JP3958910B2 - 電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法および電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置 - Google Patents

電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法および電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品実装用フィルムキャリアテープ(TAB(Tape Automated Bonding)テープ、T-BGA(Tape Ball Grid Array)テープ、CSP(Chip Size Package)テープ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)テープなど)(以下、単に「電子部品実装用フィルムキャリアテープ」と言う。)の製造において、メッキ処理工程における電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法、およびそのための電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス産業の発達に伴い、IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)などの電子部品を実装するプリント配線板の需要が急激に増加しているが、電子機器の小型化、軽量化、高機能化が要望され、これら電子部品の実装方法として、最近ではTABテープ、T-BGAテープおよびASICテープなどを用いた実装方式が採用されており、特に、パーソナルコンピュータなどのように高精細化、薄型化、液晶画面の額縁面積の狭小化が要望されている液晶表示素子(LCD)を使用する電子産業においてその重要性が高まっている。
【0003】
従来より、このような電子部品実装用フィルムキャリアテープでは、例えば、TABテープを製造する方法としては、下記のような行程を経て製造されている。
すなわち、先ず、ポリイミドフィルムのような基材となる絶縁フィルムをプレス機でパターン打ち抜きを行った後、この絶縁フィルムに接着剤を介して銅箔を熱圧着により貼着する。そして、この銅箔の上面にフォトレジストを全面に塗布して、このフォトレジストをフォトレジストマスクを使用して所望のパターン形状に紫外線により露光し、この露光されたフォトレジスト部分を現像液によって溶解除去する。このフォトレジストで覆われていない銅箔部分を、エッチング液である酸で化学的に溶解(エッチング処理)して除去するとともに、フォトレジストをアルカリ液にて溶解除去することによって絶縁フィルム上に残った銅箔により所望の配線パターンを形成する。
【0004】
そして、実装時のゴミやウィスカー、マイグレーションによる短絡を防止し、配線間の保護並びに絶縁のために、配線パターンのうち、ICなどのデバイス(電子部品)に接続されるインナーリードおよび液晶表示素子などに接続されるアウターリードなどのリード部分を除いて、絶縁樹脂であるソルダーレジストを、スクリーン印刷法によりスキージを用いて塗布パターンの形成されたスクリーンを介して塗布した後、乾燥、硬化させてソルダーレジスト被覆層を形成している。
【0005】
また、銅表面に生成した酸化被膜と汚れを除去するため、酸洗い工程を実施することもある。これは、特に、いわゆる2色ソルダーレジスト品と呼ばれる、エポキシソルダーを塗布した後、ポリイミドソルダーを塗布する製品であるが、この場合に、ポリイミドソルダー塗布前に行われるのが通常である。
その後、露出したリード部分の酸化、変色を防止するとともに、リード部分に接続されるデバイスのバンプなどの接続部分との接着強度を確保するために、リード部分を、例えば、スズメッキ、金メッキ、スズ−鉛の共晶合金メッキなどを施すことにより製造されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなTABテープでは、最近では、ICなどのデバイスを実装する際に、TABテープを正確に位置決めするために、センサー用の非貫通孔が設けられている。
すなわち、図5に示したように、TABテープ200は、ポリイミドフィルムのような基材からなる絶縁フィルム層202と、この絶縁フィルム層202に接着剤層204を介して熱圧着により貼着され、エッチング処理により形成された配線パターンを形成する銅箔層206を備えている。この配線パターンのうち、ICなどのデバイス(電子部品)に接続されるインナーリードおよび液晶表示素子などに接続されるアウターリードなどのリード部分201を除いて、絶縁樹脂であるソルダーレジスト被覆層209が銅箔層206に被覆形成されている。そして、絶縁フィルム層202が部分的に予め打ち抜かれて、位置決めセンサー用のセンサー用非貫通孔208が形成されている。なお、このセンサー用非貫通孔208は、その表面側が配線パターンを形成する銅箔層206で閉塞されている。
