JP3956859B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラに搭載するオートフォーカス用測距モジュールなどに適用する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、本発明の実施対象となる頭記オートフォーカス用測距モジュールの全体構成を図3に示す(例えば、特許文献1参照。)。
図3において、1は左右一対のレンズ1L,1Rを備えた光学レンズ部、2は前記レンズ1L,1Rに対応する絞り穴2L,2Rを形成した絞り部、3は半導体光センサチップ4(以下「センサチップ」と呼称する)を搭載してセンサ部(半導体装置)を構成する樹脂パッケージであり、これら三つのパーツを図示のように各パーツを上下に重ね合わせて接着剤もしくは溶剤により結合した上で、内部にゲル状の透明充填材を充填して測距モジュールを構成している。
【0003】
ここで、樹脂パッケージ3は、その底部側中央にチップ搭載部3aを形成してその両サイドにデュアル・イン・ライン形のリード端子5をインサート成形した樹脂成形品になり、チップ搭載部3aの上面にセンサチップ(半導体チップ)4を実装している。また、センサチップ4は、基板上に左右のホトセンサアレイ4L,4Rを作り込んだ短冊形状で、前記のチップ搭載部3aに接着剤によりマウントした上で、センサチップ4の上面中央の両サイドに配列した電極部(ボンディングパッド)4aと前記リード端子5のインナーリード部5aとの間をボンディングワイヤ6で接続している。なお、樹脂パッケージ3の底面には前記チップ搭載部3aを挟んでその両脇に窓穴を開口し、測距モジュールの組立後に透明充填材を注入してセンサチップ4およびボンディングワイヤ6を樹脂封止するようにしている。
【0004】
次に、前記測距モジュールのセンサ部に採用している樹脂パッケージ3の従来構造を図4(a),(b) に、また該樹脂パッケージ3にセンサチップ4をマウントした組立状態を図5に示す。すなわち、樹脂パッケージ3の底部中央に形成したチップ搭載部3aには、その上面中央にセンサチップ4の幅に対応する溝幅の凹溝3bが形成されており、さらにこの凹溝3bの長手方向に沿って溝内中央の両サイドにはセンサチップ4を載置する一対の台座3cが、また長手方向の両端側には突起状のチップ受け3dが形成されている。
ここで、台座3cはセンサチップ4の電極部4aにワイヤボンディングを施す際に加わる加圧力の受け台としての役目を果たし、突起状のチップ受け3dはセンサチップ4の搭載姿勢が長手方向で傾くのを防ぐ支柱の役目を果たしている。
【0005】
上記構造の樹脂パッケージ3に対して、センサチップ4は次のような手順で実装される。まず、樹脂パッケージ3のチップ搭載部3aに形成した台座3c,チップ受け3dの上面を含めて凹溝3bの面域に接着剤7として紫外線・熱硬化型接着剤を塗布し、続いてセンサチップ4を定位置に載置して台座上に押さえ付け、この状態で樹脂パッケージ3の上方から紫外線を照射し、チップ接合面の外周面域に塗布されている接着剤7をUV硬化(一次硬化)してセンサチップ4を定位置に仮止めする。続いてこの組立体を炉内温度100℃程度に保った加熱炉に搬入して加熱処理し、UV硬化で紫外線の照射が行われなかった未硬化領域を含めてチップ接合面の全面域で接着剤7を熱硬化(二次硬化)させる。
【0006】
次に、センサチップ4の電極部4aとリード端子5のインナーリード部5aとの間にワイヤ6をボンディングする。また、センサ部3をレンズ部1,絞り部2と結合せずに独立したパッケージ構造として用いる場合は、最後に樹脂パッケージ3の上面に透明板(図示せず)を被着接合した上で、前記したパッケージ裏面側に開口した窓穴から透明充填材を注入してセンサチップ4,ボンディングワイヤ6を樹脂封止する。
なお、接着剤7として紫外線・熱硬化型接着剤を使用するのは、チップセンサ4の実装工程でセンサチップ4を定位置に精度よく固定させるためである。すなわち、前記のようにチップ搭載部3の上面に塗布した接着剤7を周域からUV硬化(一次硬化)させることでチップ搭載部3aにマウントしたセンサチップ4を位置精度よく仮止めでき、続く熱硬化処理(二次硬化)により紫外線照射が十分に行き届かない中央面域を含めて接着剤塗布面の全体で接着剤7を熱硬化させて高い接着強度を確保することができる。
