JP3957164B2 - 重合性化合物、それを含有する液晶性組成物、及びその重合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光重合架橋性を有する化合物、それを含有する液晶性組成物、及びその重合体に関するものであり、特に、架橋状態において光学構成成分、パターニングされた構造体、又は電子材料構成成分として使用できる液晶性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶化合物は液晶表示装置に使用される以外にも、その光学的、機械強度的、電気的異方性を利用した、位相差膜や導波路、回析格子、光学フィルター、高強度繊維、導電性異方材料等の構成材料としても盛んに研究がなされている。後者の用途の場合、液晶の流動性がその用途にとって不具合となるため、これを固体化する試みが為されている。例えば、特開平5−61039号公報には、高分子液晶を用いて、ガラス転移温度以上に加熱して、液晶相を示す温度領域で配向熟成を行った後、急冷してガラス状態にして液晶分子の配向を固定化する方法が記載されている。また、「液晶」、<3(1)>、34(1999)に記載されているような、液晶性モノマー又はジアクリレートモノマーを光重合させることによって、配向を固定化する方法も知られている。
【0003】
しかし、これらの方法を用いて固定化された膜や構造体は、比較的低いガラス転移温度を示すために、高温での使用時に配向が乱れて、光学異方性などの性質が大きく変化する。また、膜強度が低いばかりでなく、損傷も受け易く、更に、溶媒等の薬品に対する耐性も低いという欠点があった。
また、特開平8−104870号公報には、3官能性の重合性基を有する重合性液晶化合物が示されている。しかし、この重合性液晶化合物は2官能性液晶化合物との混和性が低いという問題点がある。また、特開平7−278060号公報には、2官能性の重合性液晶化合物を連結した形の4官能性の重合性液晶化合物が示されている。しかし、この重合性液晶化合物も屈折率の異方性が小さくなるという欠点を有していた。
【0004】
また、特表2001−503794号公報には、重合性基を含有するポリエステルが示されている。しかしながら、この化合物は、液晶性を示すことはないと考えられ、公報中に液晶性に関する記述はない。
また、特開2000−328063号公報には、アクリル酸エステル系の共重合体である側鎖型液晶性ポリマーの末端に重合性基を含有する高分子液晶性化合物が示されている。しかしながら、この化合物はラジカル重合により合成されるため、ラジカル重合性を有する重合性基はポリマー合成後に導入する必要があり、合成が煩雑であるという問題を有している。
【0005】
一方、液晶性ポリエステルは特開2001−342243号、特開2001−114875号、特開2000−344876号等の公報により公知である。このような液晶性ポリエステルの構成成分の1つを重合性基を有する化合物にすれば、一分子中に重合性基を多数もつ液晶性化合物が得られることとなるが、その様な例は未だ知られていないのが現状である。
また、高分子液晶性化合物は、室温においてガラス状態をとり得る性質をもっている場合も多く、支持体上に塗布された液晶性組成物を転写等する場合にも、取り扱いの点で有利である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、重合体の高温使用時における光学的性質等の特性が変化せず、また膜強度や耐スクラッチ性などの機械的特性に優れる膜を形成し得る重合性の化合物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の以下の重合性化合物及びこれを用いる液晶性組成物並びにその重合体を提供することによって解決される。即ち、本発明は、
<1> 少なくとも下記一般式(I)及び一般式(II)で表される構造単位からなることを特徴とする重合性基含有ポリエステル。
【化3】
〔一般式(I)中、6員環Aはベンゼン環又はシクロヘキサン環を表し、該6員環Aの水素原子は更にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよい。Pは上記構造式群(P)で表されるいずれか1つの重合性基を表す。構造式群(P)中、Wは水素原子又はメチル基を表し、Tは酸素原子又はNR 4 を表し、該R 4 は水素原子またはアルキル基を表し、gは0又は1を表す。一般式(I)中、Lは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アラルキレン基を表す。Xは単結合、−O−、−COO−、−CONH−、−NHCO−、−CH2O−、−CH2N(R1)−、−CH2N(R2)CO−、−CH2O・CO−を表し、該R1及びR2は水素原子、アルキル基を表す。一般式(II)中のBは総炭素数が6〜40の二価の芳香族基を表す。〕
<2> 下記一般式(III)で表される重合性化合物。
【化4】
〔一般式(III)中、6員環Aはベンゼン環又はシクロヘキサン環を表し、該6員環Aの水素原子は更にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよい。Pは上記構造式(A)で表される重合性基を表し、Wは水素原子又はメチル基を表し、TはNR 4 を表し、R 4 は炭素数1〜20のアルキル基を表す。一般式( III )中、Lは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アラルキレン基を表す。Xは単結合、−O−、−COO−、−CONH−、−NHCO−、−CH2O−、−CH2N(R1)−、−CH2N(R2)CO−、−CH2O・CO−を表し、該R1及びR2は水素原子、アルキル基を表す。〕
<3> 少なくとも上記<1>に記載の重合性化合物を含有する液晶性組成物。
