JP3953623B2 - 磁気テープカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープカートリッジに関し、とくにコンピュータに使用するワンリールタイプの磁気テープカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピュータ等の外部記憶装置に用いられる記録媒体として使用されている磁気テープカートリッジには、単一のリールに磁気テープを巻装したものをカートリッジケース内に回転自在に収容したタイプのものが知られている。
【0003】
このような単一のリールのタイプは、外部記憶装置にセットされると、リールに巻装された磁気テープが、外部記憶装置側のドライブ機構によってケースから引き出されて、当該外部記憶装置の磁気記録部で情報の記録が行われ、または既に記録された情報が再生部で読み出され、これらの目的を終了した後はテープはリールに巻き戻されてケース内に再び収容されるように構成されている。そして、磁気テープの引出し側の先端部である自由端部には、記憶装置のドライブ機構がテープをカートリッジケースからスムーズに引き出し、記録部や再生部等を含むテープ走行経路にテープを導入するすためにリーダー片が固着されている。記憶装置のドライブ機構はこのリーダー片を把持してテープを記憶装置内に引き回して所定のテープ走行路にセットする。
【0004】
このリーダー片はドライブ機構が把持しやすいように、また不用意に磁気テープがケースから引き出されないように、ケース内の一定の位置に係止される必要があり、リーダー片の一部には、ケース側に形成された係止部に係止される被係止部が形成されている。
【0005】
このようなリーダー片は従来はブロック形状のものが知られており、カートリッジケースの、テープが引き出される開口を塞ぐ蓋としての機能を兼ねるものもある。
【0006】
また近年、新しいタイプの磁気テープカートリッジが提案されている。この新しいタイプのものは、基本的な構成は従来のものと同様であるが、細部において種々の工夫がなされ、例えば従来のリーダー片に相当するものとして円柱状のリーダーピンが用いられ、これは外部記憶装置に装填されたときにこの装置内における占有スペースを低減するようにも構成されている。この新しいタイプのカートリッジは、不使用時にはリーダーピンがケース内部に収容されてケースの内側に係止されるとともに、リーダーピンが通過するケースの開口には開閉自在の扉(開閉扉)が設けられている。開閉扉はケースの周面方向に沿ってスライドするもので、ばね等の弾性部材により閉位置に付勢されており、外部記憶装置に装填されたときには、この外部記憶装置側の機構により上述した付勢力に抗して、扉が開位置に移動され、ドライブ機構がケース内に係止されたリーダーピンをケースの開口から係引して記憶装置内に引き回すように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記開閉扉を有する新しいタイプのカートリッジは、上述したように外部記憶装置に装填されたときに、外部記憶装置側の内部機構により開閉扉が閉位置から開位置に移動されるが、開閉扉は閉位置に付勢されているため、図3に示す、開閉扉27が開位置に移動された状態においては、開閉扉27を付勢している付勢手段27aによる付勢力の反作用力(Y′方向)がカートリッジケース7側に作用する。カートリッジ1のリール中心部は外部記憶装置 100にチャックされるため、カートリッジケース7は、上記反作用の力によりリール中心部を中心とする回転モーメントRを受ける。一方、外部記憶装置 100は、カートリッジ1の製造個体差である寸法誤差を吸収するとともにカートリッジ1の装填操作を容易にするために、カートリッジ1が収容される空間はカートリッジケース7の外形寸法よりも大きく形成されてカートリッジケース7との間に予めある程度の隙間が確保されている。この結果、外部記憶装置に装填されたカートリッジ1は上記回転モーメントRにより上記隙間分だけ回転する。
【0008】
