JP3951286B2 - オルトフタルアルデヒド安定化組成物 - Google Patents

オルトフタルアルデヒド安定化組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オルトフタルアルデヒド安定化組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、非医療用の防菌剤として有用なオルトフタルアルデヒドを水性製剤化するときの溶解濃度を高め、低温保管時の凝固点を下げることができ、高温下においても長期間安定に保存することができるオルトフタルアルデヒド安定化組成物、及び、オルトフタルアルデヒドを有機溶剤で製剤化するときの長期保存の安定性を高めることができるオルトフタルアルデヒド安定化組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
オルトフタルアルデヒドは、殺菌力が優れているために、消毒薬や非医療用の防菌防黴剤として有用であり、工業的には種々の製造方法及び製品形態で提供されている。しかし、工業規模の製品形態として、結晶性の粉末や固形状のオルトフタルアルデヒドの場合は、使用時に防菌対象系への溶解性が十分でなく、また、刺激性や腐食性を有するために、作業時に皮膚や粘膜などに悪影響を及ぼすなどの問題がある。
このために、オルトフタルアルデヒドは、あらかじめ液剤化して使用することが好ましいが、オルトフタルアルデヒドの融点が約56℃であること、室温での水への溶解度が約5重量%と低いことから、液剤に調製する場合は、通常は有機溶剤が用いられる。例えば、特開昭63−313705号公報には、無臭の消毒殺菌組成物として、オルトフタルアルデヒド0.025〜2.0重量%を含有する水溶液が提案され、濃度5重量%を超える組成物とするためには、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリコール類、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジオキサンなどの水混和性補助溶剤を使用することが提案されている。特開平6−23368号公報には、水性環境における生物汚れの抑制方法として、水性系にオルトフタルアルデヒドを供給する方法が提案され、濃度5重量%を超える溶液とするためには、グリコール、アルコール、フラン、エーテルなどの水混和性共溶媒を使用することが提案され、特にエチレングリコールのような高沸点の共溶媒が好ましいとされている。
また、特開平6−264397号公報には、持続的なスライム防除効果を示す製紙用スライム防除剤として、オルトフタルアルデヒドを有効成分として含有する薬剤が提案され、溶剤に溶解して液剤の形で用いることが好ましいとされ、溶剤として、メタノール、エタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、セロソルブ類などのグリコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、アジピン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサンなどが挙げられている。
さらに、特開平7−116669号公報には、製紙工程における工業用水中のスライム防除剤として、オルトフタルアルデヒドと2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールなどを併用する薬剤が提案され、有機溶剤に溶解して製剤化することが好ましいとされ、有機溶剤として、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールジアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートなどのグリコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、乳酸エチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロンなどのケトン類、トルエン、キシレン、1,2−ジメチル−4−エチルベンゼンなどの芳香族系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサンなどが挙げられている。しかし、オルトフタルアルデヒドは、不安定な化合物であるために、これらの有機溶剤を用いた溶液では、保存中の分解によって溶液中の濃度が低下したり、求核性が強い溶剤と反応して不活性化したりするという問題がある。
このために、オルトフタルアルデヒドを含有する液剤の安定性を改良する試みがなされている。例えば、特開平8−302594号公報には、安定性が優れ、長期間保存しても効力が低下しない製紙用スライム防除剤として、オルトフタルアルデヒドをプロピレンカーボネート又はこれを主体とする溶剤に溶解した薬剤が提案されている。また、特開平9−194419号公報には、オルトフタルアルデヒドの安定化溶液として、オルトフタルアルデヒドをグルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、プロピレンカーボネート又はこれらを主成分する溶媒に溶解した溶液が提案されている。しかし、このような非求核性の有機溶剤を用いたオルトフタルアルデヒド溶液は、防菌防黴対象水系に添加した場合に、水との相溶性や水への分散性に劣るために、高濃度に添加した場合に、有機溶剤が油滴として浮上したり、溶解されていたオルトフタルアルデヒドが対象水系中で析出するという問題があった。また、溶液調製時には淡黄色であったものが、長期常温保存又は高温下の環境では容易に褐色に着色し、防菌用途での悪影響や商品価値の低下を引き起こすという問題もあった。
