JP3949244B2 - レンズ鏡筒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシステムカメラ、特に一眼レフカメラの交換レンズの鏡筒に関し、さらに詳しくは手動自動相互にフォーカス調整が可能なAF一眼レフカメラのレンズ鏡筒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ボディ内モーター式及びレンズ内モーター式AF専用交換レンズの手動調整機構ではクラッチを設置し、駆動モーターの連動系と手動連動系を切り換える方法が一般的である。しかし使用時において切り換え操作の煩わしさや、撮影のタイミングなどから問題があった。これの改善策として振動波モーター駆動と併せて常時、任意に手動調整が可能なフルタイムマニュアル方式として、レンズ移動環に、光軸に対して直交する放射方向線を中心とする回動可能なローラーを担持させ、これをローターとマニュアル操作リングの間で光軸方向に加圧挟持させることによってローターとマニュアル操作リング双方から該ローラーを回動させレンズ移動環を作動させる物として特開平2−253214、特開平2−253217等が知られている。
【0003】
他にレンズ移動環を回転させる回転環部材の周部に個々に転動自在に密嵌合された多数の球状転動体をモーター側駆動環とマニュアル操作環の間で加圧挟持させ双方から球状転動体を回動させることによってレンズ移動環を作動させるものとして特開平2−253210、マニュアル時加圧挟持されたステーター、ローター、レンズ移動環を含む駆動機構全体を手動で回転させるものとして特開平4−191806が提案されている。また、ギヤ付ローラーを加圧しギヤ部とローラー部を差動させるものとして本出願人も特願平8―333114を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法は基本的にマニュアル操作リングとレンズ移動環との作動トルク差が適正でないと機能しない構造になっている。例えば特開平2−253214号公報に示される作動機構では移動させるレンズ群や鏡筒が重い場合、レンズ群が動かずローラーが自転してしまいマニュアル操作リング側が回転して該レンズ群を動かすことができなくなる場合がある。
【0005】
この問題は前述の特許出願に示される提案の全てに当てはまり、適正な作動トルク差は振動波モーターの作動に必要な加圧の量、移動させるレンズの重量や移動距離、摺動部の面積や摩擦係数、使用するグリスの種類や量などによって左右されてしまい、動力伝達の信頼性に問題があった。またこれがレンズ構成やモーターの加圧量等を制限し、コストアップも含め設計上の大きな障害になっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決する為、本発明においてはマニュアル操作リングにバネ材等によってフリクションを与えることによりマニュアル操作リングの空転を防ぎ、作動可能なトルク差の幅を広げることができる。これによってマニュアル操作リングの重量やグリスの摩擦に頼らない信頼性の高いフルタイムマニュアル機構が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明レンズ鏡筒のフリクション機構は、マニュアル操作リングの内径外径あるいは端面に板バネ等を圧接摺動させることによってマニュアル操作リングの回転トルクをモーターからの駆動力で回転しないように増加させることができる。この機構であればグリスのように温度や経年変化による影響を受けることがなく、また移動させるレンズの作動トルクに合わせてマニュアル操作リングの回転トルクを調整することができ、設計上の自由度も高い。これにより該マニュアル操作リングを空転させることないフルタイムマニュアル機構を安定的に成立させることが出来る。
【0008】
またこの原則に従う設計を行なえば、このフリクション機構はレンズ内、ボディ内モーター式を問わず、如何なるフルタイムマニュアル機構にも適用できる。
【0009】
【実施例】
以下に図面を参照して本発明によるレンズ鏡筒の実施例を示す。
【0010】
図1は本発明によるレンズ鏡筒の実施例の断面図であり、図2、3はフリクション用板バネ部の拡大詳細図である。
【0011】
図1において、レンズ鏡筒は光学系L1,L2,L3,L4,L5,L6を有し、レンズマウント39によって不図示のカメラに装着される。34は移動レンズ群であるL4およびL5を作動させ、焦点距離を可変させるズームリング、2がマニュアルフォーカス時の操作でフォーカス用レンズであるL2を移動させ焦点調節を行うマニュアル操作リングである。
