JP3948783B2 - 音再生装置及び音データ作成装置 - Google Patents

音再生装置及び音データ作成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の音データを連続して再生する装置、並びに、連続して再生するための複数の音データを生成する装置に関する。更に詳細には、本発明は、できるだけ少ない音源データでリアルな背景音(BGM)を連続再生できるように改良された音声再生技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種のアミューズメント装置及び施設では、雰囲気作りのために背景音が欠かせない。このような背景音を所定時間再生する際に、音源となるデータ量をできるだけ少なくする意味から、短い音データを繰り返し読み出してあたかも連続音を再生しているように見せかける技術がある。
【0003】
図15は、複数の音データを連続して再生する従来のシステム構成を示すブロック図であり、このシステムは、再生処理部51と終端判定部52とデータ出力部53と再生部54とを備える。連続する音データを連続して再生する場合、再生処理部51は、再生すべき音データを読み込み、その音データをデータ出力部53に書き出すという処理を繰り返す。そして、データ出力部53に書き出された音データがスピーカ等の再生部54に出力される。このような一連の処理において、再生処理部51が読み込んだ音データの全データにおける位置は、終端判定部52にて監視されており、ある音データの終端に到達すると終端信号が終端判定部52から再生処理部51に送られ、次の音データの読み込み・書き出し処理が行われる。このようにして、複数の音データが連続して再生される。図16は、従来例における連続した音データの再生状態を示す概念図である。
【0004】
なお、この連続する音データは、同一種類の音データであっても良いし、異なる種類の音データであっても良い。同一種類の音データである場合には、同一の音データについての読み込み・書き出し処理を行って、同じ音データを繰り返して再生することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のシステムでは、連続して複数の音データを再生する際に、先の音データの終端を読み込んだら次の音データの始端を読み込むだけであるので、先の音データの終端と次の音データの始端とのつなぎ目の部分において不連続が生じてクリック音のようなノイズが生じる場合があり、聴取者に不快感を与えるという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、連続して複数の音データを再生する際に隣合う音データのつなぎ目の部分においてノイズが発生しない音再生装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、再生時につなぎ目の部分においてノイズが発生しないような連続した複数の音データを作成できる音データ作成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る音再生装置は、連続する複数の音データに応じた音を再生する装置において、入力される音データを音に再生する再生手段と、連続する複数の音データ夫々に残響成分が生じる音響処理を施す手段と、音響処理後の各音データの始端・終端及び前記残響成分の位置を判定する判定手段と、音響処理後の各音データの始端に前記残響成分と同じ長さだけフェードイン処理を施す手段と、前記残響成分にフェードアウト処理を施す手段と、隣合う音データ間でフェードイン処理を施された音データの始端とフェードアウト処理を施された残響成分とを重畳させる重畳手段と、重畳後の複数の音データを連続して前記再生手段に出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
