JP3954437B2 - 結晶粒の異常粒成長を防止する肌焼ボロン鋼の製造方法 - Google Patents

結晶粒の異常粒成長を防止する肌焼ボロン鋼の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車、シャフト等高い応力が負荷される部品への使用に適した肌焼ボロン鋼の浸炭時の結晶粒の異常粒成長を防止するための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、歯車、シャフト等表面に高い応力が負荷される等の理由で高い表面硬度を必要とする部品は、Cを0.10〜0.30量%程度含有する炭素鋼にCr、Mo等が添加された機械構造用合金鋼(SCM、SCr、SNCM等)を使用し、熱鍛、冷鍛等の塑性加工及び、機械加工を施して目的とする形状に成形した後、浸炭、窒化等の表面硬化処理を行って表面硬度を高めて必要な強度を確保していた。
【0003】
しかし、このような表面硬化部品は自動車等に多く使用され、これらの製品に対する軽量化要求が極めて強いことから、従来公知のSCM、SCr等の合金鋼に浸炭処理を施した鋼よりも高い疲労強度の得られる鋼の開発が強く求められている。特にこのような表面硬化部品の中には衝撃的に強い力が負荷される部品があり、耐衝撃性(衝撃的に高い応力が負荷された際の疲労強度)が優れた鋼の開発が強く要求され、それを改善するための特許出願もされている。
【0004】
しかし、その多くは浸炭異常層を増加させる元素を低減したり、強度改善に効果のあるMoやNi等の合金元素を増量する等の方法で浸炭後の強度を改善することを特徴とするものである。例えば、特公平7−100840号公報にはSi量を低減して粒界酸化を防止して浸炭異常層を低減するとともに、高価なMoを多量に添加した鋼を用いた歯車が記載され、これにより耐衝撃性が改善されることが開示されている。
【0005】
しかし、Siは脱酸のために必要な元素であるため、低減は製造性を低下させるという問題がある。また、Mo等の合金元素の増量は浸炭処理前の素材硬さの上昇をもたらし、その結果冷間鍛造成形性や機械加工性を悪化させるため、コストを大幅に上昇させる等の欠点があった。
【0006】
これを改善するため、特開平10−152746号公報及び特開平11−71654号公報に示されるように素材に添加する合金成分を削減し、これによる焼入性の低下を補うため少量のBを添加し、加工性と強度を両立させる浸炭用鋼が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報に記載の発明では、以下の問題がある。
すなわち、前記公報に記載の発明では、浸炭処理後に問題となるオーステナイト結晶粒の粗大化を防止するための条件に関する検討が十分でなく、結晶粒が異常成長して問題を起こす場合があることである。
【0008】
なお、ここで言う結晶粒の異常粒成長とは、浸炭中にオーステナイト結晶粒が局部的に粗大化する現象を指す。これは浸炭処理中に微細炭窒化物が固溶または凝集粗大化することにより、それまで粒成長の駆動力と釣り合っていた粒界のピン止め力が減少するために生じるものである。特に浸炭処理の前に冷間鍛造される部品では塑性加工の影響で浸炭初期のオ−ステナイト結晶粒が微細化して粒成長の駆動力が非常に高い状態になるため、微細炭窒化物の析出量に対して非常に敏感になり異常粒成長が生じ易い。この結晶粒の異常粒成長が生じた場合、不均一組織(混粒)となるため、浸炭部品の強度や浸炭焼入で生じる焼入れ歪のばらつきを増加させる恐れがあり、浸炭部品としての信頼性が劣る。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、Bを添加することで高価な合金元素の多量添加をできるだけ防止し、かつ結晶粒の異常粒成長の防止が可能で、かつ冷間加工性にも優れた肌焼ボロン鋼の製造方法を新規に提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明である肌焼ボロン鋼の製造方法は、C:0.10〜0.30量%(以下、単に「%」という。)