JP3952835B2 - 光記録媒体作製用スタンパーの製造方法 - Google Patents

光記録媒体作製用スタンパーの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体作製用スタンパーの製造方法に係わり、光ディスク、光磁気ディスク、相変化型光ディスク等の光記録媒体を製造する際に用いるスタンパーの製造に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
情報記録媒体の1種である光ディスクは、例えば図6A〜図6Cに示すように構成される。
即ち図6Aに示すように、光学的に透明なプラスチック製のディスク基板71の一方の面に信号記録面72が形成される。そして、この信号記録面72内では、図6Bに拡大図を示すように連続溝状のグルーブ74が、或いは図6Cに拡大図を示すように連続したピット75の列が、それぞれランド73に対してトラック毎に所定のトラックピッチTPで形成される。
これらグルーブ74又はピット75が形成されたトラックは、図示しないが信号記録面72全体ではスパイラル状に形成される。
【0003】
そして、例えば再生専用の光ディスクでは、ピット75の列を設けた面上に光反射膜や保護膜が形成される。
また、例えば記録が可能な光ディスク、例えば相変化型光ディスク、光磁気ディスク、追記型光ディスクでは、グルーブ74を設けた面上に、相変化膜、磁性膜、有機色素膜等の記録層、光反射膜、並びに保護膜が形成される。
【0004】
このような構成の光ディスクは、フォトリソグラフィ技術を用いて、上述したランド73、グルーブ74、ピット75等の凹凸構造が形成される。即ち、基板上に塗布されたフォトレジストを露光、現像することにより作製される。
【0005】
ここで光ディスクは、以下の製造工程により製造される。
まず、図7Aに示すように、表面が平坦に研磨・洗浄されたガラス(例えば石英ガラス)から成る基板81を用意する。
次に、図7Bに示すように、スピンコート法により基板81上に、例えばポジ型のフォトレジストから成るフォトレジスト82を塗布する。
【0006】
続いて、図7Cに示すように、フォトレジスト82が塗布された基板81を回転させ、記録信号にあわせて強度変調を受けた光84を対物レンズ83で集光して露光を行って潜像85を形成する。このとき、基板81と対物レンズ83との位置関係を相対的に基板81の半径方向に移動させることにより、スパイラル状に潜像85を形成することができる。
【0007】
次に、露光されたフォトレジスト82を現像することにより、ポジ型のフォトレジストを用いた場合には感光した領域を溶解して、未露光領域のフォトレジストを残すことができる。これにより、例えば図8Dに示すように、基板81上に残ったフォトレジスト82から成るランド(凸部)86と、基板81が露出したグルーブ(凹部)87を形成することができる。尚、ランド86に対して、グルーブ87の代わりに図6Cに示したピット75に対応するピット状の凹部を形成することも可能である。
このようにして、光ディスクの作製用の原盤88を作製することができる。
【0008】
さらに、この原盤88を用いて、スタンパーを作製する。
即ち図8Eに示すように、原盤88上にメッキにより例えばニッケルから成るスタンパー90を形成する。
ここで、ニッケルのメッキにはメッキ成長速度の速い電気メッキ法が用いられるが、予め原盤88の表面に導電性を持たせる必要があるため、前処理としてスパッタ法又は無電解メッキ法により導電膜としてニッケルを成膜する。
【0009】
その後、原盤88からスタンパー90を剥離して、ニッケル(Ni)から成るスタンパー90を得ることができる(図9参照)。
スタンパー90の厚さは一般的には0.3〜0.5mm程度である。
【0010】
続いて、このスタンパー90を用いて、光ディスクを作製する。
即ち図8Fに示すように、スタンパー90を金型として用いて、例えばプラスチック射出成形法により、平坦なディスク基板101に対して凹凸パターンを転写してランド102やグルーブ103を形成する。
その後は、図示しないが、ディスク基板101上に記録層を含む所定の膜構造を形成して、光ディスクを製造することができる。
【0011】
フォトレジスト82の露光工程では、一般的に露光用の光84としてレーザビームを用いて、これを対物レンズで集光してフォトレジスト82の露光を行っている。
【0012】
このようなレーザビームを用いた露光には、例えば図10に示す構成のレーザ露光装置を使用することができる。AO変調器(AOM:音響光学変調素子)に超音波を入射させ、その内部に形成された回折格子により、例えば気体レーザ等のレーザ光源から出射したレーザ光を回折させる。この回折光のうち一次回折光のみスリットを透過させて使用する。一次回折光の強度はAO変調器に入射される超音波の強度変調によって制御される。強度変調を受けた一次回折光は、ビームエクスパンダーによって径を拡大された後、対物レンズによって集光されてフォトレジストに照射される。
【0013】
ここで、露光により形成されるパターンの寸法は、露光用の光84が集光されてフォトレジスト82上に照射されるスポット径とほぼ同等である。即ちこのスポット径を微小化する程、高記録密度とすることができる。
スポット径φは、光84の波長λと対物レンズ83の開口数NAとからφ=1.22×(λ/NA)で与えられる。
【0014】
近年、情報通信や画像処理技術の急速な発展に伴い、光ディスク等の光記録媒体においても、情報容量・記録密度をさらに向上することが要望されている。
