JP3953655B2 - グラビア製版方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、再利用の被製版ロールに対して、バラードメッキを行わず、落版研磨−版深形成メッキ−円筒研磨−鏡面研磨−食刻法又は彫刻法によるセルの形成−という一連の製版工程を経てグラビア製版ロールを製作するグラビア製版方法であって、特に、落版研磨に要する時間を大幅に短縮でき、また、落版研磨からメッキ後の円筒研磨を経て鏡面研磨を完了するまでに一層細かい研磨が順に行えるようにするために交換が必要な研磨砥石の数を、研磨代が大きく研磨時間を大幅に短縮するための落版研磨用と中間の精度を出すための円筒研磨用と鏡面研磨用の三種類を揃え交換を二回行えば各研磨工程における必要十分な研磨精度が得られ、全製版工程における研磨時間を大幅に短縮でき、また、バフによる鏡面研磨を廃止し、砥石により鏡面研磨を実現することにより全製版工程の全自動化が可能になるグラビア製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、再利用の被製版ロールに対して、バラードメッキを行わず、脱クロム処理−落版研磨−銅又は銅合金又はニッケル又はニッケル合金のメッキ−円筒研磨−鏡面研磨−食刻法又は彫刻法によるセルの形成−という一連の製版工程を経てグラビア製版ロールを製作するグラビア製版方法は、全自動化は実現していないが行われている。
【0003】
以下、具体的な一例を工程順に説明する。
1)脱クロム
使用済みの印刷ロールである被製版ロールを脱クロム槽の塩酸溶液中に浸漬してロール表面のクロムメッキを溶解する。
2)落版研磨
砥石研磨装置で、220番の研磨砥石により被製版ロールを円筒研磨して既存のセルを除去し、次いで、500番の研磨砥石に切り換えて円筒研磨して表面粗さを細かくする。
3)版深形成メッキ
落版によりロール径が縮径するので、仕上げ研磨代を含めて銅メッキする。
4)円筒研磨
砥石研磨装置で、800番〜1000番の研磨砥石により被製版ロールを円筒研磨して既存のセルを除去し、次いで、2000番〜2500番の研磨砥石に切り換えて円筒研磨して表面粗さを細かくする。
5)鏡面研磨
バフ研磨装置で、バフにより円筒研磨の表面粗さの凹凸を磨滅させて鏡面にする。
6)セルの形成
食刻法によるセルの形成は、被製版ロールに感光膜をコートし、レーザ露光装置で画像を焼き付けてから現像し塩化第二銅液でエッチングする。
彫刻法によるセルの形成は、電子彫刻機(ヘリオリッショグラフ)により被製版ロールにセルを彫刻する。
7)クロムメッキ
銅メッキでは軟らかいので耐刷力がないから、耐刷力を付与するために硬質クロムメッキする。被製版ロールをカセット形ロールチャック装置でチャックしてクロムメッキ槽のクロムメッキ液中に浸漬して電気クロムメッキする。メッキによる直径寸法増は、約12〜14μm。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の製版工程は、落版研磨と円筒研磨と鏡面研磨がオフラインになっており、全自動化が実現していなかった。
その第一の理由は、高い円筒精度を得るには、極めて高い円筒精度を有する砥石研磨装置を使用しかつ研磨砥石の表面が漸次に崩壊していく分について補正をかけて極めて微小な研磨代となるように円筒研磨を行うことを何回も反復して被製版ロールの中程と両端部の直径の差を解消していく必要があった。そして、円筒研磨後は被製版ロールを取外し測定器に載置して円筒精度を測定する必要があり、もしも、円筒精度が出ていないときは、被製版ロールを再び精密円筒研磨して再び円筒精度を測定することを反復していたので、大変煩雑であるとともに時間がかかっていた。また、円筒研磨を反復すると、被製版ロールの直径が小さくなり過ぎる惧れがあった。
また、円筒研磨する前の被製版ロールの円筒精度が低い場合、補正をかけた円筒研磨を行っても円筒精度が高くなるとは限らない。落版を繰り返すと絵柄が多い部分が大きく研磨されることにより被製版ロールの断面が真円でなくなりいびつになり、再利用に適さなくなり、被製版ロールを廃棄するか、オフラインの旋盤で真円に加工し直す必要がある。
その他の理由は、鏡面研磨がバフ研磨であるので、塵埃対策が必要であること、油脂を除去する必要があること、バフ研磨による熱の除去対策が必要であること、鏡面研磨に要する時間も長く、かつ熟練が必要であること、システム構築はバラード法に比べて高価になること等が挙げられる。
【0005】
本願発明は、再利用の被製版ロールに対して、バラードメッキを行わず、落版研磨−版深形成メッキ−円筒研磨−鏡面研磨−食刻法又は彫刻法によるセルの形成−という一連の製版工程を経てグラビア製版ロールを製作するグラビア製版方法であって、特に、落版研磨に要する時間を大幅に短縮でき、また、落版研磨からメッキ後の円筒研磨を経て鏡面研磨を完了するまでに一層細かい研磨が順に行えるようにするために交換が必要な研磨砥石の数を、研磨代が大きく研磨時間を大幅に短縮するための落版研磨用と中間の精度を出すための円筒研磨用と鏡面研磨用の三種類を揃え交換を二回行えば各研磨工程における必要十分な研磨精度が得られ、全製版工程における研磨時間を大幅に短縮でき、また、バフによる鏡面研磨を廃止し、砥石により鏡面研磨を実現することにより全製版工程の全自動化が可能になるグラビア製版方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願第一の発明は被製版ロールに対して、落版研磨−版深形成メッキ−円筒研磨−鏡面研磨−食刻法又は彫刻法によるセルの形成−という一連の製版工程を経てグラビア製版ロールを製作するグラビア製版方法において、
