JP3952658B2 - 消音装置付きエンジンルーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のエンジンから放射される騒音を効率よく吸音できる消音装置付きエンジンルームに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗用車やトラック、バス等の自動車の騒音は、大きく分けると運転者や乗員が感じる車内騒音と、車外の人が感じる車外騒音とがあるが、いずれも、主な原因は、エンジルーム内で発生するエンジン騒音である。このエンジン騒音はエンジンルーム経由で車室内に伝達され、また、車外に放射されるので、この騒音の伝搬に関して、伝搬経路に当たるエンジンルームの音響特性が大きく影響を及ぼす。
【0003】
そのため、車室内における静粛性を確保し、車外騒音を減少するために、自動車の主要音源であるエンジン騒音を低減することが重要である。
【0004】
図5に模式的に示すように、一般の自動車のエンジンルーム1の構造は、上部をエンジンフード3で、側部をフードリッジ4、フェンダー5で、また後部を車体構造部材7に両端が接続されているカウル2及び車室との仕切りであるダッシュパネル6等の車体部品で、エンジン10の周囲を包囲している。
【0005】
また、このエンジンルーム1の中央部には音源であるエンジン10が存在し、騒音を発生している上に、ダッシュパネル6とエンジン10の隙間やエンジンフード3とエンジン10の隙間等大きな騒音を生じ易い部位が集中している。
【0006】
そして、エンジンの側部や下部に対して、吸音特性や遮音特性を持たせた遮蔽カバーを配設して、エンジンから放射されるエンジンルーム内の騒音を吸音及び遮音して、車室内への伝搬を防止したり、車外騒音を低減している。
【0007】
しかしながら、一般に、車室内騒音では500Hz以下の比較的低い周波数成分の音響が問題となり、特に、エンジンの騒音として感じられる主成分は、200Hzから500Hzの帯域となる。
【0008】
一方、特に静粛性が重視される乗用車クラスの自動車においては、図6に示すエンジンルームの左右方向の幅Bは、車両全幅の関係からほぼ1.2mから1.4m程度であるため、車室内騒音で問題となる周波数域の騒音がエンジンルームの左右方向に共鳴を生じて定在波(定常波)となる。
【0009】
この左右方向の定在波が問題となる理由は、空洞共鳴が発生する条件として、境界面での音波の反射が問題であり、前後方向や上下方向に関しては、ラジエータや、下方の隙間があって、共鳴を生じる過程で音圧が外部に漏れて問題となるような空洞共鳴即ち定在波が生じ難く、一方、左右方向では吸音処理を殆ど施していない側面のフードリッジ部分で音波が反射されるので定在波が生じ易いためである。
【0010】
また、左右方向の定在波に関して前後方向の強弱を考えると、エンジンルームの前方では、音波が逃げ易いラジエータがあるため騒音レベルが低く、一方、後方のダッシュパネルの近傍では、騒音レベルが高くなっている。
【0011】
そして、特に問題となる定在波は、図6に示すような、エンジンルーム1の左右方向に対する二節モードの定在波であり、この定在波は、エンジンルーム1の中央部M、及びエンジンルーム1の右端部R、左端部Lにあたるフードリッジ4部分に、音圧の振幅が極大となる音響モードの腹が来る。
【0012】
そして、この腹の位置が、車室内への伝搬や車外への騒音の放射などに関係する部分であるため、この定在波として増幅された周波数の騒音が車室内や車外に伝搬するので、室内騒音や車外騒音が大きくなる。そのため、一節モードよりも二節モードの騒音が問題となる。
【0013】
このような二節モードの騒音に対処するためのエンジンルーム内の消音装置の例として、特願平10−358055号公報では、エンジンルームにヘルムホルツ型の共鳴型吸音器を設定し、騒音の低減を図っている。
【0014】