これに伴い、より微細な凹凸パターン(グルーブやピット等)を形成する必要が生じてきている。このように微細な凹凸パターンを形成するためには、上述の露光のスポット径φの関係式からわかるように、光84の波長の短波長化及び対物レンズ83の開口数NAの増大が求められる。
【0015】
そして、対物レンズの開口数NAの値は、レンズの設計製作精度の面から、現状の0.9程度がほぼ限界であると考えられており、波長λの短波長化が必要不可欠となっている。
しかしながら、例えば現在開発されている最も微小なスポットを形成できる構成、即ち波長λ=257nm及びNA=0.95としても、スポット径の半値幅を165nm程度までしか縮小できないため、100nm以下の線幅を形成することは困難である。
【0016】
このため、レーザ光よりも微細なスポット径で露光を行うことができる電子線でフォトレジストの露光を行うことが提案されている。
電子線による露光は、既に半導体分野でのフォトマスクのパターン描画やウエハ上への直接描画等に用いられてきたが、近年光ディスク作製用の原盤に微細なグルーブやピット等のパターンを形成する場合にも適用することが提案されている。
この電子線による露光は、電子線描画装置を用いて行うことができる。
【0017】
このように電子線を露光用の光84として用いて、フォトレジスト82を露光することにより、原盤88のフォトレジスト82に形成される凹凸パターンをより微細化して、スタンパー90により微細な凹凸パターンを形成することができ、さらにこのスタンパー90から微細な凹凸パターンを有するディスク基板101を形成して、微細な凹凸パターンを有し、高い記録密度を有し情報容量の大きい光ディスクを製造することが可能になる。
【0018】
ところで、フォトレジスト82は、その特性から、露光及び現像により形成される凹凸パターンの側壁部が、例えば45度〜60度の傾斜を有している。
このため、上述のような手法により、フォトレジスト82の凹凸パターンの微細化が進んでいくと、フォトレジスト82の上面によるランド86が小さくなってしまう。
そして、ランド86があまりにも小さくなってしまうと、必要な信号が検出できなくなるおそれがある。特に短いパターンのピットで顕著になる。
【0019】
そこで、凹凸パターンの側壁部の傾斜をより垂直に形成するために、上述のようにして形成した微細な凹凸パターンを有するフォトレジストをマスクとして、さらに基板に対して異方性エッチングを行って、基板に凹凸パターンを形成して原盤を作製することが考えられている。
この基板への異方性エッチングには、ドライエッチング、例えば反応性イオンエッチング(RIE)法が適している。
【0020】
反応性イオンエッチングでは、高周波電源に接続された2枚の平板電極間に高電圧をかけることで容器内の反応性ガスにプラズマを発生させる。生じたガスイオンが片方の電極に設置された試料表面に電界に沿って垂直に入射し、そこで化学的な反応が発生してエッチングが垂直に進行するため、垂直に近いエッチング特性、化学反応によるエッチング物質の選択性、高い生産性等の利点を有している。
【0021】
このように基板に反応性イオンエッチング等の異方性エッチングを行う場合には、基板の材料として、例えば石英(石英ガラス等)やシリコンが挙げられる。これらの材料のエッチングの主反応ガスとしては、CF4 やCHF3 が適している。
【0022】
上述のように基板に異方性エッチングにより凹凸パターンを形成して原盤を作製することにより、以下に述べる利点を有する。
【0023】
まず、エッチングの条件を選定することにより、フォトレジストの開口部から、基板に対してほぼ垂直にエッチングを進行させることが可能であるため、側壁の傾斜が45〜60度程度である従来のフォトレジストの凹凸パターンと比較して、より微細な凹凸パターンを形成することが可能になる。
例えば記録波長λ=266nm、対物レンズの開口数NA=0.90の光学系でレーザ露光した場合で比較すると、従来ではグルーブのトラックピッチTPは0.28μmが下限値であったが、TP=0.23μmまで高分解能化することができる。
【0024】
また、一般的にフォトレジスト表面の粗度が原盤を構成する基板の表面の粗度と比較して大きいため、従来の原盤の作製方法ではランド領域(凸部)としてフォトレジスト82の表面の状態がスタンパー90へ転写され(図9参照)、さらにスタンパー90からディスク基板へ転写されることにより、製造された光ディスクを再生したときにノイズとなることがある。
これに対して、基板を異方性エッチングして原盤を作製する場合には、フォトレジストが除去されて基板のみから成る原盤となるため、原盤全体の粗度が小さくなる。従って、製造された光ディスクを再生したときのノイズが低減され再生信号特性が向上する。
【0025】
さらに、原盤の耐久性が向上するため、凹凸パターンが形成された原盤から複数枚のニッケルスタンパーを作製することが可能になる。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、電子線描画と異方性エッチングによって線幅100nm以下の微細なパターンを基板に直接形成して光記録媒体作製用原盤を製造した場合には、その後のスタンパーの作製工程において、以下の問題を発生し易くなる。
【0027】
従来のエッチングを使用しない製造工程により原盤を作製する場合には、図9に示すように、原盤88の凹凸パターンが柔らかいフォトレジスト82で形成されているため、原盤88からニッケル製のスタンパー90を剥離する際に、スタンパー90がダメージを受けることがなく、フォトレジスト82側の方が破損していた。また、フォトレジスト82の一部がスタンパー90に付着することがあるが、これはアセトン洗浄により容易に除去することができる。
