JP3948538B2 - ハンドピース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ツールを解放可能な保持装置を有し、特に医療用または歯科治療用に用いられるハンドピースと結合スライダに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のハンドピースはドイツ特許公開公報DE3442386号に記述されている。
この知られた構成によれば、解放可能な(リリーザブル)結合は、ツールのシャフトと駆動スリーブとの軸方向の接続のために、シャフトの一方の側面に設けられたスライダ、配置されるの側に配置された1つのスライダ(図1)、または、シャフトの両方の側に配置された2つのスライダ(図2)を有する。
【0003】
シャフトの一方の側面にスライダが設けられた構成によれば、スライダは、駆動スリーブの放射方向の案内溝の中を、放射方向の内側にある結合位置と放射方向の外側にある解放位置との間を放射方向に変位可能であり、さらに、結合位置方向に向かって、ばねによって弾性的に付勢されている。
結合スライダの解放位置への変移のために、ハンドピースのツールより遠い方の側において、圧力部材が軸方向に変位可能となっている。その圧力部材が内部方向に変位した時に、圧力部材の円錐形状の傾斜面が、結合スライダの対応する傾斜面に当接し、これにより結合スライダに非結合位置への力が作用する。
結合スライダは、作動中に駆動スリーブとともに回転する構成部であり、圧力部材は、通常この回転には関与しない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ツールのシャフトの駆動スリーブとの軸の接続のためのこの結合によれば、結合スライダと圧力部材との間に、相当大きな摩擦による磨耗や破損が発生することがある。たとえば駆動スリーブが回転中の時、圧力部材が結合スライダまたは複数のスライダに対して押されて、圧力部材の静止面が結合スライダの回転面に当接している時に、そのようなことが発生することがある。
その結果、結合の表面に摩擦や磨耗が発生し、その結果として、結合表面は損傷し、結合の損傷、そしてハンドピースの故障に至る。
【0005】
シャフトの軸の駆動スリーブへの接続のための同様の解放可能な結合を有する歯科用ハンドピースのヘッドハウジングは、DE−GM8913626号に記載されている。
鋼鉄のような金属でそのような結合スライダまたは複数のスライダを製造するのが普通である。
特に歯科用に用いられるそのようなハンドピースの場合には、そのツールは高速の回転に供されるということも強調されるべきである。異なるマシニング方法のために、40,000[rpm] またはより高速な回転さえも普通である。
【0006】
そのようなハンドピースのさらなる問題は、結合スライダに作用する、回転中の相当大きな遠心力にある。それは、結合スライダを非結合位置に押しやる傾向がある。それ故、結合スライダを結合位置に強制的に押しやるための相当大きなばね力が必要となる。
これは問題をはらんでいる。なぜなら、これにより、ツールのシャフトの駆動スリーブへの挿入に応じて、結合スライダをそのリリース位置に自動的に変位させることをより難しくさせるからである。
【0007】
本発明の目的は、磨耗をわずかにし、ツールのシャフトを駆動スリーブへ挿入することにより、自動的に結合を可能にするような構成のハンドピースを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的は、請求項1に記載のハンドピースにより達成することができる。
【0009】
本発明に係わる構成によれば、結合スライダは少なくとも部分的にセラミック材料である。すなわち、部分的にセラミック材料で被覆されているか、あるいは、部分的にまたは完全に全体がセラミック材料であるかでよい。
これにより、結合スライダはより軽くなるばかりでなく、磨耗に対してより強くなる。
その慣性モーメントが小さいために、それを結合位置に強制するためのばねの伸縮力はより小さくてよく、その結果、このばね力は、既知の構成の場合と比較して少なくすることができる。
【0010】
このことから、ツールのシャフトの駆動スリーブへの挿入の際に、より小さな力で、結合スライダを非結合位置に変位させることができる。
本発明に係わる構成によれば、ツールは駆動スリーブに、より簡単でより迅速に操作可能な方法により結合することができる。
これにより、ツールもより少ない力により動かされることになり、これは、特に小さい、または薄いツールの場合に有効である。結合時の負荷のかけすぎや、ツールを曲げてしまう危険を実質的に少なくすることができるからである。
【0011】
