JP3954244B2 - 色再現空間の圧縮・伸張方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像入出力手段の色再現空間の形状や大きさが異なる場合に行われる色再現空間同士の対応付けのための変換に関する方法であって、色再現領域を滑らかに維持し、かつ色の見えや階調を保ったまま色再現空間の異なる画像入出力手段と対応付けができ、さらにこの対応付けを好みに応じて調整することのできる色再現空間の圧縮・伸張方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
今日、カラーCRTモニタやカラー液晶モニタ等やカラープリンタ等が広く普及し、カラー画像の画像入出力装置として広く利用されている。
これらの画像入出力装置は、通常、R(赤)、G(緑)、B(青)やC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)やC、M、Y、K(黒)に係る画像データを制御することで所望の色を持つカラー画像を表示しあるいはプリント出力することができる。しかしながら、このような色画像データは、画像入出力装置の出力特性、分光感度特性に依存するため、特性の異なる画像入出力装置に出力する場合、その特性を考慮して画像データの色変換を行う必要が有る。特に、カラーCRTモニタやカラー液晶モニタとカラープリンタ間では分光感度特性が異なるために、例えばカラーCRTモニタで表示された画像の色がカラープリンタに出力された画像の色とある程度一致するように、色変換を最適に行って色の見えの一致を行う必要がある。
【0003】
このような色変換を行うためには、画像入出力装置の表示可能な色再現空間を、色変換する変換先の画像入出力装置の色再現空間と対応させる必要が有り、すなわち、画像入出力装置に表示される色再現空間内を構成する色の点を変換先の画像入出力装置の色再現空間内の色の点に1対1に写像することのできる色変換、すなわち、色再現空間の圧縮や伸張方法が必要である。しかも、その際、色変換によって、色相をはじめ明度や彩度が色再現領域において滑らかに維持され、かつ色の見えや階調を保つ色再現空間の圧縮や伸張であることが必要である。
【0004】
このような色再現空間は、一般に画像入出力装置に依存しない画像データ、例えば、国際照明委員会(CIE)が規定するCIEXYZ表示系の3刺激値(X,Y,Z)を用いて得られるCIEL* a* b* 表色系の明度指数L* (明度)および知覚色度指数a* ,b* (色相および彩度)等の画像データによって形成される均等色空間上の色再現空間が利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この均等色空間上の色再現空間を用いることによって、例えばカラーCRTモニタやカラー液晶モニタとカラースキャナとの間では、色再現空間の特性はともに線型であり色再現空間の特徴も近いことから、色再現空間の圧縮や伸張を行って色再現空間内の点を対応付ける(カラーマッチングを行う)ことが容易にできる。しかし、カラーCRTモニタやカラー液晶モニタ等の透過光を用いて画像表示する加法混色系は、高明度領域においても色再現域が広く、色を鮮やかに出力するが、カラープリンタ等の反射光を用いて画像表示する減法混色系では、高明度領域において十分に高彩度の色を出力することはできず、比較的低明度領域で色再現が広く、色再現空間が大きく異なるため、カラーCRTモニタやカラー液晶モニタとカラープリンタとの間で色再現空間の圧縮や伸張を行って対応付けを行うことは困難である。
また、カラープリンタ同士では、色再現空間のエッジ部分の形状が直線的でなく丸みを持った非線形の形状をしているため、色再現空間を圧縮や伸張を行って対応付けを行うことは困難である。
【0006】
このような色再現空間の圧縮や伸張に対して、特許第2845523号公報では、色再現範囲の比に応じて色再現範囲を拡大し、また色再現空間を彩度方向に拡大写像する場合、色再現範囲の重なる部分の中央部は写像変換せず、その周辺部のみを写像変換する簡易的な方法を提案している。また、特開平5−298437号公報では、色再現空間上の色相および明度を固定して、彩度のみを圧縮する画像処理装置を提案している。しかし、これらはいずれも色変換される変換先の画像出力装置の色再現空間の形状を十分に考慮して色再現空間の対応付けを行っておらず、またユーザの好みに応じて色再現空間の対応付けを調整する処理が行われていないため、色再現領域を滑らかに維持し、かつ色の見えや階調を保ったまま色再現空間の対応付けがユーザの満足のいく程度に実現できない。
また、特開平7−123283号公報では、色再現空間を有限要素法を用いてモデル化し、弾性係数を入力して、弾性変形させることによって、異なる色再現空間に対応付けを行うことを提案している。しかし、弾性係数は、有限要素の微小領域ごとに入力する必要があり、ユーザがこの係数を調整指示しなければならない。そのため、調整指示作業が煩雑であり、変換後の色と対応付けを行うのは困難である。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を克服し、画像入出力手段の色再現空間の形状や大きさが異なり、色再現空間同士の対応付けを行う際に、カラープリンタ等の色再現空間内の領域を活かしながら、所望のカラーマッチングが行えるように、色再現領域を滑らかに維持し、かつ色の見えや階調を保ったまま色再現空間の異なる画像入出力手段と対応付けができ、さらにこの対応付けを好みに応じて容易に調整することのできる色再現空間の圧縮・伸張方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明第1の態様は、第1の画像入出力手段の色再現空間を、色再現空間の形状または大きさの異なる第2の画像入出力手段の色再現空間に変換する色再現空間の圧縮・伸張方法であって、
均等色空間上の同一色相面内に表示される第1の画像入出力手段の色再現領域の彩度を、前記同一色相面内において圧縮または伸張する彩度圧縮・伸張ステップと、
この圧縮または伸張した色再現領域の明度を同一色相面内で修正するステップであって、彩度値が0の時は修正せず、前記圧縮または伸張した色再現領域の最大彩度値を持つ最高彩度点を、前記第2の画像入出力手段の色再現空間の前記同一色相面内に表される色再現領域内の所定の点に修正し、彩度値が0以上前記最大彩度値以下の範囲で彩度値が高くなるにつれ非線形に修正量を変化させて修正する明度修正ステップと、
前記彩度圧縮・伸張ステップおよび前記明度修正ステップで処理された色再現領域を、前記同一色相面内で前記第2の画像入出力手段の色再現領域内に圧縮または伸張して対応させる明度圧縮・伸張ステップとを備えることを特徴とする色再現空間の圧縮・伸張方法を提供するものである。
【0009】
その際、前記第1の画像入出力手段の色再現空間に、前記色再現空間の圧縮・伸張方法を用いて圧縮または伸張を施す前に、前記第2の画像入出力手段の色再現領域のエッジ形状を前記第1の画像入出力手段の色再現領域のエッジ形状に応じて修正を行う色再現領域補正ステップを備えるのが好ましく、また、前記色再現空間の圧縮・伸張方法を用いて前記第1の画像入出力手段の色再現空間に圧縮または伸張を施す前に、前記第1の画像入出力手段の色再現領域または前記第2の画像入出力手段の色再現領域のエッジ形状の非線形部を線形に修正する非線形補正ステップを備えるのが好ましい。
【0010】
さらに、色再現空間の補正のために色相の調整を行う調整パラメータを設け、前記色再現領域のエッジ形状の修正を行う際に、前記色相の調整を行う調整パラメータに基づいて圧縮または伸張する変換先の色再現空間の対応する色相を調整するステップを有するのが好ましい。その際、前記色相の調整を行う調整パラメータは、原色に関する調整パラメータであるのが好ましく、色再現空間の補正を行うために算出される色再現域補正パラメータは、均等色空間上、着目する色相の両側に位置する原色の前記調整パラメータから前記着目する色相の位置に応じて補間することにより、前記着目する色相のデータに加算される色再現域補正量を求めるのが好ましい。