このために、求核性の有無に関わらず、有機溶剤を用いたオルトフタルアルデヒド溶液の安定性を向上させ、経時変化や保管温度変化による分解が抑制された安定化組成物が求められていた。さらに、防菌防黴対象水系中への分散性が向上し、経済的にも安価であり、製品の引火性がなく、通常の水への溶解度以上に高濃度のオルトフタルアルデヒドを含有する水性安定化組成物が求められていた。
なお、特開平10−287511号公報には、オルトフタルアルデヒド、グルタルアルデヒド及び第四級アンモニウム塩を含む非医療用防菌防藻剤が提案されているが、この防菌防藻剤は、第四級アンモニウム塩を併用することにより、広範囲の微生物に対して、低濃度の使用で、還元性物質の存在下にも防菌防藻効果を示すことを目的とするものであり、第四級アンモニウム塩の含有量は、オルトフタルアルデヒドとグルタルアルデヒドの合計1重量部に対して0.01〜0.2重量部が好ましいとされるように少なく、オルトフタルアルデヒドに対する第四級アンモニウム塩の安定化効果は、全く報告されていない。また、フランス特許第2718923号明細書には、改善された効力を有し、生分解性、無毒性であり、腐食性の少ない消毒剤水溶液として、オルトフタルアルデヒドとグルタルアルデヒドと第四級アンモニウム塩を含有する消毒剤が提案されているが、例示されている消毒剤は、第四級アンモニウム塩の含有量が、オルトフタルアルデヒド1重量部に対して10重量部と多く、オルトフタルアルデヒドに対する第四級アンモニウム塩の安定化効果は、全く報告されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、非医療用の防菌剤として有用なオルトフタルアルデヒドを水性製剤化するときの溶解濃度を高め、低温保管時の凝固点を下げることができ、高温下においても長期間安定に保存することができるオルトフタルアルデヒド安定化組成物、及び、オルトフタルアルデヒドを有機溶剤で製剤化するときの長期保存の安定性を高めることができるオルトフタルアルデヒド安定化組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、水を溶媒とする場合、室温で約5重量%の溶解度のオルトフタルアルデヒドが、第四級アンモニウム塩と共存することにより、相溶状態となって高濃度の均一な水溶液として調製することができ、この水溶液がオルトフタルアルデヒドの分解を抑制して安定に残存させることを見いだし、また、求核性であるか否かに関わらず、有機溶剤を用いたオルトフタルアルデヒド溶液に、第四級アンモニウム塩を含有させることにより、経時変化や保管温度変化によるオルトフタルアルデヒドの分解が抑制されることを見いだし、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)オルトフタルアルデヒド1重量部に対し、安定化剤として第四級アンモニウム塩0.8〜7重量部を含有し、溶媒として水のみを用いることを特徴とするオルトフタルアルデヒド安定化組成物、
(2)第四級アンモニウム塩が、一般式[1]で表される構造を有する第1項記載のオルトフタルアルデヒド安定化組成物、
【化3】
Figure 0003951286
(ただし、式中、R1は炭素数1〜18のアルキル基であり、3個のR1は同一であっても異なっていてもよく、R2は、炭素数8〜18のアルキル基、ベンジル基又はヒドロキシルエチル基であり、Xは、塩素、臭素、ヒドロキシル基又はプロピオネート基である。)、
(3)オルトフタルアルデヒド1重量部に対し、安定化剤として第四級アンモニウム塩0.05〜12重量部を含有し、溶媒として有機溶剤又は有機溶剤と水との混合物を用いることを特徴とするオルトフタルアルデヒド安定化組成物、及び、
(4)第四級アンモニウム塩が、一般式[1]で表される構造を有する第3項記載のオルトフタルアルデヒド安定化組成物、
【化4】
Figure 0003951286
(ただし、式中、R1は炭素数1〜18のアルキル基であり、3個のR1は同一であっても異なっていてもよく、R2は、炭素数8〜18のアルキル基、ベンジル基又はヒドロキシルエチル基であり、Xは、塩素、臭素、ヒドロキシル基又はプロピオネート基である。)、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のオルトフタルアルデヒド安定化組成物の第一の態様は、オルトフタルアルデヒド1重量部に対し、安定化剤として第四級アンモニウム塩0.8〜7重量部を含有し、溶媒として水を含有する組成物である。本発明のオルトフタルアルデヒド安定化組成物の第二の態様は、オルトフタルアルデヒドに対し、安定化剤として第四級アンモニウム塩を含有し、溶媒として有機溶剤又は水と有機溶剤の混合物を含有する組成物である。
