JP3948835B2 - 光造形方法及びその装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光造形方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光造形方法とは、光硬化性液に光を照射し、光硬化性液を硬化させて一定の厚みの硬化層を造形し、この硬化層を順次積み重ねることにより任意の3次元形状を有する物体を造形する方法である。
図11に基づいて、光造形方法を説明する。ここで、造形される物体110は3次元形状を有するが、説明の便宜上、同図では、高さ方向と横方向のみを図示している。
最初に容器104内を光硬化性液108で満たし、この光硬化性液108内に配設されたテーブル106を、硬化させる光硬化性液の厚み分だけ液面から沈める(Z方向に動かす)。この状態で、光源からの光100を、偏向器(ガルバノメータミラー)102の角度を変化させることにより、光硬化性液108の表面上で走査させ硬化させる。
次に、テーブル106を次に硬化させる層の厚み分だけZ方向に動かす。そして、同様に光源からの光100を光硬化性液108の表面上で走査させ硬化させる。このように、一定の厚みを持った硬化層を積み重ねることにより、希望形状を有する物体がテーブル106上に造形される。
【0003】
ここで、図11において、a点からb点まで光100を走査させ光硬化性液108を硬化させる場合を考える。図12は、上段にa点からb点まで各位置における光100の走査速度を、下段は硬化される光硬化性液の深さを表す。
図12の上段に示すように、光100の走査速度は、a点(始点)付近では加速され(加速域)、等速で移動する期間(等速域)を経て、b点(終点)付近では減速される(減速域)。この場合、もし光100の光強度が一定であるならば、加速域及び減速域では光100によって照射される時間が長くなり、この区域に照射される光エネルギー量は多くなる。このため、図12の下段に示すように、光100によって硬化される光硬化性液の深さは、加速域及び減速域では等速域に比較して深くなってしまう。したがって、造形物の形状精度を上げる上で大きな問題となる。このように、従来の光を走査して光硬化性液を硬化させる光造形方法では、上述した加減速域のため、光硬化性液に対して照射される光エネルギー量が不均一になるという問題があった。
【0004】
そこで、光硬化性液に照射する光エネルギ量を制御し均一とするために、特開平9−9940号公報に記載された技術が知られている。
この方法では、光源と光硬化性液が入った容器との間に光変調器を設置し、偏向器に同期して光変調器を制御し、各点に照射される光の照射時間を変化させる。例えば、図11において、a 点からb 点まで走査する場合を考えると、まず、予めa 点からb 点までの各地点における光の走査速度(速度情報)を決める。次に、各地点における走査速度がこの速度情報どおりになるように、偏向器(ガルバノメータミラー)102の角度を制御し、同時にこの速度情報に基づき光変調器を制御する。すなわち、走査速度が遅い時は、光の光強度を弱くし、逆に、走査速度が早い時は、光の光強度を強くする。こうすることにより、偏向器と光変調器とを同期して制御することができ、各点に照射される光エネルギー量が均一となるように制御する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、偏向器と光変調器を同期させるためには、偏向器に存在する図13に示すような、実際の指令信号に対しての応答の遅れ(過渡特性)を予め調べ、この応答の遅れを考慮して光変調器に制御信号を出力しなければならない。特に、同一の仕様の偏向器であっても、過渡特性には固体差(バラツキ)があるため、各装置に使用される偏向器毎に過渡特性を考慮する必要があり、実質的に同期させて制御することは困難であった。
このため、従来の方法、装置では、光硬化性液に照射される光エネルギー量が不均一となるという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記した課題を解決するために、請求項1記載の発明に係わる光造形方法は、造形希望形状を複数の層にスライスした断面群の中の少なくとも一断面の一部の領域を造形する方法であって、その領域の形状データから、その領域を硬化するために光が照射される1又は複数の照射点を決定する工程と、光を光硬化性液に照射しない状態で、前記照射点の一つに光源からの光が照射されるように、光源から光硬化性液の間に配置された光学機器を調整する調整工程と、光学機器が調整された後に、前記照射点の一つに、光を照射する位置が一定のまま光を照射する照射工程とを有し、照射点のすべての点に前記調整工程と前記照射工程とを繰り返すことにより、隣接する照射点間に存在する光硬化性液を切れ目無く硬化させて前記領域が造形される。
上記方法によれば、決定された照射点の各点に、光が照射されるように位置合わせをし、光を照射する位置が一定の状態でその点に光が照射され、この領域が造形される。光を照射している間は光は走査されないため、照射点を移動する際の応答の遅れを考慮する必要がなく、照射される光エネルギー量を均一とすることができる。
【0007】
請求項2 に記載の光造形方法は、請求項1記載の光造形方法において、造形する断面の外周領域については、前記照射点を決定する工程が行われ、その工程で得られた照射点に前記調整工程と前記照射工程とを繰り返すことにより造形し、造形する断面の内部領域は、光源からの光を光硬化性液面上で走査することにより造形する。
上記方法によれば、造形物の形状精度が必要とされる造形物の断面の外周領域は、位置合わせ工程と照射工程を繰り返すことにより造形され、精度があまり要求されない内部領域は、光を走査することにより造形される。したがって、造形時間をひどく長くすることなく、造形物の外周領域に照射される光エネルギー量を均一にし造形物の形状精度を向上させることができる。