、Si:0.50%以下、Mn:0.50〜1.50%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:0.85〜2.00%、Ni:0.25%以下、Mo:0.35%以下、Al:0.10超〜0.30%、N:0.0080〜0.0250%、Nb:0.01〜0.10%、Ti:((N−0.0012)/0.29)%以下を含有し、且つ、(N−0.29Ti)≧0.0042の場合にはB:0.0010〜(0.042(N−0.29Ti)+0.0029)%、(N−0.29Ti)<0.0042の場合にはB:0.0010〜(0.69(N−0.29Ti)+0.0002)%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼を、1150℃以上に加熱して熱間加工を施し、その後600〜1000℃で30分〜10時間加熱する熱処理を浸炭処理前に少なくとも1回以上行うことを特徴とする結晶粒の異常粒成長を防止する肌焼ボロン鋼の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のポイントは、B添加かつAl多量添加鋼において、結晶粒粗大化を防止できるB、N、Tiの添加範囲の条件を正確に見出した点にある。
【0012】
本発明では、Bの添加により焼入性の向上を図り、高価なMo、Niの添加量を少なく抑えても必要な焼入性を確保し、かつ優れた強度の達成を可能にしている。しかし、Bは、Nと結合しやすい元素であり、BNが生成すると焼入性向上効果が消失するため、同様にNと結合しやすいAl、Tiの添加によって効果の消失を防止している。しかしながら、防止しているといっても添加したBの一部はNと結合してBNを生成し、その結果としてBの添加量が増加するほど、結晶粒粗大化防止に効果のあるAlN、TiN等の窒化物が減少し、粗大化しやすくなる。
【0013】
以上説明した点はその現象の傾向(それぞれの元素を増減した時にどういう方向に変化するかという点)自体は知られているが、実際にB鋼を浸炭した場合にどのような条件とした場合に、結晶粒異常粒成長の防止が可能となるかという具体的条件については明確になっていなかった。
【0014】
本発明者等は、B添加鋼について基本的要求特性である強度について優れた特性を有し、かつ結晶粒の異常粒成長を防止できる条件について詳細に調査した。その結果、B、Ti、N以外の元素を前記した特定範囲に限定した上で、さらにB、Ti、Nの添加範囲について前記請求の範囲に記載した範囲及び条件式を満足し、かつ熱間加工時に1150℃以上の高温に加熱し、浸炭処理前に600〜1000℃での熱処理を施した場合に限り、粗大化を効率良く防止できることを新規に見出したものである。
【0015】
次に、本発明である肌焼ボロン鋼の製造方法の各成分範囲の限定理由について説明する。
【0016】
Cは、浸炭焼入後の硬化深さ及び内部硬さを向上させ、疲労強度の向上に大きく影響する。しかし、Cの含有量が0.10%未満では、浸炭後の内部硬さが低下して疲労強度が大きく低下する。一方、0.30%を超えると、浸炭処理前の硬さが上昇して冷間加工性や被削性が悪くなり、所定形状への加工が難しくなってコスト高となる。従って、Cの下限、上限をそれぞれ0.10%、0.30%とした。
【0017】
Siは脱酸剤として必要な元素であるが、一方で浸炭異常層を生成させ、浸炭処理後の疲労強度の低下をもたらす元素として知られている。しかしながら、本発明鋼の成分範囲では、脱酸剤としての添加程度では疲労強度への悪影響は大きくなく、極端な低減は製造を難しくし、実生産に悪影響を及ぼすため、脱酸のために必要な量程度の添加を許容するものとした。
【0018】
但し、Siは固溶強化によって素材硬さを上昇させる影響を及ぼす元素であるため、必要以上の多量添加は浸炭処理前における硬さが上昇して冷間加工性を阻害し、加工コストを上昇させる原因となるため、その上限を0.50%とした。
【0019】
Mnは素材の焼入性を向上させるため、浸炭焼入後の硬化深さ及び内部硬さを向上させ、疲労強度向上に大きく影響する。そして、Mnの含有量が少ないと浸炭拡散層のトルースタイト生成が顕著になり、耐衝撃性低下の原因となるため、その下限を0.50%とした。一方、多量に含有させすぎると、浸炭処理前の硬さが増加して冷間加工性や被削性が低下し、加工コストを上昇させるため、上限を1.50%とした。
【0020】