図7〜図10に示すように、この消音装置付きエンジンルーム11、21においては、共鳴型吸音器18C、18R、18Lをカウル12内の空間部分に設置したり、共鳴型吸音器28C、28R、28Lをエンジンフード23の上面即ちエンジンルーム21の外側に設置している。
【0015】
そして、このエンジンルーム11、21の左右方向の定在波の周波数に合わせて、共鳴周波数を一致させた(チューニングした)共鳴型吸音器(レゾネータ)18C、18R、18L、28C、28R、28Lを、この定在波の腹にあたる部位のエンジンルーム11、21の左右方向の中央部M又は中央部Mと両端部R、Lに、その共鳴型吸音器18C〜28Lの首部82の開口部を臨ませて配設している。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このヘルムホルツ型の共鳴型吸音器は、首部82と共鳴室81とからなり、この共鳴室81は、共鳴周波数fに対応する容積Vが必要であり、比較的大きくなり、構造も複雑になる。
【0017】
また、このヘルムホルツ型の共鳴型吸音器の共鳴周波数fは、共鳴周波数が幾つかの要素が絡む複雑な計算となり、cを音速、dを導入孔の直径、kを導入孔の数、Vを容積、tcを導入孔部の板厚とした場合に、f=(c/2π)×SQRT(C0/V)となる。但し、C0=kπ(2d)2 /(tc+β×d/2)、β=π/2である。
【0018】
一方、これらの共鳴型吸音器を配置するカウル内には、通常、ワイパーシステムが設置されるために、消音に適した十分な容積を確保した共鳴型吸音器を設置する事が困難であり、また、エンジンフードの上面側に設置した場合には、共鳴型吸音器が運転者の視界を妨げてしまうという問題がある。
【0019】
つまり、この共鳴型吸音器を配設する場合には、この共鳴型吸音器が、首部と共鳴室を有し、使用スペースも比較的大きくなるので、自動車のエンジンルーム内において、この共鳴型吸音器を配置するのに適した場所が殆ど無いという問題がある。
【0020】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、その目的は、比較的容積が大きい共鳴型吸音器の代わりに、比較的小さな容積の片側開口の共鳴管をエンジンルーム内に配置して、エンジンルーム内の共鳴音を効率よく吸音して車室内騒音及び車外騒音を低減でき、しかも、配置した共鳴管が邪魔にならない消音装置付きエンジンルームを提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するための消音装置付きエンジンルームは、次のように構成される。
【0022】
1)エンジンル−ムの左右方向の定在波による空洞共鳴による騒音を低減するための前記低減対象の定在波がエンジンルームの左右方向に関する二節モードであり、片側に開口部を有する前記定在波に共鳴する共鳴管を、エンジンフードの下面に配設すると共に、該共鳴管の開口部を前記定在波の二節モードの腹が発生する部位の近傍に配置するように構成される。
【0023】
2)上記の構成の消音装置付きエンジンルームにおいて、複数本の前記共鳴管をエンジンフードの下面に配設するに際して、前記共鳴管の各開口部をエンジンルームの左右方向に関してほぼ中央に、かつ、エンジンルームの前後方向に関して、ダッシュパネルの近傍に配置すると共に、前記共鳴管を多方向に向けて配設して構成される。
【0024】
3)あるいは、エンジンルームの左右方向の定在波による空洞共鳴による騒音を低減するための前記低減対象の定在波がエンジンルームの左右方向に関する二節モードであり、片側に開口部を有する前記定在波に共鳴する共鳴管を、ダッシュパネルの前面に配設すると共に、該共鳴管の開口部を前記定在波の二節モードの腹が発生する部位の近傍に配置するように構成される。
【0025】
4)上記の構成の消音装置付きエンジンルームにおいて、前記共鳴管の開口部を、エンジンルームの左右方向に関してほぼ中央に配設して構成される。
【0026】
