JP3950232B2 - カラーセンサ用光学ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、検出物体の色を判別するカラーセンサに用いられるものであって、発光素子、受光素子、レンズ等を含む光学ユニットに関し、より具体的には、発光素子の発光光量一定化制御に用いられる補助受光素子の受光光量を増加させて、発光素子の発光光量一定化制御の精度および安定性を向上させ、ひいては温度変動に対する色判別性能の安定性を向上させる手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14に、従来の光学ユニットを用いたカラーセンサの一例を示す。このカラーセンサは、いわゆる光ファイバ形と呼ばれるものであり、光学ユニット20内で発した光34を投光ファイバ12内を通して導いて検出物体10に照射し、この検出物体10からの反射光40を受光ファイバ14内を通して光学ユニット20内に導き、この反射光40を元に光学ユニット20内において検出物体10の色を判別するよう構成されている。両光ファイバ12および14は、光学ユニット20に着脱可能に接続されている。
【0003】
光学ユニット20は、この例では、互いに異なる波長の光、具体的には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の光26〜28をそれぞれ発する三つの発光素子22〜24と、これらの光26〜28を一光路に合成して出力する合成光学素子30と、この合成光学素子30から出力される光34を上記投光ファイバ12の端面12aに向けて集光して投光ファイバ12内に入射させる集光レンズ36および投光レンズ38と、上記受光ファイバ14から出力される光(反射光40)を受けてそれを電気信号に変換する主受光素子42とを備えている。
【0004】
各発光素子22〜24は、例えば発光ダイオード(LED)である。合成光学素子30は、図示例では2枚のダイクロイックミラー31および32で構成されているけれども、それの代わりに、色合成プリズムで構成しても良い。主受光素子42は、例えばフォトダイオードである。
【0005】
発光素子22〜24は、駆動回路52によって駆動されて発光する。演算制御回路50は、この駆動回路52を制御して、三つの発光素子22〜24を時分割発光させる。即ち、三つの発光素子22〜24を、互いにタイミングをずらして順次発光させる。
【0006】
従って、主受光素子42は、検出物体10からの各色の反射光40を順次受光してそれらを電気信号に変換する。この主受光素子42から出力される電気信号は、増幅器46によって増幅されて演算制御回路50に供給される。演算制御回路50は、主受光素子42から与えられる電気信号に基づいて、各色の反射光40の量や割合から、検出物体10の色を判別する。例えば、演算制御回路50はマイクロプロセッサから成り、基準となる色データが予め入力されており、この色データと主受光素子42からの信号とを比較して演算処理することによって、検出物体10の色を判別してその判別結果を出力する。
【0007】
上記各発光素子22〜24の発光光量は、温度変化によって変動するので、これを放置しておくと色判別を誤る。これを解決するために、従来は次のようにして各発光素子22〜24の発光光量の一定化制御を行っている。
【0008】
即ち、集光レンズ36の上流側(合成光学素子30側)近傍に補助受光素子44を設け、合成光学素子30からの光34がこの集光レンズ36に入射することに伴って生じるフレネル反射光34aをこの補助受光素子44で受けて電気信号に変換し、この電気信号を増幅器48で増幅して演算制御回路50に供給する。演算制御回路50は、この補助受光素子44から与えられる電気信号が一定になるように、駆動回路52を制御して、各発光素子22〜24の発光光量を制御する。これによって、各発光素子22〜24の発光光量が一定に制御される。補助受光素子44は、例えばフォトダイオードである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記集光レンズ36からのフレネル反射光34aは、一般的に光量が非常に少ない。これは、光34を透過させるのが目的の集光レンズ36の表面から反射して来るわずかな光がフレネル反射光34aだからである。
【0010】
従って、補助受光素子44は受光光量を十分に得ることができず、当該補助受光素子44からの出力は、主受光素子42からの出力に比べて非常に小さいので、増幅器46と48とは互いに増幅率の大きく異なるものを用いざるを得ない。従って、両増幅器46、48の増幅特性を互いに一致させるのが難しく、これが、発光素子22〜24の発光光量一定化制御の精度および安定性を低下させ、ひいては温度変動に対する色判別性能の安定性を低下させる一因になっている。
