JP3956679B2 - 着色感光性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色感光性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
着色感光性組成物(カラーレジスト)は、着色剤を含有していて着色している感光性組成物(レジスト)であって、カラーフィルター(6)を構成する着色パターン(5)を形成するための原材料として有用である。ここで、カラーフィルターとは、例えば、カラー液晶表示装置に組み込まれて表示画像をカラー化するために用いられたり、カラー固体撮像素子に組み込まれてカラー画像を得るために用いられたりするフィルターである。また、着色パターンとは、例えば、色画素(5R、5G、5B)、ブラックマトリックス(5BM)などである。色画素は着色された透明な層からなる。ブラックマトリックスは、光を遮蔽する。これら色画素おおびブラックマトリックスは通常基板(2)上に形成されて、カラーフィルター(6)を構成する(図1)。ここで、色画素(5R、5G、5R)は透明であり、透過する光はそれぞれの色画素の色に着色される。また、ブラックマトリックス(5BM)は、光を遮蔽する層である。
【0003】
着色感光性組成物としては、例えば、着色剤(A)、バインダーポリマー(B)、光重合性化合物(C)および光重合開始剤(D)を含有するものが知られており、バインダーポリマー(B)としてはアルカリ可溶性樹脂が通常用いられている。着色感光性組成物を用いて形成される着色パターン(5)はその厚みが薄いものが好ましい。厚みが薄くても充分に着色された着色パターンを得るためには、着色剤(A)を高濃度で含有する着色感光性組成物を使用すればよい。
【0004】
しかし、従来のバインダーポリマー(B)を含有する着色感光性組成物に高濃度で着色剤(A)を含有させると、該着色感光性組成物を用いて形成される着色パターンの耐溶剤性が低下するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、高濃度で着色剤(A)を含有しても耐溶剤性に優れた着色パターンを形成し得る着色感光性組成物を開発するべく鋭意検討した結果、バインダーポリマー(B)としてオキセタン骨格を有する単量体単位を含むバインダーポリマーを用いることによって得られる着色感光性組成物は、高濃度で着色剤(A)を含有させても、耐溶剤性に優れた着色パターンを形成し得ることを見出し、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、着色剤(A)、オキセタン骨格を有する単量体単位を含むバインダーポリマー(B)、光重合性化合物(C)および光重合開始剤(D)を含有し、バインダーポリマー(B)がオキセタン骨格を有する単量体および他の単量体の共重合体であることを特徴とする着色感光性組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の着色感光性組成物に含有される着色剤(A)は、有機物である有機着色剤であってもよいし、無機物である無機着色剤であってもよい。有機着色剤は、顔料であってもよいし、染料であってもよいし、天然色素であってもよい。無機着色剤は、金属酸化物、金属錯塩、硫酸バリウムの無機塩(体質顔料)などの無機顔料であってもよい。該着色剤のなかでも、耐熱性、発色性に優れる点で、有機着色剤、さらには有機顔料が好ましく用いられる。
【0008】
有機顔料および無機顔料として具体的には、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー53、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー173、
【0009】
C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ42、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ55、C.I.ピグメントオレンジ59、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ65、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、
【0010】
C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメンレッド264、C.I.ピグメントレッド265、
【0011】
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、
【0012】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38、
【0013】
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7などが挙げられる。これらの有機顔料および無機顔料は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】
これらの有機顔料および無機顔料のうち、有機顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基または塩基性基が導入された顔料誘導体などを用いた表面処理、高分子化合物などによる顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法などによる微粒化処理、あるいは不純物を除去するための有機溶剤や水などによる洗浄処理が施されていてもよい。
【0015】
着色剤(A)の含有量は、着色感光性組成物の全固形分に対して質量分率で通常5質量%以上60質量%以下、好ましくは10質量%以上50質量%以下の範囲で用いられ、さらには20質量%以上、特には30質量%以上である場合に好適である。有機顔料を用いる場合、該有機顔料の使用量は着色剤(A)の全量に対して質量分率で通常50質量%以上、好ましくは55質量%以上である。
【0016】
バインダーポリマー(B)は、オキセタン骨格を有する単量体および他の単量体の共重合体である。ここで、オキセタン骨格を有する単量体としては、例えば、式(I−1)
で示されるオキセタン骨格および式(I−2)
〔式中、R1は前記と同じ意味を示す。〕
で示される炭素−炭素2重結合を有する化合物などが挙げられ、具体的には式(I)
