JP3956289B2 - 非水電解質電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の小型化に伴い、情報関連機器、通信機器等の携帯機器分野では、これらの機器に用いる電源としてエネルギー密度の高いリチウム二次電池等の非水電解質電池が実用化され広く普及するに至っている。また一方で、自動車の分野においても、環境問題、資源問題から電気自動車の開発が急がれており、この電気自動車用の電源としても、エネルギー密度の高い非水電解質電池が検討されている。
【0003】
非水電解質電池に用いられる非水電解質は一般的に可燃性である非水溶媒を含む。従って、何らかの原因で電池内部からの漏液が起こると安全上問題となる。電池内部からの漏液を防止するための従来技術としては、特開2000−223105号公報や、特開2000−348769号公報に、電解質をゲル状・固体状として封じ込めることで、電解質の漏洩を防止する技術が開示されている。
【0004】
ここで、電池内部から漏液が起こる原因の一つとして、過充電による電池温度の上昇が挙げられる。従って、電池からの漏液を防止して、電池の安全性を向上するためには、過充電を防止することも有効である。
【0005】
電池の過充電を防止するための従来技術としては、特開平2−199769号公報に、電池を構成するセパレータの表面に導電性添加剤としての導電性高分子を被着させることで過充電時に導電性樹脂により内部短絡が発生することで更なる過充電を防止する技術を開示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、導電性添加剤の電池内への添加は非常に困難であった。これは本発明者の研究によると、導電性高分子は、非水電解質電池に一般的に用いられる非水溶媒に対する親和性が低いために、非水溶媒に均一に分散させることが困難であったからである。導電性高分子が非水溶媒に対して均一に分散できないと、導電性高分子の性能を充分に発揮することができず、添加された導電性高分子が本来の電池反応に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
【0007】
電解質において凝集した導電性高分子は過充電防止作用を発揮するために大量に添加する必要がある。電解質に添加された導電性高分子は本来の電池反応に寄与しないので、非水電解質電池のエネルギー密度を低下させる。また、不均一な非水電解質は電池の生産性を低下させる。
【0008】
更に、従来技術であるゲル状・固体状の電解質と、導電性添加剤とは相溶性が低く、電池内において共存させることによって、安全性を向上させることは非常に困難であった。
【0009】
電解質に導電性高分子を均一に分散させることができれば、導電性高分子の性能が効率的に発揮できるので、導電性高分子の添加量を減少させることができる。その結果、本来の電池反応に寄与できる構成要素の存在比を高くすることができると考えられる。また、導電性高分子を電解質中に均一に分散できれば一般的な電解質と同様に電池の生産性は高いものとなる。
【0010】
そこで本発明では、導電性高分子が均一に分散されている非水電解質を採用し、安全性に極めて優れた非水電解質電池を提供すること解決すべき課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の非水電解質電池は、五酸化二バナジウムからなる正極活物質をもつ正極と、金属リチウムからなる負極活物質をもつ負極と、非水電解質とを有する非水電解質電池であって、
前記非水電解質は、
非水溶媒と、
ポリチオフェンの基本構造をもつ導電性主鎖と該導電性主鎖にグラフト化された親非水溶媒性側鎖とからなり、3.7V以上の電位にて前記正負極間を内部短絡させ且つ該非水溶媒が含浸された高分子材料と、
を有することを特徴とする。
また、その他にも上記課題を解決する非水電解質電池としては、リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質をもつ正極と、炭素材料からなる負極活物質をもつ負極と、非水電解質とを有する非水電解質電池であって、
前記非水電解質は、
非水溶媒と、
ポリパラフェニレンの基本構造をもつと該導電性主鎖にグラフト化された親非水溶媒性側鎖とからなり、4.1V以上の電位にて前記正負極間を内部短絡させ且つ該非水溶媒が含浸された高分子材料と、
を有することを特徴とする。
【0012】