【0011】
仮に、集光レンズ36の反射率を高めて集光レンズ36からのフレネル反射光34aを多くすると、当該集光レンズ36を透過する光量が減り、検出物体10への投光光量が減るので、色判別性能が低下する。特に、光ファイバ12、14を用いる光ファイバ形では、光ファイバを用いないタイプに比べて、検出物体10への投光光量が元々少ないという課題を有しているので、上記のようにフレネル反射光34aを増やす代わりに検出物体10への投光光量が減るということは、好ましくない。むしろ、集光レンズ36に反射防止膜をコーティングして検出物体10への投光光量を少しでも増加させるということが行われており、そのようにするとフレネル反射光34aがますます減って補助受光素子44の受光光量が一層減ってしまう。
【0012】
また、集光レンズ36からのわずかなフレネル反射光34aを補助受光素子44で検出しているので、投光ファイバ12の端面12aからのフレネル反射光の影響を受けやすく、当該反射光量が変動すると上記発光光量一定化制御の精度および安定性が一層低下する。しかし、この投光ファイバ12の端面12aからの反射光量を一定にするためには、投光ファイバ12を光学ユニット20へ接続するときに投光ファイバ12の端面12aの仕上げを厳密に管理しなければならないので、投光ファイバ12の切断を簡単に行う訳には行かず、投光ファイバ12の接続作業に多くの手間がかかる。
【0013】
そこでこの発明は、検出物体への投光光量を低下させることなく、発光光量一定化制御に用いられる補助受光素子の受光光量を増加させて、発光素子の発光光量一定化制御の精度および安定性を向上させ、ひいては温度変動に対する色判別性能の安定性を向上させることを主たる目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るカラーセンサ用光学ユニットの一つは、検出物体に照射する光を導く投光ファイバおよび当該検出物体からの反射光を導く受光ファイバを接続してカラーセンサに用いる光学ユニットであって、互いに異なる波長の光を発する複数の発光素子と、この複数の発光素子が発した光を合成して出力する合成光学素子と、この合成光学素子から出力される光を前記投光ファイバの端面部に向けて、当該端面部の直径よりも大きい直径に集光する集光レンズと、前記受光ファイバから出力される光を受けてそれを電気信号に変換する主受光素子と、前記合成光学素子から出力される光の一部を受けてそれを電気信号に変換するものであって前記発光素子の発光光量の一定化制御に用いられる補助受光素子とを備えており、かつ、前記集光レンズの下流側の横付近に前記補助受光素子を配置し、かつ前記集光レンズと前記投光ファイバの端面部との間であって集光レンズを透過する光が投光ファイバの端面部に入射するのを妨げない位置に、集光レンズを透過する光のうち、投光ファイバの端面部への入射に寄与しない光を受けてそれを前記補助受光素子に向けて反射させる反射体を設けており、しかも前記反射体は、前記集光レンズ側に向けて広がっており、かつ前記補助受光素子側の面が開いた錐体状の反射面を有していることを特徴としている。下流側とは、換言すれば、光の進行方向における下手側のことであり、集光レンズの出光側のことである。
【0015】
上記構成によれば、集光レンズを透過する光のうち、投光ファイバの端面部への入射に寄与しない光を反射体で受けてそれを補助受光素子に向けて反射させることができるので、補助受光素子への集光の効率が高まり、補助受光素子の受光光量が増加する。その結果、発光素子の発光光量一定化制御の精度および安定性を向上させ、ひいては温度変動に対する色判別性能の安定性を向上させることが可能になる。しかも、反射体は、集光レンズを透過する光が投光ファイバの端面部に入射するのを妨げないので、検出物体への投光光量を低下させずに済む。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係る光学ユニットを用いたカラーセンサの一例を示す概略図である。図14の従来例と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明する。
【0017】
