JP3958204B2 - 原子炉内機器用吊持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸騰水型原子炉の圧力容器内に設置されているドライヤ若しくはシュラウドヘッド等の原子炉内機器を吊持するための原子炉内機器用吊持装置に関し、より詳しくは、原子炉内機器を傾斜させることなく、かつ昇降機構が故障した際にも原子炉内機器を確実に吊持することができるとともに、構造が簡単で容易に除染することができ、さらには保管に必要なスペースを減少させることができるように改良された原子炉内機器用吊持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、沸騰水型原子炉の圧力容器の内部には多数の燃料集合体が装荷されており、これらの燃料集合体によって炉心が構成されている。また、図5に示したように、炉心1を構成する多数本の燃料集合体(図示せず)は、その下部が炉心支持板2によって支持されるとともに、その上部が上部格子板3によって支持されている。そして、炉心シュラウド4の頂部はシュラウドヘッド5で覆われており、このシュラウドヘッド5によって炉心上部にプレナム5aが形成されている。
【0003】
シュラウドヘッド5には多数のスタンドパイプ6が立設されており、各スタンドパイプ6の頂部には気水分離器7が接続されている。この気水分離器7は、炉心1で加熱されて二相流となった炉水の気液分離を行い、分離した蒸気をドライヤ(図示せず)に送るようになっている。
【0004】
原子炉を運転するときには、核燃料の核分裂反応により発生した熱によって炉心1の圧力及び温度が上昇し、シュラウドヘッド5に対して内圧が作用する。また、地震発生時にはシュラウドヘッド5、スタンドパイプ6等に対して転倒荷重が作用する。そこで、これらの内圧や転倒荷重に耐えるために、シュラウドヘッド5は数十本のシュラウドヘッドボルト8によってシュラウド4に締結されて固定されている。
【0005】
原子炉の定期点検や燃料交換を行うときには、まず初めに長尺のシュラウドヘッドボルトレンチを用いて燃料交換機上からシュラウドヘッドボルト8の締結を解除する。しかる後、原子炉建屋の天井クレーンの主巻きフックで吊った吊持装置を原子炉圧力容器内に吊り込み、吊持装置でシュラウドヘッド5をつかんだ後原子炉圧力容器内から吊り上げて機器貯蔵プールへ移送する。
【0006】
このとき、シュラウドヘッド5を吊り上げる天井クレーンのフックおよびワイヤロープが放射能を含む炉水中に没すると、汚染がオペレーションフロア上に拡大してしまう。そこで、シュラウドヘッド5の吊り上げ作業を行う際には、まず初めに原子炉ウエル内の炉水の水位をある程度まで下げておき、しかる後に吊持装置を原子炉圧力容器内に吊り込んでシュラウドヘッド5をつかむようにする。そして、炉水の水面と天井クレーンのフックとの間隔を適度に保持するようにして、原子炉ウエル内の炉水の水位を徐々に上げながらそれに合わせてシュラウドヘッド5を徐々に上昇させる。
【0007】
また、取り外したシュラウドヘッド5を再び炉内に設置する際には、取り外し作業のときとは反対に、炉水の水位を徐々に下げながらそれに合わせてシュラウドヘッド5を徐々に降下させる。
【0008】
ところが、上述したシュラウドヘッド5の取り外しおよび取り付け作業においては、原子炉ウエルの炉水の昇降速度にあわせてゆっくりとシュラウドヘッド5を昇降させなければないので、作業に長時間を要するという問題があった。そこで、シュラウドヘッド5の取り外し及び取り付け作業の作業時間の短縮を図るために、図6に示した原子炉内機器用吊持装置11が提案されている。
【0009】
図6に示した吊持装置11は、原子炉ウエルが満水状態であっても天井クレーンのフック12やワイヤロープを水没させることなく、水中にてシュラウドヘッド5を取り扱うことができるようにしたものであり、フックボックス13および吊りワイヤ14を介して天井クレーンのフック12に吊り下げられる支持フレーム15を備えている。
【0010】