<4> 少なくとも上記<1>に記載の重合性化合物と光学活性化合物とを含有する液晶性組成物。
<5> 少なくとも上記<1>に記載の重合性化合物と分子内に重合性基を1個又は2個有する液晶性化合物とを含有する液晶性組成物。
<6> 上記<3>乃至<5>に記載の液晶性組成物を重合硬化してなる重合体。
【0008】
【発明の実施の形態】
(一般式(I)の構造単位)
最初に、下記一般式(I)で表される本発明の重合性基含有ポリエステルの構造単位について、詳細に説明する。
【化5】
【0009】
一般式(I)において、Pは、下記構造式群(P)で表されるいずれか1つの重合性基を表す。
【化6】
上式中のR4で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数が1〜20のアルキル基が好ましく、特に炭素数が1〜12のアルキル基が好ましい。
【0010】
これらの重合性基の中でも、付加重合し得る重合性基が好ましく、特に下記重合性基が好ましい。
【化7】
【0011】
一般式(I)において、Lは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アラルキレン基を表す。
Lで表されるアルキレン基としては、置換基を有していてもよく、炭素数が1〜20のアルキレン基が好ましく、特に炭素数が2〜12のアルキレン基が好ましい。該置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基、アルケニル基等が好ましい。また、アルキレン鎖中の1個の炭素原子又は隣接しない2個以上の炭素原子は、酸素原子又は硫黄原子で置き換えられてもよい。上記アルキレン基の具体例としては、エチレン基、ブチレン基、1−メチル−エチレン基、−(CH2)2O(CH2)2−等が挙げられる。
【0012】
Lで表されるアルケニレン基としては、置換基を有していてもよく、炭素数が2〜20のアルケニレン基が好ましく、特に炭素数が2〜12のアルケニレン基が好ましい。該置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基が好ましい。上記アルケニレン基の具体例としては、−CH2CH=CHCH2−、−CH2CH2CH=CHCH2−等が挙げられる。
【0013】
Lで表されるアラルキレン基としては、置換基を有していてもよく、炭素数が8〜30のアラルキレン基が好ましく、特に炭素数が8〜20のアラルキレン基が好ましい。該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニル基が好ましい。上記アラルキレン基の具体例としては、下記のアラルキレン基等が挙げられる。
【化8】
【0014】
以上、Lで表される基の中でも、特にアルキレン基又は単結合が好ましい。
【0015】
一般式(I)において、Xは単結合、−O−、−COO−、−CONH−、−NHCO−、−CH2O−、−CH2N(R1)−、−CH2N(R2)CO−、−CH2O・CO−を表し、該R1及びR2は水素原子、アルキル基を表す。
【0016】
R1及びR2で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、炭素数が1〜12のアルキル基が好ましく、特に炭素数が1〜8のアルキル基が好ましい。該置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基等が挙げられる。R1及びR2で表される基としては、特にアルキル基が好ましい。
【0017】
以上、Xで表される基の中でも、−COO−、−CONH−、−NHCO−、−CH2N(R1)−が好ましく、特に−COO−、−CH2N(R1)−が好ましい。
【0018】
一般式(I)において、6員環Aはベンゼン環又はシクロヘキサン環を表し、該6員環Aの水素原子は更にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよい。
【0019】
Aで表される6員環としては、下記に示す6員環▲1▼〜▲6▼が好ましい。
【化9】
上式中、Y1〜Y4はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表す。
【0020】
Y1〜Y4で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、特に塩素原子、臭素原子が好ましい。
Y1〜Y4で表されるアルキル基としては、炭素数が1〜8のアルキル基が好ましく、特に炭素数が1〜4のアルキル基が好ましい。
Y1〜Y4で表されるアルコキシ基としては、炭素数が1〜8のアルコキシ基が好ましく、特に炭素数が1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0021】
上記に示した6員環▲1▼〜▲6▼の中でも、6員環▲1▼、▲2▼、▲3▼が好ましく、特に▲1▼の6員環が好ましい。
【0022】
本発明の一般式(I)で表される構造単位の具体例を、下記に示す。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】
【化12】
【0026】
(一般式(II)の構造単位)
次に、下記一般式(II)で表される本発明の重合性基含有ポリエステルの構造単位について説明する。
【化13】
【0027】
一般式(II)中のBで表される二価の置換基は、総炭素数が6〜40の二価の芳香族基である。ここで二価の芳香族基とは、ベンゼン環やナフタレン環等の芳香環を表すものの他、これら芳香環に共役する二重結合又は三重結合を有するものも含む。また、一般式(II)において、カルボニル基と結合する部分が芳香族基であれば、その間に芳香族基以外の二価の置換基を介していてもよい。
【0028】