【0007】
ところで、このようなTABテープ200の製造方法では、前述したように、露出したリード部分201を、酸化、変色を防止するなどのために、例えば、スズメッキ、金メッキ、スズ−鉛の共晶合金メッキなどでメッキするが、この際、センサー用非貫通孔208内に露出する銅箔層部分211もメッキ処理する必要がある。
【0008】
このために、従来では連続的に搬送されてくるTABテープ200を、図6に示したように、例えば、スズメッキ処理液などのメッキ処理液210を収容したメッキ処理槽212内を通過させることによって、メッキ処理を施していた。
しかしながら、このようなセンサー用非貫通孔208は、その深さ、すなわち絶縁フィルム層202の厚さが、例えば、75μmで、しかも、その径が600μmφと小さい。また、メッキ処理液中には、液の濡れ性を向上するために、界面活性剤を含んでいるので、粘性を有するために、センサー用非貫通孔208内に浸透しにくく、また、図7に示したように、センサー用非貫通孔208内にエアー220をかみこんだ際に、メッキ処理液が膜を形成して(214)なかなかこのエアーが抜けない。
【0009】
そのため、図8(A)(B)に示したように、センサー用非貫通孔208内にに露出する銅箔層部分211には、部分的にメッキ層216が形成していない部分218が形成されてしまい、不良品となってしまう。
このような不良品は、TABテープのサイズが、BGA(Ball Grid Array)と呼ばれるアウターリードの代わりにTABテープの孔を介してICなどをハンダボールで接続するデバイスホールの設けられていないTABテープ、CSP(Chip Size Package)と呼ばれるICのサイズとTABテープのパッケージのサイズとが同じであり、その接続方法が主にBGAと同じであるTABテープのように、ますます小型化し、これにともないセンサー用非貫通孔208の孔のサイズも、例えば、400μmφ、150μmφと小さくなっていくにつれて、ますます多くなっている。
【0010】
従って、本発明の目的とするところは、電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造において、メッキ処理工程において、センサー用非貫通孔内にメッキ処理液が浸透しやすく、センサー用非貫通孔内にエアーをかみこんだ際にも、メッキ処理液による膜が容易に壊れてエアーが抜け、センサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分を均一に全面にわたってメッキ層を形成することの可能な電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法、およびそのための電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明なされたものであって、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法は、絶縁フィルム表面に銅箔を接着し、該銅箔をエッチングして所望の配線パターンを形成した後、該エッチングにより形成されたリード部を除く配線パターンを覆うようにソルダーレジストを塗布した後、
前記配線パターンのリード部の表面に、メッキ処理にて金属をメッキするための電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法であって、
前記絶縁フィルムに設けられ表面側が銅箔で閉塞されている位置決めセンサー用のセンサー用非貫通孔に金属をメッキするために、
前記メッキ処理の際に、メッキ処理液に超音波をかけてメッキ処理することを特徴とする。
【0012】
これによって、メッキ処理液が超音波振動することになるので、センサー用非貫通孔内にメッキ処理液が浸透しやすくなり、しかも、センサー用非貫通孔内にエアーをかみこんだ際にも、この超音波振動の作用によって、メッキ処理液による膜が容易に壊れてエアーが抜けるため、センサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分を均一に全面にわたってメッキ層を形成することができる。
【0013】
また、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法は、前記メッキ処理の前に、前記センサー用非貫通孔の開口部側からセンサー用非貫通孔に対してメッキ処理液を噴霧することを特徴とする。
このようにメッキ処理液を噴霧することによって、センサー用非貫通孔の開口部からセンサー用非貫通孔の内部、特に、センサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分にメッキ処理液が予め浸透して、この状態でメッキ処理液に浸漬されることになる。従って、センサー用非貫通孔内にエアーをかみこむことが少なくなり、センサー用非貫通孔内全体ににメッキ処理液が浸透するため、よりいっそうセンサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分を均一に全面にわたってメッキ層を形成することができる。