【0028】
これに対して、基板を異方性エッチングして凹凸パターンを形成して原盤を作製した場合には、従来と同様にニッケルメッキを行うことはできるが、凹凸パターンを構成する基板がニッケルよりも硬度の高い石英やシリコンであるため、原盤からニッケルスタンパーを剥離する際に、ニッケルスタンパーに転写された微細凹凸パターンに破損を生じてしまう。
即ち例えば図11に示すように、凹凸パターン91Aを有する基板91からスタンパー92を剥離する際に、スタンパー92の凹凸パターン92Aが根元から折れてしまう。
【0029】
特に、電子線描画と異方性エッチングの組み合わせで得られる凹凸パターンは、従来のレーザ露光により得られる凹凸パターンと比較して飛躍的に微細化されている。
このため、図12に示す基板91の凹凸パターン91Aの深さDE(50〜100nm程度)と凹凸パターン91Aの幅WE又は長さLEとのアスペクト比R(=DE/WE又はDE/LE)が、従来比2倍以上となって、1.0を上回るものが存在する。
【0030】
このようにアスペクト比Rが大きくなることによって、凹凸パターン91Aが細長くなり、かつ異方性エッチングにより壁の傾斜が垂直に近くなっているため、パターン91A,92Aの微細化により、ますますスタンパー92の凹凸パターン92Aが破損しやすくなっていく。
【0031】
上述した問題の解決のために、本発明においては、スタンパーに微細な凹凸パターンを転写することができ、スタンパーを原盤から剥離する際のスタンパーの凹凸パターンの破損を防いで、微細な凹凸パターンを有するスタンパーを製造することができる光記録媒体作製用スタンパーの製造方法を提供するものである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明の光記録媒体作製用スタンパーの製造方法は、光記録媒体作製用のスタンパーを製造する方法であって、基板上にフォトレジストを形成する工程と、このフォトレジストを露光した後、現像により凹凸パターンを有するフォトレジストを形成する工程と、このフォトレジストをマスクとして基板を異方性エッチングして、基板に凹凸パターンを形成する工程と、この凹凸パターンが形成された基板の表面を覆って、スタンパーよりも硬度の低い材料から成る緩衝膜を形成する工程と、この緩衝膜上にスタンパーの材料を形成する工程と、このスタンパーの材料を表面に緩衝膜が形成された基板から剥離してスタンパーを形成する工程とを有するものである。
【0033】
上述の本発明の光記録媒体作製用スタンパーの製造方法によれば、凹凸パターンが形成された基板の表面を覆って、スタンパーよりも硬度の低い材料から成る緩衝膜を形成し、この緩衝膜上にスタンパーの材料を形成し、このスタンパーの材料を表面に緩衝膜が形成された基板から剥離してスタンパーを形成することにより、緩衝膜がスタンパーよりも硬度が低い(柔らかい)材料から成るため、緩衝膜によりスタンパーの材料を破損させないで基板から剥離して、スタンパーを製造することが可能になる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明は、光記録媒体作製用のスタンパーを製造する方法であって、基板上にフォトレジストを形成する工程と、このフォトレジストを露光した後、現像により凹凸パターンを有するフォトレジストを形成する工程と、このフォトレジストをマスクとして基板を異方性エッチングして、基板に凹凸パターンを形成する工程と、この凹凸パターンが形成された基板の表面を覆って、スタンパーよりも硬度の低い材料から成る緩衝膜を形成する工程と、この緩衝膜上にスタンパーの材料を形成する工程と、このスタンパーの材料を表面に緩衝膜が形成された基板から剥離してスタンパーを形成する工程とを有する光記録媒体作製用スタンパーの製造方法である。
【0035】
また本発明は、上記光記録媒体作製用スタンパーの製造方法において、緩衝膜の膜厚を20nm以下とする。
【0036】
また本発明は、上記光記録媒体作製用スタンパーの製造方法において、フォトレジストを露光する工程において、半値幅が100nmのスポットにより露光する。
【0037】
また本発明は、上記光記録媒体作製用スタンパーの製造方法において、電子線によりフォトレジストを露光する。
【0038】
また本発明は、上記光記録媒体作製用スタンパーの製造方法において、緩衝膜の材料として、ノボラック樹脂系のフォトレジストを用いる。
【0039】
また本発明は、上記光記録媒体作製用スタンパーの製造方法において、基板の材料として、シリコンもしくは石英を用いる。
【0040】
また本発明は、上記光記録媒体作製用スタンパーの製造方法において、スタンパーの材料としてニッケルを用いる。
【0041】
本発明の光記録媒体作製用スタンパーの製造方法の一実施の形態として、光記録媒体作製用スタンパーの製造工程を図1〜図3を参照して説明する。
【0042】
まず、図1Aに示すように、フォトレジスト12による凹凸パターンが一主面に形成された基板11を用意する。
この構成は、図8Dに示した従来の光記録媒体用原盤88とほぼ同様の構成であり、前述した図7A〜図8Dに示した製造工程と同様にして作製することができる。
この基板11としては、例えばシリコン基板や石英基板を用いることができる。
【0043】
即ち、次のように、フォトレジスト12による凹凸パターンが形成された基板11を作製する。
まず、基板11上にフォトレジストを12をスピンコート法により塗布する。次に、フォトレジスト12に対して所定の凹凸パターンを形成するための露光を行う。
【0044】
