JP3956513B2 - 車両用シート空調装置 - Google Patents

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    • B60N2/56Heating or ventilating devices
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のシートへ空調風を供給する車両用シート空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本願出願人は、シート内部での空気の淀みを無くすことで、温熱感および快適感を向上できる車両用シート空調装置(特願平10−173518号)を提案した。この装置は、図5に示すように、送風ユニット100より強制送風された空気をシート110の内部へ導入する導入通路120と、シート110の表面近くで導入通路120より分岐してシート表面に沿って延びる複数の配風通路130と、この複数の配風通路130を連通する連通路140(図6参照)とを有している。
この構成では、シート110に乗員が着座した時に、その着座面下部の配風通路130が塞がれても、その塞がれた配風通路130が他の塞がれていない配風通路130と連通路140によって連通しているので、配風通路130に空気の淀みが生じることはなく、塞がれていない配風通路130を通って空気をシート表面より吹き出すことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、先願のシート空調装置は、特にシートクッション110Aにおいて、導入通路120が乗員の股間に相当する部位に設けられているので、送風ユニット100から導入通路120へ強制送風された空調風の多くが配風通路130へ流れることなく、そのままシート表面から乗員の股間を通って吹き出されてしまう。このため、シート表面での温度分布の均一性が得られず、温熱感および快適感が損なわれるという問題があった。
また、図6に示すように、シート110の略全面に渡って配風通路130が複雑に形成されているため、熱損失が大きくなり、効率的なシート空調ができないという問題があった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、熱損失を低減でき、且つ乗員の温熱感および快適感を向上できる車両用シート空調装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
シートの表面近くに設けられた配風通路は、連通口を起点としてシートバックの上下方向の両端側へ略直線的に延びて設けられ、且つ少なくとも一部の配風通路の下流端がシートの端面に開口している。
また、送風ユニットより強制送風された空気を連通口を通じて配風通路へ供給するシートバックの導入通路は、連通口が乗員の背中を着座圧として受ける部位に設けられている。この構成によれば、連通口の存するシート表面が乗員の背中を受ける面となるので、送風ユニットよりシートバックの導入通路へ供給された空気がそのまま連通口の存するシート表面より吹き出されることはなく、連通口から各配風通路へ流れて広くシート表面に配風される。
また、配風通路は、その形状が略直線的であり、且つ少なくとも一部の配風通路の下流端がシートの端面に開口しているので、連通口より供給された空気配風通路スムーズに流ことができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は車両用シート空調装置1の断面図である。
本実施例の車両用シート空調装置1は、内部に通風路(後述する)を有するシート2(例えばフロントシート)と、このシート2へ強制送風する送風ユニット3とを備える。
【0006】
送風ユニット3は、送風通路を形成するファンケース4、このファンケース4に収容される遠心式ファン5、このファン5を回転駆動するモータ6、送風空気をシート2へ供給する送風ダクト7等より構成される。この送風ユニット3は、車両に搭載されている既存のA/Cユニット(図示しない)に接続され、モータ6を起動してファン5を回転させることにより、A/Cユニットで温度調節された空調風を吸引してシート2へ強制送風することができる。
【0007】
シート2は、乗員の臀部及び大腿部を受けるシートクッション2Aと、乗員の腰部及び背中を受けるシートバック2Bから成り、それぞれウレタンパッド8の表面にスポンジ層9を設け、更にスポンジ層9の表面を表皮10(革、モケット等)で覆って構成されている。
ウレタンパッド8には、シート内部に送風空気を通すための通風路(下述する)が設けられている。
スポンジ層9は、通気性と座り心地を満足させるために使用されるもので、極めて通気性に優れている。
表皮10は、例えば革製であれば、表面に多数の吹出穴が開けられるが、モケット等の通気性の高い素材を用いれば、特別に吹出穴を設ける必要はない。
【0008】
ウレタンパッド8の通風路は、送風ユニット3より送風された空気をシート内部へ導入する導入通路11と、この導入通路11より供給された空気をシート表面へ配風する配風通路12とを有している。
導入通路11は、送風ユニット3の送風ダクト7が接続される接続口11aと、配風通路12に通じる連通口11bとを有し、接続口11aから連通口11bまでウレタンパッド8の内部を通路状に設けられている。この導入通路11は、図1に示すように、シートクッション2Aとシートバック2Bにそれぞれ1本ずつ形成され、各連通口11bは、乗員の着座圧を受ける部位(例えばシートクッション2Aでは乗員の臀部を受ける面、シートバック2Bでは乗員の背中を受ける面)に設けられている(図2及び図3参照)。