請求項に係る音データ作成装置は、元の連続する複数の音データに基づいて、連続再生を行う複数の音データを作成する装置において、前記元の複数の各音データ夫々に残響成分が生じる音響処理を施す手段と、音響処理後の各音データの始端・終端及び前記残響成分の位置を判定する判定手段と、音響処理後の各音データの始端に前記残響成分と同じ長さだけフェードイン処理を施す手段と、前記残響成分にフェードアウト処理を施す手段と、隣合う音データ間でフェードイン処理を施された音データの始端とフェードアウト処理を施された前記残響成分とを重畳させる重畳手段と、重畳後の複数の音データを連続して出力する出力手段と、出力された複数の音データを、連続再生を行う前記複数の音データとして保存する手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
図1は、本発明の音再生装置の原理構成図であり、その音再生装置は、元の音データを読み込むデータ入力部1と、再生用の音データを出力するデータ出力部2と、データ入力部1に読み込まれた音データを、そのまま、或いは、その始端にフェードイン処理及び/または終端にフェードアウト処理を施した音データをデータ出力部2へ転送するデータ転送部3と、データ入力部1によって読み込まれた部分が音データの始端・終端であるか否かを判定して始終端判定信号をデータ入力部1及びデータ転送部3へ出力する始終端判定部4と、データ入力部1からの音データの始端にフェードイン処理を施し終端にフェードアウト処理を施して、処理後の音データをデータ転送部3へ送るフェードイン/フェードアウト部5と、音データを再生する再生部6とを有する。
【0021】
再生すべき音データが連続してデータ入力部1に読み込まれてデータ転送部3へ送られるが、始終端判定部4は、読み込まれる各音データの始端・終端を監視しており、音データの終端がデータ入力部1からデータ転送部3へ送られる時点と、音データの始端がデータ入力部1からデータ転送部3へ送られる時点との間に始終端判定信号をデータ入力部1及びデータ転送部3へ送信する。この始終端判定信号を入力すると、データ転送部3は、データ入力部1から送られてきた音データをそのままデータ出力部2へは転送せず、それをフェードイン/フェードアウト部5に送る。フェードイン/フェードアウト部5は、入力した音データの始端にフェードイン処理及び/または終端にフェードアウト処理を施して、処理後の音データをデータ転送部3へ返す。そして、始端にフェードイン処理及び/または終端にフェードアウト処理が施された音データが、データ転送部3からデータ出力部2へ送られる。なお、始端及び/または終端以外の部分の音データは、データ入力部1に読み込まれたままでデータ転送部3を介してデータ出力部2へ送られる。
【0022】
本発明では、このように、連続する複数の音データについて、各音データの始端にフェードイン処理を施すか、及び/または、その終端にフェードアウト処理を施すようにしたので、隣合う音データ同士のつなぎ目でのクリック音のようなノイズの発生を防止することができる。
【0023】
また、本発明の他の音再生装置では、隣合う音データの一部同士を重畳させた音データをデータ出力部2へ送る。例えば、前の音データのフェードアウト処理された終端と後ろの音データのフェードイン処理された始端とを重畳させる。このような音データの重畳を行うことにより、フェードイン処理/フェードアウト処理によって音データの強さが零になるところがなくなり、再生時に音が切れたような感じを与えない。
【0024】
また、本発明の更に他の音再生装置では、連続する複数の音データにおける先頭の音データの始端及び最後尾の音データの終端は、音データのつなぎ目とはならないので、この始端と終端とについてはフェードインとフェードアウトとの処理を行わずに、元の音データの音色,特徴を残すようにする。
【0025】
音データに対してエコー,3Dサウンド処理を施して残響成分を加えて新しい音データを得る場合がある。このようにして得られる連続した音データについては、各音データにおける残響成分にフェードアウト処理を施すと共に、各音データの始端に残響成分と同じ長さだけフェードイン処理を施し、前の音データにおけるフェードアウト処理した残響成分と後ろの音データにおけるフェードイン処理した始端とを重畳させた音データをデータ出力部2へ送る。よって、エコー,3Dサウンドの効果を残しながら、重畳後の音データの長さが、エコー,3Dサウンド処理前の音データの長さと同じになる。
【0026】
