以下、本発明の一実施形態を図1〜図19に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
この図1に示される光ディスク装置20は、本発明の一実施形態に係る光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
図2に示されるように、上記光ディスク15の記録層Mにはスパイラル状の案内溝としてのグルーブGが形成されている。一般に光ディスクでは、レーザ光の入射方向からみたときに、凸形状となる部分をグルーブG、凹形状となる部分をランドLと呼んでいる。また、本実施形態では、グルーブGが情報記録用のトラックであり、グルーブGにデータが記録される。
このグルーブGは、一例として図3に示されるように、蛇行(ウォブリング)している。なお、本実施形態では一例としてグルーブGの蛇行形状はDVD+Rの規格に準拠しているものとする。
DVD+Rの規格によると、トラックの蛇行形状はADIPユニットと搬送波によって決定される。ADIPユニットは種々の情報を含んでいる。また、搬送波は基準クロック信号を形成するのに用いられる。本実施形態では、1つのADIPユニットと一連の搬送波部とから構成される基本単位を情報フレームと呼ぶこととする。1つの情報フレームの大きさは、一例として図4に示されるように、搬送波の1周期(ウォブル周期ともいう)分の大きさを1ウォブルとすると、93ウォブル(ウォブル番号0〜92)である。そして、ウォブル番号0〜7がADIPユニット、ウォブル番号8〜92が搬送波部である。データが記録される領域であるデータ・ゾーンにおけるADIPユニットは、同期情報が含まれている領域(以下「同期情報部」という)とアドレス情報が含まれている領域(以下「ADIP情報部」という)とから構成されている。そして、ウォブル番号0〜3が同期情報部、ウォブル番号4〜7がADIP情報部である。すなわち、同期情報部は4ウォブル、ADIP情報部は4ウォブルである。上記各情報部はそれぞれ位相変調(PSK:Phase Shift Keying)されている。
ADIP情報部は、4ウォブルが1ビットデータを表している。ビットデータが「0」のときは、図5(A)に示されるように、前方の2ウォブルを搬送波部と同位相とし、後方の2ウォブルを搬送波部と逆位相とする。一方、ビットデータが「1」のときは、図5(B)に示されるように、前方の2ウォブルを搬送波部と逆位相とし、後方の2ウォブルを搬送波部と同位相とする。なお、アドレスデータとしては51ビットが必要である。
同期情報部は、次の情報フレームにおけるADIP情報部がアドレスデータの先頭ビットのときには、図6(A)に示されるように、ワード同期(word sync)信号、すなわち4ウォブル全てを搬送波部と逆位相とする。また、ADIP情報部にビットデータが含まれているときには、図6(B)に示されるように、ビット同期(bit sync)信号、すなわち先頭の1ウォブルを搬送波部と逆位相とし、残りの3ウォブルを搬送波部と同位相とする。従って、図7に示されるように、52個の情報フレーム(ADIPビット)によって1つのアドレス情報(ADIPワード)が得られる。
次に、DVD+Rにおける各種情報が書き込まれる領域としての情報領域(Information Zone)のシングルセッションに対応したレイアウトについて図8を用いて説明する。
図8に示されるように、情報領域IZには内周から外周に向かって、インナー・ドライブ・エリア(Inner Drive Area)IDA、リードイン・ゾーン(Lead-in Zone)LIZ、データ・ゾーン(Data Zone)DZ、リードアウト・ゾーン(Lead-out Zone)LOZ、及びアウタ・ドライブ・エリア(Outer Drive Area)ODAが設けられている。なお、実際の光ディスク15では情報領域IZはスパイラル状であるが、図8では便宜上、情報領域IZを直線状で示している。
上記インナー・ドライブ・エリアIDAは、図9に示されるように、イニシャル・ゾーン(Initial Zone)、インナー・ディスク・テスト・ゾーン(Inner Disc Test Zone )、インナー・ディスク・カウント・ゾーン(Inner Disc Count Zone)、インナー・ディスク・アドミニストレーション・ゾーン(Inner Disc Administration Zone)、及びテーブル・オブ・コンテンツ・ゾーン(Table of Contents Zone)から構成されている。
イニシャル・ゾーンは、光ディスク15の回転中心からの距離Nrが22.000mmの位置に先頭位置がある。インナー・ディスク・テスト・ゾーンは、回転中心からの距離Nrが22.643mmの位置に先頭位置があり、最初の物理セクタの物理セクタ番号(以下「PSN」ともいう)は023480hである。インナー・ディスク・カウント・ゾーンは、回転中心からの距離Nrが23.079mmの位置に先頭位置があり、最初の物理セクタのPSNは027480hである。インナー・ディスク・アドミニストレーション・ゾーンは、回転中心からの距離Nrが23.186mmの位置に先頭位置があり、最初の物理セクタのPSNは028480hである。テーブル・オブ・コンテンツ・ゾーンは、回転中心からの距離Nrが23.293mmの位置に先頭位置があり、最初の物理セクタのPSNは029480hである。