高分子材料の導電性主鎖の部分は、電池の過充電時には電池内部で内部短絡を生起することで、過充電を抑制できる。導電性主鎖は、所定の電位以上を印加すると、導電性を発揮する。導電性を発揮する所定の電位は、非水電解質電池が過充電となる電位程度に制御する。つまり、過充電となる電位以上では導電性主鎖に充電電流が流れることで、非水電解質電池への充電が防止できる。
五酸化二バナジウム及び金属リチウムを正負極の活物質に採用した非水電解質電池の使用される電位は3.5Vであるので、同程度の電位以上において導電性を発現するポリチオフェン(3.7V以上で導電性を発現)の基本構造をもつ導電性主鎖とすることで過充電が防止できる。
そして、リチウム遷移金属複合酸化物及び炭素材料を正負極の活物質に採用した非水電解質電池については、ポリパラフェニレン(4.1V以上で導電性を発現)を導電性主鎖の基本構造をもつ導電性主鎖とすることで過充電が防止できる。
特に、前記親非水溶媒性側鎖はポリフッ化ビニリデン又はポリエチレンオキサイドからなることが望ましい。
【0013】
導電性主鎖に対してグラフト化している親非水溶媒性側鎖は、導電性主鎖が非水溶媒中での分散性を向上し、凝集することを防いでいる。その結果、効率よく導電性主鎖に電流を流すことができる。従って、導電性主鎖部分の相対的な量を少なくすることができるので電池反応への悪影響を最小限に止めることができる。
【0014】
また、親非水溶媒性側鎖の種類、導電性主鎖との存在比等を調節することで、本発明の非水電解質をゲル状乃至は固体状とすることもできる。具体的には親非水溶媒性側鎖を非水溶媒に溶解しない構造・種類を採用することや、導電性主鎖の存在比を向上することで、高分子材料全体として非水溶媒に溶解せず膨潤のみ生起する材料とすることができる。
【0015】
そして、前記高分子材料は三次元網目構造をもつことが好ましい。高分子材料の分子構造が三次元網目構造をもつことで、非水電解質をゲル状とすることができ、電池の安全性が向上すると共に、形成されたゲルの強度を向上することができる。
【0016】
更に、上記課題を解決する本発明の非水電解質電池は、リチウムイオンを吸蔵及び脱離できる正極及び負極と、該正極及び該負極の間に介装されたゲル状の非水電解質と、を有する非水電解質二次電池であって、その非水電解質は、上述した本発明の非水電解質であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の非水電解質電池について実施の形態に基づき詳細に説明する。本実施形態においては非水電解質電池としてリチウム二次電池に基づいて説明する。
【0018】
(非水電解質)
本実施形態の非水電解質電池が有する非水電解質としては、非水溶媒と、高分子材料とをもつ。非水溶媒は高分子材料に含浸されている。非水電解質としては、安全性の観点から、ゲル状・固体状であることが好ましいが、液状であっても、過充電防止機能を発揮することができる。更に本非水電解質は、必要に応じて選択される構成要素をもつことができる。必要に応じて選択される構成要素としては非水溶媒に溶解してイオン伝導に寄与する支持塩が挙げられる。高分子材料がイオン伝導性を発揮できる場合には支持塩は必須ではないが、イオン伝導性を発揮できない場合にはリチウム塩等の支持塩を添加する。支持塩を添加する場合には一般的に非水溶媒に溶解させて添加する。支持塩については後述する。
【0019】
非水溶媒は、一般的にリチウム二次電池に添加できる有機溶媒であれば特に限定しない。例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、テトラヒドロフラン等及びそれらの混合溶媒が適当である。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの高誘電率の主溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの低粘性の副溶媒との混合有機溶媒が好ましい。また、副溶媒として、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及びブチルラクトンなどを用いてもよい。
【0020】
支持塩を構成要素として添加する場合に、使用できる支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4およびLiAsF6から選ばれる無機塩、それら無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF32、LiN(SO3CF32、LiN(SO2252およびLiN(SO2CF3)(SO249)から選ばれる有機塩、並びにその有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