5)上記の構成の消音装置付きエンジンルームにおいて、前記共鳴管の開口部を、エンジンルームの左右方向に関して、フードリッジの近傍に配設して構成される。
【0028】
6)上記の構成の消音装置付きエンジンルームにおいて、前記共鳴管に剛性を持たせて形成し、該共鳴管が配設されるエンジン部材の補強部材を兼ねて構成される。
【0029】
これらの構成によれば、エンジンルームの左右方向の定在波に共鳴する片側に開口部を有する共鳴管を配置し、しかも、音圧の振幅が極大となる音響モードの腹に、共鳴管の開口部が配設されるので、効率よく定在波が吸音される。
【0030】
また、エンジンルームの左右方向に関しては、エンジンルームの中央部に、二節モード等の偶数モードの定在波の腹が形成され、また、フードリッジの近傍には、一節モードや二節モード等の各モードの定在波モードの腹が形成され、エンジンルームの前後方向に関しては、ダッシュパネルの近傍で騒音レベルが高くなっており、これらの部分の近傍に共鳴管の開口部を配設しているので、対象としている定在波が効率よく吸音される。
【0031】
そして、消音の対象とする定在波を二節モードの定在波とする場合に、エンジンルームの左右方向の中央部とエンジンルームの左右端に音響モードの腹が発生するので、この部分に、片側に開口部を有する前記二節モードの定在波に共鳴する共鳴管の開口部が臨むように、エンジンフードの下面に配設したり、あるいは、ダッシュパネルの前面に配設するのが、効果的である。
【0032】
この二節モードの定在波は、エンジン騒音の主因となる定在波であり、中央部と左右端に腹を有するので、上記のように消音装置付きエンジンルームを構成すると、特に大きな騒音低減効果を得ることができる。
【0033】
そして、吸音装置をこの片側開口の共鳴管で構成すると、この共鳴管は細長い形状であるので、エンジンルーム内に配置し易く、複数本設けることが比較的容易にできる。
【0034】
そして、この共鳴管は、細長い管状であるので、この共鳴管に剛性を持たせて、補強の機能を付与すると、この共鳴管を配設したエンジンフードやダッシュパネルや、その他のエンジン部材の補強部材を兼ねることができ、他の補強部材を減少できる。そのため、この共鳴管の設置による重量増加を、補強部材の減少による重量減少で一部相殺することができ、全体としてエンジンルームの重量増加を抑制できる。
【0035】
なお、吸音力は共鳴管の断面積で決まり、この断面積が大きくなると、吸音力が増加する特性があるので、通常、この共鳴管長さLr は共鳴周波数との関係で、また、断面積は、エンジンルーム内の他の部品との関係から、これらと干渉せずに配置できるように選択されることになる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0037】
一般の自動車のエンジンルーム1は、図1〜図5に示すように、上部をエンジンフード3で、側部をフードリッジ4やフェンダー5で、また後部をカウル2及び車室との仕切りであるダッシュパネル6等の車体部品で、エンジン10の周囲を包囲して形成されている。このカウル2やダッシュパネル6は車体構造部材7に両端が接続されている。
【0038】
そして、本発明の第1の実施の形態の消音装置付きエンジンルーム1Aは、図1と図2に示すように、エンジンフード3の裏面、即ち、エンジンルーム1Aの内側に、片側のみを開口した共鳴管31,32,33を3本配置して構成される。
【0039】
この共鳴管31,32,33は、それぞれの開口部31a,32a,33aをエンジンルーム1Aの左右方向に関しては、ほぼ中央部Mに向けて、また、エンジンルーム1Aの前後方向に関しては、ダッシュパネル6の近傍に配置し、この3本の共鳴管31,32,33を、1本の共鳴管31は前後方向に、他の2本の共鳴管32,33をほぼダッシュパネル6に平行に配置する。
【0040】
つまり、共鳴管31,32,33の開口部31a,32a,33aがダッシュパネル6の近傍で、かつ、左右方向では中央部Mで向かい合うように、多方向に配設する。
【0041】