なお、送風ユニット3の送風ダクト7は、ファンケース4の吹出口より分岐して、一方がシートクッション2Aの導入通路11に接続され、他方がシートバック2Bの導入通路11に接続されている。
【0009】
配風通路12は、ウレタンパッド8の表面に溝状に凹設され、シートクッション2Aとシートバック2Bにそれぞれの溝パターンで設けられている。
シートクッション2Aでは、図2に示すように、複数本の配風通路12が連通口11bを起点としてシートクッション2Aの前後方向(図2の上下方向)に略直線的に延びて設けられ、且つ配風通路12の下流端がシートクッション2Aの前後両端面に開口している。また、連通口11bより前方側へ延びる各配風通路12は、シート横方向に延びる連通路13によって相互に連通されている。
【0010】
シートバック2Bでは、図3に示すように、複数本の配風通路12が連通口11bを起点としてシートバック2Bの上下方向(図3の上下方向)に略直線的に延びて設けられている。また、連通口11bより上方側及び下方側へ延びる各配風通路12は、それぞれシート横方向に延びる連通路13によって相互に連通されている。なお、このシートバック2Bにおいても、シートクッション2Aと同様に、配風通路12の下流端がシートバック2Bの上下両端面に開口するように設けても良い。
【0011】
次に、本実施例の作用及び効果について説明する。
送風ユニット3を起動することにより、A/Cユニットで温度調節された空調風が送風ユニット3に吸い込まれ、送風ダクト7を通じてシートクッション2A及びシートバック2Bに強制送風される。シートクッション2A及びシートバック2Bでは、導入通路11から配風通路12へ流れた空調風がスポンジ層9を通過して表皮10より吹き出される。
この車両用シート空調装置1は、導入通路11の連通口11bが乗員の着座圧を受ける部位に設けられているので、送風ユニット3より導入通路11へ供給された空気がそのまま連通口11b上部のシート表面(表皮10)から吹き出されることはなく、連通口11bから各配風通路12へ流れて広くシート表面に配風される。これにより、シート表面での温度分布の均一性が得られる。
【0012】
また、配風通路12は、図2及び図3に示したように、その溝パターンが略直線的で単純な形状に設けられているので、先願と比較して熱損失を低減できる。
更に、配風通路12の溝パターンが略直線的である上に、特にシートクッション2Aでは配風通路12の下流端がシート2の前後両端面に開口しているので、連通口11bより供給された空気が配風通路12をスムーズに流れることができる。
以上の結果、乗員の温熱感及び快適感を損なうことがなく、且つ即効性の高い車両用シート空調装置1を提供できる。
【0013】
(変形例)
上記実施例では、複数本の配風通路12が連通口11bを起点としてシートクッション2Aの前後方向に略直線的に延びて設けられているが、図4に示すように、シートクッション2Aのテンバン面(両側の盛り上がっている部分)にも通気できるように配風通路12を左右両側へ延ばして設けても良い。もちろんシートバック2Bにおいても、シートクッション2Aと同様に左右両側まで配風通路12を延ばしても良い(図示しない)。
【0014】
本実施例の送風ユニット3は、シート2への強制送風だけを行っているが、シート暖房を行う際の補助暖房用として電気ヒータを具備しても良い。
また、送風ユニット3から後席乗員へ空調風を供給できるように構成し、ドア等の切り替えによって前席のシート空調と後席への送風とを切り替えても良い。A/Cユニットと送風ユニット3とを接続するダクトは、例えば後席乗員の足元へ温風を供給する既存のリヤフットダクトを利用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用シート空調装置の断面図である。
【図2】シートクッションに形成された配風通路のパターンを示す平面図である。
【図3】シートバックに形成された配風通路のパターンを示す平面図である。
【図4】シートクッションに形成された配風通路のパターンを示す平面図である。
【図5】車両用シート空調装置の断面図である(先願技術)。
【図6】シートに形成された配風通路のパターンを示す平面図である(先願技術)。
【符号の説明】
1 車両用シート空調装置
2 シート
2A シートクッション
2B シートバック
3 送風ユニット
10 表皮(シート表面)
11 導入通路
11b 連通口
12 配風通路

Claims (1)

  1. 内部に通風路を有するシートクッションとシートバックとを設けたシートと、
    このシートに強制送風する送風ユニットとを備え、
    前記送風ユニットより前記シートへ強制送風された空気を、前記通風路を通じてシート表面より吹き出すように構成された車両用シート空調装置であって、
    前記シートの通風路は、
    前記シートの表面近くで前記シート表面に沿って延びる複数本の配風通路と、
    これらの配風通路に通じる連通口を有し、前記送風ユニットより強制送風された空気を前記連通口を通じて前記配風通路へ供給する導入通路とを備え、
    前記配風通路は、前記連通口を起点として前記シートバックの上下方向の両端側へ略直線的に延びて設けられ、且つ少なくとも一部の前記配風通路の下流端が前記シートの端面に開口しており、
    前記シートバックの前記導入通路は、前記連通口が乗員の背中を着座圧として受ける部位に設けられていることを特徴とする車両用シート空調装置。
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