JP3951812B2 - 偏平管製造用金属板、偏平管および偏平管の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱交換器の熱交換管、たとえばカーエアコン用コンデンサの冷媒流通管として使用される偏平管を製造するための偏平管製造用金属板、偏平管および偏平管の製造方法に関する。
【0002】
この明細書において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。また、この明細書において、図1〜図6の上下、左右をそれぞれ上下、左右というものとする。
【0003】
【従来の技術】
近時、たとえばカーエアコン用コンデンサとして、図7に示すように、互いに間隔をおいて平行に配置された1対のヘッダ(110)(111)と、両端がそれぞれ両ヘッダ(110)(111)に接続された並列状のアルミニウム製偏平状冷媒流通管(112)と、隣り合う冷媒流通管(112)の間の通風間隙に配置されるとともに、両冷媒流通管(112)にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィン(113)と、第1ヘッダ(110)の周壁上端部に接続された入口管(114)と、第2ヘッダ(111)の周壁下端部に接続された出口管(115)と、第1ヘッダ(110)の中程より上方位置の内部に設けられた第1仕切板(116)と、第2ヘッダ(111)の中程より下方位置の内部に設けられた第2仕切板(117)とを備えており、入口管(114)と第1仕切板(116)の間の冷媒流通管(112)の本数、第1仕切板(116)と第2仕切板(117)の間の冷媒流通管(112)の本数、第2仕切板(117)と出口管(115)の間の冷媒流通管の本数がそれぞれ上から順次減少されて通路群を構成しており、入口管(114)から流入した気相の冷媒が、出口管(115)より液相となって流出するまでに、コンデンサ内を各通路郡単位に蛇行状に流れるようになされているいわゆるマルチフロー型と称されるコンデンサ(特公平3−45300号公報参照)が、従来のサーペンタイン型コンデンサに代わり、高性能化、低圧力損失および超コンパクト化を実現しうるものとして広く使用されている。
【0004】
上記コンデンサの冷媒流通管(112)は、熱交換効率が優れていることはもちろんのこと、その内部に高圧ガス冷媒が導入されるため耐圧性が要求される。しかも、コンデンサのコンパクト化を図るため冷媒流通管の管壁が薄肉でかつ管高さが低いことが要求される。
【0005】
このような冷媒流通管に用いられる偏平管として、特開平6−281373号公報(特に図1〜図6参照)に記載されたものが知られている。この偏平管は、互いに対向する1対の平坦壁と、両平坦壁の両側縁どうしにまたがる2つの側壁と、両平坦壁にまたがるとともに長さ方向に伸びかつ相互に所定間隔をおいて設けられた複数の補強壁とよりなり、連結部を介して連なった2つの平坦壁形成部、各平坦壁形成部に隆起状に一体成形された複数の補強壁形成部、および両側縁に隆起状に一体成形された側壁形成部を有する1枚の金属板が、ロールフォーミング法により連結部でヘアピン状に折り曲げられ、平坦壁形成部により平坦壁が形成されるとともに連結部により一方の側壁が形成され、さらに補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしを突き合わせた状態でそれぞれ相互にろう付することにより補強壁および他方の側壁が形成されたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の偏平管を製造するにあたり、金属板をロールフォーミング法によりヘアピン状に折り曲げたさいには、補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしは、位置ずれすることなく突き合わされるが、ろう付のさいに、両平坦壁形成部どうしを相互に接近させる方向の加圧力が作用すると、補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしは、平坦壁形成部の幅方向に位置ずれすることがある。したがって、この状態でろう付を行うと、補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしの接合長さが短くなったり、補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしの接合面積が小さくなったり、あるいは全く接合されない部分が発生し、耐圧性が著しく低下したり、偏平管内を流れる流体の洩れが発生したりするという問題がある。
【0007】
この発明の目的は、上記問題を解決し、ヘアピン状に折り曲げた後の補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしの位置ずれを防止しうる偏平管製造用金属板、偏平管および偏平管の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明による偏平管製造用金属板は、互いに対向する1対の平坦壁と、両平坦壁の両側縁どうしにまたがる2つの側壁と、両平坦壁にまたがるとともに長さ方向に伸びかつ相互に所定間隔をおいて設けられた複数の補強壁とよりなる偏平管を製造するのに用いられる金属板であって、