このようにカートリッジ1が外部記憶装置 100内で回転すると、カートリッジ1を外部記憶装置 100から排出する際に、外部記憶装置側のドライブ機構がケース7を的確に把持することができず、またケース7のコーナー部Kが外部記憶装置 100に強く当たり、カートリッジ1の排出操作に支障をきたす虞があるなどの問題がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、外部記憶装置に装填されたときに、外部記憶装置内部で回転するのを防止した磁気テープカートリッジを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気テープカートリッジは、外部記憶装置に装填された状態で、回転モーメントにより位置ずれするのを防止する、外部記憶装置側のストッパーに当接する受け凹部が形成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明の磁気テープカートリッジは、全体として直方体のカートリッジケース内に磁気テープを巻装した単一のリールを回転可能に収容した、磁気テープカートリッジ用の外部記憶装置に装填される磁気テープカートリッジであって、該カートリッジケースの周面を構成するいずれかの側面に、該周面方向に開閉自在とされるとともに閉位置に付勢された、磁気テープ引出用の開閉扉を有する磁気テープカートリッジにおいて、前記磁気テープカートリッジが前記外部記憶装置に装填されて前記開閉扉が開位置に移動された状態において前記開閉扉を前記閉位置方向に付勢する力の反作用力に起因する回転モーメントを受ける前記カートリッジケースの前記外部記憶装置に挿入する方向の前面に、該カートリッジケースが前記回転モーメントにより回転するのを防止するように形成された前記外部記憶装置のストッパーに当接する受け凹部が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
ここで受け凹部は、外部記憶装置のストッパーの形状に沿った形状であることが望ましく、カートリッジケースに生じる、リール中心部を中心とする回転モーメントを相殺する方向への荷重を受ける面を有するものであることを要する。
【0013】
さらに、リールに係合してリールの自由な回転を制止するブレーキ機構には、外部記憶装置のブレーキ解除スピンドルが係合するが、この係合によりブレーキ機構はそリールの回転軸方向(上方)に押し上げられる。このブレーキ機構を押し上げる力は、ブレーキ機構を介してカートリッジケースにも掛かるため、前記ストッパーがさらに、カートリッジケースが上方側に押し上げられるのを抑止するように該カートリッジケースに当接するように形成されたものであるときは、前記受け凹部は、このストッパーに当接する、少なくとも上方を向いた当接面を有するものであることが望ましい。
【0014】
ここで上方を向いた面とは、少なくともストッパーから、カートリッジケースが上方側に押し上げられるのを抑止する荷重を受ける面であればよく、必ずしも水平面に平行な面である必要はなく、水平面に対して傾斜した面であってもよい。
【0015】
【発明の効果】
本発明の磁気テープカートリッジによれば、磁気テープカートリッジが外部記憶装置に装填されて開閉扉が開位置に移動された状態において、カートリッジケースが、開閉扉を閉位置方向に付勢する力の反作用力に起因する回転モーメントを受けるが、この回転モーメントを相殺するような荷重を加える外部記憶装置のストッパーに当接する受け凹部が形成されているため、カートリッジケースは外部記憶装置内で回転方向に位置ずれすることがない。したがってカートリッジを外部記憶装置から排出する際に、外部記憶装置側のドライブ機構がケースを把持する際も、その把持操作が不安定になることがなく、カートリッジの排出操作に支障をきたすのを防止することができる。
【0016】
また、受け凹部が、ストッパーに当接する、少なくとも上方を向いた当接面を有するものであるときは、この当接面にストッパーから、カートリッジケースが上方側に押し上げられるのを抑止する荷重を受けるため、リール中心部のハブに外部記憶装置のブレーキ解除スピンドルが係合してブレーキ機構をリールの回転軸方向(上方)に押し上げられたときも、それに伴ってカートリッジケースが上方に押し上げられるのを抑止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気テープカートリッジの具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明の磁気テープカートリッジの一実施形態の構成を示す分解斜視図である。図示した磁気テープカートリッジ1は、下リール5と上リール6とを超音波溶着により結合した単一のリール4に磁気テープ20を巻装し、上ケース2と下ケース3とがビス等により締結されてなるカートリッジケース7内に、リール4を回動自在に収納して構成されている。
【0019】