図2は、本発明の音データ作成装置の原理構成図であり、その音データ作成装置は、上述した図1に示す音再生装置と同様のデータ入力部1、データ出力部2、データ転送部3、始終端判定部4及びフェードイン/フェードアウト部5と、データ出力部2から出力される処理済みの音データを保存する保存部7とを有する。これらのデータ入力部1、データ出力部2、データ転送部3、始終端判定部4及びフェードイン/フェードアウト部5の基本動作は、音再生装置の場合と同様であるが、データ出力部2から出力される、その始端及び/または終端にフェードイン処理及び/またはフェードアウト処理が施された音データが、保存部7に保存されるようになっている。
【0027】
このように、始端及び/または終端にフェードイン処理及び/またはフェードアウト処理が施された音データを保存作成しておけば、同じパターンで連続する複数の音データを再生する場合に、その作成しておいた音データを使用することにより、フェードイン/フェードアウト処理を再度繰り返す必要がなくなり、再生時の処理量を削減できる。また、フェードイン/フェードアウト処理済みの音データを一旦保存しておけば、従来の再生装置を用いても、音データのつなぎ目にノイズが生じることがない。
【0028】
なお、本発明は、同一種類の音データが連続するような場合、つまり同じ音データを何回も繰り返して再生する場合にも適用可能であるし、また、異なる種類の音データが連続するような場合にも適用可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図3は、本発明の第1の実施の形態(音再生装置)の構成を示すブロック図である。第1の実施の形態の音再生装置は、再生処理部11と始終端判定部4とデータ出力部2と再生部6とを備える。また、再生処理部11は、音データを読み込むデータ入力部21と、読み込まれた音データを一旦蓄積するバッファ22と、音データのデータ出力部2への読み出し、音データに対するフェードイン/フェードアウト処理、隣合う音データの重畳処理などを制御するデータ処理部23と、バッファ22に蓄積された音データの長さを監視し、そのデータ長と始終端判定部12からの後述する始終端判定信号とに基づいてデータ処理部23に各種の指令信号を送る処理判定部24と、予め設定されたフェードイン/フェードアウト設定条件30に従って音データの終端にフェードアウト処理を施すフェードアウト処理部25と、そのフェードイン/フェードアウト設定条件30に従って音データの始端にフェードイン処理を施すフェードイン処理部26と、フェードアウト処理された音データの終端を一時的に蓄積する終端バッファ27と、フェードイン処理された音データの始端を一時的に蓄積する始端バッファ28と、終端バッファ27及び始端バッファ28の出力を重畳して音データの重畳部分を得る重畳処理部29とを有する。
【0031】
次に、動作について説明する。音データの始端にフェードイン処理を施すか、また、音データの終端にフェードアウト処理を施すかは、任意に設定することができる。また、隣合う音データ同士でその始端と終端とを重畳させるか否かも自由に設定できる。このようなフェードイン処理・フェードアウト処理の有無及び始端・終端の重畳の有無を示す設定条件は、フェードイン/フェードアウト設定条件30に盛り込まれている。また、このフェードイン/フェードアウト設定条件30には、フェードイン処理/フェードアウト処理の対象となる始端/終端の音データの長さ(フェードイン/フェードアウトの幅)、フェードイン/フェードアウトの処理パターン、始端・終端の重畳部分のデータ長さ等も含まれている。
【0032】
データ入力部21により読み込まれた音データは一旦バッファ22に蓄積される。始終端判定部4は、データ入力部21に読み込まれる各音データの始端・終端を監視しており、音データの終端がデータ入力部21からバッファ22に書き込まれる時点と、次の音データの始端がデータ入力部21からバッファ22に書き込まれる時点との間に始終端判定信号をデータ入力部21及び処理判定部24へ送信する。また、この始終端判定信号は、音データの連続再生の開始時及び終了時にも発せられる。この始終端判定信号の入力タイミングにより、データ入力部21での次の音データの読み込みが開始される。
【0033】
