JP3950248B2 - 魚群探知機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は魚群探知機等の反響探知装置に関するものであり、特に、魚種等の判別機能を改良した魚群探知機等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
漁船に搭載される魚群探知機は、水中に適宜な時間幅のバースト状の超音波を放射し、ターゲットである魚群からの反射波を受信することにより、魚群を探知するように構成されている。このバースト状の超音波は、数十kHz 〜数百kHz の超音波を数十μsec 〜数msec のバースト時間幅にわたって出現させたもので、トーン・バースト信号とも称される。このようなトーン・バースト信号の名称や波形ついては、必要に応じて、「海洋音響−基礎と応用−」(昭和59年海洋音響研究会編集発行)の162 頁、図2.3 などを参照されたい。
【0003】
このトーン・バースト信号は、搬送波とも言うべき連続的な正弦波をバースト時間幅だけスイッチを通して通過させたり、正弦波の発振器の動作をバースト時間幅だけ動作させることなどによって電気信号を作成し、この作成した電気信号で超音波のトランスジューサ(送受波器、電気/音響変換器あるいは超音波振動子とも称される)を駆動することによって発生せしめられる。このようなバースト信号は単にパルス信号とも称され、上述のバースト時間幅はパルス幅とも称される。
【0004】
ターゲットの長さが超音波の波長よりも小さくなるとそのターゲットストレングス(反射率:反射パワー/入射パワー)が小さくなるという現象を利用して、ターゲットの長さや魚種の判別が行われる。同一のターゲットに対して異なる周波数の2種類のバースト信号を放射してそれぞれの反射波を受信した場合、短い波長の反射波のレベルが長い波長の反射波のレベルよりも強ければ、ターゲットの長さが短い方の波長と長い方の波長の中間にあることが判別できる。このようにターゲットの長さを2周波の反射波のレベル差から判別する方法が従来、一般的に採用されてきた。
【0005】
例えば、 200kHzの周波数の超音波と28kHzの周波数の超音波を大きさが2cm〜3cmのターゲットに放射するものとする。200 kHzの超音波についてはその波長(0.75cm)がターゲットの長さよりも短いため大きなレベルの反射波が得られるが、28kHzの超音波についてはその波長(5.3cm) がターゲットの長さよりも長いため反射波のレベルが減少する。このような反射波のレベルと放射超音波の波長との関係から、ターゲットの大きさが2 〜3cm であり、妥当な魚種としてはシラスや小エビなどと推定される。これについては、特公昭40ー25555 号公報等などを参照されたい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の2周波方式には、次のような欠点がある。
▲1▼異なる周波数の超音波を放射する2個の超音波送受波器(トランスジューサ)の放射パターンが異なると、ある周波数について反射波が得られない場合、その原因が上述したようなターゲットの長さと波長との関係にあるのか、ターゲットが放射パターンの外にあるためなのかの区別が困難になる。そして、超音波の波長をλとした場合、直径Dの円板トランスジューサの放射パターンの指向角は29.5λ/Dで与えられることを考慮すると、1桁近くも異なる二つの周波数について放射パターンを同一にすることは極めて困難である。例えば、周波数28kHzの超音波を放射するトランスジューサで周波数200 kHz用のトランスジューサと同一の指向角を実現しようとすれば、直径を7倍、面積を49倍に設定する必要があるが、サイドローブなどの点も考慮すると放射パターンを一致させることは極めて困難である。
【0007】
▲2▼1桁近くも異なる二つの周波数についてそれぞれの反射波のレベルを比較することになるため、各送受波系の感度を一致させる必要があるが、これは相当困難である。各送受波系統に個別の感度調整機構を付加することも考えられるが、煩雑な調整作業が必要になる。
【0008】
▲3▼探知対象のターゲットの長さが限定される。低周波側として、30kHz ( 波長5c m)以上の周波数の超音波を使用する場合、3〜5cm以上の大きさのターゲットからの反射波のレベルは一定になり、2 周波方式を適用できない。