〔式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、Xはメチレン基またはエチレン基を示し、R2はメチル基またはエチル基を示す。〕
示される単量体などが挙げられる。
【0017】
該単量体としては、例えば、3−メチル−3−メタクリルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロキシエチルオキセタンなどが挙げられる。
【0018】
バインダーポリマーにおけるオキセタン骨格を有する単量体単位は、該オキセタン骨格を有する単量体から導かれる単位であるが、該オキセタン骨格を有する単量体単位は1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
【0019】
バインダーポリマーはオキセタン骨格を有する単量体と、他の単量体との共重合体である。他の単量体としては、オキセタン骨格を有する単量体と共重合し得る単量体、例えば、不飽和モノカルボン酸や不飽和ジカルボン酸などの分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸が挙げられ、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。これらのカルボキシル基を有する単量体は炭素−炭素不飽和結合を有する化合物であり、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
他の単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレートやエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物なども挙げられる。これらの単量体はオキセタン骨格を有する単量体や上記不飽和カルボン酸と共重合し得る単量体であり、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0021】
該共重合体としては、例えば、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン共重合体、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン/メチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン共重合体などが挙げられる。
【0022】
該共重合体におけるオキセタン骨格を有する単量体単位の含有量は質量分率で通常3質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、通常95質量%以下、好ましくは90質量%以下である。また、不飽和カルボン酸単位の含有量は質量分率で通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは40質量%以下である。
【0023】
該バインダーポリマーは、その重量平均分子量(ポリスチレン換算の値としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される値)が5,000以上400,000以下の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは10,000以上300,000以下の範囲である。
該バインダーポリマー(B)の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、質量分率で通常5質量%以上、好ましくは20質量%以上であり、通常90質量%以下、好ましくは70質量%以下である。
【0024】
光重合性化合物(C)は、光を照射されることによって光重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル、酸などによって重合し得る化合物であって、例えば、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が挙げられる。該化合物は、単官能の光重合性化合物であってもよいし、2官能または3官能以上の多官能の光重合性化合物であってもよい。
【0025】
単官能光重合性化合物としては、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。2官能光重合性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。3官能以上の多官能光重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0026】
該光重合性化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられるが、2官能以上の多官能光重合性化合物が好ましく用いられ、2種以上の光重合性化合物を用いる場合には1以上の多官能光重合性化合物を用いることが好ましい。
該光重合性化合物(C)の含有量は、バインダーポリマー(B)と光重合性化合物(C)との合計量100質量部あたり通常は0.1質量部以上70質量部以下、好ましくは1質量部以上60質量部以下である。
【0027】
光重合開始剤(D)は、光を照射されることによって活性ラジカルを発生する活性ラジカル発生剤、酸を発生する酸発生剤などが挙げられ、例えば、活性ラジカル発生剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。
【0028】
アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0029】
ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0030】
トリアジン系化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0031】
活性ラジカル発生剤として、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などを用いることもできる。
活性ラジカル発生剤として、市販のものを用いることもできる。市販の光重合開始剤としては、例えば、商品名「Irgacure−907」(アセトフェノン系光重合開始剤、Ciba Specialty Chemicals社製)などが挙げられる。