なお、一般にエンジンフード3は車両前方Fに対して低く、ダッシュパネル6に近くなる程高くなるように傾斜しており、エンジンルーム1Aの高さ方向の余裕は、ダッシュパネル6側になる程大きくなっているので、この部分に共鳴管31,32,33を設置する。
【0042】
そして、この共鳴管31,32,33は、共鳴周波数fr がエンジンルーム1Aの左右方向の共鳴周波数fe に一致するように長さLr が設定されると共に、エンジンルーム1Aにおいて、他の部品と干渉する事がないように、適当な大きさの径dr又は断面形状で形成される。
【0043】
エンジンルームの共鳴室としての幅をBとすると、定在波の波長λn は、nを自然数(n=1、2、3・・)とすると、nモードでは、λn =2B/nとなり、共鳴周波数fenは、cを音速とすると、fen=c/λn =nc/2Bとなる。
【0044】
また、片側開口の共鳴管に関しては、mを自然数(m=1、2、3・・)とすると、mモードの共鳴周波数frmと、共鳴管の長さLrmは、frm=(2m−1)c/(4Lrm)となり、開口端の補正が必要であるが、これを省略すると、frm=fenとして、Lrm=(2m−1)B/(2n)となる。
【0045】
そして、自動車のエンジンルーム1Aの共鳴の幅Bを1.2m〜1.4mとし、音速を340m/sとすると、二節モードの定在波の波長λ2 は、λ2 =Bで、1.2m〜1.4mとなり、共鳴周波数fe2は、283Hz〜243Hzとなる。また、この共鳴周波数fe2に対する共鳴管31,32,33の一番短い長さLr1は、m=1として、開口端の補正無しでLr1=λ2 /4=B/4となり、0.3m〜0.4mとなる。
【0046】
また、図3では共鳴管31〜33を別部品として配設しているが、共鳴管31〜33を十分な剛性を有した部材で構成し、エンジンフード3の構造部材を兼ねて形成することもできる。
【0047】
次に、図3と図4に示す第2の実施の形態の消音装置付きエンジンルーム1Bでは、第1の実施の形態の共鳴管31,32,33と同じく、エンジンルーム1Bの左右方向の共鳴周波数fe に一致する共鳴周波数fr を有する共鳴管34,35,36,37をダッシュパネル6のエンジンルーム1Bの内側に配設して構成する。
【0048】
この消音装置付きエンジンルーム1Bでは、共鳴管35,36の開口部35a,36aを、エンジンルーム1の左右方向に関しては、ほぼ中央部に向けて配置しているが、エンジンルーム1のフードリッジ4側にも共鳴管34,37の開口部34a,37aを配置している。
【0049】
このフードリッジ4側は、消音の対象としている二節の共鳴モードの腹に相当する位置になり、しかも、車外騒音への伝搬経路となっているので、ここに、共鳴管34,37を配設することにより、効率良く吸音できる。
【0050】
また、図3及び図4に示すこの構成においても、共鳴管34〜37を剛性部材で形成し、ダッシュパネル6やカウル2等のエンジン部材を補強する構造部材を兼ねさせることもできる。
【0051】
これらの共鳴管31〜37は、エンジンルーム1A,1Bの定在波の共鳴周波数fe に対応して、同一の長さLr で同一の共鳴周波数fr を有するように形成してもよいが、幾つかのモードの定在波の音響エネルギーを減少できるように、長さLr を変えて、これらの幾つかの共鳴周波数fenに対応できるように構成することもできる。
【0052】
これらの消音装置付きエンジンルーム1A,1Bの構成により、共鳴管31〜37の吸音作用により、エンジン10を音源としてエンジンルーム1A,1Bに共鳴して発生する、左右(横)方向の中央部Mやエンジンルーム1A,1Bの左右端R,Lに、音響モードの腹を有する定在波を吸収して、音響エネルギーを減少させて、騒音を低減することができる。
【0053】
しかも、共鳴管31〜37の開口部31a〜37aを、定在波のモードの腹が発生する部位である、エンジンルーム1A,1Bの左右方向に関しては、ほぼ中央部Mに向けて、また、エンジンルーム1A,1Bの前後方向に関しては、騒音レベルの高い部分であるダッシュパネル6の近傍に配置しているので、非常に効率よく定在波を吸収して、音圧レベルを下げることができる。