【0008】
請求項3 に記載の光造形方法は、請求項1記載の光造形方法において、前記照射工程における前記光硬化性液に光を照射する時間は、光源から照射される光の光強度を測定し、この値に基づき決定されている。
上記方法によれば、光硬化性液に照射される光の光強度を測定し、この値に基づいて照射時間が決められているため、光硬化性液に照射される光の光強度が時間的に変動しても、この変動を考慮して照射時間が決定される。したがって、照射される光エネルギー量をより均一にすることができる。
【0009】
請求項4に記載の光造形装置は、造形希望形状を複数の層にスライスした断面群の中の一つの断面において、その断面の全部又は指定された領域の形状データに基づいて、光源からの光が照射される光硬化性液面上の1 又は複数の照射点を決定する照射点決定手段と、前記光源と前記光硬化性液の間に配置され、前記照射点に前記光源から出射される光が照射されるように光の照射位置を制御する照射位置制御手段と、前記光源と前記光硬化性液の間に配置され、前記照射点に照射される光の光強度および/または照射時間を制御する光エネルギー制御手段とを備えた。そして、照射位置制御手段は、光を光硬化性液に照射しない状態で照射点に光が照射されるように光の照射位置を調整する一方で、照射点に光が照射されている間は光を照射する位置が一定となるようにし、光エネルギー制御手段は、隣接する照射点間に存在する光硬化性液が切れ目無く硬化するように光の光強度および/または照射時間を制御する。
上記装置では、照射点決定手段で決定された照射点に、照射位置制御手段により光源の光が照射されるようにし、光エネルギー制御手段で、その照射点に所定の光エネルギー量を照射することができる。したがって、照射点を移動させる時の応答の遅れは考慮する必要がないため、各照射点に照射される光エネルギー量を同一の値としやすい。
【0010】
請求項5に記載の光造形装置では、請求項4記載の光造形装置において、
前記光源と前記光硬化性液との間には、前記光源から出射される光の光強度を測定する光検出器が配置され、
その光検出器で検出された値に基づいて、前記光エネルギー制御手段は、前記照射点に照射される光の光強度および/または照射時間を制御する。
上記装置では、光源から照射される光の光強度が経時変化しても、光源と光硬化性液との間に配置された光検出器により、この変化を検出でき、この変化分を光エネルギー制御手段で補償することができる。したがって、照射される光エネルギー量をより均一にすることができる。
【0011】
請求項6に記載の光造形装置では、請求項4記載の光造形装置において、
前記照射位置制御手段は、偏向ミラーであり、
前記照射点決定手段で決定された各照射点の座標から、各照射点に照射する際の前記偏向ミラーへの光の入射角から、偏向ミラーの反射効率を計算する反射効率計算手段を備え、
その反射効率計算手段で得られた反射効率を考慮して、前記光エネルギー制御手段は、各照射点へ照射される光の光強度および/または照射時間を制御する。
上記装置では、各照射点に照射される際の偏向ミラーへの光の入射角から偏向ミラーの反射効率が計算され、その値に基づき光エネルギー制御手段は光硬化性液へ照射する光のエネルギー量を制御する。したがって、照射される光エネルギー量をより均一にすることができる。
【0012】
請求項7に記載の光造形方法では、光を光硬化性液に照射しない状態で、光の照射点を移動させる移動工程と、光の照射点を固定して、光を光硬化性液に照射する照射工程とを有し、前記移動工程と照射工程とを繰り返し、照射される光で作られるビームスポットで硬化すべき領域を塗りつぶすことにより、隣接する照射点間に存在する光硬化性液を切れ目無く硬化させて硬化すべき領域を造形する。
上記方法によれば、光が照射されない状態で光の照射点が移動し、光を照射している時は光の照射点は移動しない。したがって、光の照射点を移動させる時の応答の遅れを考慮する必要がないため、照射される光エネルギー量を均一にすることができる。
【0013】
請求項8に記載の光造形装置では、光を光硬化性液に照射しない状態で、光の照射点を移動させる移動手段と、光の照射点を固定して、光を光硬化性液に照射する照射手段とを有し、照射される光で作られるビームスポットで硬化すべき領域を塗りつぶすことにより、隣接する照射点間に存在する光硬化性液を切れ目無く硬化させて硬化すべき領域を造形する。
上記装置によれば、光が照射されない状態で移動手段により光の照射点が移動し、光の照射点が移動していない時、照射手段により光を照射する。したがって、光の照射点を移動させる時の応答の遅れを考慮する必要がないため、照射される光エネルギー量を均一にすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係わる光造形装置の全体構成図を示す。この光造形装置では、光源としてHe−CdレーザやArレーザ等のレーザ発振器2が用いられる。レーザ発振器2からされたレーザ光26は、反射ミラー20でその向きを変えられ、光変調器であるAOM (音響光学式光変調器)4に入射する。AOM 4を出射したレーザ光26は、半透過ミラー22で、その一部を透過させ、残りは向きを変えられる。半透過ミラー22を透過したレーザ光27は、光検出器18で光強度が測定される。一方、向きを変えられたレーザ光26は、フォーカスレンズ6に入射する。フォーカスレンズ6から出射したレーザ光26は、偏向器であるガルバノメーターミラー8,10によりその向きを変えられ、fθレンズ12を通って、容器14内の光硬化性液に入射されるように構成されている。
また、AOM 4、フォーカスレンズ6及びガルバノメーターミラー8,10は、制御装置16により制御され、光検出器18で検出された光強度は、制御装置16に信号として送信されるようになっている。
