JP3948133B2 - 車両用灯具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッドランプなどの車両用灯具に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘッドランプなどの車両用灯具は、バルブからの光を拡散させて車体の前方に出射するため、バルブをランプハウジング内に設けると共に、ランプハウジングの開口部にレンズを取り付けている。このレンズには、レンズの周辺部分と車体との隙間を埋めるためのプロテクタが取り付けられる。
【0003】
プロテクタはゴムなどの弾性材によってレンズの外形に合わせた閉ループ状に形成されており、このプロテクタをレンズ面を除くレンズの外周全体に巻き付けるように取り付けることにより、レンズと車体との隙間をなくしている。かかるプロテクタの取り付けは、両面接着テープを用いてプロテクタをレンズの外周面に固定することによってなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、両面接着テープを用いたプロテクタの取付構造では、プロテクタをレンズの外周面に取り付ける作業が面倒であると共に、精度良く取り付けることが難しい問題を有している。
【0005】
また、両面接着テープの接着力が劣化し易く、この劣化によってプロテクタを定位置に安定的に固定させることができない問題をも有している。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、レンズへのプロテクタの取り付けを簡単に行うことができると共に、精度良く取り付けることができ、さらには安定的にプロテクタを固定させることが可能な構造の車両用灯具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、バルブからの光を通過させるレンズと、弾性材によって閉ループ状に形成され前記レンズの外周面に取り付けられるプロテクタとを備えると共に、前記レンズ外周面に鉤形のフック突起を形成する一方、このフック突起が差し込まれるフック孔を肉厚方向に貫通させたフック片を前記プロテクタに形成してなり、レンズの外周面に面接触するようにプロテクタをレンズに嵌合させた状態で前記フック突起を前記フック孔に差し込むことにより前記フック片をフック突起に係合させてプロテクタをレンズに取り付けることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1記載の車両用灯具であって、前記レンズは、前面のレンズ面が傾斜することにより外周面がレンズの前後方向で食い違うスラント状態となっており、前記フック突起がスラントの後側に位置する外周面に形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の車両用灯具であって、前記プロテクタは、前記レンズの外周面に嵌合する嵌合部と、この嵌合部の前端から立ち上がる立ち上がり部と、この立ち上がり部の立ち上がり端から折り返される折り返し舌片部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用灯具であって、前記プロテクタに、肉抜き部又は/及び薄肉部を前記閉ループに沿って断続的に形成したことを特徴とする。
【0011】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、プロテクタのレンズへの取り付けは、プロテクタの嵌合状態でフック片をレンズのフック突起に係合させることにより行われるものであり、フック片とフック突起との係合のため、両面接着テープが不要となり、プロテクタをレンズに簡単に取り付けることができる。
【0012】
また、フック片とフック突起とが係合することによりプロテクタが位置ずれすることが防止されるため、プロテクタを精度良く取り付けることができるばかりでなく、接着力による固定でないため、経時的に劣化することもなく、プロテクタを定位置に安定して固定することができる。
【0013】
また、請求項2の発明によれば、レンズのフック突起がスラントの後側に位置する外周面に形成されており、このフック突起にフック片を係合させると、プロテクタはスラントの前側から後側に引っ張られて固定される。このためプロテクタが緊張状態で固定され、その固定精度を向上させることができる。
【0014】
また、請求項3の発明によれば、プロテクタの折り返し舌片部が立ち上がり部から折り返されており、この折り返し舌片部によってボンネットなどの車体と確実に接触し、レンズと車体との間の隙間がなくなり、車体内部を隠蔽するように作用する。これらにより、車体の内部が見えることがなくなり、見栄えが向上する。
【0015】