【0009】
▲4▼2周波方式では、各周波数の反射波のレベルを差分方式などを用いて処理しているため、低周波側の反射波のレベルが高周波側の反射波のレベルよりも大きな場合でも、逆の場合と同様の判定が行われ、誤識別が生じ易くなる。
【0010】
従って、本発明の目的は、上述したような欠点を有する従来の2周波方式を用いないで、魚種、一般的にはターゲットの寸法の判別が可能な魚群探知機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決する本発明の魚群探知機によれば、トーン・バースト信号を送信する送信部と、このトーン・バースト信号の送信後に出現する反射波を受信信号として受信する受信部と、前記受信信号を濾波しその出力信号がターゲットの長さに応じたレベルの変化を示す狭帯域の帯域通過フィルタと、前記受信信号を濾波しその出力信号がターゲットの長さに応じたレベルの変化を示さない広帯域の帯域通過フィルタと、前記狭帯域の帯域通過フィルタと広帯域の帯域通過フィルタの出力を処理し、レベルに応じた異なる着色又は輝度が付された第1,第2のBスコープ表示信号を作成する信号処理部と、これら第1,第2のBスコープ表示信号を表示する表示部とを備えている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記表示部は前記第1,第2のBスコープ表示信号を隣接させて表示するように構成されている。
【0013】
本発明の他の好適な実施の形態によれば、送信されるトーン・バースト信号の時間幅は(数十〜数百)μ sec の範囲に設定され、狭帯域の帯域通過フィルタの帯域幅は±(数十〜数百) Hz の範囲に設定され、広帯域の帯域通過フィルタの帯域幅は±数 kHz の範囲に設定される。
【0014】
本発明の更に他の好適な実施の形態によれば、前記狭帯域の帯域通過フィルタと広帯域の帯域通過フィルタは、プログラムにより特性の変更が可能なディジタル・フィルタから構成される。
【0015】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例の魚群探知機の構成を示すブロック図である。この魚群探知機は、正弦波発生回路1、パルス発生回路2、アナログスイッチ3、電力増幅回路4、送受切換スイッチ5、トランスジューサ6、増幅・変換回路7、感度調整器8、狭帯域フィルタ9a、広帯域フィルタ9b、信号処理部10及びカラー表示装置11を備えている。
【0016】
パルス発生回路2は、信号処理部10から供給される一定周期の送信トリガ信号に同期して、200 μsec の一定時間幅のパルス信号を出力し、アナログスイッチ3に供給する。正弦波発生回路1からアナログスイッチ3に供給される一定振幅で一定周波数50kHz の正弦波の電気信号は、パルス発生回路2の出力によって200 μsec のバースト時間幅にわたって開かれるアナログスイッチ3を通過することにより、200 μsec の時間幅のバースト信号となり、電力増幅回路4で増幅される。増幅されたバースト信号は、送受切換えスイッチ5を経てトランスジューサ6に供給され、50kHzの超音波に変換されたトーン・バースト信号として水中に放射される。
【0017】
水中に放射され、魚群などのターゲットで反射されたトーン・バースト信号は、トランスジューサ6に受信され、電気信号に変換される。この電気信号に変換された受信バースト信号は、上記トーン・バースト信号の送信後に直ちに送信側から受信側に切換えられる送受切換スイッチ5を経て増幅・周波数変換回路7に供給され、ここで60dB程度増幅されたのち、中心周波数が後段の各フィルタの構成に適した500kHz程度の中間周波に変換される。この中間周波信号は、感度調整器8を経て狭帯域フィルタ9aと、広帯域フィルタ9bとに供給される。狭帯域フィルタ9aと広帯域フィルタ9bのそれぞれから出力された濾波済みの信号は、信号処理部10に供給される。
【0018】
信号処理部10は、前段のアナログ処理部と後段のディジタル処理部とから構成されている。前段のアナログ処理部では、狭帯域フィルタ9aと広帯域フィルタ9bから出力された濾波済みの信号がAF増幅され、検波される。この検波された信号は、後段のディジタル処理部において、A/D変換によりディジタル信号に変換され、Bスコープ表示用の画像データに変換され、画像メモリに書き込まれる。