支持フレーム15の下方には昇降フレーム16が設けられており、この昇降フレーム16は昇降装置17によって支持フレーム15に対して昇降させることができる。この昇降装置17は、ローラネジで構成された4本の昇降用駆動軸18を有しているが、これらの昇降用駆動軸18の下端部は連結軸19を介して昇降フレーム16の端部上面に接続されている。
【0011】
また、各昇降用駆動軸18は支持フレーム15の端部上面に設けられた各ギヤボックス20に挿通され、かつ各ギヤボックス20は各ギヤ駆動軸21を介して昇降用駆動部22に連結されている。なお、昇降用駆動部22は、動力モータ(図示せず)及びウォーム減速機(図示せず)から構成されている。
【0012】
一方、昇降フレーム16の下面に取り付けられたシリンダ23のピストンロッド24は連結ピン25に接続され、この連結ピン25を位置決め部材26に形成されているピン挿入孔(図示せず)に挿抜させることができる。
【0013】
図6に示した吊持装置11を用いてシュラウドヘッド5等の原子炉内機器を原子炉圧力容器内から吊り上げる際には、原子炉ウエルを満水状態としたまま、天井クレーンのフック12によって吊持装置11を原子炉圧力容器の上方から吊り下げる。そして、天井クレーンを操作して吊持装置11を原子炉内機器に着床させる。このとき、支持フレーム15と昇降フレーム16との間の間隔を十分に大きくすることにより、天井クレーンのフック12及びワイヤロープ(図示せず)が炉水に没しないようにすることができる。
【0014】
一方、上述した吊持装置11とは構造が全く異なり、ワイヤロープ若しくはチェーンを用いる動力駆動型のホイストにより原子炉内機器を吊持する吊持装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
【特許文献1】
特開平11−84067号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示した従来の吊持装置11は、昇降装置17を構成する昇降用駆動部22、ギヤボックス20、ギヤ駆動軸21等の構造が複雑であり、炉水中に水没させた後の除染作業が困難である。
【0017】
また、昇降用駆動軸18の長さを昇降フレーム16の昇降ストローク以上の長さ(約6m)に設定する必要があるため、吊持装置11の全体的な高さが大きくなってその保管場所が制約されてしまう。また、定期点検作業において他の機器を移動させる際に、昇降用駆動軸18が邪魔になってしまう。
【0018】
さらに、吊持装置11を保管するために長尺の昇降用駆動軸18を取り外した場合には、組み立ての際に4本の昇降用駆動軸18の上下方向位置を合わせる必要があり、長時間の作業を要してしまう。
【0019】
また、上述した特許文献1に記載した吊持装置においては、独立して設けられている複数のホイストのうちの一つが故障すると原子炉内機器を昇降させることができなくなる。さらに、複数のホイストのうちの一つのワイヤロープ若しくはチェーンが切断すると、原子炉内機器を吊持することができない。加えて、複数のホイストから繰り出されるワイヤロープ若しくはチェーンの長さが異なると、吊持する原子炉内機器が傾いてしまう。
【0020】
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、原子炉内機器を傾斜させることなく、かつ昇降機構が故障した際にも原子炉内機器を確実に吊持することができるとともに、構造が簡単で容易に除染することができ、さらには保管に必要なスペースを減少させることができる原子炉内機器用吊持装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための請求項1に記載した手段は、
原子炉圧力容器の内部に収納された機器を上方から吊持するための装置であって、
原子炉建屋の天井クレーンにより吊り下げられる、ワイヤロープ式巻上機が設けられたホイストデッキと、
前記ワイヤロープ式巻上機から繰り出されるワイヤロープにより吊り下げられて前記ホイストデッキに対し昇降する昇降デッキと、
湾曲自在な吊下手段によって前記昇降デッキから吊り下げられた、吊持する機器を支持するための支持フレームと、
吊持する機器に設けられた吊り耳と係脱自在に係合する、前記支持フレームに設けられた係合手段と、
を備えること特徴としている。
