JP3948058B2 - ポリエステルミシン糸およびそれを用いた縫製品 - Google Patents

ポリエステルミシン糸およびそれを用いた縫製品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は可縫性に優れ、且つ、取扱い性や生地とのなじみ性に優れた製品染め用ポリエステルミシン糸およびそれを用いた縫製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
染色された生地を縫製加工する場合、生地の色合いに対応したミシン糸の色が選択されて用いられるが、生地とミシン糸の色合いが、わずかでも異なると問題になることが多い。
【0003】
近年、衣料品を縫製した後に染色する製品染めという加工がコストダウンを狙いとして在庫減、短縮納期、少量多品種を実現する有効な手段として注目され実用化が進んでいる。特にランジェリーなどインナー用途では多く採用されている。
【0004】
しかし、染色においては高温高圧染色機を用いるのが前提となるため、色修正が困難であることや収縮率が大きくなるなど、また、縫製品の風合いが硬化する問題があった。一方、天然繊維や化学繊維と合成繊維を複合化した素材による風合いのソフト化あるいは交織、交編などにおいては製品を高温染色すると生地を痛めやすくできる限り低温染色できる技術の開発が要求されている。
【0005】
これらの観点から常温常圧において染色可能な素材として、常圧可染型ポリエステル糸が開発され、常圧染色機による製品染めを展開していく環境が整ってきたが、可縫性に優れた常圧染色可能なポリエステルミシン糸はまだ開発されていないのである。
【0006】
なお、従来技術として特開平2−104733号公報にフィラメント複合ミシン糸が提案されているが、ループ、コイル、もつれなどによって構成された常圧可染性マルチフィラメント糸であり、ループ、コイル、もつれの存在がミシン針にループやスナールにひっかかり、糸を切断したり、糸が縺れたり、あるいは糸解舒に際して、フアスナー効果が発生し、解舒張力の異常をきたす等の欠点があって問題となっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、可縫性に優れ生地とのなじみが良く、かつ縫い目が美しい常圧染色可能なポリエステルミシン糸およびそれを用いた縫製品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステルミシン糸は、前記課題を解決するため、次の構成を有する。
【0009】
すなわち、ポリエステルマルチフィラメント糸条からなる上ヨリと下ヨリが施されたミシン糸であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条はポリエチレングリコールを共重合した常圧可染型であり、かつ、下記特性を有することを特徴とするポリエステルミシン糸である。
【0010】
A.毛羽数が100〜540個/
B.降伏点応力が2.4〜4g/
C.ストレート強度が3.5g/d以上
D.180℃の20分間フリー状態における乾熱収縮率が3%以下
また、本発明の縫製品は、前記課題を解決するため、次の構成を有する。
【0011】
すなわち、ポリエステルマルチフィラメント糸条からなる上ヨリと下ヨリが施されたミシン糸であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条はポリエチレングリコールを共重合した常圧可染型であり、かつ、下記特性を有することを特徴とするポリエステルミシン糸を用いたことを特徴とする縫製品である。
【0012】
A.毛羽数が100〜540個/
B.降伏点応力が2.4〜4g/
C.ストレート強度が3.5g/d以上
D.180℃の20分間フリー状態における乾熱収縮率が3%以下
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリエステルミシン糸について詳細に説明する。
【0014】
本発明においては、ポリエステルマルチフィラメント糸条とは分子鎖中にエチレンテレフタレート繰り返し単位を85モル%以上含むポリエステルからなるマルチフィラメント糸条のことをいう。
【0015】
