JP3958062B2 - 画像読取装置、画像処理装置、光源制御方法、記憶媒体、及びプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読取装置、画像処理装置、光源制御方法、記憶媒体、及びプログラムに関し、特に、スキャナ等の画像読取装置において被写体像を読み取る場合に好適な画像読取装置、画像処理装置、光源制御方法、記憶媒体、及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、原稿をCCDセンサ(以下CCD)などの光電変換素子で読み取る方式のスキャナでは、原稿を高S/N比で読み取るために、CCDの光電変換レンジをできるだけ広く利用できるように光源の光量を設計する。しかしながら、実際にはCCD感度や光源輝度の製造ばらつきなどにより、これらの部品の組み合わせによって決定される出力レベルは必ずしも一定ではない。一方でCCDの飽和は避けなければならないので、スキャナが調光機能を装備しない場合には、上述した素子のばらつきを見込んで、CCDの飽和電圧に対して十分に低い出力を得るような光量で設計することになる。
【0003】
結果として、部品のばらつきからCCD出力が所定のレベルに対して低くなる場合の不足分は、光電変換後の電気信号をゲインコントロールアンプで増幅することで画像信号をA/D変換器のダイナミックレンジに合わせていた。しかし、このような手法ではゲインコントロールアンプがCCDに含まれるノイズも増幅してしまうので、装置毎のS/N比に差が出てしまうという問題があった。
【0004】
これに対し、光源輝度を専用のセンサでモニタし、その出力レベルがある所定レベルになるようにインバータ入力電圧を制御することで、光源輝度を一定レベルに保つ手法がある。この場合は光源輝度の製造ばらつきは吸収できるが、CCDの感度ばらつきの要素は残ってしまう。この場合、CCDの感度ばらつきは電子シャッタ機能を持ったCCDを選び、チャネル毎に蓄積時間を変更することで吸収できるが、部品選定に制限ができてしまい好ましくない。また、部品を光源輝度やCCD感度などの特性によって選別すれば、両者の組み合わせでのばらつきを縮小することも可能であるが、多くの場合、製品コストの上昇につながる。
【0005】
上述したような問題に対処するために、光源駆動装置に調光機能を持たせた上で、光源輝度をCCD出力としてモニタしながら光源駆動装置を制御し、CCD出力を所定レベルに合わせる手法がある。この場合、光源としては比較的調光が容易な冷陰極管を用いる。特に、高速スキャナのように短い蓄積時間の間にCCDにおいて十分電荷を蓄えねばならない場合には、十分な光量が必要となるため、LEDなどではなく高い輝度が得られる冷陰極管のほうが好ましい。
【0006】
冷陰極管を用いた光源の調光方式としては、インバータの入力電圧を制御することで、光源(ランプ)の管電流の実効値をコントロールする電圧調光方式と、インバータに入力するDC電圧を所定の周波数でON/OFFすることで、ランプの管電流の実効値をコントロールするPWM(Pulse Width Modulation)調光方式がある。
【0007】
電圧調光方式は、インバータへの入力電圧はD/A変換器などで制御することができる。D/A変換器のビット数を増やすことでインバータの入力電圧を細かく制御できるので、微小調光が可能である。一方、PWM調光方式は、インバータへの入力電圧をトランジスタなどでスイッチングし、ランプの管電流実効値を制御することで調光する。スイッチングのためのPWM信号のデューティを制御することで輝度のコントロールが可能であり、10%〜100%といった広い調光範囲を得ることができることが大きな利点である。また、電圧調光方式のようにD/A変換器などを必要としないので、周辺部品点数を削減できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては次のような問題があった。光源として、高い輝度が得られ且つ調光範囲が比較的広い冷陰極管を電圧調光方式で使用した場合でも、インバータに用いるトランス設計上の制約からその調光範囲は50%〜100%に過ぎず、光源輝度とCCD感度を合わせたばらつきを吸収するためには十分とは言えない。
【0009】
一方、インバータで駆動された冷陰極管をPWM調光方式で制御すれば、10%〜100%と広い調光範囲を確保できる。しかしながら、PWM調光方式では、インバータの発振周期よりも細かく制御するのは不可能である。また、LEDをPWM調光する場合と違い、インバータを用いて冷陰極管を点灯させる場合は、その電力効率の観点から通常はインバータの発振周期に対して10サイクル程度のON時間が必要である。また、このような使い方においては、一般的にPWM信号の周波数は100〜200Hzと低い。これよりも高い周波数では、冷陰極管をONしたときの立ち上がり特性から、調光したときの直線性が失われ電力損失が大きいためである。また、液晶モニタのバックランプとして冷陰極管を使用した場合には、人間の目にはこの周波数のランプのON/OFFは輝度の変化として認識されないため問題とならない。
【0010】
しかし、特にCCDラインセンサを用いてこれを原稿に対して相対的に動かしながら読み取る方式の場合には、CCDの蓄積サイクルがPWM信号の周波数に比べ速いときに画像に縞模様が見える可能性があり、実用に適しない。実際、高速読み取りを目的とする場合には、このような条件に当てはまってしまい致命的な欠点となる。従って、この欠点を回避するためには、ラインセンサの蓄積周期と同じ周期(1kHz程度)のPWM信号が必要となるが、調光という観点からは上述した直線性や電力効率の問題が残る。つまり、光源としてインバータによって駆動される冷陰極管を用いた場合には、PWM調光方式だけではCCDラインセンサを用いた高速高画質スキャナ用の光源設計は困難である。
【0011】