本発明の構造単位である一般式(II)において、Bは、下記に掲げるもの(6−1〜6−6)が好ましく、この中でも特に、6−1、6−2、6−3が好ましい。
【化14】
【0029】
上式中のL21〜L29は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基が好ましく、特にハロゲン原子、アルキル基が好ましい。また、i〜qは0〜3の整数であり、特に0が好ましい。
【0030】
上式中のG1〜G4は、それぞれ独立に単結合、−O−、−S−、−O−CO−、−COO−、−O−COO−、−O−CO−N(R11)−、−N(R12)−COO−、−N(R13)−CO−、−CO−N(R14)−、−N(R15)−CO−N(R16)−を表し、この中で、単結合、−O−、−O−CO−N(R11)−、−N(R12)−COO−、−N(R13)−CO−、−N(R15)−CO−N(R16)−が好ましく、特に単結合、−O−、−N(R13)−CO−が好ましい。ここで、R11〜R16は水素原子又はアルキル基であり、A1及びA2と結合するのは、右側の結合手である。
【0031】
R11〜R16で表される上記アルキル基は、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、総炭素数1〜8のアルキル基が特に好ましい。置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基等が挙げられる。
【0032】
上式中のA1とA2は、それぞれ独立にアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を表し、この中でも、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基が好ましく、特にアルキレン基、アリーレン基が好ましい。
【0033】
A1とA2で表されるアルキレン基としては、置換基を有していてもよく、直鎖状でも分岐状でも環状でもよく、総炭素数が1〜28のアルキレン基が好ましく、総炭素数が2〜20のアルキレン基が特に好ましい。該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。また、一つ又は隣接しない二つ以上のCH2が、酸素原子、硫黄原子、前記G1基で置き換わっていてもよく、又アルキレン鎖中にアリール基が含まれていてもよい。
【0034】
A1とA2で表されるアルケニレン基としては、置換基を有していてもよく、直鎖状でも分岐状でも環状でもよく、総炭素数が2〜28のアルケニレン基が好ましく、総炭素数が2〜20のアルケニレン基が特に好ましい。該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0035】
A1とA2で表されるアルキニレン基としては、総炭素数が2〜28のアルキニレン基が好ましく、総炭素数が2〜20のアルキニレン基が特に好ましい。
【0036】
A1とA2で表されるアリーレン基としては、置換基を有していてもよく、総炭素数が6〜28のアリーレン基が好ましく、総炭素数が6〜20のアリーレン基が特に好ましい。該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0037】
上式中のL21〜L29で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、特にフッ素原子、塩素原子が好ましい。
【0038】
上式中のL21〜L29で表されるアルキル基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、総炭素数1〜8のアルキル基が特に好ましい。置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0039】
上式中のL21〜L29で表されるアリール基、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数6〜20のアリール基が好ましく、総炭素数6〜15のアリール基が特に好ましい。置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0040】
上式中のL21〜L29で表されるアルコキシ基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましく、総炭素数1〜8のアルコキシ基が特に好ましい。置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0041】
以下、本発明で用いられる芳香族ジカルボン酸成分の具体例(例示構造単位A−1〜A−24)を示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
【0042】
【化15】
【0043】
【化16】
【0044】
【化17】
【0045】
また、本発明の一般式(II)で表される構造単位は、上記の芳香族ジカルボン酸成分と共に一般式(II)においてBが二価の脂肪族基であるもの(以下、脂肪族ジカルボン酸成分という。)を含有してもよく、或いは脂肪族ジカルボン酸成分を単独で用いてもよい。ここで二価の脂肪族基とは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基をいうものとする。
【0046】
上記のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基は、それぞれ前記のA1とA2で表されるアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基と同義である。
【0047】
以下、本発明で用いられる脂肪族ジカルボン酸成分の具体例(例示構造単位B−1〜B−7)を示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