【0019】
R.J.ユーリック著「水中音響の原理」(共立出版社昭和53年初版第1刷発行) によれば、ターゲットで反射され、トランスジューサに受信されるトーン・バースト信号(パルス信号)のバースト時間幅(パルス幅)は、ターゲットの大きさに応じて変化する。ターゲットが、放射されたパルス信号に含まれる正弦波(搬送波)の波長(この実施例の周波数50kHz では3cm)よりも十分に小さなプランクトンなどであれば、ターゲットで反射されたパルス信号のパルス幅は増加しない。これに対して、ターゲットが放射されたパルス信号の搬送波の波長よりも大きければ、反射されたパルス信号のパルス幅はターゲットの大きさと共に増加する。
【0020】
上記文献の311 頁によれば、反射されたパルス信号のパルス幅の増分をΔt、ターゲットの大きさをL、放射されたパルス信号のターゲットへの入射角をθ、水中の音速をcとおけば、次式が成立する。
Δt=2L cosθ/c (1)
式(1) において、L=30cm、θ=0、c=1500 m/s とおけば、Δt = 400μsec となる。この実施例では、200 μsec のパルス幅のパルス信号が放射されるため反射されたパルス信号のパルス幅は、この200 μsec よりも400 μsec だけ伸長されて600 μsec となる。
【0021】
この実施例では、狭帯域フィルタ9a の6dB ダウン帯域幅は± 200 Hz に設定され、広帯域フィルタ9bの6dBダウン帯域幅は±8kHz に設定されている。長さ30cm程度のイカなどのターゲットからの反射によって生じたパルス幅600 μsec の反射パルス信号がこの狭帯域フィルタ9aを通過した場合は、プランクトンなどの微小のターゲットからの反射によって生じたパルス幅200 μsec の反射パルス信号がこの狭帯域フィルタ9aを通過した場合よりも出力信号のレベルが8dB程度も増加する。これに対して、パルス幅600 μsec の反射パルス信号が広帯域フィルタ9bを通過した場合と、パルス幅200 μsec の反射パルス信号がこの広帯域フィルタ9bを通過した場合とでは、出力信号のレベルには差が生じない。
【0022】
このように、反射パルス信号のパルス幅が数百μsec の範囲では、帯域幅が±200 Hzの狭帯域フィルタ9aの出力のレベルは、数mmから数十cmの範囲にわたってターゲッの長さが変化すると、大きなレベルの変化が生じる。これに対して、帯域幅が±8kHz の広帯域フィルタ9bの出力のレベルは、数mmから数十cmの範囲にわたってターゲットの長さが変化しても変化しない。このように、ターゲットの長さ、あるいは魚種に応じたレベルの変化を示す狭帯域フィルタ9aの出力と、魚種に応じたレベルの変化を示さない広帯域フィルタ9bの出力が、信号処理部10においてBスコープ表示の画像データに処理され、画像メモリ10に書込まれる。
【0023】
画像メモリに書込まれた画像データは、データ転送部で読出されてカラー表示装置11に転送され、Bスコープ表示される。このBスコープ表示によれば、図1に例示するように、下方に向けて設定された縦軸が超音波トランスジューサから海中の反射体までの距離を示し、横軸が時間の経過を示している。そして、このBスコープ表示によれば、信号のレベルに応じて異なる着色が付される。例えば、大きなレベルほど赤みが増し、小さなレベルほど青みが増し、中間のレベルは白色となるような着色が行われる。
【0024】
カラー表示装置11上の右側の表示画面は、広帯域フィルタ9bを通過した反射パルス信号の検波波形のBスコープ表示画面である。この表示画面によれば、最下部に海底と見られる反射体からの強い反射波に基づく強い反応が表示されると共に、この海底の上方に海中のプランクトンと見られる広範囲の深度にわたって存在する反射体からの中規模のレベルの反射波に基づく白色のスポットが表示されている。このプランクトン中にイカが混在しているとしても、このイカによる反射パルス信号のレベルが上記プランクトンからの反射パルス信号のレベルと同等程度であれば、パルス幅に大きな差異が存在しても、イカとプランクトンとを分離して識別することはできない。