このフォトレジスト12に対する露光を行う工程では、図10に示したレーザ光を用いた露光光学系を用いることも可能であるが、電子線描画装置(電子ビーム描画装置)を用いて電子線により露光を行うことにより、より小さいスポット径で露光することができるため、微細なパターンの露光が可能になる。
この電子線描画装置を用いて露光を行う場合には、フォトレジスト12を電子線感光レジスト即ち電子線に対する感光性を有するフォトレジストにより形成する。
【0045】
フォトレジスト12の露光に用いられる電子線描画装置の一形態の概略構成図を図4に示す。
この電子線描画装置は、上部のいわゆる電子ビームカラム51と、下部のスピンドル57やエアスライド58等から成る支持部(機構部)54とに大別される。そして、これら電子ビームカラム51及び支持部(機構部)54が設置場所の外部振動を除去する除振テーブル59の上に載置されている。
尚、電子ビームのオン・オフ、集束された電子ビームのサイズ調整、電子ビームのウォブリングの制御等の電子ビーム関連の制御及び機構系の制御を行うコンピュータ制御装置は図示を省略している。
【0046】
まず、電子ビームカラム51は、例えば電子銃61と、これより放出された電子ビーム52を集束するコンデンサーレンズ62と、ブランキング電極(ビーム変調部)63と、中央にアパーチャー64を有する制限板65と、ビーム偏向電極66と、フォーカス調整レンズ67と、対物レンズ68とを有する。
【0047】
電子銃61は、材質が例えばLaB6 から成る電子線源により構成され、陽極により数kV〜100kVで加速された電子ビーム52を出射する。
ブランキング電極63は、相対向する偏向電極板により形成され、これらの電極板間に所要の電圧を印加することによって電子ビーム52を偏向して、制限板65のアパーチャー64を透過させたり、制限板65によって遮断したりすることによって、オン・オフ変調を行うものであり、電子ビーム変調手段を構成する。実際には、電極板間に電圧を印加したときに電子ビーム52が大きく偏向されアパーチャー64から外れてオフ状態となる。
また、ビーム偏向電極66も、相対向する偏向電極板により形成され、電圧を印加して電子ビーム52を偏向するが、これは電子ビーム52をオン状態としたまま、被照射面(フォトレジスト12の表面)上でnm〜μmオーダーで微小移動させるように電子ビーム52を偏向する、即ちウォブリングさせるための偏向を行うものである。このため、偏向電極板に印加する電圧として、ウォブリング信号を入力する。
【0048】
また、フォーカス調整レンズ67と対物レンズ68は、例えば静電又は電磁型レンズにより構成される。これらフォーカス調整レンズ67及び対物レンズ68により、電子ビーム52が被照射面、即ち例えばシリコン基板から成る基板11上に形成された電子線感光レジストから成るフォトレジスト12の表面に、数十nmのスポットサイズに集束されてスポット照射するようになされている。フォーカス調整レンズ67には、例えばフォーカシングサーボ信号が印加される。
【0049】
電子ビームカラム51の下方には、基板11上に形成されたフォトレジスト12に対して対向し、フォトレジスト12に電子ビーム52を照射する電子ビーム出射孔(図示せず)を有する。
【0050】
次に、支持部(機構部)54は、フォトレジスト12が形成された基板11を上部のターンテーブル56においてチャッキングして基板11を回転操作するエアスピンドル57と、このエアスピンドル57を図中矢印Sで示すように基板11のラジアル方向に水平移動させるエアスライド58とを備え、除振テーブル59上に載置されている。
【0051】
ここで、電子ビームは、大気中で散乱したり減衰したりすることにより良好な描画が阻害されるため、電子ビーム52が通過する部分において真空環境が必要である。少なくとも電子ビームカラム51及び電子ビームカラム51から基板11までの部分においては、真空環境が必要になる。
このため、除振テーブル59が大気中に設置されている一方で、スピンドル57及びエアスライド58は真空環境中に設置されている。
【0052】
スピンドル57は、高精度で制御される回転速度で高速回転駆動される。例えば基板11を〜3600rpmの高速で回転させることが可能であり、その回転速度が光学式ロータリーエンコーダーを用いたサーボ機構により一回転あたり10-7以下の回転ジッタで制御される。
また、エアスライド58は、リニアモーター型エアスライドにより構成され、送り速度がエアスライド58に装着された例えばレーザスケールによる測長機構により精密に制御され、例えば数nmの送り精度で基板11の半径方向に駆動される。
【0053】
これらターンテーブル56、スピンドル57及びエアスライド58により、基板11に対して回転及び直線方向の移動を行うことによって、フォトレジスト12の照射面が電子ビーム52に対して移行し、電子ビーム52がフォトレジスト12の照射面に対して、スパイラル状或いは同心円状に走査することができるようになされる。
【0054】
そして、エアスライド58を駆動する駆動手段としては、電子ビームへの影響を回避するように、磁気フリー駆動が可能な超音波リニアモータ、磁気シールド型ボイスコイルモータ等を用いることが望ましい。また、この駆動は、10nm以下の分解能を有するリニアスケールからのフィードバック制御による駆動を行うようにすることが望ましい。
【0055】
そして、露光工程においては、基板11の回転及び直線移行を行うことにより、基板11の表面に形成されたフォトレジスト12上に、電子ビーム52をスパイラル状或いは円状の軌跡をもって照射する。このとき、目的とする電子ビームの照射パターンに応じた変調信号をブランキング電極63に印加することによって、電子ビーム52をオン・オフして目的とする照射パターンをスパイラル状或いは円状に形成する。