【0048】
【化18】
【0049】
また、本発明では、前記ジカルボン酸成分と共に、モノカルボン酸成分を含有してもよい。併用する場合のモノカルボン酸成分の含有量は、全構成成分の1〜40モル%が好ましく、特に1〜30モル%が好ましい。
【0050】
このようなモノカルボン酸成分としては、芳香族カルボン酸或いは脂肪族カルボン酸のいずれでもよく、具体例としては、次に掲げるもの(C−1〜C−9)が挙げられる。
(C−1)酢酸、 (C−2)ヘキサン酸、(C−3)オレイン酸
(C−4)ケイ皮酸、(C−5)安息香酸、 (C−6)p−トルイル酸
(C−7)p−フルオロ安息香酸、(C−8)p−メトキシカルボニル安息香酸、
【化19】
【0051】
本発明の光学活性ポリエステルには、下記に示す一般式(IV)で表される構造単位(以下、二価アルコール成分という。)を含んでいてもよい。
−O−C−O− 一般式(IV)
〔一般式(IV)中のCは、二価の置換基を表す。〕
但し、一般式(IV)は前記一般式(I)を表さないものとする。このような二価アルコール成分としては、Cで表される二価の置換基が二価の芳香族基であること、即ち、芳香族二価アルコール成分であることが好ましい。該芳香族二価アルコール成分とは、ベンゼン環、ナフタレン環の芳香環に水酸基が直接結合しているものの他に、これらの芳香環に共役する二重結合又は三重結合を介して水酸基が結合しているものも含む。また、一般式(IV)において、酸素原子と結合する部分が芳香族基であれば、その間に芳香族基以外の二価の置換基を介していてもよい。
【0052】
本発明に用いる芳香族二価アルコール成分としては、下記に掲げるもの(C−1〜C−5)が好ましく、この中でも特に、C−1とC−2が好ましい。
【化20】
【0053】
上式中のL31〜L38は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、シアノ基を表し、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基が好ましく、特にハロゲン原子、アルキル基が好ましい。また、r〜yは0〜3の整数であり、0、1、2が好ましく、特に0、1が好ましい。
【0054】
L31〜L38で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、特にフッ素原子、塩素原子が好ましい。
【0055】
L31〜L38で表されるアルキル基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、総炭素数1〜8のアルキル基が特に好ましい。置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0056】
L31〜L38で表されるアリール基、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数6〜20のアリール基が好ましく、総炭素数6〜15のアリール基が特に好ましい。置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0057】
L31〜L38で表されるアルコキシ基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましく、総炭素数1〜8のアルコキシ基が特に好ましい。置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0058】
L31〜L38で表されるアルコキシカルボニル基としては、無置換でも置換基で置換されていてもよく、総炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基が好ましく、総炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基が特に好ましい。置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0059】
上式中のG6〜G9は、それぞれ独立に単結合、−O−、−S−、−O−CO−、−COO−、−O−COO−、−O−CO−N(R21)−、−N(R22)−COO−、−N(R23)−CO−、−CO−N(R24)−、−N(R25)−CO−N(R26)−を表し、この中でも、単結合、−S−、−COO−、−N(R23)−CO−、−CO−N(R24)−、−N(R25)−CO−N(R26)−が好ましく、特に単結合、−S−、−N(R23)−CO−が好ましい。ここで、R21〜R26は水素原子又はアルキル基であり、A4及びA5と結合するのは、右側の結合手である。
上式中のA4及びA5は、前述のA1及びA2に同じである。
上式中のG5は、単結合、−O−、−S−、−SO2−、−CO−を表し、この中でも、単結合、−O−、−SO2−、−CO−が好ましく、特に単結合、−O−、−SO2−が好ましい。
【0060】
R21〜R26で表される上記アルキル基は、前述のR11〜R16で表されるアルキル基と同義である。
【0061】
以下、本発明で用いられる芳香族ジオール成分の具体例(例示構造単位D−1〜D−16)を示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
【0062】
【化21】
【0063】
【化22】
【0064】
また、本発明の一般式(IV)で表される構造単位は、上記の芳香族ジオール成分と共に、一般式(IV)においてCが二価の脂肪族基であるもの(以下、脂肪族ジオール成分という。)を含有してもよく、或いは一般式(I)のジオール成分及び脂肪族ジオール成分を単独で用いてもよい。
脂肪族ジオール成分とは、一般式(I)のジオール成分及び前記の芳香族ジオール成分以外のジオール成分を指す。