連結部を介して連なった2つの平坦壁形成部、各平坦壁形成部に隆起状に一体成形された複数の補強壁形成部、および両側縁に隆起状に一体成形された側壁形成部を備えており、両側壁形成部および全ての補強壁形成部のうちの少なくともいずれか1つの壁形成部の先端面に凸部が形成されるとともに、金属板をヘアピン状に折り曲げたさいにこの壁形成部に突き合わされる壁形成部の先端面に、凸部が密に嵌る凹部が形成されており、両側壁形成部および全ての補強壁形成部の先端面、凸部の先端面および両側面、ならびに凹部の底面および両側面にそれぞれろう材層が存在しているものである。
【0009】
請求項2の発明による偏平管製造用金属板は、請求項1の発明において、壁形成部の長さ方向と直角をなす平面で切断した凸部の断面積をA、凸部の高さをB、凸部における壁形成部の厚さ方向の最大幅をC、凸部の先端部における壁形成部の厚さ方向の幅をDとし、壁形成部の長さ方向と直角をなす平面で切断した凹部の断面積をa、凹部の深さをb、凹部における壁形成部の厚さ方向の最大幅をc、凹部の開口における壁形成部の厚さ方向の幅をdとした場合、
A>a、A/a≦1.5、B/b≦1.5、C/c≦1.5、D/d≦1.5という関係を満たしているものである。
【0010】
請求項2の発明によれば、偏平管製造用金属板を、連結部でヘアピン状に折り曲げて補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしを突き合わせるとともに凸部を凹部内に圧入すると、凸部の両側面と凹部の両側面との摩擦力により、凸部の凹部からの抜けが防止される。
【0011】
請求項2の発明において、凸部の断面積と凹部の断面積との関係をA>aとしたのは、この場合、偏平管製造用金属板を連結部でヘアピン状に折り曲げて補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしを突き合わせるとともに凸部を凹部内に圧入すると、凸部の両側面と凹部の両側面との摩擦力により、凸部の凹部からの抜けが防止されるからである。
【0012】
同じく凸部の断面積と凹部の断面積との比をA/a≦1.5としたのは、A/aが1.5を越えると、偏平管製造用金属板を連結部でヘアピン状に折り曲げて補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしを突き合わせたさいの凸部および凹部の変形が顕著になるとともに、凸部の凹部からの抜け防止効果が低減するからである。しかも、凸部および凹部を有する壁形成部の先端面どうしの接触面積が小さくなって、両者の接合部に接合不良が発生するおそれがあるからである。凸部の断面積と凹部の断面積との比は、1.05≦A/a≦1.3であることが好ましい。
【0013】
同じく凸部の高さと凹部の深さとの比をB/b≦1.5とし、凸部の最大幅と凹部の最大幅との比をC/c≦1.5としたのは、これらの比が1.5を越えると、凸部に座屈等の変形が発生し、凸部の凹部からの抜け防止効果が低減するからである。凸部の高さと凹部の深さとの比は1.0≦B/b≦1.3、凸部の最大幅と凹部の最大幅との比は1.0≦C/c≦1.3であることが好ましい。
【0014】
同じく凸部の先端部の幅と凹部の開口の幅との比をD/d≦1.5としたのは、この比が1.5を越えると、凹部の変形が大きくなり、凸部の凹部からの抜け防止効果が低減するからである。凸部の先端部の幅と凹部の開口の幅との比は0.9≦D/d≦1.2であることが好ましい。
【0015】
請求項3の発明による偏平管製造用金属板は、請求項2の発明において、凸部および凹部が、それぞれ壁形成部に1つずつ形成されており、凸部の長さおよび凹部の長さをL1、壁形成部の長さをLとした場合、0.01≦L1/L≦1という関係を満たしているものである。
【0016】
請求項3の発明において、凸部および凹部の長さと壁形成部の長さとの関係を0.01≦L1/L≦1としたのは、請求項2の発明のように、凸部の両側面と凹部の両側面との摩擦力により凸部の凹部からの抜けを防止する場合においても、L1/Lが0.01未満であると凸部の凹部からの抜け防止効果が低減するからである。なお、L1/Lが1ということは凸部および凹部が壁形成部の全長にわたって存在するということである。L1/Lの下限は0.05であることが好ましく、上限は1であることが好ましい。
【0017】
請求項4の発明による偏平管製造用金属板は、請求項2の発明において、凸部および凹部が、それぞれ壁形成部の長さ方向に間隔をおいて複数ずつ形成されており、全凸部および全凹部の合計長さをL2、壁形成部の長さをLとした場合、0.01≦L2/Lという関係を満たしているものである。
【0018】
請求項4の発明において、全凸部および全凹部の合計長さと壁形成部の長さとの関係を0.01≦L2/Lとしたのは、請求項2の発明のように、凸部の両側面と凹部の両側面との摩擦力により凸部の凹部からの抜けを防止する場合においても、L2/Lが0.01未満であると凸部の凹部からの抜け防止効果が低減するからである。なお、凸部および凹部が間隔をおいて形成されているのであるから、L2/Lの上限は1未満となる。L2/Lの下限は0.05であることが好ましく、上限は1に近いことが好ましい。
【0019】
請求項5の発明による偏平管製造用金属板は、請求項2〜4のうちのいずれかの発明において、連結部が、平坦壁形成部よりも厚肉に形成されているものである。
【0020】
請求項6の発明による偏平管製造用金属板は、請求項1〜5のうちのいずれかの発明において、アルミニウムブレージングシートに圧延加工を施すことにより形成され、アルミニウムブレージングシートのろう材面に側壁形成部および補強壁形成部が一体成形され、側壁形成部および補強壁形成部の先端面にろう材層が設けられているものである。