処理判定部24は、既定のフェードイン/フェードアウト設定条件30の中のフェードイン/フェードアウトの幅+α(αは既定値)の長さを有する音データがバッファ22に蓄積された時点で、長さαの音データをデータ出力部2へ転送するようにデータ処理部23へ指令信号を出す。そして、この指令信号に応じて、バッファ22内のデータの先頭から長さαの音データが読み出され、データ処理部23を介してデータ出力部2へ出力される。この処理が、フェードイン処理,フェードアウト処理の何れもを行わない通常処理である。
【0034】
始終端判定部4から始終端判定信号を受け取ると、処理判定部24は、その時点でバッファ22に蓄積されている音データの中でフェードイン/フェードアウトの幅を超える音データをデータ出力部2へ転送するように、データ処理部23へ指令信号を出す。そして、この指令信号に応じて、データ処理部23は処理を行う。
【0035】
続いて、音データの終端にフェードアウト処理を施す場合に、処理判定部24は、所定幅分の終端の音データにフェードアウト処理を施すように、データ処理部23へ指令信号を出す。そして、この指令信号に応じて、データ処理部23は、処理を行うべき音データをバッファ22からフェードアウト処理部25へ処理指令と共に転送する。フェードアウト処理部25は、音データの終端にフェードアウト処理を施し、処理後の音データを終端バッファ27へ格納する。一方、音データの終端にフェードアウト処理を施さない場合に、処理判定部24は、所定幅分の終端の音データを終端バッファ27へ転送するように、データ処理部23へ指令信号を出す。そして、この指令信号に応じて、その音データがバッファ22から終端バッファ27へ格納される。
【0036】
また、音データの始端にフェードイン処理を施す場合に、処理判定部24は、バッファ22に入力音データの先頭から所定幅分の音データが蓄積されるまで待ち、蓄積された時点で、所定幅分の始端の音データにフェードイン処理を施すように、データ処理部23へ指令信号を出す。そして、この指令信号に応じて、データ処理部23は、処理を行うべき音データをバッファ22からフェードイン処理部26へ処理指令と共に転送する。フェードイン処理部26は、音データの始端にフェードイン処理を施し、処理後の音データを始端バッファ28へ格納する。一方、音データの始端にフェードイン処理を施さない場合に、処理判定部24は、所定幅分の始端の音データを始端バッファ28へ転送するように、データ処理部23へ指令信号を出す。そして、この指令信号に応じて、その音データがバッファ22から始端バッファ28へ格納される。
【0037】
次に、隣合う音データの始端と終端とを重畳させる場合、データ処理部23は、終端バッファ27内の音データと始端バッファ28内の音データとを重畳させるように、重畳処理部29へ指令を出す。この指令に応じて、設定条件に合わせた隣合う音データの始端と終端との重畳処理が行われ、処理後の重畳音データが重畳処理部29からデータ出力部2へ出力される。一方、隣合う音データの始端と終端とを重畳させない場合、データ処理部23は、終端バッファ27内の音データと始端バッファ28内の音データとを重畳させることなくこの順に読み出すように、重畳処理部29へ指令を出す。この指令に応じて、終端バッファ27内の音データ、始端バッファ28内の音データが順次、データ出力部2へ出力される。
【0038】
なお、上述した処理動作は連続再生中におけるものであり、連続再生の開始時,終了時には、それぞれ上述した処理動作の中の始端側処理,終端側処理のみを行う。
【0039】
図4は、このような処理によってデータ出力部2から出力される連続した音データの再生状態を示す概念図であり、フェードイン処理・フェードアウト処理の有無及び始端・終端の重畳の有無を示す設定条件の違いに応じた6種類の音データパターンを示している。図4(a)は始端及び終端にフェードイン処理・フェードアウト処理を施して重畳させない例、図4(b)は始端及び終端にフェードイン処理・フェードアウト処理を施して重畳させた例、図4(c)は終端のみにフェードアウト処理を施して重畳させない例、図4(d)は始端のみにフェードイン処理を施して重畳させない例、図4(e)は終端のみにフェードアウト処理を施して重畳させた例、図4(f)は始端のみにフェードイン処理を施して重畳させた例をそれぞれ示している。何れの例においても、隣り合う音データのつなぎ目が滑らかになり、ノイズを削減できる。なお、図4(a)に示す例では、フェードイン処理及びフェードアウト処理の長さが重畳の長さと等しくなっており、図4(e),(f)に示す例では、フェードアウト処理またはフェードイン処理の長さが重畳の長さと等しくなっていない。