下リール5は外周に磁気テープ20が巻回される円筒状のリールハブ23と、リールハブ23の下端外周から径方向に張り出したフランジ部24とを合成樹脂により一体成型したもので、リールハブ23の底部外面にリール4を回転駆動するマグネット式の回転駆動手段を接合させるためのリールプレート8が取付けられる。またリールハブ23の底部内面には、ブレーキボタン9に形成された制止用ギア9Aと係合して不使用時の回転を拘束する制止用ギア23Aが刻設されている。また、リールハブ23には、磁気テープカートリッジ1を使用する外部記憶装置等の記録再生装置(ドライブ)に設けられたドライブ解除スピンドルが挿通されてブレーキボタン9を上方へ移動させるための開口23Bが形成されている。
【0020】
ブレーキボタン9は、リールハブ23と対向する側に上述した制止用ギア9Aが形成されており、それとは反対側に上ケース2に形成されたブレーキガイド突起が嵌合される嵌合溝9Bが形成されている。そして、ブレーキボタン9はコイルバネ10により図中下方に付勢された状態でリールハブ23内部に装着されており、ブレーキボタン9とリールハブ23との制止用ギア9A,23Aが咬み合ってリール4の不使用時における回転が防止されている。一方、カートリッジ使用時は、ドライブのドライブ解除スピンドルがブレーキボタン9を押圧すると、ブレーキボタン9がコイルバネ10の付勢力に抗して図中上方へ移動し、これにより制止用ギア9A,23Aの係合が解除され、リール4が回転自在とされる。
【0021】
また、カートリッジケース7の一側壁には、磁気テープ20を引き出すための開口部26が形成されている。開口部26にはカートリッジケース7の側壁に平行な矢印Y,Y′方向に移動可能なスライドドア27が取付けられている。スライドドア27はバネ27aにより、開口部26を閉じる方向に付勢されている。
【0022】
また、磁気テープカートリッジ1はその不使用時に磁気テープ20が完全にリール4に巻き込まれた状態で、磁気テープ20の端部に取付けられたリーダピン21(磁気テープカートリッジ1を使用するドライブが磁気テープ20を装置内のテープ走行路に導入するための手段)が開口部26の近傍に形成された凹部28に係止される。
【0023】
一方、磁気テープカートリッジ1をドライブへ挿入する方向(装填方向;図中矢印Y)のケース7の前面(装填方向前面)に、ケース回転防止用の受け凹部7aが設けられている。この受け凹部7aは、上ケース2と下ケース3とが締結された状態において全体として円錐形の周面の内面形状を有するものである。そして、装填方向Yにドライブに挿入されると、磁気テープカートリッジ1は、ドライブ内の、円錐状に突出して形成されたストッパー 110(図2参照)が、この受け凹部7aに密着するように当接する。
【0024】
また、上述したようにブレーキボタン9とリールハブ23との制止用ギア9A,23Aの係止が解除されてリール4が回転自在とされるとともに、マグネット式の回転駆動手段がリールプレート8と接合してリール4を回転する。これとともに、スライドドア27がドライブの内部機構(図示せず)によりバネ27aの付勢力に抗して開かれて、リーダピン21がテープ走行路の所定位置に引き込まれ、磁気テープ20へのデータの読み書きが可能となる。
【0025】
次に、上記受け凹部7aについて詳説する。
【0026】
カートリッジ1はドライブ 100に装填された状態において、図3に示すように、ドライブ 100の内部機構によりスライドドア27が開かれるが、スライドドア27はバネ27aによる付勢力を受けているため、開かれた状態においては、バネ27aの付勢力の反作用力(Y′方向)がカートリッジケース7側に作用する。カートリッジ1のリール中心部はドライブ解除スピンドルが挿通されて固定されるため、カートリッジケース7は、この反作用の力によりリール中心部を中心とする回転モーメントRを受ける。一方、ドライブ 100は、カートリッジ1の製造個体差である寸法誤差を吸収するとともにカートリッジ1の装填操作を容易にするために、カートリッジ1が収容される空間はカートリッジケース7の外形寸法よりも大きく形成されてカートリッジケース7との間に予めある程度の隙間が確保されている。この結果、ドライブ 100に装填されたカートリッジ1は上記回転モーメントRにより上記隙間分だけ回転することになる。
【0027】
しかし、本実施形態のカートリッジ1には、上述した受け凹部7aが形成されており、図2(2)に示すように、ドライブ 100のストッパー 110が、この受け凹部7aに密着するように当接する。この結果カートリッジ1は、ストッパー 110から、回転モーメントRを相殺するような回転モーメントR′を与えるY′方向への荷重を受け、カートリッジ1の回転が防止される。
【0028】
また、このカートリッジ1のブレーキボタン9は、ドライブ 100の図示しないドライブ解除スピンドルにより図示上方(U方向)に移動されるが、このときケース7は、コイルバネ10の付勢力の反作用の力(U方向)を受ける。
【0029】