また、前記彩度圧縮・伸張ステップ、前記明度修正ステップおよび前記明度圧縮・伸張ステップは、色再現空間の補正のために設定された彩度範囲および明度範囲のうち少なくとも1つの調整を行う調整パラメータに基づいて、圧縮または伸張する変換先の色再現空間の対応する彩度範囲および明度範囲のうち少なくとも1つを調整することが好ましい。その際、前記彩度範囲および前記明度範囲のうち少なくとも1つの調整を行う調整パラメータは、原色に関する調整パラメータであるのが好ましい。
【0011】
また、前記第1の画像入出力手段の色再現空間に前記色再現空間の圧縮・伸張方法を施す前に、
前記第1の画像入出力手段の色再現空間または前記第2の画像入出力手段の色再現空間内の白色の点または黒色の点が、均等色空間上の明度軸上に位置しない場合、白色の点および白色近傍領域または黒色の点および黒色近傍領域を修正して、白色の点および黒色の点を前記明度軸上に修正する白色黒色調整ステップと、
この明度軸上に調整された白色の点および黒色の点の位置によって定まる前記第1の画像入出力手段の色再現空間の明度範囲と前記第2の画像入出力手段の色再現空間の明度範囲とを拡大または縮小させて一致させる明度範囲調整ステップと、
前記色再現領域補正ステップ、または前記非線形補正ステップで色再現領域のエッジ形状を補正して定め、色再現領域に応じた色再現域補正パラメータを算出する色再現域補正パラメータ算出ステップと、
この色再現域補正パラメータ算出ステップで算出された色再現域補正パラメータを用いて、色相毎に補正された色再現領域を求め、色再現空間の圧縮または伸張の対象とする前記第1の画像入出力手段の色再現空間、または色再現空間の圧縮または伸張先の前記第2の画像入出力手段の色再現空間とする色再現空間算出ステップとを備えるのが好ましい。
【0012】
また、上記色再現空間の圧縮・伸張方法であって、
前記色再現空間の圧縮・伸張方法を用いて前記第1の画像入出力手段の色再現空間に圧縮または伸張を施す前に、前記第1の画像入出力手段の色再現領域または前記第2の画像入出力手段の色再現領域のエッジ形状の非線形部を線形に修正する非線形補正ステップを備え、
前記色再現領域補正ステップは、前記第2の画像入出力手段の色再現領域の原色の色相を、前記第1の画像入出力手段の色再現領域内の原色の色相に合わせることにより、前記第2の画像入出力手段の色再現領域のエッジ形状を補正し、
前記非線形補正ステップは、均等色空間上の同一色相面内で、前記第1の画像入出力手段または前記第2の画像入出力手段の色再現領域上のエッジ形状の彩度の変化に対する明度の変化が非線形である場合に、前記色再現領域上のエッジ形状の彩度の変化に対する明度の変化を線形に修正することが好ましい。
【0013】
また、前記明度圧縮・伸張ステップは、圧縮または伸張する色再現領域のエッジ近傍は圧縮または伸張の比率が大きく、圧縮または伸張する色再現領域のエッジ近傍から離れるにつれて圧縮または伸張の比率が小さくなる非線形の圧縮または伸張を行うことが好ましく、その際、前記明度圧縮・伸張ステップは、圧縮または伸張される色再現領域内において、彩度値を一定として圧縮または伸張する際、一定の彩度値での最大明度値と最小明度値の中間値の値を持つ中間点では圧縮または伸張の比率が0となるように固定し、この中間点から離れるにしたがって圧縮または伸張の比率が大きくなる圧縮・伸張方法であり、
前記圧縮または伸張の比率が予め設定された最大圧縮比率または最大伸張比率を超える場合、前記最大圧縮比率および前記最大伸張比率に納まるように、前記中間点の圧縮または伸張による変換先を移動させることが好ましく、さらにその際、前記中間点を変換によって移動しても、前記圧縮または伸張比率が予め設定された前記最大圧縮比率または前記最大伸張比率を超える場合、前記第1の画像入出力手段の色再現領域の前記中間点の彩度値と同じ前記第2の画像入出力手段の色再現領域内の彩度値における最大明度値と最小明度値の中間値の値を持つ点を固定点とし、この固定点では圧縮・伸張比率が0であり、この固定点から離れるにしたがって圧縮または伸張比率が増大し、最大明度値および最小明度値では、前記最大圧縮比率または前記最大伸張比率となる圧縮または伸張を行い、その後線型的に圧縮または伸張することが好ましい。
【0014】
また、上記本発明の第1の態様は、前記彩度圧縮・伸張ステップの前に、前記第1の画像入出力手段および前記第2の画像入出力手段の色再現領域の共通領域のうち、同一色相面内で最大の彩度値を持つ共通領域最高彩度点を予め求め、
前記彩度圧縮・伸張ステップにおいて、圧縮または伸張する色再現領域の最高彩度点の彩度値を前記共通領域最高彩度点の彩度値とする圧縮または伸張を色再現領域に対して行い、
その後、前記明度修正ステップにおいて、彩度の圧縮または伸張の変換の施された色再現領域の最高彩度点を前記共通領域最高彩度点に一致させる明度値の修正を行い、
その後、前記明度圧縮・伸張ステップにおいて、前記明度修正ステップで修正された色再現領域を圧縮または伸張して、前記第1の画像入出力手段および前記第2の画像入出力手段の色再現領域の共通領域に変換させる色再現空間の圧縮・伸張方法を色相面毎に行うのが好ましい。
【0015】
また、上記本発明の第1の態様は、前記彩度圧縮・伸張ステップの前に、均等色空間上の同一色相面内において、前記第1の画像入出力手段の色再現領域の前記最高彩度点の明度値と等しい明度値を持つ前記第2の画像入出力手段の色再現領域のエッジ上の彩度値C1 を求め、
前記同一色相面内で、前記第1の画像入出力手段および前記第2の画像入出力手段の色再現領域の共通領域のうち、最大の彩度値を持つ共通領域最高彩度点の彩度値C2 を求め、
さらに、前記同一色相面内で、前記第2の画像入出力手段の色再現領域の最高彩度点の彩度値C3 を求め、
これら求められた彩度値のうち、前記彩度値C2 を中心として前記彩度値C1 および前記彩度値C3 を調整最大範囲とする彩度範囲の調整を行う前記調整パラメータを設定し、
この調整パラメータを用いて前記彩度値C1 、彩度値C2 および彩度値C3 から補間によって彩度値を求め、この彩度値を有する、前記第2の画像入出力手段の色再現領域のエッジ上で前記最高彩度点の明度値に近い方の点を求めて修正最高彩度点とし、
前記彩度圧縮・伸張ステップにおいて、圧縮または伸張する色再現領域の最高彩度点の彩度値を、前記修正最高彩度点の彩度値とする圧縮または伸張を前記第1の画像入出力手段の色再現領域に施し、
その後、前記明度修正ステップにおいて、色再現領域の最高彩度点の明度値を前記修正最高彩度点の明度値に一致させる明度値の修正を、彩度の圧縮または伸張の変換の施された色再現領域に対して行うことが好ましい。
【0016】
その際、前記明度圧縮・伸張ステップは、明度の圧縮または伸張を行う前に、均等色空間上の同一色相面内において、前記第1の画像入出力手段の色再現領域と前記第2の画像入出力手段の色再現領域との共通領域、および前記明度修正ステップにおいて、明度修正の施された色再現領域の両方に属する色再現領域を一致度重視領域として求め、
さらに、前記同一色相面において、前記第2の画像入出力手段の色再現領域内のエッジの一部を、前記一致度重視領域の外側にあり前記第2の画像入出力手段の色再現領域の内側にあって、彩度値0より彩度値が大きくなるにつれ前記第2の画像入出力手段の色再現領域内に非線形的に曲がり、前記修正最高彩度点の彩度値において前記修正最高彩度点に到る曲線と取り替えて得られる色再現領域を色再現範囲重視領域として求め、
この色再現範囲重視領域と前記一致度重視領域とを用い、設定された明度範囲の調整を行う前記調整パラメータから補間して、修正明度領域を色相面ごとに得、
さらにその後、前記明度圧縮・伸張ステップにおいて、前記明度修正ステップで修正された色再現領域を圧縮または伸張して、前記修正明度領域に変換させる色再現空間の圧縮・伸張方法を色相面毎に行うことが好ましい。
【0017】
また、前記彩度圧縮・伸張ステップ、または、前記明度圧縮・伸張ステップで行われる圧縮または伸張の変換は、規格化された0以上1以下の変換前の値をXとし、規格化された変換後の値をFとして、下記式(1)で表される変換であるのが好ましい。