Pは、製造上不可避に含有される不純物で、フェライトに固溶して硬さを上昇させるため、冷間加工性を劣化させる元素である。従って、極力低減することが好ましいが、Pは精錬による除去が難しい元素であり、極端な上限の規制は製造を難しくするため、0.030%までの範囲で含有を許容するものとした。
【0021】
Sは多量に含有すると浸炭時のオーステナイト粒界に偏析し、浸炭層の粒界強度を低下して、耐衝撃性を劣化させる。また、MnSを形成して、冷鍛時の限界加工率を低下させ、冷間加工性を低下させる元素でもある。従って、極力低減することが望ましく、その上限を0.030%とした。
【0022】
Crは素材の焼入性を向上させ、浸炭焼入後の硬化深さ及び内部硬さを向上させ、疲労強度の向上に効果のある元素である。また、Bが添加される鋼においては、浸炭層に耐衝撃性を低下させるトルースタイトが生成しやすくなるが、その生成を防止するために著しい効果があるため、その下限を0.85%とした。一方、多量に含有させると、浸炭時のオーステナイト粒界にCr炭化物が析出し、浸炭層の粒界強度を低下させ、疲労強度が低下するため、上限を2.00%とした。
【0023】
Niは、使用する原料によっては不純物として少量含有される元素であるが、その量が増加すると素材硬さを増加させるため、冷間加工性を低下させる元素である。しかしながら、上限を低くしすぎると、安定して範囲内の鋼を製造することが難しくなるとともに、少量の含有であれば加工性への悪影響は大きくないので、本発明では製造上影響のない量の含有を許容するものとし、その上限を0.25%とした。
【0024】
Moは前記した先願のように、B未添加鋼にとっては素材の焼入性を向上させ、浸炭焼入後の硬化深さ及び内部硬さを向上させて、耐衝撃性を効果的に向上させる効果のある元素である。しかし、Moを増量すると、B添加鋼の場合には、浸炭層にトルースタイトが生成しやすくなり、耐衝撃性が低下する。また、本発明ではBの添加によってMoを多量添加しなくても、必要な焼入性を確保できるよう設計されているので、Moの多量添加は必要なく、その上限を0.35%とした。
【0025】
Alは脱酸剤として添加される元素であるが、鋼中のNと反応してAlNを形成し、浸炭時に結晶粒が異常粒成長するのを防止する作用がある。本発明鋼のAlは従来鋼に比べ多量であり、単にAlNの生成のみであれば、このような多量に添加する必要はないが、本発明にとって、AlはBとNとの結合を抑制し、焼入性向上に効果のある固溶B量を確保するために必要な元素でもある。また、BNはAlNよりも固溶温度が低いため、浸炭加熱中にBNはAlNよりも先に固溶するが、この場合、Bと分離したNは、Alを多量に添加しておくことによって、AlNとして析出する。従って、浸炭処理中に起きる異常粒成長の防止に有効なAlN量の減少を抑制することができ、結晶粒の異常粒成長を防止することができる。従って、従来の浸炭用鋼に比べ大幅に多量に添加する必要があり、その下限を0.10%超とした。
【0026】
しかしながら、多量に含有させすぎると、AlNの固溶温度が上昇し、後述する熱間加工時の1150℃以上の加熱後に未固溶で残存するAlNが増加し、その後の600〜1000℃加熱処理時に微細析出するAlN量が減少して結晶粒が異常粒成長し易くなるため、上限を0.30%とした。
【0027】
Nは、その一部がAlと結合しAlNとなって鋼中に存在し、結晶粒の粗大化を防止する。Nは大気中から溶解時に混入するため、製造上不可避に不純物として含有する元素であるが、十分な量のAlNを生成させるためには、不可避的不純物として含有するN量では不十分であり、製鋼時に積極添加することにより、最低でも0.0080%以上含有させることが必要である。しかし、極端に多量に含有させることは、製造上困難であるため、その上限を0.0250%とした。
【0028】
NbはN及びCと反応してNb(C、N)を生成し、浸炭時の結晶粒の異常粒成長を防止する効果がある。Nbの含有量が0.01%未満では、上記効果が発現せず、また、0.10%を超えると浸炭時の結晶粒の異常粒成長を防止する効果が飽和し、コスト高となり好ましくない。従って、Nbの下限、上限をそれぞれ0.01%、0.10%とした。
【0029】