また、請求項4の発明によれば、肉抜き部又は/及び薄肉部を断続的に形成することによりプロテクタに柔軟性が付与されるため、プロテクタが扱い易くなり、レンズへの組み付け性が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態の車両用灯具1の斜視図を示す。この実施形態は、ヘッドランプに適用するものであり、レンズ2の外周にプロテクタ3が巻き付き状に取り付けられると共に、レンズ2は、図2に示すようにランプハウジング4に取り付けられている。
【0017】
図2は、一実施形態における内部の断面を示し、ランプハウジング4の前面の開口部を覆うようにレンズ2が取り付けられている。ランプハウジング4は、車体5に取り付けられており、その内部にはバルブ(図示省略)が取り付けられる。 なお、符号11は、車体5の一部を構成するボンネットである。
【0018】
ランプハウジング4の前面部分には、ホットメルト接着剤20を充填した周溝7が形成されており、この周溝7にレンズ2の後端部分を挿入することにより、レンズ2がランプハウジング4に固定される。
【0019】
レンズ2は、バルブからの光を拡散させる前面のレンズ面8と、レンズ面8からランプハウジング4方向に一体的に屈曲したリング状の外周面9とを備えており、外周面9の後側の開放端部がランプハウジング4の周溝7に挿入されてレンズ2がランプハウジング4に固定される。また、レンズ2の外周面9には、ランプハウジング4の前端面に当接してランプハウジング4に対するレンズ2の奥側への移動を防止する環状のストッパ片10が立設されている。
【0020】
この実施形態の車両用灯具1は、スラント構造に形成されるものである。スラント構造は上下(又は左右)のいずれか一方が他方に対して車体の前側に位置するように食い違い状となるものであり、この実施形態では、図2に示すように、下側が上側よりも前側に位置するスラント構造となっている。このようなスラント構造とするため、ランプハウジング4の下部4aが上部4bよりも車体5の前側に進出している。
【0021】
かかるスラント構造に適合するため、下部8aが前側に位置すると共に、上部8bが下部8aよりも後側に位置するようにレンズ2のレンズ面8が傾斜している。これに対応するように、レンズ2の外周面9は、その下部9aが前側に位置し、その上部9bが後側に位置するような食い違い状となっている。そして、後側に位置する外周面9の上部9bには、フック突起12が形成されている。
【0022】
フック突起12は、後述するようにプロテクタ3に係合することにより、プロテクタ3をレンズ2の外周面9に固定するように作用する。この実施形態では、フック突起12は環状のストッパ片10と一体的に形成されるものであり、スラント構造での後側に位置するストッパ片10の上部10bを部分的に後側に屈曲させることによりフック突起12が形成されている。なお、スラント構造における前側に位置するストッパ片10の下部10aには、フック突起12が形成されるものではない。
【0023】
図3〜図5は、プロテクタ3を示す。プロテクタ3は、ゴムなどの弾性材を閉ループ状(リング状)に成形することにより形成されており、レンズ2の外周面9に巻き付くように取り付けられる。このため、プロテクタ3は、レンズ2の外周面9に沿った閉ループ状となっている。
【0024】
プロテクタ3は、レンズ2の外周面9に嵌合する閉ループ状の嵌合部13と、
嵌合部13から立ち上がる立ち上がり部14とを備え、さらに立ち上がり部14には、折り返し舌片部15が連設されている。折り返し舌片部15は、立ち上がり部14の立ち上がり端から折り返されることにより、プロテクタ3の外方側に位置している。このような折り返し舌片部15を設けることにより、折り返し舌片部15が、ボンネット11などの車体5に接触して車体5の内部を隠蔽するように作用するため、車体内部が外側から見えることがなくなり、見栄えが向上する。
【0025】
かかるプロテクタ3には、レンズ2のフック突起12と係合するフック片16が形成されている。フック片16は、嵌合部13を部分的に後側に延ばすことにより一体的に形成されていると共に、フック突起12が差し込まれるフック孔16aが肉厚方向に貫通している。このフック片16は、フック突起12が係合することから、フック突起12と対応した位置となるように設けられており、この実施形態では、スラント構造での後側に位置するストッパ片10の上部10bに設けられるフック突起12との対応位置に1個だけ設けられている。
【0026】
さらに、プロテクタ3には、図4及び図5に示すように、肉抜き部17が形成されている。肉抜き部17は、プロテクタ3の閉ループに沿って形成されるものであり、この実施形態では、嵌合部13を肉厚方向に貫通するように、嵌合部13の長さ方向に断続的に形成されている。この肉抜き部17を形成することにより、プロテクタ3の全体に柔軟性を付与することができる。