F = (k−1)・X2 + X (1)
ただし、kは、圧縮・伸張比率である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法について、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法を実施する画像処理装置に基づいて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0023】
図1に、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法を実施する画像処理装置10を示す。画像処理装置10は、カラースキャナ等から読み込まれ、明度補正やコントラスト補正やエッジ強調処理等の種々の処理の施されたカラーモニタ12に出力可能なRGB画像データを入力とし、カラープリンタ14に適合したCMY画像データを出力とする画像処理装置であるとともに、RGB画像データからカラープリンタ14に出力するためのCMY画像データを得るために、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法を用いて、RGB画像データに施す変換処理を求める画像処理装置である。
【0024】
このような画像処理装置10は、均等色空間変換部16、前処理部18、彩度圧縮・伸張処理部20、明度修正部22、明度圧縮・伸張処理部24、出力画像データ変換部26、および画像入出力装置データベース記憶部28とを有して構成される。
さらに、画像処理装置10には、色再現空間の圧縮や伸張の変換のための調整パラメータ等を入力するマウス・キーボード30が備えられている。また、図示されないが、画像処理装置10全体を制御するCPUや画像処理に必要な記憶手段を備える。
【0025】
カラーモニタ12は、RGB画像データから画像表示すると共に、画像処理装置10と接続されてユーザが表示画面を見ながら、種々の調整パラメータ等をマウス・キーボード30から入力するために用いられる。
【0026】
均等色空間変換部16は、RGB画像データを、下記式(2)に従って3刺激値XYZ表色系に変換し、その後3刺激値(X,Y,Z)から下記式(3)〜(5)を用いてCIEL* a* b* 表色系の明度指数vおよび知覚色度指数a* ,b* (色相および彩度)に変換する。
【数1】
ここで、(Xr ,Yr ,Zr )、(Xg ,Yg ,Zg )および(Xb ,Yb ,Zb )は、原色R、GおよびBのXYZ表色系での3刺激値であり、(R,G,B)はRGB画像データのRGB表色系での刺激値である。
v=116(Y/Yn )(1/3) −16 (3)
a* =500{(X/Xn )(1/3) −(Y/Yn )(1/3) } (4)
b* =200{(Y/Yn )(1/3) −(Z/Zn )(1/3) } (5)
ここで、Xn ,Yn およびZn は、基準となる3刺激値である。
式(3)〜(5)で得られたv、a* およびb* の値は、彩度圧縮・伸張処理部20に送られる。
【0027】
前処理部18は、RGB画像データに施す変換処理を求めるために、変換前後の色再現空間の形状に予め修正や補正の前処理を施す部分であり、この前処理の処理方法は、カラーモニタ12やカラープリンタ14の色再現空間内の白色の点または黒色の点が、均等色空間上の明度軸上に存在しない場合、すなわち色再現空間内の白色の点または黒色の点のa* の値およびb* の値が0でない場合、白色の点および白色近傍領域(HL領域)または黒色の点および黒色近傍領域(SD領域)を変換によって修正して、白色の点および黒色の点を前記明度軸上に修正する白色黒色調整ステップ(HL・SD調整ステップ)と、この明度軸上の白色の点および黒色の点によって規定されるカラーモニタ12やカラープリンタ14の色再現空間の明度範囲を拡大または縮小させてお互いに一致させる明度範囲調整ステップと、カラーモニタ12やカラープリンタ14の色再現空間の形状を補正する色再現域補正ステップと、補正された色再現領域に応じて色再現空間全体の色再現域補正用パラメータを算出する色再現域補正パラメータ算出ステップと、この色再現域補正パラメータ算出ステップで算出された色再現域補正用パラメータを用いて、色相毎に補正された色再現領域を求める色再現空間算出ステップとを有して構成される。これら各種ステップについては、詳細に後述する。
【0028】
図2は、カラーモニタ12やカラープリンタ14の色再現空間を、CIEL* a* b* 表色系のv(以降、L* をvとして表す)a* およびb* で表す均等色空間上の色相面において表し、カラーモニタ12の色再現領域は色再現領域R1 、カラープリンタ14の色再現領域は色再現領域R2 と表わされている。なお、横軸の彩度sは、(a* 2 +b* 2 )(1/2) によって表される。
ここで、彩度圧縮・伸張処理部20は、図2に示されるように、色相面において、カラーモニタ12の色再現領域R1 の最大彩度値Smax1が色再現領域R1 およびR2 の共通領域R3 の共通領域最高彩度点P3 の彩度値Sc になるように、色再現領域R1 を彩度s方向に圧縮する処理部である。本実施例では、色再現領域R1 およびR2 の共通領域R3 に変換するために必ず圧縮されるが、本発明ではこれに限られず、カラープリンタ14の色再現領域R2 に応じて、後述する圧縮・拡大変換式を用い圧縮・伸張比率kを調整することによって、カラープリンタ14の色再現領域R2 内に伸張して対応させる拡大変換を行うこともできる。
【0029】
明度修正部22は、彩度圧縮・伸張処理部20によって色再現領域R1 を圧縮して得られた色再現域R1 ’の明度を同一色相面内で修正する部分である。この同一色相面内で行われる明度値の修正は、彩度値が0の時は修正せず、色再現領域R1 ’の最高彩度点を、色再現領域R1 およびR2 の共通領域R3 の最高彩度点である共通領域最高彩度点P3 に修正し、彩度値が0以上共通領域最高彩度点P3 の彩度値Sc の間では彩度値が高くなるにつれ非線形に明度の修正量を変化させるものである。このようにして色再現領域R1 を圧縮して得られた色再現域R1 ’の明度値を修正し、最高彩度点P1 が共通領域R3 の共通領域最高彩度点P3 に一致する色再現領域R1 ’’を得る。
【0030】
明度圧縮・伸張処理部24は、色再現領域R1 ’’を明度v方向に圧縮または伸張を行い、色再現領域R1 、R2 の共通領域R3 内に変換する部分である。色再現領域R1 ’’は、必ずしも色再現領域R1 、R2 の共通領域R3 内に含まれず、その結果、色再現領域R2 に必ずしも含まれないからである。圧縮・拡大は後述する圧縮・拡大変換式を用い行われ、圧縮・伸張比率kを調整することによって拡大また伸張を行うことができる。
【0031】
出力画像データ変換部26は、画像処理装置10においてカラープリンタ14の再現色空間内に変換された、明度指数vおよび知覚色度指数a* ,b* によって表される画像データに対して、カラープリンタ14の出力特性に応じて定まるCMY画像データに変換される。
すなわち、式(3)〜(5)に従って3刺激値XYZ表色系に変換され、さらに公知の方法によってCMY画像データに変換される。
【0032】
画像入出力装置データベース記憶部28は、カラーモニタ12やカラープリンタ14の機種等に応じて定まる色再現空間のデータを保存した記憶部分であり、これらのデータは、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法を定めるためのデータとして用いられ、マウス・キーボード30からユーザがカラーモニタ12やカラープリンタ14の機種等を入力することで、画像入出力装置データベース記憶部28から色再現空間のデータが呼び出され、前処理部18に送られる。
【0033】
画像処理装置10は、カラーモニタ12やカラープリンタ14の機種に応じて色再現空間の圧縮・伸張方法が一旦定まると、これをRGB画像データからCMY画像データに変換する多数のデータセットを備えるルックアップテーブル(LUT)を作成し、このルックアップテーブルによって、RGB画像データからCMY画像データへの変換を一括して行ってもよい。