TiはNと反応してTiNを生成し、浸炭時の結晶粒の異常粒成長を防止する効果があり、少量添加することによりその効果を高めることができる。本発明にとって主な異常粒成長防止効果はAlNにより得ており、Tiはその効果を補充するのに必要な量添加すれば良い。しかしながら、その効果を確実に得るためは、0.005%を超えて含有させることが好ましい。一方、TiはAlに比べNと結合しやすいため、多量に添加するとAlに比べ優先的にNと結合し、AlNが減少する。前記した通りTiNも結晶粒の異常粒成長防止に効果があるが、AlNが大幅に減少した場合、トータルの結晶粒異常粒成長防止効果が低下するので、N量を考慮して上限を(N−0.0012/0.29)%とした。好ましくは上限を0.03%以下、より好ましくは0.01%未満とするのが良い。
【0030】
Bは、高価なMoを添加することなしに必要な焼入性を確保することを可能にする元素であるため、Moの代わりに添加することによって、浸炭処理前の素材硬さの上昇を防止することができる。また、Bは結晶粒界を強化し、疲労強度の向上に寄与するためにも必要な元素であり、最低でも0.0010%の含有が必要である。
【0031】
しかし、浸炭処理中において添加したBの一部は焼入性向上に寄与しないBNとして鋼中に存在するため、B含有率が増加すると、結晶粒粗大化を防止するために必要なAlN、TiNが減少する。
【0032】
AlN、TiNの量は、Al、Ti、Nの含有率によっても変化するため、本発明者等が詳細に実験を繰返した結果、(N−0.29Ti)≧0.0042の場合には、Bの上限を(0.042(N−0.29Ti)+0.0029)%、(N−0.29Ti)<0.0042の場合には、Bの上限を(0.69(N−0.29Ti)+0.0002)%とし、かつ後述の熱処理を行った場合に限り、結晶粒粗大化を防止できることを見出したものである。なお、Al量は、本発明の場合、必要なAlNの生成に十分すぎる程度に多量添加しているため、前記条件式には含まれていない。前記条件式はAlも含め、本発明で規定した成分範囲の鋼に限って結晶粒粗大化が防止できる条件を示すものである。
【0033】
次に、本発明の製造条件限定理由について説明する。
本発明では、前記した特定範囲に限定することにより、結晶粒粗大化の防止を図っている。しかしながら、その防止効果は前記した成分範囲とした場合でも、製造時の条件によって大きく変化するため、適切な方法で製造することが必要である。
【0034】
熱間加工時の加熱温度を1150℃以上としたのは、結晶粒微細化効果を十分に得るためには、AlN、Nb(C、N)等の炭窒化物を一旦固溶させる必要があり、そのために必要な温度であるからである。なお、ここで言う熱間加工とは、熱間圧延又は圧延後に所定形状に加工するための熱間鍛造を指す。1150℃未満の温度で加熱し、加工された場合、炭窒化物が十分に固溶されない。従って、後述の熱処理後に微細析出し結晶粒粗大化防止に効果を及ぼす析出物の量が減少するため、結晶粒の異常粒成長を防止できない。従って、十分に高温に加熱して圧延をするか、あるいは圧延後の熱間鍛造時に1150℃以上の温度に加熱するかのいずれかの方法によって、鋼中に存在する炭窒化物を一旦十分に固溶させる必要がある。なお、ここで言う十分な固溶とは完全に固溶することは意味していない。後述の熱処理で十分な量の炭窒化物を析出させるだけの量の炭窒化物を固溶させることにより、本熱処理(固溶化処理)の目的は達成される。
【0035】
次に、本発明では、600〜1000℃の温度に加熱する熱処理を実施する。この熱処理は、前記した高温加熱によって鋼中に固溶させた炭窒化物を再び鋼中の多数の箇所から均一かつ微細に析出させるためである。前記加熱によって固溶せずに残存している炭窒化物は粗大であるため、結晶粒粗大化防止には効果がなく、この熱処理により析出させた炭窒化物のみが粗大化防止に効果的に作用することによって、結晶粒の異常粒成長が防止される。
【0036】
熱処理の温度範囲を600〜1000℃としたのは、この温度範囲が、一旦1150℃以上に加熱して固溶させたAl、Nbの炭窒化物を微細に析出させるのに適した温度であるからである。600℃未満である場合には、析出反応が十分に起きず、1000℃を超える場合には、析出反応と固溶反応が同時に起きるようになり、微細かつ多数の析出状態とすることが困難になるからである。なお、加熱温度は熱処理中に一定であっても良いし、変動させても良い。温度範囲が600〜1000℃である限り、十分に析出させることが可能であるからである。
【0037】