本発明に用いるオルトフタルアルデヒドは、式[2]で表される構造を有する化合物であり、優れた殺菌力を有し、消毒薬や非医療用の防菌防黴剤、例えば、スライム防除剤、生物汚れ抑制剤、防藻剤などに利用されている。
【化5】
Figure 0003951286
本発明に用いる第四級アンモニウム塩は、一般式[1]で表される化合物であることが好ましい。
【化6】
Figure 0003951286
ただし、一般式[1]において、R1は、炭素数1〜18のアルキル基であり、3個のR1は同一であっても異なっていてもよく、R2は、炭素数8〜18のアルキル基、ベンジル基又はヒドロキシルエチル基であり、Xは、塩素、臭素、ヒドロキシル基又はプロピオネート基である。R1又はR3で表される炭素数3〜18のアルキル基は、直鎖状のアルキル基であっても、分岐を有するアルキル基であってもよい。
一般式[1]で表される構造を有する第四級アンモニウム塩としては、例えば、ジメチルジオクチルアンモニウム塩、ジメチルジイソノニルアンモニウム塩、ジメチルオクチルデシルアンモニウム塩、ジメチルノニルデシルアンモニウム塩、ジメチルイソノニルデシルアンモニウム塩、ジメチルジデシルアンモニウム塩、ジイソノニルジデシルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム塩などを挙げることができる。これらの第四級アンモニウム塩は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、安定性付与効果の点から、ジメチルジオクチルアンモニウム塩、ジメチルジイソノニルアンモニウム塩、ジメチルノニルデシルアンモニウム塩、ジメチルジデシルアンモニウム塩及びジイソノニルジデシルアンモニウム塩を特に好適に用いることができる。
【0006】
本発明組成物の第一の態様である溶媒として水を含有するオルトフタルアルデヒド安定化組成物においては、オルトフタルアルデヒド1重量部に対して、安定化剤として第四級アンモニウム塩を0.8〜7重量部含有し、より好ましくは0.85〜5重量部含有し、さらに好ましくは0.9〜3重量部含有する。第四級アンモニウム塩の含有量がオルトフタルアルデヒド1重量部に対して0.8重量部未満であると、オルトフタルアルデヒドの分解速度が上昇して、貯蔵安定性が低下するおそれがある。第四級アンモニウム塩の含有量は、オルトフタルアルデヒド1重量部に対して7重量部以下で十分な安定化効果が得られ、通常はオルトフタルアルデヒド1重量部に対して7重量部を超える第四級アンモニウム塩を含有させる必要はなく、第四級アンモニウム塩の含有量が多すぎると、オルトフタルアルデヒドの含有量が相対的に低くなる。
本発明組成物の第二の態様である溶媒として有機溶剤又は水と有機溶剤の混合物を含有するオルトフタルアルデヒド安定化組成物においては、第四級アンモニウム塩の含有量に特に制限はないが、オルトフタルアルデヒド1重量部に対して0.05〜12重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがより好ましく、0.5〜8重量部であることがさらに好ましい。第四級アンモニウム塩の含有量がオルトフタルアルデヒド1重量部に対して0.05重量部未満であると、オルトフタルアルデヒドの分解速度が上昇して、貯蔵安定性が低下するおそれがある。第四級アンモニウム塩の含有量は、オルトフタルアルデヒド1重量部に対して12重量部以下で十分な安定化効果が得られ、通常はオルトフタルアルデヒド1重量部に対して12重量部を超える第四級アンモニウム塩を含有させる必要はなく、第四級アンモニウム塩の含有量が多すぎると、オルトフタルアルデヒドの含有量が相対的に低くなる。
【0007】
本発明組成物において、溶媒として用いる水に特に制限はなく、例えば、水道水、軟水、純水などを挙げることができ、工業用水なども使用することができる。
本発明組成物において、溶媒として用いる有機溶剤に特に制限はなく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類、メチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートなどのグリコールエステル類、炭素数8以下のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル,乳酸エチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、フタル酸ジメチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−3−メトキシブチル、3−メトキシジブチルアセテート、2−エトキシメチルアセテート、プロピレンカーボネートなどのエステル類、1,2−ジブトキシエタン、ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロンなどのケトン類、トルエン、キシレン、1,2−ジメチル−4−エチルベンゼンなどの芳香族系溶媒、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどを挙げることができる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明組成物において、溶媒として水と有機溶剤の混合物を用いる場合、溶媒中の水の含有量は5重量%以上であることが好ましい。溶媒中の水の含有量を5重量%以上とすることにより、組成物の引火性を低減して、安全性を高めることができる。水との混合物として用いる親水性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコー、ポリエチレングリコールなどのグリコール類、メチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートなどのグリコールエステル類、炭素数8以下のアルコール類、ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどを挙げることができる。