【0014】
また、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法は、前記メッキ処理の際の超音波の周波数が、10〜60kHz、好ましくは、25〜35kHzとするのが望ましい。
また、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法は、前記メッキ処理の際に、3〜120秒の間、好ましくは、10〜20秒の間、超音波をかけることを特徴とする。
【0015】
すなわち、このような周波数の超音波で、このような時間超音波をかけるのであれば、電子部品実装用フィルムキャリアテープのデバイスホール内に突設するインナーリードが、超音波振動によって折曲することなく、ショートを起こすこともなく、機械的強度も低下せず、ICなどを実装する際に接触不良などを起こすこともない。また、ソルダーレジストが、配線パターンから剥離することがないので、配線間の保護、絶縁が十分確保されることになる。
【0016】
また、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法は、前記メッキ処理の際に、前記センサー用非貫通孔の開口部側からメッキ処理液に超音波をかけてメッキ処理することを特徴とする。
これにより、超音波振動によって、センサー用非貫通孔の開口部内にメッキ処理液が浸透することになるので、センサー用非貫通孔内にエアーをかみこむことが少なくなり、センサー用非貫通孔内全体ににメッキ処理液が浸透するため、よりいっそうセンサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分を均一に全面にわたってメッキ層を形成することができる。
【0017】
また、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置は、絶縁フィルム表面に銅箔を接着し、該銅箔をエッチングして所望の配線パターンを形成した後、該エッチングにより形成されたリード部を除く配線パターンを覆うようにソルダーレジストを塗布した後、
前記配線パターンのリード部の表面に、メッキ処理にて金属をメッキするとともに、前記絶縁フィルムに設けられ表面側が銅箔で閉塞されている位置決めセンサー用のセンサー用非貫通孔に金属をメッキするためための電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置であって、
メッキ処理槽の外部よりメッキ処理槽全体を超音波振動させる超音波付与装置を備えることを特徴とする。
【0018】
これによって、超音波付与装置により、メッキ処理槽全体が超音波振動して、メッキ処理液が超音波振動することになるので、センサー用非貫通孔内にメッキ処理液が浸透しやすくなり、しかも、センサー用非貫通孔内にエアーをかみこんだ際にも、この超音波振動の作用によって、メッキ処理液による膜が容易に壊れてエアーが抜けるため、センサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分を均一に全面にわたってメッキ層を形成することができる。
【0019】
また、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置は、前記超音波付与装置が、前記メッキ処理槽の底壁外部に配設されていることを特徴とする。
これにより、メッキ処理槽の底壁から超音波振動するので、センサー用非貫通孔の開口部内にメッキ処理液が浸透することになり、センサー用非貫通孔内にエアーをかみこむことが少なくなり、センサー用非貫通孔内全体ににメッキ処理液が浸透するため、よりいっそうセンサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分を均一に全面にわたってメッキ層を形成することができる。
【0020】
また、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置は、前記メッキ処理槽を、メッキ処理液回収槽内部に配設するとともに、前記超音波付与装置を回収したメッキ処理液から液密に保護する保護カバーを設けたことを特徴とする。
このように構成することによって、メッキ処理槽から溢れたメッキ処理液を回収して、再び使用できるとともに、超音波付与装置が、保護カバーで液密に保護されているので、超音波付与装置がメッキ処理液で腐食されることもなく、しかも装置全体をコンパクトにすることができる。
【0021】
また、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置は、前記メッキ処理の前に、前記センサー用非貫通孔の開口部側からメッキ処理液を噴霧するメッキ処理液噴霧装置を備えることを特徴とする。