前記落版研磨において、砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより被製版ロールを両端チャックして回転し、該被製版ロールに回転駆動される研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を落版円筒研磨してから、研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、研磨砥石を移動することにより、被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しつつ前記落版円筒研磨時の表面粗さよりも細かい表面粗さに研磨する、
ことを特徴とするグラビア製版方法を提供するものである。
本願第二の発明は、被製版ロールに対して、落版研磨−版深形成メッキ−円筒研磨−鏡面研磨−食刻法又は彫刻法によるセルの形成−という一連の製版工程を経てグラビア製版ロールを製作するグラビア製版方法において、
前記円筒研磨において、砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより被製版ロールを両端チャックして回転し、該被製版ロールに回転駆動される研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を円筒研磨してから、研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、研磨砥石を移動することにより、被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しつつ表面粗さを細かくする、
ことを特徴とするグラビア製版方法を提供するものである。
【0007】
さらに本願第三の発明は、被製版ロールに対して、落版研磨−版深形成メッキ−円筒研磨−鏡面研磨−食刻法又は彫刻法によるセルの形成−という一連の製版工程を経てグラビア製版ロールを製作するグラビア製版方法において、前記鏡面研磨は、砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより被製版ロールを両端チャックして回転し、該被製版ロールに回転駆動されるPVA製研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を円筒研磨してから、PVA製研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転にPVA製研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールとPVA製研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、PVA製研磨砥石を移動することにより鏡面研磨する、ことを特徴とするグラビア製版方法を提供するものである。
【0008】
さらに本願第四の発明は、被製版ロールに対して、落版研磨−版深形成メッキ−円筒研磨−鏡面研磨−食刻法又は彫刻法によるセルの形成−という一連の製版工程を経てグラビア製版ロールを製作するグラビア製版方法において、
前記落版研磨においては、砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより被製版ロールを両端チャックして回転し、該被製版ロールに回転駆動される研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を落版円筒研磨してから、研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、研磨砥石を移動することにより、被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しつつ前記落版円筒研磨時の表面粗さよりも細かい表面粗さに研磨し、
前記円筒研磨においては、砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより被製版ロールを両端チャックして回転し、該被製版ロールに回転駆動される研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を円筒研磨してから、研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、研磨砥石を移動することにより、被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しつつ表面粗さを細かくし、
前記鏡面研磨においては、砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより被製版ロールを両端チャックして回転し、該被製版ロールに回転駆動されるPVA製研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を円筒研磨してから、PVA製研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転にPVA製研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールとPVA製研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、PVA製研磨砥石を移動することにより鏡面研磨する、ことを特徴とするグラビア製版方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本願第一、第二、及び第三の発明に共通するグラビア製版方法を実施するための図1に示すグラビア製版工場を参照して説明する。
図1は、グラビア製版工場の各種製版装置の概略配置図を示す。