【0015】
AOM 4は、光硬化性液に照射するレーザ光の光強度及び照射時間を制御する機能を有する。すなわち、AOM 4は、入射されたレーザ光を変調し、直進する0 次光と、僅かに偏向した1次光に分解する。1 次光は0 次光に対して僅かに偏向しているので、この分解された光のどちらかの成分をスリットにより遮断することにより、AOM 4から出射する光を0 次光または1 次光のみとすることができる。したがって、AOM 4に印加する超音波の電圧を変化させることにより、0次光と、1 次光の比率を変化させ、AOM 4から出射する光の光強度を変えることができる。
また、AOM 4に印加する電圧を調整し、AOM 4で分解されるレーザ光を0 次光または1 次光のみとすることにより、AOM 4をレーザ光が透過したり透過しなかったりすることができる。したがって、AOM 4は、シャッタリング装置としての機能を有し、印加される電圧を切り替えることによりAOM 4を光が透過する時間を制御することができ、その結果、光硬化性液にレーザ光が照射される時間を制御することができる。
したがって、AOM4は、レーザ光の光強度及び照射時間を変更することができるので、光硬化性液に照射される光のエネルギー量を制御することができる。すなわち、AOM4が光エネルギー制御手段に相当する。
なお、光エネルギー制御手段として、EOM (電気光学式光変調器)も同様の機能を果たすことができる。
このように、AOM4は、レーザ光の光強度及び照射時間を制御する機能を有するが、本実施形態では、透過率は100%か0%(シャッタ全開又は全閉)とし、照射時間のみを制御している。
【0016】
半透過ミラー22は、レーザ発振器2から出射したレーザ光26のうち、数%程度を透過するように調整されている。この透過されたレーザ光27は、光検出器18で、その光強度が検出される。光検出器18は、造形物の造形開始から造形が終了するまでの、光強度を常時計測する。これは、レーザ発振器2はその出力が時間的に漸減するものであり、また、AOM 4の透過率も時間と共に変化する。したがって、光検出器18で、AOM 4を透過したレーザ光の光強度を測定し制御装置16に、その情報を伝達する。制御装置16は、AOM 4を透過するレーザ光の時間を制御すること、すなわち、光硬化性液に照射されるレーザ光の照射時間を制御することによりこの変化分を補償するのである。
なお、この変化分を補償する方法として、レーザ発振器の出力を一定にする機構を持つレーザ発振器を使用する方法もあるが、レーザ発振器が高価になるという欠点がある。また、レーザ発振器としてこのようなものを使用しても、AOM 4の透過率が時間的に変化した場合には対応できない。
また、反射ミラー20を半透過ミラーとし、この場所で光強度を測定することもできる。この場合は、AOM4の経時変化は補償できないが、AOM4がレーザ光を透過しない場合も、レーザ発振器から出射されるレーザ光の光強度を測定できるのでより正確にレーザ発振器の経時変化を補償できる。
【0017】
フォーカスレンズ6は、レーザ発振器2で出射したレーザ光26が容器14に入った光硬化性液の液面上に所定のレーザフォーカス径で照射されるように調整するものである。すなわち、ガルバノメーターミラー8,10のミラーの角度が変化してレーザ光が照射される位置が変化すると、レーザ発振器2から光硬化性液までの光路長が変化する。したがって、その変化分をフォーカスレンズ6で補正する。また、本実施形態では、照射されるレーザ光26のレーザフォーカス径を可変としているので、このフォーカスレンズ6により、レーザフォーカス径が制御される。レーザ光のレーザフォーカス径は、硬化される光硬化性液の形状を決定する重要な要因となる。すなわち、レーザフォーカス径を大きくするとピーク強度が低くなり、硬化幅が大きくなる一方で硬化深度は小さくなる。したがって、レーザフォーカス径を制御することにより、造形物の形状に合せた硬化形状とすることができる。
【0018】
ガルバノメーターミラー8,10は、偏向ミラーとこれを回動するためのモータとからなっている。すなわち、モータが回転することにより、偏向ミラーが回転し、レーザ光に対する入射角度が変更される。したがって、偏向ミラーの回転角を変えることにより、光硬化性液面上のレーザ光が照射される位置を変更することができる。本実施の形態では、ガルバノメーターミラー8でY 方向の、ガルバノメーターミラー10でX 方向の照射位置を変えることができる。したがって、本実施形態では、ガルバノメーターミラー8,10が、照射位置制御手段となる。
なお、ガルバノメーターミラー8の偏向ミラーの角度を変えずに、ガルバノメーターミラー10の角度を回動することにより、光硬化性液の液面上でレーザ光をX 方向に走査することができる。逆に、ガルバノメーターミラー10の偏向ミラーの角度を変えずに、ガルバノメーターミラー8の角度を回動することにより、光硬化性液の液面上でレーザ光をY方向に走査することができる。
【0019】
fθレンズ12は、数枚のレンズが組み合わされて構成されたもので、光硬化性液の液面上の全面にわたって均一なレーザフォーカス径で集光するためのものである。
【0020】
容器14は、その内部に光硬化性液液が入れられており、この光硬化性液に所定の光エネルギー量以上の光が照射されることにより、光硬化性液が硬化する。また、容器14内には、造形物24を支持するテーブル15が配設されている。このテーブル15は、液面の高さを検知する図示省略した高精度距離センサーの値に基づき、液面からの深さが調整されるようになっている。
【0021】
次に、制御装置16の構成について、図2に基づいて説明する。