【0007】
一方、図4(a),(b) に示した樹脂パッケージ構造の改良案として図6(a),(b) に示す構成のものが本発明と同一出願人より特願2002−169992号として先に提案されている。すなわち、図4に示すパッケージ構造では、センサチップ4を載置するチップ搭載部3aの台座3cが凹溝3bの両サイドに沿って階段状に形成されているため、センサチップ4のマウント工程で接着剤7の塗布面上にチップセンサ4を載置して上方から押さえつけと、台座3cの上面から周囲に押し出された流動性のある接着剤(未硬化状態)の一部が逃げ場を失ってセンサチップ7と凹溝3bの側縁との間に残る細隙を上方に這い上がって、リード端子5のインナーリード部5aおよびセンサチップ4の電極面に付着することがある。また、この接着剤7の逸出に伴って凹溝3bの中央部分では接着剤の塗布量が不足し、このためにセンサチップ4との間の接合面域にボイドが生じて接着不良となり、測距モジュールの実使用時に外部から加わる振動,衝撃などによりセンサチップ4が樹脂パッケージ3のチップ搭載部3aから剥離して計測不能のトラブルを引き起こすおそれがある。
【0008】
かかる点、樹脂パッケージ3のチップ搭載部3aに形成した台座3cを、図6(a),(b) のように偏平な島状台座として凹溝3bの底面中央に形成し、該台座3cの両サイドと凹溝側縁との間に接着剤溜まりとなる隙間を確保を確保することにより、センサチップのマウント工程で台座3cの上に載置したセンサチップ4を押さえつけた際に、台座3cの上面から周囲に押し出された接着剤7は逃げ場を失ってチップ搭載部3aの上面側に逸出するのを防ぐことができてセンサチップ4に対する接合強度の確保が期待できる。
【0009】
【特許文献1】
特開平2002−202121号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図6(a),(b) に示したパッケージ構造を採用し、そのチップ搭載部3aに塗布した紫外線・熱硬化型接着剤にUV硬化(一次硬化)および熱硬化(二次硬化)の処理を施してセンサチップ4を接合した場合に、接着強度の信頼性面で次に述べるような問題が新たに発生することが判明した。
すなわち、UV硬化処理(一次硬化)に続いて、樹脂パッケージ3にチップセンサ4を仮止めした組立体を加熱炉に搬入して熱硬化処理(二次硬化)を行うと、樹脂パッケージ本体も高温に加熱されることになる。このために、接着剤および樹脂パッケージ3の樹脂に吸収されていた水分(成形材料あるいはモノマーに含まれていたり、重合反応により生成した水分)が蒸発して外方に抜け出るようになる。この場合に、センサチップ4の接合面域について着目すると、チップ搭載部3aの上面に塗布した接着剤7のうち、紫外線照射による一次硬化処理によって紫外線の当たる外周部分の接着剤は硬化するが、その硬化部分で取り囲まれたチップセンサ下の内側面域では紫外線が照射されずに接着剤が未硬化の状態である。このために、続く二次硬化の加熱処理に伴ってチップ接合面域の内方側に発生した水蒸気は外方に自由に抜け出すことができず、センサチップ4とチップ搭載部3a,およびUV硬化済みの外周面域で囲まれた内側面域の未硬化接着剤の中に気泡となってこの部分に取り残されるようになる。
【0011】
しかも、このような状態になると、気泡の圧力によりUV硬化済みの部分で接着剤7にクラックが生じるほか、その内側の面域では接着剤7が気泡(ボイド)を含んだまま硬化するようになり、これが接着不良の原因となってセンサチップに対する接着強度の信頼性が低下する。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、紫外線・熱硬化型接着剤の熱硬化処理(二次硬化)に伴って半導体チップ下の接合面域に生じた水蒸気に起因する接着不良を防いで高い接着強度を確保できる改良した半導体装置のパッケージ構造を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、樹脂パッケージの底部側に形成したチップ搭載部の台座上面に半導体チップを接着剤によりマウントした半導体装置で、前記接着剤として紫外線・熱硬化型接着剤をチップ搭載部に塗布し、台座上に半導体チップを載置した状態で周囲から紫外線を照射して接着剤を一次硬化し、次いで加熱処理を施して二次硬化させるようにしたものにおいて、
