JP3951529B2 - 陽極接合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体圧力センサや半導体加速度センサ等のマイクロ加工センサ、また、マイクロアクチュエータの等の製造において、半導体(シリコン)基板とガラス基板とを接合する陽極接合に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のシリコン基板とガラス基板との陽極接合方法について図2を用いて説明する。ここでは、半導体圧力センサが形成されたシリコン基板1を例にあげる。シリコン基板1には複数の圧力センサチップが形成され、圧力センサチップ個々には、圧力により変位する肉薄構造のダイヤフラム3及び、ダイヤフラムの変位を抵抗値変化として検出するピエゾ抵抗4が形成されている。この圧力センサチップの高精度化を図るためにシリコン基板1にガラス基板(パイレックスガラス)2を陽極接合し、その後チップサイズで、個々にダイシングすることにより、ガラス台座付半導体圧力センサを製造している。尚、半導体圧力センサの場合、ガラス基板2には、外部の圧力を半導体圧力センサのダイヤフラム2に導くための圧力導入孔5が設けられている。さらにこの従来例の場合、メタルパッケージ(図示せず)に半田付けを行うための金属層(メタライズ層)9がガラス基板2に形成されている。
【0003】
陽極接合は、ヒータ電極8と電極ピン10により、ガラス基板2側を0V、シリコン基板1側に約400〜約1000Vの直流電圧を印加し、さらに、約300〜約500℃の高温とし、数百グラムの荷重を印加して行う。また、陽極接合を行うチャンバー(小室,図示せず)内は真空又は窒素雰囲気である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、陽極接合後、ガラス基板2中に含まれているアルカリ金属(ナトリウムNa,カリウムK等)が、ガラス基板2の金属層9表面に偏析してくる。このアルカリ金属はヒータ電極8へ熱拡散するとともに、チャンバー内に飛散し、シリコン基板1表面に付着する。また、陽極接合したシリコン基板1を大気中に取り出すと、ガラス基板2表面偏析したアルカリ金属(特にナトリウム)が二酸化炭素及び酸素と反応し、水に可溶の白色結晶の炭酸ナトリウムや、水に不溶な黒茶色の酸化ナトリウムが析出する。ヒータ電極8に拡散したアルカリ金属は、真空中で再過熱すると、その蒸気圧が低いのでチャンバー内に飛散し、チャンバー内部を汚染する。シリコン基板1表面に付着したアルカリ金属は、半導体チップを構成しているピエゾ抵抗4等や、このピエゾ抵抗4形成部のPNジャンクションへ拡散し、リーク電流の増加や耐圧低下を引き起こす。また、半導体チップがIC等のMOSトランジスタの場合、そのしきい値変動等を引き起こす。
【0005】
このように、ガラス基板2の金属層9表面から偏析したアルカリ金属によりシリコン基板1に形成された半導体チップの特性に悪影響を及ぼすとともに、チャンバー内部がアルカリ金属で汚染され、チャンバー内部やヒータ電極8の清掃が必要となる。この清掃作業は手間がかかり、大きな作業ロスとなる。
【0006】
そこで、これを防止するために、ガラス基板2の金属層9表面とヒータ電極8との間に導電体であるシリコン板11を挟み、偏析したアルカリ金属をこのシリコン板11に付着させ、ヒータ電極8への付着を防止している。しかし、一部ガラス基板2から偏析したアルカリ金属は、チャンバー内に飛散し、シリコン基板1の表面に付着する。また、メタルパッケージへの半田付けを行うために形成された金属層9は、ガラス基板2内部側からTi/Ni/Au,Ti/Cr/Au,Ti/Pt/Au,Ct/Pt/Au等のようにスパッタリングにより積層されている。ここで、半田付けの目的から最表面層がAuである必要がある。しかしこのAuがシリコン板11とAu−Si共晶結合を起こし、ガラス基板2(金属層9)とシリコン板11が接合してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、ガラス基板から偏析するアルカリ金属による悪影響を低減することができるとともに、アルカリ金属のヒータ電極への付着を防止するために、金属層を有するガラス基板との間に介在させた部材(導電体)の金属層への付着を防止することができる陽極接合方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、シリコン基板と、一主表面に金属層が形成されたガラス基板とを、該ガラス基板のもう一方の主表面と前記シリコン基板とを対向させて重ね合せ、電圧を印加して接合する陽極接合方法において、前記シリコン基板の接合面ではない主表面にシリコン板を密着させ、該シリコン板を介して正の電圧を印加し、前記ガラス基板の金属層側の主表面にカーボンの板を密着させ、該カーボンの板を介して負の電圧を印加することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る陽極接合方法について図1にもとづき説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態の陽極接合方法を示すための、シリコン基板1とガラス基板2の断面図である。従来例と同様に、シリコン基板1に半導体圧力センサチップが形成されたものを例にあげる。シリコン基板1には複数の半導体圧力センサチップが形成され、半導体圧力センサチップ個々には、圧力により変位する肉薄構造のダイヤフラム3及び、ダイヤフラムの変位を抵抗値変化として検出するピエゾ抵抗4が形成されている。この圧力センサチップの高精度化を図るためにシリコン基板1にガラス基板(パイレックスガラス)2を陽極接合し、その後チップサイズで、個々にダイシングすることにより、ガラス台座付圧力センサを製造している。尚、半導体圧力センサの場合ガラス基板2には、外部の圧力を半導体圧力センサのダイヤフラム2に導くための圧力導入孔5が設けられている。さらに、メタルパッケージ(図示せず)に半田付けを行うための金属層(メタライズ層)9がガラス基板2に形成されている。