【0008】
本発明組成物の調製方法に特に制限はなく、例えば、あらかじめオルトフタルアルデヒドを有機溶剤に溶解した溶液を調製し、この溶液中に第四級アンモニウム塩を添加して調製することができ、あらかじめオルトフタルアルデヒドを少量の親水性有機溶剤に溶解した溶液に第四級アンモニウム塩を添加し、さらに水を添加して水性製剤品を調製することもでき、あるいは、オルトフタルアルデヒドと第四級アンモニウム塩を混合したのち、水を添加して水性製剤品を調製することもできる。溶媒として水又は水と有機溶剤の混合物を用いた本発明組成物は、引火性などの取り扱い上の不便さがなく、経済的にもコスト的に有利であり、防菌防黴対象水系での分散性が良好なので、好適に用いることができる。
本発明組成物を製造したり、容器に充填する際に、発泡の問題が生ずる場合には、消泡剤を配合することができる。消泡剤の配合量に特に制限はなく、例えば、0.001〜1重量%を配合することができる。
本発明のオルトフタルアルデヒド安定化組成物は、通常の水への溶解度以上に高濃度のオルトフタルアルデヒドを含有し、防菌防黴対象水系中への分散性が向上し、経済的にも安価で、製剤品の引火性がない水性安定化組成物とすることができる。また、本発明のオルトフタルアルデヒド安定化組成物は、求核性の有無に関わらず、有機溶剤を用いたオルトフタルアルデヒド溶液の安定性が向上し、経時変化や保管温度変化によるオルトフタルアルデヒドの分解が抑制された組成物とすることもできる。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、オルトフタルアルデヒド安定化組成物の評価は、下記の方法により行った。
1.オルトフタルアルデヒドの定量分析
オルトフタルアルデヒドの定量分析は、ジフェニルメタンを内部標準物質として、ガスクロマトグラフィーにより行う。
(1)試薬
オルトフタルアルデヒド標準品は、東京化成工業(株)製の純度99重量%以上の試薬を用いる。内部標準溶液は、ジフェニルメタン5.0gをアセトニトリル100mLに溶解した溶液を用いる。
(2)ガスクロマトグラフィー
下記の条件により、ガスクロマトグラフィーで分析する。
カラム:無極性キャビラリーカラム[(株)島津製作所、CBP1−M25−025]
カラム温度:120℃から200℃まで、15℃/minで昇温
注入口温度:200℃
検出器温度:200℃
検出器:FID
キャリアー:ヘリウム、140kPa
スプリット:1/100
注入量:0.5μL(オートインジェクター)
(3)検量線作成
オルトフタルアルデヒド標準品を、10mL共栓付き三角フラスコに10mgから100mgまで、15mgおきに合計7点精秤し、それぞれに内部標準溶液1mLを加え、アセトニトリルを加えて全量を10mLとする。
これらの溶液0.5μLを、オートインジェクターを用いて注入し、クロマトグラムから、内部標準物質に対するオルトフタルアルデヒド標準品の面積比を求め、重量比との検量線を作成する。
(4)試料分析
適当量の試料を10mL共栓付き三角フラスコに精秤し、内部標準溶液1mLを加え、アセトニトリルを加えて全量を10mLとする。
この溶液0.5μLを、オートインジェクターを用いて注入し、クロマトグラムから、内部標準物質に対するオルトフタルアルデヒドの面積比を算出する。
(5)定量計算
試料の面積比を、検量線により重量比に換算する。
オルトフタルアルデヒド含量(重量%)
={重量比×内部標準物質重量(mg)×100}/試料採取量(mg)
2.溶解性
25℃において、目視により観察し、下記の基準により評価する。
○:オルトフタルアルデヒドが完全に溶解している。
×:未溶解のオルトフタルアルデヒドが残存している。
3.凝固点
JIS K 0065 化学製品の凝固点測定方法に準じて測定する。
4.引火点
JIS K 2265 原油及び石油製品引火点試験方法に準じて、クリーブランド開放式により、引火点の有無を判定する。
5.水系添加時の分散性
ビーカーに水100mLを入れ、マグネットスターラーで撹拌しながら製剤品1mLを添加し、1分間撹拌したのち静置し、状態を観察する。
○:良好に分散、溶解する。
△:油滴が水面に形成される。
×:オルトフタルアルデヒドが析出する。
比較例1
水98重量部及びオルトフタルアルデヒド2重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製した。オルトフタルアルデヒドは、完全に溶解していた。凝固点は、−5℃であった。30℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は0.95重量%であり、残存率は48%であった。60℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は0.64重量%であり、残存率は32%であった。