尚、このとき、電子ビーム52の軌跡をウォブリングさせる場合には、上述したビーム偏向電極66に所要のウォブリング信号を印加することによって、所望の電子ビームウォブリングを行うことができる。
【0056】
図4に示すように電子線描画装置が構成されていることにより、電子線源から放出され陽極により加速された電子が電子銃61から電子ビーム52として出射され、静電レンズであるコンデンサーレンズ62で集束されブランキング電極63内を経てアパーチャー64及び制限板65に達する。そして、制限板65で絞られてアパーチャー64を通過した電子ビーム52はビーム偏向電極66内を通過し、対物レンズ68により数十nm径(半値幅)のスポットサイズに集束され、基板11上に形成された電子線感光レジストから成るフォトレジスト12に照射される。このとき、スピンドル57及びエアスライド58により基板11が回転及びその半径方向への直線移動することにより、基板11上のフォトレジスト12においてスパイラル状のパターンが描画される。
【0057】
ここで、フォトレジスト12に照射される電子ビームのスポットサイズは、微細なパターンの描画を行うために、半値幅で100nm以下とすることが望ましい。
【0058】
尚、フォトレジスト12への電子線描画を行う電子線描画装置の構成は、図4に示した形態に限定されず、その他の形態の装置を使用することもできる。
【0059】
次に、露光されたフォトレジスト12に対して、現像液により現像を行う。フォトレジスト12としてポジ型のフォトレジストを用いた場合には、露光された部分のみが現像液に溶解し、フォトレジスト12の残った部分によりスパイラル状に並んだピット列等の所定の凹凸パターンが形成される。
このようにして、図1Aに示す形態が得られる。
【0060】
次に、図1Bに示すように、反応性イオンエッチング(RIE)法により、フォトレジスト12をマスクとして、基板11に対してエッチングを行う。即ちエッチング装置20内で、例えばCF4 やCHF3 等の活性ガスイオン21により基板11に対するエッチングを行う。このとき、高周波電源22から、所定の高周波数の交流電圧を印加する。
【0061】
これにより、図2Cに示すように、基板11にフォトレジスト12から転写された凹凸パターン11Aが形成される。尚、フォトレジスト12はエッチングによって図1Aの状態よりも薄くなるため、予めエッチングにより消失しないような膜厚にフォトレジスト12を形成しておく必要がある。
【0062】
その後、図2Dに示すように、基板11上に残ったフォトレジスト12を除去することにより、凹凸パターン11Aが形成された基板11が得られる。
このフォトレジスト12の除去は、後述するように、剥離液を用いる方法やアッシングにより行うことができる。
【0063】
続いて、図3Eに示すように、凹凸パターン11Aが形成された基板11の表面を覆って、薄い緩衝膜13を形成する。これにより、基板11上に緩衝膜13が形成されて成る原盤14を作製することができる。
この緩衝膜13の膜厚DBは、エッチングにより形成された基板11の凹凸パターン11Aの深さDEよりも充分に薄くする。
好ましくは、緩衝膜13の膜厚DB≦20nmとする。
【0064】
緩衝膜13の材料は、少なくともスタンパーの材料よりも硬度の低い(柔らかい)ものとする。
そして、上述のように、膜厚DBを薄く、なるべく均一に形成することができる材料であることが望ましい。
【0065】
これらの特性も含め、緩衝膜13に要求される特性は、以下の特性が挙げられる。
1)スタンパーの材料よりも硬度が低い(柔らかい)こと
2)基板11の凹凸パターン11Aの深さよりも充分薄く、なるべく均一な厚さで成膜することができること
3)緩衝膜13上にスタンパーの材料(例えばニッケル)の膜形成が可能であり、またスタンパーの材料を腐食させないこと
4)スタンパーを原盤14から剥離した後に、スタンパーや基板11に残存した緩衝膜13を容易に除去することができること
5)成膜が容易にできること(例えばスピンコート法等)
【0066】
このような特性を満たす材料としては、例えばフォトレジストが好適である。フォトレジストは、スピンコート法により、基板11の凹凸パターン上に、ほぼ均一で薄い膜を形成することができる。
特に、フォトレジストの上に無電解メッキにより例えばニッケル膜を形成することができる点、残存した膜をアセトンで容易に除去できる点を考慮すると、各種のフォトレジストのうち、化学増幅型レジストやアクリル系レジストと比較して、一般的に使用されるノボラック樹脂ベースのフォトレジストの方が使用しやすい。
【0067】
その他、スピンコート法により容易に塗布が可能な材料としては、フォトレジストと同様の樹脂(例えば感光剤を含まないもの)、無反射コーティング剤(従来基板とフォトレジストの界面又はフォトレジストの表面に塗布して、不要な反射光を低減するために用いられている)、記録膜としても用いられるシアニン系やフタロシアニン系の有機色素膜等の有機膜が考えられる。
【0068】
一方、緩衝膜13に無機膜(スタンパーの材料より柔らかい無機材料の膜)を用いる場合には、例えばエッチング装置と緩衝膜13の成膜装置とを連結して、基板11へのエッチング、フォトレジスト12の除去、並びに緩衝膜13の成膜を一連の工程で行うことが考えられる。
【0069】
続いて、図3Fに示すように、緩衝膜13上にスタンパーの材料の膜を形成してスタンパー15を作製する。
スタンパー15の材料としては、例えばニッケル等を用いることができる。
ニッケルをスタンパー15の材料として用いる場合には、電解メッキにより形成することができる。