このようにメッキ処理液噴霧装置によって、メッキ処理液を噴霧することによって、センサー用非貫通孔の開口部からセンサー用非貫通孔の内部、特に、センサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分にメッキ処理液が予め浸透して、この状態でメッキ処理液に浸漬されることになる。従って、センサー用非貫通孔内にエアーをかみこむことが少なくなり、センサー用非貫通孔内全体ににメッキ処理液が浸透するため、よりいっそうセンサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分を均一に全面にわたってメッキ層を形成することができる。
【0022】
また、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置は、前記メッキ処理槽を、合成樹脂で形成したことを特徴とする。
このようにメッキ処理槽を合成樹脂で形成することによって、メッキ処理槽がメッキ処理液によって腐食されることがない。
また、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置は、前記メッキ処理槽の少なくとも前記超音波付与装置を配設する壁面を、合成樹脂で被覆した金属板で形成したことを特徴とする。
【0023】
このように構成することによって、超音波付与装置を配設する壁面合成樹脂で被覆した金属板で形成されているので、超音波付与装置によって超音波振動が効率よく伝播することになり、よりいっそうセンサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分を均一に全面にわたってメッキ層を形成することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態(実施例)について説明する。
図1は、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置全体の側面図、図2は、図1のメッキ処理装置のメッキ処理槽部分の上面図、図3は、図2のメッキ処理槽部分の側面図である。
【0025】
図1には、全体で、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置10(以下、単に「メッキ処理装置」と言う。)を示している。
メッキ処理装置10では、予め前工程であるエッチング工程で、TABテープフィルムのフォトレジストで覆われていない銅箔部分がエッチング液により除去され、絶縁フィルム上に残った銅箔により配線パターンが形成され、インナーリード、アウターリードなどのリード部分を除いて、配線パターン部分を絶縁樹脂であるソルダーレジストで被覆したTABテープフィルムT(以下、「フィルムT」と言う。)が、送り出しロール(図示せず)から、メッキ処理装置10のメッキ処理槽12に連続的に送給されるようになっている。
【0026】
そして、メッキ処理槽12内にて、例えば、スズメッキ処理液などのメッキ処理液14によって、酸化、変色を防止するなどのために、露出したリード部分201と、センサー用非貫通孔208内に露出する銅箔層部分211がスズなどの金属でメッキされるようになっている。
そして、メッキ処理装置10のメッキ処理槽12を通過したフィルムTは、図示しない巻き取りロールにスペーサを介して巻き取られ、最終的にTABテープが製造されるようになっている。
【0027】
図1に示したように、メッキ処理装置10には、連続的に送給されるフィルムTに、センサー用非貫通孔208の開口部側からセンサー用非貫通孔208に対してメッキ処理液を噴霧するメッキ処理液噴霧装置16を備えている。
このメッキ処理液噴霧装置16は、センサー用非貫通孔208に対してメッキ処理液を噴霧することによって、センサー用非貫通孔208の開口部からセンサー用非貫通孔の内部、特に、センサー用非貫通孔208内に露出する銅箔層部分211にメッキ処理液を予め浸透させるためのものである。そして、この状態で、メッキ処理槽12内にて、メッキ処理液に浸漬されることになり、センサー用非貫通孔内にエアーをかみこむことが少なくなり、センサー用非貫通孔内全体ににメッキ処理液が浸透するため、よりいっそうセンサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分を均一に全面にわたってメッキ層を形成することができるようにするためのものである。
【0028】
この場合、メッキ処理液噴霧装置16からのメッキ処理液の噴霧は、一定の噴霧圧力で噴出されるように構成され、その噴霧圧力としては、メッキ処理液がセンサー用非貫通孔208内に露出する銅箔層部分211にまで浸透するようにするためには、1〜3kgf/cm2の範囲、噴出量が5〜15l/minとなるように設定するのが望ましい。メッキ処理液のセンサー用非貫通孔は、噴霧圧力や噴出量が多い方が好ましいが、製品搬送の際の安定性及びそれを保ちうるためのコストを最小限に押さえるためには、前記したような範囲で設定するのが望ましい。