比較例2
第1表に示す配合によりオルトフタルアルデヒド製剤品を調製し、評価を行った。
比較例3
水94重量部及びオルトフタルアルデヒド6重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品の調製を試みた。未溶解のオルトフタルアルデヒドが残存し、均一な製剤品を得ることができなかった。
比較例4〜7
第1表に示す配合により、オルトフタルアルデヒド製剤品の調製を試みた。
比較例1〜7の結果を、第1表に示す。
【0010】
【表1】
Figure 0003951286
【0011】
第1表に見られるように、水にオルトフタルアルデヒドを配合した場合、オルトフタルアルデヒド4重量%以下は均一に溶解するが、オルトフタルアルデヒドが6重量%以上になると、未溶解のオルトフタルアルデヒドが残存し均一な製剤品とならない。また、低濃度のオルトフタルアルデヒドが均一に溶解した場合も、製剤品の凝固点が低く、寒冷地での使用に耐えない上に、オルトフタルアルデヒドの分解が速く、90日後の残存率が低い。
実施例1
水86重量部、オルトフタルアルデヒド6重量部及び80重量%ジメチルジデシルアンモニウムクロライド[ロンザ社、バーダック2280]8重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製した。オルトフタルアルデヒドは、完全に溶解していた。凝固点は、−10℃であった。30℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は5.95重量%であり、残存率は99%であった。60℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は5.90重量%であり、残存率は98%であった。
実施例2〜5
第2表に示す配合によりオルトフタルアルデヒド製剤品を調製し、評価を行った。
比較例8
水82重量部、オルトフタルアルデヒド10重量部及び80重量%ジメチルジデシルアンモニウムクロライド[ロンザ社、バーダック2280]8重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製し評価を行った。
比較例9
第2表に示す配合により、オルトフタルアルデヒド製剤品の調製を試みた。
実施例1〜5及び比較例8〜9の結果を、第2表に示す。
【0012】
【表2】
Figure 0003951286
【0013】
第2表に見られるように、水、オルトフタルアルデヒド及びオルトフタルアルデヒド1重量部に対し0.96重量部以上のジメチルジデシルアンモニウムクロライドを配合して調製した実施例1〜5の製剤品は、均一に溶解した製剤品となり、凝固点が低く、60℃に90日放置したのちのオルトフタルアルデヒドの残存率も高い。これに対して、オルトフタルアルデヒド1重量部に対するジメチルジデシルアンモニウムクロライドの配合量が0.64重量部である比較例8の製剤品はオルトフタルアルデヒドの残存率が低く、オルトフタルアルデヒド1重量部に対するジメチルジデシルアンモニウムクロライドの配合量が0.32重量部である比較例9では、均一な製剤品が得られていない。
実施例6
水85重量部、オルトフタルアルデヒド6重量部及び70重量%ジメチルイソノニルデシルアンモニウムクロライド[ロンザ社、バーダック2170P]9重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製した。オルトフタルアルデヒドは、完全に溶解していた。凝固点は、−10℃であった。30℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は5.96重量%であり、残存率は99%であった。60℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は5.88重量%であり、残存率は98%であった。
実施例7〜9及び比較例10〜11
第3表に示す配合により、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製し、あるいは、調製を試みて、評価を行った。
実施例6〜9及び比較例10〜11の結果を、第3表に示す。
【0014】
【表3】
Figure 0003951286
【0015】
第3表に見られるように、水、オルトフタルアルデヒド及びオルトフタルアルデヒド1重量部に対し1.05重量部のジメチルイソノニルデシルアンモニウムクロライドを配合して調製した実施例6〜9の製剤品は、均一に溶解した製剤品となり、凝固点が低く、60℃に90日放置したのちのオルトフタルアルデヒドの残存率も高い。これに対して、オルトフタルアルデヒド1重量部に対するジメチルイソノニルデシルアンモニウムクロライドの配合量が0.70重量部である比較例10の製剤品は、オルトフタルアルデヒドの残存率が低く、オルトフタルアルデヒド1重量部に対するジメチルイソノニルデシルアンモニウムクロライドの配合量が0.35重量部である比較例11では、均一な製剤品が得られていない。
実施例10
