JP3949280B2 - 熱交換器用薄肉フィン材の製造方法 - Google Patents
熱交換器用薄肉フィン材の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ろう付け時にろう材が侵食し難い熱交換器用薄肉フィン材を高歩留まりで製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などに用いられる熱交換器用薄肉フィン材には、60〜200μm厚さのアルミニウムまたはアルミニウム合金の圧延材が使用されているが、このフィン材には、自動車の軽量化が検討される中で、薄肉化が強く求められている。
しかし、前記フィン材を強圧延して薄肉化すると加工歪みが大きくなり、ろう付け時の加熱で微細に再結晶し、この再結晶粒界に沿ってろう材が拡散してフィン材がろう材に侵食され、最悪の場合はフィン材が破断するという問題がある。
【0003】
このためフィン材は、ろう付け加熱時に微細に再結晶しないように、最終焼鈍後の圧延は軽圧延して行うが、フィン素材が60μm未満に薄くなると、軽圧延での張力制御が不安定になり、その結果、圧延材のフラットネスや厚さ分布が悪化して製造歩留まりが低下するという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者等は、薄肉フィン材の製造方法について広く検討し、フィン素材を複数枚重ね合わせて圧延(重合圧延)すれば、安定な張力制御のもとで軽圧延することができ、圧延後重ね合わせ部を剥離して得られる薄肉フィン材はフラットネスや厚さ分布が良好なことを知見し、さらに薄肉フィン材に要求される特性を配慮して、重合圧延での軽圧延率などを詳細に検討して本発明を完成させるに至った。
本発明は、ろう付け時にろう材が侵食し難い熱交換器用薄肉フィン材を高歩留まりで製造することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、焼鈍後のアルミニウム合金フィン素材を複数枚重ね合わせて軽圧延し、その後、重ね合わせ部を剥離する薄肉フィン材の製造方法であって、前記フィン素材の厚さを0.01〜0.1mm、前記軽圧延での圧延率を2〜15%とすることを特徴とする熱交換器用薄肉フィン材の製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の薄肉フィン材の製造は、例えば、軽圧延することで所定厚さのフィン材となる厚さのフィン素材(焼鈍材)を、複数枚重ね合わせて軽圧延し、その後、重ね合わせ部を剥離して製造する。
前記フィン素材の重ね合わせ厚さは、軽圧延するときに張力制御が安定して行える厚さに調節する。前記調節はフィン素材の厚さと枚数を選定して行う。
【0007】
本発明において、フィン材の最終圧延率を2〜15%に規定する理由は、圧延率が2%未満では、フィン材は、ろう付け加熱時に再結晶しないで、若干の歪みが残存する亜結晶粒組織となり、また圧延率が15%を超えるとろう付け加熱時に微細な再結晶組織となり、いずれの場合もろう材が多量に粒界拡散してフィン材がろう材に侵食されるためである。
ろう材の侵食を防止するには、フィン材のろう付け加熱での再結晶粒度が500μm以上になるようにするのが望ましい。
【0008】
本発明において、フィン素材の厚さを0.01〜0.1mmに規定する理由は、0.01mm未満では、軽圧延を安定した張力制御のもとで行うためにフィン素材を多数枚重ね合わせる必要があり、重ね合わせに非常な手間が掛かり、また得られるフィン材は厚さが0.01mm未満になり熱交換器用としての強度が不足するためである。またフィン素材の厚さが0.1mmを超えると通常圧延でも張力制御が安定して行え、重合圧延する必要がなくなるためである。
【0009】
本発明において、アルミニウム合金には、熱交換器用フィンに用いられている通常のアルミニウム合金の他、純アルミニウム系合金なども適用できる。
【0010】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。
(実施例1)
表1に示すNo.5の組成の合金を厚さ0.06mmのフィン素材に圧延し、これを焼鈍後タブラーを用いて2枚重ね合わせ、この重ね合わせ材(厚さ0.12mm)を圧延率2〜15%で軽圧延し、その後、重ね合わせ部を剥離機で剥離して種々厚さの薄肉フィン材を製造した。
【0011】
(比較例1)
表1に示すNo.5の組成の合金を厚さ0.06mmのフィン素材に圧延し、このフィン素材をそのまま通常圧延により軽圧延して薄肉フィン材を製造した。
【0012】
実施例1、比較例1で製造した各々の薄肉フィン材について、フラットネスおよび厚さ分布を調査した。
結果を表2に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