【0032】
酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などを挙げることができる。また、活性ラジカル発生剤として上記した化合物の中には、活性ラジカルと同時に酸を発生する化合物もあり、例えば、トリアジン系化合物は、酸発生剤としても使用され得る。
これらの光重合開始剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
本発明の着色感光性組成物は、光重合開始助剤を含有していてもよい。光重合開始助剤は、光重合開始剤と組み合わせて、光重合開始剤によって開始した光重合性化合物(C)の重合を促進するために用いられる化合物である。光重合開始助剤としては、例えば、アミン系化合物、アルコキシアントラセン系化合物などが挙げられる。
【0034】
アミン系化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0035】
アルコキシアントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
光重合開始助剤として市販のものを用いることもでき、市販の光重合開始助剤としては、例えば、商品名「EAB−F」(保土谷化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0036】
該光重合開始助剤を用いる場合、その含有量は光重合開始剤1モルあたり通常10モル以下、好ましくは0.01モル以上5モル以下である。
【0037】
光重合開始剤(D)および光重合開始助剤はその合計量がバインダーポリマー(B)と光重合性化合物(C)との合計量100質量部に対して通常3質量部以上、好ましくは5質量部以上であり、通常30質量部以下、好ましくは25質量部以下である。
【0038】
本発明の着色感光性組成物は溶剤(E)で希釈されていてもよい。溶剤としては、通常の着色感光性組成物に用いられると同様の溶剤が用いられ、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、
メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、
アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどの芳香族脂肪族エーテル類、
アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、
3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類、
γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。該溶剤は、それぞれ単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができ、溶剤で希釈された状態の着色感光性組成物における溶剤の含有量が質量分率で通常50質量%以上、好ましくは60質量%以上、通常90質量%以下、好ましくは85質量%以下となるように使用される。
【0039】
本発明の着色感光性組成物は、添加剤(F)を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、充填剤、バインダーポリマー(A)以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、有機酸、有機アミノ化合物、硬化剤などが挙げられる。
【0040】
充填剤としては、例えば、ガラス、アルミナなどが挙げられる。
【0041】
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレートなどが挙げられる。
【0042】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0043】
密着促進剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0044】
酸化防止剤としては、例えば、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
【0045】
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系などが挙げられる。
【0046】
凝集防止剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0047】
有機酸としては、例えば、ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸などの脂肪族モノカルボン酸類、
しゅう酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルこはく酸、テトラメチルこはく酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸などの脂肪族ジカルボン酸類、
トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸などの脂肪族トリカルボン酸類、
安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸などの芳香族モノカルボン酸類、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類、
トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸類などが挙げられる。
【0048】
有機アミノ化合物としては、例えば、n―プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、sec−ブチル、t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミンなどのモノアルキルアミン類、
シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミンなどのモノシクロアルキルアミン類、
メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチルn−プロピルアミン、エチルn−プロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジi−プロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジi−ブチルアミン、sジec−ブチルアミン、ジt−ブチルアミン、ジn−ペンチルアミン、ジn−ヘキシルアミンなどのジアルキルアミン類、
メチルシクロヘキシルアミン、エチルシクロヘキシルアミンなどのモノアルキルモノシクロアルキルアミン類、
ジシクロヘキシルアミンなどのジシクロアルキルアミン類、
ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、ジエチルn−プロピルアミン、メチルジn−プロピルアミン、エチルジn−プロピルアミン、トリn−プロピルアミン、トリi−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリi−ブチルアミン、トリsec−ブチルアミン、トリt−ブチルアミン、トリn−ペンチルアミン、トリn−ヘキシルアミンなどのトリアルキルアミン類、
ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミンなどのジアルキルモノシクロアルキルアミン類、
メチルジシクロヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミンなどのモノアルキルジシクロアルキルアミン類、
トリシクロヘキシルアミンなどのトリシクロアルキルアミン類、
2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、6−アミノ−1−ヘキサノールなどのモノアルカノールアミン類、
4−アミノ−1−シクロヘキサノールなどのモノシクロアルカノールアミン類、
ジエタノールアミン、ジn−プロパノールアミン、ジi−プロパノールアミン、ジn−ブタノールアミン、ジi−ブタノールアミン、ジn−ペンタノールアミンジアルカノールアミン類、ジn−ヘキサノールアミンなどのジアルカノールアミン類、
ジ(4−シクロヘキサノール)アミンなどのジシクロアルカノールアミン類、
トリエタノールアミン、トリn−プロパノールアミン、トリi−プロパノールアミン、トリn−ブタノールアミン、トリi−ブタノールアミン、トリn−ペンタノールアミン、トリn−ヘキサノールアミンなどのトリアルカノールアミン類、
トリ(4−シクロヘキサノール)アミンなどのトリシクロアルカノールアミン類、
3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール、4−アミノ−1,3−ブタンジオール、3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−ジメチルアミノ−1,3−プロパンジオール、2−ジエチルアミノ−1,3−プロパンジオールなどのアミノアルカンジオール類、
4−アミノ−1,2−シクロヘキサンジオール、4−アミノ−1,3−シクロヘキサンジオールなどのアミノシクロアルカンジオール類、
1−アミノシクロペンタノンメタノール、4−アミノシクロペンタノンメタノールなどのアミノ基含有シクロアルカノンメタノール類、
1−アミノシクロヘキサノンメタノール、4−アミノシクロヘキサノンメタノール、4−ジメチルアミノシクロペンタンメタノール、4−ジエチルアミノシクロペンタンメタノール、4−ジメチルアミノシクロヘキサンメタノール、4−ジエチルアミノシクロヘキサンメタノールなどのアミノ基含有シクロアルカンメタノール類、
β−アラニン、2−アミノ酪酸、3−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、2−アミノイソ酢酸、3−アミノイソ酢酸、2−アミノ吉草酸、5−アミノ吉草酸、6−アミノカプロン酸、1−アミノシクロプロパンカルボン酸、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸などのアミノカルボン酸類、
アニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン、p−メチルアニリン、p−エチルアニリン、p−n−プロピルアニリン、p−i−プロピルアニリン、p−n−ブチルアニリン、p−t−ブチルアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−メチル−N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族アミン類、
o−アミノベンジルアルコール、m−アミノベンジルアルコール、p−アミノベンジルアルコール、p−ジメチルアミノベンジルアルコール、p−ジエチルアミノベンジルアルコールなどのアミノベンジルアルコール類、
o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−ジメチルアミノフェノール、p−ジエチルアミノフェノールなどのアミノフェノール類、
m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸などのアミノ安息香酸類などが挙げられる。
【0049】
硬化剤は、現像後の加熱処理によって色画素等を硬化させてその機械的強度を向上するために用いられる。該硬化剤としては、例えば、加熱されることによってバインダーポリマーのオキセタン骨格またはカルボキシル基と反応してバインダーポリマーを架橋させ得る化合物が挙げられ、バインダーポリマーを架橋させることにより色画素等を硬化させる。また、加熱されることによってそれ単独で重合し得る化合物であってもよく、単独で重合することにより色画素等が硬化する。該化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0050】
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、他の芳香族系エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、エポキシ化油等のエポキシ樹脂や、これらのエポキシ樹脂の臭素化誘導体、エポキシ樹脂およびその臭素化誘導体以外の脂肪族、脂環族または芳香族のエポキシ化合物、ブタジエンの(共)重合体のエポキシ化物、イソプレンの(共)重合体のエポキシ化物、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0051】