【0054】
特に、この中央部Mに臨む共鳴管31,32,33,35,36では、乗員が居る車室内への伝搬に大きな要因を占める中央部Mにおいて、音響エネルギーが集中する音響モードの腹の部分で吸音できるので、車室内騒音の低減に著しい効果を奏することができる。
【0055】
また、エンジンルーム1Bの左右端R、Lに臨む共鳴管34,37は、このサイド部分R、Lの騒音を低減することにより、エンジンルーム11、21、31の境界における音響エネルギーを減少できるので、車外に放射される騒音の低減に著しい効果を奏することができる。
【0056】
そして、この片側開放の共鳴管31〜37の騒音低減効果は一般に管の径dr又は断面積に依存し、共鳴型吸音器と同等の吸音効果を得るためには、比較的大きな径drや大きな断面積にする必要があるが、この共鳴管31〜37を各共鳴管31〜37は小さな径で形成することにより、設置可能な本数を増やし、この本数の増加により吸音効果を大きくしている。
【0057】
従って、エンジンルーム1A,1B内の他の部品との干渉を避けながら、吸音効果を上げることができ、エンジン騒音がエンジンルーム1A,1B内で共鳴することにより発生する音圧上昇を抑制でき、騒音低減効果を上げることができる。
【0058】
更に、これらの構成の消音装置付きエンジンルーム1A,1Bにおいて、共鳴管31〜37に剛性を持たせて形成し、これらの共鳴管31〜37が配設されるエンジンフード1やダッシュパネル6等のエンジン部材の補強部材を兼ねて構成した場合には、この共鳴管31〜37の設置による重量増加を補強部材の減少による重量減少で相殺することができるので、吸音及び消音器を設けることによるエンジンルーム1A,1Bの重量増加を抑制できる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る消音装置付きエンジンルームによれば、以下のような効果を奏することができる。
【0060】
エンジンルームの左右方向の定在波に共鳴する片側に開口部を有する共鳴管を配置し、しかも、音圧の振幅が極大となる音響モードの腹の部分に、共鳴管の開口部を配設するので、効率よく定在波を吸音できる。従って、エンジンルーム内の静粛性を著しく高めることができる。
【0061】
特に、左右方向の中央部に開口部が臨む共鳴管を設けると、二節モード等の偶数モードの定在波は、乗員が居る車室内への伝搬に大きな要因を占める中央部に腹の部分が発生するので、この部分において、音響エネルギーを吸収できるので、車室内の騒音低減に著しい効果を奏することができ、車室内の静粛性を高めることができる。
【0062】
また、エンジンルームの左右端のフリードリッジの近傍に開口部が臨む共鳴管を設けると、定在波の腹の部分に臨んで配置されることになるので、このサイド部分のエンジンルームの車外との境界において効率よく騒音を低減でき、車外に放射される騒音を少なくして、車外騒音の低減に効果を奏することができる。
【0063】
また、特に、エンジン騒音の対策上問題となる二節モードの定在波は、エンジンルームの左右方向に関しては、エンジンルームの中央部、及び、フードリッジの近傍に定在波モードの腹が形成され、エンジンルームの前後方向に関しては、ダッシュパネルの近傍で騒音レベルが高くなっているので、この部分に共鳴管の開口部を配設することにより、非常に効率よくこの二節モードの定在波を吸音できる。
【0064】
そして、この片側開口の共鳴管は細長く、エンジンルーム内に配置し易いので、複数本設けることが比較的容易にでき、小さい断面積であっても多数本配設することにより、大きな吸音力を発揮できる。
【0065】