本発明により達成されることのできる利点は、その構成部または複数の構成部が結合スライダと協働する1つの構成部または複数の構成部が金属、特に鋼鉄であるか、または同様にセラミック材料である場合にも達成されることがわかる。特に、セラミックと金属、特に鋼鉄との組み合わせ、または、セラミックとセラミックの組み合わせにおいても、有効であることは明らかである。
【0012】
また前述した目的は、請求項2に記載のハンドピースによっても達成される。
前述した利点は、このような構成に対しても、圧力部材がセラミック材料で形成されているか、対応する箇所が被覆されているということにより適用される。
【0013】
本発明によれば、駆動装置は、好適にはドライブスリーブと共通の軸を有し、ばねに抗してハンドピースのハウジング内に押下されることができ、押下された時に、結合スライダを非結合位置に変位させるような圧力部材を有する。
そのために圧力部材は、傾斜または円錐形状の駆動面により、結合スライダ上の対応する傾斜または円錐形状の駆動面に突き当たるようになっている。
その傾斜または円錐形状の駆動面は、結合スライダから圧力部材方向に向かって突き出たウェブ上に配置される。
【0014】
結合スライダ24を戻すためのばねは、環形状かC字形状で、好適には結合スライダに直面している駆動スリーブの一部とともにスライダを囲むように設けられている。すなわち、そのばねは、結合スライダと駆動スリーブとを環形状に囲むでいる。
結合スライダが、円筒形状の外面の周にばねを受けるための溝を有している場合には、好適にはその周囲の溝は、駆動スリーブの外面に、その周囲の溝として連続するのが好適である。
その周囲の溝に対して、結合スライダ上に、溝の端部が対向しながらお互いに区切られるスペースが設けられ、これにより結合スライダには2つの周囲溝の部分が提供される。この溝に設けられるばねは、ばねの両端の間隔が溝の間隔にほぼ一致するような、留め金のようなC字形状のばねが好適である。
【0015】
結合部品は、型を用いて簡単で経済的な方法により製造することができる。結合スライダの流体状の材料は供給管により型の中に運ばれる。この時、供給管の口の部分いわゆる射出開始領域が形成される。射出開始領域は、たとえば材料の導入の後で型の内部を閉じるため、あるいは、射出開始領域で硬化した余剰材料を砕いて除去するためなどの理由により、正確な形状にならないかもしれない。
結合スライダが、外面、特に外面の内側方向へのオフセット領域で、好適には、周囲の溝の隣、特に軸方向に突き出たウェブの中に、好適に引き伸ばされた射出開始領域を有している場合は都合がよい。
【0016】
圧力部材は、作用凸部ハンドピースのハウジングの中に突き出た作用凸部を有するマッシュルームの頭のような形状を有していると好適である。
さらに、圧力部材が、ハンドピースの特定の機能を示すマーキングを目視可能な表面に有すると好適である。
そのマーキングは好適には、特に赤色、青色、緑色および黄色が塗られた、あるいは色のついた部材により構成されたものである。
マーキングの色は、たとえば圧力部材の目視可能な表面の表示位置などの部分的な領域にのみ配置されたもので、また、全表面を覆うように配置されたものでもよい。
さらに、着色されたセラミック材料によりマーキングを表面に形成したり、セラミック材料全てをを関係する色にするのも好適である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明および得られる利点について、好適な実施例を参照し、また図面を参照して詳細に記述する。
【0018】
ハンドピースに係わる主な構成部として、ヘッドハウジング2をその先端部に有するグリップスリーブ1、グリップスリーブ1内に回転可能に設けられている駆動シャフト部3、回転ベアリング5により回転軸6の周りを回転可能であり、これにより回転軸6をグリップスリーブ1の長手方向の中心軸7に対して直角に好適に延ばすヘッドハウジング2内に設けられている駆動スリーブ4、ここでは傘歯車に相当するアングルトランスミッション8の形態である駆動シャフト部3と駆動スリーブ4の間の駆動コネクション、外側から駆動スリーブ4に挿入される回転ツール12のシャフト11に回転を伝達するための解放可能な結合を提供する第1のカップリング9、シャフト11の駆動スリーブ4への解放可能な軸の接続のための第2のカップリング13、そして、ツール12をハンドピースから外すためにカップリング13を解放する駆動部14を有する。
【0019】
グリップスリーブ1は、フレキシブル供給管18のコネクター部17と、結合ピン15aと結合ピンを受ける結合用凹部15bを有するプラグインコネクション15によって接続可能である。
そのフレキシブル供給管18の一方の端部は、駆動電気エネルギー、噴き流される空気、水および噴霧液などのような必要な物をハンドピースに供給する(図示せぬ)ための供給手段に接続される。