また、加熱時間を30分〜10時間としたのは、30分未満の場合、十分に微細析出させることができないためであり、上限を10時間としたのは、あまり長時間行うと、微細析出した析出物が凝集粗大化し、結晶粒粗大化防止効果が低下するからである。また、長時間加熱は生産性の低下をもたらし、エネルギーコストも増加し、好ましくない。なお、本熱処理(微細析出処理)は2回以上実施することにより、その効果を高めることもできる。
【0038】
さらに、本発明の場合、所定形状に加工するために冷間鍛造したり機械加工する場合があり、その場合には硬さを低減して加工性を向上させる必要がある。その場合には、この微細析出のための熱処理を硬さ低減に効果の大きい条件に設定することが、より好ましい。
【0039】
このように、本発明では特定の成分範囲に限定した鋼に対し、適切な条件で製造することにより、浸炭処理後に優れた強度を確保するとともに、結晶粒の異常粒成長を防止できる鋼を製造することが可能となる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の特徴を実施例により明らかにする。表1及び表2は評価に用いた供試材の化学成分を示すものである。
【0041】
【表1】
Figure 0003954437
【0042】
【表2】
Figure 0003954437
【0043】
表1に示す供試材のうち、1〜19鋼は、本発明の製造方法の対象内の鋼、表2に示す20〜36鋼は一部の成分が本発明の成分範囲外である比較鋼、37、38鋼はそれぞれ従来鋼であるJISのSCM420、SNCM420に相当する鋼である。
【0044】
これらの供試材は、短時間で多種類の供試材を準備するため、少量で短時間に溶解可能な30kgVIM溶解炉で溶解することにより準備した。この溶解炉で得られた鋼塊を1200℃に加熱かつ30分保持した後、鍛伸(熱間加工)により直径36mmの丸棒を製造した。この丸棒に対し、▲1▼680℃×3hr→空冷の熱処理、▲2▼900℃×1hr→660℃×4hr→空冷の熱処理の両方の熱処理を▲1▼、▲2▼の順で行い、後述に示す方法で冷間加工性、異常粒成長防止特性、耐衝撃性、浸炭特性についての試験を実施した。
【0045】
(1)冷間加工性の評価方法
冷間加工性の評価は、素材硬さ、変形抵抗、限界加工率の3項目の評価を実施することにより行った。まず、硬さは、前記した熱処理を行った丸棒を切断し、丸棒径のD/4位置にてビッカース硬さ計(型式;AVK−C2、メーカー名;AKASHI社製)を用いて荷重10kgで測定した。
【0046】
次に、変形抵抗は、丸棒D/4位置から直径10mm、高さ15mmの試験片(切欠無)を機械加工し、100t万能試験装置(型式;RH−100、メーカー名;島津製作所製)を用いて圧縮速度1mm/分で負荷し、70%据込時の圧縮荷重を測定し、日本塑性加工学会が提案している端面拘束圧縮による変形抵抗測定法を用いて変形抵抗を求めた。(塑性加工春季講演会予稿集(1980)P529〜P532 参照)
【0047】
限界加工率は変形抵抗を測定した方法と同じ方法で圧縮加工を行い、端部(円周部)に割れが入ったときの据込率を限界加工率とした。(塑性と加工No.241、(1981)P139〜P144、日本塑性加工学会発行 参照)
【0048】
(2)結晶粒の異常粒成長防止特性の評価方法
異常粒成長防止特性については、変形抵抗測定に用いた試験片と同一形状の試験片を機械加工して準備し、これを前記した端面拘束圧縮で据込率70%の圧縮を実施した試験片を使用した。圧縮加工した試験片を用いるのは、冷間歪を付与させた方が、結晶粒の異常粒成長が起きやすく、より厳しい試験となるからである。このように圧縮加工を行った試験片に図3に示すヒートパターンの浸炭焼入と150℃での焼戻し(90分)を実施し、光学顕微鏡にて、冷間加工方向に平行な中心断面における図4に示す位置での旧オーステナイト結晶粒度を測定した。測定位置を固定したのは、圧縮の場合、場所により歪値が不均一であるため、歪値の違いにより結果に影響が生じる可能性が大きく、全ての供試材で同一条件で評価するには、観察位置を固定する必要があるからである。そして、素地の結晶粒に対して粒度番号が3番以上離れた(大きい)結晶粒の存在している部分の面積率を測定し、それを異常粒成長が生じた領域とし、その面積率を表4及び表5に示した。なお、JISG0551では、軽度の異常粒成長の発生は実際の強度等への悪影響が小さいことを考慮して、この面積率が20%以上である場合に、混粒状態になったと定義している。