【0034】
次に、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法について、画像処理装置10で行われる処理に従って説明する。
画像処理装置10は、RGB画像データを変換してカラープリンタ14の色再現空間に適合するように、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法に従って、RGB画像データに対して施す均等色空間上の圧縮や伸張の変換を定める機能を有する。
まず、図3に示されるように、マウス・キーボード30でカラーモニタ12とカラープリンタ14の機種を入力し、画像入出力装置データベース記憶部28からカラーモニタ12とカラープリンタ14の入出力装置のデータを読み込み、色再現空間のデータを得る(ステップ100)。
【0035】
得られる色再現空間のデータは、カラーモニタ12に表示され、例えば図4(a)に示されるように、均等色空間上のある色相面で表示される。
まず、図4(a)に示されるように、色再現空間において白色の点(明度vの最大値を持つ点)や黒色の点(明度vの最小値を持つ点)が明度軸v上にない場合、白色の点および白色近傍領域(HL領域)または黒色の点および黒色近傍領域(SD領域)を調整して、白色の点および黒色の点を明度軸v上に修正する白色黒色調整(HL・SD調整)を行う(ステップ102)。白色黒色調整は、マウス・キーボード30を用いて、表示画面上で色再現領域のエッジ形状を形状A1 から形状A2 に滑らかに修正する。
【0036】
次に、白色黒色調整の行われた色再現空間は、カラーモニタ12とカラープリンタ14の色再現空間の明度範囲が一致するように拡大または縮小をして明度範囲の調整を行う(ステップ104)。明度範囲の調整は、予め色再現空間から最小明度値を差し引き、色順応変換で用いられるvon Kries の方法等を利用して色変換し、その後変換先の最小彩度値を加算する。すなわち、カラーモニタ12の再現色空間の白色および黒色の明度値をカラープリンタ14の再現色空間の最大明度値に一致させ、またその逆にカラープリンタ14の再現色空間の白色や黒色の明度値をカラーモニタ12の再現色空間の最大明度値に一致させる。図4(b)に示されるように、色再現領域のエッジ形状を形状A3 から形状A4 に調整する。
【0037】
このように、白色および黒色の修正を行うのは、本来、彩度を持たない白色が彩度値を持つのは妥当でなく、また彩度を持たない黒色が彩度値を持つのは妥当でないからである。また、明度範囲を揃えるのは、以降で述べる色再現空間の圧縮や伸張を容易に行うためである。
【0038】
次に、カラーモニタ12やカラープリンタ14の色再現領域のデータに対して色再現域補正を行い、色再現域の補正に応じた色再現域補正用パラメータを算出する(ステップ106)。
色再現域補正は、色再現領域のエッジ形状に対して行う色再現領域補正と非線形補正とを備える。
ここで、色再現領域補正を説明する。カラーモニタ12およびカラープリンタ14の色再現空間の色度図が図5(a)に簡易的に示されている。図5(a)に示されるように、カラーモニタ12の色再現領域のエッジ形状A5 とカラープリンタ14の色再現領域のエッジ形状A6 は形状が一致しない。図5(a)では、例えば、B(青)の原色は、カラーモニタ12では点B5 の位置にあり、カラープリンタ14では点B6 の位置にあり、色相の値h、すなわち色相角tan-1(b* /a* )が異なる。また、Y(黄)の原色についても、点Y5 と点Y6 、またG(緑)の原色についても、点G5 と点G6 とその位置が異なり、従って色相角が異なり、色相が異なっている。
【0039】
このような原色のズレをそのままにして色再現空間の圧縮・伸張を行うと、例えば、カラーモニタ12の色再現空間のエッジ部分の領域を用いたグラデーションの画像データの場合、変換された画像データは、カラープリンタ14の色再現領域の形状A5 の形に添ってカラー表示され、すなわち、点B5 や点Y5 や点G5 の位置において屈曲するため、もともと滑らかに色彩が変化すべきグラデーションが得られない。そのため、入力された画像データの色相を維持するために、予めカラープリンタ14の色再現領域の形をカラーモニタ12の色再現空間の色再現領域の形に応じて、修正を行う。すなわち図5(a)に示すように、点B5 の色相角でカラープリンタ14の色再現領域のエッジ形状A6 が屈曲部を持つように、点B6 の近傍を曲線等で滑らかに修正する。点Y6 や点G6 についても、曲線等で滑らかに修正する。
【0040】
図5(a)は、彩度を調整して屈曲部を修正する際の様子を色度図で表したものであるが、この修正は、3次元的に行われるものであり、明度成分も修正される。図5(b)は、図5(a)と別の例であるが、明度軸vに対して垂直方向から見た色再現空間を示しており、カラーモニタ12の色再現空間の空間形状A6 とカラープリンタ14の色再現空間の空間形状A7 が示され、原色Mの色相の修正によって、空間形状A7 の明度成分が修正されている(黒い部分への修正)ことがわかる。この場合、本来連続的にグラデーションが得られる空間形状A6 上の点W、点R、点Yおよび点Mで結ばれる線分WRYMがその下方に位置する空間形状A7 の色相の形状に従って折れ曲がって変換されないように、図中、黒い部分への修正を行っている。
【0041】
原色以外の色相に関する色再現域補正パラメータ、例えば、図7に示される色相値h、彩度値s、明度値vの値を持つ着目点A11の色再現域補正パラメータは、着目点A11の両側に位置する原色RおよびYの点の色相値の調整量Δh(hr )およびΔh(hy )を用いて内挿補間によって算出して得られる。この算出された色再現域補正パラメータは、色再現領域の算出の際に、着目点A11の色相値hに加算されて色相値h’を持つ点A12に補正される。色再現域補正パラメータは、色相面の色再現領域毎に色再現空間全体に対して算出される。
【0042】
色再現域補正用パラメータの算出の基礎となる原色R、G、B、C、MおよびYの調整量を定める調整パラメータは、図8に示すように、色相に関する規格化された色相調整パラメータAdjh の各欄の値によって定められる。この値は、マウス・キーボード30から入力することができ、また、カラーモニタ12に表示された色再現領域に対して、マウス・キーボード30を用いて色再現領域上で直接形状の補正を行ってもよい。このように画面を見ながら調整した場合、図8に示すように、色相調整パラメータAdjh の各欄の値が自動的に得られる。図8に示される表には、彩度範囲調整パラメータAdjs および明度範囲調整パラメータAdjv が示されるが、これらについては後述する。
このような修正方法は、R、G、B、C、MおよびYの原色の調整量から3次元的に補間される。
【0043】
なお、本実施例では、上記修正方法が、後述するような色再現空間の圧縮・伸張処理の前処理として利用されているが、これに限定されず、従来技術として用いられてきた色再現空間の圧縮・伸張処理の前処理として用いられるものであってもよい。
【0044】
色再現領域のエッジ形状の非線形補正とは、図6に色再現空間の色相面が示されているように、最大彩度値を有する近傍では、色再現空間のデータ不足から本来あるべき最高彩度点が鈍って、非線形的に丸くなっている。そのため、本来存在するであろう色再現領域を、図6のように非線形部分A8 を直線A9 や直線A10によって置き換えて、最高彩度点が明確に定まるようにする。このような非線形補正は、カラーモニタ12やカラープリンタ14のいずれの色再現空間に対しても行うことができる。なお、この補正は、非線形的に丸くなっている部分に対して必ず行う必要はなく、最高彩度点を明確に定める点から、最高彩度点近傍に対して、ユーザの指示に応じて適宜行えばよい。
なお、非線形補正を行って調整された色相面から補間して、色再現空間全体の色再現域補正パラメータを算出する。
また、本実施例では、上記非線形補正が、後述するような色再現空間の圧縮・伸張処理の前処理として利用されているが、これに限定されず、従来技術として用いられてきた色再現空間の圧縮・伸張処理の前処理として用いられるものであってもよい。