制御装置16は、一般的なコンピュータにより構成されるもので、ROM等に記憶されているプログラムを適宜呼び出し、各種ファイル等に記憶されているデータを処理し、各デバイスを制御するための信号を各デバイスに送信する。具体的には、造形希望形状の3次元データ等から後述する各種データ処理を行うデータ処理部30と、データ処理部30で処理されたデータに基づいてAOM 4やガルバノメーターミラー8,10等の各デバイスに制御信号を送信する制御部31とを有する。
【0022】
データ処理部30は、造形希望形状の3次元データが格納された立体造形データ格納手段32と、レーザ光が照射される照射点を決定する照射点決定手段34と、ガルバノメーターミラー8,10の反射効率を決定する反射効率決定手段35と、照射時間を決定する照射時間決定手段36とを有する。
【0023】
立体造形データ格納手段32は、図示省略した立体形状プログラミング装置、例えば、いわゆるCAD に接続されている。そして、この立体形状プログラミング装置でプログラミングされた造形物の立体形状データが、立体造形データ格納手段32に送られ、格納される。この立体形状データから、造形希望形状を複数の層にスライスした各断面の二次元形状データを求めることができ、各断面で硬化すべき光硬化性液の領域が決定できる。
【0024】
照射点決定手段34は、立体造形データ格納手段32に格納されているデータと、オペレータにより適宜選択されたレーザフォーカス径に基づいてレーザ光が照射される照射点を決定する。ここで、レーザフォーカス径とは、レーザ光が照射される範囲であり、ビームスポットの径である。
具体的な手順について、図3、図4に基づいて、以下に説明する。
まず、各断面で硬化しなければならない領域を、立体造形データ格納手段32に格納されている形状データから決定する。
次に、隣り合う照射点間のピッチpを決定する。図3は、照射点とレーザフォーカス径との関係を示す図面である。図3において、点O 、O ‘は照射点を表し、点O 、O ‘を囲む円は、各照射点O 、O ‘を照射する際のレーザ光のレーザフォーカス径を表す。したがって、二つの円が重なっているということは、隣接する照射点O 、O ‘に照射されるレーザ光が、重なり合うことを示す。このように隣り合う照射点に照射されるレーザ光のレーザフォーカス径が重なり合うのは、隣り合う照射点間に存在する光硬化性液を切れ目なく硬化するためである。なぜなら、レーザ光の光強度は、照射点(中心)で一番高く、照射点から離れるにしたがって低くなる。このため、レーザ光の中心から離れるにしたがって光硬化性液に入射するエネルギー量が減り、レーザ光は照射されていても硬化しない部分が生じるからである。
図3において、レーザフォーカス径をdとし、重なり合う幅をrとすると、一般的にr/dの値を0.3〜0.5の範囲となるように、隣り合う照射点間のピッチpが決定される。但し、造形希望形状の精度が高く要求される場合(断面の厚みを薄くしなければならない場合)には、一回の照射により硬化する光硬化性液の幅(硬化幅)と、深さ(硬化深度)を小さくする必要がある。したがって、照射時間を短くし、硬化する光硬化性液の幅を小さくする。幅が小さくなるために、照射点間のピッチpも、さらに小さくなる。すなわち、r/dの値が0.5以上となる。
逆に、造形希望形状の精度があまり要求されない場合(断面の厚みを厚くできる場合)、レーザ光の照射時間を長くし、一回の照射による硬化幅及び硬化深度を大きくすることができる。したがって、硬化する光硬化性液の幅を大きくするのに合せて、照射点間のピッチpも大きくなる。すなわち、r/dの値が0.3以下となる。
したがって、硬化させる厚み(断面の厚み)とレーザフォーカス径により、照射時間が決定され、照射時間が決まれば硬化する幅も決定でき、その硬化幅からr/dの値(照射点間のピッチ)が決定できる。
【0025】
次に、上述した過程により決定した照射点間のピッチpと、硬化しなければならない領域の形状データから、その領域全体を隙間なく硬化させるための照射点の座標を決定する。この過程を、図4(a)に示すXY平面上で、境界線50、51により区切られた領域を硬化する場合を例に説明する。ここで、照射点間のピッチをpとする。
まず、硬化する領域を、x軸に平行な直線でスライスした各領域52,53,54に分ける。次に、領域52内の照射点Aの座標を決定する。境界線50のy座標と1回の照射により硬化する光硬化性液の幅から、領域52内の照射点A のy座標が決定できる。すなわち、境界線50のy座標の値に、1回の照射により硬化する光硬化性液の幅を足した値が、点A のy 座標となる。同様に、境界線51のx座標と1回の照射により硬化する光硬化性液の幅から、領域52内の照射点Aのx座標が決定できる。点Aの座標が決まれば、各照射点間のピッチはpであるので順次、点B、点Cの座標が決定できる。また、領域53内の照射点のy座標は、領域52内の照射点のy座標にピッチpを加えたものなので、点Dのy座標が決定できる。以下同様に、点D、E、Fの座標が決定できる。領域54内の照射点についても同様の手順で決定できる。
【0026】
なお、図4(a)では、各領域52,53,54における照射点のx座標(例えば、点A,D,Gのx座標)は同一の値としたが、図4(b)のように、各領域における照射点のx座標をx方向にp/2だけずれるようにしてもよい。図4(a)に示す照射パターンで各照射点に照射した場合、例えば点A,B,D,Eで囲まれた領域には、上述したr/dの値により異なるが、重複して4回レーザ光が照射される部分がある。このような部分は、他の部分に比較して硬化深度が深くなりすぎるという問題が生じる。しかしながら、図8(b)の場合は、重複してレーザが照射される回数が3回となり、このような問題が緩和される。
【0027】
また、上述した方法では、硬化する領域をx軸に平行な直線でスライスした各領域52,53,54に分けて照射点を決定したが、硬化する領域をy 軸に平行な直線でスライスして照射点を決定してもよい。