【0049】
なお、ここでの結晶粒度番号とはJISG0551のオーステナイト結晶粒度試験方法に準じて測定した値である。また、参考として、本発明で規定した、NとTiの請求範囲を示す図を図1に、BとN−0.29Tiの請求範囲を示す図を図2に示した。この図1、2中には、実施例で評価した供試材の成分値をプロットして示したが、評価した試験材が、本発明請求の範囲のほぼ全体をカバーしていることがわかる。
【0050】
(3)実歯車による評価
以上説明した評価は全て試験片による評価であるが、実部品に適用した場合において狙いとする効果が得られるかを確認するために、前記した直径36mmの丸棒(熱処理済、熱処理条件は前述の通り)を用い、ピーリングで正確に直径34mmの丸棒とした後、冷間鍛造を実施し、機械加工で仕上加工して、傘歯車を製造した。なお、製造した傘歯車の仕様モジュールは4.8、歯数が10、ピッチ円径が48.8mmである。この傘歯車に、図3に示すヒートパターンの950℃での浸炭焼入と150℃での焼戻し(90分)を実施し、内径部の研削による最終仕上げをして試験用歯車とした。この歯車に対し、以下の方法で評価を行った。
【0051】
(3)−1 異常粒成長防止特性の評価
異常粒成長防止特性の評価は、この傘歯車の歯面断面の浸炭層にて旧オーステナイト結晶粒の粒成長状態を評価することにより実施した。オーステナイト結晶粒は光学顕微鏡(型式;BX60M、メーカー名;OLYMPUS社製)を用いて観察した。
【0052】
(3)−2 耐衝撃性
本発明では耐衝撃性(衝撃的に高い応力が負荷された場合の疲労強度)を重視している。そこで、この特性を評価するために、準備した傘歯車を図5に示すように油圧疲労試験装置にセットし、試験歯車に対して実相手歯車相当の曲率を持つ治具にて歯面に周期的荷重を与えることで完全片振りの疲労試験を行い、100回で破壊する試験荷重を求めた。
【0053】
(3)−3 浸炭性
傘歯車のピッチ部と歯元部における硬化深さ及び内部硬さを測定した。硬化深さは、Hv513以上の硬さが得られる深さをマイクロビッカース硬度計(型式;MVK−E、メーカー名;AKASHI社製)を用いて荷重300gで測定することにより調査した。また、内部硬さは、ビッカース硬度計(型式;AVK−C2、メーカー名;AKASHI社製)を用いて荷重10kgで測定したものである。
以上説明した方法で評価した結果を表3〜表6に示す。
【0054】
【表3】
Figure 0003954437
【0055】
【表4】
Figure 0003954437
【0056】
【表5】
Figure 0003954437
【0057】
【表6】
Figure 0003954437
【0058】
表3〜表6から明らかなように、比較鋼である20〜36鋼は本発明で規定した成分のうちいずれかの条件が満足しないため、加工性、異常粒成長防止特性、耐衝撃性、浸炭性のうち、いずれかの特性が本発明鋼に比べ劣るものである。特に、前述した通りB、Ti、N量の組合せが図1、2に示した本発明の請求範囲外となる場合には、本発明鋼に比べ低い浸炭温度にて異常粒成長の現象が認められ、異常粒成長防止特性が劣ることが確認できた。
【0059】
また、従来鋼であるSCM420(37鋼)、SNCM420(38鋼)は異常粒成長防止特性が劣るとともに、限界加工率も71、69%と劣り、かつ炭素含有率がほぼ同一の本発明鋼に比べ耐衝撃性が劣るものである。
【0060】
それに対し、本発明鋼である1〜19鋼は、各特定成分を適切な範囲内とし、かつ異常粒成長防止のために不可欠となる微細なAlN析出物を必要量確保するために、B、Ti、Nを前記した条件を満足する範囲内で添加し、さらに適切な温度で加熱及び熱処理を行ったことにより、920℃、950℃で混粒状態にならないのは勿論であるが、980℃という高い浸炭温度でもJISG0551で定義されている混粒状態(面積率で20%以上)になることがなく、優れた異常粒成長防止特性を有するとともに、冷間加工性、耐衝撃性、浸炭性についても、試験片、実部品の両方で優れた特性が得られることを確認できた。(1鋼の耐衝撃性は、炭素含有率が0.10%と従来鋼の半分であるにもかかわらず、従来鋼と同等の耐衝撃性を示した。)
【0061】