そしてそのために、フレキシブル供給管18およびプラグインコネクション15の中を長手方向に伸びており、それ自体はよく知られているいわゆる搬送管16が複数用意されている。水および空気、および、照明のための搬送管は、ヘッドハウジング2付近で終了し、それらの出口の開口がツール12の先端の治療場所の方向に向けられている。
【0020】
ハンドピースは、いわゆるタービン式のものでもよい。そのハンドピースによれば、駆動管がヘッドハウジング2の中に配置された駆動タービンまで圧縮空気を搬送する。
このような構成によれば、プラグインコネクション15の部分で、電気駆動モータ19を有する、または、電気駆動モータそのものである駆動要素に接続される駆動シャフト部3を省略することができる。
駆動モータ19は、既知の方法によりコネクター部17内に配置される。
【0021】
また、プラグインコネクション15を回転可能なプラグインコネクションとして構成するのが有効である。そうすることにより、ハンドピースは、コネクター部17に対して長手方向の中心軸7の周りを回転可能になり、これにより、回転可能プラグインコネクションを通過する搬送管は、どのような回転位置においてもメディアの通路が確保され、大変有効になる。
空気および水のためには、結合ピン15aと結合用凹部15bの間の円筒状に区切られた結合部をほぼ放射状に交差する複数のチャネルが形成されている。そのチャネルは、各リング溝に関連してその結合部の領域に設けられており、軸方向に一定の間隔に設けられたシーリングリングにより密封されている。
プラグインコネクション15の意図しない分離を防ぐ手段は、その結合部に設けられ、それ自体は既知の、スプリング部20aとそのスプリング部を受ける凹部20bにより構成されている。
【0022】
第1のカップリング9は、円の切断部形状の結合面22を有し、シャフト11の同様の切断平面23に僅かな遊びを有して密接する駆動スリーブ4の内側突起21により、その結合面22がその端面を貫通してシャフト11の凹面または平面に突き出して構成される。
【0023】
内側突起21は、円の切片形状の結合部分に突き出して形成され、円筒を切り欠いた溝Nに一致する部品として配置され、対応する幅bおよび深さtを有する。
図2より明らかなように、溝Nは駆動スリーブの外側の面に向かって開口されており、これにより内側突起21は、ころ軸受けを構成する回転ベアリング5の内側のリングにより少なくとも部分的に包囲されるような位置に配置される。
これらの手段により、結合部品Pは溝Nの中に確実に固定された状態で保持される。
【0024】
シャフト11を駆動スリーブ4と軸方向に効果的に接続するための第2のカップリング13は、駆動スリーブ4の放射方向のガイドスリットの中を、わずかな遊びを有して、放射方向に変位可能に設けられており、その放射方向の内側の端部に結合用突出部25を有している結合スライダ24と、その結合用突出部を受けるためのシャフト11の結合用凹部26により構成される。
【0025】
図3から図5に示されている結合スライダ24は、上から見ると半円または三日月のような形状であり、その外側の面は円筒形状の曲線になっている。
結合スライダ24は、相互に接続されて1つの部品となった2つの部分、すなわち、お互いに平行な上下の面28,29を有する半円形状のスライダ部分24aから成る。これによりこのスライダは、わずかな遊びをもって、放射方向のガイドスリット31の中に配置され、その中で放射方向に変位可能にされる。
【0026】
このよう形成された放射方向のガイドを30に示す。
スライダ部分24aの上側の面29の外側の辺部から、円筒形状の曲線のウェブ(腹板)32が上方向に延びている。そのウェブ32は、結合スライダ24の周辺部分全体、または、周辺のcの部分のみにおいて延びている。またウェブ32は、その上面の内側のエッジに、円錐形状であり、鉛直方向に対して上側方向の角度をほぼ45度に分割する円錐面33を有する。
好適には、円錐面33の内側のエッジの下部に、スライダ部分24aの上側の面29まで延びており、異なる円筒形状の階段面35が設けられている。
【0027】
結合用突出部25はスライダ部分24aの放射方向内側の面に形成される。結合用突出部25は、円弧形状またはより緩い曲線で周に沿って形成されている突出部の弓形35により構成される。その下部には、円錐形状で噛み合うための傾斜の円錐面36を有する。
結合の安定化のために、その突出部の先端、ここではその円弧形状の突出部の弓形の先端は、好適には、円筒形状の環状面より鈍くなっている。
円錐面36の下方向へ広がっている鋭角の角度W1は、垂直方向に対して約33度である。