前記チップ搭載部の接着剤塗布面域にパッケージの裏面側に通じる貫通孔を穿孔し、接着剤の熱硬化処理に伴ってチップ接合面域に生じた水蒸気を前記貫通孔を通じて外部に逃がすような構成とする(請求項1)。
【0013】
上記構成によれば、樹脂パッケージのチップ搭載部上にマウントした半導体チップを紫外線・熱硬化型接着剤のUV硬化および熱硬化処理を経て接合する過程で、加熱硬化処理に伴いチップ接合面域に生じた水蒸気は、前記貫通孔を通じてチップ接合面域からパッケージの裏面側に放出される。これにより、半導体チップの接合面域に接着剤のクラックやボイドの発生がなくなって高い接着強度が確保できる。
また、前記の構成において、樹脂パッケージに形成したチップ搭載部および貫通孔は具体的に次記のような態様で構成するのが好ましい。すなわち、
(1) チップ搭載部の長手方向に沿って上面中央に偏平な島状台座,およびその両側に突起状のチップ受けを形成した上で、前記の島状台座とチップ受けの中間位置に貫通孔を穿孔する(請求項2)。これにより、紫外線照射による接着剤の一次硬化に続いて行う加熱処理による二次硬化の過程でチップ接合面の内周面域に生じた水蒸気を、前記位置に穿孔した貫通孔を通じて効率よく外部に放出すことができる。
【0014】
(2) また、貫通孔の孔径は、チップ搭載部の面上に塗布した接着剤が貫通孔を通じてチップ搭載部の裏面側に直ちに漏出しないような細孔に設定する(請求項3)。すなわち、貫通孔の孔径が大きいとチップ搭載部に塗布した接着剤が硬化以前の流動性のある状態で貫通孔を通じて外部に漏れ出て接合面域の接着剤量が不足するおそれがあるが、上記のように貫通孔を細穴径に設定しておくことで不要な接着剤の漏出を防止できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1,図2に示す実施例に基づいて説明する。なお、図1は半導体装置の組立構造図で (a),(b) はその平面および縦断面図を示し、また図2は図1における樹脂パッケージの構造図で、(a),(b) はその平面および縦断面図を示す。また、実施例の図中で図6に対応する部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
すなわち、図示実施例の樹脂パッケージ3においては、図6と同様にチップ搭載部3の長手方向に沿って上面中央に偏平な島状台座3c,およびその両側に突起状のチップ受け3dを形成した上で、島状台座3cとチップ受け3dの中間位置にはチップ搭載部3aを貫通してその裏面側に形成した凹部3eに通じる貫通孔3fが新たに穿孔されている。また、この貫通孔3fは、接着剤7の粘度(例えば、25℃で5500mPa・s以上) に対して孔径を例えば0.6mm程度の細孔とし、貫通孔3fの上に流動性のある接着剤7(未硬化状態)を塗布しても、貫通孔3fを通じて接着剤がすぐには漏れ出ることがないように設定する。なお、チップ搭載部3bに接着剤7を塗布した後は、接着剤の不要な漏出を防ぐために、できるだけ速やかに次のUV硬化(一次硬化)および熱硬化(二次硬化)の処理に移行するようにする。
【0016】
上記構造の樹脂パッケージ3に対し、チップ搭載部3bに紫外線・熱硬化型接着剤7を塗布してこの上にセンサチップ4を載置し、続く紫外線照射による一次硬化でセンサチップ4を定位置に仮止めした後、この組立体を加熱炉に搬入して接着剤7の加熱硬化処理を行うと、この加熱処理に伴ってセンサチップ4の接合面域に発生した水蒸気は、この部分に閉じ込められることなく前記の貫通孔3fを通じて樹脂パッケージ3の裏面側に放出される。したがって、従来のパッケージ構造で問題となっていた水蒸気の閉じ込めに起因する接着剤のクラック発生,気泡(ボイド)の残留による接着強度の低下、および接着強度の低下が原因で発生するセンサチップ4の剥離などのトラブルを回避して製品の信頼性向上が図れる。
【0017】
また、図示実施例のように、貫通孔3fの穿孔位置をチップ搭載部の中央に形成した島状台座3cとその両側に形成した突起状チップ受け3dとの間の底面位置に設定しておくことで、接合面域に生じた水蒸気を効果的に逃がすことができる。すなわち、紫外線照射による一次硬化処理でチップ搭載部3aの外周域に塗布した接着剤7が硬化すると、接着剤の硬化収縮によりその内方側に塗布されている未硬化の接着剤は硬化済みの周辺部分に向け流動して集まるようになる。