前記リードイン・ゾーンLIZは、回転中心からの距離Nrが23.400mmの位置に先頭位置があり、最初の物理セクタのPSNは02A480hである。
前記データ・ゾーンDZは、回転中心からの距離Nrが24.000mmの位置に先頭位置があり、最初の物理セクタのPSNは030000hである。
前記リードアウト・ゾーンLOZは、データ・ゾーンDZの全てにデータが記録された場合には、回転中心からの距離Nrが58.000mmの位置に先頭位置があり、最初の物理セクタのPSNは260540hである。
前記アウタ・ドライブ・エリアODAは、図10に示されるように、アウタ・ディスク・アドミニストレーション・ゾーン(Outer Disc Administration Zone)、アウタ・ディスク・カウント・ゾーン(Outer Disc Count Zone)、アウタ・ディスク・テスト・ゾーン(Outer Disc Test Zone)、及びガード・ゾーン3(Guard Zone 3)から構成されている。
アウタ・ディスク・アドミニストレーション・ゾーンは、回転中心からの距離Nrが58.053mmの位置に先頭位置があり、最初の物理セクタのPSNは261940hである。アウタ・ディスク・カウント・ゾーンは、回転中心からの距離Nrが58.096mmの位置に先頭位置があり、最初の物理セクタのPSNは262940hである。アウタ・ディスク・テスト・ゾーンは、回転中心からの距離Nrが58.139mmの位置に先頭位置があり、最初の物理セクタのPSNは263940hである。ガード・ゾーン3は、回転中心からの距離Nrが58.310mmの位置に先頭位置があり、最初の物理セクタのPSNは267940hである。
また、本実施形態では、一例として前記イニシャル・ゾーン及び前記ガード・ゾーン3の一部に基準マークが形成されている。この基準マークは搬送波部から形成される基準クロック信号の遅延を補正するために用いられる。
イニシャル・ゾーンでは、一例として図11に示されるように、インナー・ディスク・テスト・ゾーンに近い領域として、PSN=023000h〜023070hにおいて、1ECCブロック、すなわち16物理セクタ毎に、各ECCブロックの先頭部分に対応する位置から所定の長さだけグルーブGを未形成としている。この未形成部分が基準マークとなる。なお、PSN=023000hの位置はアドレス=008C00hの先頭位置である。
ガード・ゾーン3では、一例として図12に示されるように、アウタ・ディスク・テスト・ゾーンに近い領域として、PSN=267940h〜2679C0hにおいて、1ECCブロック毎に、各ECCブロックの先頭部分に対応する位置から所定の長さだけグルーブGを未形成としている。この未形成部分が基準マークとなる。なお、PSN=267940hの位置はアドレス=099E50hの先頭位置である。
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15のスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。この光ピックアップ装置23は、一例として図13に示されるように、光源ユニット51、コリメートレンズ52、ビームスプリッタ54、対物レンズ60、検出レンズ58、受光器PD、及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ及びシークモータ(いずれも図示省略))などを備えている。
前記光源ユニット51は、波長が660nmのレーザ光を発光する光源としての半導体レーザLDを含んで構成されている。なお、本実施形態では、光源ユニット51から出射されるレーザ光の光束の最大強度出射方向を+X方向とする。
前記コリメートレンズ52は、光源ユニット51の+X側に配置され、光源ユニット51から出射された光束を略平行光とする。
前記ビームスプリッタ54は、コリメートレンズ52の+X側に配置され、コリメートレンズ52で略平行光とされた光束をそのまま透過させる。また、ビームスプリッタ54は、光ディスク15で反射され、前記対物レンズ60を介して入射する光束(戻り光束)を−Z方向に分岐する。
前記対物レンズ60は、ビームスプリッタ54の+X側に配置され、ビームスプリッタ54を透過した光束を光ディスク15の記録面に集光する。
前記検出レンズ58は、ビームスプリッタ54の−Z側に配置され、ビームスプリッタ54で−Z方向に分岐された戻り光束を前記受光器PDの受光面に集光する。受光器PDは複数の受光素子を含んで構成され、ウォブル信号情報、再生データ情報、フォーカスエラー情報及びトラックエラー情報などを含む信号を再生信号処理回路28に出力する。
前記再生信号処理回路28は、図14に示されるように、I/Vアンプ28a、サーボ信号検出回路28b、ウォブル信号検出回路28c、RF信号検出回路28d、デコーダ28e、クロック生成回路28f、アドレス検出回路28g、及び遅延量検出回路28hなどから構成されている。