かかるポリエステルフィラメント糸はポリエチレングリコールを共重合したポリエステルからなるフィラメント糸であるこのポリエステルフイラメント糸は共重合成分として、平均分子量500〜4000のポリエチレングリコールが6〜10重量%含まれるものが好ましい。その他の成分として、抗酸化剤、艶消し剤、着色剤等が含まれてもよい。この常圧可染型ポリエステルマルチフィラメント糸は、その染色特性が常圧染色において、従来のポリエステルの高温染色品に匹敵する高発色性を実現し、染着は60℃ごろから始まり、98℃で染着が最も高くなるが、染色時間を長くとると60分でほぼ飽和する特徴を有している。
【0016】
上ヨリと下ヨリが施されたミシン糸の各ヨリ数は該マルチフィラメント糸条の引き揃え本数、すなわち、デニールによって異なるが、例えば、70デニールの2子ヨリのミシン糸では、下ヨリはS方向に1000〜1300T/m、上ヨリはZ方向に850〜1000T/mが挿入されるのが好ましく、70デニールの3子ヨリ糸では下ヨリはS方向に900〜1200T/m、上ヨリはZ方向に750〜900T/mが挿入されるのが好ましい。
【0017】
該ミシン糸の毛羽数は1m当たり100〜540個とするものである。一般にミシン糸の毛羽数などは多いほどミシン糸コーンからの糸解舒がスムースとなって輪抜けの防止になり取り扱い性がよく、高速厚地縫いやミシン糸と生地のなじみ性が向上するが、毛羽が目立ちやすくなり、特にフィラメント生地などに用いると縫製品位を著しく低下させる傾向がある。また、逆に毛羽数が1m当たり100個に満たないと毛羽のない生糸状のフィラメントミシン糸に近くなり、コーンからの輪抜けを起こして取り扱い性が低下したり、針温度の上昇に伴い高速厚地縫いで糸切れが多くなるなどの傾向がある
【0018】
本発明においては、毛羽数は、2子ヨリあるいは3子ヨリ、5、7子ヨリのミシン糸を東レ型毛羽カウンター測定機DT−104によって測定したもののことをいい、毛羽などの長さが0.35±0.25mmの範囲にある個数を1m当たりカウントしたもののことをいう。
【0019】
次に、本発明においては降伏点応力を2.4〜4g/とするものである。該ミシン糸のS−Sカーブにおいて、初期の立上がりを越えた地点の降伏点応力は、初期の立上がりは、ポリエステル特有の剛直性を有しているものの、若干伸長することにより柔軟性を示すので、この部分の降伏点応力が4g/d以下になると、ポリエステルフィラメント糸が柔軟性を有したミシン糸となって、該ミシン糸の糸解舒がスムースになって輪抜けの防止および取り扱い性が向上し、高速厚地縫性の向上や該ミシン糸と生地との馴染みを向上せしめることができる。
【0020】
降伏点応力は、インストロン型引張測定機を用いて、初期引っ張り抵抗度から切断するまでのS−Sカーブを測定し、降伏点応力を計算したもののことをいい、JIS L 1073法によって測定したもののことをいう。
【0021】
また、本発明においてはストレート強度Sが3.5g/d以上とするものである。ミシン機の高速化、自動化に対応できるよう3.5g/d以上を必要とし、さらには4g/d以上が好ましい。3.5g/dより低いと縫製中の糸切れ発生が増加しやすくなり、また耐久性も低下する問題がある。
【0022】
本発明においてはストレート強度は、6g/d以下であるのが好ましい。
【0023】
ストレート強度Sは、インストロン型引張測定機を用いて切断する強度を測定したもののことをいい、JIS L 1073法によって測定したもののことをいう。
【0024】
本発明においては180℃の20分間フリ−状態における乾熱収縮率が3%以下とするものである。
【0025】
乾熱収縮率は縫製加工後の縫い込まれた該ミシン糸の収縮率と生地の収縮率差に関係し、一般的には乾熱収縮率が少ないほうが好ましい。例えば生地より該ミシン糸の収縮率の方が大きい場合は、生地がひきつれ、いわゆるパッカリングを起こしやすくなる。具体的には生地よりミシン糸の収縮率が3%大きいとパッカリングが目立ちやすくなる傾向がある。逆の場合、つまりミシン糸より生地の収縮率が大きい場合は、ミシン糸がループとなって生地から浮き出る傾向がある。
【0026】
乾熱収縮率とはJIS L 1073法に準じ、ミシン糸をカセにとり、オーブン内で180℃×20分間処理して処理前後の長さの比で表したもののことをいう。
【0027】