ツール12のシャフト11の解放されている端部の周辺のエッジは、好適には、対応する角度または丸みに適応している。
【0028】
結合スライダ24は、その内側方向への動きがストッパAにより制限され、結合用突出部25が駆動スリーブ4の円筒状の挿入孔4aの中に延びているような図2に示すような結合位置と、相対的に外側に変位した位置であって、結合用突出部25が挿入孔4aの中に延びていない、非結合の、換言すれば解放された位置との間を変位可能である。
その配置は大変効果的であり、挿入孔4aの中に挿入されたシャフト11は結合位置において円錐表面36に突き当たり、くさびのような動きによって結合スライダ24は非結合位置に変位される。
【0029】
結合スライダ24の結合位置への自動的な復帰のために、結合スライダに対して放射方向内側へ作用するばね37が設けられている。この構成によれば、このばね37は、リング形状のばね、または、そのばねのワイヤが部分的に環状になっているクラスプ形状のばねにより形成されている。そのワイヤは、軸方向に固定されるために、外面28内の周に沿った溝38の中に配置される。
好適には、駆動スリーブ4にも、同じ断面内に、リング形状のばね37が配置されるそのような周に沿った溝38aを有する。
結合スライダ24が非結合位置に変位している時は、ばね37は弾力的に延びており、ばね37がクラスプ形状またはC字形状により形成されることを可能にする。
ばね37の弾力的な収縮により、結合スライダ24は自動的にその結合位置に変位する。
この位置においても、ばね37は結合スライダ24に基本的な力を印加している。
【0030】
非結合位置において、突出部の弓形状部35の端部が挿入孔4aに引っ掛からないことを確実にするために、突出部の弓形状部35の曲率は、前述したように、対応する円筒形状の曲率よりも大きくなっているか、あるいは、側面の逃げが相対的に大きくなるように形成されている。これにより、突出部の弓形状部の端部も、非結合位置において、挿入孔4aの外部に位置される。
【0031】
この構成において、ガイドスリット31の基準面31aは、直径の位置、または放射方向外側にいくらかオフセットした位置に配置される
結合スライダ24の放射方向の長さdは、それに対応する長さである。
【0032】
結合スライダ24が入ってくる動きを制限するストッパAは、結合スライダ24の放射方向内側の境界面39と、ガイドスリット31の基準面31aとの間か、または、階段面34と駆動スリーブ4の外面との間に形成される。
この構成によれば、関係する範囲において、結合スライダ24の外面28は、駆動スリーブ4の外面と軸方向にほぼ直線上に配置されており、これにより、ウェブ33の側にドライブスリーブ4と中心を同一にし、先細りになった凹部41が設けられる。
【0033】
この構成によれば、結合スライダ24の外面28には、2つの周に沿った溝38b,38cが提供される。この溝部分は、図4の側面図に示すように、それらの間に間隔eが設けられており、これによりウェブ40が形成されている。
リング形状のばね37の終端は、動きの遊びを考慮して、相応の間隔eを有しており、これにより、図示したばね37はその両端がこのウェブの両側になるように配置され、円周方向の動きに対して固定される。
【0034】
駆動部14は、カップリング13を解放するために提供される。この駆動部14は、ヘッドハウジング12のツール12に対向する面、または、その面から動かすことが可能な位置に配置される。
この構成によれば、駆動部14は、ガイド47の中の、内側に変位された場合の動作位置と外側に変位された場合のスタンバイ位置との間の軸上を手動で変位可能な圧力部材46を有する。
【0035】
この構成によれば、圧力部材46は、ヘッドハウジング2のまるいキャップである。ヘッドハウジング2は、円状の開口部を介してヘッドハウジング2の内部に対して処理が行われるか、または、その開口部を介して外部、特にヘッドハウジング2の作用がおよばない外部方向に対して作用を及ぼす。圧力部材46は、必要な案内を確保されながら、遊びをもってその開口部48を塞ぐ。
【0036】
圧力部材46の内側は、円筒形状、または、好適には中空な円筒形状であり、その自由な側の端部に角度Wに対応する角度を有する円錐状外部表面51を有する作用凸部49を有する。
【0037】
圧力部材46は、ばね52によりそのスタンバイ位置方向に予め力が印加されている。スタンバイ位置によれば、その外側方向への動きはストッパ53により制限されている。ストッパ53は、この構成によれば、環状の山部54により形成される。その環状の山部54により、好適には圧縮ばねとして提供されるばね52の圧力の下で、圧力部材46上の外部の環状の山部55が支えられる。
収縮ばね52の内側の端部は、ヘッドハウジング2の山部の表面により支持されている。