I/Vアンプ28aは、受光器PDからの電流信号を電圧信号に変換する。サーボ信号検出回路28bは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてサーボ信号(フォーカスエラー信号及びトラックエラー信号など)を検出する。ここで検出されたサーボ信号はサーボコントローラ33に出力される。ウォブル信号検出回路28cは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてウォブル信号Swbを検出する。ここで検出されたウォブル信号Swbは、クロック生成回路28f、アドレス検出回路28g及び遅延量検出回路28hに出力される。RF信号検出回路28dは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてRF信号Srfを検出する。ここで検出されたRF信号Srfは、デコーダ28e及び遅延量検出回路28hに出力される。
デコーダ28eは、RF信号Srfに対して復号処理及び誤り検出処理等を行なった後、再生データとしてバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。なお、デコーダ28eは、誤り検出処理において誤りが検出されると、所定の誤り訂正処理を行う。
遅延量検出回路28hは、CPU40の指示に応答して、ウォブル信号SwbとRF信号Srfとに基づいて遅延量を検出する。ここでは、一例として図15に示されるように、RF信号Srfの信号レベルの低下開始位置とウォブル信号Swbの0クロス位置との差から遅延量Dtを検出する。ここで検出された遅延量DtはCPU40に出力される。なお、図15における一点鎖線の波形は遅延量が0のときのウォブル信号Swbを示している。
前記クロック生成回路28fは、ウォブル信号Swbに基づいて基準クロック信号(Wckとする)を生成するとともに、CPU40からの遅延量情報に基づいて基準クロック信号Wckを補正する。ここではクロック生成回路28fは、一例として図16に示されるように、バンドパスフィルタ(BPF)f1、2値化回路f2、PLL(Phase Locked Loop)回路f3、及び遅延補正回路f4を備えている。バンドパスフィルタf1はウォブル信号Swbから搬送波成分を抽出する。2値化回路f2はバンドパスフィルタf1の出力信号を2値化する。PLL回路f3は2値化回路f2の出力信号に同期した基準クロック信号Wckを生成する。ここで生成された基準クロック信号Wckは、遅延補正回路f4及びアドレス検出回路28gなどに出力される。なお、基準クロック信号Wckの周期は32T(T:チャネルクロックの周期)である。遅延補正回路f4はCPU40からの遅延量情報に基づいて基準クロック信号Wckを補正し、補正基準クロック信号Wck'としてエンコーダ25に供給する。
前記アドレス検出回路28gは、ウォブル信号Swbからアドレスデータを検出する。ここでは、アドレス検出回路28gは、一例として図16に示されるように、ハイパスフィルタ(HPF)g1、ローパスフィルタ(LPF)g2、位相復調回路g3、及びADIP復号回路g4を備えている。ハイパスフィルタg1はウォブル信号Swbに含まれる低周波成分を除去する。ローパスフィルタg2はハイパスフィルタg1の出力信号に含まれる高周波成分を除去する。位相復調回路g3は基準クロック信号Wckに同期してローパスフィルタg2の出力信号を復調する(特開2001−052446号公報参照)。ADIP復号回路g4は位相復調回路g3の出力信号からアドレス情報を抽出し、抽出したアドレス情報が所定量(ここでは、51データビット分)に達するとアドレスデータに復号する。ここで復号されたアドレスデータは、アドレス信号SadとしてCPU40に出力される。
図1に戻り、前記サーボコントローラ33は、サーボ信号検出回路28bからのフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するためのフォーカス制御信号を生成するとともに、トラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するためのトラッキング制御信号を生成する。ここで生成された各制御信号は、サーボオンのときにモータドライバ27に出力され、サーボオフのときには出力されない。サーボオン及びサーボオフはCPU40によって設定される。
前記モータドライバ27は、上記フォーカス制御信号に基づいてフォーカシングアクチュエータの駆動信号を光ピックアップ装置23に出力し、上記トラッキング制御信号に基づいてトラッキングアクチュエータの駆動信号を光ピックアップ装置23に出力する。すなわち、サーボ信号検出回路28b、サーボコントローラ33及びモータドライバ27によってトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。また、モータドライバ27は、CPU40からの制御信号に基づいてスピンドルモータ22及び前記シークモータの駆動信号をそれぞれ出力する。
