JP3957322B2 - 蠕動ポンプ - Google Patents

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Description

発明の背景
この発明は一般に流体ポンプに関するものであり、より詳しくは流体の流れを形成すべく順次可撓管に係合する複数のカム駆動フィンガーを具えた蠕動ポンプに関するものであり、該ポンプはさらにポンプの入口・出口における管の閉塞を検知する検知器を有している。
従来のリニアーおよびロータリー蠕動ポンプは壁とローラーまたは反復押圧体との間に配置された可撓性配管部分を有しており、該押圧体などは配管の部分をポンプの液体に漸次押圧する。そのようなポンプはしばしば医療関係で、例えば傷排出システムにおける流体の静脈注入や排出に、用いられるものである。これらのポンプはポジテイブに動作し、出口圧力を生成することができる。
典型的なリニアー蠕動ポンプとしてはアメリカ特許第2877714号(Sorg他)、同第4671792号(Borsannyi)、同第4893991号(Heminway他)および同第4728265号(Canon)などに記載されたものがある。一般的には有効であるものの、それらのポンプは大型で、複雑で、扱い難く、可撓管に対して平行な駆動軸これに沿って設けられた複数のカム(管に対して押圧体を接近離間させる)を必要とするものである。
ロータリー蠕動ポンプにあっては一般に円形経路に沿って可撓管を配置しており、円形ローターの円周に沿って多数のローラーが設けられて、これらが管に沿って順次回転して管を閉塞して管を通って液体を押しやるのである。かかるポンプの典型的なものとしてはアメリカ特許第4886431号(Soderquist他)および同第3172367号(Kling)のものがある。これらのポンプはしばしば比較的効率が低く管に高度の剪断力と張力とを掛けて、管の内部壁の侵蝕と破砕とを引き起こす。管はときには永久変形して、平たくより楕円形になって液体の搬送が少なくなる。
他のタイプの蠕動ポンプにあっては、円形経路に沿って管が設けられており、円形の内部にはカムが配置されており、ずんどうな押圧体またはフィンガーが経路の一端から他端へと管を順次押圧する。このようなポンプの典型的なものとしてはドイツ特許第2152352号(Gonner)およびイタリア特許第582797号(Tubospir)のものがある。
リニアー蠕動ポンプに比べてこれらのポンプは複雑ではない。しかしずんどうなフィンガーによる圧力で管の寿命が短くなり、ときには管内部の侵蝕や破砕が起きて、流体の流れに粒子が入り込む。これらのポンプの場合には壁厚の異なるものは使用できず、標準より薄い場合にはフィンガーが適正に管を閉塞することができず、標準より厚い場合には管が早期に閉じて過剰な圧力が掛かり、大きなカム駆動力が必要となりその結果カムも管も損耗が激しくなる。
蠕動ポンプの多くの応用特に医療的な応用において、ポンプ動作の前後にポンプ管中における閉塞によりポンプがいつ動作を停止するかを検知することが重要である。管中に起きる入力閉塞は流体が入力側から吸引され出口側から押し出される故に管が破砕する。管中に起きる出口閉塞は液体を出口側に押し出し続けて、管が膨張して破裂することがある。いずれにしても流体の流れは最終的には停止してしまうことになる。
リニアーな蠕動ポンプに比べるとこれらのポンプも複雑ではない。しかしずんどうなフィンガーにより掛けられる圧力が管の寿命を短くし、ときには管内部の壁が侵蝕したり破砕したりする。この結果流体の流れに粒子が入り込む。またこれらの管は異なる厚さの壁を受け入れないのである。標準より薄い場合にはフィンガーが管を適正に閉塞することができず、標準より厚い場合には管が早期に閉じて圧力が過剰になり、大きなカム駆動力が必要となって、カムおよび管の損耗が激しくなる。
かくして非常に簡単で小型で駆動力が小さくてよい曲線型またはリニアーな蠕動ポンプへの要請が依然としてあり、種々の壁厚の管を受け入れしかも損耗が低く、内部侵蝕がなく入力または出口が閉塞したときに緊急信号を自動的に発生できるものが要求されるのである。
発明の要旨