図1において、産業用ロボット1のハンドリングエリアに、ロール計測装置2、砥石研磨装置3、感光膜塗布装置4、レーザ露光装置5、ロールストック棚6、ロール退出装置7が配設され、また天井走行するスタッカクレーン8の走行エリアに、ロール受渡し台9、脱クロム装置10、銅メッキ装置11、現像装置12、腐食装置13、レジスト剥離装置14、クロムメッキ装置15、カセット形ロールチャック装置用ストック装置16が配列されている。なお、カセット形ロールチャック装置Kの構成・作用、カセット形ロールチャック装置Kをスタッカクレーン8で搬送して装置に載置してメッキ等を行うシステムについては、説明を省略する。詳しくは、特公昭57−36995号公報を参照されたい。 これらの配列は、適宜に変更して設備される。
図1において、ロール計測装置2に人為的に被製版ロールを取りつけ計測を行う。次いで、産業用ロボット1がロール計測装置2にある被製版ロールをロール受渡し台9に載置する。次いで、スタッカクレーン8により搬送されるカセット形ロールチャック装置Kがロール受渡し台9上の被製版ロールをチャックする。次いで、カセット形ロールチャック装置Kが被製版ロールをチャックしたまま脱クロム装置10に載置され脱クロムが行われる。次いで、カセット形ロールチャック装置Kが被製版ロールをロール受渡し台9に受け渡すと、産業用ロボット1が被製版ロールを砥石研磨装置3に受け渡し、落版研磨が行われる。次いで、産業用ロボット1が被製版ロールをロール受渡し台9に受け渡すと、スタッカクレーン8により搬送されるカセット形ロールチャック装置Kが被製版ロールをチャックし、該カセット形ロールチャック装置Kが銅メッキ装置11に載置され電気銅メッキ(版深形成メッキ)が行われる。次いで、カセット形ロールチャック装置Kが被製版ロールをロール受渡し台9に受け渡すと、産業用ロボット1が被製版ロールを砥石研磨装置3に受け渡し、円筒研磨−鏡面研磨が行われる。次いで、産業用ロボット1が被製版ロールを感光膜塗布装置4に受け渡し、感光膜塗布が行われる。次いで、産業用ロボット1が被製版ロールをレーザ露光装置5に受け渡し、レーザ露光が行われる。次いで、産業用ロボット1が被製版ロールをロール受渡し台9に受け渡すと、スタッカクレーン8により搬送されるカセット形ロールチャック装置Kが被製版ロールをチャックし、該カセット形ロールチャック装置Kが現像装置12に載置され現像が行われる。次いで、カセット形ロールチャック装置Kが腐食装置13に移載され被製版ロールに対して腐食が行われ版面にセルが形成される。次いで、カセット形ロールチャック装置Kがレジスト剥離装置14に移載され被製版ロールに対してレジスト剥離が行われる。次いで、カセット形ロールチャック装置Kがレジスト剥離装置14に移載されレジスト剥離が行われる。次いで、カセット形ロールチャック装置Kがクロムメッキ装置15に移載されクロムメッキが行われる。次いで、スタッカクレーン8がカセット形ロールチャック装置Kをロール受渡し台9に載置すると、産業用ロボット1が被製版ロールを砥石研磨装置3に受け渡し、クロムメッキのバリ取りが行われ製版が完了する。次いで、産業用ロボット1が被製版ロールをロール退出装置7に受け渡し、被製版ロールを製版工場から退出される。
夜間には、無人で製版が行われる。ロールストック棚6には、ロール計測装置2により計測を終えた被製版ロール、及び製版を完了したロールがストックされる。
【0010】
続いて、本願第一、第二、及び第三の発明に共通する実施の形態にかかるグラビア製版方法を、図2に示す工程図を参照して説明する。
1)ロールのハンドリングデータ計測
産業用ロボットハンド、カセット形ロールチャック装置やメッキ装置、レーザ露光装置、その他の装置等におけるロールの受渡しやチャック等に利用するため、使用済みの印刷ロールである被製版ロールをロール計測に取りつけて、ロール径、ロール端面のテーパ孔径、ロール長さを測定する。
2)落版研磨において精密な円筒研磨を行うためのロール直径計測
例えば、被製版ロールの一方の端面から一定ピッチ毎にロール直径を計測する。この計測は、脱クロムと落版研磨との間の工程としても良い。
3)脱クロム
使用済みの印刷ロールである被製版ロールをカセット形ロールチャック装置でチャックして脱クロム槽の塩酸溶液中に浸漬してロール表面のクロムメッキを溶解する。脱クロムによる直径寸法減は、直径で約12〜15μm。
脱クロムを行うのは、次工程の落版研磨を容易にするためと、クロム回収を容易にするためである。
中には、印刷枚数が500枚位であるため、クロムメッキをしていない被製版ロールが存在する。本願発明は、クロムメッキをしていない被製版ロールにあっては、当然に脱クロムの工程は省略される。
4)落版研磨
被製版ロールをカセット形ロールチャック装置から外して砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより両端チャックして回転し、320番の炭化珪素製の二つの研磨砥石の端面を被製版ロールに両側から挟むように押し当てて回転駆動し、該研磨砥石の端面を被製版ロールに押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を円筒研磨して既存のセルを除去し、次いで、320番の研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で駆動回転する被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、研磨砥石を移動することにより、被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しつつ前記の通常の円筒研磨時の表面粗さよりも細かい表面粗さに研磨する。このようにすると、粗さが500番〜600番の研磨砥石に切り換えて研磨したときに得られる細かい表面粗さが得られる。従って、320番の研磨砥石で上記の研磨を行えば、次工程の版深形成メッキを行う前の表面粗さとして要求される表面粗さが得られるから、500番〜600番の研磨砥石に切り換える必要がない。