前記バッファRAM34は、光ディスクに記録するデータ(記録用データ)、及び光ディスクから再生したデータ(再生データ)などが一時的に格納されるバッファ領域と、各種プログラム変数などが格納される変数領域とを有している。
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理する。そして、バッファ領域に蓄積されたデータ量が所定量になるとCPU40に通知する。
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されている記録用データをバッファマネージャ37を介して取り出し、データ変調及びエラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成する。ここで生成された書き込み信号は、前記補正基準クロック信号Wck'とともにレーザコントロール回路24に出力される。
前記レーザコントロール回路24は、半導体レーザLDの発光特性、エンコーダ25からの書き込み信号及び補正基準クロック信号Wck'などに基づいて半導体レーザLDの駆動信号を生成する。すなわち、光ディスク15に照射されるレーザ光のパワーを制御する。
前記インターフェース38は、ホストとの双方向の通信インターフェースであり、一例としてATAPI(AT Attachment Packet Interface)の規格に準拠している。
前記フラッシュメモリ39はプログラム領域とデータ領域とを備えており、プログラム領域には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。また、データ領域には、半導体レーザLDの発光特性に関する情報、光ピックアップ装置23のシーク動作に関する情報(以下「シーク情報」ともいう)、及び記録条件などが格納されている。
前記CPU40は、フラッシュメモリ39のプログラム領域に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどをバッファRAM34の変数領域及びRAM41に保存する。
《遅延量の取得処理》
次に、前述のように構成される光ディスク装置20に光ディスク15がローディングされたときに実施される、前記遅延量を取得する処理について図17を用いて説明する。図17のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。光ディスク15のローディングが検知されると、図17のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、遅延量の取得処理がスタートする。なお、ここでは、光ディスク装置20は複数の記録速度に対応しているものとする。そして、所定の線速度未満を低速側線速度、所定の線速度以上を高速側線速度とする。
最初のステップ301では、光ピックアップ装置23のイニシャル・ゾーンへの位置制御を指示する。
次のステップ303では、最初の低速側線速度を設定する。そして、その設定値に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力する。
次のステップ305では、光ディスク15の回転が設定した線速度に達していることを確認すると、遅延量検出回路28hに遅延量検出を指示する。これにより、遅延量検出回路28hでは、前述したようにして遅延量が検出され、その検出結果がCPU40に出力される。
次のステップ307では、遅延量検出回路28hからの検出結果をそのときの線速度と対応付けてRAM41に格納する。
次のステップ309では、次の低速側線速度があるか否かを判断する。例えば、次の低速側線速度があれば、ここでの判断は肯定され、ステップ311に移行する。
このステップ311では、次の低速側線速度を設定する。そして、その設定値に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力する。そして、前記ステップ305に戻る。
以下、ステップ309での判断が否定されるまで、ステップ305〜311の処理を繰り返し行う。
次の低速側線速度がなければ、ステップ309での判断は否定され、ステップ313に移行する。
このステップ313では、光ピックアップ装置23のガード・ゾーン3への位置制御を指示する。
次のステップ315では、最初の高速側線速度を設定する。そして、その設定値に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力する。
次のステップ317では、光ディスク15の回転が設定した線速度に達していることを確認すると、遅延量検出回路28hに遅延量検出を指示する。これにより、遅延量検出回路28hでは、前述したようにして遅延量が検出され、その検出結果がCPU40に出力される。
次のステップ319では、遅延量検出回路28hからの検出結果をそのときの線速度と対応付けてRAM41に格納する。
次のステップ321では、次の高速側線速度があるか否かを判断する。例えば、次の高速側線速度があれば、ここでの判断は肯定され、ステップ323に移行する。