【0021】
請求項7の発明による偏平管は、請求項2、3、4または5に記載の偏平管製造用金属板が、連結部でヘアピン状に折り曲げられ、平坦壁形成部により平坦壁が形成されるとともに連結部により一方の側壁が形成され、さらに補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしが突き合わせられるとともに凸部が凹部内に圧入され、この状態で補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしがそれぞれ相互に接合されて補強壁および他方の側壁が形成されているものである。
【0022】
請求項8の発明による偏平管の製造方法は、請求項2、3、4または5に記載の偏平管製造用金属板を、連結部でヘアピン状に折り曲げ、平坦壁形成部により平坦壁を形成するとともに連結部により一方の側壁を形成し、さらに補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしを突き合わせるとともに、凸部を凹部内に圧入することにより凸部の凹部からの抜けを阻止して偏平管製造用金属板を折り曲げ状態で仮止めし、この状態で補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしをそれぞれ相互に接合して補強壁および他方の側壁を形成することを含むものである。
【0023】
請求項9の発明による熱交換器は、請求項7に記載の偏平管を備えているものである。
【0024】
請求項10の発明による熱交換器の製造方法は、請求項請求項2、3、4または5に記載の偏平管製造用金属板を、連結部でヘアピン状に折り曲げ、平坦壁形成部により平坦壁を形成するとともに連結部により一方の側壁を形成し、さらに補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしを突き合わせるとともに、凸部を凹部内に圧入することにより凸部の凹部からの抜けを阻止して偏平管製造用金属板を折り曲げ状態で仮止めし、このような仮止め体を複数用意すること、仮止め体と同数の仮止め体挿入穴を有する1対のヘッダおよび複数のフィンを用意すること、1対のヘッダを間隔をおいて配置するとともに複数の仮止め体を相互に間隔をおいて並列状に配置し、各仮止め体の両端部をヘッダの仮止め体挿入穴内に挿入すること、隣接する仮止め体間にフィンを配置すること、ならびに仮止め体の補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうし、仮止め体とヘッダ、ならびに仮止め体とフィンとをそれぞれ同時にろう付することを特徴とするものである。
【0025】
請求項11の発明による車両は、請求項9に記載の熱交換器を備えているものである。
【0026】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図面を通じて同一物および同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0027】
実施形態1
この実施形態は図1〜図3に示すものである。
【0028】
図1は偏平管を示す。
【0029】
図1において、偏平管(1)はアルミニウム製であり、互いに対向する1対の平坦壁(2)(3)と、両平坦壁(2)(3)の両側縁どうしにまたがる2つの側壁(4)(5)と、両平坦壁(2)(3)にまたがるとともに長さ方向に伸びかつ相互に所定間隔をおいて設けられた複数の補強壁(6)とよりなり、内部に並列状流体通路(7)を有するものである。
【0030】
図2(a)は偏平管製造用金属板を示す。
【0031】
図2(a)において、偏平管製造用金属板(10)は、両面にろう材がクラッドされたアルミニウムブレージングシートを圧延ロール間に通して圧延加工を施すことにより形成されたものであり、幅の中央部の連結部(11)を介して連なった左右2つの平坦壁形成部(12)(13)と、各平坦壁形成部(12)(13)に、左右方向に間隔をおいて上方隆起状に一体成形された複数、ここでは3つの補強壁形成部(14)(15)と、偏平管製造用金属板(10)の左右両側縁に上方隆起状に一体成形された側壁形成部(16)(17)とを備えている。なお、補強壁形成部(14)(15)および側壁形成部(16)(17)は偏平管製造用金属板(10)の全長にわたって形成されている。左側平坦壁形成部(12)に形成された補強壁形成部(14)と右側平坦壁形成部(13)に形成された補強壁形成部(15)とは、偏平管製造用金属板(10)の左右方向の中心線に対して左右対称に一体成形されている。なお、両面にろう材がクラッドされたアルミニウムブレージングシートの片面に補強壁形成部(14)(15)および側壁形成部(16)(17)が一体成形されていることにより、補強壁形成部(14)(15)および側壁形成部(16)(17)の両側面を含んで平坦壁形成部(12)(13)の上面、ならびに平坦壁形成部(12)(13)の下面にろう材層(図示略)が形成されるが、補強壁形成部(14)(15)および側壁形成部(16)(17)の先端面には、他の部分に比べて厚みの大きいろう材層が形成される。
【0032】