版深は、深いセルでは十数μmある。従って、落版による直径寸法減は、直径で30〜40μmとなる。
該落版研磨は、前記2)落版研磨において精密な円筒研磨を行うためのロール直径計測に基づいた円筒研磨を行う。
5)版深形成メッキ
落版によりロール径が縮径するので、仕上げ研磨代を含めて銅メッキする。被製版ロールをカセット形ロールチャック装置でチャックして銅メッキ槽の銅メッキ液中に浸漬して電気銅メッキする。
本願発明は、銅メッキではなくて、銅合金メッキ、ニッケルメッキ、又はニッケル合金メッキが行われる場合を含む。メッキによる直径寸法増は、落版前の直径よりも約20〜30μmとなる。
6)円筒研磨
被製版ロールをカセット形ロールチャック装置から外して砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより両端チャックして回転し、800番〜1000番の炭化珪素製の研磨砥石を回転駆動し、該研磨砥石の端面を被製版ロールに押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を円筒研磨し、次いで、前記800番〜1000番の研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、研磨砥石を移動することにより、被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しつつ表面粗さを細かくする。直径寸法減は、直径で20〜30μmとする。従って、落版前の直径と略等しくなる。
7)鏡面研磨
前記砥石研磨装置の研磨砥石を炭化珪素製の研磨砥石から4000番〜6000番のPVA製研磨砥石に切り換える。砥石研磨装置に両端チャックされ回転する被製版ロールに、回転駆動されるPVA製研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を円筒研磨してから、同PVA製研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転にPVA製研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールとPVA製研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、PVA製研磨砥石を移動することにより鏡面研磨する。直径寸法減は、2〜3μm。
8)セルの形成
食刻法によるセルの形成は、被製版ロールに感光膜をコートし、レーザ露光装置で画像を焼き付けてから現像し塩化第二銅液でエッチングする。
彫刻法によるセルの形成は、電子彫刻機(ヘリオリッショグラフ)により被製版ロールにセルを彫刻する。
9)クロムメッキ
銅メッキでは軟らかいので耐刷力がないから、耐刷力を付与するために硬質クロムメッキする。被製版ロールをカセット形ロールチャック装置でチャックしてクロムメッキ槽のクロムメッキ液中に浸漬して電気クロムメッキする。メッキによる直径寸法増は、約12〜14μm。
10)バリ取り研磨
前工程のクロムメッキを行うとセルの端にバリが生じるので、前記砥石研磨装置のPVA製研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを軽く押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転にPVA製研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールとPVA製研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、PVA製研磨砥石を移動することにより軽微に鏡面研磨する。
【0011】
図3及び図4は、図2に示す工程図中の落版研磨、円筒研磨、及び鏡面研磨に共通使用する円筒研磨装置を示す。
図3及び図4において、被製版ロールWは、図示しないモータにより回転されるチャックコーン21aと図示しない直動装置のブラケットに枢支されたチャックコーン21bにより両端チャックされ回転されるようになっている。
符号22はXテーブルでありX方向(被製版ロールWの円筒面に平行)に移動自在である。符号23a,23bはX−Yテーブルであり、Xテーブル22に搭載されていてXテーブル22と一体にX方向に移動自在であるとともにXテーブル22に取り付けられたY方向移動装置24a,24bによりY方向(被製版ロールWの円筒軸と直角方向)に移動自在である。符号25a,25bは可動ブラケットでありX−Yテーブル22に設けられたシリンダ装置26a,26a、26b,26bのピストンによって支持されY方向に移動自在である。符号27aは目の粗さが320番の炭化珪素製の研磨砥石であり、シャフト28aがX−Yテーブル23aに設けられた軸受29aによって枢支されかつX−Yテーブル23に設けられたモータ30aにより高速回転されるようになっており、また符号27bは目の粗さが800番の炭化珪素製の研磨砥石であり、シャフト28bがX−Yテーブル23bに設けられた軸受29bによって枢支されかつX−Yテーブル23bに設けられたモータ30bにより高速回転されるようになっている。研磨砥石27aは、落版研磨を終了後、目の粗さが6000番のPVA製研磨砥石(図示しない。通称、スポンジ砥石という。炭化珪素に接着剤としてPVA(ポリビニールアルコール)とフェノールを添加し焼結してなる。)と自動交換されるか、または、タレット式切替え構造の同PVA製研磨砥石と切り換えられる。符号31は高圧空気発生用ブロアーであり、Xテーブル22に搭載されていて高圧空気をシリンダ装置26a,26a、26b,26bに供給する。図示しないコントローラは、シリンダ装置26a,26a、26b,26bに付設されている図示しない圧力センサの信号を入力することにより、研磨砥石27を被製版ロールWに押圧する研磨圧力がコントローラに指示した研磨データに一致するようにシリンダ圧力を自由に調整できる。