また、従来のレーザ光を走査して造形する方法においてレーザ光を走査する走査線上に、照射点を決定しても良い。この方法では、従来と同じ方法で走査線を決定し、その走査線の両端の最も境界線に近い2点の座標を決め、残りの照射点を決定すれば良い。この方法によれば、従来の方法をそのまま転用することができ、ソフトウェア開発の短縮が図れる。
【0028】
反射効率決定手段35は、照射点決定手段34で決定された照射点のXY座標から、ガルバノメーターミラー8,10の反射効率を計算する。以下、図5 、図6 に基づき、照射点と反射効率の関係を説明する。ここで、図5は、レーザ光28がガルバノメーターミラー8,10に、入射され偏向される様子を模式的に表した図である。図6は、反射効率ηと入射角θとの関係を表す。
図1 に示す光造形装置では、レーザ光26が照射される位置は、ガルバノメータミラー8,10のミラー角度を変えることにより制御している。図5(a)、図5(b)、図5 (c)に示すようにガルバノメータミラー8,10のミラーの角度が変われば、レーザ光26のガルバノメータミラー8,10への入射角が変わる。したがって、照射点が異なれば、ガルバノメーターミラー8,10へのレーザ光26の入射角も異なることとなる。したがって、照射点が決定されれば、ガルバノメーターミラー8,10のミラー角度が決定できるので、各照射点にレーザ光26を照射する際のレーザ光26の入射角が演算できる。
また、ガルバノメータミラー8,10に入射したレーザ光は、その全てが反射させられるわけではなく、入射したレーザ光のうち数%が消失する。このガルバノメーターミラーで反射する割合(反射効率)は、図6に示すように、ガルバノメーターミラー8,10へのレーザ光26の入射角により99.9〜97%程度の差が生じる。したがって、照射点が決まればレーザ光のガルバノメータミラー8,10への入射角が決定でき、反射効率も決定できる。
【0029】
照射時間決定手段36は、各照射点における照射時間を決定する。具体的には、まず、ガルバノメーターミラーの反射効率が100%として、オペレーターにより選択されたレーザフォーカス径と、硬化させる光硬化性液の厚みから、基準となる照射時間を決定する。次に、反射効率決定手段35で求められたガルバノメーターミラー8、10の反射効率を考慮して、実際の照射時間を計算する。例えば、反射効率が98%であれば、照射時間を100/98倍とするのである。また、レーザ発振器2は、時間と共にその出力が変化し、また、AOM4も時間と共にその透過率が変化する。したがって、レーザ発振器2から照射されAOM4を通過した光が、時間の経過と共にその光強度が変化した場合には、光検出器18でこの変化を検出し、この変化分を補正して照射時間を決定する。例えば、光検出器18で検出したレーザ光の光強度が2%低下した場合、照射時間を100/98倍とするのである。
このように、照射時間決定手段36は、各照射点毎にレーザ光26の光強度の経時変化と、照射点が変わることによる反射効率の変化分を補正して照射時間を決定する。
【0030】
制御部31は、容器14内のテーブル15の液面からの位置を制御するための信号を送信するテーブル位置制部37と、照射点決定手段34で決定された各照射点にレーザ光が照射されるように、ガルバノメーターミラー8,10の回転角を制御するための信号を送信するガルバノメーターミラー制御部38と、照射点決定手段34で決定された各照射点に、所定のレーザフォーカス径でレーザ光が照射されるようにフォーカスレンズ6を制御するための信号を送信するフォーカスレンズ制御部39と、照射時間決定手段36で決定された照射時間レーザ光を照射するためにAOM 4を制御するための信号を送信するAOM 制御部とを有する。
【0031】
次に、この図1に示す、光造形装置を用いて造形物24を造形する際の、光造形装置の動作について説明する。
ここで、光造形装置では、造形希望形状を複数の層にスライスし、このスライスされた各層を硬化し、この硬化層を積み重ねることにより希望形状を造形する。各層を積み重ねて造形する手順は既存の手順と同様に行うことができるので、以後は、各断面を造形する際の手順を中心に説明する。
【0032】
まず、一つの断面を硬化させる際の手順を、図7、図8に基づいて説明する。図7は、各照射点に光が照射されることにより硬化される形状を重ね合わせて表現したものである。
図7で示すように、本実施形態では、造形物の外周領域60と、その内部領域62とでは、照射されるレーザ光のレーザフォーカス径を変えている。これは、外周領域は、形状精度に直接関係するため、レーザフォーカス径を小さくし一回の照射により硬化される形状64の硬化幅を小さくする必要がある。これに対して、内部領域はそれほど形状精度が要らないと考えられるので、レーザフォーカス径を大きくし一回の照射により硬化される形状66の硬化幅を大きくする。このことにより、内部領域62での照射点の数を減らし、造形時間の短縮を図ることができる。
【0033】
図8は、各断面を硬化する際のフローチャートである。
まず、その断面で硬化する領域を、1又は複数の領域に分割する(S1)。図7の場合では、造形物の外周領域60と、内部領域62に分割する。この分割は、オペレーターが、図示省略した入力装置から、制御装置16に入力することにより行われる。次に、S1で分割された領域のうちの一つを選択する(S2)。図7の場合は、造形物の外周領域60又は内部領域62のどちらかが選択される。この選択は、オペレーター自身が入力することにより選択するようにしても良いし、プログラムにより自動的に選択するようにしても良い。次に、S2で選択された領域において、照射されるレーザ光のレーザフォーカス径を決定する(S3)。レーザフォーカス径は、オペレータが図示省略した入力装置から制御装置16に入力することにより設定され、図7の場合では外周領域60と、内部領域62とでは異なる値が設定される。レーザフォーカス径が設定されると、選択された領域内の照射点が照射点決定手段34において、上述した手順で決定される(S4)。