次に、本発明で規定した製造条件が結晶粒の異常粒成長防止に適した条件であるかどうかを確認するための別の実施例について説明する。
【0062】
前記した実施例では、熱間加工時の加熱温度、その後の熱処理時の加熱温度、保持時間の条件を一定で実施したが、本発明で規定した製造条件が適切であることを確認するために、これらの条件を変動させ、異常粒成長防止特性にどのように影響するかについて調査した。供試材は、表1に示した鋼のうち、本発明で規定する成分範囲内の鋼である5、6、10、11、14、18、19鋼を用い、前記した圧縮試験片を用いた異常粒成長防止特性の評価方法と同じ方法により評価を行った。なお、浸炭温度は異常粒成長特性を判断しやすい980℃を採用した。その結果を表7に示す。
【0063】
【表7】
Figure 0003954437
【0064】
表7から明らかなように、本発明で規定した範囲内の鋼を用いた場合であっても、適した製造方法で実施しない場合には、結晶粒の異常粒成長防止特性が劣ることがわかる。従って、結晶粒の異常粒成長を防止し、かつ耐衝撃性、冷間加工性、浸炭性の全てについて優れた特性を得るためには、成分、製造条件の両方を本発明で規定した範囲内として製造することが必要であることがわかる。
【0065】
以上説明した結果より、浸炭時の異常粒成長を防止できる肌焼ボロン鋼の最適な製造方法を特定することができた。しかしながら、以上説明した結果は、実験を短時間に効率良く進めるため、その試験材は全て30kgVIM溶解炉で溶解して準備したものである。そこで、実験炉と実際の生産設備で差が生じることがないかを確認するために、実生産設備で実際に表1の6鋼に相当する鋼を溶解し、1200℃に加熱して仕上圧延を行い、680℃×3hrの熱処理を実施した後に切断し、さらに900℃×1hr→660℃×4hr→空冷の条件で熱処理を行い、前記実施例と同一の評価を行った。その結果、前記実施例と同様の結果が得られることが確認できた。
【0066】
【発明の効果】
本発明の肌焼ボロン鋼の製造方法によれば、含有成分をそれぞれ特定範囲に限定し、特にB、Ti、Nを前記した関係式を満足する範囲に限定し、かつ1150℃以上の温度で熱間加工後、600〜1000℃の温度で少なくとも1回以上の熱処理を施すことによって、異常粒成長防止に効果の大きい微細析出したAlNを浸炭時に安定して必要量確保することができ、異常粒成長の発生を防止することができる。
【0067】
さらに、本発明の製造方法に基づき製造された浸炭部品は、浸炭性、冷間加工性、耐衝撃性の全てについて優れた特性を確保することができ、高強度浸炭部品が必要となる産業へ大きく貢献できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明鋼請求範囲のTi量とN量の関係を示す説明図である。
【図2】本発明鋼請求範囲のB量とTi量とN量の関係を示す説明図である。
【図3】実施例で用いた浸炭焼入処理のヒートパターンを示す説明図である。
【図4】異常粒成長防止特性評価に用いた試験片の旧オーステナイト粒界観察位置を示す説明概略図である。
【図5】実施例で傘歯車の耐衝撃性評価のために行った試験の内容を示す説明概略図である。

Claims (1)

  1. C:0.10〜0.30量%、Si:0.50量%以下、Mn:0.50〜1.50量%、P:0.030量%以下、S:0.030量%以下、Cr:0.85〜2.00量%、Ni:0.25量%以下、Mo:0.35量%以下、Al:0.10超〜0.30量%、N:0.0080〜0.0250量%、Nb:0.01〜0.10量%、Ti:((N−0.0012)/0.29)量%以下を含有し、且つ、(N−0.29Ti)≧0.0042の場合にはB:0.0010〜(0.042(N−0.29Ti)+0.0029)量%、(N−0.29Ti)<0.0042の場合にはB:0.0010〜(0.69(N−0.29Ti)+0.0002)量%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼を、1150℃以上に加熱して熱間加工を施し、その後600〜1000℃で30分〜10時間加熱する熱処理を浸炭処理前に少なくとも1回以上行うことを特徴とする結晶粒の異常粒成長を防止する肌焼ボロン鋼の製造方法。
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