水86重量部、オルトフタルアルデヒド6重量部及び80重量%ジメチルジ−n−オクチルアンモニウムクロライド[ロンザ社、バーダックLF−80]8重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製した。オルトフタルアルデヒドは、完全に溶解していた。凝固点は、−10℃であった。30℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は5.91重量%であり、残存率は99%であった。60℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は5.89重量%であり、残存率は98%であった。
実施例11〜14及び比較例12〜13
第4表に示す配合により、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製し、あるいは、調製を試みて、評価を行った。
実施例10〜14及び比較例12〜13の結果を、第4表に示す。
【0016】
【表4】
Figure 0003951286
【0017】
第4表に見られるように、水、オルトフタルアルデヒド及びオルトフタルアルデヒド1重量部に対し0.96重量部以上のジメチルジ−n−オクチルアンモニウムクロライドを配合して調製した実施例10〜14の製剤品は、均一に溶解した製剤品となり、凝固点が低く、60℃に90日放置したのちのオルトフタルアルデヒドの残存率も高い。これに対して、オルトフタルアルデヒド1重量部に対するジメチルジ−n−オクチルアンモニウムクロライドの配合量が0.64重量部である比較例12の製剤品は、オルトフタルアルデヒドの残存率が低く、オルトフタルアルデヒド1重量部に対するジメチルジ−n−オクチルアンモニウムクロライドの配合量が0.32重量部である比較例13では、均一な製剤品が得られていない。
実施例15
水82重量部、オルトフタルアルデヒド6重量部及びジメチルジ−n−オクチルアンモニウムクロライド、ジメチルオクチルデシルアンモニウムクロライド及びジメチルジ−n−デシルアンモニウムクロライドの含量50重量%の混合物[ロンザ社、バーダック2050]12重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製した。オルトフタルアルデヒドは、完全に溶解していた。凝固点は、−10℃であった。30℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は5.96重量%であり、残存率は99%であった。60℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は5.92重量%であり、残存率は99%であった。
実施例16〜19及び比較例14〜15
第5表に示す配合により、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製し、あるいは、調製を試みて、評価を行った。
実施例15〜19及び比較例14〜15の結果を、第5表に示す。
【0018】
【表5】
Figure 0003951286
【0019】
第5表に見られるように、水、オルトフタルアルデヒド及びオルトフタルアルデヒド1重量部に対し1.0重量部の第四級アンモニウムクロライド混合物を配合して調製した実施例15〜19の製剤品は、均一に溶解した製剤品となり、凝固点が低く、60℃に90日放置したのちのオルトフタルアルデヒドの残存率も高い。これに対して、オルトフタルアルデヒド1重量部に対する第四級アンモニウムクロライド混合物の配合量が0.75重量部である比較例14の製剤品は、オルトフタルアルデヒドの残存率が低く、オルトフタルアルデヒド1重量部に対する第四級アンモニウムクロライド混合物の配合量が0.5重量部である比較例15では、均一な製剤品が得られていない。
比較例16
ジエチレングリコールモノメチルエーテル90重量部及びオルトフタルアルデヒド10重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製した。30℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は8.5重量%であり、残存率は85%であった。60℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は4.8重量%であり、残存率は48%であった。
比較例17〜19
第6表に示す配合によりオルトフタルアルデヒド製剤品を調製し、評価を行った。
【0020】
【表6】
Figure 0003951286
【0021】
第6表に見られるように、有機溶剤としてジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、オクタノール又はジメチルスルホキシドを用い、オルトフタルアルデヒドを配合して調製した製剤品は、オルトフタルアルデヒドの分解が速く、90日後の残存率が低い。
実施例20
ジエチレングリコールモノメチルエーテル89重量部、オルトフタルアルデヒド10重量部及び80重量%ジメチルジデシルアンモニウムクロライド[ロンザ社、バーダック2280]1重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製した。30℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は9.2重量%であり、残存率は92%であった。60℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は8.5重量%であり、残存率は85%であった。