この構成によれば、圧力部材46は環状の挿入部品、特にスリーブ部57に外向きのねじ山を有し、ヘッドハウジング2の内向きのねじ山に対応したねじが切られているねじ部品56の中に配置される。
好適には、この挿入部品はヘッドハウジング2の上面に接するフランジ58を有する。
【0038】
圧力部材46の共通の軸上の案内は、種々の形態で実現することができる。
1つの方法としては、圧力部材46の外面47aと、ここではネジ部材56であるがヘッドハウジング2の内面47bにより圧力部材46に対するガイド47を形成することができる。
他の方法として、それに加えて、もし適切であれば排他的に、作用凸部49の円筒状の内面49aと、駆動スリーブ4の端部の加工された円筒状の外面50aにより、変位軸が共通のガイド47aが提供される。
【0039】
ガイド47によれば回転変位に対する案内は行わない。圧力部材46は回転可能であるが、通常の動作によれば回転しないからである。
しかし、圧力部材46が押し込まれ、駆動スリーブ4が[rpm] している時に、たとえば回転が停止するまで、ガイド47aにおいて回転に対する案内が行われる。
ガイド47aは、圧力部材46が押し込まれた位置において回転が停止するように駆動スリーブ4に対して微小なブレーキ力を作用させる。すなわち、このことは、ガイドの抵抗力の範囲内で、ドライブスリーブ4に対してブレーキをかける効果を有する。
【0040】
収縮ばね52のための内部の逆ベアリングは、スリーブ部57の内部の端部の対応する内側のリング溝61内に配置される環状ばね59により形成される。
この構成によれば、挿入部材またはネジ部材56に設置された環状ばね59は、協働して回転ベアリング6を構成するローラベアリング62の外側のリングの上側の制限となる。
挿入部品、環状ばね59、収縮ばね52および圧力部材46は、このように予め組み立てることができ、載置することまたネジしめにより、簡単に搭載することができるユニットを構成する。
ネジ部材56に対しては、上側の領域に、たとえばネジを回す道具などのためのお互いに反対方向に設けられた挿入孔などの引っかけ部(図示せぬが)が設けられている。
環状ばね59がはずされた状態において、圧力部材46は挿入部材またはネジ部材56の中に下から挿入されることができ、その後環状ばね59を挿入する。
【0041】
図2に示すようなスタンバイ位置によれば、外側の円錐面51は、内側の円錐面33から、好適には小さくたとえば2mm程度の間隙を有する。
カップリング13を開放するために、圧力部材46は操作者の手の指の圧力により押し込まれる。これにより、円錐面33,51はお互いに接触し、結合スライダ24は放射方向の外側で開放位置の中に変位され、シャフト11は挿入孔4aより引き出し可能になる。
シャフト11の結合は、挿入孔4aへの挿入により、結合スライダ24のばね力に対する変位とシャフト11の結合用凹部26への自動的な引っ掛かりにより自動的に行われる。結合用凹部26は、たとえば円を切断したような形状の溝として、あるいは、環状に形成される。
【0042】
図2〜6に係わる構成において、結合スライダ24は駆動スリーブ4とともに回転する構成部品である。したがって、回転中または駆動スリーブ4の減速中で、駆動部14がカップリング13に対して結合を開放するために駆動される時には、摩擦力が発生する。摩擦力は、特に、駆動シャフト部36と回転ベアリング51の間に発生するが、結合スライダ24のガイド30の中、および、圧力部材46のガイド47中にも発生する。その摩擦は、接触部分またはガイドの表面を磨耗させ、これにより機能部品が損傷を受ける。
【0043】
これを防ぐため、および、結合スライダ24および圧力部材46、およびそれらと協働する構成部品をより長い寿命で機能させるために、結合スライダ24の、少なくとも、たとえばその円錐面36およびその下面28などのその摩擦面、および、その上面29、および、圧力部材46の外面47aおよびその内面49aおよびその円錐面51は、セラミック材料によりコーティングされているか、あるいは前述した表面付近をセラミック材料で製造するか、あるいはその全てをセラミック材料で好適には1ピースで製造するかされる。
このような方法により、摩擦面の滑り具合は改善され、相互に摩擦による接触を有する構成部品の寿命は伸び、熱の発生は抑えられる。
これらの問題は、摩擦面を滑らかにすることができるか否かに依存する。
本発明は、このような、摩擦面の注油や手入れを少なくするか、あるいはもはや不要にするというさらなる利点をもたらす。
【0044】
結合スライダ全体をセラミック材料により製造する場合には、型取り部品として、あるいは射出部品として、あるいは鋳造部品として、あるいは鍛造部品として製造される。
