JP3950746B2 - 薄片状粉チーズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器に充填した状態で保存したときに生じるブロッキングが抑制された薄片状粉チーズに関する。
【0002】
【従来の技術】
スパゲティー等に振りかける従来の粉チーズとして、パルメザンチーズを粉砕したものが広く知られている。このような粉チーズは、粉砕後乾燥して保存性を高めることにより、円柱状の振り出し容器に入れられ、広く流通しているが、開封後は水分を吸って固まってしまう、いわゆるブロッキングという現象が生じ、容器から容易に振り出せなくなったり、ひどい時は最後まで利用できなくなってしまうことがあった。
また、薄片状チーズの製造方法として、特開平6-113738号公報に硬質チーズのフレーク製造方法が開示されているが、この方法で得られるチーズは、粉チーズのようにスパゲティー等に振りかけたりするようなものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の粉チーズと同じように使用でき、従来の粉チーズにおいて問題となっている容器に保存中に起こるブロッキングを抑制した新規粉チーズを得ることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、チーズを呼び寸法19mmのふるいをすべて通過し、かつ呼び寸法1.7mmのふるいを通過するチーズ片量が全チーズ片量の50重量%以下であり、さらに水分が20重量%以下である薄片状粉チーズとすることで、従来の粉チーズに代わる円柱状の振り出し容器に充填した状態で保存したときに起こるブロッキングが抑制された新規粉チーズが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、以下の条件を満たす薄片状粉チーズに関する。
(1)呼び寸法19mmのふるいをすべてのチーズ片が通過する。
(2)呼び寸法1.7mmのふるいを通過するチーズ片量が全チーズ片量の50重量%以下である。
(3)水分が20重量%以下である。
なお、本発明で使用する呼び寸法1.7mm及び19mmのふるいは、JIS試験用ふるい規格(JIS Z 8801)によるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる原料チーズとしては、パルメザンチーズ等、通常粉チーズの原料として利用する硬質チーズあるいはプロセスチーズを用いることができる。
本発明の薄片状粉チーズは、例えば、原料チーズを削った後に水分が20重量%以下となるように乾燥し、呼び寸法19mmのふるいと呼び寸法1.7mmのふるいを順に通過させ、呼び寸法1.7mmのふるいを通ったものと通らなかったものを混合して呼び寸法1.7mmのふるいを通過するチーズ片量が全チーズ片量の50重量%以下とすることにより得ることができる。水分が20重量%を超えると、ブロッキングが生じやすくなるため、水分が20重量%以下、好ましくは5〜15重量%となるようにする。原料チーズを削る方法としては、市販の粉砕機等を用いればよい。乾燥方法としては流動乾燥法等、通常行われる方法を用いることができる。
薄片状粉チーズの大きさとしては、チーズ片が小さくなるとブロッキングが生じやすくなることから、呼び寸法1.7mmのふるいを通過するチーズ片量が全チーズ片量の50重量%以下となるようにする。また、大きいチーズ片が存在すると従来の粉チーズと比較して食感が悪くなってしまうことから、呼び寸法19mmのふるいをすべてのチーズ片が通過するようにする。
【0007】
このようにして得られた本発明の薄片状粉チーズは、市販されている粉チーズが通常充填されている円柱状の振り出し容器に充填して長期保存したときに起こったブロッキングという現象が抑制され、長期保存後もスパゲティー等に容易に振りかけることができるという特徴を有している。
以下に試験例及び実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。
【0008】
【試験例1】
パルメザンチーズを粉砕機で削った後、水分が13重量%となるように流動乾燥して粗削りチーズを得た。このチーズを呼び寸法19mmのふるいにかけ、通過したものについて、呼び寸法1.7mmのふるいにかけ、通過したものをチーズA、通過しなかったものをチーズBとし、これらのチーズA及びBを表1に示す割合で混合し、試作品1〜5とした。