なお、吊下手段は、ワイヤ、ロープ、ケーブル若しくはチェーンとすることができる。
【0022】
すなわち、請求項1に記載した原子炉内機器用吊持装置によれば、ホイストデッキおよびワイヤロープ式巻上機は、原子炉建屋の天井クレーンにより吊り下げられて炉水中に没することはない。これに対して昇降デッキ、吊下手段および吊持支持フレームは、ワイヤロープ式巻上機から下方に繰り出されるワイヤロープにより吊り下げられて昇降デッキに対して昇降し炉水に出入りする。
また、ワイヤロープ式巻上機によって昇降デッキ他を昇降させる構造であるから、その構造は極めて簡単であり、吊持作業完了後の除染を容易に行うことができる。
また、昇降デッキ他を昇降させるワイヤロープはワイヤロープ式巻上機の巻取ドラムに巻き取ることができるし、昇降デッキに吊持支持フレームを吊り下げるワイヤロープもまた容易に湾曲させることができるから、保管に必要なスペースを大幅に減少させることができる。
さらに、ワイヤロープ式巻上機によって吊持支持フレームを直接吊り下げるのではなく、昇降デッキを介して吊持支持フレームを吊り下げる構造であるから、吊持する機器の形状に合わせた吊持支持フレームを使用することができる。
【0023】
また、請求項2に記載した手段は、請求項1に記載した吊持装置における前記昇降デッキが、
前記ワイヤロープにより吊り下げられる上側デッキと、
前記上側デッキの下方に配設されるとともに前記吊下手段の上端が接続される下側デッキと、
前記上側デッキに対して前記下側デッキを相対揺動自在に連結するための連結手段と、を備え、
前記連結手段は、水平に延びつつ前記上側デッキと係合する第1の揺動軸と、上方から見たときに前記第1の揺動軸と直交するように水平に延びつつ前記下側デッキに係合する第2の揺動軸と、を有することを特徴としている。
なお、前記連結手段は、第1および第2の揺動軸のみからなる十字軸とするとともに、第1および第2の揺動軸をそれぞれ上側デッキおよび下側デッキに回動自在に支持することができる。
【0024】
すなわち、請求項2に記載した原子炉内機器用吊持装置においては、上方から見たときに十字形に配設された第1および第2の揺動軸の作用によって、上側デッキが傾斜しても下側デッキを水平に維持することができる。
これにより、複数のワイヤロープ式巻上機から下方に繰り出されるワイヤロープの長さが異なることにより上側デッキが傾斜しても、吊持する機器を水平に保ったまま移動することができる。
【0025】
また、請求項3に記載した手段は、請求項1または2に記載した吊持装置における前記ワイヤロープ式巻上機が、前記ワイヤロープを巻取る巻取ドラムと、この巻取ドラムを個別に回転駆動可能な複数の駆動手段とを有することを特徴としている。
なお、駆動手段は、電動モータや油圧モータ、空気圧モータとすることができる。
【0026】
すなわち、請求項3に記載した原子炉内機器用吊持装置においては、一つの巻取ドラムを例えば一対の駆動モータにより回転駆動するから、一方の駆動モータが故障しても他方の駆動モータにより巻取ドラムを回転駆動することができる。
これにより、一つの駆動モータが故障した緊急時においても、確実に巻取ドラムを回転さてワイヤロープを巻き取り若しくは繰り出すことができるから、機器を確実に吊持して天井クレーンにより搬送することが可能となる。
【0027】
また、請求項4に記載した手段は、請求項1または2に記載した吊持装置における前記ワイヤロープ式巻上機が、一つの巻取ドラムに個別に巻き取られている複数の前記ワイヤロープにより前記昇降デッキを吊り下げることを特徴としている。
【0028】
すなわち、請求項4に記載した原子炉内機器用吊持装置においては、一つの巻取ドラムに巻き取られている例えば一対のワイヤロープのうちの一方が切断しても、他方のワイヤロープにより昇降デッキを吊り下げて昇降させることができるから、機器を確実に吊持して天井クレーンにより搬送することが可能となる。
【0029】
また、請求項5に記載した手段は、請求項1乃至4のいずれかに記載した吊持装置における前記ホイストデッキが、保管場所の床面に着地して前記ホイストデッキを前記昇降デッキの上方に支持する支持脚を有することを特徴としている。