【0040】
図5,図6は、再生処理部11での処理手順を示すフローチャートである。まず、始終端判定部4から始終端判定信号を受けたか否かを判断する(S1)。受けていなければ(S1:NO)、バッファ22にフェードイン/フェードアウトの長さ(W)+αの長さの音データが蓄積されているか否かを判断する(S13)。蓄積されていなければ(S13:NO)S1に処理手順が戻り、蓄積されていれば(S13:YES)、データ長αの音データを通常処理して(S14)S1に処理手順が戻る。
【0041】
始終端判定信号を受けた場合には(S1:YES)、バッファ22に音データが蓄積されているか否かを判断する(S2)。蓄積されていない場合には(S2:NO)、音データの連続再生の開始時に相当しており、始端にフェードイン処理を施すことが設定されているか否かを判断する(S15)。設定されていなければ(S15:NO)S1に処理手順が戻り、設定されていれば(S15:YES)、フェードインの幅分の音データが蓄積されるまで待って始端のフェードイン処理を行って(S16)S1に処理手順が戻る。
【0042】
バッファ22に音データが蓄積されている場合には(S2:YES)、フェードアウト処理されない音データに通常処理を施す(S3)。ここで、フェードアウト処理されない音データとは、始終端判定信号が入力された時点でバッファ22に長さLの音データがあり、そのデータの中の先頭から長さL−Wの音データのことを示す。次に、終端にフェードアウト処理を施すことが設定されているか否かを判断する(S4)。設定されているときには(S4:YES)、終端のフェードアウト処理を行う(S5)。設定されていないときには(S4:NO)、その音データを終端バッファ27へ転送する(S6)。
【0043】
次に、連続再生が終了か否かを判断する(S7)。終了であれば(S7:YES)、処理手順も終了となる。終了でなければ(S7:NO)、始端にフェードイン処理を施すことが設定されているか否かを判断する(S8)。設定されていなければ(S8:NO)そのまま、設定されていれば(S8:YES)、フェードインの幅分の音データが蓄積されるまで待って始端のフェードイン処理を行った後に(S9)、処理手順がS10へ進む。
【0044】
始端・終端を重畳することが設定されているか否かを判断する(S10)。設定されていれば(S10:YES)、隣合う音データの始端と終端とを重畳させて音データを出力して(S11)、S1に処理手順が戻る。一方、設定されていなければ(S10:NO)、前の音データの終端,後ろの音データの始端の順に音データを出力して(S12)、S1に処理手順が戻る。
【0045】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態(音再生装置)の構成を示すブロック図である。図7において図3と同一番号を付した部分は、第1の実施の形態と同一の部分であり、再生処理部11の内部構成も図3と同様であるのでその図示を省略している。図7は、再生時にリアルタイムで始端・終端判定処理及びフェードイン処理・フェードアウト処理を行って、連続する音データを再生する構成を示している。データ出力部2には、音データを増幅するアンプ12を介して再生部としてのスピーカ13が接続されている。なお、スピーカ13に代えてヘッドホンを用いても良い。また、データ出力部2からの音データの振幅が十分であれば、アンプ12は必ずしも設ける必要はない。
【0046】
(第3の実施の形態)
各音データの始端にフェードイン処理を施すように設定されていても、連続する音データの中の先頭の音データの始端だけはフェードインせず、及び/または、各音データの終端にフェードアウト処理を施すように設定されていても、連続する音データの中の最後尾の音データの終端だけはフェードアウトしないようにした第3の実施の形態(音再生装置)について説明する。
【0047】