上記の諸問題を解決すべくこの発明の蠕動ポンプは圧盤と、該圧盤から離間配置されている回転可能なカム手段と、カム手段を第1の方向に回転させる駆動手段と、それぞれがカム手段に係合している第1の端部と圧盤に近接した第2の端部とを具えた複数のポンプフィンガーと、ポンプフィンガーを半径方向に案内するガイド手段とを有しており、上記のカム手段が、第1にポンプフィンガーを圧盤の方に順次接近させ第2にポンプフィンガーを圧盤から順次離間させるように、形成されており、各ポンプフィンガーが、第2の端部を超えてかつ横切って延在するピンチフィンガー、を有しており、可撓管が圧盤とポンプフィンガーの第2の端部との間に配置されて、ポンプフィンガーが順次圧盤の方に動かされると、可撓管中の液体が第1のカム回転方向に押しやられ、各ポンプフィンガーが圧盤の最も近い位置に達したときに各ピンチフィンガーが可撓管を閉塞することを要旨とするものである。
他の実施例においては可撓管を支持するのに平たい圧盤が用いられており、複数の平行なカムが回転軸に取り付けられ、かつ複数のフィンガーがそれぞれ各カムに載設されている。
各フィンガーは圧盤上の管と係合する面を具えており、各面はその中心にバネ付勢されかつ面を超えて延在するように偏倚されたピンチを具えている。
カムが回転すると回転方向において対応するカム上の最高区域に最も近いフィンガーが半径方向外側に動かされ、圧盤に対して管を絞る。カムが回転を続けると、最初のフィンガーが管を閉塞し一方第2のフィンガーが管を絞り、管中の液体を所望の方向に押圧する。さらにカムが回転を続けると、後続のフィンガーが順次管を絞り、液体を押圧してついで管を閉塞する。同時に山のすぐ後のフィンガーが管から離間し、管は膨張して液体が充満する。カムが回転する限りこの動作が続行する。
第2の実施例においては、回転圧盤がフィンガーとピンチとを有しており、各フィンガーは圧盤上の管に係合する面を具えている。各面は中心にバネ付勢されて面を超えて延在すべく偏倚されたピンチを有している。さらに各フィンガーはその本体とカムとの間にローラーを有していて、これがローラーベアリングのようにカムに載って摩耗を低減している。
カムが回転すると、回転方向においてカムの最高区域(最も広い山)に最も近いフィンガーが半径方向外側に動かされて、管を圧盤に対して絞る。カムが回転を続けると、最初のフィンガーのピンチが管を閉塞し一方第2のフィンガーが管を絞り管中の液体をカムの回転方向と同方向に流す。カムがさらに回転を続けると、後続のフィンガーが順次管を絞って液体を押しやり、ついで管を閉塞する。同時に山のすぐ後ろのフィンガーが管から離間し、管は膨張して液体が充満する。カムの回転が続く限りこの動作が続行する。
一実施例においてはポンプの入口・出口端に圧力検知手段が設けられており、入力閉塞による可撓管の破壊を検知し、出口閉塞による可撓管の膨張を検知する。
以下添付の図面によってさらに詳細にこの発明について説明する。
図1はケースを開いた状態のカムの拡大斜視図、
図2はケース側面を開いた状態の動作初期におけるカムの拡大側面図、
図3はバネ付勢されたピンチを具えたフィンガーの拡大側面図、
図4はフィンガーの他の実施例の拡大側面図、
図5は入出口閉塞検知手段を具えたカムの拡大側面図、
図6は圧盤に設けられたピンチフィンガーを具えた曲線型カムの拡大側面図、
図7はバネ付勢フィンガーの拡大側面図、
図8は図7中線8−8に沿って取った断面図、
図9は固定されたフィンガーの側面図、
図10は圧盤に載設されたフィンガーを具えたリニアー蠕動ポンプの側面図、
図11は平らな圧盤を具えたカムの実施例の側面図、
図12は図11のカムに用いるフィンガーの断面図、
図13は図11のカムに用いるフィンガーの他の実施例の断面図である。
実施例の詳細な説明
図1および図2において蠕動ポンプのケース10は前板12と後板14とスペーサー16とを具えており、組立て分解の便宜上ボルト19により一体に組付けられている。ケース10には着脱可能なカバー18が固定されている。カバーを保持すべく各スペーサー16はボルト22およびフック状延長部24を通す透孔を有している。
カバー18は凹面曲面状の圧盤26を有しており、該圧盤26はいかなる形状であってもよいが、一般的には円筒状の面であるのが好ましい。図2および図3に示すように、圧盤26に沿って可撓管28が両延長部24間の開口部に亙って延在している。
複山状のカム30が回転可能に軸32に取り付けられており、前後の板12,14中の適宜なベアリングに挿通されている。