【0030】
すなわち、請求項5に記載した原子炉内機器用吊持装置においては、天井クレーンを用いて吊持装置を保管場所の床面に降下させると、まず最初に吊持支持フレームが着地する。
さらに吊持装置を降下させると、吊持支持フレームを吊り下げている吊下手段が湾曲しつつ昇降デッキが着地する。
次いで、吊持装置をさらに降下させると、昇降デッキを吊り下げているワイヤロープが湾曲しつつホイストデッキ設けた支持脚の下端が床面に当接し、ホイストデッキを昇降デッキの上方に支持する。
これにより、この吊持装置の保管を容易に行うことができるとともに、ホイストデッキ、昇降デッキを上下方向に重ねることができるから保管に要するスペースをより一層減少させることができる。
【0031】
また、請求項6に記載した手段は、請求項1乃至5のいずれかに記載した吊持装置が、前記係合手段の周囲を照明するための照明手段をさらに備えることを特徴としている。
なお、照明手段は昇降デッキや吊持支持フレームに設けた電灯とすることができる。
【0032】
すなわち、請求項6に記載した原子炉内機器用吊持装置は、係合手段の周囲を明るく照明することができるから、吊持する機器に設けられている吊り耳に係合手段を係合させる作業を容易に行うことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図4を参照し、本発明に係る原子炉内機器用吊持装置(以下、吊持装置と略称)の各実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の部分には同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0034】
まず最初に図1を参照すると、本実施形態の吊持装置100の最も上部にはホイストデッキ30が設けられている。
このホイストデッキ30は鋼材を組み合わせて製造したもので、その本体部分31は平面視で略正方形状となっている。
また、本体部分31の中央部分に立設された左右一対の支柱32間には図示左右方向に水平に延びる支軸33が掛け渡されているが、原子炉建屋の天井クレーンのフック12をこの支軸33に係合させることにより、この吊持装置100の全体を懸架して搬送することができる。
【0035】
また、本体部分31の上面の四隅には、合計4機のワイヤロープ式巻上機34が固定されている。
これらのワイヤロープ式巻上機34は、その巻取ドラム(図示せず)に巻き取られているワイヤロープ35により次述する昇降デッキ40を昇降させるためのものであるが、以下のような特徴を有している。
【0036】
まず、これらのワイヤロープ式巻上機34は、それぞれその一つの巻取ドラムを一対の駆動モータ(図示せず)により個別に回転駆動するようになっている。
これにより、一方の駆動モータが故障しても他方の駆動モータによって巻取ドラムを回転駆動することができるから、一つの駆動モータが故障した緊急時においても、確実に巻取ドラムを回転さてワイヤロープ35を巻き取り若しくは繰り出して昇降デッキ40を昇降させることができる。
【0037】
また、これらのワイヤロープ式巻上機34は、それぞれその一つの巻取ドラムに個別に巻き取られている一対のワイヤロープ35により昇降デッキ40を吊り下げるようになっている。
これにより、一対のワイヤロープ35のうちの一方が切断しても、他方のワイヤロープ35により昇降デッキ40を吊り下げて昇降させることができる。
【0038】
次に、昇降デッキ40について説明すると、この昇降デッキ40は鋼材を組み合わせて製造した平面視で略正方形状の上側デッキ41および下側デッキ42を有している。
上側デッキ41の四隅には、巻上機34から下方に繰り出されているワイヤロープ35を巻き付けるシーブ36がそれぞれ設けられている。
なお、巻上機34から下方に繰り出されているワイヤロープ35の下端を上側デッキ41の四隅に直接的に接続することもできる。
また、下側デッキ42の四隅には、次述する吊持支持フレーム60を懸架するためのワイヤロープ63の上端が接続されている。
【0039】
さらに上側デッキ41と下側デッキ42は、連結手段50によって相互に連結されている。