左側平坦壁形成部(12)の各補強壁形成部(14)および左側縁の側壁形成部(16)の先端面に、補強壁形成部(14)および側壁形成部(16)の長さ方向に伸びる凸条(18)(凸部)がそれぞれ全長にわたって形成されている。また、右側平坦壁形成部(13)の各補強壁形成部(15)および右側縁の側壁形成部(17)の先端面に、補強壁形成部(15)および側壁形成部(17)の長さ方向に伸びかつ凸条(18)が密に嵌る凹溝(19)(凹部)がそれぞれ全長にわたって形成されている。補強壁形成部(14)および側壁形成部(16)の長さ方向と直角をなす平面で切断した凸条(18)の形状および断面積は、補強壁形成部(15)および側壁形成部(17)の長さ方向と直角をなす平面で切断した凹溝(19)の形状および断面積とそれぞれ等しくなっている。凸条(18)および凹溝(19)はアルミニウムブレージングシートの圧延のさいに形成されるものであり、凸条(18)の先端面および両側面、ならびに凹溝(19)の底面および両側面にもそれぞれろう材層が存在している。
【0033】
偏平管(1)は次のようにして製造される。
【0034】
まず、偏平管製造用金属板(10)を、ロールフォーミング法により連結部(11)の左右両側縁部でV状に折り曲げ(図2(b)参照)、さらにヘアピン状に折り曲げて、平坦壁形成部(12)(13)により平坦壁(2)(3)を形成するとともに連結部(11)により一方の側壁(5)を形成し、さらに補強壁形成部(14)(15)どうしおよび側壁形成部(16)(17)どうしを突き合わせ、左側平坦壁形成部(12)の各補強壁形成部(14)および左側縁の側壁形成部(16)の凸条(18)を、右側平坦壁形成部(13)の各補強壁形成部(15)および右側縁の側壁形成部(17)の凹溝(19)内にそれぞれ密に嵌め入れる(図2(c)および図3参照)。
【0035】
その後、両平坦壁形成部(12)(13)どうしを相互に接近する方向に加圧しつつ所定温度に加熱し、補強壁形成部(14)(15)どうしおよび側壁形成部(16)(17)どうしを相互にろう付することにより、補強壁(6)および他方の側壁(4)を形成する。こうして、偏平管(1)が製造される。上記加圧時においては、 凸条(18)と凹溝(19)との嵌合により、補強壁形成部(14)(15)どうしおよび側壁形成部(16)(17)どうしの厚さ方向、すなわち平坦壁形成部(12)(13)の幅方向の位置ずれが防止される。したがって、この状態でろう付を行うと、補強壁形成部(14)(15)どうしおよび側壁形成部(16)(17)どうしがそれぞれ全長にわたって確実にろう付されることになり、得られた偏平管(1)の耐圧性が著しく優れたものになる。
【0036】
偏平管(1)が、たとえば図7に示すコンデンサの冷媒流通管(112)として用いられる場合、偏平管(1)の製造は、コンデンサの製造と同時に行われることがある。すなわち、偏平管製造用金属板(10)をヘアピン状に折り曲げることにより、補強壁形成部(14)(15)どうしおよび側壁形成部(16)(17)どうしを突き合わせるとともに凸条(18)を凹溝(19)内に密に嵌め入れた状態で、適当な手段により仮止めし、このような仮止め体を複数用意する。また、仮止め体と同数の仮止め体挿入穴を有する1対のヘッダ(110)(111)および複数のコルゲートフィン(113)を用意する。ついで、1対のヘッダ(110)(111)を間隔をおいて配置するとともに複数の仮止め体を相互に間隔をおいて並列状に配置し、各仮止め体の両端部をヘッダ(110)(111)の仮止め体挿入穴内に挿入する。その後、隣接する仮止め体間にコルゲートフィン(113)を配置し、これらを所定温度に加熱することにより、偏平管製造用金属板(10)のろう材層を利用して、仮止め体の補強壁形成部(14)(15)どうしおよび側壁形成部(16)(17)どうし、仮止め体とヘッダ(110)(111)、ならびに仮止め体とコルゲートフィン(113)とをそれぞれ同時にろう付する。こうして、コンデンサと同時に偏平管(1)が製造される。
【0037】
実施形態2
この実施形態は図4〜図6に示すものである。
【0038】
図4は偏平管を示す。
【0039】
図4において、偏平管(70)はアルミニウム製であって、互いに対向する1対の平坦壁(71)(72)と、両平坦壁(71)(72)の左右両側縁にまたがる左右両側壁(73)(74)と、両平坦壁(71)(72)にまたがるとともに長さ方向に伸び、かつ相互に間隔をおいて設けられた複数の補強壁(75)とを備えており、内部に複数の並列状流体通路(76)を有するものである。
【0040】
両平坦壁(71)(72)の内面における流体通路(76)に臨んだ部分、すなわち隣接する補強壁(75)どうしの間の部分には、複数の突起(77)が、長さ方向に間隔をおいて内方隆起状に一体成形されている。補強壁(75)には、並列状の流体通路(76)どうしを通じさせる連通穴(図示略)が長さ方向に間隔をおいて複数あけられている。全ての連通穴(図示略)は、平面から見て千鳥配置状となっている。
【0041】
左側の側壁(73)は平坦壁(71)(72)に一体成形された側壁形成部(81)(82)の先端面どうしを突き合わせてろう付することにより形成され、補強壁(75)は平坦壁(71)(72)に一体成形された補強壁形成部(83)(84)の先端面どうしを突き合わせてろう付することにより形成されている。一方の平坦壁(71)の各補強壁形成部(83)の先端面にはそれぞれ凸部(85)が一体に形成され、他方の平坦壁(72)の補強壁形成部(84)の先端面にはそれぞれ凸部(85)が嵌る凹部(86)が形成されている。そして、凸部(85)が凹部(86)内に圧入された状態で補強壁形成部(83)(84)の先端面どうしがろう付されている。
【0042】
右側の側壁(74)の内面には、そのほぼ全幅にわたる横断面台形状の凸条(87)が、側壁(74)の全長にわたって一体成形されている。
【0043】