本発明は、上述した点に鑑みなされたものであり、調光方式として電圧調光方式とPWM調光方式を組み合わせることで広い調光範囲を確保すると共に、画像内での縞模様の発生の回避、光源の長寿命化、次回の原稿挿入時の読み取り開始の迅速化等を可能とした画像読取装置、画像処理装置、光源制御方法、記憶媒体、及びプログラムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、原稿を照明する光源と、原稿の透過光を電気信号に変換するラインCCDと、前記ラインCCDを原稿に対し相対的に移動させる走査手段と、前記光源の輝度を変更可能とする調光手段を備え、前記調光手段は電圧調光とPWM調光を併用し、前記PWM調光のPWM信号を前記ラインCCDのシフトゲート信号に周期を一致させた上で同期させると共に、先に前記PWM調光を行い粗く光量を決定し、次に前記電圧調光を行い細かく光量を決定する制御手段を有することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態は、画像読取装置において、読取対象の原稿を照明する光源の調光方式として電圧調光方式とPWM調光方式を併用する構成とする。その上で、PWM調光におけるPWM信号を光電変換素子であるラインCCDのシフトゲート信号に同期させ、且つPWM信号の周波数をラインCCDの読み取り周期に一致させるものである。
【0016】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の全体の構成を示す構成図である。画像読取装置は、光源1、調光装置2、レンズ4、ラインCCD5、ゲインコントロールアンプ7(以下GCA)とA/D変換器(ADC)8を含むアナログ信号処理部6、CPU9、走査機構(図示略)、光源駆動装置(図示略)を備えている。
【0017】
上記構成を詳述すると、光源1は、点灯時に読取対象の原稿3を照明する。調光装置2は、CPU9から出力される電圧調光制御信号とPWM信号の両方によって光源1の光量(光源輝度)を変化させることが可能である。レンズ4は、光源1からの照明により原稿3を通った透過光をラインCCD5に集光する。ラインCCD5は、レンズ4からの透過光を電気信号に変換する光電変換素子である。アナログ信号処理部6のGCA7は、ラインCCD5の出力信号を増幅する。アナログ信号処理部6のA/D変換器8は、GCA7の出力信号をアナログ/デジタル変換する。CPU9は、調光装置2へ入力する電圧調光制御信号の制御とPWM信号のデューティ制御及びGCA7のゲイン調整を行う。走査機構は、ラインCCD5を原稿3に対し相対的に動かす(ラインCCD5の主走査方向に対し垂直方向)。光源駆動装置は、インバータを備え、光源1の点灯/消灯を行う。
【0018】
次に、上記の如く構成された第1の実施の形態に係る画像読取装置における全体の処理の流れを図1〜図7を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
先ず、画像読取装置の電源をON状態とする。光源1は初期点灯条件によって点灯され(図2〜図5のステップS201)、光源輝度が安定するまで一定時間待機する(ステップS202)。光源輝度安定までの時間短縮のためには、光源1をできるだけ高電圧で点灯させたい。よって、このときの初期点灯条件は、インバータ入力電圧を電圧調光レベルの最大値とし、図6に示すようにPWM信号デューティを100%としている。光源輝度安定後、電圧調光レベル75%、PWM信号デューティ100%に設定し(ステップS203)、再び一定時間待機する(ステップS204)。次に、画像読取装置の原稿読取位置に原稿がない状態での光源光をラインCCD5で読み取る。
【0020】
ラインCCD5からのアナログ信号は、アナログ信号処理部6内で、GCA7において所定の増幅率で増幅され、A/D変換器8においてデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、CPU9において記憶される。CPU9は、記憶したCCD出力と光源輝度を決めるための設定値とを比較して、これらの差がある範囲内に入るように、調光装置2をコントロールする。先ずは、PWM信号のデューティを切り替えて、最も設定値に近い値になるようなデューティを選択し、それから電圧調光により所定の出力が得られる電圧レベルを探索する。このときの光量制御と光量決定方法について以下に詳しく述べる。
【0021】
PWM信号は、図7に示すようにラインCCD5の駆動パルスのひとつであり1ラインの読み取り周期を決めるシフトゲート信号に同期させた上で、PWM信号周期をラインCCD5のライン周期に一致させる。これは、ラインCCD5を用いた画像読取装置において、1ライン内の時間における輝度変動がCCDによって捕らえられるのを回避するためである。
【0022】
また、PWM信号のデューティは100%、50%の2種類を用意し、これらを光量条件によって切り替える。ここで、PWM信号は、図7に示すようにラインCCD5のシフトゲート信号と同期させるものとする。ラインCCD5のライン周期は1ms(駆動周波数1kHz)とし、このときPWM信号のデューティ50%時のON時間は0.5msとなる。これは、インバータの発振周波数が20kHz以上であれば「ON時間中の10サイクル以上」が保証される値であり、一般的なインバータの発振周波数に対して適当な条件である。
【0023】
更に、以下に続く説明においては次の条件を前提としている。
条件▲1▼:光源輝度の製造中心とCCD感度の製造中心の組み合わせにおいて、電圧調光レベル75%、PWM信号デューティ100%で点灯させた場合に、目標輝度が得られる。
条件▲2▼:調光を行うことで、どのような場合もラインCCD5は飽和せず、A/D変換器8も前記CCD出力を余すことなく十分変換できる入力ダイナミックレンジを持つ。
以上の2条件を前提として説明を続ける。
【0024】
電圧調光レベルは、例えばD/A変換器(DAC)を用いてインバータへの入力電圧をコントロールすることで達成できる。8bitのDACを用いた場合は256通りの輝度調整ステップを得られることになる。DACのビット数が多ければ多いほど精度の良い光源輝度調整が可能であるが、光源1が冷陰極管の場合は、周辺温度によって光源輝度が変動してしまうので、実際の画像読取装置では冷陰極管の周辺温度を一定に保つための対策を十分とった上でビット数を上げる必要がある。ここでは、上述したPWM信号のデューティ数よりも十分多い輝度調光ステップが得られるようなDACビット数を想定し、PWM調光に比べ細かい光源輝度調整が可能であるものとする。
【0025】