【0065】
このような脂肪族ジオール成分としては、Cがアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基であることが好ましい。これらのアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基は、前記のA1又はA2で表されるものと同義である。
【0066】
以下、本発明で用いられる脂肪族ジオール成分の具体例(例示構造単位E−1〜E−9)を示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
【0067】
【化23】
【0068】
また、本発明では、前記ジオール成分と共に、モノアルコール成分を含有してもよい。併用する場合のモノアルコール成分の含有量は、全構成成分の1〜40モル%が好ましく、特に1〜30モル%が好ましい。
【0069】
このようなモノアルコール成分としては、芳香族アルコール或いは脂肪族アルコールのいずれでもよく、具体例としては、次に掲げるもの(F−1〜F−11)が挙げられる。
(F−1)メタノール、(F−2)エタノール、(F−3)プロパノール、(F−4)デシルアルコール、(F−5)アリルアルコール、(F−6)ベンジルアルコール、(F−7)フェノール、(F−8)クレゾール、(F−9)p−メトキシフェノール、
【化24】
【0070】
(一般式(III)の重合性化合物)
本発明の下記一般式(III)で表される重合性化合物は、前記一般式(I)で表される重合性基含有ポリエステルを製造する際の中間体として有用である。
【0071】
【化25】
【0072】
一般式(III)中、6員環Aはベンゼン環又はシクロヘキサン環を表し、該6員環Aの水素原子は更にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよい。Pは上記構造式(A)で表される重合性基を表し、Wは水素原子又はメチル基を表し、TはNR 4 を表し、R 4 は炭素数1〜20のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基を表し、R 4 で表されるアルキル基は置換基を有していてもよい。一般式( III )中、Lは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アラルキレン基を表す。Xは単結合、−O−、−COO−、−CONH−、−NHCO−、−CH2O−、−CH2N(R1)−、−CH2N(R2)CO−、−CH2O・CO)−を表し、該R1及びR2は水素原子、アルキル基を表す。
【0073】
一般式(III)における上記の6員環A、及び二価の基LとXは、前述した一般式(I)における6員環A、及び二価の基L及びXとそれぞれ同義であり、好ましい官能基も同様である。
【0074】
(重合性基含有ポリエステルの製造方法)
本発明の一般式(I)で表される構造単位に対応する一般式(III)のジオールは、例えば、下記に示す反応式(1)に従う方法により製造することができる。
【0075】
【化26】
【0076】
即ち、化合物(Y−1)の水酸基をアセチル化後、カルボン酸とアルコールとの縮合で化合物(Y−3)を得る。この縮合反応は、DCC等の縮合剤を用いてもよいし、化合物(Y−2)を酸塩化物に変換した後に、アルコールとエステル化させてもよい。化合物(Y−3)から化合物(Y−4)への脱Ac化反応は通常の方法、又は「Synthesis」<438>(1989)に記載の方法により行うことができる。
一方、化合物(Y−2)とアルコールとの反応に代えて、化合物(Y−2)とアミンとの反応にすれば、同様な方法で、化合物(Y−5)を得ることができる。
【0077】
また、例えば、下記反応式(2)に従う方法により製造することができる。
【化27】
【0078】
即ち、化合物(Y−6)と1級アミンとの反応により、化合物(Y−7)を得る。化合物(Y−7)を還元して化合物(Y−8)を得る。化合物(Y−8)と(メタ)アクリル酸、又は(メタ)アクリル酸クロリドとの反応で化合物(Y−9)が得られる。また、化合物(Y−8)と重合性基含有カルボン酸との反応により化合物(Y−10)が得られる。この反応は、カルボン酸を一旦酸クロリドに変換して行ってもよい。
【0079】
また、下記反応式(3)に従う方法により製造することができる。
【化28】
【0080】
即ち、化合物(Y−11)とカルボン酸とのアミド化反応により、化合物(Y−12)を得ることができる。本反応では、カルボン酸の代わりにカルボン酸クロリドを用いてもよい。
【0081】
また、下記反応式(4)に従う方法により製造することができる。
【化29】
【0082】
即ち、化合物(Y−13)の水酸基を全てアシル化した後に、環Aに結合したアシルオキシ基を脱保護する方法により化合物(Y−15)を得ることができる。この反応も前記の方法に準じて行うことができる。
【0083】
一般式(II)で表される構造単位に対応するジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体は、市販品又は公知の方法で合成したものを用いることができる。
【0084】
本発明の重合性基含有ポリエステルの製造は、一般式(I)で表される構造単位に対応するジオール、及び一般式(II)で表される構造単位に対応するジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体との重縮合反応により行われる。この際一般式(IV)で表される構造単位に対応するジオール、モノカルボン酸、若しくはモノカルボン酸誘導体、又はモノアルコール等を共存させておいてもよい。
モノカルボン酸成分、モノアルコール成分は、重縮合反応の初期から共存させておいてもよいし、反応途中または反応を停止させるために加えてもよい。