オキセタン化合物としては、例えば、カーボネートビスオキセタン、キシリレンビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタンなどが挙げられる。
【0052】
本発明の着色感光性組成物は、硬化剤と共にエポキシ化合物のエポキシ基、オキセタン化合物のオキセタン骨格を開環重合させ得る化合物を含んでいてもよい。該化合物としては、例えば、多価カルボン酸類、多価カルボン酸無水物類、酸発生剤などが挙げられる。
【0053】
多価カルボン酸類としては、例えば、フタル酸、3,4−ジメチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸類、
こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸類、
ヘキサヒドロフタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸などの脂環族多価カルボン酸類などが挙げられる。
【0054】
多価カルボン酸無水物類としては、例えば、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物類、
無水イタコン酸、無水こはく酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸無水物類、
無水ヘキサヒドロフタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂環族多価カルボン酸無水物類、
エチレングリコールビストリメリテイト酸、グリセリントリストリメリテイト無水物などのエステル基含有カルボン酸無水物類などが挙げられる。
【0055】
カルボン酸無水物類として、エポキシ樹脂硬化剤として市販されているものを用いてもよい。該エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、商品名「アデカハードナーEH−700」(旭電化工業(株)製)、商品名「リカシッドHH」(新日本理化(株)製)、商品名「MH−700」(新日本理化(株)製)などが挙げられる。
該硬化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
本発明の着色感光性組成物は、例えば、溶剤(E)中で着色剤(A)、バインダーポリマー(B)、光重合性化合物(C)および光重合開始剤(D)を混合することにより製造でき、添加剤(F)を含有する場合には、溶媒(E)中で着色剤(A)バインダーポリマー(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)および添加剤(F)を混合すればよい。
【0057】
本発明の着色感光性組成物を用いて着色パターン(5)を形成するには、例えば、本発明の着色感光性組成物からなる層(1)を基板(2)上に形成し(図2(a))、該層(1)にフォトマスク(3)を介して光線(4)を照射して露光したのち(図2(b))、現像すればよい。
【0058】
基板(2)としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、芳香族ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板などの表面が平坦な基板が挙げられる。該基板は、シランカップリング剤などの薬品による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング処理、スパッタリング処理、気相反応処理、真空蒸着処理などの前処理が施されていてもよい。基板としてシリコン基板などを用いる場合、該シリコン基板などの表面には電荷結合素子(CCD)、薄膜トランジスタ(TFT、Thin Film Transistor)などが形成されていてもよい。
着色感光性組成物からなる層(1)を基板(2)上に形成するには、例えば、溶剤で希釈された着色感光性樹脂組成物を回転塗布法(スピンコート法)、流延塗布法、ロール塗布法、スリット&スピンコート法など通常の方法により基板上に塗布し、次いで溶剤を揮発させればよい。溶剤を除去するには、例えば、ホットプレート上で加熱すればよい。
【0059】
次いで、光線(4)を照射して露光する。光線(4)としては通常、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの紫外線が用いられる。光線は、フォトマスク(3)を介して照射されるが、ここでフォトマスクは、例えば、ガラス板(31)の表面に光線を遮蔽する遮光層(32)が設けられたものである。光線(4)は遮光層(32)によって遮蔽される。ガラス板(31)のうちの遮光層が設けられていない部分は光線を透過する透光部(33)であって、この透光部(33)のパターンに従って着色感光性組成物層(2)が露光される。光線の照射量は、用いたバインダーポリマー(A)の種類や含有量、顔料(B)の色や含有量、光重合性化合物(C)の種類や含有量、光重合開始剤(D)の種類や含有量などに応じて適宜選択される。
【0060】
露光後、現像する。現像するには、例えば、露光後の着色感光性組成物層を現像液に浸漬すればよい。現像液としては、例えば、炭酸ナトリム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどのアルカリ性化合物の水溶液が用いられる。
現像によって、着色感光性組成物層のうちの光線が照射されない光線未照射領域(11)は除去される。その一方で光線が照射された光線照射領域(12)は残って色画素等(5)を構成する。
【0061】
現像後、通常は水洗し乾燥することにより、目的とする着色パターン(5)を得ることができるが、乾燥後、加熱処理をしてもよい。加熱処理をすることにより、形成された色画素等が硬化して、その機械的強度が向上する。着色感光性組成物として硬化剤を含有するものを用いた場合には、加熱処理によって色画素等の機械的強度をより向上できるので、好ましい。加熱温度は通常180℃以上であり、好ましくは200℃以上250℃以下程度である。
【0062】
このようにして得られる着色パターン(5)は、本発明の着色感光性組成物が光線を照射されてなるものであり、耐溶剤性に優れている。
【0063】