画像読取装置の電源をON状態とすると同時に初期点灯条件で光源1を点灯させる。ここでの初期点灯条件は、電圧調光レベル100%、PWM信号デューティ100%とする(図2〜図5の上記ステップS201)。光源1の点灯後、一定時間待機し、光源輝度が安定した後で(上記ステップS202)始めの光源輝度確認を行う。ここで、電圧調光レベル75%、PWM調光デューティ100%に設定し(上記ステップS203)、再び一定時間待機する(上記ステップS204)。次に、ラインCCD5からの1ライン分の信号を複数回取得し、各ライン信号の最大値を平均して初期輝度レベルXave.とする(ステップS205)。なお、以下、「輝度レベル」といった場合は、全て同様に各ライン信号の最大値を取得したライン数について平均した値を指すものとする。
【0026】
このように計算された初期輝度レベルXave.と光源輝度設定目標値Xtargetの比率R(R=Xave./Xtarget)を計算し(ステップS206)、計算結果から以後の処理を変える。以下、計算された各処理について説明する。
【0027】
ケース(1) 0.67<R<1.33 の場合(ステップS207でYES)
PWM信号デューティを100%のままで(ステップS208)、光源(ランプ)1を直接見た状態におけるCCD出力を取得し、初期輝度レベルXave.を算出する(ステップS210)。次に、光源輝度設定目標値Xtargetと初期輝度レベルXave.の差分Dを算出し(ステップS211)、差分Dが閾値Th1未満であれば(ステップS212でYES)、そのときの電圧調光レベルとPWM信号デューティをCPU9にて記憶する(ステップS213)。差分Dが閾値Th1以上であれば(ステップS212でNO)、電圧調光レベルを所定ステップ変更し(ステップS208)、一定時間待ってから(ステップS209)、上記と同様にCCD出力を取得し、再度、差分Dと閾値Th1との比較を行う(ステップS212)。このようにして条件を満たす電圧調光レベルが見つかるまで探索を行い、条件に合った時の電圧調光レベルをCPU9にて記憶する(ステップS213)。
【0028】
ケース(2) 1.33<R<2.66 の場合(ステップS214でYES)
PWM信号デューティを50%に変更した上で(ステップS215)、一定時間待つ(ステップS217)。その後、ケース(1)と同様に、初期輝度レベルXave.と光源輝度設定目標値Xtargetの差分Dと閾値Th1との比較を行い(ステップS220)、条件を満たす電圧調光レベルを探索し、決定する。即ち、ステップS216〜ステップS221では、それぞれ、上記のステップS208〜ステップS213と同様の処理を行う。
【0029】
ケース(3) R<0.67 の場合(ステップS222でYES)
PWM信号デューティ100%、電圧調光レベルMax.(100%)に決定する(ステップS223)。この場合は、ケース(1)、ケース(2)に比べ、CCD出力レベルが低いので、その不足分はGCA7の増幅率をCPU9から制御することでA/D変換器8の出力レベルを他の装置と同じレベルに合わせ込む。また、この場合は、部品の不良や仕様範囲外の部品が組み込まれた可能性があるので、このときのGCA7の増幅率をCPU9で記憶した上で、CPU9内において装置の異常を示すフラッグを立てこれを個体情報とする。
【0030】
ケース(4) 2.66<R の場合(ステップS222でNO)
PWM信号デューティ50%、電圧調光レベルMin.(50%)と設定しても(ステップS224)、目標輝度には達しない。この場合も、部品の不良や仕様範囲外の部品が組み込まれた可能性があるので、CPU9にて装置の異常状態を示すフラッグを立て個体情報とする。
【0031】
上述した輝度決定方法において、光源輝度とセンサ感度のばらつきが完全にカバーされるケース(1)、(2)では、GCA7の増幅率は個体に関係なく同一値を設定でき、これはA/D変換器8の入力ダイナミックレンジに応じて決定すればよい。
【0032】
光源輝度決定後、実際の原稿読み取り動作が行われるまでの時間が短い場合には、光源駆動装置に対する電圧調光レベル及びPWM信号デューティの設定値はそのまま維持する。一方、光源輝度決定後、実際の原稿読み取り動作が行われるまでの時間が長い場合(画像読取装置が一定時間以上使用されていない場合)には、光源(ランプ)1への負荷を低減するために、電圧調光レベルをある所定値に変更して待機する。この値はランプ電極にとってなるべく負荷の軽い条件の電圧レベルとする。PWM信号デューティは100%に固定し、スイッチングによるトランジスタなどICに対する負荷を軽減する。
【0033】
画像読取装置に原稿が挿入されるなどして、待機状態から読み取り状態へ移行する際には、最後に決定した電圧調光レベルとPWM信号デューティを光源駆動装置に再設定する。光源輝度が安定するまである一定時間待った後、輝度レベルの再確認を行い、光源輝度設定目標値に対して変動がないかどうかを判定する。変動が閾値未満であれば読み取り動作を開始し、閾値以上であれば電圧調光レベルの再調整を行う。
【0034】
なお、第1の実施の形態では、PWM信号のデューティを2種類(100%、50%)として説明したが、設定するデューティの種類数についてはいくつでもよく、電圧調光範囲との兼ね合い、及び光源制御の思想によって他のバリエーションも考えられる。そのような他のバリエーションにおいても、ラインセンサを用いたアプリケーションでラインセンサのシフトゲート信号にPWM信号を同期させ且つ周波数を一致させた上で、PWM調光、電圧調光の順で調光を行うことにより、電圧調光方式とPWM調光方式の2つの調光方式を組み合わせて得られる広い調光範囲を素早くかつ精度良く制御するという意味で、本発明の意図するところは同一である。
【0035】
以上説明したように本発明の第1の実施の形態によれば、下記のような作用及び効果を奏する。
【0036】
PWM調光方式を用いても画像に縞模様が発生することなく、ラインCCD5での高速読み取りが可能となる。同時に、電圧調光方式とPWM調光方式の組み合わせによって、広い調光範囲を確保しつつ細かい光量調節が可能なので、光源1の輝度やCCD感度のばらつきを精度良く吸収することが可能となる。
【0037】
また、先にPWM調光を行い、次に電圧調光を行うので広い調光範囲から所望の調光レベルを素早く決定することが可能となる。
【0038】