実施例21〜26
第7表に示す配合により、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製して、評価を行った。
実施例20〜26の結果を、第7表に示す。
【0022】
【表7】
Figure 0003951286
【0023】
第7表に見られるように、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、オルトフタルアルデヒド及びオルトフタルアルデヒド1重量部に対し . 08〜6 . 重量部のジメチルジデシルアンモニウムクロライドを配合して調製した実施例20〜26の製剤品は、60℃に90日放置したのちのオルトフタルアルデヒドの残存率が高い。
実施例27
ジエチレングリコール89重量部、オルトフタルアルデヒド10重量部及び80重量%ジメチルジデシルアンモニウムクロライド[ロンザ社、バーダック2280]1重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製した。30℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は8.8重量%であり、残存率は88%であった。60℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は8.2重量%であり、残存率は82%であった。
実施例28〜33
第8表に示す配合により、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製して、評価を行った。
実施例27〜33の結果を、第8表に示す。
【0024】
【表8】
Figure 0003951286
【0025】
第8表に見られるように、ジエチレングリコール、オルトフタルアルデヒド及びオルトフタルアルデヒド1重量部に対し . 08〜6 . 重量部のジメチルジデシルアンモニウムクロライドを配合して調製した実施例27〜33の製剤品は、60℃に90日放置したのちのオルトフタルアルデヒドの残存率が高い。
実施例34
オクタノール89重量部、オルトフタルアルデヒド10重量部及び80重量%ジメチルジ−n−オクチルアンモニウムクロライド[ロンザ社、バーダックLF−80]1重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製した。30℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は9.1重量%であり、残存率は91%であった。60℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は8.5重量%であり、残存率は85%であった。
実施例35〜40
第9表に示す配合により、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製して、評価を行った。
実施例34〜40の結果を、第9表に示す。
【0026】
【表9】
Figure 0003951286
【0027】
第9表に見られるように、オクタノール、オルトフタルアルデヒド及びオルトフタルアルデヒド1重量部に対し . 08〜6 . 重量部のジメチルジ−n−オクチルアンモニウムクロライドを配合して調製した実施例34〜40の製剤品は、60℃に90日放置したのちのオルトフタルアルデヒドの残存率が高い。
実施例41
ジメチルスルホキシド89重量部、オルトフタルアルデヒド10重量部及び80重量%ジメチルジ−n−オクチルアンモニウムクロライド[ロンザ社、バーダックLF−80]1重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製した。30℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は9.1重量%であり、残存率は91%であった。60℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は8.2重量%であり、残存率は82%であった。
実施例42〜47
第10表に示す配合により、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製して、評価を行った。
実施例41〜47の結果を、第10表に示す。
【0028】
【表10】
Figure 0003951286
【0029】
第10表に見られるように、ジメチルスルホキシド、オルトフタルアルデヒド及びオルトフタルアルデヒド1重量部に対し . 08〜6 . 重量部のジメチルジ−n−オクチルアンモニウムクロライドを配合して調製した実施例41〜47の製剤品は、60℃に90日放置したのちのオルトフタルアルデヒドの残存率が高い。
実施例48