この実施例の光学ユニット20aは、前述した各発光素子22〜24の出口付近に半球レンズ54〜56をそれぞれ設けて、これらによって、各発光素子22〜24から出力される光26〜28をほぼ平行化して合成光学素子30に入射させるようにしている。このようにほぼ平行化された光を絞るのは1枚の集光レンズで容易に行うことができるので、この例では従来例の投光レンズ38に相当するものは設けておらず、合成光学素子30から出力される光34は、1枚の集光レンズ36によって、投光ファイバ12の端面12aの部分に向けて集光するようにしている。ただし、この部分の構成は、この発明の本質部分ではないので、従来例と同様の構成にしても良い。
【0018】
この光学ユニット20aでは、前述した補助受光素子44を、従来例のように集光レンズ36の上流側近傍に設けるのではなく、当該集光レンズ36の下流側の横付近に配置している。
【0019】
更に、集光レンズ36と投光ファイバ12の端面部との間であって集光レンズ36を透過する光34が投光ファイバ12の端面部に入射するのを妨げない位置に、集光レンズ36を透過する光34の周辺部分34b、即ち投光ファイバ12の端面部への入射に寄与しない光を受けてそれを上記補助受光素子44に向けて反射させる反射体60を設けている。
【0020】
上記構成を、図2〜図5を参照して詳述する。
【0021】
この光学ユニット20aは、図1に示した各光学要素および電気回路を収納するケース70を有している。このケース70の端面部に、投光ファイバ12の装着部72、および、集光レンズ36からの光34を投光ファイバ12の端面12aに入射させるための出射開口74が設けられている。集光レンズ36は、この出射開口74付近に、合成光学素子30(図1参照)からの光34を集光するようにケース70内に固定されている。出射開口74の直径は例えば1mm程度であり、ここに集光させる光34の直径はこの出射開口74の直径よりも若干大きく、例えば1.5mm程度にして、余裕を持たせている。
【0022】
このケース70や、集光レンズ36等の光学要素を保持する部材(図示省略)には、できるだけ遮光性の高い黒色部材を用いるのが好ましい。そのようにすれば、補助受光素子44に、ノイズとなる光が入射することを抑制することができる。そのような部材の一例として、黒色のPPO(ポリフェニレンオキシド)が挙げられる。
【0023】
集光レンズ36と出射開口74との間の横の部分に、上記補助受光素子44を配置している。この補助受光素子44の受光領域44aの前方には、反射体60からの光を当該受光領域44aに入射させるための受光開口75が設けられている。
【0024】
更に、集光レンズ36と出射開口74との間の部分に、上記反射体60を配置している。この反射体60は、出射開口74側が狭く集光レンズ36側に向けて広がっており、かつ補助受光素子44側の面64が開いた四角錐体状の反射面61〜63を有している。
【0025】
各反射面61〜63は、集光レンズ36の端部(光34を透過させるのに有効な領域の端部。即ち集光レンズ36の有効直径の端部。以下同じ)と、当該端部に近い側の出射開口74の端部とを結ぶ線76〜78付近よりも外側に位置させるのが好ましく、当該線76〜78よりも外側に位置させるのがより好ましい。このようにすれば、集光レンズ36を透過して出射開口74に向けて集光する光34が出射開口74に、即ち投光ファイバ12の端面12aの部分に入射するのを極力妨げなくなる。
【0026】
また、各反射面61〜63は、鏡面よりも、ほぼ白色をしていて反射率の高い拡散面にするのが好ましい。そのようにする方が、発光素子22〜24、合成光学素子30、集光レンズ36、反射体60および補助受光素子44等の光学要素の配置上のバラツキ等に影響されずに、しかも反射体60からの反射光を多様な方向から補助受光素子44に入射させることができるので、集光レンズ36を透過する光34の周辺部分34bを補助受光素子44に向けてより多く、即ちより効率良く反射させることができる。
【0027】
この光学ユニット20aによれば、集光レンズ36を透過する光34の周辺部分34bを反射体60で受けてそれを補助受光素子44に向けて反射させるので、従来例のように集光レンズ36の表面の微少なフレネル反射光を利用する場合と違って、補助受光素子44への集光の効率が高まり、補助受光素子44の受光光量が増加する。また、反射体60の反射面の面積を増やすことによって、補助受光素子44の受光光量を一層増加させることも容易に行うことができる。
【0028】
従って、補助受光素子44の出力(例えば出力電流または出力電圧)を高めることができるので増幅器48での増幅も容易かつ高精度になり、その結果、発光素子22〜24の発光光量一定化制御の精度および安定性を向上させ、ひいては温度変動に対する色判別性能の安定性を向上させることが可能になる。