【0029】
また、図1〜図3に示したように、メッキ処理液噴霧装置16の下流側には、メッキ処理槽12が配設されている。
このメッキ処理槽12は、箱形状のメッキ処理槽本体18を備えており、メッキ処理槽本体18は、隔壁21によって、2つのメッキ槽20、22に区画されている。なお、このように2つのメッキ槽20、22を設けたのは、2本のフィルムTを同時に処理するためである。
【0030】
なお、メッキ処理液噴霧装置16と、メッキ処理槽12との間の距離は、特に限定されるものではない。
これらのメッキ槽20、22の底部壁24、26には、超音波付与装置28が設けられている。この超音波付与装置28は、メッキ槽20、22の底部壁24、26に付設されたフィルムTの搬送方向に二列の合計8個の超音波振動子30、32を備えている。
【0031】
これらの超音波振動子30、32は、好ましくは、図2に示したように、メッキ槽20、22の横方向に(すなわちフィルムTの搬送方向に対して垂直な方向に)位置をずらして配置することにより、フィルムTの幅方向全体にわたって、超音波振動を付与するように配置するのが望ましい。
なお、このような超音波振動子の数は、特に限定されるものではなく、メッキ槽20、22の大きさに応じて、適宜設定すればよい。
【0032】
これらの超音波振動子30、32は、メッキ槽20、22の底部壁24、26に、図示しないネジなどの締結部材で取付けられた保護カバー34で保護されている。また、これらの超音波振動子30、32を振動させるための電気配線36が、保護カバー34の配線用開口38を介して、保護カバーの外部に配設されている。これらの配線用開口38と、保護カバー34のメッキ槽20、22の底部壁24、26への取付け部には、図示しないシール材が取付けられており、メッキ処理槽本体18が配置されるメッキ処理液回収槽82内に回収されたメッキ液40から超音波振動子30、32を液密に保護して、腐食されないようになっている。
【0033】
また、メッキ槽20、22の前方壁42、44には、送給されてくるフィルムTを導入する導入口46、48が形成されており、この導入口46、48には、メッキ槽20、22内に収容したメッキ処理液14が、メッキ槽20、22からある程度漏れないようにするために、上下に配設した導入口ローラ50、52が設けられている。同様に、メッキ槽20、22の後方壁54、56には、メッキ槽20、22内でメッキ処理されたフィルムTを外部に送出する送出口58、60が形成されており、この送出口58、60には、導入口ローラ50、52と同様な送出口ローラ62、64が設けられている。
【0034】
さらに、メッキ槽20、22の底部壁24、26には、メッキ槽20、22内へ、図示しないメッキ処理液貯留タンクから供給配管66、68を介して、メッキ処理液14を供給するための、メッキ処理液供給口70、72が設けられている。
また、メッキ処理槽12は、その側壁74、76に設けられたフランジ78、80を介して、メッキ処理液回収槽82の側壁83に設けられたフランジ84、86にネジなどの締結部材で連結され、メッキ処理液回収槽82内に位置するように配設されている。メッキ処理液回収槽82に貯まった回収処理液は、回収口85から回収配管86を介して、図示しない回収装置に送られるようになっている。
【0035】
この場合、図示しないが、これらのフランジ78、80とフランジ84、86との間には、超音波付与装置28によるメッキ処理槽12の超音波振動を阻害しないように、図示しないが、ゴムなどの緩衝材を介装するのが望ましい。
なお、メッキ槽20、22、およびメッキ処理液回収槽82は、内部に収容されるメッキ処理液14に浸食されないように、例えば、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂で作製するのが望ましい。
【0036】
また、図示しないが、メッキ槽20、22の超音波振動子30、32が付設される底部壁24、26を、例えば、ステンレスなどの金属板で作製し、その内面側を上記の合成樹脂で被覆するようにすれば、超音波振動子30、32によるメッキ処理槽12の超音波振動が促進されるためには望ましい。
さらに、超音波付与装置28の超音波振動子30、32によるメッキ槽20、22への超音波の周波数としては、10〜60kHz、好ましくは、25〜35kHzとするのが望ましい。また、この際に、メッキ槽20、22内をフィルムTが通過する時間、すなわち、超音波をフィルムTにかける時間としては、3〜120秒の間、好ましくは、10〜20秒の間、超音波をかけるのが望ましい。
【0037】
すなわち、のような周波数の超音波で、このような時間超音波をかけるのであれば、電子部品実装用フィルムキャリアテープのデバイスホール内に突設するインナーリードが、超音波振動によって折曲することなく、ショートを起こすこともなく、機械的強度も低下せず、ICなどを実装する際に接触不良などを起こすこともない。また、ソルダーレジストが、配線パターンから剥離することがないので、配線間の保護、絶縁が十分確保されることになるからである。