カム30は2個以上の適宜個数の山を有している。しかし最小のサイズで最適な動作を得るためには、3個の山を有したカムが望ましい。圧盤26が円筒状である場合には、軸32は圧盤の軸の位置にあるのが好ましい。カム30の回転方向は可撓管28と通して液体を送るべく、いずれの方向に回転してもよい。ここでは一応矢印34で示すように時計方向に回転するものとするが、その駆動には適宜な装置を使用すればよい。
図示の実施例では、電動駆動モーター36が後板14中の開口部37を通って延在しており、前板12の背面に取り付けられている。このモーター36の駆動軸38は前板12を貫通してプーリー40に連結されている。このプーリー40は駆動ベルト42により軸32上のプーリー44に連結されている。
プーリー40,44のサイズは所望のカム回転速度に応じて適宜決定する。可変速モーター36を用いてカムの回転速度を簡単に変更できるようにするとよい。必要ならベルト42の代りにギア機構を用いたり、電動モーターの代りに水力駆動を採用してもよい。
カム30と圧盤26との間の位置で前後板12、14には半径方向に運動すべく複数のフィンガー48が取り付けられている。フィンガーの個数は適宜なものでよい。一般的にはカムの山の個数が大きい時は少ない個数のフィンガーを用いる。他方狭いフィンガーが用いられている時には、個数を多くするのがよい。ポンプのスケールが大きい時にはフィンガーの個数も大きくする。小さなサイズで最大の効率を得るには、3山カムの場合には7〜11個のフィンガーとするのがよいが、9個にすると最適である。図示のようにこれらのフィンガーに対応して前後の板12,14には図1に示すように複数個の溝50が形成されており、延長部52を可動状に収受する。これらの溝50と延長部42とはガイド手段を形成するものである。
図1〜図4に示す実施例にあっては、狭いフィンガー66が面の中心にバネ付勢されかつ面を越えて延在している。各フィンガー48は図3に示すように第1の端部に円筒状の凹部54を有しており、ベアリングローラー58を回転可能に収受している。これらのローラー58はカム30の面上でローラーベアリング的に転がり、カム面への摩擦を低減している。
図1に示すようにフィンガー48の側部には側方延長部52が形成されている。逆T字状の横断スロット62がフィンガー48の頭部を横切って形成されている。このスロット62にはピンチフィンガー66を載設したベース64が嵌合しており、このピンチフィンガー66はフィンガー48の第2の端部68を横切るスロットに沿って延在している。バネ70がベース64とフィンガー66とを延在方向に付勢している。
ポンプは次のように動作する。
図2に示すようにカム30の2個の山が一連のフィンガー48の最初と終わりに位置しており、この状態において圧盤26に沿っている可撓管28の中央部に係合しているフィンガー48は比較的没入しており、終端部に係合しているフィンガー48は比較的突出しており、これにより閉塞区域が生成される。
可撓管28の中央部には液体が充満し終端部は実質的に閉塞される。カム30が矢印34の方向に回転すると、左側第2のフィンガー48が可撓管28に押圧され、一番右側のフィンガーは没入し始める。液体はかくして閉塞区域で右側または可撓管28の出口端に向けて押圧されて流出し始める。カムの回転が続くとフィンガー48は順次左側で突出し右側で没入し、これにより可撓管28中の液体は出口端の方に押しやられる。
図2において可撓管28の中央部に見られるように、バネ70の力の働いているピンチフィンガー66は比較的突出している。一番左側のフィンガー48は若干突出しており、フィンガー48の第2の端部68は可撓管28をまだ完全に閉塞している訳ではない。フィンガー48はバネ7により充分に付勢されると可撓管を閉塞する。壁の薄い可撓管28だと、フィンガー48はさらに可撓管に近く突出する。壁の厚い可撓管だと、可撓管が閉じられるまでにフィンガーはより短い距離だけ突出する。かくしてピンチフィンガーを介して可撓管を閉じるのに充分な力のみが印加されるのである。
従来のポンプにあっては、カムの強い力の下でフィンガーは所定の単一の距離だけ突出する。そのような構造では、薄い可撓管は完全には閉塞されず、厚い可撓管は閉塞を越えて破壊され、急速な摩耗、侵蝕および破砕が起きて、その結果可撓管の壁を構成している材料の粒子が液体の流れに入り込み、多くの注入作業の場合に憂慮すべき状態となる。高度に有利な結果を得るにはごく短い程度の突出と没入とが必要とされ、典型的には約0.2〜1.0mmである。