【0045】
次に、求められた色再現域補正用パラメータや非線形補正のための補正パラメータを用いて色相面毎に補正された色再現領域を求めて、色再現空間を算出し(ステップ108)、色再現空間の圧縮または伸張の対象とするカラーモニタ12の色再現空間または圧縮や伸張を行う処理先の対象とされるカラープリンタ14の色再現空間を得る。
このようにして、画像処理装置10の前処理部18で、色再現空間を定める。
【0046】
次に、カラーモニタ12の色再現空間の圧縮・伸張処理が行われる(ステップ110)。
圧縮・伸張処理は、彩度圧縮・伸張処理、明度修正および明度圧縮・伸張処理の3ステップから構成される。
まず、彩度圧縮・伸張処理は、図9(a)に示されるように、彩度sを横軸とし、縦軸を明度vとする色相面内で形成されるカラーモニタ12の色再現領域R1 の最高彩度点P1 の最大彩度値Smax1が、色再現領域R1 とカラープリンタ14の色再現領域R2 との共通領域R3 の共通領域最高彩度点P3 の彩度値Sc になるように、色再現領域R1 の明度値を一定にして彩度s方向に圧縮する。なお、彩度sは、色再現空間がv、a* およびb* で表される均等色空間上の(a* 2 +b* 2 )(1/2) によって表される。図9(a)に示される例では、彩度値Sの点A13は彩度値Sn の点A14に変換される。
本実施例では、色再現領域R1 、R2 の共通領域R3 に変換するために必ず圧縮されるが、本発明ではこれに限られず、カラープリンタ14の色再現領域R2 に応じて、後述する圧縮・拡大変換式を用い圧縮・伸張比率kを調整することによって、カラープリンタ14の色再現領域R2 内に伸張して対応させる拡大変換を行うこともできる。
【0047】
圧縮または伸張の方法は、下記式(1)に従って変換を行う。
F = (k−1)・X2 + X (1)
ここで、kは、圧縮・伸張比率を表す。
図9(b)は、図9(a)に示す実施例の変換を説明する図であり、色再現領域R1 の最大彩度値Smax1を図中左方向に圧縮して彩度値Sc となるように圧縮する変換曲線D1 を示している。変換曲線D1 は、横軸の彩度値が0からSmax1の値に変化する際、縦軸の彩度値を0からSC の値に圧縮する変換曲線である。なお、変換直線D2 は圧縮も伸張もしない変換直線である。それゆえ、図中、変換直線D1 より上方の領域に位置する曲線は領域を拡大する変換となる。
【0048】
変換曲線D1 は、彩度値範囲0〜Smax1の彩度値を彩度値Smax1で割って規格化した0〜1の範囲の値をXとし、また、変換先の彩度値も彩度値Smax1で割って規格化した0〜1の範囲の値をFとし、式(1)を適用することによって得られる。ここで、kは、式(1)において、k=SC /Smax1となる。X=1を代入することでF=kとなり、上記実施例ではX=1がSC /Smax1に変換されるからである。
この変換曲線D1 のX=0近傍では変換直線D2 の勾配に近く、すなわち、色再現領域R1 の彩度値が0の近傍では、変換によって圧縮はほとんど受けないが、彩度値が大きくなるにしたがって、変換曲線D1 の勾配は変換直線D2 の勾配より小さくなり、大きな圧縮を受ける。このように、非線形的な圧縮変換が可能となる。一方拡大変換する場合は、圧縮・伸張比率kの値を1より大きくすることで、拡大変換を行うことができる。本実施例は、式(1)による非線形変換であるが、これ以外の公知の方法による非線形変換であってもよい。
【0049】
明度修正は、図9(c)に示されるように、上記彩度圧縮・伸張処理によって色再現領域R1 を圧縮して得られた色再現域R1 ’の明度を、彩度を維持したまま同一色相面内で修正する部分である。この同一色相面内で行われる明度の修正は、彩度値が0の時は修正せず、色再現領域R1 ’の最高彩度点を、色再現領域R1 、R2 の共通領域R3 の最高彩度点である共通領域最高彩度点P3 に修正し、彩度値が0以上共通領域最高彩度点P3 の彩度値Sc の間では彩度値が高くなるにつれ非線形に明度の修正量を変化させるものである。例えば、図中点A15は、下記式(6)に従って得られる修正量によって点A16に修正され、明度値vは明度値v’に修正される。
このようにして、色再現域R1 ’から明度値が修正され、最大彩度を有する点が共通領域R3 の共通領域最高彩度点P3 に一致し、色再現領域R1 ’’を得る。
この明度値の修正は、例えば共通領域R3 の彩度値0から最高彩度点P3 の彩度値Sc の範囲を彩度値Sc で割って得られる規格化された値をXとし、明度方向への修正量をFとすると、下記式(6)によって修正量Fを定めることができる。
F = (Vmax1−Vc )・X2 (6)
【0050】
明度圧縮・伸張処理は、色再現領域R1 ’’を明度v方向に圧縮または伸張を行い、色再現領域R1 、R2 の共通領域R3 内に変換する。明度圧縮・伸張処理を行うのは、図9(d)に示すように、色再現領域R1 ’’は、色再現領域R1 、R2 の共通領域R3 内に含まれず、その結果、色再現領域R2 に必ずしも含まれないからである。
この明度圧縮・伸張は、圧縮または伸張する色再現領域のエッジは圧縮または伸張の比率が最も大きく、圧縮または伸張する色再現領域のエッジから離れるにつれて圧縮または伸張の比率が小さくなる非線形の圧縮または伸張である。例えば、規格化された上記式(1)を用いて、図9(e)に示される変換曲線D3 を得る。すなわち、図9(d)に示される彩度値Sn の直線D5 上の色再現領域R1 ’’の最大明度値V1uを持つ点を点A17、最小明度値V1dを持つ点を点A18とすると、この2点での明度値、すなわち最大明度値V1uと最小明度値V1dを、直線D5 と共通領域R3 のエッジが交わる点A19と点A20の明度値VcuおよびVcdに変換し、しかも最大明度値の点A17と最小明度の点A18の中間に位置する中間点を固定点として、この点では圧縮・伸張を行わず、この点から離れるにつれて、圧縮率が大きくなり、点A17や点A18での圧縮率が最大になる変換を行う。すなわち、図9(e) に示されるように、変換曲線D4 の彩度値Vmid1での勾配が、変換直線D4 の勾配が等しい。
【0051】
上述の変換方法を詳述すると、図10(a)に示されるように、変換前の同一色相値および彩度値における色再現領域R1 ’’の明度値V1 (h,s)(hは色相値、sは彩度値)を明度値V2 (h,s)に変換する場合、変換前の明度範囲V1d〜V1uをVmid1の値を変換後も維持しつつ、式(1)を利用して明度範囲Vcd〜Vcuに変換する。
明度値V1dおよびV1uにおいて最大の圧縮率また最大の伸長率となるため、カラープリンタ14の色再現空間の大きさや形によっては、この最大の圧縮率または最大の伸長率が、画像情報が消滅しないために予め設けられた最大圧縮率や最大伸張率の値を超える場合もある。図10(b)は、明度値V1uでの圧縮率が最大圧縮率を超える場合の変換方法を示している。この場合、中間値である明度値Vmid1の変換先の値を、明度値Vcuでの圧縮率が最大圧縮率となるように、明度値Vmid1の変換先の明度値Vmid2を下方に移動して調整される。
このように、最大の圧縮率や最大の伸長率が、最大圧縮率や最大伸張率を超える場合、最大明度値と最小明度値の中間に位置する中間点を固定点とせず、最大明度値や最小明度値において最大圧縮率や最大伸長率となるように、中間点の変換先の点を移動する。
【0052】
さらに、カラープリンタ14の色再現空間の大きさや形によっては、上記方法でも最大圧縮率や最大伸長率内によって変換することができない場合もある。そのため、図10(c)に示すされるように、変換を2段階に設定し、まず第1の段階では、明度値Vmid1を固定して、最大圧縮率や最大伸長率で図10(a)に示される変換と同様に、非線形処理をおこない、この非線形処理の施された明度範囲に対して、さらに線型処理を行う。線型処理とは、変換元の明度値と変換先の明度値とを1次変換によって行う処理である。このようにして、2段階で変換することで、変換時の圧縮や伸張の比率を最大圧縮率や最大伸長率内に抑えることができる。