図5(a)は偏平管(70)を製造するのに用いられる偏平管製造用金属板を示す。
【0044】
図5(a)において、偏平管製造用金属板(80)は、両面にろう材がクラッドされたアルミニウムブレージングシートを圧延ロール間に通して圧延加工を施すことにより形成されたものであり、幅の中央部の連結部(88)を介して連なった左右2つの平坦壁形成部(89)(90)を備えており、左側の平坦壁形成部(89)の左側縁部に平坦壁形成部(89)の全長にわたる側壁形成部(81)が上方隆起状に一体成形されるとともに、左側平坦壁形成部(89)における側壁形成部(81)よりも右側の部分に平坦壁形成部(89)の全長にわたる複数の補強壁形成部(83)が、左右方向に間隔をおいて上方隆起状に一体成形されている。また、右側の平坦壁形成部(90)の右側縁部に平坦壁形成部(90)の全長にわたる側壁形成部(82)が上方隆起状に一体成形されるとともに、右側平坦壁形成部(90)における側壁形成部(82)よりも左側の部分に、平坦壁形成部(90)の全長にわたる複数の補強壁形成部(84)が、左右方向に間隔をおいて上方隆起状に一体成形されている。左側平坦壁形成部(89)に形成された補強壁形成部(83)と右側平坦壁形成部(90)に形成された補強壁形成部(84)とは、偏平管製造用金属板(80)の左右方向の中心線に対して左右対称に一体成形されている。なお、両面にろう材がクラッドされたアルミニウムブレージングシートの片面に側壁形成部(81)(82)および補強壁形成部(83)(84)が一体成形されていることにより、側壁形成部(81)(82)および補強壁形成部(83)(84)の両側面を含んで平坦壁形成部(89)(90)の上面、ならびに平坦壁形成部(89)(90)の下面にろう材層(図示略)が形成されるが、側壁形成部(81)(82)および補強壁形成部(83)(84)の先端面には、他の部分に比べて厚みの大きいろう材層が形成される。
【0045】
また、各平坦壁形成部(89)(90)における側壁形成部(81)(82)と補強壁形成部(83)(84)との間の部分、補強壁形成部(83)(84)と連結部(88)との間の部分、および隣接する補強壁形成部(83)(84)間の部分には、それぞれ複数の突起(77)が平坦壁形成部(89)(90)の長さ方向に間隔をおいて上方隆起状に一体成形されている。
【0046】
連結部(88)の上面には、そのほぼ全幅にわたる横断面台形状の凸条(87)が、連結部(88)の全長にわたって上方隆起状に一体成形されており、これにより連結部(88)の肉厚が両平坦壁形成部(89)(90)の肉厚よりも大きくなされている。
【0047】
左側平坦壁形成部(89)の各補強壁形成部(83)の先端面にそれぞれ凸部(85)が一体に形成され、右側平坦壁形成部(90)の各補強壁形成部(84)の先端面にそれぞれ凸部(85)が嵌る凹部(86)が形成されている。補強壁形成部(83)の長さ方向と直角をなす平面で切断した凸部(85)の形状は、先端に向かって幅の狭くなった台形状であり、補強壁形成部(84)の長さ方向と直角をなす平面で切断した凹部(86)の形状は、底部に向かって幅の狭くなった台形状である(図6(a)参照)。なお、凸部(85)および凹部(86)はアルミニウムブレージングシートの圧延のさいに形成されるものであり、図示は省略したが、凸部(85)の先端面および両側面と、凹部(86)の底面および両側面にもろう材層が存在している。
【0048】
ここで、図6(a)に示すように、補強壁形成部(83)の長さ方向と直角をなす平面で切断した凸部(85)の断面積(図6(a)に鎖線のハッチングを付した部分)をA、凸部(85)の高さをB、凸部(85)における補強壁形成部(83)の厚さ方向の最大幅をC、凸部(85)の先端部における補強壁形成部(83)の厚さ方向の幅をDとし、補強壁形成部(84)の長さ方向と直角をなす平面で切断した凹部(86)の断面積(図6(a)に鎖線のハッチングを付した部分)をa、凹部(86)の深さをb、凹部(86)における補強壁形成部(84)の厚さ方向の最大幅をc、凹部(86)の開口における補強壁形成部(84)の厚さ方向の幅をd(=c)とした場合、
A>a、A/a≦1.5、B/b≦1.5、C/c≦1.5、D/d≦1.5という関係を満たしている。
【0049】
なお、凸部(85)および凹部(86)は、それぞれ補強壁形成部(83)(84)に1つずつ形成されていることがあり、この場合、凸部(85)の長さおよび凹部(86)の長さをL1、補強壁形成部(83)(84)の長さをLとした場合、0.01≦L1/L≦1という関係を満たしている。
【0050】
また、凸部(85)および凹部(86)は、それぞれ補強壁形成部(83)(84)の長さ方向に間隔をおいて複数ずつ形成されていることがあり、この場合、全凸部(85)および全凹部(86)の合計長さをL2、補強壁形成部(83)(85)の長さをLとした場合、0.01≦L2/Lという関係を満たしている。
【0051】
偏平管(70)は次のようにして製造される。
【0052】
偏平管製造用金属板(80)を、ロールフォーミング法により連結部(88)の左右両側縁部においてV字状に折り曲げ(図5(b)参照)、さらにヘアピン状に折り曲げて、平坦壁形成部(89)(90)により平坦壁(71)(72)を形成するとともに連結部(88)により一方の側壁(74)を形成し、さらに側壁形成部(81)(82)どうしおよび補強壁形成部(83)(84)どうしを突き合わせるとともに、凸部(85)を凹部(86)内に圧入する。このとき、図6(b)に示すように、凸部(85)は幅が狭まるように、凹部(86)は幅が拡がるようにそれぞれ若干変形し、その結果凸部(85)の両側面と凹部(86)の両側面との摩擦力によって凸部(85)の凹部(86)からの抜けが阻止され、偏平管製造用金属板(80)を折り曲げ状態で仮止めすることができる(図5(c)参照)。なお、凸部(85)を凹部(86)内に圧入したさいには、凸部(85)および凹部(86)の変形の結果、両補強壁形成部(83)(84)の先端面間には微少な隙間(93)が生じている。