【0038】
このように構成される本発明のメッキ処理装置10では、連続的に送給されるフィルムTが、先ず、メッキ処理液噴霧装置16を通過することによって、センサー用非貫通孔208に対してメッキ処理液を噴霧して、センサー用非貫通孔208の開口部からセンサー用非貫通孔の内部、特に、センサー用非貫通孔208内に露出する銅箔層部分211にメッキ処理液を予め浸透させる。
【0039】
この状態で、メッキ槽20、22の前方壁42、44の導入口46、48から、メッキ槽20、22内に収容されたメッキ処理液14内に浸漬され、リード部分201センサー用非貫通孔208内に露出する銅箔層部分211がメッキされることになる。
この際、超音波付与装置28の超音波振動子30、32によって、メッキ槽20、22の底部壁24、26を介して、メッキ槽20、22全体が超音波振動して、その内部に収容されたメッキ処理液14も超音波振動することになる。
【0040】
従って、図4に示したように、メッキ処理液14が超音波振動することになるので、センサー用非貫通孔208内にメッキ処理液14が浸透しやすくなり、しかも、センサー用非貫通孔208内にエアー220をかみこんだ際にも、この超音波振動の作用によって、メッキ処理液による膜214が容易に壊れてエアーが抜けるため、センサー用非貫通孔208内に露出する銅箔層部分211を均一に全面にわたってメッキ層を形成することができる。
【0041】
そして、メッキ槽20、22の後方壁54、56に設けられた送出口58、60を介して、メッキ処理装置10のメッキ処理槽12から送り出されたフィルムTは、図示しない巻き取りロールにスペーサを介して巻き取られ最終的にTABテープが製造されるようになっている。
なお、上記実施例では、メッキ槽20、22の底部壁24、26超音波振動子30、32を付設したが、メッキ槽20、22の側壁74、76に設けることも勿論可能である。この場合には、フィルムTを鉛直方向に、メッキ処理槽12に供給するのが望ましい。
【0042】
【実施例】
【0043】
【実施例1】
厚さ75μmのポリイミドフィルムに、パンチングにより、デバイスホール、スプロケットホール、ならびに200μmφのセンサー用孔を形成した。次いで、このポリイミドフィルム表面に、エポキシ系接着剤を塗布し、厚さ18μmの銅箔を貼着した。
【0044】
さらに、この銅箔上にフォトレジストを塗布し、このフォトレジストを露光し、さらにエッチングすることにより銅箔に配線パターンを形成した。
次いで、インナーリードおよびアウターリードの先端部がマスキングされたシルクスクリーン(目開き200メッシュ)にスキージにてエポキシ樹脂からなるソルダーレジストを乾燥厚さが15μmになるように、塗布した。
【0045】
このようにしてソルダーレジスト層を形成した後、このフィルムを、センサー用非貫通孔の開口部側から、メッキ処理液噴霧装置を用いて、噴霧圧力1.0kgf/cm2で、無電解スズメッキ液(スズメッキ液の組成はSn(II価)で30g/リットルの無電解スズメッキ市販液)を噴霧した。
【0046】
その後、このフィルムを、超音波振動付与装置を備えた無電解スズメッキ槽(スズメッキ液の組成は同じくSn(II価)で30g/リットルの無電解スズメッキ市販液)に浸漬して、ソルダーレジストが塗工されていない配線パターン表面、ならびにセンサー用非貫通孔の銅箔部分に0.4μmの厚さでスズメッキ層を形成した。
【0047】
この際、周波数10、25、35、60kHzの超音波を、3、10、20、120秒の間かけて行い、実体顕微鏡で、インナーリードの曲がり、センサー用非貫通孔の銅箔部分のメッキの程度を観察した。
また、メッキ処理液噴霧装置を用いないで、無電解スズメッキ槽浸漬して、スズメッキ層を形成したフィルムについても同様に、インナーリードの曲がり、センサー用非貫通孔の銅箔部分のメッキの程度を観察した。
【0048】
さらに、比較として、メッキ処理液噴霧装置によるメッキ液の噴霧、ならびに超音波振動を与えないでメッキ処理した従来のメッキ処理の結果も、同様に観察した。
この結果、表1の結果から明らかなように、本発明の何れの場合にも、インナーリードの曲がりがなく、センサー用非貫通孔の銅箔部分にメッキ層が均一に全体に形成される割合が高かった。なお、メッキ処理液噴霧装置を用いないで、メッキ処理を行ったよりも、メッキ処理液噴霧装置を用いた後に、メッキ処理を行った方が、不良率は極めて少なかった。
【0049】
これに対して、従来のメッキ処理センサー用非貫通孔の銅箔部分にメッキ層が不均一に全体には形成されず、不良率が高かった。
【0050】
【表1】
Figure 0003958910
【0051】
【実施例2】
上記実施例と同様に形成したフィルムを、センサー用非貫通孔の開口部側から、メッキ処理液噴霧装置を用いて、噴霧圧力1.0kgf/cm2で、無電解スズメッキ液(スズメッキ液の組成はSn(II価)で30g/リットルの無電解スズメッキ市販液)を噴霧した。