そのような製造工程により、結合スライダはその最終形状が直接的に製造されることが可能となるので、結合スライダを製造した後に、それ以上、何ら後段の処理が必要ないことがわかる。このことは、実質的に製造工程の簡単化と、製造コストの低減をもたらす。
【0045】
試験において、多結晶質のセラミック、特に、たとえば99%かそれ以上であるような高純度な多結晶質セラミックが、有効なセラミック材料であることがわかっている。
【0046】
結合スライダ24は、射出部品として製造されている時、図4中でクロスハッチングにより強調している射出開始領域Bが面28に配置され、都合がよい。
この領域によれば、初期の射出により生じた外面の不正確さによる破壊が生じない。
そのために、ウェブ32のその領域の外面は、図5により示されるように、元の位置に維持されている外面28に比べて、おそらくわずかに放射方向の内側方向にオフセットしている。
【0047】
図7によれば、同じあるいは類似した部品は、同じ参照符合を付して示されている。
図7に係わる構成によれば、駆動スリーブ4とシャフト11との間に、クランプ継ぎ手の方法による効果的なカップリング101が実施されている。
このカップリング101は、軸方向と周方向の両方に同時に効果がある。
駆動スリーブは、外側ベアリングスリーブ4aと、その中に固定的に据えつけられているチャッキングスリーブ4bから構成される。
その内部の端部領域、換言すればそのツール12から遠い方の端部領域は、チャッキング領域として、外側方向に向けて先細りになっている
【0048】
カップリング101は既知である。
それは、直径方向のお互いに対向する位置に設けられている2つのチャッキングスリーブ部4c,4dにより形成される。それらはお互いに、ツール12より遠い方のシャフト11の端部までつながっている軸方向のスリット102により分離される。スリット102は、Sで示すチャッキング領域内のツールヘッドに向かって延び、さらにHで示す駆動スリーブ4の保持領域にも延びてその領域で終わっている。
【0049】
チャッキング領域Sにおいて、実質的に中空の円筒形状のチャッキングスリーブ4bの内側の横断面の寸法は、保持領域Hよりもやや小さい。
図7に示す中間位置からシャフト11をさらに内部に押すと、それにつれて、スリット102によりお互いに分離されている据え付け部4c,4dはわきに広がり、これによりそれらは弾性により外側方向に曲げられ、チャッキングを確保する基本的な力によりシャフト11を圧迫する。
シャフト11の結合は、シャフト11のチャッキングスリーブ4bへの挿入によりこのように自動的に作用する。
【0050】
カップリングの開放のために、加圧スライダ105が、ベアリングスリーブ4aの中のチャッキングスリーブ4b上に軸方向に変位可能に設けられている。そのベアリングスリーブ4aは、そのチャッキングスリーブ4b方向の端部に、直径方向のお互いに対向する位置に設けられている2つの押下部材107を有する。それらは、図7に示されるようにスリット102にかみあう。
加圧スライダ105は、動きの遊びを有してベアリングスリーブ4a内に設けられいており径が広がっている下部の縦部材105aと、直径方向に先細りになっている上部の縦部材105bを有する。
【0051】
そのリング形状の中空の小室の中に、軸方向に変位可能な加圧スライダ105と協働するように、加圧スライダの駆動スリーブ4から離れる方向の動きを制限し、チャッキング部4c,4dの最初の位置を決定するためのストッパ部106が設けられている。
そのストップ部は、ベアリングスリーブ4aの上部にネジ止めされ固定されたリングにより形成される。
【0052】
加圧スライダ105の上でハウジング2の上部に、圧力部材46が、ガイド47の中で同じ軸内で変位可能に設けられている。その圧力部材は手動により押し込むことにより、図7に示すスタンバイ位置から内部方向に変位された駆動位置に変位させることができ、また加圧ばね37によりスタンバイ位置に復元可能である。
この圧力部材46の配置および機能は、図2に係わる構成と実質的に一致する。しかし、ここでは、作用凸部49は、ハウジングのカバーを形成している圧力部材が押下された時に、放射方向の端面51aにより、加圧スライダ105の放射上の上端面111押す。
これにより、加圧用くさび107がチャッキング部材4c,4dを押し、これによりシャフトは自由になり、結合101の開放させる
【0053】
図2に係わる実施例の場合のように、圧力部材46もまた、ガイド面47aの領域および加圧面51aの領域はセラミック材料によりコーティングされている。
これらの領域のみをセラミック材料により製造してもよいし、あるいは、好適には、全てをセラミック材料により製造してもよい。
これらの手段により、前述した利点はこの実施例においても達成される。
【0054】