図4に示すのはフィンガー48の他の実施例であり、図3のバネ付勢されたピンチフィンガー66の代りに、フィンガーの第2の端部68上に形成された横断凸状71の形である。図3の構造のものは、管の摩耗を少なくし直径と壁厚とが若干異なる可撓管の場合には好適であるが、その他の場合、すなわち可撓管の寸法が均一でモーターが充分な能力を具えておりかつ可撓管の圧縮が大きくてもよい場合には、図4のものが安価なので有利である。
図5に示すのは図1〜3の構造であるが、可撓管28の入口・出口で閉塞を検知する手段を具えたものである。可撓管28の入口・出口端の近傍において歪み計ビーム80,82が基端をボルト84などによりスペーサー16に固定されている。歪み計としては従来公知のいかなるタイプのものを用いてもよい。ビーム80,82の末端上のセンサー86,88は可撓管の入口・出口端に係合している。歪み計80,82は従来公知のように動作するもので、可撓管28の伸縮に応じてのビームの屈曲に比例した電気信号を発生する。これらの歪み計80、82からの信号は警告音発生、ポンプの停止など適宜所望の動作をする装置に供給される。上流側での閉塞の故に可撓管28の入口部が破壊した時に歪み計80は信号を発生し、下流側の閉塞の故に可撓管28の出口部が膨張したときに信号を発生する。
図6に示す曲線型ポンプは後板14と前板12とスペーサー16とをからなるケースを有している。組立て分解が便利なようにカバーは複数のボルト19により一体に組付けられている。ケース10には取外し可能なカバー18が固定されている。各スペーサー16はブロック20を有しており、該ブロックはカバー18を正しい位置に保持するために、ボルト22およびカバーのフック状延長部分24と協動する透孔を有している。
カバー18は凹面状の圧盤26を有しており、圧盤の形状はこれに限られるものではないが、一般には円筒状面であることが望ましい。この圧盤26に沿って1対の延長部分24間に可撓管28が配置されている。
複山型カム30が前後の板12,14の適宜なベアリングを透通する軸32に回転可能に取り付けられている。カム30は2個以上適宜な個数の山を有しているが、小型で最適の動作を得るには3山型カムが望ましい。圧盤26が円筒状である場合には軸32はその軸心に配置されるのが望ましい。
カム30は液体を可撓管28に通すべくいずれの方向に回転してもよいが、説明の便宜上図中では矢印34で示す時計方向に回転するものとする。カム30を回転するにはいかなる装置を利用してもよいが、図示の例では電動駆動モーター36が用いられており、後板14の開口部を通って延在して前板12の背面に固定されている。
モーター36の駆動軸は前板12を透通してプーリー40にまで延在している。このプーリー40はカム軸32上のプーリー44にベルト42により連結されている。プーリー40と44とは所望のカム回転速度を与えるサイズに設定されている。可変速モーター36を用いるとカム回転速度を簡単に変更することができる。必要ならベルト42は駆動モーターに代えて適宜なギア機構や水力駆動装置などを用いてもよい。
カム30と圧盤26との間において前後の板12,14には複数のフィンガー48が半径方向に可動状に取り付けられている。フィンガー48の個数は適宜これを選択すればよいが、カムの山数が多きい場合にはフィンガーの個数を小さくし、狭いフィンガー48が用いられている場合にはフィンガーの個数を大きくするのがよい。ポンプのスケールが大きい場合には一般にフィンガーの個数も大きいものとする。3山型カム30において小さなサイズで最高の効率を得るには、フィンガー48の個数は好ましくは7〜11個、最適には9個である。
好ましくは対向した配置で複数の半径方向の溝(図示せず)を後板14と対応する個数を前板12に形成し、延長部52を収受する。これにより、カムの山が突出没入するにつれ、フィンガー48は軸32に対して接近離間するように半径方向に摺動する。
各フィンガー48は第1の端部50に横断円筒状凹部を具えており、これにベアリングローラー54を回転可能に収受する。ローラー54はカム30の面上でローラーベアリング状に自由に転がって、カム面の摩耗を低減する。