従って、この円筒研磨装置は、研磨砥石27aまたは27bを被製版ロールWに近接してから被製版ロールWを回転しシリンダ装置26a,26aまたは26b,26bを伸長作動すると、研磨砥石27aまたは27bを被製版ロールWに密着して一定圧力で研磨することができ、Xテーブル22を移動すれば円筒研磨ができる。
【0012】
この実施例における落版研磨と円筒研磨は、以下のように相違する。
落版研磨は、先ず、図3に示すように、被製版ロールWを両端チャックして回転し、該被製版ロールWに回転駆動される320番の炭化珪素製の研磨砥石27aの端面を押圧し潤滑液をかけつつ図5(a)、(b)に示す移動順序で移動して、全長が均一径となるように再短時間で研磨する。次いで、研磨砥石27aにより被製版ロールWに対してロール直径がさらに40μm縮径するように一端から他端まで数往復研磨してセルが無くなるように落版する。次いで、モータ30aの電源をオフにして、研磨砥石27aをフリー回転自在として、回転する被製版ロールWに対しフリー回転自在な研磨砥石27aの端面を通常研磨よりも大きな圧力で押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールWの回転に研磨砥石27aを連れ回りさせて、被製版ロールWと研磨砥石27aの線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、研磨砥石を移動することにより、被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しつつ前記の通常の円筒研磨時の表面粗さよりも細かい表面粗さに研磨する。
すると、図6に示すように、研磨砥石27aにおいて回転半径に比例した速度分布を得ることができ、これにより、図7に示すように、研磨砥石27aの線接触箇所において被製版ロールWに対する微小な相対速度を得て、そうして、被製版ロールWと研磨砥石27aの接触箇所に潤滑液をかけつつ研磨砥石27aを一端から他端まで移動すると、粗さが500番〜600番の研磨砥石に切り換えて研磨したときに得られる細かい表面粗さが得られる。
円筒研磨は、図4に示すように、被製版ロールWを両端チャックして回転し、該被製版ロールWに回転駆動される800番の炭化珪素製の研磨砥石27bの端面を押圧し潤滑液をかけつつ一端から他端まで一往復してメッキ地面を解消するように円筒研磨する。次いで、モータ30bの電源をオフにして、研磨砥石27bをフリー回転自在として、回転する被製版ロールWに対しフリー回転自在な研磨砥石27bの端面を通常研磨よりも大きな圧力で押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールWの回転に研磨砥石27bを連れ回りさせて、被製版ロールWと研磨砥石27bの線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、研磨砥石を移動することにより、被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しつつ前記の通常の円筒研磨時の表面粗さよりも細かい表面粗さに研磨する。
すると、図6に示すように、研磨砥石27bにおいて回転半径に比例した速度分布を得ることができ、これにより、図7に示すように、研磨砥石27bの線接触箇所において被製版ロールWに対する微小な相対速度を得て、そうして、被製版ロールWと研磨砥石27bの接触箇所に潤滑液をかけつつ研磨砥石27bを一端から他端まで移動すると、粗さが1500番〜1600番の研磨砥石に切り換えて研磨したときに得られる細かい表面粗さが得られる。
【0013】
鏡面研磨は、先ず、図3に示す研磨砥石27aが6000番のPVA製研磨砥石に自動交換されたものとして説明すると、被製版ロールWに回転駆動される6000番のPVA製研磨砥石27aを押圧しかつ潤滑液をかけつつ一端から他端まで片道移動または一往復して鏡面仕上げ前の仕上げ研磨を行う。
次いで、被製版ロールWを仕上げ研磨時の回転数よりも二から三倍大きな回転数で回転しモータ30aを駆動停止してフリー回転自在としたPVA製研磨砥石27aを前記研磨圧力の二から三倍の一定圧で押圧することにより、PVA製研磨砥石27aを被製版ロールWの回転に連れ回り回転させて鏡面研磨する。
すると、図6に示すように、PVA製研磨砥石27aにおいて回転半径に比例した速度分布を得ることができ、これにより、図7に示すように、PVA製研磨砥石27aの線接触箇所において被製版ロールWに対する微小な相対速度を得て、そうして、被製版ロールWとPVA製研磨砥石27aの接触箇所に潤滑液をかけつつPVA製研磨砥石27aを一端から他端まで移動することにより被製版ロールWを鏡面研磨するものである。
6000番のPVA製研磨砥石を被製版ロールに強く押しつけて連れ回り回転させることにより微小な相対回転速度を得てこの微小な相対回転速度が被製版ロールに対して方向性がない微小な研磨効果を果すことにより研磨した銅粉がPVA製研磨砥石の目を潰すことがなく、砥石研磨により被製版ロールの鏡面研磨がが実現する。鏡面研磨は、3000番以上のPVA製研磨砥石を使用すれば、十分に実現できる。(数値限定する趣旨ではない。)
6000番のPVA製研磨砥石を駆動回転して回転駆動される被製版ロールに押しつけて移動しても、けっして鏡面研磨が実現できない。
砥石研磨により被製版ロールの鏡面研磨ができるので、バフ研磨に比べて短時間に精密な研磨ができる。砥石研磨により被製版ロールの鏡面研磨ができるので、熟練を要することなく自動研磨が実現できるから、自動化が可能になる。
【0014】
次に、図5(a)、図5(b)を参照して被製版ロールの全長が均一径となるように落版研磨する移動順序を説明する。