この連結手段50は、図示左右方向に水平に延びるように上側デッキ41に固定された第1の揺動軸51と、図示する紙面に対して垂直な方向に水平に延びるように下側デッキ42に固定された第2の揺動軸52とを有している。
言い換えると、第1の揺動軸51および第2の揺動軸52は、上方から見たときに十字形に組み合わされている。
なお、第1の揺動軸51および第2の揺動軸52は、上方から見たときにおけるそれらの交点が天井クレーンのフック12を吊り下げているワイヤロープ(図示せず)の鉛直方向の真下に来るように配置される。
また、第1の揺動軸51と第2の揺動軸52とを連結する連結体53は、鋼材を組み合わせて製造したものであり、図示されない滑り軸受を介して第1の揺動軸51および第2の揺動軸52の両方に揺動自在に嵌合している。
これにより、例えば合計4機の巻上機34から下方に繰り出されているワイヤロープ35の長さの不揃いによって上側デッキ41が傾斜しても、下側デッキ42を自動的に水平に維持することができる。
【0040】
次に、吊持支持フレーム60について説明すると、この吊持支持フレーム60は鋼材を組み合わせて製造したものであり、そのフレーム本体61は吊持する機器類の形状に合わせて例えば円形、矩形若しくは正多角形状の枠体若しくは平板とし、あるいはフレーム本体自体を平面視で十字形とすることができる。
また、このフレーム本体61の隅角部62には、前述した下側デッキ42の隅角部にその上端が接続されているワイヤロープ63の下端が接続されて、昇降デッキ40が吊持支持フレーム60を吊り下げている。
なお、ワイヤロープ63に代えてチェーンを用いることもできる。
【0041】
すなわち、本実施形態の吊持装置100は、巻上機34から垂下するワイヤロープ35により吊持支持フレーム60を直接的に吊り下げる構造ではないから、吊持する機器の形状に合わせた吊持支持フレーム60を使用することができる。
なお、吊持支持フレーム60を他の形状のものに交換する際には、ワイヤロープ63の下端を吊持支持フレーム60に対して着脱すれば良い。
【0042】
また、吊持支持フレーム60の隅角部62には、図2に拡大して示したように、吊持する機器に設けられている吊り耳と係合して吊持支持フレーム60の昇降を案内するガイドプレート64が連設されている。
また、フレーム本体61の下面に取り付けられている油圧シリンダ65のロッド66には、ガイドプレート64に貫設されている挿通孔に挿抜される連結ピン67が接続されている。
これにより、吊持支持フレーム60が降下して吊持する機器の吊り耳にガイドプレート64が着床した後に油圧シリンダ65のロッド66を突出させると、機器の吊り耳およびガイドプレート64の両方に連結ピン67が係合し、吊持する機器に吊持支持フレーム60を連結することができる。
【0043】
なお、図4に示した変形例の吊持装置100のように、原子炉圧力容器に常設されているガイドロッド68と係脱自在に係合するガイドプレート69を吊持支持フレーム60の隅角部62に連設しておけば、吊持する機器と吊持支持フレーム60とを連結する作業をより容易に行うことができる。
さらに、昇降デッキ40を構成する下側デッキ42の下面に照明灯70を設置し、ガイドプレート64,69や油圧シリンダ65および連結ピン67の周囲を明るく照らすこととすれば、吊持する機器と吊持支持フレーム60とを連結する作業をより一層容易に行うことができる。
【0044】
上述した構造を有する本実施形態の吊持装置100を用いて原子炉内機器を炉外に搬出する際には、原子炉ウエル内を満水状態としつつ、天井クレーンのフック12により吊り下げた吊持装置100を原子炉圧力容器の上方に移動させる。
次いで、天井クレーンを操作して昇降デッキ40の下端が炉水レベルに達するまでホイストデッキ30を降下させる。
【0045】
その後、ワイヤロープ式巻上機34を作動させてワイヤロープ35を繰り出し、昇降デッキ40および吊持支持フレーム60を一体に炉水中に降下させ、原子炉内機器、例えばシュラウドヘッド5の上面に着床させる。
このとき、図3に示した照明灯70によってガイドプレート64,69の周囲が明るく照らし出されているから、原子炉内機器の吊り耳、例えばシュラウドヘッド5の吊り耳にガイドプレート64を係合させる作業を容易に行うことができる。