その他、図7に係わる構成は、駆動スリーブ4は一体的に動作するベアリング5とともに、ネジ部材56中に設けられ、それ自体が、駆動スリーブ4に取り付けられたタ−ビン羽112を有するよく知られているタービン式駆動部として提供される点が異なる。
【0055】
結合スライダ24と同様に、圧力部材46も、型取り部品として、あるいは射出部品として、あるいは鋳造部品として、あるいは鍛造部品として、簡単かつ経済的に製造可能である。
これにより、その製造後の後段の処理は何ら必要なく、前述したような製造工程により、その最終形状に直接製造可能である。
【0056】
歯科業務によれば、変速割合、または、たとえば照明に関する意図などのその他の特性が異なるハンドピースは、異なる色により明示することが普通になっている。
高速に変速するギアには赤く示されたMが、低速に変速するギアには緑に示されたMが、1:1のギアには青に示されたMが、照明をする場合には黄に示されたMが各々適用される。
このような構成によれば、色の表示は圧力部材46の目視可能な外面に対して行われる。したがって、圧力部材46は、おそらく、ほぼ全表面に対してか、あるいは一部の表面に対してのみか、色の表示が行われることになる。
【0057】
全体が要求された色の圧力部材46を提供することも本発明の特徴である。
これは、技術的な製造上の理由のためにも利点となり得る。
このような構成によれば、要求された色は、簡単で経済的な方法によりセラミック材料に混ぜ合わせることができ、圧力部材46の物質の全体に混ぜ合わせる場合、および、たとえば小さな円状の領域113などの小さな領域のみが色付けされる場合の両方において適用可能である。
前述した構成を参照して、赤、青、緑または黄の色を利用することができる。
【0058】
物質への色付けは、色は、ただ端にはぎ取られる可能性があったり磨耗する1つの層にのみ存在するのではないという利点をもたらすが、その色は物質内部まで浸透しているため、損傷や磨耗を検出するのに適切ではない。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態のハンドピースによれば、結合スライダは少なくとも部分的にセラミック材料であるので、結合スライダはより軽くなるばかりでなく、磨耗に対してより強くなる。
また、その慣性モーメントが小さいために、それを結合位置に強制するためのばねの伸縮力はより小さくてよく、その結果、このばね力は、既知の構成の場合と比較して少なくすることができる。
【0060】
そしてこのことから、ツールのシャフトの駆動スリーブへの挿入の際に、より小さな力で、結合スライダを非結合位置に変位させることができる。
本発明に係わる構成によれば、ツールは駆動スリーブに、より簡単でより迅速に操作可能な方法により結合することができる。
また、ツールもより少ない力により動かされることになり、特に小さいツールの場合に、結合時の負荷のかけすぎや、ツールを曲げてしまう危険を実質的に少なくすることができ有効である。
【0061】
また、本発明に係わる結合スライダの密度がより小さくなったことは、慣性モーメントを低減させ、動作時の振動の低減をもたらす。
このことから、動作時のノイズを低レベルにすることができる。
また、摩擦力が小さくなったことにより、駆動装置により駆動されている時の遠心力が小さくなっており、そのため、結合スライダが結合位置からはずれる危険性も低減することができる。
さらなる利点は、すり減りが少なくなったことにより、(磨滅による)すり減ったカスの発生を少なくすることができる。このことも同様に要望されていることである。
【0062】
その他、本発明によれば、結合スライダのその後の処理を不要にする、回転方向に沿ってとその軸方向についての両方に関してツールの結合を改良する、さらに、摩擦に基づく欠陥を少なくし寿命を延ばす、簡単に経済的に製造可能な構成である、そして、ハンドピースの種類の表示を可能にするいう特徴を含む。
【0063】
なお、本発明は本実施の形態に限られるものではなく、種々の改変が可能である。
たとえば、本発明は、駆動スリーブと一体的に回転する結合スライダが構成部品であるようなそのようなハンドピースに対してだけではなく、結合スライダが変位可能にハウジングのガイドの中に搭載されており、そのために駆動スリーブの回転に参加せず、回転の間はツールのシャフトと一定の滑り接触を維持しているようなハンドピースに対しても有効である。
【0064】
また、本発明に基づいて形成されている結合スライダ、および、圧力部材に対して、ハンドピースのための独立した部品として扱う各場合についても本発明の範囲内である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のハンドピースによれば、結合スライダまたは加圧手段が少なくとも部分的にセラミック材料であるため、それらの部品は磨耗に対してより強くなる。その結果、部品の寿命を延ばすことができる。