【0029】
しかも、上記反射体60は、集光レンズ36を透過する光34の周辺部分、即ち投光ファイバ12の端面部への入射に寄与しない光を受けて反射させるだけであって、集光レンズ36を透過して出射開口74に向けて集光する光34が投光ファイバ12の端面部に入射するのを妨げないので、検出物体10への投光光量を低下させることもない。
【0030】
また、反射体60によって反射して補助受光素子44に入射する光量が増加することによって、投光ファイバ12の端面12aからのフレネル反射光が補助受光素子44に入射する割合が相対的に減少するので、当該端面12aからの反射光の影響を受けにくくなる。その結果、投光ファイバ12の端面12aの仕上げを従来例の場合ほど厳密に管理する必要がなくなるので、投光ファイバ12の切断を簡易な方法で済ませることができる。従って、この光学ユニット20aへの投光ファイバ12の接続作業も簡単になる。
【0031】
なお、図1の実施例では、演算制御回路50とは別に制御回路51を設けて、この制御回路51によって、補助受光素子44から増幅器48を経由して与えられる電気信号が一定になるように、駆動回路52を制御して、各発光素子22〜24の発光光量を制御している。但し、そのようにせずに、図14に示した従来例と同様に、全ての制御を演算制御回路50内で行うようにしても良い。
【0032】
次に、反射体60の周りの構造を表1に示すように種々に変えて、補助受光素子44の出力を測定した結果を説明する。
【0033】
【表1】
【0034】
この表1中の「白色錐体状反射体」とは、図2〜図5に示した構造であって、反射面61〜63が白色拡散面の反射体60を設けた場合のことである。
【0035】
「+遮光体80」とは、上記反射体60の他に、図6に示す例のように第1の遮光体80を更に設けた場合のことである。この遮光体80は、投光ファイバ12の端面部、より具体的には前述した出射開口74と補助受光素子44との間に設けられていて、投光ファイバ12の端面12aからのフレネル反射光が補助受光素子44に入射することを抑制するものである。この遮光体80は、集光レンズ36の端部と、当該端部に近い側の出射開口74の端部とを結ぶ線79付近よりも外側に位置させるのが好ましく、当該線79よりも外側に位置させるのがより好ましい。そのようにすれば、集光レンズ36を透過して出射開口74に向けて集光する光34が出射開口74に入射するのを極力妨げなくなる。
【0036】
「+遮光体82」とは、上記反射体60および遮光体80の他に、図7に示す例のように第2の遮光体82を更に設けた場合のことである。この遮光体82は、集光レンズ36の下流側の面(出光側の面)と補助受光素子44との間に設けられていて、集光レンズ36の下流側の面からのフレネル反射光が補助受光素子44に入射することを抑制するものである。これは、投光ファイバ12の端面12aからのフレネル反射光が集光レンズ36の下流側の面に入射してそこで再び反射する場合を考慮したものである。
【0037】
「白色平板状反射体」とは、上記のような錐体状の反射体60の代わりに、図8に示す例のように、単なる白色平板状の反射体60を設けた場合のことである。その反射面は拡散面である。
【0038】
「投光ファイバ12の有無」とは、装着部72に投光ファイバ12を装着している場合が「有り」、投光ファイバ12を装着していない場合が「無し」のことである。
【0039】
上記表1に示す測定条件1a〜4bにおいて、赤色の発光素子22、緑色の発光素子23および青色の発光素子24を個別に発光させて、その駆動電流(即ち発光光量)を変えたときの補助受光素子44の出力(即ち受光光量)を測定した結果を、図9〜図11にそれぞれ示す。
【0040】
また、この図9〜図11における補助受光素子44の出力を、投光ファイバ12有りのときの測定条件1aの場合を100とした場合の他の測定条件における出力と、投光ファイバ12の有無の間の当該出力の変化率とを表2〜表4にそれぞれまとめて示す。表2は図9の結果を、表3は図10の結果を、表4は図11の結果を、それぞれまとめたものである。表2〜表4中の出力は、発光素子の駆動電流が20mAのときの値を採用した。変化率は、(ファイバ有り時出力/ファイバ無し時出力)×100−100で求めた。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