更に、光源1として冷陰極管を用いる場合は、光源1の点灯後に輝度が安定するまでの時間が長いため、オペレータが作業をしていないときでも光源1を消灯させることなく待機点灯させたい。しかしながら、PWM調光方式だけでは、PWM信号のデューティに関わらずある所定の比較的高い電圧がランプに供給されるため、ランプ電極に対する負荷が大きく、電極の摩耗につながる。つまり、これがランプの短寿命化を招く。本発明による画像読取装置では、電圧調光も可能なので、待機時にはインバータへの入力電圧をランプ電極にとって低負荷となるように設定できる。更に、光源1を完全に消さないので、再び画像読取装置を使用するときにも設定したい輝度での安定時間が短く、すぐに原稿の読み取りが可能となる。
【0039】
また、電圧調光の長所を生かしつつ広範囲の調光を実用レベルで達成すると共に、画像内での縞模様の発生の回避、光源の長寿命化、連続的な調光、広い調光範囲の中から所望の調光レベルを取得するための探索時間の短縮、次回の原稿挿入時の読み取り開始の迅速化等が可能となる。
【0040】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態は、画像読取装置において、読取対象の原稿を照明する光源の調光方式として電圧調光方式とPWM調光方式を併用する構成とする。その上で、PWM調光におけるPWM信号を光電変換素子であるラインCCDのシフトゲート信号に同期させ、且つPWM信号の周波数をラインCCDの読み取り周期に一致させるものである。また、PWM調光の適用に関しては、特徴である広い調光範囲を利用することにその主目的を置き、PWM信号のデューティは全調光範囲内を大きく切り替えるために必要な数段階だけ用意する。そして、実際の調光では、先にPWM調光を大まかに行い粗く光量を決定し、次のステップにおいて電圧調光を用いて細かく光量を決定する構成とする。
【0041】
本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置は、特に冷陰極管を利用した光源1、調光装置2、レンズ4、ラインCCD5、ゲインコントロールアンプ7(以下GCA)とA/D変換器(ADC)8を含むアナログ信号処理部6、CPU9、光源駆動装置(図示略)を備えている(図1参照)。画像読取装置各部の構成は第1の実施の形態で詳述したので説明を省略する。
【0042】
次に、上記の如く構成された第2の実施の形態に係る画像読取装置における全体の処理の流れを図1、図8〜図16を参照しながら詳細に説明する。
【0043】
先ず、画像読取装置の電源をON状態とする。光源1は初期点灯条件によって点灯され(図9のステップS901)、光源輝度が安定するまで一定時間待機する(ステップS902)。次に、画像読取装置の原稿読取位置に原稿がない状態での光源光をラインCCD5で読み取る。ラインCCD5からのアナログ信号は、アナログ信号処理部6内のA/D変換器8においてデジタル信号に変換され、CPU9において記憶される。CPU9は、記憶したCCD出力と光源輝度を決めるための設定値とを比較して、これらの差がある範囲内に入るように、調光装置2をコントロールする。先ずは、PWM信号のデューティを切り替えて、最も設定値に近い値になるようなデューティを選択し、それから電圧調光方式により所定の出力が得られる電圧レベルを探索する。このときの調光制御について以下に詳しく述べる。
【0044】
先ず、PWM信号は、図16に示すように、ラインCCD5の駆動パルスのひとつであり1ラインの読み取り周期を決めるシフトゲート信号に同期させた上で、PWM信号周期をラインCCD5のライン周期に一致させる。また、PWM信号のデューティは図8に示すように100%、75%、56%、42%という4段階用意する。また、ラインCCD5のライン周期は1ms(駆動周波数1kHz)とする。例えばPWM信号のデューティ42%時のON時間は0.42msとなる。これは、インバータの発振周波数が31.3kHz以上であれば「ON時間中の10サイクル以上」が保証される値であり、一般的なインバータの発振周波数に対して適当な条件である。
【0045】
更に、以下に続く説明においては次の条件を前提としている。
条件▲1▼:光源輝度の製造中心とCCD感度の製造中心の組み合わせにおいて、電圧調光レベル75%、PWM信号デューティ75%で点灯させた場合に、目標輝度が得られる。
条件▲2▼:光源輝度のばらつきは製造中心±15%、CCD感度のばらつきは製造中心±30%とする。また、製造中心は固定されるものとする。
条件▲3▼:ラインCCD5は光源1の全調光範囲にて飽和せず、A/D変換器8も前記CCD出力を余すことなく十分変換できる入力ダイナミックレンジを持つ。
条件▲4▼:電圧調光レベルは、インバータ入力電圧として50%〜100%までとし、インバータ入力電圧と光源輝度はその変化率が一致している。
条件▲5▼:PWM信号デューティとそれによって決定される光源輝度はそれぞれの変化率が一致している。
以上を前提条件として説明を続ける。
【0046】
電圧調光は、例えばD/A変換器(DAC)を用いてインバータへの入力電圧をコントロールすることで達成できる。8bitのDACを用いた場合は256通りの輝度調整ステップを得られることになる。DACのビット数が多ければ多いほど精度の良い光源輝度調整が可能であるが、光源1が冷陰極管の場合は、周辺温度によって光源輝度が変動してしまうので、実際の画像読取装置では冷陰極管の周辺温度を一定に保つための対策を十分とった上でビット数を上げる必要がある。ここでは、上述したPWM信号のデューティ数よりも十分多い輝度調光ステップが得られるようなDACビット数として8bitを想定し、これをインバータ入力電圧の0Vから最大入力電圧に対応させる。電圧調光は50%〜100%としたので、実際には7bitがこの範囲に割り当てられることになり、即ち電圧調光は128ステップで行われる。よって、PWM調光に比べ細かい光源輝度調整が可能である。
【0047】
次に、一連の制御について以下に述べる。画像読取装置の電源をON状態とした後、光源1は初期点灯条件によって点灯される。このときの初期点灯条件は、光源1を構成する冷陰極管の立ち上がり時間を早めるために、電圧調光レベル100%、PWM調光デューティ100%とする(図9の上記ステップS901)。上記条件で一定時間待機した後(上記ステップS902)、電圧調光レベル75%、PWM調光デューティ75%に設定し(ステップS903)、更に一定時間待機する(ステップS904)。以下、PWM調光デューティ決定時は電圧調光レベルを75%に固定する。
【0048】