また、本発明のポリエステルミシン糸は、構成繊維の単繊維繊度が2デニ−ル以下のマルチフィラメント糸条が毛羽を有し、かつ、構成繊維の単繊維繊度が3デニール以上のマルチフィラメント糸条が毛羽を有しないのが好ましい。
【0028】
該ミシン糸を構成するマルチフィラメント糸条の構成繊維の単繊維繊度は均一であってもよく、また、異繊度の組み合わせであってもよい。異繊度の組み合わせにおいて、構成繊維の単繊維繊度が細かいものの単繊維繊度は2デニール以下が好ましく、より好ましくは1デニール以下であり、構成繊度の単繊維繊度が太いものの単繊維繊度は2デニール以上が好ましく、より好ましくは5デニール以上となるマルチフィラメント糸条の組み合わせが適している。
【0029】
構成繊維の単繊維繊度が細いマルチフィラメント糸条は該ミシン糸の表面をソフトにし、構成繊維の単繊維繊度が太いマルチフィラメント糸条は該ミシン糸の強度を向上せしめることができる。
【0030】
毛羽は構成繊維の単繊維繊度が細いマルチフィラメント糸条に存在するほうがミシン糸の表面がよりソフトになって好ましい。なお、構成繊維の単繊維繊度が太いマルチフィラメント糸条に毛羽を存在させると該ミシン糸の強度が低下する傾向がある。
【0031】
本発明の縫製品とは、下着類、シャツ類、ブラウス、セータ、カーディガン、ジャケット類、上着類、コート類、スラックス類、パンツ類、スカート類、ドレス類、寝衣類、スポーツ衣料類、ユニホーム類、乳幼児用衣料類などの衣料用品からハンカチ、スカーフ、布団および布団カバー、風呂敷、カーテン、ネクタイ、シーツなどの家庭用縫製品等のすべてを含めたもののことをいう。また本発明のポリエステルミシン糸は最終繊維製品のみならず、中間段階の部材の縫製用にも使用できる。
【0032】
ほとんどの繊維製品に使用できるが、下着類、シャツ類、ブラウスに使用するのが好ましい。
【0033】
本発明のポリエステルミシン糸は製品染めに使用されるのが好ましい。
【0034】
例えば、下着類の中のブラジャーの場合、ブラジャーは、生地、レース、ストラップ、テープ、パッド、芯地などをもちいて縫製されているが、これらを同一の色に合わせるためには、かくパートを個別に染色すると、色合わせが極めて困難であり、コストも高騰する。しかし、製品として縫製された後、製品で染色すると色合わせを必要とせず、常圧分散染色も一度に完了するのでコスト的にも有利である。これが製品染めのメリットになるのである。なお、共重合ポリエステルからなる常圧可染型ポリエステルミシン糸は、高速製糸からなる常圧可染型ポリエステルミシン糸に比べて濃色に染まりやすいので濃色用途に好ましく用いられる。
【0035】
図1は、本発明に係るポリエステルミシン糸の一例をモデル的に示す概略図である。毛羽部分イ、ミシン糸ロを示した。図2は、本発明のポリエステルミシン糸を製造する方法の一例をモデル的に示した概略工程図である。
【0036】
図2をもとに本発明のポリエステルミシン糸の代表的な製造方法を3子ヨリ糸について説明する。H型ボビンに巻き返したフィラメント糸1、2、3に下ヨリをフィードローラ4、5、6の間で加え、各下ヨリ糸をガイド7で3本引き揃え、デリベリーローラ9との間で高緊張下の糸−糸擦過を毛羽発生ローラ8によって毛羽加工し、デリベリーローラ9から巻取チーズ10に巻き上げることによって、毛羽を有する3本引き揃えたマルチフィラメント糸条を製造することができる。
【0037】
次に得られた引き揃え状態の毛羽を有するマルチフィラメント糸に上ヨリを加えるのが好ましい。これら加えるヨリ数の設定条件は、例えば、75デニールのフィラメント糸を用いた場合、下ヨリとして800〜1200T/mのSヨリを加え続いて、3子ヨリや2子ヨリあるいは7子ヨリにするために上ヨリとして、下ヨリのヨリ数の約50〜80%をZ方向に加えるのが好ましい。さらに、ミシン糸に低収縮加工を施すために温度150〜200℃、緊張率−5〜+5%の範囲にて乾熱セットし、最終の油剤仕上げ処理加工を行ない、常圧分散可染型のポリエステルミシン糸を製造することができる。
【0038】
このようにして製造したポリエステルミシン糸は前記の特性を有することができ、該ミシン糸を製品染め用の縫製加工に好適に使用することができる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。
【0040】
実施例1