【0070】
尚、緩衝膜13が有機膜又は導電性の低い無機膜である場合には、直接緩衝膜13上に電解メッキによりメッキ膜を形成することができない。そのため、緩衝膜13上にスパッタ法や無電解メッキ法により導電膜例えばニッケル膜を形成しておき、この導電膜を電解メッキの電極として利用する。
【0071】
続いて、図3Gに示すように、スタンパー15を基板11及び緩衝膜13(原盤14)から剥離する。
このとき、緩衝膜13がスタンパー15の材料よりも硬度が低い(柔らかい)ため、剥離の際にスタンパー15の凹凸パターン15Aが破損することがない。
【0072】
その後は、スタンパー15に付着残存した緩衝膜13を除去して、最終的に凹凸パターン15Aが形成されたスタンパー15が得られる。
【0073】
このとき、エッチング終了時点の基板11の凹凸パターン11Aの深さDE100nmに対して、緩衝膜13によりパターンが埋まって浅くなっているため、スタンパー15に転写された凹凸パターン15Aの深さDも同様に浅くなる。
従って、スタンパー15に所望の深さの凹凸パターン15Aを得るためには、緩衝膜13の厚さに応じて、基板11に対するエッチングの深さを予め適当量補正しておく必要がある。
【0074】
上述の本実施の形態によれば、記録スポット径100nm以下を実現する電子線描画と反応性イオンエッチング(RIE)法とを組み合わせることにより、基板11に微細な凹凸パターン11Aを形成することができる。
【0075】
基板11に形成される微細な凹凸パターン11Aは、エッチングによって壁の傾斜はほぼ垂直になる。
また、凹凸パターン11Aを深さ50〜100nm程度に対して、幅又は長さを同等の大きさまで狭めて、アスペクト比(幅又は長さ/深さ)が1.0を上回るように形成することも可能になる。
【0076】
そして、スタンパー15の材料(ニッケル等)よりも硬度が低い(柔らかい)緩衝膜13を基板11に形成された凹凸パターン11Aの深さDEに対して充分薄い厚さDBで均一に形成したことにより、緩衝膜13を形成した後の原盤表面に従来通りスタンパー15の材料例えばニッケルメッキを形成し、かつスタンパー15を基板11から剥離する際にも、スタンパー15の損傷が発生せず、欠陥のないスタンパー15を得ることができる。
【0077】
(実施例)
以下、光記録媒体作製用スタンパーを製造する具体的な実施例を説明する。
【0078】
まず、シリコン又は石英から成る基板11上に、フォトレジスト12としてスピンコート法により電子線描画用ポジ型レジスト(富士フィルムアーチ社製FEP−171)を、200nmの厚さに塗布する。
【0079】
次に、電子線描画装置により、フォトレジスト12に電子線を照射して凹凸ピット等に対応するパターンを露光する。
露光パターンは、EFM+信号を変調信号として、3T,4T,5T,・・・13T,14Tの12種類のピット長のパターンを含むようにした。また、記録密度はピット長3Tのものが0.126μmになるようにして、トラックピッチTP=0.234μmとした。これはDVDの約10倍の密度に相当する。
電子線描画装置の描画の条件は、電子銃の材質をW<100>、加速電圧を15kV、電流を20nA、ビーム径を70nm、記録線密度を1.0m/sとした。
【0080】
続いて、露光されたフォトレジスト12を現像して、凹凸ピットのパターンを形成した。現像の条件は、有機アルカリ現像液(テトラメチルアンモニウム2.38%、商品名:NMD−3)を使用して30秒とした。
【0081】
次に、凹凸ピットのパターンが形成されたフォトレジスト12をマスクとして、反応性イオンエッチング(RIE)により、基板11へ凹凸ピットのパターン11Aを形成する。
(A)基板11にシリコン基板を用いる場合には、エッチングの条件は、例えば次のようにする。
エッチングガス及び流量:CHF3 25sccm
真空到達度:0.25mPa
ガス圧:1.0Pa
高周波RF電源出力:アンテナ部130W、バイアス部30W(周波数13.56MHz)
以上の条件により、エッチング時間を7分15秒として、シリコン基板に深さ100nmの凹凸ピットのパターンを形成した。パターンの幅は電子線描画装置のビーム径と等しく70nmであり、凹凸ピットの壁部の傾斜はほぼ垂直であった。
(B)基板11に石英基板を用いる場合には、エッチングの条件は、例えば次のようにする。
エッチングガス及び流量:CHF3 25sccm/Ar 25sccm
真空到達度:0.25mPa
ガス圧:0.50Pa
高周波RF電源出力:アンテナ部130W、バイアス部30W(周波数13.56MHz)
以上の条件により、エッチング時間を1分45秒として、石英基板に深さ100nmの凹凸ピットのパターンを形成した。パターンの幅は電子線描画装置のビーム径と等しく70nmであり、凹凸ピットの壁部の傾斜はほぼ垂直であった。
【0082】
次に、不要となったフォトレジスト12を除去する。
しかし、先の反応性イオンエッチング(RIE)工程において、プラズマによりフォトレジスト12が変質しているため、現像液やアセトン等の有機溶剤では簡単に除去できない。
そこで、硫酸加水等の有効な剥離液を用いる方法や、酸素プラズマによって残存したフォトレジスト12を燃焼させる方法(アッシング)が一般的である。
また、前述した反応性イオンエッチング工程のエッチング装置を使用して、反応性ガスとして酸素を用いれば、酸素ガスでは基板11のシリコンや石英の表面のエッチングは進行しないので、パターン形状を維持したままフォトレジスト12のみを除去することが可能である。この方法を用いる場合には、例えば以下のエッチング条件により残存したフォトレジスト12を除去する。