【0052】
その後、このフィルムを、超音波振動付与装置を備えた無電解スズメッキ槽(スズメッキ液の組成は同じくSn(II価)で30g/リットルの無電解スズメッキ市販液)に浸漬して、ソルダーレジストが塗工されていない配線パターン表面、ならびにセンサー用非貫通孔の銅箔部分に0.4μmの厚さでスズメッキ層を形成した。
【0053】
この際、超音波を、下記の表2のように、周波数、時間を変更してかけて行い、実体顕微鏡で、インナーリードの曲がり、センサー用非貫通孔の銅箔部分のメッキの程度を観察した。
この結果、表2の結果から明らかなように、超音波の周波数が、10〜60kHz、好ましくは25〜35kHzの間で、超音波をかける時間が、3〜120秒の間、好ましくは、10〜20秒の間において、、インナーリードの曲がりがなく、センサー用非貫通孔の銅箔部分にメッキ層が均一に全体に形成され、不良率も少なかった。
【0054】
【表2】
Figure 0003958910
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、メッキ処理液が超音波振動することになるので、センサー用非貫通孔内にメッキ処理液が浸透しやすくなり、しかも、センサー用非貫通孔内にエアーをかみこんだ際にも、この超音波振動の作用によって、メッキ処理液による膜が容易に壊れてエアーが抜けるため、センサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分を均一に全面にわたってメッキ層を形成することができる。
【0056】
また、本発明によれば、メッキ処理液を噴霧することによって、センサー用非貫通孔の開口部からセンサー用非貫通孔の内部、特に、センサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分にメッキ処理液が予め浸透して、この状態でメッキ処理液に浸漬されることになる。従って、センサー用非貫通孔内にエアーをかみこむことが少なくなり、センサー用非貫通孔内全体ににメッキ処理液が浸透するため、よりいっそうセンサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分を均一に全面にわたってメッキ層を形成することができる。
【0057】
また、本発明によれば、電子部品実装用フィルムキャリアテープのデバイスホール内に突設するインナーリードが、超音波振動によって折曲することなく、ショートを起こすこともなく、機械的強度も低下せず、ICなどを実装する際に接触不良などを起こすこともない。また、ソルダーレジストが、配線パターンから剥離することがないので、配線間の保護、絶縁が十分確保されることになる。
【0058】
また、本発明によれば、メッキ処理槽から溢れたメッキ処理液を回収して、再び再生使用できるとともに、超音波付与装置が、保護カバーで液密に保護されているので、超音波付与装置がメッキ処理液で腐食されることもなく、しかも装置全体をコンパクトにすることができる。
また、本発明によれば、メッキ処理槽を合成樹脂で形成することによって、メッキ処理槽がメッキ処理液によって腐食されることがない。
【0059】
さらに、本発明によれば、超音波付与装置を配設する壁面合成樹脂で被覆した金属板で形成されているので、超音波付与装置によって超音波振動が効率よく伝播することになり、よりいっそうセンサー用非貫通孔内に露出する銅箔層部分を均一に全面にわたってメッキ層を形成することができるなど幾多の顕著で特有な作用効果を奏する極めて優れた発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置全体の側面図である。
【図2】図2は、図1のメッキ処理装置のメッキ処理槽部分の上面図である。
【図3】図3は、図2のメッキ処理槽部分の側面図である。
【図4】図4は、本発明のメッキ処理装置におけるフィルムのメッキ処理の状態を模式的に説明する概略図である。
【図5】図5は、センサー用非貫通孔を備えたTABテープの部分拡大断面図である。
【図6】図6は、従来のメッキ処理装置の概略図である。
【図7】図7は、従来のメッキ処理装置でメッキ処理の状態を模式的に説明する概略図である。
【図8】図8は、従来のメッキ処理装置でメッキ処理した非貫通孔の状態を模式的に説明する概略図である。
【符号の説明】
10 メッキ処理装置
12 メッキ処理槽
14 メッキ処理液
16 メッキ処理液噴霧装置
18 メッキ処理槽本体
20 メッキ槽
21 隔壁
24 底部壁
28 超音波付与装置
30 超音波振動子
34 保護カバー
36 電気配線
38 配線用開口
40 メッキ液
42 前方壁
46 導入口
50 導入口ローラ
54 後方壁
58 送出口
62 送出口ローラ
66 供給配管
70 メッキ処理液供給口
74 側壁
78 フランジ
82 メッキ処理液回収槽
83 側壁
