適グループを決定する最適グループ決定ステップと、
    前記最適グループに含まれる膜厚の平均値及び規格化標準偏差を用いて、前記良好な組の中から、良好な屈折率及び良好な膜厚を併せ持つ良好な組を再度選別する再選別ステップと、
    前記良好な膜厚の平均値を計算することによって精度良く前記薄膜の膜厚を決定する平均値計算ステップとを含むことを特徴とする請求項5に記載の膜の屈折率及び厚さの測定方法。
  7. 前記修正ステップが、
    前記再選別ステップにおいて再度選別された前記良好な屈性率の平均値を計算し、該平均値から屈折率の探索範囲を決定する範囲決定ステップと、
    非線形関数の極小探査法によって、前記探索範囲の中で、前記良否判断ステップにおいて不良と判断された屈折率を新たに計算する再計算ステップとを含むことを特徴とする請求項6に記載の膜の屈折率及び厚さの測定方法。
  8. 前記グループ数が、前記良好な組の数に応じて多くなるようにあらかじめ定めた規則に基づいて決定され、
    前記分類ステップが、各々のグループに属する膜厚の分散値の総和が最小になるように、前記良好な組を、前記グループ数のグループに分類するステップを含み、
    前記最適グループ決定ステップが、
    分類された前記グループの要素の数が2以上かつ最大である1つのグループ、および、そのグループを除く前記グループの要素の数が2以上かつ最大のグループを仮の最適グループとする仮最適グループ群決定ステップと、
    すべての仮最適グループG1、G2、G3、…について、すべての良好な組を対象として
    、仮最適グループGiの要素dijの対数値lndijの平均値(lnd)ai(添字aは平均値を表
    す)及び標準偏差σを用いて計算した規格化標準偏差(σ/(lnd)ai)をσdNiとして、
    それぞれの仮最適グループGiの(lnd)aiに対する許容偏差δdiがδdi=γσdNiによって表され、σdNiが大きくなるほど大きくなるようにあらかじめ定めたγの値に基づき、す
    べての良好な膜厚についての(lndk−(lnd)ai2の総和が最小になるように、前記良好な組の膜厚がabs(lndk−(lnd)ai)<δd(ここで、absは()内の絶対値を求める演算を表す)の条件を満たす良好な組(nk、dk)をそれぞれの仮最適グループに取り込む処理をG1、G2、G3、…の順に行う取込ステップと、
    前記仮最適グループ群へのデータの取込処理によって変化した要素の組み合わせに応じて、仮最適グループ群Giのうち要素数最大のグループおよび2番目のグループを決定し
    、それぞれ最適グループG1および準最適グループG2とする並べ替えステップと、
    前記最適および準最適グループGiの要素数をN(Gi)、規格化標準偏差をσdN(Gi
    )(i=1又は2)とし、「N(G1)=N(G2)」および「σdN(G2)<σdN(G1)」の条件を両方満たす場合、最適グループG1と準最適グループG2とを入れ替える処理を行い、最終的に最適グループG1を決定する入替ステップとを含み、
    前記再選別ステップが、
    前記最適グループの屈折率niの平均値na及び標準偏差σを用いて規格化標準偏差σnN(=σ/na)を計算し、δn=4σnNによって許容偏差δnを決定し、前記良好な組の屈
    折率の中で、abs(nk−na)<δnを満たす屈折率を前記良好な屈折率とし、
    前記最適グループの膜厚データdiの対数値の平均値(lnd)a及び標準偏差σを用いて規
    格化標準偏差σdN(=σ/(lnd)a)を計算し、許容偏差δdがδd=γσdNによって表さ
    れ、σdNが大きくなるほど大きくなるようにあらかじめ定めたγの値に基づき、前記良好な組の膜厚がabs(lndk−(lnd)ai)<δdの条件を満たす膜厚を前記良好な膜厚とし、
    屈折率と膜厚が両方とも良好であることを条件として、良好なデータの組(nk、dk)を決定するステップであることを特徴とする請求項7に記載の膜の屈折率及び厚さの測定方法。
  9. 前記範囲決定ステップが、前記良好な屈性率の平均値ngaと、あらかじめ定めた探索範囲の相対値rを用い、前記探索範囲の上限値を(1.0+r)nga、下限値を(1.0−r)ngaと決定するステップを含み、
    前記再計算ステップが、f(n)=(IS'−IS)2−(IC'−IC)2(ここで、エリプソメメトリーの計数の測定値をΨ、Δとし、前記探索範囲内の屈折率n'から計算されたエリ
    プソメメトリーの計数をΨ'、Δ'とし、IS=sin2ΨsinΔ、IC=sin2ΨcosΔ、IS'=sin2Ψ'sinΔ'、IC'=sin2Ψ'cosΔ'である)を評価関数とする極小探査法を用いて、前記不良と判断された屈折率を新たに計算するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の膜の屈折率及び厚さの測定方法。
  10. コンピュータに、エリプソメトリーの計数を用いて膜の屈折率及び厚さを測定する機能を実現させるプログラムであって、
    前記膜が、2つの透明な媒体とそれらに挟まれた多層膜からなる光学系において、2つの前記媒体と前記多層膜との2つの界面のどちらか一方の界面に新しく形成される薄膜であって、前記一方の界面の側または他方の界面の側から少なくとも1つの波長の光を入射し、反射光を測定することによって得られた反射型エリプソメトリーの計数Ψr、Δrを、記録手段から読み出して、
    ln|X|=0
    (ここで、Xは、a=B2 s2 pρr−B2 p2 s、b=(B1 s2 p+B2 s1 p)ρr−B1 p2 s+B2 p1 s、c=B1 s1 pρr−B1 p1 sを係数とする2次方程式aX2+bX+c=0
    の根であり、
    ρr=tanΨrexp(−jΔr)であり、