【0053】
その後、上記仮止め体(91)を所定温度に加熱し、側壁形成部(81)(82)どうしおよび補強壁形成部(83)(84)どうしを相互にろう付することにより、他方の側壁(73)および補強壁(75)を形成する。こうして、偏平管(70)が製造される。このろう付によって、図6(c)に示すように、両補強壁形成部(83)(84)の先端面間の隙間(93)はろう材(94)により埋められる。
【0054】
上記ろう付時に、両平坦壁形成部(89)(90)どうしを相互に接近させる方向の加圧力が作用した場合、凸部(85)と凹部(86)との嵌合により、側壁形成部(81)(82)および補強壁形成部(83)(84)どうしの厚さ方向、すなわち平坦壁形成部(89)(90)の幅方向の位置ずれが防止される。したがって、この状態でろう付を行うと、側壁形成部(81)(82)および補強壁形成部(83)(84)どうしがそれぞれ全長にわたって確実にろう付されることになり、得られた偏平管(70)の耐圧性が著しく優れたものになる。
【0055】
偏平管(70)が、たとえば図7に示すコンデンサの冷媒流通管(112)として用いられる場合、偏平管(70)の製造は、コンデンサの製造と同時に行われることがある。すなわち、コンデンサは次のようにして製造される。まず、上述したようにして偏平管製造用金属板(80)から図5(c)に示すような仮止め体(91)を形成する。そして、このような仮止め体(91)を複数用意する。また、仮止め体(91)と同数の仮止め体挿入穴を有する1対のヘッダ(110)(111)と、複数のコルゲートフィン(113)とを用意する。ついで、1対のヘッダ(110)(111)を間隔をおいて配置するとともに複数の仮止め体(91)を相互に間隔をおいて並列状に配置し、各仮止め体(91)の両端部をヘッダ(110)(111)の仮止め体挿入穴内に挿入する。ついで、隣接する仮止め体(91)間にコルゲートフィン(113)を配置する。最後に、これらを所定温度に加熱し、仮止め体(91)の側壁形成部(81)(82)どうしおよび補強壁形成部(83)(84)どうし、仮止め体(91)とヘッダ(110)(111)、ならびに仮止め体(91)とコルゲートフィン(113)とを、それぞれ偏平管製造用金属板(80)のろう材層を利用して同時にろう付する。こうして、コンデンサが製造される。
【0056】
次に、実施形態2の具体的実施例について、比較例とともに説明する。
【0057】
実施例1〜10および比較例1〜8
ヤング率70kN/mm2、ポアソン比0.33のアルミニウム材を用い、長さ100mm、肉厚0.5mm、高さ0.4mmである2枚の板を作製し、一方の板の側面における幅方向の中央部に、その長さ方向に伸びる凸部を全長にわたって形成するとともに、他方の板の側面における幅方向の中央部に、その長さ方向に伸びる凹部を全長にわたって形成した。凸部および凹部における板の長さ方向と直角をなす平面で切断した形状は、図6(a)に示す通りである。そして、凸部を有する板および凹部を有する板を2枚1組とした試験片を18組用意した。なお、板の表面の摩擦係数は0.3であった。
【0058】
各組の試験片において、板の長さ方向と直角をなす平面で切断した凸部の断面積A、凸部の高さB、凸部における板の厚さ方向の最大幅C、凸部の先端部における板の厚さ方向の幅D、板の長さ方向と直角をなす平面で切断した凹部の断面積a、凹部の深さb、凹部における板の厚さ方向の最大幅c、凹部の開口における板の厚さ方向の幅d、A/a、B/b、C/c、D/dは、それぞれ表1に示す通りである。
【0059】
【表1】
【0060】
そして、各組の試験片において、両板の側面どうしを接触させるとともに凸部を凹部内に嵌め入れた後、両板を離隔する方向に引張ったさいに、力が必要かどうかを調べた。その結果も表1の効果の欄に示す。なお、表1の効果の欄において、○は両板を離隔する方向に引張ったさいに所定の力を要することを示し、×は両板を離隔する方向に引張ったさいに何ら力が不要であることを示す。
【0061】
表1に示す結果から、A>a、A/a≦1.5、B/b≦1.5、C/c≦1.5、D/d≦1.5という関係を満たしている実施例1〜10においては、凸部を凹部から抜くのに力が必要であり、偏平管製造用金属板に適用した場合には、偏平管製造用金属板(80)をヘアピン状折り曲げて、側壁形成部(81)(82)どうしおよび補強壁形成部(83)(84)どうしを突き合わせるとともに、凸部(85)を凹部(86)内に圧入した場合、凸部(85)の凹部(86)からの抜けが防止され、その結果金属板(80)は折り曲げ状態で仮止めされることが分かる。
【0062】
上記実施形態2においては、一方の平坦壁形成部の全ての補強壁形成部に凸部が形成され、他方の平坦壁形成部の全ての補強壁形成部に凹部が形成されているが、これに加えて、あるいはこれに代えて一方の側壁形成部に凸部が形成され、他方の側壁形成部に凹部が形成されていてもよい。また、上記実施形態2においては、一方の平坦壁形成部の全ての補強壁形成部に凸部が形成され、他方の平坦壁形成部の全ての補強壁形成部に凹部が形成されているが、これに代えて一方の平坦壁形成部の少なくとも1つの補強壁形成部に凸部が形成され、この補強壁形成部に突き合わされる他方の平坦壁形成部の補強壁形成部に凹部が形成されていてもよい。