【0021】
これらの支持塩の使用により、電池性能をさらに優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においてもさらに高く維持することができる。支持塩の濃度についても特に限定されるものではなく、用途に応じ、支持塩及び非水溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
【0022】
高分子材料は、導電性をもつ導電性主鎖と、その主鎖にグラフト化された親非水溶媒性側鎖とからなる。導電性主鎖は一定の電位以上で導電性を発現し、一定の電位以上となった外部からの充電電流を短絡して電池を過充電から保護する作用をもつ。親非水溶媒性側鎖は非水溶媒と親和性が高いので、導電性主鎖に対する親非水溶媒性側鎖の存在比を適正に変化させることによって、高分子材料の非水溶媒に対する挙動を制御することができる。具体的には高分子材料に非水溶媒を含浸させることでゲル状としたり、更に親非水溶媒性側鎖の割合を増加させることで高分子材料が非水溶媒に溶解できるようにすることもできる。導電性主鎖と親非水溶媒性側鎖との構成比としては質量比で、1:1〜10:1程度が好ましい。また、高分子材料の分子量は数平均分子量で、10000〜100000程度が好ましい。
【0023】
また、高分子材料は三次元網目構造をもつことが好ましい。三次元網目構造は、高分子材料における導電性主鎖の間、親非水溶媒性側鎖の間及び導電性主鎖と親非水溶媒性側鎖との間を架橋することで形成することができる。高分子材料が三次元網目構造をもつことで、本実施形態の非水電解質は強度の高いゲルとすることができる。高分子材料が三次元網目構造をもつためには、高分子材料合成において二官能性以上のモノマーを混合するか、高分子材料に二官能性以上の架橋剤を反応させることで行うことができる。
【0024】
導電性主鎖は、π電子が主鎖方向に非局在化できる化学構造をもつ。具体的には、共役2重結合等が主鎖方向に連続する構造等をもつ。導電性主鎖は、このπ電子の非局在化により半導体的な性質を示す。
【0025】
導電性主鎖はポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニル、ポリアセン、ポリピロール、ポリフラン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリセレノフェン等の基本構造を採用できる。これらの基本構造をもつ導電性主鎖は単独で高分子化合物を形成すると、上述した非水溶媒に対して、一般的に親和性の低いものとなる。これらの基本構造は対応するアセチレン、ピロール、ベンゼン等のモノマーを化学的、電気化学的に重合させることで製造できる。
【0026】
導電性を発現する電位は導電性主鎖の化学構造により制御できる。従って、導電性主鎖の化学構造は適用される非水電解質電池に用いられる正負極の種類に応じて選択することが好ましい。つまり、適用される非水電解質電池が過充電となる電位程度で導電性を発現できるように、導電性主鎖の化学構造が選択される。
【0027】
導電性主鎖が導電性を発現できる電位は、導電性主鎖の各基本構造毎に以下の通りである。つまり、ポリアセチレンが3.7V、ポリパラフェニレンが4.1V、ポリパラフェニレンビニルが3.6V、ポリアセン、ポリピロールが3.3V、ポリフランが3.7V、ポリチオフェンが3.7V、ポリアニリンが3.5V、ポリセレノフェンが3.3Vである。
【0028】
ここで、正極活物質に五酸化二バナジウム、負極活物質に金属リチウムを用いる場合に使用される電位は3.5Vであるので、同程度の電位以上において導電性を発現するポリチオフェン(3.7V以上で導電性を発現)の基本構造をもつ導電性主鎖とする。また、正極活物質にニッケル酸リチウム等のリチウム遷移金属複合酸化物、負極活物質に炭素材料を用いたリチウム二次電池ではポリパラフェニレン(4.1V以上で導電性を発現)を導電性主鎖の基本構造として採用する。
【0029】
つまり、使用する非水電解質電池の正極活物質及び負極活物質から決定されるその電池に許容される電位の値に合わせて適正な導電性主鎖の基本構造を選択することで、効果的に過充電を防止することができる。
【0030】
これらの値はそれぞれの導電性主鎖が単独で存在する場合の値であり、ドーパントの添加により制御できる。ドーパントは導電性主鎖に添加することで、導電性を発現する電位を制御できる。添加するドーパントの種類は、導電性主鎖の構造に応じて適正に選択される。本実施形態のように、非水電解質電池としてリチウム二次電池とする場合にはドーパントとしてアニオンから選択することができる。