続いて、原稿読取位置に原稿がない状態での光源光をラインCCD5で読み取る。ラインCCD5からのアナログ信号は、アナログ信号処理部6内のA/D変換器8においてデジタル信号に変換され、CPU9で記憶される。CPU9ではラインCCD5の1ライン分の信号を複数回取得し、各ライン信号の最大値を平均してそのときの輝度レベルとして記憶する。なお、以下、「輝度レベル」といった場合は全て同様に各ライン信号の最大値を時間平均した値を指すものとし、Xave.と表す。
【0049】
次に、輝度レベルXave.と光源輝度設定目標値Xtargetの比率Rを式(1)に基づいて計算し(ステップS905)、その結果によってPWM信号のデューティを変更する。
【0050】
R=Xave./Xtarget ・・・(1)
以下、PWM調光のデューティ決定方法とその後の電圧調光について説明する。
【0051】
ケース(1) 0.88<R<1.17 の場合(図10のステップS1001)
PWM信号デューティを75%のまま維持する。一定時間待機した後、再び輝度レベルXave.の取得及びRの算出を行う。輝度レベルXave.とPWM信号デューティをCPU9で記憶する(ステップS1002)。複数回同じ作業を繰り返し、輝度レベルXave.の値の変化がある閾値未満であって、PWM信号デューティの変更が必要ないと判断されたら電圧調光を開始する(電圧調光ステップへ)。なお、ここでのR算出回数及び閾値は、光量決定までの時間と決定される光量の精度の関係から、適当な値を設定する。
【0052】
ケース(2) R<0.88 の場合(図11のステップS1101)
PWM信号デューティを100%へ変更した上で(ステップS1102)、一定時間待つ(ステップS1103)。一定時間待機した後、再び輝度レベルXave.の取得及びRの算出を行う(ステップS1104)。再計算されたRの値が0.75<R<1.5を満たす場合は(ステップS1105でYES)、輝度レベルXave.とPWM信号デューティをCPU9で記憶した後(ステップS1106)、電圧調光を開始する(電圧調光ステップへ)。再計算されたRの値がR<0.75となった場合は(ステップS1105でNO)、設計値に対してCCD出力レベルが低いといえる。例えば、光源の経時変化によって輝度が低下してきた場合や、光源やCCDの製造ばらつきが想定範囲を超えた場合である。よって、電圧調光レベルを最大として調光制御を終了する。同時に、光量が制御範囲外にあると認識してCPU9にて警告フラッグを立てる(ステップS1107)。
【0053】
この場合は、調光レベルを最大としても所定のCCD出力レベルが得られないため、CCD出力信号の不足分をアナログ信号処理部6内部にあるGCA7の増幅率を上げることで補う。このようにして取得した画像は、アナログゲインの増加分だけノイズも増えており、所定のS/N比を確保できない。よって、画像読取装置はCPU9にて立てられた警告フラッグを元にユーザへの報知を行う。例えば、画像読取装置本体で警告LEDを点灯させたり、或いは画像読取装置がホストコンピュータと接続されている場合にはホストコンピュータに装備されたモニタ画面に警告内容を表示することで報知を行う。
【0054】
なお、光量が目標値に比べ暗かったためにPWM信号デューティを75%から100%へと上げたので、再計算されたRが1.5<Rとなることはない。
【0055】
ケース(3) 1.17<R<1.56 の場合(図12のステップS1201)
PWM信号デューティを56%へ変更した上で(ステップS1202)、一定時間待つ(ステップS1203)。一定時間待機した後、再び輝度レベルXave.の取得を行う(ステップS1204)。最後に取得した輝度レベルXave.とPWM信号デューティをCPU9で記憶した後(ステップS1205)、電圧調光を開始する(電圧調光ステップへ)。
【0056】
ケース(4) 1.56<R<2.68 の場合(図13のステップS1301)
PWM信号デューティを42%へ変更した上で(ステップS1302)、一定時間待つ(ステップS1303)。一定時間待機した後、再び輝度レベルXave.の取得を行う(ステップS1304)。最後に取得した輝度レベルXave.とPWM信号デューティをCPU9で記憶した後(ステップS1305)、電圧調光を開始する(電圧調光ステップへ)。
【0057】
ケース(5) 2.68<R の場合(図14のステップS1401)
この場合は、設計値に対してCCD出力レベルが大きく制御範囲外といえる。調光範囲の最小レベルの光量を設定してもCCDが飽和する可能性が高く、画像読取装置の性能を保証できない。よって、画像読取装置本体にて赤色LEDの点滅などによりエラーメッセージを出し、画像読取装置の動作を終了する。
【0058】
ここで、上述した各ケースにおける、輝度レベルXave.と光源輝度設定目標値Xtargetとの比率Rによる場合分けの閾値、0.88、1.17、1.56、2.68について説明する。
【0059】
これらの数字は、各PWM信号デューティでの電圧調光レベル75%時における光量から、電圧調光によって目標光量までに最短で到達できるポイントを意味する。例えば、R=0.88のとき、PWM信号デューティを75%に維持したまま電圧調光したときの調光ステップと、PWM信号デューティを100%に変更してから電圧調光したときの調光ステップは等しくなる。8bitのDACを用いたここでの例ではほぼ同じ27ステップとなる。よって、0.88<Rの場合は、単純に電圧調光を1ステップずつ行うとすれば、PWM信号デューティを維持したまま電圧調光を行ったほうが目標光量に速く到達するといえる。その他の各閾値についても同様の理由から決定される。
【0060】
次に、電圧調光ステップについて説明する。PWM信号デューティの変更が終了した後に電圧調光を開始する。これまで75%で維持されてきた電圧調光レベルを、所定のCCD出力を得るような値に調整する。先ず、PWM信号デューティ決定時に取得した輝度レベルXave.と光源輝度設定目標値Xtargetとの差分Dを式(2)により算出する(図15のステップS1504)。
【0061】