図6,7に詳しく示すように、逆T字形のスロット56がカバー18を横切って形成されている。このスロット56にはベース58が嵌合しており、このベース58からはピンチフィンガー60が延在してスロット56の脚部に嵌合しかつその頭部62は圧盤面から突出している。1個以上のバネ64(図8に示すように好ましくは2個)がベース58を付勢してピンチフィンガー60の頭部62を突出状態にしている。
ポンプは次のように動作する。
図6に示す状態では一連のフィンガー48群の最初と終わりの部分にカム30の2個の山が位置している。この状態において圧盤26の中央部で可撓管28の中央部に係合しているフィンガー48は比較的没入していて閉塞区域を構成している。したがって可撓管28の中央部分には液体が充満し端部は閉塞されている。カム30が矢印34の方向に回転すると、左側第2のフィンガー48がさらに可撓管28に押圧され一番右側のフィンガーは没入する。かくして液体は閉塞区域において右側、または可撓管28の出口端の方に押しやられ流出し始める。カムの回転が続くと、フィンガー48は順次左側では突出し右側では没入し、可撓管28中の液体を出口端の方に押しやる。
図6中の可撓管28の中央部に見られるように、バネ164に付勢されたピンチフィンガー60は比較的突出している。一番左側のフィンガー60は若干突出しているが、フィンガー48の第2の端部68はまだ可撓管28を完全には閉塞していない。フィンガー60はバネに付勢されて充分に突出し、対向するフィンガー48が管を閉塞している。壁の薄い可撓管28の場合にはフィンガー60の頭部62はさらに突出して管を閉塞するだろう。壁の厚い可撓管の場合には、フィンガー60の頭部62は管が閉塞されるまでに僅かに突出するのみである。かくしてフィンガーからは管に充分な力のみが作用する。
従来のポンプの場合には、カムの強い力の下にフィンガーは所定の単一の距離だけであり、そのような構造では薄い可撓管は完全には閉塞されず、厚い壁の可撓管は閉塞を越えて破壊されてしまい、摩耗が早くなり内部の壁は侵蝕・破砕されて、壁材料の粒子が液体の流れに入り込み、注入作業上重大な結果となる。このような高度に有利な結果を得るに必要なフィンガー60の突出・没入は非常に短い距離であり、典型的には0.2〜1.0mm程度である。
図9に示すフィンガーの実施例は、図6の曲線型圧盤にも図10の平らな圧盤にも用いることができる。このフィンガーは圧盤26の表面に可撓管28を横切って形成された横断頭部または凸状66の形である。
フィンガー48の設定は次のように行う。すなわちフィンガーが可撓管28の方に全距離動かされたときに、頭部66が完全閉塞に必要な程度より若干多く刺圧するように設定する。そうすればサイズの足りない可撓管でも完全に閉塞されサイズの過剰な可撓管は頭部66により若干多く刺圧される。頭部66は面積が小さく丸められているので可撓管28が顕著に損傷される可能性は少ない。
頭部66は圧盤28の製造中に通常の製造手法により形成される。または溶接や接着などの手法により個々の片を固定するようにしてもよい。図9に示す実施例のものは製造するのに簡単で安価でありしかも非常に効果的であるが、管の寿命を最適なものにするには図7,8のものの方が望ましい。
図10に示すポンプの他の実施例にあっては、この発明の圧盤に取り付けたピンチフィンガーを用いることができる。ここでは管70が平らな圧盤72上に載っている。一群のカム74が圧盤72と平行に配置された軸76に取り付けられている。この軸76はベアリング80を介して直立部材78により支承されており、該軸76は電動モーター(図示せず)などの適宜な駆動手段により回転駆動されている。これらのカム74や駆動手段は全て公知のものを用いてよい。各カムは典型的には偏心円形や楕円形である。
フィンガー82は公知の支持体に支承されており、圧盤72に対して垂直方向に可動状になっている。軸76が回転されると、カム74はフィンガー82を群の一端から他端に亙って順次可撓管70に向けて下方に押圧し、可撓管70中の液体をその方向に押しやる。上記したように各フィンガー82と圧盤72との間の閉塞距離は固定されているので、精密に所定の壁厚の管はかろうじて完全に閉塞される。もし壁厚が通常より大きい場合には、管は破壊損傷される。壁厚が通常より小さい場合には、完全な閉塞は起きずポンプ内で逆流が発生する。すなわち所期のポンプ速度が達成されないことになる。