【0046】
そして、シュラウドヘッド5の吊り耳とガイドプレート64とが係合している状態において、油圧シリンダ65を作動させてロッド66を突出させると、連結ピン67がガイドプレート64の挿入孔に挿入され、吊持支持フレーム60とシュラウドヘッド5との連結が完了する。
【0047】
次いで、ワイヤロープ式巻上機34を作動させてワイヤロープ35を巻取ることによりシュラウドヘッド5を圧力容器内から吊り上げる。その後、天井クレーンを用いて吊り上げたシュラウドヘッド5を機器貯蔵プールに移送する。
【0048】
なお、圧力容器から取り出した原子炉内機器を再び圧力容器内に搬入する際には、上述した手順と逆の手順によって作業を行えばよい。
【0049】
そして、原子炉内機器を吊持する作業が終了した後には、吊持装置100を保管場所の床面上に保管する。
このとき、図4に示した変形例の吊持装置120のように、保管場所の床面Sに着地してホイストデッキ30を昇降デッキ40の上方に支持する支持脚37をホイストデッキ30に設けておくことが好ましい。
【0050】
すなわち、この変形例の吊持装置120においては、天井クレーンを用いて吊持装置120を保管場所の床面S上に降下させると、まず最初に吊持支持フレーム60が床面S上に着地する。
さらに吊持装置120を降下させると、吊持支持フレーム60を吊り下げているワイヤロープ63が湾曲しつつ昇降デッキ40が床面S上に着地する。
次いで、吊持装置120をさらに降下させると、昇降デッキ40を吊り下げているワイヤロープ35が湾曲しつつホイストデッキ30に設けた支持脚37の下端が床面Sに当接し、ホイストデッキ30を昇降デッキ40の上方に支持する。
これにより、この吊持装置120の保管を容易に行うことができる。
また、ホイストデッキ30と昇降デッキ40を上下方向に重ねることができるから保管に要するスペースをより一層減少させることができる。
【0051】
また、本実施形態の吊持装置100によれば、ワイヤロープ式巻上機34によって昇降デッキ40および吊持支持フレーム60をホイストデッキ30に対して昇降させることができるから、原子炉ウエルが満水状態であっても、天井クレーンのフック12やホイストデッキ30およびワイヤロープ式巻上機34を炉水中に水没させることなく原子炉内機器を圧力容器内から搬出し、または圧力容器内に搬入することができる。
【0052】
したがって、原子炉ウエル内で原子炉内機器を昇降させる際に、昇降中の原子炉内機器の高さに合わせて原子炉ウエル内の水位を上下させる必要がないから、原子炉内機器の搬出入作業を迅速に行うことができる。
【0053】
また、本実施形態による吊持装置100は、ワイヤロープ式巻上機34から垂下するワイヤロープ35によって昇降デッキ40および吊持支持フレーム60を吊り下げる構造であるから、図6に示した従来の吊持装置に比べて装置の構造が簡単である。
これにより、作業後に行う吊持装置100の除染作業の効率を高めることができると共に、除染作業時の作業員の被曝を低減することができる。
【0054】
以上、本発明に係る原子炉内機器用吊持装置の各実施形態ついて詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態によって限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態においては、合計4機のワイヤロープ式巻上機を用いているが、より少ない機数のワイヤロープ式巻上機を用いることもできる。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る原子炉内機器用吊持装置は、ホイストデッキに設けたワイヤロープ式巻上機によって昇降デッキおよび吊持支持フレームを昇降させる構造であるから、その構造は極めて簡単であり、吊持作業完了後の除染を容易に行うことができる。
また、ワイヤロープ式巻上機の巻取ドラムを複数の駆動手段によって個別に回転駆動するとともに、一つの巻取ドラムに巻き付けた複数のワイヤロープにより昇降デッキを吊り下げる構造であるから、原子炉内機器を確実に吊持することができる。