エッチングガス及び流量:酸素 25sccm
真空到達度:0.3mPa
ガス圧:0.5Pa
高周波RF電源出力:アンテナ部130W、バイアス部30W(周波数13.56MHz)
以上の条件で5分間の処理を行うことにより、フォトレジスト12を完全に除去することができた。
以上のようにして、前述した記録密度の凹凸ピットのパターン11Aが基板11に形成されて成る光記録媒体用原盤を作製することができる。
【0083】
続いて、凹凸ピットのパターン11Aが基板11に形成されて成る光記録媒体用原盤の表面に、緩衝膜13を形成する。
緩衝膜13の材料として、市販のノボラック系フォトレジストを使用した場合には、原盤上にスピンコート法により、例えば以下のようにしてフォトレジストを塗布する。
フォトレジストとしてGX−250ELS(日本合成ゴム(株)社製)を用意して、このフォトレジストをPGMEAシンナーで体積比1/20に希釈する。そして、希釈されたフォトレジストを、スピンコート法により、回転数4000rpmで30秒振り切りの条件で原盤の表面に塗布して緩衝膜13を形成した。
【0084】
次に、凹凸ピットのパターン11Aが形成された表面を覆って緩衝膜13が形成された原盤から、凹凸ピットのパターンを転写するようにスタンパー15を作製する。
ここで、原盤の表面はフォトレジストから成る緩衝膜13即ち導電性のない薄膜であるため、電気メッキによりスタンパー15を作製するための前処理として、原盤の表面にスパッタ法により膜厚200〜300nm程度の導電薄膜例えばニッケル膜を形成する。
また、本実施例では緩衝膜13にノボラック系フォトレジスト(GX−250)を使用しているので、スパッタ法の代わりにニッケルの無電解メッキを行うことも可能である。
【0085】
次に、電気メッキ法により、表面にスタンパー15の材料であるニッケルを所望の厚さ(300〜400μm程度が一般的)成長させる。
このとき、図5に示す電気メッキ槽1を使用することができる。この電気メッキ槽1は、内部に例えば主成分をスルファミン酸ニッケルとする電鋳液2が充填され、この電鋳液2がメッキ槽1の右下に設けられた排水口3A及び給水口3Bを有する液循環部3により外部と循環するように構成される。また、基板11に緩衝膜13が形成されて成る原盤14を保持する保持部4と保持部4を回転駆動させるモーター5とを備えて成る。また、原盤14に対向してメッキ材6として例えば硫黄含有のS−ニッケルが配置される。
【0086】
そして、この電気メッキ槽1を使用して、原盤14の表面で導電のコンタクトをとり、原盤14側を陰極とし、硫黄含有のS−ニッケルから成るメッキ材6を陽極として、50℃の電鋳液2中でモーター5により図中矢印で示すように原盤14を回転させながら、徐々に電流密度を増加させる。例えば0.05A/dm2 で成長開始して、最終的に20A/dm2 程度にする。そして、一般的にニッケルメッキ膜が300μmの厚さに成長するのに2時間〜3時間程度を要する。
電鋳液2は、例えば以下の組成とする。
スルファミン酸ニッケル 600g/l
ホウ酸 40g/l
塩化ニッケル 5g/l
界面活性剤 1cc/l
【0087】
電気メッキ法によるニッケルの成長が終了した後、ニッケルから成るスタンパー15を原盤14から剥離する。このとき、原盤の表面にはフォトレジストから成る緩衝膜13が形成されておりニッケルより緩衝膜13の方が柔らかいため、剥離の際にニッケルが破損することがない。
その後、ニッケルの表面に付着残存した緩衝膜13を、洗浄により除去する。上述のフォトレジスト(GX250)を緩衝膜13に使用した場合には、洗浄液としてアセトンを用いて容易に除去することができる。また、他の有機系材料を緩衝膜13に使用した場合には、前述した酸素ガスエッチング等により除去することも可能である。
このようにしてニッケル製のスタンパー15が完成する。
【0088】
尚、ニッケルを剥離した後の原盤を洗浄して基板11に残った緩衝膜12を除去すれば、以後同様の方法により原盤を構成する基板11から複数のニッケル製のスタンパー15を作製することができる。
【0089】
上述したように製造して得られたニッケル製スタンパー15は、基板11の凹凸ピットのパターン11Aが損傷されること無く正常に転写されていた。
【0090】
このとき、エッチング終了時点の基板11の凹凸パターン11Aの深さDE100nmに対して、塗布厚15nmの緩衝膜13によりパターンが埋まって浅くなっているため、ニッケル製スタンパー15に転写された凹凸パターン15Aの深さDも同様に浅くなり、最終的に得られたスタンパー15の凹凸パターン15Aの深さDは70nmであった。
スタンパー15に所望の深さの凹凸パターン15Aを得るためには、前述したように緩衝膜13の厚さに応じて、基板11に対するエッチングの深さを予め適当量補正しておけばよい。
【0091】
尚、上述の実施例と同様の条件により電子線描画装置による露光を行った後に、基板へ反応性イオンエッチングにより深さ70nmの凹凸ピットのパターンを形成し、その後緩衝膜13を形成しないでニッケル製のスタンパーを作製したところ、原盤とスタンパーとを剥離する際に、特に長さ0.20μm以下の短いピットについて損傷が多く発生した。
即ち本発明の製造方法の効果が確認された。
【0092】
尚、上述の実施の形態の説明や実施例では電子線描画装置により、凹凸ピットのパターンの露光を行っているが、本発明では、電子線描画装置を使用する製法に限定されるものではなく、フォトレジストに同等サイズのパターンを形成することができるのであれば、電子線以外の露光手段を用いてもよい。例えば従来通り紫外レーザ光を露光光源として用いても、近接場光学により対物レンズの開口数NA>1.0を実現する場合や、波長が200nm以下まで短波長化された光源が使用可能となった場合には、電子線描画と同等の100nm以下の記録スポット径を実現することが可能になる。