【0031】
高分子材料の主鎖にグラフト化された親非水溶媒性側鎖は、採用された非水溶媒に親和性をもつ化学構造をもつ。親非水溶媒性側鎖は、高分子材料を非水溶媒中でゲル化乃至は溶液化する。
【0032】
例えば親非水溶媒性側鎖を構成する基本構造としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0033】
高分子材料を製造する方法としては特に限定しない。例を挙げると、導電性主鎖を構成する導電性モノマーを重合して導電性主鎖に相当する構造をもつ線状高分子を合成した後に、その線状高分子の一部に側鎖を構成するモノマーをグラフト化する基点を設けて、その基点から親非水溶媒性側鎖を構成する親非水溶媒性モノマーを重合させる方法がある。側鎖を構成するモノマーをグラフト化できる基点は一般的な方法で設けることができる。例えば、ガンマ線、X線、電子線、低温プラズマ等の照射や、化学的方法によりラジカルや、イオンを発生させることで側鎖のモノマーの反応する基点を設けることができる。そして、予め親非水溶媒性モノマーを重合しておき、その親非水溶媒性側鎖を、先述の導電性主鎖に相当する線状高分子に対して、グラフト化する方法がある。
【0034】
また、導電性主鎖を構成する導電性モノマーに対して、予め親非水溶媒性側鎖をグラフト化できる基点乃至は親非水溶媒性側鎖を結合させた後に、その結合させた導電性モノマーを重合させることで高分子材料を製造することができる。
【0035】
(非水電解質電池)
本発明の非水電解質電池では、コイン型電池、ボタン型電池、円筒型電池及び角型電池等の公知の電池構造をとることができる。いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を前述の非水電解質単独で又は前述の非水電解質を含浸させた状態のセパレータを介して重畳あるいは捲回等して電極体とし、正極集電体および負極集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を集電用リード等を用いて接続した後、この電極体を電池ケース内に挿設し、これを密閉して電池を完成することができる。
【0036】
正極は、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる正極活物質に導電材および結着剤を混合し、必要に応じ適当な溶媒を加えて、ペースト状の正極合材としたものを、アルミニウム等の金属箔製の集電体表面に塗布、乾燥し、その後プレスによって活物質密度を高めることによって形成する。
【0037】
正極活物質にはリチウム遷移金属複合酸化物又は五酸化二バナジウムを用いることができる。リチウム遷移金属複合酸化物は、その電気抵抗が低く、リチウムイオンの拡散性能に優れ、高い充放電効率と良好な充放電サイクル特性とが得られるため、本正極活物質に好ましい材料である。たとえばリチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物や、各々にLi、Al、そしてCr等の遷移金属を添加または置換した材料等である。なお、これらのリチウム−金属複合酸化物を正極活物質として用いる場合には単独で用いるばかりでなくこれらを複数種類混合して用いることもできる。
【0038】
導電材は、正極の電気伝導性を確保するためのものであり、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉状体の1種または2種以上を混合したものを用いることができる。結着剤は、活物質粒子および導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものでポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。これら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
【0039】
負極については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出する負極活物質を用いる。負極活物質としては正極活物質として五酸化二バナジウムを用いる場合にはリチウム金属を採用し、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を用いる場合には、グラファイト、非晶質炭素、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素材料を採用する。炭素材料比表面積が比較的大きくでき、リチウムの吸蔵、放出速度が速いため大電流での充放電特性、出力・回生密度に対して良好となる。特に、出力・回生密度のバランスを考慮すると、充放電に伴ない電圧変化の比較的大きい炭素材料を使用することが好ましい。中でも結晶性の高い天然黒鉛や人造黒鉛などからなるものを用いることが好ましい。このような結晶性の高い炭素材を用いることにより、負極のリチウムイオンの受け渡し効率を向上させることができる。