【0085】
ポリエステル化反応は、例えば、「新高分子実験学第3巻 高分子の合成・反応(2)、縮合系高分子の合成」(高分子学会編、共立出版、1996年)77〜95頁を参考に行うことができる。
【0086】
本発明の重合性基含有ポリエステルの製造においては、酸成分として酸クロリドを用いる重縮合反応が好ましい。この場合、塩基を用いてもよく、塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、DBU等が挙げられる。
本反応に用いる溶媒は、THF、DMF、N−メチルピロリドン、アセトニトリル等が挙げられる。
【0087】
一般式(I)で表される構造単位の含量は、所望の液晶性、分子量、溶解性等に応じて、全構成成分の10〜90モル%が好ましく、特に20〜80モル%が好ましい。
一般式(I)で表される構造単位等のジオール成分と一般式(II)で表される構造単位等のジカルボン酸成分の仕込組成は、モル比で(ジオール成分)/(ジカルボン酸成分)の値として80/20〜20/80が好ましく、70/30〜30/70が特に好ましい。
【0088】
本発明のポリエステルのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)としては2,000〜50,000であることが好ましく、2,000〜20,000であることがより好ましい。
【0089】
(液晶性組成物)
本発明の一般式(I)で表される重合性化合物は、それ自身液晶性を示すことは必ずしも必要ではなく、他の液晶性化合物との混合物において、液晶性を示すような組成比で混合することにより、液晶性組成物として好適に使用することができる。更に、高分子液晶が用いられる用途にも適用可能である。
【0090】
本発明の前記一般式(I)の重合性化合物を含む液晶性組成物に、光学活性化合物を添加することにより、コレステリック相或いはカイラルスメクチック相を誘起することもできる。この場合の光学活性化合物の含有量としては、液晶性組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、特に2〜15質量%が好ましい。
このような光学活性化合物としては、公知の光学活性化合物を使用することができる。例えば、特開2000−44451号公報、特表平10−509726号公報、WO98/00428、特表2000−506873号公報、特表平9−506088号公報、特願2000−382516号公報等に記載されている光学活性化合物を用いることができる。
【0091】
本発明の重合性化合物を他の液晶性化合物と混合して用いる場合には、当該液晶性化合物としては、その屈折率異方性Δnが、0.10〜0.40の液晶化合物、高分子液晶化合物、重合性基を1又は2個有する液晶性化合物の中から適宜選択することができる。例えば、スメクティック液晶化合物、ネマチック液晶化合物などを挙げることができ、中でも、ネマチック液晶化合物が好ましい。
前記液晶性化合物は、溶融時の液晶状態にある間に、例えばラビング処理等の配向処理を施した配向基板を用いる等により配向させることができる。また、液晶状態を固相にして固定化する場合には、冷却、重合等の手段を用いることができる。
【0092】
前記重合性基を1又は2個有する液晶性化合物の具体例としては、WO95/22586、特願2000−51089、特願2000−68479、特願平11−91162に記載の化合物を挙げることができる。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。このような液晶性化合物の一例を下記に示す。
【0093】
【化30】
【0094】
【化31】
【0095】
前記液晶性化合物の含有量としては、液晶性組成物の全固形分(質量)の10〜90質量%が好ましく、特に20〜80質量%が好ましい。
【0096】
(その他用途)
本発明の一般式(I)の重合性化合物はクロロホルム、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等の通常の溶媒に良く溶解し又その際の粘度もあまり高くないので、スピンコート法等の方法により容易に基板に被覆することができる。更に、本発明の化合物は光重合性を有するので、紫外線を照射することにより容易に重合させることができる。
【0097】
また、本発明の重合性化合物を含む組成物を液晶相を示す温度において重合させる(たとえば光重合)と、得られる重合体は光学異方性等の異方性を示し、そしてこの重合体は、従来の2官能性の重合性液晶化合物からの重合体に比べ硬度や強度に優れているので、従来のものより耐摩耗性の良好な光学フィルムが得られる。また、その耐摩耗性のため、光学フィルムに限らず、耐摩耗性が要求される種々の被覆剤に適用することが可能である。
【0098】
本発明の前記一般式(I)で表される重合性化合物は、重合性特に光重合性を有し、重合性モノマー特に光重合性モノマーとして一般的に用いられる用途に適用可能である。
例えば、本発明の重合性化合物は、その重合性(光重合性)を利用して印刷回路板製造用、マイクロリソグラフィー用、光ファイバーコーティング用、磁気記録媒体塗料用、インク用、接着剤用、歯科材用、医科材用等に応用することができる。
その際、適宜他の重合性モノマーを組み合せて使用することができる。
更に、本発明の重合性化合物は従来の重合性液晶化合物との相溶性も良好であり、両者の混合物は、広い温度範囲にわたり液晶の性質を示すので、該混合物を重合させた場合、良好な光学異方性(複屈折)が得られる。また、従来の重合性液晶化合物に本発明の重合性化合物を添加して重合させた場合、得られる膜等の硬度、強度、耐スクラッチ性等の機械的性質も改善される。
【0099】