【0063】
上記全ての実施形態においては、偏平管製造用金属板は、両面にろう材がクラッドされたアルミニウムブレージングシートを圧延することにより得られているが、これに代えて、両面にろう材層を有しないアルミニウムベア材である通常のアルミニウム板を圧延することにより得てもよい。この場合、補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしのろう付は、たとえばろう材を塗布して行う。
【0064】
【発明の効果】
請求項1の発明の偏平管製造用金属板によれば、少なくともいずれか1つの壁形成部の先端面に凸部が形成されるとともに、金属板をヘアピン状に折り曲げたさいにこの壁形成部に突き合わされる壁形成部の先端面に、凸部が密に嵌る凹部が形成されてので、金属板を、たとえばロールフォーミング法により連結部でヘアピン状に折り曲げたさいには、補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしは、位置ずれすることなく突き合わされる。そして、ろう付のために両平坦壁形成部どうしを相互に接近する方向に加圧したとしても、凸部が凹部に嵌ることにより、凸部と凹部が形成された壁形成部どうしの厚さ方向、すなわち平坦壁形成部の幅方向の位置ずれが防止され、これにより他の壁形成部どうしの厚さ方向、すなわち平坦壁形成部の幅方向の位置ずれも防止される。したがって、この状態でろう付を行うと、補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしがそれぞれ全長にわたって確実にろう付されることになり、製造された偏平管の耐圧性が著しく優れたものになる。
【0065】
請求項2の発明によれば、偏平管製造用金属板を連結部でヘアピン状に折り曲げて補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしを突き合わせるとともに凸部を凹部内に圧入すると、凸部および凹部が変形し、凸部の両側面と凹部の両側面との摩擦力により、凸部の凹部からの抜けが防止される。したがって、スプリングバックの力に抗して金属板は折り曲げ状態に保持されることになり、ろう付のさいにも折り曲げ状態に保持する治具が不要になる。その結果、上述したように、偏平管の製造をコンデンサの製造と同時に行う場合、偏平管製造用金属板を折り曲げて仮止めしてなる仮止め体の取り扱いが容易になり、ひいてはコンデンサの製造作業が簡単になる。
【0066】
しかも、ろう付のさいに平坦壁形成部どうしに相互に接近する方向の加圧力が作用したとしても、凸部および凹部が形成された壁形成部どうしの厚さ方向、すなわち平坦壁形成部の幅方向の位置ずれが防止され、これにより他の壁形成部どうしの厚さ方向、すなわち平坦壁形成部の幅方向の位置ずれも防止される。その結果、この状態でろう付を行うと、補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしがそれぞれ全長にわたって確実にろう付されることになり、製造された偏平管の耐圧性が著しく優れたものになる。
【0067】
請求項3および4の発明によれば、請求項2の発明のように、凸部の両側面と凹部の両側面との摩擦力により凸部の凹部からの抜けを防止する場合、および請求項4の発明のように、副凸部が凸部の側面を押圧するように変形することによって凸部の凹部からの抜けを防止する場合のいずれの場合においても、凸部の凹部からの抜けを防止する効果が低減することはない。
【0068】
請求項5の発明によれば、金属板を、たとえばロールフォーミング法により連結部でヘアピン状に折り曲げたさいには、連結部の働きにより高精度に折り曲げられ、その結果補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしは、位置ずれすることなく突き合わされて、ずれ防止効果が一層向上する。
【0069】
請求項6の発明によれば、偏平管製造用金属板を連結部でヘアピン状に折り曲げた後、側壁形成部どうしおよび補強壁形成部どうしをろう付するさいに、側壁形成部および補強壁形成部の先端面のろう材層を利用して行うことができる。したがって、別途にろう材を塗布する手間が省ける。
【0070】
請求項7の発明による偏平管は、補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしがそれぞれ全長にわたって確実にろう付されており、耐圧性が著しく優れたものになる。
【0071】
請求項8の発明によれば、請求項2の発明と同様な効果を奏する。
【0072】
請求項10の発明によれば、熱交換器の製造のさいに、偏平管製造用金属板は折り曲げ状態で仮止めされているので、仮止め体の取り扱いが容易になり、ひいては熱交換器の製造作業が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態1の偏平管を示す正面図である。
【図2】 図1の偏平管の製造方法を工程順に示す正面図である。
【図3】 図2に示す偏平管の製造方法において、凸条と凹溝との嵌合を示す部分拡大正面図である。
【図4】 この発明の実施形態2の偏平管を示す正面図である。
【図5】 図4の偏平管の製造方法を工程順に示す正面図である。
【図6】 図4の偏平管の製造方法において、要部を拡大して工程順に示す部分拡大正面図である。