【0025】
上記右側の表示画面と併記される左側の表示画面は、狭帯域フィルタ9aを通過した反射パルス信号の検波波形のBスコープ表示画面である。この表示画面によれば、同じく最下部に海底と見られる反射体からの強い反射波に基づく反応が表示されると共に、プランクトンに混在するイカなどと見られる白色の大きめのスポットが表示されている。イカからの反射パルス信号のレベルが周囲のプランクトンからのものと同程度であっても、イカからの反射波パルス信号がプランクトンからのものよりもパルス幅が大きくなる。このため、狭帯域フィルタを通過した後のイカからの反射パルス信号のレベルはプランクトンからのものよりも8dBほど大きくなる。この結果、表示画面からはプランクトンの反応が消滅し、イカの反応のみが表示される。
【0026】
このように、イカからの反射パルス信号とプランクトンからの反射パルス信号はそれぞれのレベルが同等である限り、広帯域フィルタを通過した反射パルス信号のBスコープ表示画面上では、両者を分離できない。これに対して、両者からの反射パルス信号のレベルが同等であっても、狭帯域フィルタを通過した後の反射パルス信号のBスコープ表示画面上では、それぞれのパルス幅の差異に基づく出力信号のレベル差によって両者が明確に分離される。
【0027】
パルス発生回路2から出力されるパルス信号のパルス幅は、探知対象の魚種の寸法に応じて最適の値を選択できるように、調整可能となっている。判別の対象となる魚種としては、体長30cm程度のイカや、体長10cm程度の子エビや、体長数cmのシラスなどがある。これらのターゲットによるパルス幅の伸長幅は、高々数十μsec 〜数百μsec である。従って、このように微小な伸長幅を精度良く識別するにはなるべく狭いパルス幅のトーン・バースト信号を送信することが好ましい。しかしながら、パルス幅を狭くし過ぎると、探知能力などの点で問題が生じてくる。本発明者の考えでは、数十μsec 〜数百μsec の範囲が好適である。
【0028】
図2は、上述した本発明の原理の一つである帯域通過フィルタにおけるバースト信号の通過損失がこのバースト信号の時間幅とこのフィルタの帯域幅とに依存して変化する様子を検証するための評価装置である。搬送波発生器21からは455 kHz の搬送波が出力され、幅可変パルス信号発生器22からは100 μsec 〜5msec の範囲の可変幅のパルスが出力される。搬送波発生器21で発生された455 kHz の搬送波はアナログスイッチ23において、幅可変パルス信号発生器22から出力されたパルス信号の幅によって決定されるバースト状の搬送波に変換され、評価用クリスタルフィルタの入力端子に供給される。
【0029】
また、使用する搬送波の波長としては、判別しようとする魚の長さよりも短いものを使用すると、魚が大きくなるにつれて反射パルス信号のパルス幅が増加することに加えて、ターゲットストレングスが増加、すなわち反射波のレベルが増加する。このため、狭帯域のフィルタを通過した後の反射パルス信号のレベルが相乗的に増加し、S/Nが増加して識別精度が高まるという利点がある。
【0030】
評価用クリスタルフィルタ24の出力は、オッシロスコープ25のCH2に供給される。一方、評価用クリスタルフィルタ24の入力は、オッシロスコープ25のCH1に供給され、幅可変パルス信号発生器から出力されるパルス信号はオッシロスコープ25の外部トリガ入力端子(EXT)に供給される。
【0031】
図3と図4は、図2の評価装置を用いて行った実験によってオッシロスコープ25に表示された波形を示している。図2の評価用クリスタルフィルタ24の中心周波数を搬送波の周波数に等しい455 kHz に設定し、最上段のAから最下段のCにかけて順次示すように、パルス信号発生器22とアナログスイッチ23とを用いて時間幅が5msec 、500 μsec 、100 μsec のバースト信号を発生させ、このバースト信号を評価用クリスタルフィルタ24に入力した場合の入力波形をA〜Cの各図の上段に、出力波形を下段に示している。
【0032】
図3では、評価用クリスタルフィルタ24の6dB低下帯域幅を±8kHz に設定し、表示画面A,B,Cの全てにおいて、横軸は1ms/div 、縦軸は100mV/div に設定されている。表示画面A,B,Cの全てにおいて出力波形の振幅は入力波形の振幅に比べて半分に減衰しているが、この減衰量はバースト信号の時間幅に依存しないことが判る。