    係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、B1 s、B2 s、B1 p、B2 pは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記
    薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められ、
    前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒
    体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1
    から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)、又は、
    (|c|2−|a|2)2−|c*b−cb*2=0
    (ここで、a=B2 s2 pρr−B2 p2 s、b=(B1 s2 p+B2 s1 p)ρr−B1 p2 s+B2 p1 s、c=B1 s1 pρr−B1 p1 s、ρr=tanΨrexp(−jΔr)であり、
    係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、B1 s、B2 s、B1 p、B2 pは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記薄膜
    を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Sm
    の行列要素として求められ、
    前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒
    体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1
    から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)
    を評価関数として、非線形方程式の数値解法を用いて、メモリ上で前記波長に対する屈折率を計算する機能を実現させる膜の屈折率及び厚さの測定プログラム。
  11. コンピュータに、エリプソメトリーの計数を用いて膜の屈折率及び厚さを測定する機能を実現させるプログラムであって、
    前記膜が、2つの透明な媒体とそれらに挟まれた多層膜からなる光学系において、2つの前記媒体と前記多層膜との2つの界面のどちらか一方の界面に新しく形成される薄膜であって、前記一方の界面の側または他方の界面の側から少なくとも1つの波長の光を入射し、前記多層膜を透過した透過光を測定することによって得られた透過型エリプソメトリーの計数Ψt、Δtを、記録手段から読み出して、
    ln|X|=0
    (ここで、Xは、a=Kp2 pρt−Ks2 s、b=Kp1 pρt−Ks1 sを係数とする、1次方程式aX+b=0の根であり、
    ρt=tanΨtexp(−jΔt)であり、
    係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、Ks、Kpは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記薄膜を除いた多
    層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素
    として求められ、
    前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒
    体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1
    から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)、又は、
    (a*+b*)―(a+b)=0
    (ここで、a=Kp2 pρt−Ks2 s、b=Kp1 pρt−Ks1 s、ρt=tanΨtexp(−j
    Δt)であり、
    係数A1 s、A2 s、A1 p、A2 p、Ks、Kpは、前記薄膜が新しく形成される前記一方の界面の側から光を入射する外入射型配置については、前記薄膜に入射する光が通過する前記媒体と前記薄膜との境界面の特性行列I01、前記薄膜の特性行列L1、前記薄膜を除いた多
    層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I12、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1から、Sm=I01112S’m-1によって計算される散乱行列Smの行列要素
    として求められ、
    前記薄膜が新しく形成される側と反対側の前記他方の界面の側から光を入射する内入射型配置については、前記薄膜を除いた多層膜と前記薄膜との間の境界面の特性行列I(m-1)m、前記薄膜の特性行列Lm、前記薄膜と前記薄膜を通過する光がさらに透過する前記媒
    体との境界面の特性行列Im(m+1)、及び前記薄膜を除いた多層膜の擬似散乱行列S’m-1
    から、Sm=S’m-1(m-1)mmm(m+1)によって計算される散乱行列Smの行列要素として求められる)
    を評価関数として、非線形方程式の数値解法を用いて、メモリ上で前記波長に対する屈折率を計算する機能を実現させる膜の屈折率及び厚さの測定プログラム。
  12. 請求項10又は11に記載の膜の屈折率及び厚さの測定プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
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