84 フランジ
85 回収口
86 回収配管
200 テープ
201 リード部分
202 絶縁フィルム層
204 接着剤層
206 銅箔層
208 センサー用非貫通孔
209 ソルダーレジスト被覆層
210 メッキ処理液
211 銅箔層部分
212 メッキ処理槽
214 膜
216 メッキ層
218 部分
220 エアー
T フィルム

Claims (13)

  1. 絶縁フィルム表面に銅箔を接着し、該銅箔をエッチングして所望の配線パターンを形成した後、該エッチングにより形成されたリード部を除く配線パターンを覆うようにソルダーレジストを塗布した後、
    前記配線パターンのリード部の表面に、メッキ処理にて金属をメッキするための電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法であって、
    前記絶縁フィルムに設けられ表面側が銅箔で閉塞されている位置決めセンサー用のセンサー用非貫通孔に金属をメッキするために、
    前記メッキ処理の際に、メッキ処理液に超音波をかけてメッキ処理することを特徴とする電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法。
  2. 前記メッキ処理の前に、前記センサー用非貫通孔の開口部側からセンサー用非貫通孔に対してメッキ処理液を噴霧することを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法。
  3. 前記メッキ処理の際の超音波の周波数が、10〜60kHzであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法。
  4. 前記メッキ処理の際の超音波の周波数が、25〜35kHzであることを特徴とする請求項3に記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法。
  5. 前記メッキ処理の際に、3〜120秒の間、超音波をかけることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法。
  6. 前記メッキ処理の際に、10〜20秒の間、超音波をかけることを特徴とする請求項5に記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法。
  7. 前記メッキ処理の際に、前記センサー用非貫通孔の開口部側からメッキ処理液に超音波をかけてメッキ処理することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理方法。
  8. 絶縁フィルム表面に銅箔を接着し、該銅箔をエッチングして所望の配線パターンを形成した後、該エッチングにより形成されたリード部を除く配線パターンを覆うようにソルダーレジストを塗布した後、
    前記配線パターンのリード部の表面に、メッキ処理にて金属をメッキするとともに、前記絶縁フィルムに設けられ表面側が銅箔で閉塞されている位置決めセンサー用のセンサー用非貫通孔に金属をメッキするためための電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置であって、
    メッキ処理槽の外部よりメッキ処理槽全体を超音波振動させる超音波付与装置を備えることを特徴とする電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置。
  9. 前記超音波付与装置が、前記メッキ処理槽の底壁外部に配設されていることを特徴とする請求項8に記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置。
  10. 前記メッキ処理槽を、メッキ処理液回収槽内部に配設するとともに、前記超音波付与装置を回収したメッキ処理液から液密に保護する保護カバーを設けたことを特徴とする請求項8または9に記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置。
  11. 前記メッキ処理の前に、前記センサー用非貫通孔の開口部側からメッキ処理液を噴霧するメッキ処理液噴霧装置を備えることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置。
  12. 前記メッキ処理槽を、合成樹脂で形成したことを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置。
  13. 前記メッキ処理槽の少なくとも前記超音波付与装置を配設する壁面を、合成樹脂で被覆した金属板で形成したことを特徴とする請求項8から12いずれかに記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープのメッキ処理装置。
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