【0027】
この実施形態により、プロテクタ3の取り付けは、その嵌合部13をレンズ2の外周面9に面接触するように嵌合させ、この嵌合状態でフック片16をレンズ2のフック突起12に係合させる。この係合によってプロテクタ3はレンズ2に固定される。このような固定は、フック突起12とフック片16との係合によって行われるため、両面接着テープによる固定が不要となる。従って、プロテクタ3をレンズ2に簡単に取り付けることができる。
【0028】
また、両面接着テープのように経時的に劣化することがなく、プロテクタ3を定位置に安定して固定することができる。
【0029】
さらに、上述した係合時において、フック片16及びフック突起12が、スラント構造における後側(上部)に位置するように設けられており、スラント構造の後側でこれらが係合している。このため、スラント構造の前側(下部)では、プロテクタ3がスラント構造の後側(上部)に引っ張られる。すなわち、本実施形態では、フック片16をフック突起12に係合させることにより、嵌合部13のフック片16よりも下側の部分に車体5の後方側への引張力が作用し、これにより嵌合部13は、前記引張力を作用させた状態でその全周の後端面をストッパ片10に突き当てて取り付けられる(図2参照)。従って、プロテクタ3が緊張状態となって固定されるため、プロテクタ3の固定精度を向上させることができる。
【0030】
さらに、プロテクタ3の折り返し舌片部15をボンネット11などの車体5と確実に接触するため、レンズ2と車体5(ボンネット11)との間の隙間がなくなる。これにより車体内部を隠蔽するように作用して、車体の内部が見えることがなくなり、見栄えが向上する。
【0031】
これらに加えて、プロテクタ3は肉抜き部17を断続的に形成することにより柔軟性が付与されるため、プロテクタ3が扱い易くなり、レンズ2が本実施形態のように丸型であってもレンズ2の外周面9に対する嵌合部13の良好な追従性が得られ、これにより組み付け性が向上する。
【0032】
図6は、プロテクタ3の別の実施形態を示し、薄肉部18が嵌合部13に断続的に形成されている。薄肉部18は嵌合部13の他の部分に比べて、薄肉のためプロテクタ3の全体の柔軟性を付与することができる。従って、この実施形態においても、プロテクタ3が扱い易くなり、レンズ2への組み付け性が向上する。
【0033】
なお、本発明では、左右方向で食い違うスラント構造に対しても同様に適用することができるものである。また、ヘッドランプ以外の車両用灯具に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の斜視図である。
【図2】一実施形態の断面図である。
【図3】プロテクタの斜視図である。
【図4】レンズへプロテクタを取り付けた状態の要部拡大断面図である。
【図5】図1におけるA−A線拡大斜視図である。
【図6】プロテクタの別の実施形態の断面図である。
【符号の説明】
1 車両用灯具
2 レンズ
3 プロテクタ
5 車体
8 レンズ面
9 外周面
11 ボンネット
12 フック突起
13 嵌合部
14 立ち上がり部
15 折り返し舌片部
16 フック片
17 肉抜き部
18 薄肉部
Claims (4)
- バルブからの光を通過させるレンズと、弾性材によって閉ループ状に形成され前記レンズの外周面に取り付けられるプロテクタとを備えると共に、前記レンズ外周面に鉤形のフック突起を形成する一方、このフック突起が差し込まれるフック孔を肉厚方向に貫通させたフック片を前記プロテクタに形成してなり、レンズの外周面に面接触するようにプロテクタをレンズに嵌合させた状態で前記フック突起を前記フック孔に差し込むことにより前記フック片をフック突起に係合させてプロテクタをレンズに取り付けることを特徴とする車両用灯具。
- 請求項1記載の車両用灯具であって、
前記レンズは、前面のレンズ面が傾斜することにより外周面がレンズの前後方向で食い違うスラント状態となっており、前記フック突起がスラントの後側に位置する外周面に形成されていることを特徴とする車両用灯具。 - 請求項1又は2記載の車両用灯具であって、
前記プロテクタは、前記レンズの外周面に嵌合する嵌合部と、この嵌合部の前端から立ち上がる立ち上がり部と、この立ち上がり部の立ち上がり端から折り返される折り返し舌片部とを備えていることを特徴とする車両用灯具。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用灯具であって、
前記プロテクタに、肉抜き部又は/及び薄肉部を前記閉ループに沿って断続的に形成したことを特徴とする車両用灯具。
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