図5(a)は、チャックコーン21aとチャックコーン21bにより両端チャックされ回転される被製版ロールWを研磨砥石27aで研磨する所を示す。
図中の数値は、図2に示す2)ロール直径計測工程において得られる被製版ロールWの一定ピッチ毎に各区間の計測直径値を補正した研磨前直径値を示す。
図5(a)は、被製版ロールWの一端から10mm離れた位置の直径を計測し、次いで30mmピッチで直径を計測し、最後の計測箇所から被製版ロールWの他端まで10mm離れている所を示す。直径計測は、小数点第三位まで計測して小数点第三位を四捨五入した。
研磨砥石27aは、被製版ロールWに密着し研磨圧力を一定に保って一方向へ移動するときの一回の研磨寸法が2.5ミクロンとなるように、研磨圧力が調整されて研磨を行えるようになっており、研磨砥石27aが一往復研磨すると被製版ロールWは直径が10ミクロン小さくなるように研磨される。
従って、各区間の研磨前直径値の最小位は、小数点第二位であるので研磨砥石の一回の研磨寸法が2.5ミクロンであるから該一回の研磨寸法の四倍となるような値に補正されている。
図5(b)は、被製版ロールの各区間の研磨前直径値をブロック積みの棒グラフで示しかつブロックを取り除く順序を矢印と番号で示すことにより研磨砥石の移動を説明するものである。図中、左の数値は直径値であり、一目盛りは5ミクロンである。従って、一つのブロックの高さは5ミクロンある。研磨砥石の一回の研磨寸法が2.5ミクロンであるので、研磨砥石を一往復することにより一つのブロックを取り除くことができる。
理解を容易にするために、以下に、ブロックを取り除く順序の説明を通して、直径が最終的に均一になることを概念的に説明する。
ブロックが積まれたものであるならば、下段のブロックを取り除くとその上に積まれているブロックは一段下がる。実際の研磨は内部から先に行うことはできない。しかし、ある区間の研磨を最上段のブロックに対する研磨ではなく下段のブロックに対する研磨に相当するものと概念的に決めて直径を小さく研磨していく考えることができる。
しかして、研磨砥石27aを被製版ロールWに密着し一回の研磨寸法が2.5ミクロンとなるように研磨圧力を一定に保って図4(b)中の矢印に付けた符号1から符号18に示す順序で往復移動を繰り返しつつ研磨することにより、一往復研磨したブロックを取り除いていくと、被製版ロール全長を研磨前最小直径値よりも一往復研磨した小さい均一径に研磨することができる。
図5(b)中の1から18に示す往復移動の順序は以下の規則に従っている。
研磨前最小直径値よりも大きな研磨代部分に相当するブロックは、図5(b)中の矢印に付けた符号1、2、4、6、8、10、12、14、16の順序で往復研磨を完了した順に取り除く。
従って、ブロックが研磨前直径値に比例して積まれているので、各区間の研磨前最小直径値よりも大きな研磨代部分に相当するブロックは、積まれているブロックの数だけ研磨移動を往復したときに全部取り除くことができる。
図5(b)中の例えば符号1の往復研磨を行うことで概念的に同じ段のブロックの取り除くことは、各区間の研磨代部分が連続して存在するときはその連続する区間を往復研磨することを意味している。
また、図5(b)中の例えば符号2の往復研磨を行って概念的に同じ段のブロックの取り除くように連続する区間を往復研磨すると、符号4の往復区間のブロックと符号6の往復区間のブロックとに別れる。そこで、研磨砥石は、符号3の矢印区間のブロックの符号3の方向に研磨して符号4の往復研磨を行って符号4の矢印区間のブロックを取り除き、次いで、符号5の矢印区間のブロックの符号5の方向に研磨して符号6の往復研磨を行って符号6の矢印区間のブロックを取り除くようにして、研磨砥石の研磨圧力を零にしたりさらに研磨砥石を被製版ロールから離したりしない。
すなわち、往復研磨を少なくとも一回行ってなお存在する研磨代部分が離れるときは、既に研磨前最小直径値に研磨した区間を被製版ロールの一端から他端に向かって研磨移動する。
さらに、図5(b)中の符号16の往復研磨を行うと、研磨前最小直径値よりも大きな研磨代部分がなくなるまで研磨したことになるので、引き続いて、符号17の方向に既に研磨前最小直径値に研磨した区間を研磨する。
もって、被製版ロールの全長を研磨前最小直径値よりも一方向に一回研磨した小さい均一径となるように断続して研磨したことになる。
そこで、最後に、被製版ロールの他端から一端に向かって図5(b)中の符号18の復動研磨を行う。これによって、被製版ロールの全長を研磨前最小直径値よりも一往復研磨した小さい均一径となるように研磨したことになる。
実際の研磨は内部から先に行うことは不可能であるが、上記のブロックを取り除く順序で説明するように砥石研磨の移動を行うと、被製版ロールの直径が小さくなる状態が、あたかも下段のブロックを取り除くと上段のブロックが一段落ち、かつブロックが取り除かれる順番に対応するように概念的に把握することができ、結果として、必要最小限の砥石研磨の移動により、被製版ロールの全長を研磨前最小直径値よりも一往復研磨した小さい均一径となるように精密研磨することができる。
なお、図5(b)中の符号18の研磨を行うことは、本願発明の必須要件ではない。その理由は、符号17の研磨を終了した時点で均一径となるからである。また、符号18の研磨を行うことを必須要件とすれば、符号17の研磨を終了した時点で被製版ロールを取外し別の研磨装置に取り付けて符号18の研磨を行うことが考えられるからである。
【0015】
図8は、研磨砥石の別の移動順序を示す図である。
この移動順序によれば、研磨開始位置及び研磨終了位置が被製版ロールの中程になっている。符号1と3の往復研磨と符号13と19の往復研磨はストロークの大小と研磨順の関係が逆転している。
以上のように、本願発明のグラビア製版方法は、バフ研磨装置による鏡面研磨の工程を含んでいない。
【0016】