このようにして、カラーモニタ12の色再現空間の圧縮・伸張処理が行われる(ステップ110)。
以上のステップによって、色再現空間の圧縮・伸張処理が構成されるので、色再現領域を滑らかに維持し、かつ色の見えや階調を保ったまま色再現空間の異なる画像入出力手段と対応付けができる。
【0053】
以上の方法によって、カラーモニタ12の色再現空間は、カラープリンタ14の色再現空間と対応付けができ、画像処理装置10に入力される画像データのカラーモニタ12からカラープリンタ14への変換方法が定まる。変換は、図示されない記憶手段に記憶される。この変換は、上記各ステップ毎の変換のための関数や変換式であり、この関数や変換式によって画像データを各ステップ毎に変換してもよいが、各ステップの変換を一まとめにして、変換前後の多数のデータセットを備えるルックアップテーブル(LUT)を記憶させ、このルックアップテーブルによって対応付けを行ってもよい。
ルックアップテーブルの場合、予め備えられる多数のデータセットに一致しない画像データは、補間によって変換先の画像データを得てもよい。補間方法は、公知の補間方法であればいずれでもよい。
【0054】
一方、画像処理装置10に入力されたRGB画像データは、カラーモニタ12に表示されるとともに、均等色空間変換部16で、RGB画像データから、式(2)に従って3刺激値XYZ表色系に変換され、その後3刺激値(X,Y,Z)から式(3)〜(5)を用いてCIEL* a* b* 表色系の明度指数vおよび知覚色度指数a* ,b* (色相および彩度)に変換される。
【0055】
得られた明度指数vおよび知覚色度指数a* ,b* による画像データは、上記方法によって求められた変換が施され、出力画像データ変換部26に送られる。その後、出力画像データ変換部26において、カラープリンタ14の色再現空間上に変換され、明度指数vおよび知覚色度指数a* ,b* によって表される画像データは、カラープリンタ14の出力特性に応じて定まるCMY画像データに変換される。すなわち、式(3)〜(5)に従って3刺激値XYZ表色系に変換され、さらに公知の方法によってCMY画像データに変換される。その後、カラーープリンタ14に出力され、所望の画像が表示される。
【0056】
本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法は、上記実施例では、図2や図9で示されるように、色再現領域R1 を色再現領域R1 と色再現領域R2 の共通領域である共通領域R3 に修正や圧縮を施すものであるが、以降で述べるように、色再現空間の圧縮・伸張方法は、色再現領域R2 内への変換であるが、共通領域R3 を中心としてユーザが好みに応じて調整パラメータによって設定した色再現領域に修正や圧縮また伸張を施すものであってもよい。以下この方法について説明する。
【0057】
圧縮・伸張処理(ステップ110)を構成する彩度の圧縮・伸張は、まず、図11(a)に示されるように、カラーモニタ12の色再現領域R1 の最大彩度値Smax1を有する点P1 の明度値Vmax1と同じ明度値を有する、カラープリンタ14の色再現領域R2 のエッジ上の点P4 を求め、次に、色再現領域R1 と色再現領域R2 の共通領域R3 の中から共通領域最高彩度点P3 を求める。次に、この共通領域最高彩度点P3 の彩度値を中心として、前に求めた点P4 の彩度値Smin を最小彩度値とし、点P1 の最大彩度値Smax1を最大彩度値とする彩度の範囲を調整する彩度範囲調整パラメータAdjs を用いて、彩度圧縮・伸張による変換先の修正領域R4 を定める。彩度範囲調整パラメータAdjs は、彩度値Smin を−100とし、最大彩度値Smax1を+100とする−100〜+100の範囲内で設定される。この彩度範囲調整パラメータAdjs は、図8に示されるように、R、Y、G、C、BおよびMの原色に関する彩度範囲調整パラメータとして得られ、この原色以外の色相については、図7に示されるように、色度図上、両側から挟まれる原色の彩度調整パラメータAdjs から補間によって、彩度範囲調整パラメータAdjs (h)が色相値hごとに求められる。このようにして、色相値h毎に求められ、色空間上、彩度の圧縮・伸張によって変換する変換先の色再現空間が得られる。
【0058】
彩度の圧縮また伸張の変換は、図9(a)および(b)で示される方法と同様に、式(1)を用いた非線形変換である。勿論、これ以外の公知の方法による非線形変換であってもよい。
【0059】
次に、明度の修正は、彩度の圧縮や伸張によって得られた変換先の修正領域R4 の最高彩度点P5 を、最高彩度点P5 と同じ彩度値Sf を持つ色再現領域R2 のエッジ上の点P6 に修正し、修正領域R5 を得る。修正方法は、図9(c)に示される明度修正方法と同様に、彩度値が0では修正されず、彩度値が大きくなるにつれて、急激に修正量が大きくなる非線形の修正を行う。
【0060】
明度の圧縮・伸張は、図11(b)に示すように、カラーモニタ12とカラープリンタ14の色再現領域の共通領域R3 と、さらに上記明度の修正によって修正された修正領域R5 の両方に属する領域を一致度重視領域R6 として求める。すなわち、図中において一致度重視領域R6 とは、色再現領域R2 の最大明度値を有する明度v軸上の点をQとし、また明度v軸と彩度s軸の交わる原点を原点Oとすると、原点Oから曲線l1 を通って点P6 に至り、点P6 から点Qを通って原点Oに戻る略三角形状内の領域である。
【0061】
一方、カラープリンタ14の色再現領域R2 のエッジOP2 を、一致度重視領域R6 の外側にあり、カラープリンタ14の色再現領域R2 の色再現領域の内側にあって、原点Oから彩度値が大きくなるにつれ色再現領域R2 内に非線形的に曲がり、修正最高彩度点P6 の彩度値において修正最高彩度点P6 に到る曲線l2 と取り替えて得られる領域を色再現範囲重視領域R7 として求める。すなわち、図11(b)において、原点Oから曲線l2 を通って点P6 に至り、点P6 から点Qを通って原点Oに戻る略三角形状内の領域を求める。ここで、曲線l2 は、カラープリンタ14の色再現領域R2 の色再現領域の内側にあって、原点O近傍ではエッジOP2 に沿い、彩度値が大きくなるにつれ色再現領域R2 内部に非線形的に曲がり、修正最高彩度点P6 の彩度値において修正最高彩度点P6 に到る曲線であれば何れであってもよいが、色再現範囲重視領域R7 がよりカラープリンタ14の色再現領域R2 の領域を広く有することが好ましく、この点から、曲線l2 は、低彩度の範囲ではカラープリンタ14の色再現領域R2 のエッジOP2 に可能な限り重なることが望ましい。
【0062】
本来、カラープリンタ14の出力画像の色の階調や見えが、カラーモニタ12の出力画像の階調や見えと一致するのが好ましく、一方、可能な限りカラープリンタ14の色再現領域R2 の広い範囲で出力することが望ましい。そのため、明度値や彩度値の大小関係が色再現空間の圧縮や伸張によって変化することがないように、色再現領域として一致度重視領域R6 を定める一方、カラープリンタ14の色再現領域R2 内の可能な限り広い範囲に変換させるため、可能な限り広い範囲の領域を色再現範囲重視領域R7 として定める。色再現範囲重視領域R7 の曲線l2 は、一致度重視領域R6 の曲線I1 に比べて下に凸の曲線であり、点P6 を頂点とする略三角形状の領域の中で、色再現領域R2 内の可能な限り広い範囲として、色再現範囲重視領域R7 が定められる。
そして、本発明は、この一致度重視領域R6 と色再現範囲重視領域R7 を用い、色の一致度を重視するか、または広い範囲に色を再現させることを重視するか、ユーザの重視度に応じて修正明度領域R8 を定めることができる。
【0063】
すなわち、曲線l1 をエッジとする一致度重視領域R6 と曲線l2 をエッジ部とする色再現範囲重視領域R7 は、ユーザの好みに応じて、図8に示されるR、Y、G、C、BおよびMの原色の明度範囲調整パラメータAdjv を用いて調整される。調整方法は、曲線l1 を明度調整パラメータAdjv =0とし、曲線l2 を明度調整パラメータAdjv =100として、0〜100の範囲の値をユーザが入力することによって、図12に示すように、補間によって補間曲線l3 を定め、この補間曲線l3 をエッジとする修正明度領域R8 を求める。この修正領域R8 は色相面毎に求められ、R、Y、G、C、BおよびMの原色以外の色相では、図7に示される補間方法によって、補間されて補正量が定められる。このようにして、色相面毎に修正明度領域R8 が求められる。