この第3の実施の形態の構成は第1または第2の実施の形態の構成(図3または図7)と同様である。第3の実施の形態では、連続する音データの先頭の音データの始端がデータ入力部21に読み込まれた場合に上述した始終端判定信号とは分別可能な音データ開始信号、連続する音データの最後尾の音データの終端がデータ入力部21に読み込まれた場合に上述した始終端判定信号とは分別可能な音データ終了信号が、それぞれ始終端判定部4から処理判定部24へ出力される。このような音データ開始信号、音データ終了信号が入力された場合、処理判定部24は、その音データの始端にフェードイン処理を施さず、その音データの終端にフェードアウト処理を施さないように、データ処理部23へ指令信号を送る。
【0048】
同一種類の音データを繰り返して再生する場合を例にして、具体的に説明する。図8は、その音データのパターンを示す図である。図8(a)は、フェードイン処理/フェードアウト処理が施されていない元の音データを示し、図8(b)は、フェードイン処理/フェードアウト処理が施された始端/終端を加えた音データを示す。図8において、Aはフェードイン処理される始端、Zはフェードアウト処理される終端を表し、A′はフェードイン処理された部分、Z′はフェードアウト処理された部分を表し、残りのB〜Yは通常処理される部分を表す。第3の実施の形態における繰り返し再生時には、最初A,B,…,Y,Z′と再生し、次に、A′,B,…,Y,Z′を所定回数だけ繰り返し、最後にA′,B,…,Y,Zと再生する。
【0049】
図9(a)〜(f)は、このような第3の実施の形態においてデータ出力部2から出力される連続した音データの再生状態を示す概念図であり、フェードイン処理・フェードアウト処理の有無及び始端・終端の重畳の有無を示すそれぞれの設定条件は、図4(a)〜(f)に同様である。
【0050】
第3の実施の形態では、フェードイン処理/フェードアウト処理が目立つ連続再生の最初と最後とにはこのようなフェードイン処理/フェードアウト処理を行わないようにした音を再生することが可能である。なお、上述した例では、連続再生の最初の音データの始端にフェードイン処理を施さず、しかも、最後の音データの終端にフェードアウト処理を施さなかったが、その何れか一方においてのみフェードイン処理またはフェードアウト処理を施さないようにしても良く、再生する音データの特性に応じてこれらの選択を任意にすれば良い。
【0051】
(第4の実施の形態)
図10は、本発明の第4の実施の形態(音再生装置)の構成を示すブロック図である。図10において、14は元の音データにエコー処理,3Dサウンド処理等を施して残響成分を加えて新しい音データを得るフィルタ処理部であり、15はフィルタ処理部14での新しい音データを監視し、その音データの始端・終端及び残響成分を判定して始終端判定信号及び残響成分判定信号を再生処理部11内のデータ入力部21及び処理判定部24へ出力する始終端・残響成分判定部である。なお、他の構成は、図3に示す第1の実施の形態と同様であり、同一部分には同一番号を付してそれらの説明を省略する。
【0052】
次に、動作について説明する。図11は連続する複数の音データの中の1つの音データの実測図及び概念図であり、図11(a),(c)はそれぞれ元の音データの実測図,概念図であり、図11(b),(d)はそれぞれ元の音データにフィルタ処理を施した後の新しい音データの実測図,概念図、図11(e)はその新しい音データにフェードイン処理/フェードアウト処理を施した後の音データの概念図を表す。元の音データaにフィルタ処理を施すことにより、始端の部分bと中央の部分cと残響成分dとからなる新しい音データが得られる。そして、その始端の部分bはフェードイン処理されてb′となり、残響成分dはフェードアウト処理されてd′となる。
【0053】
フィルタ処理部14において、入力された元の音データ(図11(a),(c))に対してエコー,3Dサウンド等の処理が施され、処理後の新しい音データ(図11(b),(d))がデータ入力部21に読み込まれる。そして、読み込まれた音データは一旦バッファ22に蓄積される。そして、始終端・残響成分判定部15からの情報に基づいて、音データの残響成分と同じ時間長さ分の始端(図11(d)のb)にフェードイン処理部26でフェードイン処理を施し、処理後の音データ(図11(e)のb′)を始端バッファ28に蓄積する。これに続く残響成分になるまでの音データの部分(図11(d)のc)は、そのままデータ出力部2へ転送する。音データの残響成分(図11(d)のd)にフェードアウト処理部25でフェードアウト処理を施し、処理後の残響成分(図11(e)のd′)を終端バッファ27に蓄積する。そして、隣合う音データ間において、前の音データのフェードアウト処理された残響成分と後ろの音データのフェードイン処理された始端とを、重畳処理部29で重畳して、重畳後の音データをデータ出力部2へ転送する。なお、以上のような処理は、前述した第1の実施の形態に準じて行えるので、詳細な説明は省略する。図12は、第4の実施の形態における連続した音データの再生状態の概念図である。