このステップ311では、次の高速側線速度を設定する。そして、その設定値に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力する。そして、前記ステップ317に戻る。
以下、ステップ321での判断が否定されるまで、ステップ317〜323の処理を繰り返し行う。
次の高速側線速度がなければ、ステップ321での判断は否定され、遅延量の取得処理を終了する。
《記録処理》
次に、ホストからの記録要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(記録処理)について図18を用いて簡単に説明する。図18のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから記録要求コマンドを受信すると、図18のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
最初のステップ501では、記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、ホストから受信したデータ(記録用データ)のバッファRAM34への蓄積をバッファマネージャ37に指示する。
次のステップ503では、光ディスク15の回転が所定の線速度に達していることを確認すると、サーボコントローラ33に対してサーボオンを設定する。これにより、前述の如くトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は記録処理が終了するまで随時行われる。
次のステップ505では、記録速度に基づいてOPC(Optimum Power Control)を行い、最適な記録パワーを取得する。すなわち、記録パワーを段階的に変化させつつ、PCA(Power Calibration Area)と呼ばれる試し書き領域に所定のデータを試し書きした後、それらのデータを順次再生し、例えばRF信号から検出されたアシンメトリの値が予め実験等で求めた目標値とほぼ一致する場合を最も高い記録品質であると判断し、そのときの記録パワーを最適な記録パワーとする。
次のステップ506では、RAM41から記録速度の線速度に対応する遅延量を抽出する。そして、遅延量情報として遅延補正回路f4に出力する。
次のステップ507では、アドレス信号Sadに基づいて現在のアドレスを取得する。
次のステップ509では、現在のアドレスと記録要求コマンドから抽出した目標アドレスとの差分(アドレス差)を算出する。
次のステップ511では、アドレス差に基づいてシークが必要であるか否かを判断する。ここでは、前記シーク情報の一つとしてフラッシュメモリ39に格納されている閾値を参照し、アドレス差が閾値を越えていれば、ここでの判断は肯定され、ステップ513に移行する。
このステップ513では、アドレス差に応じたシークモータの制御信号をモータドライバ27に出力する。これにより、シークモータが駆動し、シーク動作が行なわれる。そして、前記ステップ507に戻る。
なお、前記ステップ511において、アドレス差が閾値を越えていなければ、ここでの判断は否定され、ステップ515に移行する。
このステップ515では、現在のアドレスが目標アドレスと一致しているか否かを判断する。現在のアドレスが目標アドレスと一致していなければ、ここでの判断は否定され、ステップ517に移行する。
このステップ517では、アドレス信号Sadに基づいて現在のアドレスを取得する。そして、前記ステップ515に戻る。
以下、前記ステップ515での判断が肯定されるまで、ステップ515→517の処理を繰り返し行う。
現在のアドレスが目標アドレスと一致すれば、前記ステップ515での判断は肯定され、ステップ519に移行する。
このステップ519では、エンコーダ25に書き込みを許可する。これにより、記録用データは、エンコーダ25、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して光ディスク15に書き込まれる。記録用データがすべて書き込まれると、所定の終了処理を行った後、記録処理を終了する。
《再生処理》
さらに、ホストから再生要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(再生処理)について図19を用いて説明する。図19のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから再生要求コマンドを受信すると、図19のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、再生処理がスタートする。
最初のステップ701では、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから再生要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
次のステップ703では、光ディスク15の回転が所定の線速度に達していることを確認すると、サーボコントローラ33に対してサーボオンを設定する。これにより、前述の如くトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は再生処理が終了するまで随時行われる。