差分Dが閾値Th1未満であれば(ステップS1505でYES)、そのときの電圧調光レベルとPWM信号デューティをCPU9にて記憶する(ステップS1506)。他方、差分Dが閾値Th1以上であれば(ステップS1505でNO)、電圧調光レベルを所定ステップ変更し(ステップS1501)、一定時間待機してから(ステップS1502)、同様に輝度レベルXave.を取得し(ステップS1503)、輝度レベルXave.と光源輝度設定目標値Xtargetとの差分Dを算出し(ステップS1504)、再度閾値Th1との比較を行う(ステップS1505)。このようにして条件を満たす電圧調光レベルが見つかるまで探索を行い、条件に合った電圧調光レベルとPWM信号デューティをCPU9にて記憶する(ステップS1506)。
【0062】
なお、電圧調光レベルの探索方法は、例えば輝度レベルXave.と光源輝度設定目標値Xtargetの大小関係から変更方向を決める等、最も速く差分Dが閾値Th1未満となるポイントが見つかる方法を採るものとし、ここではその詳細は省略する。
【0063】
以上述べた2段階の調光制御により、所定の光量レベルを決定する。原稿スキャン時は、決定された光量レベルを設定し画像の読み取りを行う。光量レベル決定後、原稿のスキャンまでの時間がある時間以上長い場合には、所定の条件で光源1を点灯させ原稿が画像読取装置に挿入されるまで待機する。待機時の光源点灯条件は電圧調光レベル50%、PWM調光デューティ100%とする。また、原稿のスキャンが終了した後、一定時間以上次の原稿の挿入がない場合(画像読取装置が一定時間以上使用されていない場合)にも、同様に光源1を消灯し待機状態とする。そして、再び原稿が挿入された時点で、最後に決定された点灯条件で光源1を点灯させ、調光制御を開始する。
【0064】
この場合、光源1の再点灯までの時間に応じて再点灯時の点灯条件を変える。また、光源1の再点灯までの時間が予め決められた消灯経過時間よりも短いときは消灯直前と同じ点灯条件で点灯し、光源1の再点灯までの時間が前記消灯経過時間よりも長いときはPWM調光の初期点灯デューティ及び電圧調光の初期調光レベルで再点灯する。
【0065】
再調光制御についての説明はここでは詳細は省略するが、光量レベルの目標値を得るために先にPWM調光デューティの変更を行い、その後に電圧調光を行うという順番は同じである。
【0066】
なお、第2の実施の形態では、PWM信号のデューティを4種類(100%、75%、56%、42%)として説明したが、設定するデューティの種類数についてはいくつでもよく、電圧調光範囲との兼ね合い、及び光源制御の思想によって他のバリエーションも考えられる。そのような他のバリエーションにおいても、ラインセンサを用いたアプリケーションでラインセンサのシフトゲート信号にPWM信号を同期させ且つ周波数を一致させた上で、PWM調光、電圧調光の順で調光を行うことにより、電圧調光方式とPWM調光方式の2つの調光方式を組み合わせて得られる広い調光範囲を素早くかつ精度よく制御するという意味で、本発明の意図するところは同一である。
【0067】
以上説明したように本発明の第2の実施の形態によれば、下記のような作用及び効果を奏する。
【0068】
インバータによって駆動される冷陰極管を光源1に用いた場合でも、PWM調光方式を用いたときに画像に縞模様が発生することなくラインCCD5での高速読み取りが可能となる。同時に、電圧調光方式とPWM調光方式の組み合わせによって、広い調光範囲を確保しつつ細かい光量調節が可能なので、光源1の輝度やCCD感度のばらつきを精度良く吸収することが可能となり、装置間のS/N比に差が生じにくい。
【0069】
また、画像に縞模様が見えるという問題を回避するためにPWM信号の周波数をラインCCD5の蓄積周期まで上げた際に、調光の直線性が失われるという副作用は、電圧調光を併用することで解決している。PWM調光によって得られる広い調光範囲は、PWMデューティを段階的に切り替えることでこれを調光システム全体の中で有効利用している。
【0070】
また、冷陰極管は点灯後に輝度が安定するまでの時間が長いため、オペレータが作業をしていないときでも光源を消灯させることなく待機点灯させたい。しかしながら、PWM調光方式だけではPWM信号のデューティに関わらずある所定の比較的高い電圧がランプに供給されるため、ランプ電極に対する負荷が大きく電極の磨耗につながる。つまり、これがランプの短寿命化を招く。本発明による画像読取装置では、電圧調光も可能なので、待機時にはインバータへの入力電圧をランプ電極にとって低負荷となるように設定できる。更に、光源1を完全に消さないので、再び画像読取装置を使用するときにも設定したい輝度での安定時間が短く、すぐに原稿の読み取りが可能となる。
【0071】
電圧調光ステップに比べ、PWM調光ステップを粗く設定し、先にPWM調光を行い粗く光量を決定し、次に電圧調光で細かく光量決定することで、広い調光範囲の中からそのときの最適な光量を素速く見つけることが可能となる。
【0072】
また、電圧調光の長所を生かしつつ広範囲の調光を実用レベルで達成すると共に、画像内での縞模様の発生の回避、光源の長寿命化、連続的な調光、広い調光範囲の中から所望の調光レベルを取得するための探索時間の短縮、次回の原稿挿入時の読み取り開始の迅速化等が可能となる。
【0073】
[他の実施の形態]
上記第1、第2の実施の形態では、本発明を画像読取装置の光源制御に適用した場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の画像読取装置を搭載した画像読取機能・画像形成機能を備えた画像処理装置(複写機)、本発明の画像読取装置を搭載した画像読取機能・画像形成機能・画像通信機能等の複数の機能を備えた画像処理装置(複合機)、本発明の画像読取装置を搭載した画像読取機能・画像通信機能を備えた画像処理装置(ファクシミリ装置)に適用することも可能である。
【0074】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。上述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記憶した記憶媒体等の媒体をシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体等の媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、本発明が達成されることは言うまでもない。
【0075】