【0054】
第4の実施の形態では、このような処理を行うことにより、隣合う音データ間でのつなぎ目において、エコー,3Dサウンド等の効果がなくなることがなく、しかもノイズが発生することもない。また、フェードイン処理/フェードアウト処理後の音データの長さが元の音データの長さと等しくなるので、連続再生時における時間管理が容易になる。
【0055】
(第5の実施の形態)
図13は、本発明の第5の実施の形態(音データ作成装置)の構成を示すブロック図である。図13において、図3と同一番号を付した部分は、第1の実施の形態と同一の部分である。図13において、7はデータ出力部2から出力される音データを保存する保存部であり、その始端及び/または終端にフェードイン処理及び/またはフェードアウト処理が施された音データが連続した処理済みデータを保存部7に保存できるようになっている。
【0056】
次に、動作について説明するが、データ入力部21への音データ読み込み処理からデータ出力部への音データ転送処理までは、上述した第1の実施の形態と同じであるので、その説明は省略する。データ出力部2から出力される処理済み音データが保存部7に保存される。そして、その処理済み音データを後に任意の時点で読み出して再生時に使用することができる。
【0057】
このように、第5の実施の形態では、始端及び/または終端にフェードイン処理及び/またはフェードアウト処理が施された音データを保存作成しておくので、同じパターンで連続する音データを再生する際に、その作成しておいた処理済み音データを使用すれば、フェードイン処理/フェードアウト処理を再度繰り返す必要がなくなり、再生時の処理量を削減できる。また、フェードイン処理/フェードアウト処理済み音データを一旦作成しておけば、従来の再生装置を用いても、音データのつなぎ目にノイズが生じることがない。
【0058】
(第6の実施の形態)
各音データの始端にフェードイン処理を施すように設定されていても、連続する音データの中の先頭の音データの始端だけにはフェードイン処理を施さず、及び/または、各音データの終端にフェードアウト処理を施すように設定されていても、連続する音データの中の最後尾の音データの終端だけにはフェードアウト処理を施さないようにした処理済み音データを作成する第6の実施の形態(音データ作成装置)について説明する。
【0059】
この第6の実施の形態の構成は第5実施の形態の構成(図13)と同様である。また、第6の実施の形態は、上述した第3の実施の形態で説明したようなフェードイン処理/フェードアウト処理が施された処理済み音データを保存部7に保存しておくようにした例である。よって、第5の実施の形態と同様の効果を奏すると共に、第3の実施の形態での効果もある。
【0060】
(第7の実施の形態)
図14は、本発明の第7の実施の形態(音データ作成装置)の構成を示すブロック図である。図14において、図10と同一番号を付した部分は、第4の実施の形態と同一の部分であり、また、7は図13と同様の保存部である。
【0061】
この第7の実施の形態は、上述した第4の実施の形態で説明したような、フィルタ処理した音データにフェードイン処理/フェードアウト処理が施された処理済み音データを保存部7に保存しておくようにした例である。よって、第5の実施の形態と同様の効果を奏すると共に、第4の実施の形態での効果もある。
【0062】
ところで、上述した各実施の形態は、同一種類の音データが連続するような場合、つまり同じ音データを何回も繰り返して再生する場合、及び、異なる種類の音データが連続するような場合の何れの場合についても適用できる。
【0063】
なお、上述した例では、フェードイン処理/フェードアウト処理が施された音データの概念図において、半分の三角窓の形状を使用することを図示したが、これは例示であり、ハニング窓,ハミング窓等の他の形状のフェードイン処理/フェードアウト処理を施すようにしても良いことは勿論である。