【0040】
このように負極活物質として炭素材料を用いた場合には、これに必要に応じて正極で説明したような導電材および結着材を混合して得られた負極合材が集電体に塗布されてなるものを用いることが好ましい。
【0041】
非水電解質は前述した本実施形態の非水電解質を用いる。
【0042】
必要に応じてセパレータを用いる。適用する非水電解質が液状である場合、そして非水電解質がゲル状であっても、強度が小さい場合にはセパレータを正負極間に介装することで正負極間の絶縁を確実に担保できる。更に、セパレータは、正極および負極を電気的に絶縁するほか、非水電解質を保持する役割を果たすものである。
【0043】
例えばセパレータとしては、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜が適用できる。なおセパレータは、正極と負極との絶縁を担保するため、正極および負極よりもさらに大きいものとするのが好ましい。
【0044】
ケースは、特に限定されるものではなく、公知の材料、形態で作成することができる。
【0045】
ガスケットは、ケースと正負の両端子部の間の電気的な絶縁と、ケース内の密閉性とを担保するものである。たとえば、電解液にたいして、化学的、電気的に安定であるポリプロピレンのような高分子等から構成できる。
【0046】
【実施例】
以下に本発明の非水電解液電池について実施例のリチウム二次電池に基づいて説明する。
【0047】
〈実施例1のリチウム二次電池〉
本実施例のリチウム二次電池は、組成式V25で表される五酸化二バナジウムを正極活物質として用い、リチウム金属を負極活物質として用いたリチウム二次電池である。非水電解質として、導電性主鎖としてのポリチオフェンと、そのポリチオフェンにグラフト化された親非水溶媒性側鎖としてのポリフッ化ビニリデンとからなる高分子材料と、非水溶媒としてのエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=3/7(体積比)の混合溶媒とを1:7(質量比)の構成比で混合したものを用いた。非水電解質は高分子材料が非水溶媒を含浸することでゲル状であった。
【0048】
高分子材料の導電性主鎖と親非水溶媒性側鎖との構成比は1:1(質量比)であった。非水溶媒は支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解したものを使用した。
【0049】
高分子材料はポリチオフェンとフッ化ビニリデンモノマーとの混合物に放射線を照射することで、ポリチオフェンにポリフッ化ビニリデンをグラフト化させた。ポリチオフェンは2,5−ジブロモチオフェンを出発原料とし、グリニャール反応溶液中での脱ハロゲン化重合により得た。
【0050】
本実施例のリチウム二次電池の正極は、上記V25を90質量部に、導電材としてアセチレンブラックを10質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを5質量部混合し、適量のN−メチル−2−ピロリドンを添加して混練することでペースト状の正極合材を得た。この正極合材を厚さ15μmのAl箔製正極集電体の片面に塗布、乾燥し、プレス工程を経て、シート状の正極を作製した。
【0051】
負極は、厚み30μmのリチウム金属箔を用いた。
【0052】
上記正極および負極をそれぞれ所定の大きさに裁断し、裁断した正極と負極とを、その間に厚さ25μmのポリエチレン製セパレータを挟装した。セパレータには予め高分子材料と支持塩が溶解された非水溶媒とを混合して得られた本発明の非水電解質が含浸されたものを使用した。最後に電池ケースを密閉して、本実施例のリチウム二次電池を完成させた。
【0053】
その後、コンディショニングとして3V〜4.2V間を0.2Cで2サイクル充放電を行った。
【0054】
〈実施例2のリチウム二次電池〉
本実施例のリチウム二次電池は非水電解質において、導電性主鎖としてのポリチオフェンと親非水溶媒性側鎖としてのポリエチレンオキサイドとからなる高分子材料を用いたこと、そして、支持塩としてLiBF4を用いたこと以外は、実施例1のリチウム二次電池と同様の構成、製造方法である。非水電解質は高分子材料が非水溶媒を含浸することでゲル状であった。