表2より明らかなように、本発明例のNo.1は、いずれもフラットネスおよび厚さ分布が良好であった。これはフィン素材を重ね合わせて厚さを厚くして圧延したためであり、本発明によれば、薄肉フィン材が高歩留まりで製造できることが判る。
これに対し、比較例のNo.2では、軽圧延時の圧延材の厚さが0.06mmと薄かったため、軽圧延での張力制御が不安定になり、得られたフィン材は、厚さ分布、またはフラットネスと厚さ分布が不良になった。
【0016】
(実施例2)
表1に示した組成の合金 (合金No.1〜5)を種々厚さのフィン素材に圧延し、同じ厚さのフィン素材をそれぞれ2枚重ね合わせ、これを2〜15%の圧延率で厚さ0.10mmに重合圧延し、その後重ね合わせ部を剥離して厚さ0.05mmの薄肉フィン材を製造した。
【0017】
(実施例3)
表1に示した組成の合金 (合金No.1〜3)を種々厚さのフィン素材に圧延し、同じ厚さのフィン素材をそれぞれ3枚重ね合わせ、これを2〜15%の圧延率で厚さ0.15mmに重合圧延し、その後重ね合わせ部を剥離して厚さ0.05mmの薄肉フィン材を製造した。
【0018】
(比較例2)
表1に示した組成の合金 (No.1〜5)を種々厚さのフィン素材に圧延し、これを圧延率1、18、25、35、55%で圧延して厚さ0.05mmの薄肉フィン材を製造した。
【0019】
実施例2、3と比較例2で製造した各々のフィン材を短冊状に切り出し、これをろう付加熱を想定して窒素雰囲気中の加熱炉にて600℃で5分間加熱し、加熱後の各サンプルの表面をミクロ組織観察して再結晶粒度を測定した。
結果を表3、4に示す。
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
表3、4より明らかなように、本発明例のNo.3〜10では、再結晶粒度は、ろう材が粒界拡散し難い大きさであった。これは適度に軽圧延されたためである。
これに対し、比較例の No.11〜15では、圧延率1%のものは再結晶せず、若干の歪みが残存する亜結晶粒からなり、また圧延率が18%以上のものは再結晶粒度が小さく、いずれもろう材が拡散し易い組織であった。
【0023】
(実施例4)
実施例2、3で製造した薄肉フィン材を簡易コルゲーターによりコルゲートフィンに加工し、このコルゲートフィンとJISBAS211Pのブレージングシート(厚さ 0.3mm、ろう材と犠牲材のクラッド率各10%) とを交互に5段に重ね、これをステンレス針金で固定して簡易コアを組立て、この簡易コアにNBろう付法で使用するフッ素系フラックス水溶液を塗布し、乾燥後、窒素雰囲気のNB炉に入れて600℃で5分間加熱してろう付けし、簡易コアを作製した。
【0024】
(比較例3)
比較例2で製造した薄肉フィン材についても実施例4と同様にして簡易コアを作製した。
【0025】
実施例4と比較例3で作製した簡易コアからフィンを切り出して、ろう材に侵食されて薄くなったフィンの厚さを顕微鏡観察により測定した。フィンの最も薄くなった部分の厚さを元の厚さ(0.05mm) で除して厚さ減少率を求めた。
結果を表5、6に示す。
【0026】
【表5】
【0027】
【表6】
【0028】
表5、6より明らかなように、本発明例の No.16〜23では、厚さ減少率が40%以下と小さかった。これは、再結晶粒度が大きく、ろう材の粒界拡散が抑制されたためである。
これに対して、比較例の No.24〜28では厚さ減少率が58%以上と大きく、中にはフィンが破断したものもあった。これはフィンがろう材の拡散し易い結晶組織からなるためである。
【0029】
以上、フィン素材を2枚または3枚重ねて軽圧延する場合について説明したが、本発明はフィン素材を4枚以上重ねて軽圧延しても同様の効果が得られるものである。
【0030】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明では、フィン素材を重ね合わせて厚さを厚くして軽圧延するので、軽圧延時の張力制御が安定し、得られる薄肉フィン材はフラットネスおよび厚さ分布が良好となり、製造歩留まりが向上する。依って、工業上顕著な効果を奏する。
Claims (1)
- 焼鈍後のアルミニウム合金フィン素材を複数枚重ね合わせて軽圧延し、その後、重ね合わせ部を剥離する薄肉フィン材の製造方法であって、前記フィン素材の厚さを0.01〜0.1mm、前記軽圧延での圧延率を2〜15%とすることを特徴とする熱交換器用薄肉フィン材の製造方法。
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JP18589998A JP3949280B2 (ja) | 1998-07-01 | 1998-07-01 | 熱交換器用薄肉フィン材の製造方法 |
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