この場合、記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体等の媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体等の媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、或いはネットワークを介したダウンロードなどを用いることができる。
【0076】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も、本発明に含まれることは言うまでもない。
【0077】
更に、記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も、本発明に含まれることは言うまでもない。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、原稿を照明する光源と、原稿の透過光を電気信号に変換するラインCCDと、前記ラインCCDを原稿に対し相対的に移動させる走査手段と、前記光源の輝度を変更可能とする調光手段を備え、前記調光手段は電圧調光とPWM調光を併用し、前記PWM調光のPWM信号を前記ラインCCDのシフトゲート信号に周期を一致させた上で同期させると共に、先に前記PWM調光を行い粗く光量を決定し、次に前記電圧調光を行い細かく光量を決定する制御手段を有するため、下記のような効果を奏する。
【0079】
(1)冷陰極管とラインCCDを用いた画像読取装置においても広範囲の調光を達成することができる。調光方式として電圧調光方式とPWM調光方式を組み合わせることで広い調光範囲を確保できる。これを、PWM信号とラインCCDのシフトゲート信号を同期させ且つそれらの周波数を一致させることで、ラインCCDと原稿を相対的に動かしながら読み取る方式でPWM調光を行う際に問題となりうる画像内での縞模様の発生を回避しつつ達成している。
【0080】
(2)また、電圧調光方式を併用しているので、細かい光量調節が可能である。更に待機状態では電圧調光によりインバータ入力電圧を低く設定できるので、ランプの電極にとって低負荷での点灯が可能である。つまり、長寿命化に貢献できる。
【0081】
(3)また、光源として冷陰極管を用いた場合には、点灯後の安定時間が長いので待機時の消灯は避けたい。本発明による画像読取装置では、上述したようにランプの構造に関連した所望の電圧条件で点灯させられるので、待機時にも消灯しなくてよい。この結果、次回の原稿挿入時にすぐに読み取りを開始することができる。
【0082】
更に、本発明によれば、前記PWM調光方式のPWM信号を前記ラインCCDのシフトゲート信号に同期させた上で、前記PWM信号の周波数を前記ラインCCDの読み取り周期に一致させると共に、先に前記PWM調光を行い粗く光量を決定し、次に前記電圧調光を行い細かく光量を決定する制御を行うため、下記のような効果を奏する。
【0083】
(1)ラインCCDを用いた画像読取装置で、特に高速スキャナのように光源として高輝度が得られる冷陰極管を用いた場合でも、インバータで駆動された冷陰極管をPWM調光したときの欠点を補いながら、電圧調光の長所を生かしつつ広範囲の調光を実用レベルで達成することができる。調光方式として電圧調光方式とPWM調光方式を組み合わせることで広い調光範囲を確保できる。これを、PWM信号とラインCCDのシフトゲート信号を同期させ且つそれらの周波数を一致させることで、ラインCCDと原稿を相対的に動かしながら読み取る方式でPWM調光を行う際に問題となりうる画像内での縞模様の発生を回避しつつ達成している。
【0084】
(2)また、電圧調光方式を併用しているので、細かい光量調節が可能である。更に待機状態では電圧調光によりインバータ入力電圧を低く設定できるので、ランプの電極にとって低負荷での点灯が可能である。つまり、長寿命化に貢献できる。
【0085】
(3)また、インバータによって駆動される冷陰極管の場合、上述した理由からCCDの電荷蓄積周期に合わせてPWM信号の周波数を高めに設定したときに電力効率が悪化するが、商用電源を利用する場合は大きな問題にはならない。それ以上に、PWM調光の特徴である広い調光範囲を生かし、それをPWM信号デューティによって大きく切り替えたときの調光の谷間は電圧調光によって補うことで、連続的な調光が可能となっている。
【0086】
(4)更に、調光制御においては、始めにPWM調光による粗い調光を行い、その後電圧調光による細かい調光を行うことで、広い調光範囲の中から所望の調光レベルを取得するための探索時間を短縮している。
【0087】
(5)また、光源として冷陰極管を用いた場合には、点灯後の安定時間が長いので待機時の消灯は避けたい。本発明による画像読取装置では、上述したようにランプの構造から見てより低負荷となる電圧条件で点灯させられる。この結果、次回の原稿挿入時にすぐに読み取りを開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1、第2の実施の形態に係る画像読取装置の全体の構成を示す構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る光量決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】第1の実施の形態に係る光量決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態に係る光量決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係る光量決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態に係る電圧調光範囲とPWM信号デューティとの関係を示す説明図である。
【図7】第1の実施の形態に係るCCD駆動パルスとPWM信号との位相関係を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る電圧調光範囲とPWM信号デューティとの関係を示す説明図である。