【0012】
図2において9はレンズ鏡筒の固定筒で左端にフロントリング4、外径にはモーターベース10がビス締結されている。鏡室6はフロントリング4の内径を、フロントリング4、レンズ移動環3の不図示のカム溝に添ってビス締結されたコロ28を介して摺動できフォーカス用レンズL2が取り付けられている。レンズ移動環3はフロントリング4の外径に規制された角度範囲内のみ回転するように嵌合されており右側には遊星ピニオンガイド11、距離目盛りリング31が回転可能な状態に連結されている。遊星ピニオンガイド11とピニオン押え16の間にはピニオン軸14、ピニオンバネ13、バネ押え15によって加圧挟持された遊星ピニオン12a、12bが回転可能な状態に結合されており、ローター19、マニュアル操作リング2のギヤ部が連動している。
【0013】
マニュアル操作リング2は外径に操作ゴム5を持ち、フロントカバー1の外径と、フロントカバー1の外径に取り付けられている図1に示すコロ47によって360゜自在に回転できるように取り付けられている。また内径にはギヤが切られ、該遊星ピニオン12a、bに連動している。さらに該フロントカバー1に設けられたバネ部1aによって放射方向に加圧され回転に一定の負荷が掛けられている。これによりレンズ移動環3、鏡室6、フォーカス用レンズL2の作動トルクが重い場合、ローター19からの出力が該レンズ移動環3、鏡室6、フォーカス用レンズL2の重さに負け、遊星ピニオンガイド11が回動せず遊星ピニオン12a、bが回転し、該マニュアル操作リング2を回してしまうことを防ぐ事ができる。
【0014】
オートフォーカスの駆動源となる振動波モーターは電歪素子27が接着された環状の振動部材であるステーター20、フェルト、ゴム等からなる環状の振動吸収体21、振動吸収体21の一方の端面に接して配置された環状のステーターガイド22、該ステーターガイド22をステーター20側へ加圧するバネ23、該バネ23の押さえとなるバネベース24、ステーター20の回転止めとなるステーター止め26、ステーター20の振動によって回転するローター19、緩衝ゴム25、出力ギヤリング18上記部材を外径側に係合するモーターベース10等の諸部材によって構成されている。
【0015】
ローター19はステーター20の発生する周方向進行波振動によって光軸同心方向に回転する。この時バネベース24とモーターベース10に挟まれたステーターガイド22、振動吸収体21、ステーター20、ローター19、緩衝ゴム25、出力ギヤリング18、ベアリング17はバネ23によって加圧挟持されている。このためローター19はベアリング17の右端面に圧接され該ベアリング17の一部とともに回転する。この時該出力ギヤリング18に切られたギヤが遊星ピニオン12a、12bに連動し、マニュアル操作リング2のギヤを床として、該遊星ピニオン12a、12bを光軸を中心に回動させる。この動きによって遊星ピニオンガイド11に連動しているレンズ移動環3と、距離目盛りリング31が光軸を中心に回転し、鏡室6、フォーカス用レンズL2を移動させる。
【0016】
マニュアル操作リング2からの作動では該マニュアル操作リング2を手動で回転させる。この時マニュアル操作リング2に切られたギヤが遊星ピニオン12a、12bに連動し、出力ギヤリング18のギヤを床として、該遊星ピニオン12a、12bを光軸を中心に回動させる。この動きによって遊星ピニオンガイド11に連動しているレンズ移動環3と、距離目盛りリング31が光軸を中心に回転し、鏡室6、フォーカス用レンズL2を移動させる。
【0017】
この時ローター19、ステーター20間の加圧によるフリクションが十分でないとマニュアル操作リング2を手動で回転させているとき、意図的にスケール回転角度以上に回すとマニュアル操作リング2の回転に負けてローター19、ステーター20間が滑り出してしまう。ここでは遊星ピニオンを12a、12bの二つに分割し、マニュアル操作リング2、出力ギヤリング18のギヤ部をそれぞれ別ピニオンに連動させ、該遊星ピニオン12a、12bのフリクションをピニオンバネ13のバネ圧で調整することによってローター、ステーターが滑る前に分割された遊星ピニオン間が滑るように設定する。これによりローター19、ステーター20間の加圧保持力が弱く設定されている場合でもローター19、ステーター20間の滑りを防いでいる。
【0018】
図3は別の実施例でフロントカバー1に設けられたバネ部分を別部材で構成したもので、48がフリクションバネ、49はその取付ビスである。フロントカバー1に取付ビス49によって取付けられたフリクションバネ48によって放射方向に加圧され回転に一定の負荷が掛けられている。これによりレンズ移動環3、鏡室6、フォーカス用レンズL2の作動トルクが重い場合、ローター19からの出力が該レンズ移動環3、鏡室6、フォーカス用レンズL2の重さに負け、遊星ピニオンガイド11が回動せず遊星ピニオン12a、12bが回転し該マニュアル操作リング2を回してしまうことを同様に防ぐ事ができる。