また、慣性モーメントが小さいために、それを結合位置に強制するためのばねの伸縮力はより小さくてよく、その結果、ツールのシャフトの駆動スリーブへの挿入の際に、より小さな力で、結合スライダを非結合位置に変位させることができる。すなわち、ツールは駆動スリーブに、より簡単でより迅速に操作可能な方法により結合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係わるハンドピースの側面図である。
【図2】図2は、図1に示したハンドピースのヘッドの垂直断面図である。
【図3】図3は、図1に示したハンドピースの結合スライダの垂直断面図である。
【図4】図4は、図3に示した結合スライダの図3における左からの側面図である。
【図5】図5は、図3に示した結合スライダの上面からの図である。
【図6】図6は、図3に示した結合スライダの下面からの図である。
【図7】図7は、本発明に係わり異なる構成のハンドピースのヘッドの垂直断面図である。
【符号の説明】
1…グリップスリーブ、2…ヘッドハウジング、3…ドライブシャフト部、4…駆動スリーブ、5…回転ベアリング、6…回転軸、8…アングルトランスミッション、9…第1のカップリング、15…プラグインコネクション、17…コネクター部、18…フレキシブル供給管、19…駆動モータ、21…内側突起、24…結合スライダ、25…結合用突出部、26…結合用凹部、46…圧力部材
Claims (6)
- 医療用または歯科治療用の、ツールシャフト(11)を有するツール(12)を保持するアングルまたはストレートハンドピースであって、
ハウジング(2)と、
そのハウジング(2)の中に回転可能に搭載され、駆動装置により回転可能であり、前記ツールシャフト(11)を収容する駆動スリーブ(4)と、
前記ツールシャフトが前記駆動スリーブとともに回転可能なように、前記ツールシャフト(11)を前記駆動スリーブ(4)に接続する解放可能なカップリング(9)と、
前記ツールシャフト(11)の回転軸(6)に対して横方向のガイド(30)の中を、結合位置と非結合位置との間で変位可能であり、前記結合位置において、前記ツールシャフト(11)に設けられた結合用凹部(26)の中にかみ合わさって、前記ツールシャフト(11)を軸方向において前記駆動スリーブに結合する結合スライダ(24)と、
前記ハウジング(2)の外側で前記ツール(12)より遠い側の領域に配置され、軸方向のガイド(47)の中を外側の解放位置と内側の駆動位置との間で変位可能な圧力部材(46)と、
前記圧力部材を前記開放位置に付勢する第1のバネ(52)と
を有し、
前記圧力部材(46)及び前記結合スライダ(24)は、前記圧力部材(46)が前記駆動位置に移動させられたときに前記結合スライダ(24)が前記非結合位置に付勢されるように互いに接触する接触面(33、51)を有し、
前記結合スライダ(24)を前記結合位置に付勢する第2のバネ(37)が設けられ、前記結合スライダ(24)がセラミック材料により形成されている
ことを特徴とするハンドピース。 - 前記結合スライダ(24)、および/または、前記圧力部材(46)は、各々型取り部品、射出部品、鋳造部品、鍛造部品のいずれかである
ことを特徴とする請求項1記載のハンドピース。 - 前記結合スライダ(24)は、前記駆動スリーブ(4)の回転軸(6)に関して、その一方の側面に配置される
ことを特徴とする請求項1または2記載のハンドピース。 - 前記結合スライダ(24)は、前記ツールシャフト(11)の回転軸(6)に沿って見て、半環状形状である
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のハンドピース。 - 前記結合スライダ(24)は、丸いあるいは傾斜した円錐面(36)を有する、放射方向内側へ突出する結合用突出部(25)を有し、前記結合スライダ(24)の結合位置の結合方向への移動は、ストッパ(A)により前記駆動スリーブ(4)に挿入された位置に制限され、前記ツール(12)の前記ツールシャフト(11)が前記円錐面(36)に衝突し、前記結合スライダ(24)は非結合位置に付勢される
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のハンドピース。 - 前記圧力部材(46)はセラミック材料により形成されている
ことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のハンドピース。
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