図7,8に示したような複数のピンチフィンガー60が可撓管70を横断して圧盤70のスロット84内に配置されている。勿論図4に示すような実施例も用いることができる。上記のように通常の管の場合フィンガー60の頭部は可撓管70の方にバネ付勢されており、圧盤72の表面より若干突出して管を完全に閉塞する。壁が薄い場合にはフィンガーはさらに圧盤の表面より突出して可撓管70はまだ閉塞される。壁が厚い場合には管が閉塞されるまでのフィンガー60の突出距離は短い。
したがって図1,5に示すピンチフィンガーは、管を損傷したりポンプ挙動を阻害することなく、広い範囲のサイズの可撓管に適合するのである。
図11に示す蠕動ポンプにあっては、リニアーな圧盤180が用いられている。ポスト186上にベアリングを介して回転可能に支承された軸182は圧盤180に平行である。
複数のカム188が連続かつ平行な状態で軸182に取り付けられている。カム188は適宜な形状でよいが、典型的には偏心円形状であり、図2のカム30と同様に複数山型である。軸182と各カムの最外部を通る線は逐次半径方向にずれている。
各カム188はフィンガー190に係合しており、対応するカムの直径の相違につれて長手方向に運動する。各フィンガー190は図1に示すようなタイプの前後の壁(図示せず)
の間で摺動する。各カムが回転すると、カム面に応じて対応するフィンガー190が上下に動く。可撓管192が圧盤180上に配置されると、フィンガー190は順次管に押圧されて閉塞を行い、上記したように管中の液体を押しやる。
以上説明したように、管の壁厚は変化するので、ずんどうなフィンガー190による管の押圧は管を損傷し易い。この点を回避すべく、ピンチフィンガー192を用いて各フィンガー190の中央部を完全に閉塞するようにする。適宜なピンチフィンガーの例を図12,13に示す。
図12の実施例においては、フィンガー194は各フィンガー190の端部のT字形スロット196中に摺動可能に収受されている。フィンガー194は圧盤に対して所定の距離接近離間する。バネ198がフィンガー194を圧盤180の方に付勢する。したがってカム188が対応するピンチフィンガー190を可撓管192の方に動かすと、フィンガー194の頭部が管を閉塞し始める。管192が完全に閉塞されると、フィンガー194はバネ198に抗してフィンガー190内に没入し、頭部が管内に過剰に突出して損傷するのを防止する。
図13に示すのはピンチフィンガー194の他の実施例であって、ここではピンチフィンガー194はポンプフィンガーの端部を横切る凸状の形をしている。このポンプフィンガーが対応するカム188により管192の方に動かされると、ピンチフィンガーは横断線に沿って管を閉塞する。フィンガー194が管192対して過度に押圧されると若干の損傷は起きるが、全ポンプフィンガーが管に対して同様に過度に押圧された場合よりは、損傷が少なくなる。管の壁が均一な厚さの場合には、この実施例は秀れた効果を発揮する。壁圧が変化する場合には図12のものの方がよい。
以上種々の形態などのパラメータを記載したが、当業者が可能な限りにおいて種々の変更を加えることができるものであり、この発明はそのような思想をも含有するものである。

Claims (19)

  1. 圧盤と、該圧盤から離間配置されている回転可能なカム手段と、カム手段を第1の方向に回転させる駆動手段と、それぞれがカム手段に係合している第1の端部と圧盤に近接した第2の端部とを具えた複数のポンプフィンガーと、ポンプフィンガーを半径方向に案内するガイド手段とを有しており、
    上記のカム手段が、第1にポンプフィンガーを圧盤の方に順次接近させ第2にポンプフィンガーを圧盤から順次離間させるように、形成されており、
    各ポンプフィンガーが、第2の端部を超えてかつ横切って延在するピンチフィンガー、を有しており、
    可撓管が圧盤とポンプフィンガーの第2の端部との間に配置されて、ポンプフィンガーが順次圧盤の方に動かされると、可撓管中の液体が第1のカム回転方向に押しやられ、各ポンプフィンガーが圧盤の最も近い位置に達したときに各ピンチフィンガーが可撓管を閉塞する
    ことを特徴とする蠕動ポンプ。
  2. 前記のポンプが湾曲した凹状の圧盤を具えた回転ポンプである
    ことを特徴とする請求項1に記載の蠕動ポンプ。
  3. 前記のポンプが平らな圧盤を有するリニアーポンプである
    ことを特徴とする請求項1に記載の蠕動ポンプ。
  4. さらに歪み計手段が一群のポンプフィンガーの各端部の近傍において可撓管に係合していて、該位置における可撓管の膨張度に対応した電気信号を発生する