【0033】
図4では、評価用クリスタルフィルタ24の6dB低下帯域幅を±200Hz に設定し、表示画面A,B,Cの全てにおいて、横軸は1ms/div 、縦軸は上段の入力波形については1V/div 、下段の出力波形については50mV/divに設定されている。表示画面A,B,Cに示すように、バースト信号の時間幅が5 msec よりも小さくなり、500 μsec 、100 μsec となると、出力振幅のバースト時間幅依存性が顕著になる。
【0034】
上記波形の観察結果をグラフにまとめると図5に示すような曲線が得られる。横軸はバースト信号の時間幅、縦軸はフィルタの出力信号のピーク値(mV) である。図中の実線は帯域幅±200 Hzの狭帯域フィルタについての特性、点線は帯域幅±8kHz の広帯域フィルタの特性である。
【0035】
図6は、本発明の他の実施例の魚群探知機の構成を示すブロック図である。この実施例の魚群探知機は、搬送波発生回路31、パルス発生回路32、アナログスイッチ33、電力増幅回路34、送受切換スイッチ35、トランスジューサ36、増幅回路37、感度調整器38、A/D変換回路39、、狭帯域ディジタルフィルタ40a、広帯域ディジタルフィルタ40b、信号処理部41、画像メモリ42、データ転送回路43及びカラー表示装置11を備えている。
【0036】
この魚群探知機のうち搬送波発生回路31からトランスジューサ36までの部分は、図1に示した魚群探知機と構成も動作も同一である。この魚群探知機が図1に示したものと異なる点は、アナログの広/狭帯域通過フィルタの代わりに、ディジタルの広/狭帯域通過フィルタを使用する点である。これは、最近のディジタル・シグナル・プロセッサの高性能化に伴って、データ処理速度が高速化され、リアルタイムに近い高速のもとでの濾波処理が可能になりつつある点と、ディジタルフィルタの種々の利点を考慮したことによる。
【0037】
そのために、A/D変換回路39が感度調整器38のすぐ後段に設置され、トランスジューサ36で受信されたのち、増幅と感度調整とを受けたアナログ受信反射信号が、このA/D変換回路39において直ちにディジタル信号に変換される。
【0038】
ディジタル信号に変換された受信反射信号は、ディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)内の狭帯域ディジタルフィルタ40aと広帯域ディジタルフィルタ40bのそれぞれによって濾波されたのち、信号処理部41に転送される。信号処理部41は、広/狭両帯域のディジタルフィルタ40b,40aから転送されてきた濾波済みのディジタル受信反射信号に対して、各ディジタルフィルタ内の群遅延に基づく伝送遅延量の差を補正したのち、Bスコープ表示用の画像データを作成して画像メモリ42に書き込む。この画像メモリ42に書込まれ画像信号は、データ転送部43によって読出され、カラー表示装置11に転送されて表示される。
【0039】
このように、広/狭帯域の濾波をディジタルフィルタで行う構成とすることにより、プログラムの変更による濾波特性の変更が容易になり、判別能力の向上を図ることができる。また、広/狭のアナログフィルタを通した後の各濾波済み信号のそれぞれをA/D変換する図1の構成に比べて、濾波前の受信反射信号をA/D変換する図6実施例の構成によれば、A/D変換回路を1個に節減できるという利点もある。更に、濾波から描画処理まで、データを一貫してディジタル処理することにより、信号の安定性が向上するという利点もある。
【0040】
以上、魚群探知機の場合を例にとって本発明を説明した。しかしながら、本発明の反響探知装置は、船舶の舳先の水中部分に取り付けることなどにより前方の水中に存在するかも知れない障害物などのように魚群以外のターゲットの探知にも適用できる。
【0041】
また、狭帯域フィルタの通過信号と広帯域フィルタの通過信号とを横に並べて併記する構成を例示した。しかしながら、両者の時間軸を逆向きにすることにより背中合わせに表示したり、両者を縦に並べて併記したりする表示方法を採用することもできる。
【0042】