【0034】
照射点が決定されると、その照射点のうちの一点が選択される(S5)。次に、選択された照射点にレーザ光が照射されるように、ガルバノメーターミラー8,10の角度調整が行われる(S6)。このとき、あわせて、S3で決定されたレーザフォーカス径でレーザ光が光硬化性液に照射されるようにフォーカスレンズ6が調整(制御)される。ガルバノメーターミラー8,10及びフォーカスレンズ6の調整が終わると、S6で位置合わせした照射点の照射時間が照射時間決定手段36において決定される(S7)。本実施形態では、S6の後にS7を行ったが、S6の前にS7を行っても良いし、同時に行っても良い。照射時間が決定できたらS5で位置合わせを行った照射点に、S6で決定した照射時間の間、レーザ光を照射する(S8)。ここで、照射時間は、AOM4を制御することにより行われる。これにより、その照射点を中心に、所定の範囲内の光硬化性液が硬化される。図7の場合では、外周領域60では、64で示した形状が硬化され、内部領域62では66で示した形状が硬化される。照射が終わると、S2で選択された領域内で照射されていない照射点があるかどうかが判断され(S9)、照射されていない照射点がある場合は、S5〜S9までのステップを順次繰り返すことになる。
【0035】
この時(S5〜S9までの各ステップを繰り返す時)の、図1に示す光造形装置の各デバイスの動作を、外周領域60を造形する際の動作を例に、図9、図10に基づいて説明する。図9の下段は、横軸に時間経過、縦軸にレーザ光が照射される位置(ガルバノメーターミラーの角度)を表し、併せてその上段にAOM4の開閉状態を示したものである。図10の下段は、図9に示される照射により光硬化性液に照射される光エネルギーと、上段はその照射により硬化させられる光硬化性液の形状を重ねて表したものである。
本方法によれば、まず、AOM4に印可する電圧を調整し、レーザ光がAOM4を透過しない状態(シャッターを閉じた状態)で、1番目の照射点にレーザ光が照射されるように、ガルバノメーターミラー8,10の角度が調整される。この際、同時にフォーカスレンズ6によりレーザフォーカス径を所定のレーザフォーカス径に合わせる。
次に、AOM4に印可する電圧を変えレーザ発振器2から照射されたレーザ光が所定時間t1の間AOM4を透過する状態(シャッターを開けた状態)とし、光硬化性液にレーザ光を照射する。この所定時間t1は、S7で決定された時間である。ここで、S7で考慮される光検出器18の光強度の値は、前の照射点に照射した時に、光検出器18で検出した値である。各照射点に照射されるように位置合わせが行われている間は、AOM4は光が透過しない状態だからである。なお、光検出器をAOM4の前に設置すれば、照射する直前の値に基づき照射時間を決定できるが、この場合には、AOM4の経時変化を補償することができなくなる。
1番目の照射点に、所定時間t1の間照射したら、AOM4を閉じた状態とし、2番目の照射点にレーザ光が照射されるように、ガルバノメーターミラー8,10が調整される。以下、上述したように各デバイスが同様の操作を繰り返すこととなる。
このように造形すれば、AOM4が開いている間はガルバノメータミラーは動作されていないため、各照射点に照射される光エネルギー量は、AOM4のみにより制御される。したがって、AOM4は、他のデバイスと同期する必要がないため、各照射点に照射される光エネルギーの量は図10の下段に示すように均一となる。照射される光エネルギー量が均一となることから、その硬化形状も、図10の上段に示すように同一形状となる。したがって、造形される造形物の精度も向上する。
【0036】
選択された領域内で全ての照射点に照射が完了したときには、次の工程(S10)に移る。S10では、その断面で、分割された全ての領域に照射したかどうかが判断される。全ての領域が照射されていない場合は、照射されていない領域についてS2〜S9までのステップを繰り返す。図7の場合では、例えば外周領域60についてまず照射を行い、次に内部領域62について照射を行うのである。全ての領域について、照射が完了するとその断面において硬化すべき領域が無くなったことになるから、その断面での照射を終了する。
【0037】
上述した手順により一つの断面の硬化が完了すると、容器14内のテーブル15を所定の深さだけ光硬化性液表面から沈めて、次の断面の硬化を行うのである。このように各断面の、硬化層を積み重ねて立体形状を造形するのである。
【0038】
このように、本実施形態に係る光造形方法では、ガルバノメーターミラー8,10の角度制御及びフォーカスレンズ6の制御と、照射時間の制御(AOM4の制御)を別々に行うので、各デバイスを同期させる必要がないため制御装置を簡単に且つ低コストで実現することができる。
また、光硬化性液に照射される光エネルギー量は、レーザ発振器2の出力を一定(光強度一定)とし、照射時間のみを制御(AOM4の制御)するだけでよい。したがって、光硬化性液に照射されるエネルギー量を任意の値に制御することが容易にでき、照射される光エネルギー量を硬化させる領域全体に渡って均一に照射できる。各照射点に照射される光エネルギー量が同一の量となることから、1回の照射により硬化する形状も同一形状となり、希望する硬化幅及び効果深度が得られる。したがって、造形物の形状精度を上げることができる。
特に、ガルバノメーターミラーは動的な制御特性は良くないが、静的な位置精度はきわめて高く10μm程度の位置精度を持つ。したがって、上述した方法によれば、ガルバノメーターミラーが静止した状態でレーザ光が照射されるため、正確な場所にレーザ光が照射され造形物の形状精度が向上する。
【0039】