    ことを特徴とする請求項1に記載の蠕動ポンプ。
  5. 各ポンプフィンガーが第2の端部を越えて延在しているピンチフィンガーを有しており、各ピンチフィンガーがポンプフィンガー第2の端部中の横断スロットを通って延在する摺動体を有しており、さらに各ピンチフィンガーを横断スロットより外側にピンチフィンガーを付勢する手段が設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の蠕動ポンプ。
  6. 各ポンプフィンガーが横断スロットと連通する横断凹部を有しており、該凹部内のベース体がピンチフィンガーを横断スロット中に支持しており、かつベース体とピンチフィンガーに対向する凹部の壁との間に圧縮バネが介設されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の蠕動ポンプ。
  7. 圧盤に対向する各ポンプフィンガー中の凹部内にピンチフィンガーが収受されており、各ピンチフィンガーは圧盤を越えて対向するポンプフィンガーの方に延在する摺動ピンチフィンガーを有しており、各ピンチフィンガーを対向するポンプフィンガーの方に付勢する手段が設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の蠕動ポンプ。
  8. 各ポンプフィンガーが第1の端部にカム手段に係合して転がる回転ローラーを支承している
    ことを特徴とする請求項1に記載の蠕動ポンプ。
  9. さらに前記の圧盤をカム支持ケースに取り付ける開放可能なボルト(22)とフック延長部(24)の組合せが設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の蠕動ポンプ。
  10. 前記のカム手段が平行な前後の板の間に回転可能に支持されており、前後の板中の協働する1対の半径溝を有したガイド手段が設けられており、各ポンプフィンガーの側方延長部が1対の溝に半径方向に摺動する
    ことを特徴とする請求項1に記載の蠕動ポンプ。
  11. カム手段が単一のカムである
    ことを特徴とする請求項2に記載の蠕動ポンプ。
  12. カム手段が圧盤から離間した回転カム集合体である
    ことを特徴とする請求項1に記載の蠕動ポンプ。
  13. カム集合体が1個の軸に取り付けられた複数の隣接するカムを有しており、これらのカムの山が順次半径方向にずれている
    ことを特徴とする請求項1に記載の蠕動ポンプ。
  14. 前記のピンチフィンガーがポンプの第2の端部内の横断スロットを通って延在している摺動体を有しており、各ピンチフィンガーを横断スロットの外側に延在する方向に付勢する手段が設けられている
    ことを特徴とする請求項3に記載の蠕動ポンプ。
  15. 各ピンチフィンガーがポンプフィンガーの第2の端部上の横断凸状である
    ことを特徴とする請求項3に記載の蠕動ポンプ。
  16. 各ポンプフィンガーが横断スロットと連通する横断凹部を有しており、この凹部内のベース体がピンチフィンガーを横断スロット内に支持しており、ベース体とピンチフィンガーに対向する凹部の壁との間には圧縮バネが介設されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の蠕動ポンプ。
  17. 各ピンチフィンガーがポンプの第2の端部内の横断スロットを通って延在している摺動体を有しており、各ピンチフィンガーを横断スロットの外側に延在する方向に付勢する手段が設けられている
    ことを特徴とする請求項3に記載の蠕動ポンプ。
  18. 各ポンプフィンガーに対向して圧盤上にはピンチフィンガー頭部が載設されており、圧盤上の管を横切って圧盤の表面上を越えて各頭部が延在している
    ことを特徴とする請求項2に記載の蠕動ポンプ。
  19. 各頭部はピンチフィンガー上に取り付けられており、各頭部が所定の距離だけ対向するポンプフィンガーの方にスロットから延在可能であり、各ピンチフィンガーが付勢手段により各頭部をスロットから延在するように付勢されている
    ことを特徴とする請求項18に記載の蠕動ポンプ。
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