【図7】 マルチフロー型と称されるカーエアコン用コンデンサを示す正面図である。
【符号の説明】
(1)(70):偏平管
(2)(3)(71)(72):平坦壁
(4)(5)(73)(74):側壁
(6)(75):補強壁
(10)(80):偏平管製造用金属板
(11)(88):連結部
(12)(13)(89)(90):平坦壁形成部
(14)(15)(83)(84):補強壁形成部
(16)(17)(81)(82):側壁形成部
(18):凹溝
(19):凸条
(85):凸部
(86) :凹部
Claims (11)
- 互いに対向する1対の平坦壁と、両平坦壁の両側縁どうしにまたがる2つの側壁と、両平坦壁にまたがるとともに長さ方向に伸びかつ相互に所定間隔をおいて設けられた複数の補強壁とよりなる偏平管を製造するのに用いられる金属板であって、
連結部を介して連なった2つの平坦壁形成部、各平坦壁形成部に隆起状に一体成形された複数の補強壁形成部、および両側縁に隆起状に一体成形された側壁形成部を備えており、両側壁形成部および全ての補強壁形成部のうちの少なくともいずれか1つの壁形成部の先端面に凸部が形成されるとともに、金属板をヘアピン状に折り曲げたさいにこの壁形成部に突き合わされる壁形成部の先端面に、凸部が密に嵌る凹部が形成されており、両側壁形成部および全ての補強壁形成部の先端面、凸部の先端面および両側面、ならびに凹部の底面および両側面にそれぞれろう材層が存在している偏平管製造用金属板。 - 壁形成部の長さ方向と直角をなす平面で切断した凸部の断面積をA、凸部の高さをB、凸部における壁形成部の厚さ方向の最大幅をC、凸部の先端部における壁形成部の厚さ方向の幅をDとし、
壁形成部の長さ方向と直角をなす平面で切断した凹部の断面積をa、凹部の深さをb、凹部における壁形成部の厚さ方向の最大幅をc、凹部の開口における壁形成部の厚さ方向の幅をdとした場合、
A>a、A/a≦1.5、B/b≦1.5、C/c≦1.5、D/d≦1.5という関係を満たしている請求項1記載の偏平管製造用金属板。 - 凸部および凹部が、それぞれ壁形成部に1つずつ形成されており、凸部の長さおよび凹部の長さを L1 、壁形成部の長さを L とした場合、0.01≦ L1 / L ≦1という関係を満たしている請求項2記載の偏平管製造用金属板。
- 凸部および凹部が、それぞれ壁形成部の長さ方向に間隔をおいて複数ずつ形成されており、全凸部および全凹部の合計長さを L2 、壁形成部の長さを L とした場合、0.01≦ L2 / L という関係を満たしている請求項2記載の偏平管製造用金属板。
- 連結部が、平坦壁形成部よりも厚肉に形成されている請求項2〜4のうちのいずれかに記載の偏平管製造用金属板。
- アルミニウムブレージングシートに圧延加工を施すことにより形成され、アルミニウムブレージングシートのろう材面に側壁形成部および補強壁形成部が一体成形され、側壁形成部および補強壁形成部の先端面にろう材層が設けられている請求項1〜5のうちのいずれかに記載の偏平管製造用金属板。
- 請求項2、3、4または5に記載の偏平管製造用金属板が、連結部でヘアピン状に折り曲げられ、平坦壁形成部により平坦壁が形成されるとともに連結部により一方の側壁が形成され、さらに補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしが突き合わせられるとともに凸部が凹部内に圧入され、この状態で補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしがそれぞれ相互に接合されて補強壁および他方の側壁が形成されている偏平管。
- 請求項2、3、4または5に記載の偏平管製造用金属板を、連結部でヘアピン状に折り曲げ、平坦壁形成部により平坦壁を形成するとともに連結部により一方の側壁を形成し、さらに補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしを突き合わせるとともに、凸部を凹部内に圧入することにより凸部の凹部からの抜けを阻止して偏平管製造用金属板を折り曲げ状態で仮止めし、この状態で補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしをそれぞれ相互に接合して補強壁および他方の側壁を形成することを含む偏平管の製造方法。
- 請求項7に記載の偏平管を備えている熱交換器。
- 請求項2、3、4または5に記載の偏平管製造用金属板を、連結部でヘアピン状に折り曲げ、平坦壁形成部により平坦壁を形成するとともに連結部により一方の側壁を形成し、さらに補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうしを突き合わせると ともに、凸部を凹部内に圧入することにより凸部の凹部からの抜けを阻止して偏平管製造用金属板を折り曲げ状態で仮止めし、このような仮止め体を複数用意すること、仮止め体と同数の仮止め体挿入穴を有する1対のヘッダおよび複数のフィンを用意すること、1対のヘッダを間隔をおいて配置するとともに複数の仮止め体を相互に間隔をおいて並列状に配置し、各仮止め体の両端部をヘッダの仮止め体挿入穴内に挿入すること、隣接する仮止め体間にフィンを配置すること、ならびに仮止め体の補強壁形成部どうしおよび側壁形成部どうし、仮止め体とヘッダ、ならびに仮止め体とフィンとをそれぞれ同時にろう付することを特徴とする熱交換器の製造方法。
- 請求項9に記載の熱交換器を備えている車両。
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