上記結果から分かるように、平板状の反射体60を設けた場合(測定条件4aおよび4b)よりも、錐体状の反射面を有する反射体60を設けた場合(測定条件1a〜3b)の方が、補助受光素子44の出力、即ち受光光量が大きい。これは、錐体状の反射体60の方が反射面が多様になると共に反射面の面積も大きくなる結果であると考えられる。従って、錐体状の反射面を有する反射体60の方が好ましい。
【0045】
また、第1の遮光体80を設けると(測定条件2aおよび2b)、補助受光素子44の受光光量は若干減少するけれども、投光ファイバ12の有無による変化率は小さくなる。これは、前述したように、投光ファイバ12の端面12aからのフレネル反射光の影響を、遮光体80によって少なくすることができた結果であると考えられる。従って、投光ファイバ12の簡易な切断を許容して投光ファイバ12の接続作業を簡単にする観点からは、遮光体80を設ける方が好ましい。
【0046】
更に、上記第1の遮光体80および第2の遮光体82の両方を設けると(測定条件3aおよび3b)、補助受光素子44の受光光量は減少傾向を強めるけれども、投光ファイバ12の有無による変化率は更に小さくなる。これは、前述したように、集光レンズ36の下流側の面からのフレネル反射光の影響をも、遮光体82によって少なくすることができた結果であると考えられる。従って、投光ファイバ12の簡易な切断を許容して投光ファイバ12の接続作業を簡単にする観点からは、遮光体80および82の両方を設けても良い。
【0047】
なお、測定条件3aの構造の反射体60の錐体状の反射面61〜63にアルミニウム箔を貼り付けて、反射面61〜63を鏡面状にして補助受光素子44の出力を測定したところ、白色拡散面にした上記測定条件3aの場合の出力の85%程度しか出力が得られなかった。これは、反射面61〜63が鏡面の場合は、反射光の方向が特定の方向に限られることによって、補助受光素子44に入射する光量が減少した結果であると考えられる。従って、反射体60の反射面は、前述したように、ほぼ白色をした拡散面にするのが好ましい。
【0048】
四角錐体状の上記反射体60の二つの側面62および63は、例えば図12に示す例のように、補助受光素子44側に向けて(図の上向きに)傾けても良く、そのようにすれば、図5の例の場合よりも、反射面62および63からの反射光をより効率良く補助受光素子44に入射させることができるので、補助受光素子44の受光光量をより増加させることができる。
【0049】
また、例えば図13に示す例のように、前述した出射開口74側が狭く集光レンズ36側に向けて広がっており、かつ補助受光素子44側の面64が開いた円錐体状の反射面65を有する反射体60を用いても良い。この場合も、図5の例の場合よりも、反射面65からの反射光をより効率良く補助受光素子44に入射させることができるので、補助受光素子44の受光光量をより増加させることができる。
【0050】
なお、発光素子の数は、通常は上記例のように3個であるけれども、それに限られるものではなく、互いに波長の異なる光を発する2個の発光素子でも、フルカラーではないにしてもカラーセンサを構成することは可能であり、また4個あるいはそれ以上の発光素子を設けても良い。また、複数個の発光素子を一つのパッケージ内に収納しても良い。
【0051】
【発明の効果】
この発明は、上記のとおり構成されているので、次のような効果を奏する。
【0052】
請求項1記載の発明によれば、集光レンズを透過する光のうち、投光ファイバの端面部への入射に寄与しない光を反射体で受けてそれを補助受光素子に向けて反射させることができるので、補助受光素子への集光の効率が高まり、補助受光素子の受光光量が増加する。また、反射体の反射面の面積を増やすことによって、補助受光素子の受光光量を一層増加させることも容易に行うことができる。その結果、発光素子の受光光量一定化制御の精度および安定性を向上させ、ひいては温度変動に対する色判別性能の安定性を向上させることが可能になる。
【0053】
しかも、反射体は、集光レンズを透過する光が投光ファイバの端面部に入射するのを妨げないので、検出物体への投光光量を低下させずに済む。
【0054】
また、反射体から反射して補助受光素子に入射する光量が増加することによって、投光ファイバの端面からのフレネル反射光が補助受光素子に入射する割合が相対的に減少するので、当該端面からの反射光の影響を受けにくくなる。その結果、投光ファイバの端面の仕上げを従来例の場合ほど厳密に管理する必要がなくなるので、投光ファイバの切断を簡易な方法で済ませることができ、従ってこの光学ユニットへの投光ファイバの接続作業も簡単になる。
【0055】