【発明の効果】
本願第一発明のグラビア製版方法によれば、
前記落版研磨及び/又は前記円筒研磨に関して、
先ず、被製版ロールについて通常の円筒研磨してから、研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在として被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせて被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しかつ通常の円筒研磨の表面粗さの目を潰して約二倍近く細かい表面粗さに研磨する構成である。
落版研磨に関しては、一種類の例えば320番の研磨砥石により約二倍近い研磨精度が短時間に得られ、また円筒研磨に関しては、一種類の例えば800番の研磨砥石により約二倍近い研磨精度が短時間に得られ、もって全製版時間を短縮できる。
また、落版研磨用の研磨砥石と、円筒研磨用の研磨砥石がそれぞれ一種類の研磨砥石を装備すれば良く、しかも、落版研磨を例えば320番の研磨砥石で研磨した後は、500番〜600番位の研磨砥石で研磨した状態に表面粗さを仕上げることができるので、次の円筒研磨は例えば800番の研磨砥石で研磨することができて、番数を細かく上げていく研磨砥石の交換が不要であり、研磨砥石の交換数を大幅に省略できるので、砥石研磨装置に関するシステムの構築が容易になる。例えば、単一ヘッドタイプの砥石研磨装置の砥石交換が一回で済む。また、ツーヘッドタイプの砥石研磨装置を採用すれば、一方のヘッドに落版研磨用の研磨砥石を、他方のヘッドに円筒研磨用の研磨砥石を装備すれば、使用ヘッドの切替えで済む。
【0017】
本願第二発明のグラビア製版方法によれば、
鏡面研磨に関して、PVA製研磨砥石により、先ず、被製版ロールについて通常の円筒研磨により鏡面研磨前の仕上げ研磨をしてから、PVA製研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在として被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせて鏡面研磨する構成である。鏡面研磨は、研磨した銅粉が研磨砥石の目を潰すことがなく、砥石研磨により被製版ロールの鏡面研磨が良好にできる。
バフ研磨によらないで砥石研磨により被製版ロールを鏡面研磨できる、しかも、一種類のPVA製研磨砥石により鏡面研磨ができるので、バフ研磨に比べて短時間に精密な研磨ができる他、バフによる鏡面研磨において必要としていた、塵埃対策、油脂の除去、発熱対策、長時間研磨、熟練の必要、システム構築の高騰といった問題がほぼ解消できて、被製版ロールに対して、落版研磨−版深形成メッキ−円筒研磨−鏡面研磨−食刻法又は彫刻法によるセルの形成−という一連の製版工程を経てグラビア製版ロールを製作するグラビア製版工程の全自動化が可能になる。
【0018】
本願第三発明のグラビア製版方法によれば、
前記落版研磨及び前記円筒研磨に関して、
先ず、被製版ロールについて通常の円筒研磨してから、研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在として被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせて被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しかつ通常の円筒研磨の表面粗さの目を潰して約二倍近く細かい表面粗さに研磨する構成である。
また、鏡面研磨に関して、PVA製研磨砥石により、先ず、被製版ロールについて通常の円筒研磨により鏡面研磨前の仕上げ研磨をしてから、PVA製研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在として被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせて鏡面研磨する構成である。
このため、
本願第三発明のグラビア製版方法は、本願第一発明のグラビア製版方法が有する発明の効果と、本願第二発明のグラビア製版方法が有する発明の効果とを併有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明のグラビア製版方法の工程図を示す。
【図2】本願発明のグラビア製版方法の実施するためのグラビア製版工場の製版装置の概略配置図を示す。
【図3】本願発明の被製版ロールの鏡面研磨方法を実施するための円筒研磨装置の概略正面図であって、被製版ロールの鏡面研磨方法の構成要素である被製版ロールの全長を均一径に研磨する状態を示す。
【図4】本願発明の被製版ロールの鏡面研磨方法を実施するための円筒研磨装置の概略正面図であって、被製版ロールを鏡面研磨する状態を示す。
【図5】本願発明の第一の実施の形態にかかる被製版ロールの鏡面研磨方法の構成要素の被製版ロールの全長を均一径に研磨するための移動順序を説明するための図である。(a)は、被製版ロールを研磨砥石で研磨するに際して、被製版ロールの一定ピッチ毎の研磨前直径値を示す。(b)は、被製版ロールの各区間の研磨前直径値をブロック積みの棒グラフで示しかつブロックを取り除く順序を矢印と番号で示すことにより研磨砥石の移動を説明するための図である。
【図6】本願発明の被製版ロールの鏡面研磨方法を説明するための図であって、被製版ロールに研磨砥石を接触させたときの線接触箇所の速度分布を示す図。
【図7】本願発明の被製版ロールの鏡面研磨方法を説明するための図であって、被製版ロールに研磨砥石を接触させたときの線接触箇所の中点の速度が被製版ロールの速度に等しいと見なしたときの相対速度分布を示す図。
【図8】本願発明の第二の実施の態様にかかる被製版ロールの砥石研磨方法を説明するための図であって、被製版ロールの各区間の研磨前直径値をブロック積みの棒グラフで示しかつブロックを取り除く順序を矢印と番号で示すことにより研磨砥石の移動を説明するための図である。