【0055】
高分子材料の導電性主鎖と親非水溶媒性側鎖との構成比は1:1(質量比)であった。また、高分子材料はNH2基を有するポリチオフェンと末端にCOOH基を有するポリエチレンオキサイドとを混合し加熱することでグラフト重合した。ポリチオフェンは3位にNH2基を有するジブロモチオフェンを出発原料とし、グリニャール反応溶液中での脱ハロゲン化重合により得た。
【0056】
〈比較例1のリチウム二次電池〉
本比較例のリチウム二次電池は非水電解質において、ポリフッ化ビニリデンからなる高分子材料を用いたこと以外は、実施例1のリチウム二次電池と同様の構成、製造方法である。非水電解質は高分子材料が非水溶媒を含浸することでゲル状であった。
【0057】
〈比較例2のリチウム二次電池〉
本比較例のリチウム二次電池は非水電解質において、ポリエチレンオキサイドからなる高分子材料を用いたこと以外は、実施例2のリチウム二次電池と同様の構成、製造方法である。非水電解質は高分子材料が非水溶媒を含浸することでゲル状であった。
【0058】
〈試験〉
・釘刺し試験
各実施例及び比較例のリチウム二次電池について、釘刺し試験を行った。釘刺し試験は各電池をSOC100%に調整後、60℃に保持した後に、直径3mmの釘を貫通させたときの電池の様子を観察した。
・過充電試験
各実施例及び比較例のリチウム二次電池について、1Cの条件で充電を行った場合の電池の端子電圧を経時的に測定した。
【0059】
〈結果〉
釘刺し試験の結果、実施例及び比較例のリチウム二次電池において液漏れは認められなかった。
【0060】
過充電試験の結果を図1に示す。図1には各実施例及び比較例のリチウム二次電池における端子電圧のSOC依存性を示したグラフである。比較例1及び2のリチウム二次電池ではSOCが100%を超えたあたりから、端子電圧の上昇が急速に進行していった。比較例のリチウム二次電池は過充電に伴い発熱して、非常に高熱となった。
【0061】
実施例1及び2のリチウム二次電池ではSOC100%を超えた後に一旦端子電圧が上昇したものの3.7V付近で端子電圧の上昇は停止した。3.7Vの値はポリチオフェンが導電を発現する電位とほぼ同じであることから、電池内において、非水電解質が含有する高分子材料の導電性主鎖が導電性を発現することで実施例のリチウム二次電池の正負極間を短絡することで過充電を防止しているものと推測できる。
【0062】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の非水電解質は、導電性をもつ導電性主鎖と、その主鎖にグラフト化された非水溶媒に親和性をもつ親非水溶媒性側鎖とをもつ高分子材料を含有するので、非水電解質中に導電性をもつ導電性主鎖が均一に分散できるために、非水溶媒に対して分散性の悪い導電性高分子を単独に非水電解質に添加する場合よりも、より効果的に過充電を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各実施例及び比較例のリチウム二次電池に対して、充電を行った場合の端子電圧の値とSOCとの関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 五酸化二バナジウムからなる正極活物質をもつ正極と、金属リチウムからなる負極活物質をもつ負極と、非水電解質とを有する非水電解質電池であって、
    前記非水電解質は、
    非水溶媒と、
    ポリチオフェンの基本構造をもつ導電性主鎖と該導電性主鎖にグラフト化された親非水溶媒性側鎖とからなり、3.7V以上の電位にて前記正負極間を内部短絡させ且つ該非水溶媒が含浸された高分子材料と、
    を有することを特徴とする非水電解質電池
  2. リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質をもつ正極と、炭素材料からなる負極活物質をもつ負極と、非水電解質とを有する非水電解質電池であって、
    前記非水電解質は、
    非水溶媒と、
    ポリパラフェニレンの基本構造をもつと該導電性主鎖にグラフト化された親非水溶媒性側鎖とからなり、4.1V以上の電位にて前記正負極間を内部短絡させ且つ該非水溶媒が含浸された高分子材料と、
    を有することを特徴とする非水電解質電池。
  3. 前記親非水溶媒性側鎖はポリフッ化ビニリデン又はポリエチレンオキサイドからなる請求項1又は2に記載の非水電解質電池。
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