更に、反射体が錐体状の反射面を有しているので、反射面が多様になると共に反射面の面積も大きくなる。その結果、補助受光素子の受光光量をより増加させることが可能になる。
【0056】
請求項2記載の発明によれば、反射体の反射面がほぼ白色をした拡散面であるので、光学要素の配置上のバラツキ等に影響されずに、しかも反射体からの反射光を多様な方向から補助受光素子に入射させることができる。その結果、補助受光素子への反射光の入射効率を高めて、補助受光素子の受光光量をより一層増加させることができる。
【0057】
請求項3記載の発明によれば、投光ファイバの端面部と補助受光素子との間に遮光体を配置しているので、投光ファイバの端面からのフレネル反射光が補助受光素子に入射することを抑制して、当該反射光の影響をより少なくすることができる。その結果、投光ファイバの簡易な切断を許容して、投光ファイバの接続作業をより簡単にすることができると共に、発光素子の受光光量一定化制御の精度および安定性をより向上させ、温度変動に対する色判別性能の安定性をより向上させることが可能になる。
【0058】
請求項4記載の発明によれば、投光ファイバの端面部と補助受光素子との間に第1の遮光体を配置し、かつ集光レンズの下流側の面と補助受光素子との間に第2の遮光体を配置しているので、投光ファイバの端面からのフレネル反射光および集光レンズの下流側の面からのフレネル反射光が補助受光素子に入射することを抑制して、当該反射光の影響をより一層少なくすることができる。その結果、投光ファイバの簡易な切断を許容して、投光ファイバの接続作業をより簡単にすることができると共に、発光素子の発光光量一定化制御の精度および安定性をより一層向上させ、温度変動に対する色判別性能の安定性をより一層向上させることが可能になる。
請求項5記載の発明によれば、集光レンズを透過する光のうち、投光ファイバの端面部への入射に寄与しない光を反射体で受けてそれを補助受光素子に向けて反射させることができるので、補助受光素子への集光の効率が高まり、補助受光素子の受光光量が増加する。また、反射体の反射面の面積を増やすことによって、補助受光素子の受光光量を一層増加させることも容易に行うことができる。その結果、発光素子の受光光量一定化制御の精度および安定性を向上させ、ひいては温度変動に対する色判別性能の安定性を向上させることが可能になる。
しかも、反射体は、集光レンズを透過する光が投光ファイバの端面部に入射するのを妨げないので、検出物体への投光光量を低下させずに済む。
また、反射体から反射して補助受光素子に入射する光量が増加することによって、投光ファイバの端面からのフレネル反射光が補助受光素子に入射する割合が相対的に減少するので、当該端面からの反射光の影響を受けにくくなる。その結果、投光ファイバの端面の仕上げを従来例の場合ほど厳密に管理する必要がなくなるので、投光ファイバの切断を簡易な方法で済ませることができ、従ってこの光学ユニットへの投光ファイバの接続作業も簡単になる。
更に、投光ファイバの端面部と補助受光素子との間に第1の遮光体を配置し、かつ集光レンズの下流側の面と補助受光素子との間に第2の遮光体を配置しているので、投光ファイバの端面からのフレネル反射光および集光レンズの下流側の面からのフレネル反射光が補助受光素子に入射することを抑制して、当該反射光の影響をより一層少なくすることができる。その結果、投光ファイバの簡易な切断を許容して、投光ファイバの接続作業をより簡単にすることができると共に、発光素子の発光光量一定化制御の精度および安定性をより一層向上させ、温度変動に対する色判別性能の安定性をより一層向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る光学ユニットを用いたカラーセンサの一例を示す概略図である。
【図2】図1中の光学ユニットの集光レンズ周りを拡大して示す縦断面図である。
【図3】図1中の光学ユニットの集光レンズ周りを拡大して示す横断面図であり、図2はこの図の線A−A断面に相当する。
【図4】図2および図3中の反射体を集光レンズ側から見て示す正面図である。
【図5】図2〜図4に示す反射体の斜視図である。
【図6】図2の例に第1の遮光体を付加した例を示す断面図である。
【図7】図2の例に第1および第2の遮光体を付加した例を示す断面図である。
【図8】図2の例中の反射体を平板状のものに変更した例を示す断面図である。
【図9】赤色発光素子を用いたときの各種測定条件における補助受光素子の出力の測定結果を示す図である。
【図10】緑色発光素子を用いたときの各種測定条件における補助受光素子の出力の測定結果を示す図である。