また、昇降デッキを上側デッキおよび下側デッキに分割するとともに、両者を揺動自在に連結する連結手段より連結する構造であるから、原子炉内機器を傾かせることなく吊持することができる。
また、昇降デッキ他を昇降させるワイヤロープはワイヤロープ式巻上機の巻取ドラムに巻き取ることができるし、昇降デッキから吊持支持フレームを吊り下げる吊下手段もまた容易に湾曲させることができるから、保管に必要なスペースを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原子炉内機器用吊持装置の一実施形態を示す要部破断正面図。
【図2】図1の要部を拡大して示す正面図。
【図3】図1に示した吊持装置の変形例を保管状態で示す正面図。
【図4】図1に示した吊持装置の他の変形例を要部正面図。
【図5】沸騰水型原子炉の内部構造を模式的に示す縦断面図。
【図6】従来の原子炉内機器用吊持装置を示す正面図。
【符号の説明】
1 炉心
2 炉心支持板
3 上部格子板
4 炉心シュラウド
5 シュラウドヘッド
6 スタンドパイプ
7 気水分離器
8 シュラウドヘッドボルト
11 従来の吊持装置
12 天井クレーンのフック
18 昇降用駆動軸
30 ホイストデッキ
34 ワイヤロープ式巻上機
35 ワイヤロープ
36 シーブ
37 支持脚
40 昇降デッキ
41 上側デッキ
42 下側デッキ
50 連結手段
51 第1の揺動軸
52 第2の揺動軸
53 連結体
60 吊持支持フレーム
61 フレーム本体
62 隅角部
63 ワイヤロープ
64 ガイドプレート
65 油圧シリンダ
66 ロッド
67 連結ピン
68 ガイドロッド
69 ガイドプレート
70 照明灯(照明手段)
100 本発明による一実施形態の原子炉内機器用吊持装置
Claims (6)
- 原子炉圧力容器の内部に収納された機器を上方から吊持するための装置であって、
原子炉建屋の天井クレーンにより吊り下げられる、ワイヤロープ式巻上機が設けられたホイストデッキと、
前記ワイヤロープ式巻上機から繰り出されるワイヤロープにより吊り下げられて前記ホイストデッキに対し昇降する昇降デッキと、
湾曲自在な吊下手段によって前記昇降デッキから吊り下げられた、吊持する機器を支持するための支持フレームと、
吊持する機器に設けられた吊り耳と係脱自在に係合する、前記支持フレームに設けられた係合手段と、
を備えること特徴とする原子炉内機器用吊持装置。 - 前記昇降デッキは、
前記ワイヤロープにより吊り下げられる上側デッキと、
前記上側デッキの下方に配設されるとともに前記吊下手段の上端が接続される下側デッキと、
前記上側デッキに対して前記下側デッキを相対揺動自在に連結するための連結手段と、を備え、
前記連結手段は、水平に延びつつ前記上側デッキと係合する第1の揺動軸と、上方から見たときに前記第1の揺動軸と直交するように水平に延びつつ前記下側デッキに係合する第2の揺動軸と、を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載した原子炉内機器用吊持装置。 - 前記ワイヤロープ式巻上機は、前記ワイヤロープを巻取る巻取ドラムと、この巻取ドラムを個別に回転駆動可能な複数の駆動手段と、を有していることを特徴とする請求項1または2に記載した原子炉内機器用吊持装置。
- 前記ワイヤロープ式巻上機は、巻取ドラムに個別に巻き取られている複数の前記ワイヤロープにより前記昇降デッキを吊り下げることを特徴とする請求項1または2に記載した原子炉内機器用吊持装置。
- 前記ホイストデッキは、保管場所の床面に着地して前記ホイストデッキを前記昇降デッキの上方に支持する支持脚を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した原子炉内機器用吊持装置。
- 前記係合手段の周囲を照明するための照明手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載した原子炉内機器用吊持装置。
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