また、上述した方法では、ガルバノメーターミラーの反射効率の影響を考慮して、各点における照射時間を変えているため、光硬化性液に照射する光エネルギー量をより均一とすることができる。すなわち、従来のレーザ光を走査する方法では、ガルバノメーターミラーの角度が刻一刻と変化するため、各点におけるガルバノメーターミラーの角度から反射効率を計算し、各点における照射時間を制御することは現実的に困難であった。しかし、上述した方法では、レーザ光が照射点に照射されるようにガルバノメーターミラーの角度が調整された後に、レーザ光が照射されるため、照射点の座標から予め反射効率を計算し、これを考慮して照射時間を決定すれば良い。したがって、本方法によって、ガルバノメータミラーの反射効率を考慮することが可能となる。
また、上述した方法では、レーザ出力の経時変化及びAOM4の透過率の経時変化を考慮することができる。従来のレーザ光を走査する方法において、このような経時変化を検出し、AOMにフィードバックして照射時間を増減する方法も考えられるが、経時変化を検出してから実際にAOMに指令が出されるまでには必ず時間遅れが発生する。したがって、レーザ光を走査する方法では、経時変化分が補償されないで照射された範囲が必ず存在する。しかしながら、上述した方法によれば、ガルバノメーターミラーの角度調整が行われた後、レーザ光が照射されるので、各照射点にレーザ光が照射される直前の光強度に基づきこのような変化分を補償することができる。なお、上述した方法でも、前の照射点にレーザ光が照射されてから、次の照射点に位置合わせが行われている最中に、経時変化が現れた場合については、このような経時変化は補償できない。しかしながら、実際にはこのような時間は短いため、実質的にレーザ出力の経時変化及びAOM4の透過率の経時変化を補償することができる。
【0040】
なお、光硬化性液の硬化形状は、光硬化性液に照射された光エネルギー量により決まる。したがって、レーザ発振器の出力を一定(光強度一定)とすると光硬化性液の硬化形状を設定するためのパラメーターとしては、レーザのエネルギー分布、レーザフォーカス径、照射時間がある。ここで、レーザのエネルギー分布は、一般に、出力は同一でもレーザ発振器毎に大きく異なることが知られている。したがって、硬化形状の精度を向上しようとする場合、どのような範囲(レーザフォーカス径の大きさ)に、どのようなエネルギー分布で照射するのかを考慮することは重要である。したがって、一つの走査線上においても造形する場所によりレーザフォーカス径を適宜変更することが好ましい。しかしながら、従来のレーザ光を走査する方法では、走査している最中にレーザフォーカス径を変化させ、硬化形状を制御することは困難であった。
しかしながら、本実施形態の方法では、各照射点において、レーザフォーカス径を変化させることができるので、レーザ発振器のエネルギー分布を予め実験等により調べておけば、このエネルギー分布に合わせて最適なレーザフォーカス径を選択できる。
【0041】
次に、上述した実施形態の変更例について説明する。
上述した実施形態では、レーザ光の光強度一定で照射時間を変更(AOM4を全開又は全閉)することにより、光硬化性液に照射される光エネルギー量を制御したが、AOMの透過率を変えることにより、すなわち、照射時間一定で光強度を変えることにより照射される光エネルギー量を制御するようにしてもよい。また、その両者(光強度と照射時間)を変えて制御しても良い。
上述した実施形態では、外周領域と内部領域で、照射するレーザ光のレーザフォーカス径を変えて照射したが、当然のことながら、全ての領域を単一のレーザフォーカス径で照射してもよい。これは、コネクター等の小物で且つ、高精度な造形が必要な場合には、内部領域にも、精度の高い照射が要求されるからである。また、逆に、外周領域のみを、本発明に係る造形方法で造形し、内部領域は従来と同様な、レーザ光を走査する方法により造形しても良い。外周領域は形状精度が要求されるため本発明に係る造形方法で造形するが、内部領域については形状精度に余り影響がないので、従来と同様のレーザ光を走査する方法によって造形するものである。この場合、外周領域の露光面積に比較し、内部領域の露光面積はかなり広い場合が多いので、造形時間の短縮を図ることができる。
また、各断面において異なる照射パターンを用いて造形を行っても良い。例えば、図5(a)に示す照射パターンで一断面を造形した場合には、次の断面には図5(b)に示す照射パターンで造形したり、図5(a)の照射点の座標をそれぞれ、x方向(又は、y方向)に半ピッチずらして造形する、等である。このようにすると、断面毎に照射点が異なるため、造形物を造形する際に生じるそりを防止することができる。
なお、上述した実施形態では、レーザ光が照射される位置を制御する機器として、ガルバノメーターミラーを使用したが、これに限られるものでなく、XYプロッターを使用した光造形装置にも本方法は有効である。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係わる光造形方法では、光を照射している間は、光が走査されないので、光硬化性液に照射される光エネルギー量を制御するためには、照射される光の光強度と照射時間を制御するだけでよく、照射されるエネルギー量を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる光造形装置の構成を示す図面である。
【図2】図1に示す光造形装置の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】照射点と照射点間のピッチとの関係を示す図面である。
【図4】照射点を決定する際の、手順を説明するための図面である。
【図5】ガルバノメーターミラーへレーザ光が入射して反射する様子を表した図面である。