【0064】
【発明の効果】
以上のように本発明の音再生装置では、連続する各音データの始端及び/または終端にフェードイン処理及び/またはフェードアウト処理を施すようにしたので、隣合う音データのつなぎ目にノイズが発生することを防止でき、聴取者に不快感を与えることがない。
【0065】
また、本発明の音データ作成装置では、連続する各音データの始端及び/または終端にフェードイン処理及び/またはフェードアウト処理を施した処理済みの音データを保存作成しておくので、その作成した処理済みの音データを使用して、隣合う音データのつなぎ目にノイズがない音を聴取者に何回も提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の音再生装置の原理構成図である。
【図2】本発明の音データ作成装置の原理構成図である。
【図3】第1,第3の実施の形態(音再生装置)の構成を示すブロック図である。
【図4】連続した音データの再生状態を示す概念図である。
【図5】本発明における処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明における処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第2,第3の実施の形態(音再生装置)の構成を示すブロック図である。
【図8】連続する複数の音データの中の1つの音データの概念図である。
【図9】連続した音データの再生状態を示す概念図である。
【図10】第4の実施の形態(音再生装置)の構成を示すブロック図である。
【図11】連続する複数の音データの中の1つの音データの実測図及び概念図である。
【図12】連続した音データの再生状態を示す概念図である。
【図13】第5,第6の実施の形態(音データ作成装置)の構成を示すブロック図である。
【図14】第7の実施の形態(音データ作成装置)の構成を示すブロック図である。
【図15】従来の音再生装置の構成を示すブロック図である。
【図16】従来の連続した音データの再生状態を示す概念図である。
【符号の説明】
1,21 データ入力部
2 データ出力部
3 データ転送部
4 始終端判定部
5 フェードイン/フェードアウト部
6 再生部
7 保存部
11 再生処理部
14 フィルタ処理部
15 始終端・残響成分判定部
22 バッファ
23 データ処理部
24 処理判定部
25 フェードアウト処理部
26 フェードイン処理部
27 終端バッファ
28 始端バッファ
29 重畳処理部

Claims (2)

  1. 連続する複数の音データに応じた音を再生する装置において、入力される音データを音に再生する再生手段と、連続する複数の音データ夫々に残響成分が生じる音響処理を施す手段と、音響処理後の各音データの始端・終端及び前記残響成分の位置を判定する判定手段と、音響処理後の各音データの始端に前記残響成分と同じ長さだけフェードイン処理を施す手段と、前記残響成分にフェードアウト処理を施す手段と、隣合う音データ間でフェードイン処理を施された音データの始端とフェードアウト処理を施された残響成分とを重畳させる重畳手段と、重畳後の複数の音データを連続して前記再生手段に出力する出力手段とを備えることを特徴とする音再生装置。
  2. 元の連続する複数の音データに基づいて、連続再生を行う複数の音データを作成する装置において、前記元の複数の各音データ夫々に残響成分が生じる音響処理を施す手段と、音響処理後の各音データの始端・終端及び前記残響成分の位置を判定する判定手段と、音響処理後の各音データの始端に前記残響成分と同じ長さだけフェードイン処理を施す手段と、前記残響成分にフェードアウト処理を施す手段と、隣合う音データ間でフェードイン処理を施された音データの始端とフェードアウト処理を施された前記残響成分とを重畳させる重畳手段と、重畳後の複数の音データを連続して出力する出力手段と、出力された複数の音データを、連続再生を行う前記複数の音データとして保存する手段とを備えることを特徴とする音データ作成装置。
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