【符号の説明】
W ・・・被製版ロール
27a、27b ・・・研磨砥石
Claims (4)
- 被製版ロールに対して、落版研磨−版深形成メッキ−円筒研磨−鏡面研磨−食刻法又は彫刻法によるセルの形成−という一連の製版工程を経てグラビア製版ロールを製作するグラビア製版方法において、
前記落版研磨において、砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより被製版ロールを両端チャックして回転し、該被製版ロールに回転駆動される研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を落版円筒研磨してから、研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、研磨砥石を移動することにより、被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しつつ前記落版円筒研磨時の表面粗さよりも細かい表面粗さに研磨する、
ことを特徴とするグラビア製版方法。 - 被製版ロールに対して、落版研磨−版深形成メッキ−円筒研磨−鏡面研磨−食刻法又は彫刻法によるセルの形成−という一連の製版工程を経てグラビア製版ロールを製作するグラビア製版方法において、
前記円筒研磨において、砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより被製版ロールを両端チャックして回転し、該被製版ロールに回転駆動される研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を円筒研磨してから、研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、研磨砥石を移動することにより、被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しつつ表面粗さを細かくする、
ことを特徴とするグラビア製版方法。 - 被製版ロールに対して、落版研磨−版深形成メッキ−円筒研磨−鏡面研磨−食刻法又は彫刻法によるセルの形成−という一連の製版工程を経てグラビア製版ロールを製作するグラビア製版方法において、
前記鏡面研磨は、砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより被製版ロールを両端チャックして回転し、該被製版ロールに回転駆動されるPVA製研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を円筒研磨してから、PVA製研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転にPVA製研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールとPVA製研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、PVA製研磨砥石を移動することにより鏡面研磨する、
ことを特徴とするグラビア製版方法。 - 被製版ロールに対して、落版研磨−版深形成メッキ−円筒研磨−鏡面研磨−食刻法又は彫刻法によるセルの形成−という一連の製版工程を経てグラビア製版ロールを製作するグラビア製版方法において、
前記落版研磨においては、砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより被製版ロールを両端チャックして回転し、該被製版ロールに回転駆動される研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を落版円筒研磨してから、研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、研磨砥石を移動することにより、被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しつつ前記落版円筒研磨時の表面粗さよりも細かい表面粗さに研磨し、
前記円筒研磨においては、砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより被製版ロールを両端チャックして回転し、該被製版ロールに回転駆動される研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を円筒研磨してから、研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転に研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールと研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、研磨砥石を移動することにより、被製版ロールに付いたピッチ縞を除去しつつ表面粗さを細かくし、
前記鏡面研磨においては、砥石研磨装置の一対のスピンドルの対向端に設けたチャックコーンにより被製版ロールを両端チャックして回転し、該被製版ロールに回転駆動されるPVA製研磨砥石の端面を押圧し潤滑液をかけつつ移動して全長を円筒研磨してから、PVA製研磨砥石を回転駆動源をオフにしてフリー回転自在とし、砥石端面で被製版ロールを押圧しかつ押圧箇所に潤滑液をかけつつ被製版ロールの回転にPVA製研磨砥石を連れ回りさせて、被製版ロールとPVA製研磨砥石の線接触箇所に微小な相対速度を生じさせ、PVA製研磨砥石を移動することにより鏡面研磨する、ことを特徴とするグラビア製版方法。
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