【図9】第2の実施の形態に係る光量決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る光量決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態に係る光量決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態に係る光量決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】第2の実施の形態に係る光量決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態に係る光量決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態に係る光量決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態に係るCCD駆動パルスとPWM信号との位相関係を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 光源
2 調光装置(調光手段)
3 原稿
4 レンズ
5 ラインCCD
6 アナログ信号処理部
7 ゲインコントロールアンプ
8 A/D変換器
9 CPU(制御手段)
Claims (14)
- 原稿を照明する光源と、原稿の透過光を電気信号に変換するラインCCDと、前記ラインCCDを原稿に対し相対的に移動させる走査手段と、前記光源の輝度を変更可能とする調光手段を備え、
前記調光手段は電圧調光とPWM調光を併用し、前記PWM調光のPWM信号を前記ラインCCDのシフトゲート信号に周期を一致させた上で同期させると共に、先に前記PWM調光を行い粗く光量を決定し、次に前記電圧調光を行い細かく光量を決定する制御手段を有することを特徴とする画像読取装置。 - 前記光源がインバータで駆動される冷陰極管であることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
- 前記制御手段は、前記PWM信号のデューティの決定を、前記PWM調光の初期点灯デューティ及び前記電圧調光の初期調光レベルで前記光源を点灯させたときに得られる前記ラインCCDの出力信号レベルを基に行うことを特徴とする請求項1乃至2の何れかに記載の画像読取装置。
- 前記制御手段は、前記PWM信号のデューティの決定を、前記PWM調光の初期点灯デューティ及び前記電圧調光の初期調光レベルで前記光源を点灯させたときに得られる前記ラインCCDの出力信号レベルと、予め決められた光源輝度設定目標値との比を基に、前記電圧調光よりも先に行い、前記PWM調光の終了後に前記電圧調光を行うことを特徴とする請求項1乃至2の何れかに記載の画像読取装置。
- 前記制御手段は、前記電圧調光方式の調光レベルの決定を、前記ラインCCDの出力信号を基に行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像読取装置。
- 前記PWM調光方式のPWM信号のデューティを複数設定可能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像読取装置。
- 前記PWM調光方式のPWM信号のデューティの種類数よりも、前記電圧調光方式の制御ステップ数の方が多いことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の画像読取装置。
- 前記制御手段は、前記画像読取装置が一定時間以上使用されていない場合は前記光源を消灯し、前記光源の再点灯までの時間に応じて再点灯時の点灯条件を変えることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の画像読取装置。
- 前記制御手段は、前記光源の再点灯までの時間が予め決められた消灯経過時間よりも短いときは消灯直前と同じ点灯条件で点灯し、前記光源の再点灯までの時間が前記消灯経過時間よりも長いときは前記PWM調光の初期点灯デューティ及び前記電圧調光の初期調光レベルで再点灯することを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
- 前記電圧調光方式とは、前記インバータの入力電圧を制御することで前記光源の管電流の実効値を制御する方式であり、前記PWM調光方式とは、前記インバータに入力する直流電圧を所定の周波数でオンオフ制御することで前記光源の管電流の実効値を制御する方式であることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の画像読取装置。
- 前記請求項1乃至10の何れかに記載の画像読取装置を搭載したことを特徴とする画像処理装置。
- 原稿を照明する光源と、原稿の透過光を電気信号に変換するラインCCDと、前記ラインCCDを原稿に対し相対的に移動させる走査手段と、前記光源の輝度を変更可能とする調光手段を備えた画像読取装置における光源制御方法であって、
前記調光手段は電圧調光とPWM調光を併用し、前記PWM調光のPWM信号を前記ラインCCDのシフトゲート信号に周期を一致させた上で同期させると共に、先に前記PWM調光を行い粗く光量を決定し、次に前記電圧調光を行い細かく光量を決定することを特徴とする光源制御方法。 - 原稿を照明する光源と、原稿の透過光を電気信号に変換するラインCCDと、前記ラインCCDを原稿に対し相対的に移動させる走査手段と、前記光源の輝度を変更可能とする調光手段を備えた画像読取装置における光源制御方法を実行するプログラムを記憶したコンピュータにより読み出し可能な記憶媒体であって、
前記光源制御方法は、電圧調光とPWM調光を併用し、前記PWM調光のPWM信号を前記ラインCCDのシフトゲート信号に周期を一致させた上で同期させると共に、先に前記PWM調光を行い粗く光量を決定し、次に前記電圧調光を行い細かく光量を決定する制御ステップを有することを特徴とする記憶媒体。 - 原稿を照明する光源と、原稿の透過光を電気信号に変換するラインCCDと、前記ラインCCDを原稿に対し相対的に移動させる走査手段と、前記光源の輝度を変更可能とする調光手段を備えた画像読取装置に供給されるプログラムであって、
前記調光手段は電圧調光とPWM調光を併用し、前記PWM調光のPWM信号を前記ラインCCDのシフトゲート信号に周期を一致させた上で同期させると共に、先に前記PWM調光を行い粗く光量を決定し、次に前記電圧調光を行い細かく光量を決定する制御ステップを有することを特徴とするプログラム。
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