水56重量部、オルトフタルアルデヒド20重量部及び80重量%ジメチルジデシルアンモニウムクロライド[ロンザ社、バーダック2280]24重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製した。引火点は、認められなかった。水に添加したとき、良好に分散、溶解した。60℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は、19.6重量%であり、残存率は98%であった。
実施例49
水の代わりに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを用いた以外は、実施例48と同様にしてオルトフタルアルデヒド製剤品を調製し、評価を行った。
実施例50
水の代わりに、プロピレンカーボネートを用いた以外は、実施例48と同様にしてオルトフタルアルデヒド製剤品を調製し、評価を行った。
実施例51
水の代わりに、ジメチルアセトアミドを用いた以外は、実施例48と同様にしてオルトフタルアルデヒド製剤品を調製し、評価を行った。
実施例52
水56重量部の代わりに、水36重量部とジメチルアセトアミド20重量部を用いた以外は、実施例48と同様にしてオルトフタルアルデヒド製剤品を調製し、評価を行った。
比較例20
ジエチレングリコールモノメチルエーテル80重量部及びオルトフタルアルデヒド20重量部を配合して、オルトフタルアルデヒド製剤品を調製した。引火点が、認められた。水に添加したとき、オルトフタルアルデヒドが析出した。60℃に90日放置したのちの製剤品中のオルトフタルアルデヒドの濃度は、10.2重量%であり、残存率は51%であった。
比較例21
ジエチレングリコールモノメチルエーテルの代わりに、プロピレンカーボネートを用いた以外は、比較例20と同様にしてオルトフタルアルデヒド製剤品を調製し、評価を行った。
比較例22
ジエチレングリコールモノメチルエーテルの代わりに、ジメチルアセトアミドを用いた以外は、比較例20と同様にしてオルトフタルアルデヒド製剤品を調製し、評価を行った。
実施例48〜52及び比較例20〜22の結果を、第11表に示す。
【0030】
【表11】
Figure 0003951286
【0031】
第11表に見られるように、ジメチルジデシルアンモニウムクロライドを含有し、溶媒として水を用いた実施例48の製剤品及び溶媒として水とジメチルアセトアミドの混合物を用いた実施例52の製剤品は、引火点がなく安全に使用することができ、水系へ添加したときの分散性が良好であり、60℃で90日放置したのちのオルトフタルアルデヒドの残存率も高い。また、ジメチルジデシルアンモニウムクロライドを含有し、溶媒として有機溶剤を用いた実施例49〜51の製剤品は、引火点を有するが、水系へ添加したときの分散性はおおむね良好であり、60℃で90日放置したのちのオルトフタルアルデヒドの残存率も高い。
これに対して、ジメチルジデシルアンモニウムクロライドを含有しない製剤品のうち、溶媒としてジエチレングリコールモノメチルエーテルを用いた比較例20の製剤品は、オルトフタルアルデヒドの残存率が低く、溶媒としてプロピレンカーボネートを用いた比較例21の製剤品と、溶媒としてジメチルアセトアミドを用いた比較例22の製剤品は、オルトフタルアルデヒドの残存率は高いが、いずれも水に添加したときオルトフタルアルデヒドが析出するので実用に耐えない。
【0032】
【発明の効果】
溶媒として水又は水と有機溶剤の混合物を含有する本発明のオルトフタルアルデヒド安定化組成物は、通常の水への溶解度以上に高濃度のオルトフタルアルデヒドを含有し、防菌防黴対象水系中への分散性が向上し、経済的にも安価で、製剤品の引火性がない組成物である。また、溶媒として有機溶剤を含有する本発明のオルトフタルアルデヒド安定化組成物は、求核性の有無に関わらず、オルトフタルアルデヒド溶液の安定性が向上し、経時変化や保管温度変化によるオルトフタルアルデヒドの分解が抑制された組成物である。

Claims (4)

  1. オルトフタルアルデヒド1重量部に対し、安定化剤として第四級アンモニウム塩0.8〜7重量部を含有し、溶媒として水のみを用いることを特徴とするオルトフタルアルデヒド安定化組成物。
  2. 第四級アンモニウム塩が、一般式[1]で表される構造を有する請求項1記載のオルトフタルアルデヒド安定化組成物。
    Figure 0003951286
    (ただし、式中、R1は炭素数1〜18のアルキル基であり、3個のR1は同一であっても異なっていてもよく、R2は、炭素数8〜18のアルキル基、ベンジル基又はヒドロキシルエチル基であり、Xは、塩素、臭素、ヒドロキシル基又はプロピオネート基である。)
  3. オルトフタルアルデヒド1重量部に対し、安定化剤として第四級アンモニウム塩0.05〜12重量部を含有し、溶媒として有機溶剤又は有機溶剤と水との混合物を用いることを特徴とするオルトフタルアルデヒド安定化組成物。
  4. 第四級アンモニウム塩が、一般式[1]で表される構造を有する請求項3記載のオルトフタルアルデヒド安定化組成物。
    Figure 0003951286
    (ただし、式中、R1は炭素数1〜18のアルキル基であり、3個のR1は同一であっても異なっていてもよく、R2は、炭素数8〜18のアルキル基、ベンジル基又はヒドロキシルエチル基であり、Xは、塩素、臭素、ヒドロキシル基又はプロピオネート基である。)
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