また、この共鳴管は、管状であるので、この共鳴管に剛性を持たせると、この共鳴管を配設したエンジンフードやダッシュパネルや、その他のエンジン部材の補強部材を兼ねることができるので、他の補強部材を減少できる。そのため、この共鳴管の設置による重量増加を、補強部材の減少による重量減少で一部相殺することができ、全体としてエンジンルームの重量増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第一の実施の形態の消音装置付きエンジンルームを示す模式的な平面図である。
【図2】図1のU−U矢視図である。
【図3】本発明に係る第二の実施の形態の消音装置付きエンジンルームを示す模式的な平面図である。
【図4】図3のV−V矢視図である。
【図5】エンジンルームの構造を模式的に示す正面図である。
【図6】エンジンルーム内に発生する二節モードの定在波を模式的に示す図である。
【図7】従来技術の共鳴型吸音器を備えた消音装置付きエンジンルームを示す模式的な正面図である。
【図8】図7の消音装置付きエンジンルームを示す模式的な側面図である。
【図9】従来技術の共鳴型吸音器を備えた他の消音装置付きエンジンルームを示す模式的な正面図である。
【図10】図9の消音装置付きエンジンルームを示す模式的な側面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B エンジンルーム
2,12,22 カウル
3 エンジンフード
4,14,24 フードリッジ
5,15,25 フェンダー
10 エンジン
31〜37 共鳴管
31a〜37a 開口部
M 中央部
L 左端部
R 右端部
Claims (6)
- エンジンル−ム(1A)の左右方向の定在波による空洞共鳴による騒音を低減するための前記低減対象の定在波がエンジンルーム(1A)の左右方向に関する二節モードであり、片側に開口部(31a,32a,33a)を有する前記定在波に共鳴する共鳴管(31,32,33)を、エンジンフード(3)の下面に配設すると共に、該共鳴管(31,32,33)の開口部(31a,32a,33a)を前記定在波の二節モードの腹が発生する部位の近傍に配置したことを特徴とする消音装置付きエンジンルーム。
- 複数本の前記共鳴管(31,32,33)をエンジンフード(3)の下面に配設するに際して、前記共鳴管(31,32,33)の各開口部(31a,32a,33a)をエンジンルーム(1A)の左右方向に関してほぼ中央に、かつ、エンジンルーム(1A)の前後方向に関して、ダッシュパネル(6)の近傍に配置すると共に、前記共鳴管(31,32,33)を多方向に向けて配設したことを特徴とする請求項1記載の消音装置付きエンジンルーム。
- エンジンルーム(1B)の左右方向の定在波による空洞共鳴による騒音を低減するための前記低減対象の定在波がエンジンルーム(1B)の左右方向に関する二節モードであり、片側に開口部(34a,35a,36a,37a)を有する前記定在波に共鳴する共鳴管(34,35,36,37)を、ダッシュパネル(6)の前面に配設すると共に、該共鳴管(34,35,36,37)の開口部(34a,35a,36a,37a)を前記定在波の二節モードの腹が発生する部位の近傍に配置したことを特徴とする消音装置付きエンジンルーム。
- 前記共鳴管(31〜37)の開口部(31a〜37a)を、エンジンルーム(1A,1b)の左右方向に関してほぼ中央に配設したことを特徴とする請求項1又は3に記載の消音装置付きエンジンルーム。
- 前記共鳴管(31〜37)の開口部(31a〜37a)を、エンジンルーム(1A,1B)の左右方向に関して、フードリッジ(4)の近傍に配設したことを特徴とする請求項1,3,4のいずれか1項に記載の消音装置付きエンジンルーム。
- 前記共鳴管(31〜37)に剛性を持たせて形成し、該共鳴管(31〜37)が配設されるエンジン部材(2,3,6)の補強部材を兼ねることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の消音装置付きエンジンルーム。
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