また、他の色の色画素、ブラックマトリックスを形成してカラーフィルターを得るには、着色剤(A)の色を代えながら上記操作を行なうことによって、順次各色の色画素、ブラックマトリックスを形成すればよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明の着色感光性組成物によれば、高濃度で着色剤(A)を含有していても、耐溶剤性に優れた着色パターンを形成し得る。
【0065】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0066】
実施例1
(バインダーポリマーA1の製造)
攪拌機、冷却管および温度計を備えた四つ口フラスコ(内容量は500cm3)に、メタクリル酸(25.8g)、ベンジルメタクリレート(105.7g)、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン(18.4g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(278.5g)およびアゾビスイソブチロニトリル(3.6)を投入し、内温を65〜75℃に保ちながら5時間攪拌して、バインダーポリマーA1を得た。このポリマーA1は、メタクリル酸とベンジルメタクリレートと3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンとの共重合体であり、仕込み量比のとおりの比率で重合していた。
【0067】
(着色感光性組成物の製造)
表1に示す成分を表1に示す組成で混合して着色感光性組成物を得た。
【0068】
(青色画素の形成)
ガラス基板〔コーニング社製、「#7059」〕(2)の表面上に上記で得た着色感光性組成物をスピンコート法によって塗布した後、100℃で3分間乾燥して着色感光性組成物層(1)を形成した。冷却後、形成された着色感光性組成物層(1)にフォトマスク(3)を介してi線(波長365nm)を照射した。i線の光源には超高圧水銀ランプを用い、照射光量は150mJ/cm2とした。
次いで、現像液(質量分率で水酸化カリウムを0.05%およびブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムを0.2%それぞれ含む水溶液)に浸漬して現像し、純水で洗浄したのち、230℃で20分間加熱して、青色画素(5)を形成した。得られた青色画素は、目的とするパターンのとおりであった。
【0069】
【表1】
【0070】
(評価)
1.耐溶剤性
フォトマスクを介することなくi線を照射する以外は上記と同様に操作して、ガラス板(2)の全面に亙って着色層を形成した。
この着色層のうえにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)(2cm3)を滴下し、40℃で30分間放置した後表面をNMP(2cm3)で洗浄し、洗液を目視で観察したところ、洗液に着色は認められなかった。
NMPで洗浄後の着色層を水洗し、乾燥した後、反射型光学顕微鏡で着色層の表面を観察したところ、平滑であった。
2.剥離試験
JIS K5400に記載の方法に従い、着色層を1mm□の碁盤目状に100個にクロスカットし、その上からセロハンテープを用いてピーリング試験を行なったところ、基板からの着色層の剥離は認められなかった。
【0071】
比較例1
(バインダーポリマーA2の製造)
ベンジルメタクリレートの使用量を124.1gとし、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンを用いなかった以外は実施例1と同様に操作して、バインダーポリマーA2を得た。このバインダーポリマーA2は、メタクリル酸とベンジルメタクリレートとの共重合体であり、仕込み量比のとおりの比率で重合していた。
【0072】
(着色感光性組成物の製造および青色画素の形成)
バインダーポリマーA1に代えて、上記で得たバインダーポリマーA2を5.0質量部用いる以外は実施例1と同様に操作して、着色感光性組成物を得、青色画素を形成した。
【0073】
(評価)
実施例1で得た着色感光性組成物に代えて、上記で得た着色感光性組成物を用いる以外は実施例1と同様に操作して、ガラス板(2)の全面に亙って着色層を形成し、実施例1と同様に評価した。
耐溶剤性試験で洗液を目視で観察したところ、洗液に着色が認められた。NMPで洗浄後の着色層を水洗し、乾燥した後、反射型光学顕微鏡で着色層の表面を観察したところ、表面に細かな凹凸が認められた。
なお、剥離試験では、基板からの剥離は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラーフィルターの構造を示す模式図である。
【図2】着色感光性組成物を用いて色画素を形成する工程を示す模式図である。
【符号の説明】
1:着色感光性組成物層
2:基板
3:フォトマスク 31:ガラス板
32:遮光層
33:透光部
4:光線
5:着色パターン(色画素またはブラックマトリックス)
Claims (7)
- 着色剤(A)、オキセタン骨格を有する単量体単位を含むバインダーポリマー(B)、光重合性化合物(C)および光重合開始剤(D)を含有し、バインダーポリマー(B)がオキセタン骨格を有する単量体および他の単量体の共重合体であることを特徴とする着色感光性組成物。
- 共重合体におけるオキセタン骨格を有する単量体単位の含有量が質量分率で3質量%以上95質量%以下である請求項1に記載の着色感光性組成物。
- バインダーポリマー(B)の含有量が、着色感光性組成物の固形分に対して、質量分率で5質量%以上90質量%以下である請求項1または請求項2に記載の着色感光性組成物。
- 着色剤(A)の含有量が、着色感光性組成物の固形分に対して質量分率で5質量%以上60質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の着色感光性組成物。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の着色感光性組成物からなる層を基板上に形成し、該層にフォトマスクを介して光線を照射して露光したのち現像して着色パターンを形成することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の着色感光性組成物が光線を照射されてなることを特徴とする着色パターン。
- 請求項6に記載の着色パターンからなるカラーフィルター。
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