以上、送信パルス幅の可変範囲や、広/狭両帯域のフィルタの可変帯域幅について具体的な数値を例示して説明した。しかしながら、これら例示した具体的な数値は、この発明の範囲を限定するものではないことはもちろんである。
【0043】
また、濾波信号をリアルタイムで表示する構成を例示した。しかしながら、本発明の反響探知装置を海中などに設置した状態で動作させ、広狭両帯域フィルタの濾波出力を検波し、ディジタル信号に変換して記録媒体に保存しておき、海中から引き上げた後に記録媒体に保存中のデータを読み出したり、表示するなどの処理を行うこともできる。
【0045】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の魚群探知機は、受信した反射パルス信号を広狭両帯域のフィルタ中に通過させた後にBスコープ表示等の処理を行う構成であるから従来の2周波方式に伴う各種の問題点が解消された魚群探知機を実現できるという効果が奏される。
【0046】
また、広/狭帯域の濾波をディジタルフィルタで行う本発明の一実施例によれば、プログラムの変更による濾波特性の変更が容易になり、判別能力の向上を図ることができる。また、濾波から描画処理まで、データを一貫してディジタル処理することにより、A/D変換回路の個数を削減できると共に、信号の安定性が向上するという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の魚群探知機の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の原理の一つであるトーン・バースト信号(パルス信号)に対する濾波特性を評価するための実験装置の機能ブロック図である。
【図3】図2の装置を用いた実験によって得られた広帯域フィルタの入力パルス信号の波形と出力パルス信号の波形のオッシロスコープ表示画面である。
【図4】図2の装置を用いた実験によって得られた狭帯域フィルタの入力パルス信号の波形と出力パルス信号の波形のオッシロスコープ表示画面である。
【図5】図2の装置を用いた実験によって得られた狭帯域フィルタと広帯域フィルタについての入力パルス信号の幅と出力パルス信号の振幅との関係を示す特性図である。
【図6】本発明の他の実施例の魚群探知機の構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
1 正弦波発生回路
2,32 パルス発生回路
3,33 アナログスイッチ
5,35 送受切換えスイッチ
6,36 トランスジューサ(送受波器)
9a 狭帯域アナログフィルタ
9b 広帯域アナログフィルタ
40a 狭帯域ディジタルフィルタ
40b 広帯域ディジタルフィルタ
10 信号処理部
11 カラー表示装置
Claims (5)
- トーン・バースト信号を送信する送信部と、
このトーン・バースト信号の送信後に出現する反射波を受信信号として受信する受信部と、
前記受信信号を濾波しその出力信号がターゲットの長さに応じたレベルの変化を示す狭帯域の帯域通過フィルタと、
前記受信信号を濾波しその出力信号がターゲットの長さに応じたレベルの変化を示さない広帯域の帯域通過フィルタと、
前記狭帯域の帯域通過フィルタと広帯域の帯域通過フィルタの出力を処理し、レベルに応じた異なる着色又は輝度が付された第1,第2のBスコープ表示信号を作成する信号処理部と
これら第1,第2のBスコープ表示信号を表示する表示部と
を備えたことを特徴とする魚群探知機。 - 請求項1において、
前記表示部は前記第1,第2のBスコープ表示信号を隣接させて表示することを特徴とする魚群探知機。 - 請求項1又は2において、
前記送信されるトーン・バースト信号の時間幅は(数十〜数百)μsec の範囲にわたって変更されることを特徴とする魚群探知機。 - 請求項1乃至3の一つにおいて、
前記狭帯域の帯域通過フィルタの帯域幅は±(数十〜数百)Hzであり、前記広帯域の帯域通過フィルタの帯域幅は±数kHz であることを特徴とする魚群探知機。 - 請求項1乃至4の一つにおいて、
前記狭帯域の帯域通過フィルタと広帯域の帯域通過フィルタは、プログラムにより特性の変更が可能なディジタル・フィルタから成ることを特徴とする魚群探知機。
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