【0009】
このようにして得られた試作品1〜5及び市販の粉チーズである対照品について、円柱状の振り出し容器に入れ、未開封の状態で1週間、1日毎に5℃と25℃で保存したのち、各チーズの状態を以下の基準で評価した。
◎:全くブロッキングしていない
○:ややブロッキングしているが、すぐにくずれる
△:ブロッキングしており、すぐにはくずれないが、強く振るとくずれる
×:ブロッキングしており、固まってくずれない
その結果を表1に示した。
【0010】
【表1】
【0011】
これによると、呼び寸法1.7mmのふるいを通過したチーズAを50重量%以下しか含まない試作品1〜3は、全くブロッキングがないかあるいはややブロッキングしているがすぐにくずれる状態であったのに対し、チーズAを50重量%を超えて含む試作品4、試作品5及び従来の粉チーズである対照品はブロッキングしていてすぐにはくずれない状態であった。
【0012】
このことから、呼び寸法1.7mmのふるいを通過するチーズ片量が全チーズ片量の50重量%以下となるようにした薄片状粉チーズとすることにより、円柱状の振り出し容器に入れて保存したときに起こるブロッキングが抑制されることが分かった。
【0013】
【試験例2】
パルメザンチーズを粉砕機で削った後、表2に示す水分値となるように流動乾燥して粗削りチーズを得た。これらのチーズを呼び寸法19mmのふるいにかけ、通過したものについて、呼び寸法1.7mmのふるいにかけ、通過したものを50重量%、通過しなかったものを50重量%となるように混合し、試作品6〜9とした。
このようにして得られた試作品6〜9について、円柱状の振り出し容器に入れ、未開封の状態で1週間、1日毎に5℃と25℃で保存したのち、各チーズの状態を試験例1と同様の基準で評価した。その結果を表2に示した。
【0014】
【表2】
【0015】
これによると、水分が20重量%以下である試作品6〜8は、全くブロッキングがないかあるいはややブロッキングしているがすぐにくずれる状態であったのに対し、水分が20重量%を超えている試作品9はブロッキングしていてすぐにはくずれない状態であった。また、水分がそれぞれ5、15重量%である試作品6及び試作品7は全くブロッキングしていなかった。
このことから、薄片状粉チーズの水分が20重量%以下、好ましくは5〜15重量%であると、円柱状の振り出し容器に入れて保存したときに起こるブロッキングが抑制されることが分かった。
【0016】
【実施例1】
パルメザンチーズを粉砕機で削った後、流動乾燥により水分を8重量%として、粗削りチーズを得た。このチーズを呼び寸法19mmのふるいと呼び寸法1.7mmのふるいを順に通過させ、呼び寸法1.7mmのふるいを通ったものと通らなかったものを2:3の割合で混合して円柱状の振り出し容器に充填し、本発明の薄片状粉チーズを製造した。このチーズを冷蔵庫に保存しつつ、1日1回使用したが、1ヵ月後チーズがなくなるまでブロッキングすることなく使用することができた。
【0017】
【発明の効果】
本発明により、容器に入れて保存したときに起こるブロッキングが抑制された新規な薄片状粉チーズを得ることができる。本発明の薄片状粉チーズは、従来の粉チーズと同様に利用することができる。
Claims (2)
- 原料チーズを削った後に水分が20重量%以下となるように必要に応じて乾燥し、呼び寸法19mmのふるいを通過させるとともに呼び寸法1.7mmのふるいを通過させ、呼び寸法1.7mmのふるいを通過するものと呼び寸法19mmのふるいは通過するが呼び寸法1.7mmのふるいは通過しないものとを混合して、呼び寸法1.7mmのふるいを通過するチーズ片量が全チーズ片量の50重量%以下とすることにより得られることを特徴とする薄片状粉チーズ。
- 原料チーズを削り、水分を20重量%以下に流動乾燥した後、呼び寸法19mmのふるいにかけ、通過したものを呼び寸法1.7mmのふるいにかけ、通過したものと通過しなかったものを混合して、呼び寸法1.7mmのふるいを通過したチーズ片量を全チーズ片量の50重量%以下とする薄片状粉チーズの製造方法。
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