【0019】
【発明の効果】
上記の通り、本発明のレンズ鏡筒はマニュアル操作リングに接する部材にフリクション機構を持たせ、マニュアル操作リングの作動トルクを大きくすることによって、モーター駆動時、マニュアル操作リングの自転を防ぎ、レンズ構成上レンズの移動量が大きいマクロレンズ、移動するレンズが大きく重くなってしまう大口径望遠レンズ等についてもフルタイムマニュアル機構の作動を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるレンズ鏡筒の断面図。
【図2】フリクション用バネ部の拡大詳細図。
【図3】フリクション用バネ部の拡大詳細図。
【符号の説明】
1 フロントカバー
2 マニュアル操作リング
3 レンズ移動環
4 フロントリング
5 操作ゴム
6 鏡室
9 固定筒
10 モーターベース
11 遊星ピニオンガイド
12a,b 遊星ピニオン
13 ピニオンバネ
14 ピニオン軸
15 バネ押え
16 ピニオン押え
17 ベアリング
18 出力ギヤリング
19 ローター
20 ステーター
21 振動吸収体
22 ステーターガイド
23 バネ
24 バネベース
25 緩衝ゴム
26 ステーター止め
27 電歪素子
28 コロ
31 距離目盛リング
48 フリクションバネ
49 取付ビス
Claims (1)
- マニュアル操作による駆動力を伝動し光軸を中心に回転する環状のギヤと、振動波モータによる駆動力を伝動し光軸を中心に回転する環状のギヤと、マニュアル操作による駆動力を伝動する環状のギヤに係合する第一の遊星ピニオンギヤと、振動波モータによる駆動力を伝動する環状のギヤに係合する第二の遊星ピニオンギヤを備え、両方の遊星ピニオンギヤを同軸に重ねて圧入し、一方の環状のギヤを床として両方の遊星ピニオンギヤが共に光軸を中心として回動することによりフォーカス用レンズを駆動し、オートフォーカス機構とマニュアルフォーカス機構とを切替操作無しに作動させることができるカメラ用レンズ鏡筒において、マニュアル操作リングに接する部材にマニュアル操作リングの作動トルクを調整する光軸を中心として放射方向に加圧したフリクション機構を持たせたことを特徴とするレンズ鏡筒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33232997A JP3949244B2 (ja) | 1997-11-18 | 1997-11-18 | レンズ鏡筒 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33232997A JP3949244B2 (ja) | 1997-11-18 | 1997-11-18 | レンズ鏡筒 |
Publications (2)
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JPH11149032A JPH11149032A (ja) | 1999-06-02 |
JP3949244B2 true JP3949244B2 (ja) | 2007-07-25 |
Family
ID=18253752
Family Applications (1)
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JP33232997A Expired - Lifetime JP3949244B2 (ja) | 1997-11-18 | 1997-11-18 | レンズ鏡筒 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (2)
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JP6727961B2 (ja) * | 2016-07-06 | 2020-07-22 | キヤノン株式会社 | 光学機器 |
-
1997
- 1997-11-18 JP JP33232997A patent/JP3949244B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11149032A (ja) | 1999-06-02 |
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