本発明はまた、前記一般式(I)で表される重合性化合物を含む組成物及びその重合体にも関する。該組成物には、前記一般式(I)で表される重合性化合物の他、他の重合性モノマー、従来の1又は2官能性の重合性液晶化合物、高分子液晶、光学活性或いはコレステリック液晶化合物、重合開始剤、有機色素、分光増感剤、界面活性剤等を含有させることができる。そして、該組成物はコレステリックカラーフィルター、位相差膜、オーバーコート層等の他、前記の本発明の重合性化合物の用途において述べた用途にも使用することができる。
【0100】
また、本発明の重合性化合物、又はこれを含む組成物から、カラーフィルター、位相差膜、STN素子用光学補償膜、拡散フィルム等の光学フィルムを作製することができる。光学フィルムは、本発明の重合性化合物、又はこれを含む組成物の粘度を適宜溶剤により調節し、更に必要に応じ重合触媒を加えた後、基体上に塗布し重合させるなどによって作製される。
【0101】
【実施例】
以下に、実施例を示し本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。尚、本実施例において「部」及び「%」は全て、「質量部」及び「質量%」を表す。
【0102】
[実施例1](構造単位1−2に対応するジオールの合成)
次に示す合成手順に従って、下記ジオール化合物(Z−1)を合成した。
2、5−ジヒドロキシ安息香酸50mmol(7.71g)、アセトニトリル50ml及びピリジン0.2mol(15.8g)の混合物に、氷冷下で無水酢酸0.155mol(15.8g)を滴下した。その後室温で2.5時間攪拌した後に、希塩酸に投下して、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルを留去後、酢酸エチル/n−ヘキサンより再結晶して、2,5−ジアセトキシ安息香酸を8.38g得た。収率は70%であった。
【0103】
上記で得られた2、5−ジアセトキシ安息香酸5mmol(1.19g)、触媒量のジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフランの混合物に塩化オキザリル6mmol(0.51ml)を滴下した。その後室温で1時間攪拌した後、溶媒を留去した。この残渣物にアセトニトリル10ml、及びアクリル酸(2−ヒドロキシエチル)エステル5mmol(0.58g)を加え、氷冷下にトリエチルアミン5.5mmol(0.77ml)を滴下した。その後室温で1時間攪拌した後、水中に投下して、酢酸エチルで抽出した。この酢酸エチルを留去して、2,5−ジアセトキシ安息香酸(2−アクリロイルオキシエチル)エステルを油状層として1.36g得た。収率は81%であった。
【0104】
上記で得られたエステルと、水で飽和したトルエン100ml、及び「Synthesis」<438>(1989)に記載の方法により調製したP−トルエンスルホン酸/シリカゲル7.5gの混合物を80℃で15分間攪拌した。この反応混合物を硫酸マグネシウムで乾燥した後に濾過した。溶媒を留去して得られた油状層をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物(Z−1)を0.88g得た。収率は65%であった。
【0105】
上記で得られた化合物を1H−NMR(CDCl3)解析により同定した結果を下記に示す。δ(in ppm from TMS);
7.29(s、1H)、7.04(d、1H)、6.87(d、1H)、6.47(d、1H)、6.16(dd、1H)、5.89(d、1H)、5.13(s、1H)、4.61−4.47(m、4H)
【0106】
【化32】
【0107】
[実施例2](構造単位1−6に対応するジオールの合成)
次に示す合成手順に従って、下記ジオール化合物(Z−2)を合成した。
2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド72mmol(10g)及びテトラヒドロフラン100mlの混合物に、ブチルアミン80mmol(7.9ml)を添加した。その後反応混合物を室温で1時間攪拌した後、10%Pd/C(50%wet品)を2.80g添加し、水素ガスを通じた。1時間攪拌した後、パラジウム触媒をセライト濾過により除き、濾液を濃縮し、2−ブチルアミノメチルベンゼン−1,4−ジオールの粗結晶を14.5g得た。
【0108】
上記で得られた粗結晶14.5g及びジメチルアセトアシド100mlの混合物に、アクリル酸クロリド82mmol(7.39g)を滴下した。室温で1時間攪拌した後に水中に投下して、酢酸エチルで抽出した。該酢酸エチルを留去後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(Z−2)を6.15g得た。収率は32%であった。
【0109】
得られた化合物を1H−NMR(CDCl3)で同定した結果を下記に示す。δ;
9.45(s、1H)、6.80(d、1H)、6.72(d、1H)、6.65(s、1H)、6.51−6.42(m、2H)、5.85−5.60(m、2H)、4.46(s、2H)、3.46−3.27(m、2H)、1.75−0.88(m、7H)
【0110】
【化33】
【0111】
[実施例3]構造単位(1−6)/(A−1)=4/5(モル仕込比)のポリエステルの合成
上記化合物(Z−2)1mmol、テトラヒドロフラン10ml、テレフタル酸クロリド1.25mmolの混合物に、氷冷下でトリエチルアミン2.5mmolを滴下した。その後室温で1時間攪拌した後、メタノール5mlを添加した。更に室温で1時間攪拌した後、水中に投下して、固体を濾取した。乾燥後、得られた固体をテトラヒドロフラン/n−ヘキサンで再沈精製して、白色固体物を0.3g得た。収率は68%であった。
得られた重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は3100であった。C 115−125℃ N >300℃ I