次のステップ705では、アドレス信号Sadに基づいて現在のアドレスを取得する。
次のステップ707では、現在のアドレスと再生要求コマンドから抽出した目標アドレスとの差分(アドレス差)を算出する。
次のステップ709では、前記ステップ511と同様にして、シークが必要であるか否かを判断する。シークが必要であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ711に移行する。
このステップ711では、アドレス差に応じたシークモータの制御信号をモータドライバ27に出力する。そして、前記ステップ705に戻る。
一方、前記ステップ709において、シークが必要でなければ、ここでの判断は否定され、ステップ713に移行する。
このステップ713では、現在のアドレスが目標アドレスと一致しているか否かを判断する。現在のアドレスが目標アドレスと一致していなければ、ここでの判断は否定され、ステップ715に移行する。
このステップ715では、アドレス信号Sadに基づいて現在のアドレスを取得する。そして、前記ステップ713に戻る。
以下、前記ステップ713での判断が肯定されるまで、ステップ713→715の処理を繰り返し行う。
現在のアドレスが目標アドレスと一致すれば、前記ステップ713での判断は肯定され、ステップ717に移行する。
このステップ717では、再生信号処理回路28に読み取りを指示する。これにより、再生信号処理回路28にて再生データが取得され、バッファRAM34に格納される。この再生データはセクタ単位でバッファマネージャ37及びインターフェース38を介してホストに転送される。そして、ホストから指定されたデータの再生がすべて終了すると、所定の終了処理を行った後、再生処理を終了する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光ディスク装置20では、光ピックアップ装置23、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって、データ記録手段が実現されている。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではないことは勿論である。すなわち、上記実施形態は一例に過ぎず、上記のCPU40によるプログラムに従う処理によって実現したデータ記録手段の一部をハードウェアによって構成することとしても良い。
また、遅延量検出回路28hと遅延補正回路f4とによって、信号補正手段が実現されている。
以上説明したように、本実施形態に係る光ディスク15によると、蛇行しているグルーブGに設けられているイニシャル・ゾーン(特定領域)のPSN=023000h〜023070hにおいて、基準マークとして各ECCブロックの先頭部分に対応する位置から所定の長さだけグルーブGを未形成としている。また、ガード・ゾーン3(特定領域)のPSN=267940h〜2679C0hにおいて、基準マークとして各ECCブロックの先頭部分に対応する位置から所定の長さだけグルーブGを未形成としている。これにより、グルーブGの蛇行形状における基準となる位置と基準マーク位置とが所定の位置関係を有することとなり、例えば、光ディスク装置を用いて光ディスク15のイニシャル・ゾーンあるいはガード・ゾーン3からのウォブル信号とRF信号とを比較することにより、ウォブル信号の遅延量を検出することが可能である。従って、結果的に目標位置に対する記録位置のずれを精度良く予測することが可能となる。
また、本実施形態に係る光ディスク装置20によると、光ディスク15がローディングされたときに、光ディスク15を所定の線速度で回転させ、イニシャル・ゾーンあるいはガード・ゾーン3からのウォブル信号とRF信号とを比較して、ウォブル信号の遅延量を検出している。そして、光ディスク15にデータを追記するときに、検出された遅延量に基づいて基準クロック信号を補正している。従って、目標位置に対する記録位置のずれを抑制することが可能となり、結果的に本発明の光ディスクに対して記録品質に優れた記録を行うことができる。
なお、上記実施形態では、基準マークとして各ECCブロックの先頭部分に対応する位置から所定の長さだけグルーブGを未形成としている場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば図20及び図21に示されるように、基準マークがピットの形で記録されても良い。この場合に、マーク長としては、3T〜11T及び14T(T:チャネルクロックの周期)はデータとして用いられるため、2Tあるいは15Tを用いると良い。これにより、精度良く基準マークを検出することができる。なお、図20及び図21では、マーク長が15Tの場合が示されている。また、この場合には、一例として図22に示されるように、前記遅延量検出回路28hでは、RF信号の信号レベルの増加開始位置とウォブル信号Swbの0クロス位置との差から遅延量Dtを検出する。