【図6】ガルバノメーターミラーの入射角と反射効率の関係を示す図面である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る光造形方法で断面を造形した場合であって、外周領域と内部領域でレーザフォーカス径を変えた場合の、硬化形状を説明するための図面である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る光造形方法で、各断面を造形する際の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態に係る光造形方法で、各断面を造形する際の各デバイスの動作を説明するための図面である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る光造形方法で、光硬化性液に照射された光エネルギーと硬化した形状の関係を示す図面である。
【図11】光造形装置の原理を説明するための図面である。
【図12】従来の光造形方法により、レーザ光を走査した場合の、レーザ光の移動速度と各点における硬化深度の関係を示す図面である。
【図13】デバイスに存在する応答遅れを説明するための図面である。
【符号の説明】
2・・レーザ発振器
4・・AOM(音響光学式光変調器)
6・・フォーカスレンズ
8,10・・ガルバノメーターミラー
12・・fθレンズ
14・・容器
15・・テーブル
16・・制御装置
18・・光検出器
30・・データ処理部
31・・制御部
32・・立体造形データ格納手段
34・・照射点決定手段
35・・反射効率決定手段
36・・照射時間決定手段
37・・テーブル位置制御部
38・・ガルバノメーターミラー制御部
39・・フォーカスレンズ制御部
40・・AOM制御部

Claims (8)

  1. 造形希望形状を複数の層にスライスした断面群の中の少なくとも一断面の一部の領域を造形する方法であって、
    その領域の形状データから、その領域を硬化するために光が照射される1又は複数の照射点を決定する工程と、
    光を光硬化性液に照射しない状態で、前記照射点の一つに光源からの光が照射されるように、光源から光硬化性液の間に配置された光学機器を調整する調整工程と、
    光学機器が調整された後に、前記照射点の一つに、光を照射する位置が一定のまま光を照射する照射工程とを有し、
    前記照射点のすべての点に前記調整工程と前記照射工程とを繰り返すことにより、隣接する照射点間に存在する光硬化性液を切れ目無く硬化させて前記領域が造形される光造形方法。
  2. 請求項1記載の光造形方法において、
    造形する断面の外周領域については、前記照射点を決定する工程が行われ、その工程で得られた照射点に前記調整工程と前記照射工程とを繰り返すことにより造形し、
    造形する断面の内部領域は、光源からの光を光硬化性液面上で走査することにより造形する光造形方法。
  3. 請求項1記載の光造形方法において、
    前記照射工程における前記光硬化性液に光を照射する時間は、光源から照射される光の光強度を測定し、この値に基づき決定されている光造形方法。
  4. 造形希望形状を複数の層にスライスした断面群の中の一つの断面において、その断面の全部又は指定された領域の形状データに基づいて、光源からの光が照射される光硬化性液面上の1 又は複数の照射点を決定する照射点決定手段と、
    前記光源と前記光硬化性液の間に配置され、前記照射点に前記光源から出射される光が照射されるように光の照射位置を制御する照射位置制御手段と、
    前記光源と前記光硬化性液の間に配置され、前記照射点に照射される光の光強度および/または照射時間を制御する光エネルギー制御手段とを備え
    前記照射位置制御手段は、光を光硬化性液に照射しない状態で前記照射点に光が照射されるように光の照射位置を調整する一方で、前記照射点に光が照射されている間は、光を照射する位置が一定となるようにし、
    前記光エネルギー制御手段は、隣接する照射点間に存在する光硬化性液が切れ目無く硬化するように光の光強度および/または照射時間を制御する光造形装置。
  5. 請求項4記載の光造形装置において、
    前記光源と前記光硬化性液との間には、前記光源から出射される光の光強度を測定する光検出器が配置され、
    その光検出器で検出された値に基づいて、前記光エネルギー制御手段は、前記照射点に照射される光の光強度および/または照射時間を制御する光造形装置。
  6. 請求項4記載の光造形装置において、
    前記照射位置制御手段は、偏向ミラーであり、
    前記照射点決定手段で決定された各照射点の座標から、各照射点に照射する際の前記偏向ミラーへの光の入射角から、偏向ミラーの反射効率を計算する反射効率計算手段を備え、
    その反射効率計算手段で得られた反射効率を考慮して、前記光エネルギー制御手段は、各照射点へ照射される光の光強度および/または照射時間を制御する光造形装置。
  7. 光を光硬化性液に照射しない状態で、光の照射点を移動させる移動工程と、
    光の照射点を固定して、光を光硬化性液に照射する照射工程とを有し、
    前記移動工程と照射工程とを繰り返し、照射される光で作られるビームスポットで硬化すべき領域を塗りつぶすことにより、隣接する照射点間に存在する光硬化性液を切れ目無く硬化させて硬化すべき領域を造形する光造形方法。
  8. 光を光硬化性液に照射しない状態で、光の照射点を移動させる移動手段と、
    光の照射点を固定して、光を光硬化性液に照射する照射手段とを有し、
    照射される光で作られるビームスポットで硬化すべき領域を塗りつぶすことにより、隣接する照射点間に存在する光硬化性液を切れ目無く硬化させて硬化すべき領域を造形する光造形装置。
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