【0112】
[実施例4]構造単位(1−6)/(A−1)=4/5(モル仕込比)のポリエステルの合成
実施例3において、メタノール5mlを4−ヒドロキシ−4′−シアノビフェニル0.1gに変更したこと以外は、実施例3と同様にして白色固体を0.05g得た。収率は10%であった。
C 170℃ N >300℃ I
【0113】
[実施例5]構造単位(1−6)/(A−8)=4/5(モル仕込比)のポリエステルの合成
実施例3において、テレフタル酸クロリドをビフェニル−4、4′−ジカルボン酸クロリドに変更したこと以外は、実施例3と同様にして灰色固体を0.3g得た。収率は57%であった。
【0114】
[実施例6]構造単位(1−6)/(A−1)/(D−2)=3/5/1(モル仕込比)のポリエステルの合成
上記化合物(Z−2)1mmol、テレフタル酸クロリド1.65mmol、2−メチルヒドロキノン0.33mmol及びテトラヒドロフラン10mlの混合物に、氷冷下でトリエチルアミン3.3mmolのテトラヒドロフラン5mlの溶液を滴下した。その後室温で1時間攪拌した後、メタノール5mlを添加し、更に30分間攪拌した後に、水中に投下して固体を濾取した。この固体物を酢酸エチルで洗浄して、薄ピンク色の固体を0.3g得た。収率は56%であった。
ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は3100であった。
C 150−170℃ N >300℃ I
【0115】
[実施例7]構造単位(1−2)/(A−1)=4/5(モル仕込比)のポリエステルの合成
実施例3において、化合物(Z−2)を前記化合物(Z−1)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして白色固体を0.33g得た。収率は79%であった。
【0116】
[実施例8]構造単位(1−2)/(A−1)=2/3(モル仕込比)のポリエステルの合成
実施例7において、テレフタル酸クロリドの添加量を1.25mmolから1.5mmolに変更したこと以外は、実施例7と同様にして白色固体を0.3g得た。収率は65%であった。
【0117】
[実施例9]構造単位(1−2)/(A−1)/(B−1)=2/2/1(モル仕込比)のポリエステルの合成
上記化合物(Z−1)1mmol、テレフタル酸クロリド1mmol、セバシン酸クロリド0.5mmol、及びテトラヒドロフラン10mlの混合物に、氷冷下でトリエチルアミン3.0mmolのテトラヒドロフラン5mlの溶液を滴下した。その後室温で1時間攪拌した後、メタノールを加え更に30分間攪拌した。水を加えて固体を濾取し、メタノールで洗浄して白色粉末を0.1gの得た。収率は21%であった。
【0118】
[実施例10](液晶組成物)
下記の処方にて液晶組成物を調製した。
【化34】
【0119】
この溶液を、ガラス基板上に日立化成デュポン社製のポリイミド配向膜「LX−1400」を形成してラビング処理を行ったものに滴下し、1000rpmでスピンコートを行なった。次に、これを105℃で5分間保持した後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し、重合を行った。
この膜はラビング方向に光学軸を有する、光学異方性を示した。この膜のレターデーションは550nmの波長において210nmであった。
【0120】
[実施例11](コレステリック液晶組成物)
上記の配向膜付ガラス基板の該配向膜上に、下記処方にて調製した感光性樹脂層用塗布液をスピンコーターにより塗布し、これを100℃のオーブンで2分間乾燥して感光性樹脂層を形成した。
【0121】
【化35】
【0122】
次いで、ガラス基板の表面で接触する様に100℃のホットプレート上に5分間保持し、感光性樹脂層を発色させたところ、コレステリック液晶相由来の青色の選択反射が得られた。
【0123】
次に、窒素ガスを吹き付けながら超高圧水銀灯により照射エネルギー500mJ/cm2で全面を露光し、重合硬化した。
この膜の引掻き硬度をJIS−K5401に準拠した方法で測定したところ、3Hであった。一方、上記処方において、実施例7のポリエステルを用いないで化合物(Z)だけの場合の引掻き硬度は1Hであり、本発明の重合性化合物が共存することにより引掻き硬度が向上したことが分かった。
【0124】
【発明の効果】
本発明の重合性化合物(重合性基含有ポリエステル)は、通常の溶媒に良く溶解し又その際の粘度も高くないので、スピンコート法等の方法により容易に基板に被覆することができる。
本発明の重合性化合物から得られる重合体フィルムは光学異方性等の異方性を示し、また該フィルムは機械的強度や硬度に優れている。
更に、本発明の重合性化合物は従来の重合性液晶化合物との相溶性も良好であり、両者の混合物は、広い温度範囲に亙り液晶の性質を示すので、該混合物を重合させた場合、良好な光学異方性(複屈折)が得られる。また、従来の重合性液晶化合物に本発明の重合性化合物を添加して重合させた場合、得られる膜の強度や耐スクラッチ性等の機械的性質も改善される。
Claims (6)
- 少なくとも下記一般式(I)及び一般式(II)で表される構造単位からなることを特徴とする重合性基含有ポリエステル。
- 下記一般式(III)で表される重合性化合物。
- 少なくとも請求項1に記載の重合性化合物を含有する液晶性組成物。
- 少なくとも請求項1に記載の重合性化合物と光学活性化合物とを含有する液晶性組成物。
- 少なくとも請求項1に記載の重合性化合物と分子内に重合性基を1個又は2個有する液晶性化合物とを含有する液晶性組成物。
- 請求項3乃至5のいずれか一項に記載の液晶性組成物を重合硬化してなる重合体。
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