【0064】
求められた修正明度領域R8 は、明度の圧縮または伸張の変換先とされ、修正領域R5 から修正明度領域R8 への変換処理が行われる。明度圧縮・伸張の方法は、図9(d)や(e)や図10(a)〜(c)に示される明度圧縮・伸張の方法と同様であって、非線形の変換が行われる。
本発明では、一致度重視領域と色再現範囲重視領域は、明度に関するものであるが、明度に関する場合に限られず、彩度等に関する一致度重視領域と色再現範囲重視領域であってもよい。
【0065】
このように、色相調整パラメータAdjh を用いることで、ユーザの好みに応じて色相を滑らかに変換させることができ、彩度範囲調整パラメータAdjs や明度範囲調整パラメータAdjv を用いて、一致度重視領域と色再現範囲重視領域の範囲内で、ユーザの好みに応じて修正明度領域を定め、この修正明度領域を変換先とする変換を行うことによって、ユーザの好みに応じた変換を容易に得ることができる。
【0066】
以上、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0067】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、カラープリンタ等の色再現空間内の領域を活かしながら、色再現空間の異なる他の画像出力手段、例えばカラーモニタ等との所望のカラーマッチングが行えるように、色再現領域を滑らかに維持し、かつ色の見えや階調を保ったまま色再現空間の異なる画像入出力手段と対応付けを行うことができる。
さらに、色再現空間の異なる画像入出力手段と対応付けをユーザの好みに応じて容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法の一実施例を実施する画像処理装置のブロック図である。
【図2】本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法の一実施例を説明する図である。
【図3】本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法のうちのHL・SD調整の一実施例を説明する図であり、(b)は、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法の中の明度範囲調整の一実施例を説明する図である。
【図5】(a)および(b)は、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法の中の色再現域補正の一例を説明する図である。
【図6】本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法の中の色再現域補正の他の例を説明する図である。
【図7】本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法の中の色再現域補正の補正方法を説明する図である。
【図8】本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法の中の調整パラメータを説明する図である。
【図9】(a)〜(e)は、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法の中の圧縮伸張処理の一例を説明する図である。
【図10】(a)〜(c)は、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法の中の明度の圧縮・伸張の一例を説明する図である。
【図11】(a)および(b)は、本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法の中の圧縮伸張処理の他の例を説明する図である。
【図12】図11(a)および(b)に示した本発明の色再現空間の圧縮・伸張方法の中の圧縮伸張処理の例をさらに説明する図である。
【符号の説明】
10 画像処理装置
12 カラーモニタ
14 カラープリンタ
16 均等色空間変換部
18 前処理部
20 彩度圧縮・伸張処理部
22 明度修正部
24 明度圧縮・伸張処理部
26 出力画像データ変換部
28 画像入出力装置データベース記憶部
30 マウス・キーボード
Claims (17)
- 第1の画像入出力手段の色再現空間を、色再現空間の形状または大きさの異なる第2の画像入出力手段の色再現空間に変換する色再現空間の圧縮・伸張方法であって、
均等色空間上の同一色相面内に表示される第1の画像入出力手段の色再現領域の彩度を、前記同一色相面内において圧縮または伸張する彩度圧縮・伸張ステップと、
この圧縮または伸張した色再現領域の明度を同一色相面内で修正するステップであって、彩度値が0の時は修正せず、前記圧縮または伸張した色再現領域の最大彩度値を持つ最高彩度点を、前記第2の画像入出力手段の色再現空間の前記同一色相面内に表される色再現領域内の所定の点に修正し、彩度値が0以上前記最大彩度値以下の範囲で彩度値が高くなるにつれ非線形に修正量を変化させて修正する明度修正ステップと、
前記彩度圧縮・伸張ステップおよび前記明度修正ステップで処理された色再現領域を、前記同一色相面内で前記第2の画像入出力手段の色再現領域内に圧縮または伸張して対応させる明度圧縮・伸張ステップとを備えることを特徴とする色再現空間の圧縮・伸張方法。 - 前記第1の画像入出力手段の色再現空間に、前記色再現空間の圧縮・伸張方法を用いて圧縮または伸張を施す前に、前記第2の画像入出力手段の色再現領域のエッジ形状を前記第1の画像入出力手段の色再現領域のエッジ形状に応じて修正を行う色再現領域補正ステップを備える請求項1に記載の色再現空間の圧縮・伸張方法。
- 前記色再現空間の圧縮・伸張方法を用いて前記第1の画像入出力手段の色再現空間に圧縮または伸張を施す前に、前記第1の画像入出力手段の色再現領域または前記第2の画像入出力手段の色再現領域のエッジ形状の非線形部を線形に修正する非線形補正ステップを備える請求項1または2に記載の色再現空間の圧縮・伸張方法。
- 請求項2に記載の色再現空間の圧縮・伸張方法であって、
前記色再現空間の圧縮・伸張方法を用いて前記第1の画像入出力手段の色再現空間に圧縮または伸張を施す前に、前記第1の画像入出力手段の色再現領域または前記第2の画像入出力手段の色再現領域のエッジ形状の非線形部を線形に修正する非線形補正ステップを備え、
前記色再現領域補正ステップは、前記第2の画像入出力手段の色再現領域の原色の色相を、前記第1の画像入出力手段の色再現領域内の原色の色相に合わせることにより、前記第2の画像入出力手段の色再現領域のエッジ形状を補正し、
前記非線形補正ステップは、均等色空間上の同一色相面内で、前記第1の画像入出力手段または前記第2の画像入出力手段の色再現領域上のエッジ形状の彩度の変化に対する明度の変化が非線形である場合に、前記色再現領域上のエッジ形状の彩度の変化に対する明度の変化を線形に修正することを特徴とする色再現空間の圧縮・伸張方法。 - 前記第1の画像入出力手段の色再現空間に前記色再現空間の圧縮・伸張方法を施す前に、
前記第1の画像入出力手段の色再現空間または前記第2の画像入出力手段の色再現空間内の白色の点または黒色の点が、均等色空間上の明度軸上に位置しない場合、白色の点および白色近傍領域または黒色の点および黒色近傍領域を修正して、白色の点および黒色の点を前記明度軸上に修正する白色黒色調整ステップと、
この明度軸上に調整された白色の点および黒色の点の位置によって定まる前記第1の画像入出力手段の色再現空間の明度範囲と前記第2の画像入出力手段の色再現空間の明度範囲とを拡大または縮小させて一致させる明度範囲調整ステップと、