しかし受け凹部7aにドライブ 100のストッパー 110が密着するように当接しているため、カートリッジ1はストッパー 110から、このU方向への力を相殺する方向(U′方向)に荷重を受ける。したがって、カートリッジ1がU方向に移動するのが防止される。
【0030】
なお上記実施形態は、円錐形の周面の内面形状を有する受け凹部を備えた例であるが、本発明の磁気テープカートリッジは、このような形状の受け凹部を有するものに限るものではなく、例えば図4または5に示すように、ドライブ 100のストッパー 120または 130の形状に応じた形状の受け凹部7bまたは7cを有するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気テープカートリッジの一実施形態の構成を示す分解斜視図
【図2】受け凹部の詳細を示す図(その1)
【図3】磁気テープカートリッジが受ける回転モーメントを説明する図
【図4】受け凹部の詳細を示す図(その2)
【図5】受け凹部の詳細を示す図(その3)
【符号の説明】
1 磁気テープカートリッジ
2 上ケース
3 下ケース
4 リール
7 カートリッジケース
7a,7b,7c 受け凹部
110,120,130 ストッパー
Claims (2)
- 全体として直方体のカートリッジケース内に磁気テープを巻装した単一のリールを回転可能に収容した、磁気テープカートリッジ用の外部記憶装置に装填される磁気テープカートリッジであって、該カートリッジケースの周面を構成するいずれかの側面に、該周面方向に開閉自在とされるとともに閉位置に付勢された、磁気テープ引出用の開閉扉を有する磁気テープカートリッジにおいて、
前記磁気テープカートリッジが前記外部記憶装置に装填されて前記開閉扉が開位置に移動された状態において前記開閉扉を前記閉位置方向に付勢する力の反作用力に起因する回転モーメントを受ける前記カートリッジケースの前記外部記憶装置に挿入する方向の前面に、該カートリッジケースが前記回転モーメントにより回転するのを防止するように形成された前記外部記憶装置のストッパーに当接する受け凹部が形成されていることを特徴とする磁気テープカートリッジ。 - 前記ストッパーがさらに、前記カートリッジケースが上方側に押し上げられるのを抑止するように該カートリッジケースに当接するものであり、前記受け凹部が、該ストッパーに当接する、少なくとも上方を向いた当接面を有するものであることを特徴とする請求項1記載の磁気テープカートリッジ。
Priority Applications (1)
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JP05481898A JP3953623B2 (ja) | 1998-03-06 | 1998-03-06 | 磁気テープカートリッジ |
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JP05481898A JP3953623B2 (ja) | 1998-03-06 | 1998-03-06 | 磁気テープカートリッジ |
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JPH11260027A JPH11260027A (ja) | 1999-09-24 |
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ID=12981286
Family Applications (1)
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JP05481898A Expired - Lifetime JP3953623B2 (ja) | 1998-03-06 | 1998-03-06 | 磁気テープカートリッジ |
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Families Citing this family (2)
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CN1275257C (zh) * | 1999-11-04 | 2006-09-13 | 富士胶片株式会社 | 磁带卡盘 |
-
1998
- 1998-03-06 JP JP05481898A patent/JP3953623B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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