【0093】
また、上述の実施の形態の説明や実施例では、光記録媒体として光ディスクを製造する場合の原盤やスタンパーに本発明を適用しているが、本発明はディスク状に限らず、カード状やシート状等その他の形状の光記録媒体にも適用することができる。
さらに、光記録媒体の種類も、ピットパターンを有する再生専用の(ROM型)光記録媒体、光磁気記録媒体、相変化型光記録媒体等、様々な種類の光記録媒体に適用することができる。
【0094】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0095】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、原盤を構成する基板にエッチングにより微細な凹凸パターンが形成され、この微細な凹凸パターンをスタンパーに転写して、微細な凹凸パターンを有するスタンパーを製造することができる。
また、凹凸パターンの幅又は長さを深さと同等に狭めてアスペクト比の大きい凹凸パターンを形成することができるようになる。
【0096】
このように微細な凹凸パターンを有するスタンパーを製造して、このスタンパーを使用して光記録媒体を作製することにより、記録密度が高く情報容量の大きい光記録媒体を作製することができる。
【0097】
さらに、基板の凹凸パターンを覆って、スタンパーの材料よりも硬度の低い(柔らかい)緩衝膜を形成することにより、スタンパーの材料を剥離する際に、スタンパーの凹凸パターンの破損を防いで、欠陥のないスタンパーを製造することができる。
これにより、スタンパーの製造歩留まりの向上を図ることができると共に、基板に残存した緩衝膜を除去してから再び基板に緩衝膜を成膜することにより、凹凸パターンが形成された基板から成る原盤から複数のスタンパーを製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A、B 本発明の光記録媒体作製用スタンパーの製造方法の一実施の形態の製造工程を示す工程図である。
【図2】C、D 本発明の光記録媒体作製用スタンパーの製造方法の一実施の形態の製造工程を示す工程図である。
【図3】E〜G 本発明の光記録媒体作製用スタンパーの製造方法の一実施の形態の製造工程を示す工程図である。
【図4】フォトレジストの露光に用いる電子線描画装置の一形態の概略構成図である。
【図5】スタンパーのメッキに用いる電気メッキ槽の構成を示す図である。
【図6】A〜C 光ディスクの構造を示す図である。
【図7】A〜C 従来の光ディスクの製造工程を示す工程図である。
【図8】D〜F 従来の光ディスクの製造工程を示す工程図である。
【図9】従来の原盤からスタンパーを剥離する工程を示す図である。
【図10】レーザ露光による露光装置の概略構成図である。
【図11】スタンパーを原盤から剥離する際の問題点を説明する図である。
【図12】エッチングによる凹凸パターンのアスペクト比を説明する図である。
【符号の説明】
11 基板、12 フォトレジスト、13 緩衝膜、14 原盤、15 スタンパー

Claims (7)

  1. 光記録媒体作製用のスタンパーを製造する方法であって、
    基板上にフォトレジストを形成する工程と、
    上記フォトレジストを露光した後、現像により凹凸パターンを有するフォトレジストを形成する工程と、
    上記フォトレジストをマスクとして上記基板を異方性エッチングして、上記基板に凹凸パターンを形成する工程と、
    上記凹凸パターンが形成された上記基板の表面を覆って、スタンパーよりも硬度の低い材料から成る緩衝膜を形成する工程と、
    上記緩衝膜上にスタンパーの材料を形成する工程と、
    上記スタンパーの材料を、表面に上記緩衝膜が形成された上記基板から剥離して、スタンパーを形成する工程とを有する
    ことを特徴とする光記録媒体作製用スタンパーの製造方法。
  2. 上記緩衝膜の膜厚を20nm以下とすることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体作製用スタンパーの製造方法。
  3. 上記フォトレジストを露光する工程において、半値幅が100nmのスポットにより露光することを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体作製用スタンパーの製造方法。
  4. 電子線により上記フォトレジストを露光することを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体作製用スタンパーの製造方法。
  5. 上記緩衝膜の材料として、ノボラック樹脂系のフォトレジストを用いることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体作製用スタンパーの製造方法。
  6. 上記基板の材料として、シリコンもしくは石英を用いることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体作製用スタンパーの製造方法。
  7. 上記スタンパーの材料としてニッケルを用いることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体作製用スタンパーの製造方法。
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