【0011】
ここで、シリコン基板1において、ガラス基板2との接合面ではない主表面(図中シリコン基板1の上面)に導電体であるシリコン板6を密着させる。このシリコン板6の厚さ及びシート抵抗は、例えば厚さは約0.3〜0.5mmで、シート抵抗は0.1〜約6Ωcmである。また、ガラス基板2において、シリコン基板1との接合面ではない主表面(図中ガラス基板2の下面、金属層9側)に板状の導電体であるカーボン板7を密着させる。そして、シリコン板6に電極ピン10を接触させて正の電圧を印加し、カーボン板7にヒータ電極8を接触させて負の電圧を印加する。つまり、シリコン基板1と電極ピン10間にシリコン板6を介在させ、そして、ガラス基板2とヒータ電極8間にカーボン板7を介在させて、正の電圧及び負の電圧を印加する。
【0012】
陽極接合で電圧を電極ピン10及びヒータ電極8で電圧を印加すると、ガラス基板2(パイレックスガラス)に含まれているアルカリ金属(イオン)は、ヒータ電極8に印加された負の電圧によりガラス基板2に密着されたカーボン板7側に移動し、カーボン板7に付着する。よって、ヒータ電極8へのアルカリ金属の付着を防止することができるとともに、チャンバー内へのアルカリ金属の飛散も大部分防止することができる。また、これ以外に一部ガラス基板2から偏析したアルカリ金属は、チャンバー内に飛散するが、シリコン基板1表面にシリコン板6を密着させてカバーしているので、シリコン基板1の表面への付着を防止することができる。また、ガラス基板2に密着させた導電体がシリコン板ではなく、カーボン板であるので、ガラス基板2の金属層9の最表面のAuによるAu−Si共晶接合を起こすことがなく、ガラス基板2(金属層9)と密着させた部材(導電体)との接合を防止することができる。
【0013】
このように、シリコン基板1の接合面ではない主表面にシリコン板6を密着させ、シリコン板6を介して正の電圧を印加し、ガラス基板2の接合面ではない主表面にカーボン板7を密着させ、カーボン板7を介して負の電圧を印加するようにしたので、ガラス基板2から偏析したアルカリ金属の大部分をカーボン板7に付着させてヒータ電極8への付着を防止するとともに、一部飛散したアルカリ金属のシリコン基板1表面への付着をシリコン板6で防止することができるという効果を奏する。さらに、ガラス基板2に密着させた導電体がカーボン板であるので、ガラス基板2の金属層9の最表面のAuによるAu−Si共晶接合を起こすことがなく、ガラス基板(金属層)と介在させた部材(導電体)との接合を防止することができるという効果を奏する。
【0014】
以上、本発明の実施の形態を示した。アルカリ金属付着防止に使用したシリコン板6,やカーボン板7は、陽極接合の都度、純水等で洗浄すれば良く、チャンバー内部の清掃は従来より汚染レベルが低いため、例えば、数十〜百バッチ毎に行う頻度でよく、管理が容易である。
【0015】
尚、シリコン基板に半導体圧力センサチップが形成されたものを例にあげたが、これに限定されるものではない。
【0016】
【発明の効果】
上述の如く、本発明の請求項1記載の発明によれば、シリコン基板と、一主表面に金属層が形成されたガラス基板とを、該ガラス基板のもう一方の主表面と前記シリコン基板とを対向させて重ね合せ、電圧を印加して接合する陽極接合方法において、前記シリコン基板の接合面ではない主表面にシリコン板を密着させ、該シリコン板を介して正の電圧を印加し、前記ガラス基板の金属層側の主表面にカーボンの板を密着させ、該カーボンの板を介して負の電圧を印加するようにしたので、アルカリ金属による悪影響を低減することのでき、アルカリ金属のヒータ電極への付着を防止するために、金属層を有するガラス基板との間に介在させた部材(導電体)の金属層への付着を防止することができる陽極接合方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】従来例を示す図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板
2 ガラス基板
6 シリコン板
7 カーボン板
8 ヒータ電極
9 金属層
10 電極ピン
11 シリコン板
Claims (1)
- シリコン基板と、一主表面に金属層が形成されたガラス基板とを、該ガラス基板のもう一方の主表面と前記シリコン基板とを対向させて重ね合せ、電圧を印加して接合する陽極接合方法において、前記シリコン基板の接合面ではない主表面にシリコン板を密着させ、該シリコン板を介して正の電圧を印加し、前記ガラス基板の金属層側の主表面にカーボンの板を密着させ、該カーボンの板を介して負の電圧を印加することを特徴とする陽極接合方法。
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