前記色再現領域補正ステップ、または前記非線形補正ステップで色再現領域のエッジ形状を補正して定め、色再現領域に応じた色再現域補正パラメータを算出する色再現域補正パラメータ算出ステップと、
この色再現域補正パラメータ算出ステップで算出された色再現域補正パラメータを用いて、色相毎に補正された色再現領域を求め、色再現空間の圧縮または伸張の対象とする前記第1の画像入出力手段の色再現空間、または色再現空間の圧縮または伸張先の前記第2の画像入出力手段の色再現空間とする色再現空間算出ステップとを備えた請求項2〜4のいずれかに記載の色再現空間の圧縮・伸張方法。 - さらに、色再現空間の補正のために色相の調整を行う調整パラメータを設け、前記色再現領域のエッジ形状の修正を行う際に、前記色相の調整を行う調整パラメータに基づいて圧縮または伸張する変換先の色再現空間の対応する色相を調整するステップを有する請求項2〜5のいずれかに記載の色再現空間の圧縮・伸張方法。
- 前記色相の調整を行う調整パラメータは、原色に関する調整パラメータである請求項6に記載の色再現空間の圧縮・伸張方法。
- 色再現空間の補正を行うために算出される色再現域補正パラメータは、均等色空間上、着目する色相の両側に位置する原色の前記調整パラメータから前記着目する色相の位置に応じて補間することにより、前記着目する色相のデータに加算される色再現域補正量を求める請求項7に記載の色再現空間の圧縮・伸張方法。
- 前記彩度圧縮・伸張ステップ、前記明度修正ステップおよび前記明度圧縮・伸張ステップは、
色再現空間の補正のために設定された彩度範囲および明度範囲のうち少なくとも1つの調整を行う調整パラメータに基づいて、圧縮または伸張する変換先の色再現空間の対応する彩度範囲および明度範囲のうち少なくとも1つを調整する請求項1〜8のいずれかに記載の色再現空間の圧縮・伸張方法。 - 前記彩度範囲および前記明度範囲のうち少なくとも1つの調整を行う調整パラメータは、原色に関する調整パラメータである請求項9に記載の色再現空間の圧縮・伸張方法。
- 請求項9または10に記載の再現空間の圧縮・伸張方法であって、
前記彩度圧縮・伸張ステップの前に、均等色空間上の同一色相面内において、前記第1の画像入出力手段の色再現領域の前記最高彩度点の明度値と等しい明度値を持つ前記第2の画像入出力手段の色再現領域のエッジ上の彩度値C1を求め、
前記同一色相面内で、前記第1の画像入出力手段および前記第2の画像入出力手段の色再現領域の共通領域のうち、最大の彩度値を持つ共通領域最高彩度点の彩度値C2を求め、
さらに、前記同一色相面内で、前記第2の画像入出力手段の色再現領域の最高彩度点の彩度値C3を求め、
これら求められた彩度値のうち、前記彩度値C2を中心として前記彩度値C1および前記彩度値C3を調整最大範囲とする彩度範囲の調整を行う前記調整パラメータを設定し、
この調整パラメータを用いて前記彩度値C1、彩度値C2および彩度値C3から補間によって彩度値を求め、この彩度値を有する、前記第2の画像入出力手段の色再現領域のエッジ上で前記最高彩度点の明度値に近い方の点を求めて修正最高彩度点とし、
前記彩度圧縮・伸張ステップにおいて、圧縮または伸張する色再現領域の最高彩度点の彩度値を、前記修正最高彩度点の彩度値とする圧縮または伸張を前記第1の画像入出力手段の色再現領域に施し、
その後、前記明度修正ステップにおいて、色再現領域の最高彩度点の明度値を前記修正最高彩度点の明度値に一致させる明度値の修正を、彩度の圧縮または伸張の変換の施された色再現領域に対して行うことを特徴とする色再現空間の圧縮・伸張方法。 - 請求項11に記載の色再現空間の圧縮・伸張方法であって、
前記明度圧縮・伸張ステップは、明度の圧縮または伸張を行う前に、
均等色空間上の同一色相面内において、前記第1の画像入出力手段の色再現領域と前記第2の画像入出力手段の色再現領域との共通領域、および前記明度修正ステップにおいて、明度修正の施された色再現領域の両方に属する色再現領域を一致度重視領域として求め、
さらに、前記同一色相面において、前記第2の画像入出力手段の色再現領域内のエッジの一部を、前記一致度重視領域の外側にあり前記第2の画像入出力手段の色再現領域の内側にあって、彩度値0より彩度値が大きくなるにつれ前記第2の画像入出力手段の色再現領域内に非線形的に曲がり、前記修正最高彩度点の彩度値において前記修正最高彩度点に到る曲線と取り替えて得られる色再現領域を色再現範囲重視領域として求め、
この色再現範囲重視領域と前記一致度重視領域とを用い、設定された明度範囲の調整を行う前記調整パラメータから補間して、修正明度領域を色相面ごとに得、
さらにその後、前記明度圧縮・伸張ステップにおいて、前記明度修正ステップで修正された色再現領域を圧縮または伸張して、前記修正明度領域に変換させる色再現空間の圧縮・伸張方法を色相面毎に行うことを特徴とする色再現空間の圧縮・伸張方法。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の色再現空間の圧縮・伸張方法であって、
前記明度圧縮・伸張ステップは、圧縮または伸張する色再現領域のエッジ近傍は圧縮または伸張の比率が大きく、圧縮または伸張する色再現領域のエッジ近傍から離れるにつれて圧縮または伸張の比率が小さくなる非線形の圧縮または伸張を行うことを特徴とする色再現空間の圧縮・伸張方法。 - 請求項13に記載の色再現空間の圧縮・伸張方法であって、
前記明度圧縮・伸張ステップは、圧縮または伸張される色再現領域内において、彩度値を一定として圧縮または伸張する際、一定の彩度値での最大明度値と最小明度値の中間値の値を持つ中間点では圧縮または伸張の比率が0となるように固定し、この中間点から離れるにしたがって圧縮または伸張の比率が大きくなる圧縮・伸張方法であり、
前記圧縮または伸張の比率が予め設定された最大圧縮比率または最大伸張比率を超える場合、前記最大圧縮比率および前記最大伸張比率に納まるように、前記中間点の圧縮または伸張による変換先を移動させることを特徴とする色再現空間の圧縮・伸張方法。 - 請求項14に記載の色再現空間の圧縮・伸張方法であって、
前記中間点を変換によって移動しても、前記圧縮または伸張比率が予め設定された前記最大圧縮比率または前記最大伸張比率を超える場合、前記第1の画像入出力手段の色再現領域の前記中間点の彩度値と同じ前記第2の画像入出力手段の色再現領域内の彩度値における最大明度値と最小明度値の中間値の値を持つ点を固定点とし、この固定点では圧縮・伸張比率が0であり、この固定点から離れるにしたがって圧縮または伸張比率が増大し、最大明度値および最小明度値では、前記最大圧縮比率または前記最大伸張比率となる圧縮または伸張を行い、その後線型的に圧縮または伸張することを特徴とする色再現空間の圧縮・伸張方法。 - 請求項1〜15のいずれかに記載の色再現空間の圧縮・伸張方法であって、
前記彩度圧縮・伸張ステップの前に、前記第1の画像入出力手段および前記第2の画像入出力手段の色再現領域の共通領域のうち、同一色相面内で最大の彩度値を持つ共通領域最高彩度点を予め求め、
前記彩度圧縮・伸張ステップにおいて、圧縮または伸張する色再現領域の最高彩度点の彩度値を前記共通領域最高彩度点の彩度値とする圧縮または伸張を色再現領域に対して行い、
その後、前記明度修正ステップにおいて、彩度の圧縮または伸張の変換の施された色再現領域の最高彩度点を前記共通領域最高彩度点に一致させる明度値の修正を行い、
その後、前記明度圧縮・伸張ステップにおいて、前記明度修正ステップで修正された色再現領域を圧縮または伸張して、前記第1の画像入出力手段および前記第2の画像入出力手段の色再現領域の共通領域に変換させる色再現空間の圧縮・伸張方法を色相面毎に行うことを特徴とする色再現空間の圧縮・伸張方法。 - 前記彩度圧縮・伸張ステップ、または、前記明度圧縮・伸張ステップで行われる圧縮または伸張の変換は、規格化された0以上1以下の変換前の値をXとし、規格化された変換後の値をFとして、下記式(1)で表される変換である請求項1〜16のいずれかに記載の色再現空間の圧縮・伸張方法。
F = (k−1)・X2+X (1)
ただし、kは、圧縮・伸張比率である。
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