そこで、貫通孔3fを図示実施例の位置に穿孔しておけば、二次硬化の加熱処理により接合面域に生じた水蒸気は接着剤7の大きな抵抗を受けずに貫通孔3fを通じてスムーズにパッケージの裏面側に逃がすことができる。
【0018】
なお、樹脂パッケージ3のチップ搭載部3aにセンサチップ4をマウントした後は、センサチップ4の電極とリード端子5との間にワイヤ6をボンディングした上で、樹脂パッケージの上面に透明板8を被着するか、もしくは図3で示すようにレンズ部1の絞り部2と結合し、この組立状態で樹脂パッケージを裏返し、パッケージ裏面側の両脇に開口した窓孔,およびチップ搭載部3aの裏面側の凹部3eから透明充填材を注入してセンサチップ4およびボンディングワイヤ6を樹脂封止し、これで測距センサ部,もしくは該センサ部を搭載した測距モジュールが完成する。
【0019】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、樹脂パッケージの底部側に形成したチップ搭載部の台座上面に半導体チップを接着剤によりマウントした半導体装置であり、接着剤として紫外線・熱硬化型接着剤をチップ搭載部に塗布し、台座上に半導体チップを載置した状態で周囲から紫外線を照射して接着剤を一次硬化し、次いで加熱処理を施して二次硬化させるようにしたものにおいて、前記チップ搭載部の接着剤塗布面域にパッケージの裏面側に通じる貫通孔を穿孔し、接着剤の熱硬化処理に伴ってチップ接合面域に生じた水蒸気を前記貫通孔を通じて外部に逃がすように構成したことにより、
樹脂パッケージのチップ搭載部上にマウントした半導体チップを紫外線・熱硬化型接着剤のUV硬化および熱硬化処理を経て接合する過程で、加熱硬化処理に伴いチップ接合面域に生じた水蒸気を、前記貫通孔を通じてチップ接合面域からパッケージの裏面側に逃がすことができる。これにより、従来構造で問題となっていた半導体チップ接合部に接着不良が生じるのを防止して、製品の信頼性向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例に係る半導体装置の組立構造図で、(a),(b) はそれぞれ平面図,および縦断面図
【図2】図1における樹脂パッケージの構造図で、(a),(b) はそれぞれ平面図,および縦断面図
【図3】本発明の実施対象となるオートフォーカス測距モジュールの分解斜視図
【図4】図4における樹脂パッケージの従来構造図で、(a),(b) はそれぞれ外観斜視図,および平面図
【図5】図4の樹脂パッケージに半導体チップを実装した組立状態を表す縦断面図
【図6】図4と異なる樹脂パッケージの従来例の構造図で、(a),(b) はそれぞれ外観斜視図,および平面図
【符号の説明】
3 樹脂パッケージ
3a チップ搭載部
3c 台座
3d チップ受け
3f 貫通孔
4 センサチップ(半導体チップ)
5 リード端子
6 ボンディングワイヤ
7 接着剤

Claims (3)

  1. 樹脂パッケージの底部側に形成したチップ搭載部の台座上面に半導体チップを接着剤によりマウントした半導体装置であり、接着剤として紫外線・熱硬化型接着剤をチップ搭載部に塗布し、台座上に半導体チップを載置した状態で周囲から紫外線を照射して接着剤を一次硬化し、次いで加熱処理を施して二次硬化させるようにしたものにおいて、
    前記チップ搭載部の接着剤塗布面域にパッケージの裏面側に通じる貫通孔を穿孔し、接着剤の熱硬化処理に伴ってチップ接合面域に生じた水蒸気を前記貫通孔を通じて外部に逃がすようにしたことを特徴とする半導体装置。
  2. 請求項1に記載の半導体装置において、チップ搭載部の長手方向に沿って上面中央に偏平な島状台座,およびその両側に突起状のチップ受けを形成した上で、前記の島状台座とチップ受けの中間に貫通孔を穿孔したことを特徴とする半導体装置。
  3. 請求項1または2に記載の半導体装置において、貫通孔の孔径を、チップ搭載部の面上に塗布した接着剤が貫通孔を通じて裏面側に漏出しない範囲の細孔に設定したことを特徴とする半導体装置。
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