【図11】青色発光素子を用いたときの各種測定条件における補助受光素子の出力の測定結果を示す図である。
【図12】反射体の他の例を示す斜視図である。
【図13】反射体の更に他の例を示す斜視図である。
【図14】従来の光学ユニットを用いたカラーセンサの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
10 検出物体
12 投光ファイバ
14 受光ファイバ
20a 光学ユニット
22〜24 発光素子
30 合成光学素子
34 光
36 集光レンズ
42 主受光素子
44 補助受光素子
60 反射体
61〜63、65 反射面
Claims (5)
- 検出物体に照射する光を導く投光ファイバおよび当該検出物体からの反射光を導く受光ファイバを接続してカラーセンサに用いる光学ユニットであって、互いに異なる波長の光を発する複数の発光素子と、この複数の発光素子が発した光を合成して出力する合成光学素子と、この合成光学素子から出力される光を前記投光ファイバの端面部に向けて、当該端面部の直径よりも大きい直径に集光する集光レンズと、前記受光ファイバから出力される光を受けてそれを電気信号に変換する主受光素子と、前記合成光学素子から出力される光の一部を受けてそれを電気信号に変換するものであって前記発光素子の発光光量の一定化制御に用いられる補助受光素子とを備えており、かつ、前記集光レンズの下流側の横付近に前記補助受光素子を配置し、かつ前記集光レンズと前記投光ファイバの端面部との間であって集光レンズを透過する光が投光ファイバの端面部に入射するのを妨げない位置に、集光レンズを透過する光のうち、投光ファイバの端面部への入射に寄与しない光を受けてそれを前記補助受光素子に向けて反射させる反射体を設けており、しかも前記反射体は、前記集光レンズ側に向けて広がっており、かつ前記補助受光素子側の面が開いた錐体状の反射面を有していることを特徴とするカラーセンサ用光学ユニット。
- 前記反射体の反射面は、ほぼ白色をした拡散面である請求項1記載のカラーセンサ用光学ユニット。
- 前記投光ファイバの端面部と前記補助受光素子との間に、投光ファイバの端面からのフレネル反射光が補助受光素子に入ることを抑制する遮光体を配置している請求項1または2記載のカラーセンサ用光学ユニット。
- 前記投光ファイバの端面部と前記補助受光素子との間に、投光ファイバの端面からのフレネル反射光が補助受光素子に入ることを抑制する第1の遮光体を配置し、かつ前記集光レンズの下流側の面と前記補助受光素子との間に、集光レンズの下流側の面からのフレネル反射光が補助受光素子に入ることを抑制する第2の遮光体を配置している請求項1または2記載のカラーセンサ用光学ユニット。
- 検出物体に照射する光を導く投光ファイバおよび当該検出物体からの反射光を導く受光ファイバを接続してカラーセンサに用いる光学ユニットであって、互いに異なる波長の光を発する複数の発光素子と、この複数の発光素子が発した光を合成して出力する合成光学素子と、この合成光学素子から出力される光を前記投光ファイバの端面部に向けて、当該端面部の直径よりも大きい直径に集光する集光レンズと、前記受光ファイバから出力される光を受けてそれを電気信号に変換する主受光素子と、前記合成光学素子から出力される光の一部を受けてそれを電気信号に変換するものであって前記発光素子の発光光量の一定化制御に用いられる補助受光素子とを備えており、かつ、前記集光レンズの下流側の横付近に前記補助受光素子を配置し、かつ前記集光レンズと前記投光ファイバの端面部との間であって集光レンズを透過する光が投光ファイバの端面部に入射するのを妨げない位置に、集光レンズを透過する光のうち、投光ファイバの端面部への入射に寄与しない光を受けてそれを前記補助受光素子に向けて反射させる反射体を設けており、更に、前記投光ファイバの端面部と前記補助受光素子との間に、投光ファイバの端面からのフレネル反射光が補助受光素子に入ることを抑制する第1の遮光体を配置し、かつ前記集光レンズの下流側の面と前記補助受光素子との間に、集光レンズの下流側の面からのフレネル反射光が補助受光素子に入ることを抑制する第2の遮光体を配置していることを特徴とするカラーセンサ用光学ユニット。
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- 1998-05-25 JP JP16135498A patent/JP3950232B2/ja not_active Expired - Fee Related
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