また、上記実施形態では、イニシャル・ゾーンとガード・ゾーン3とに基準マークが形成される場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、記録速度が低速の場合には、イニシャル・ゾーンのみに基準マークが形成されても良い。また、記録速度が高速の場合には、ガード・ゾーン3のみに基準マークが形成されても良い。
また、上記実施形態では、イニシャル・ゾーンのPSN=023000h〜023070hに、基準マークが形成される場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、ガード・ゾーン3のPSN=267940h〜2679C0hに、基準マークが形成される場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、データ・ゾーンDZの内周側としてイニシャル・ゾーンに基準マークが形成される場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、データ・ゾーンDZの外周側としてガード・ゾーン3に基準マークが形成される場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、1ECCブロック毎に基準マークが形成される場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば2ECCブロック毎に基準マークが形成されても良い。
また、上記実施形態では、光ディスク15の蛇行形状がDVD+Rの規格に準拠する場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。他の規格に準拠しても良い。
また、上記実施形態では、光ディスク15がローディングされたときに、遅延量の取得処理が行われる場合について説明したが、例えばホストからの要求に応答して遅延量の取得処理を行なっても良い。
また、上記実施形態では、データの記録の際に、CPU40から記録速度に対応した遅延量情報が前記遅延補正回路f4に通知される場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、遅延補正回路f4に記録速度と遅延量との関係が格納されているメモリを付加することにより、CPU40からの記録速度情報に基づいて遅延補正回路f4側で遅延量を決定しても良い。
また、上記実施形態において、指定された線速度(指定線速度)に対応する遅延量がRAM41に格納されていないときは、RAM41に格納されている異なる線速度に対応する遅延量を参照して近似演算又は補間演算などの所定の演算を行い、指定線速度での遅延量を推定しても良い。
また、上記実施形態では、光ディスク15が複数の記録速度に対応する場合について説明したが、これに限らず、特定の記録速度のみに対応しても良い。
また、上記実施形態において、光ピックアップ装置23の温度を計測するための温度センサを設け、更に温度に対応して遅延量を求めても良い。
また、上記実施形態では、グルーブGが情報記録用のトラックである場合について説明したが、ランドLが情報記録用のトラックであっても良い。この場合には、ランドLにプリピットとして基準マークが形成されることとなる。
また、上記実施形態では、前記光ディスク15が660nmの波長のレーザ光に対応する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば約405nmの波長のレーザ光に対応しても良い。
また、上記実施形態では、データの記録及び再生が可能な光ディスク装置について説明したが、これに限らず、データの記録、再生及び消去のうち、少なくともデータの記録が可能な光ディスク装置であれば良い。
また、上記実施形態では、前記光ピックアップ装置23が1つの半導体レーザを備える場合について説明したが、これに限らず、例えば互いに異なる波長の光束を発光する複数の半導体レーザを備えていても良い。この場合に、例えば波長が約405nmの光束を発光する半導体レーザ、波長が約660nmの光束を発光する半導体レーザ及び波長が約780nmの光束を発光する半導体レーザの少なくとも1つを含んでいても良い。すなわち、光ディスク装置が互いに異なる規格に準拠した複数種類の光ディスクに対応する光ディスク装置であっても良い。要するに、少なくとも本発明の光ディスクに対応可能であれば良い。
また、上記実施形態では、前記インターフェース38がATAPIの規格に準拠する場合について説明したが、これに限らず、例えばATA(AT Attachment)、SCSI(Small Computer System Interface)、USB(Universal Serial Bus)1.0、USB2.0、IEEE1394、IEEE802.3、シリアルATA及びシリアルATAPIのうちのいずれかの規格に準拠しても良い。
15…光ディスク、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置(データ記録手段の一部)、28h…遅延量検出回路(信号補正手段の一部)、40…CPU(データ記録手段の一部)、f4…遅延補正回路(信号補正手段の一部)。