ポリエチレングリコール(分子量1000)を7.5重量%共重合したポリエチレンテレフタレートからなる常圧可染型ポリエステルからなるポリエステルマルチフィラメントの75デニール36フィラメント糸に下ヨリとしてS方向に975T/m加えて下ヨリ糸とし、この糸を3本引き揃えながら−7%の高緊張下において糸−糸擦過による毛羽加工を行い、10m/minの速度にて引取りチーズに巻き上げた。
【0041】
毛羽付与された引き揃え状態にある3糸条の該下ヨリ糸にZ方向750T/mの上ヨリを加えて3子ヨリ糸条とした。残留収縮率を下げるため、乾熱180℃、緊張率3%にて熱セットを行った。油剤仕上げ処理加工を行ない製品染め用のポリエステルミシン糸を製造した。
【0042】
得られたミシン糸を用いて、白生地あがりのブラジャ−を製造した。
【0043】
製品染めを行うために、98℃の常圧にて分散可染型染料(バイエル化成(株)製 Resolin Blue FBL)を用いて染色加工し、得られたブラジャ−の形態を固定するため、ブラジャーを金型にはめ込み仕上げセットした。
【0044】
製品染め用に用いたポリエステルミシン糸の特性は表1に示した。図3はこのポリエステルミシン糸のS−Sカ−ブである。
【0045】
これは、得られたミシン糸を工業用本縫いミシン(シンガータイプ281)を用いて下記条件にて縫製試験したものである。
【0046】
針 #11
回転数 5500s・p・m
ステッチ 15針/3cm
なお、布帛して、綿100%ブロ―ド#4000を使用した。
【0047】
点数:木綿ミシン糸使用を100点とした比較点である。
【0048】
比較例1
比較用のポリエステルフィラメントとして通常のフィラメントミシン糸に用いられる原糸の75デニール36フィラメント糸に下ヨリとしてS方向に975T/m加えて下ヨリ糸とし、この糸を3本引き揃えながら−8%の高緊張下において糸−糸擦過による毛羽加工を行い、10m/minの速度にて引取りチーズに巻き上げた。
【0049】
毛羽付与された引き揃え状態にある3糸条の該下ヨリ糸にZ方向750T/mの上ヨリを加えて3子ヨリ糸条とした。残留収縮率を下げるため、乾熱180℃、緊張率3%にて熱セットを行った。油剤仕上げ処理加工を行ないポリエステルミシン糸を製造した。
【0050】
3本引揃えられた該下ヨリ糸にZ方向750T/mの上ヨリを加えて3子ヨリ糸条とした。残留収縮率を下げるため、乾熱180℃、緊張率3%にて熱セットを行った。油剤仕上げ処理加工を行ないポリエステルミシン糸を製造した。
【0051】
該ミシン糸を用いて、白生地あがりのブラジャ−を製造した。
【0052】
製品染めを行うために、98℃の常圧にて分散可染型染料(Resolin Blue FBL)を用いて染色加工した。
【0053】
その結果、生地はブルーに汚染されたが該ミシン糸の部分はほとんど染まらず、また、降伏点応力が5g/d以上と高く生地と該ミシン糸とのなじみ感は、該ミシン糸が縫い込まれた部分は縫い込まれない部分に比べて風合いが硬く仕上がっており、製品全体としてもソフトさの欠けるものであった。また、商品として見た場合は当然不良品となるので市販できるものではなかった。
【0054】
製品染め用に用いたポリエステルミシン糸の特性を表1に示した。
【0055】
実施例2、3
ポリエチレングリコール(分子量1000)を7.5重量%共重合したポリエチレンテレフタレートからなる常圧可染型ポリエステルからなるポリエステルマルチフィラメントの75デニール36フィラメント糸に下ヨリとしてS方向に975T/m加えて下ヨリ糸とし、この糸を3本引き揃えながら高緊張下のオーバーフィード率を変更し、毛羽数による効果を比較した。なお、その後の製造条件は実施例1と同じ条件を採用した。製品染め用に用いたポリエステルミシン糸の特性を表1に示した。
【0056】
比較例2〜4
ポリエチレングリコール(分子量1000)を7.5重量%共重合したポリエチレンテレフタレートからなる常圧可染型ポリエステルからなるポリエステルマルチフィラメントの75デニール36フィラメント糸に下ヨリとしてS方向に975T/m加えて下ヨリ糸とし、この糸を3本引き揃えながら高緊張下のオーバーフィード率を変更し、毛羽数による効果を比較した。なお、その後の製造条件は実施例1と同じ条件を採用した。
【0057】
比較例2はストレート強度が低くなり過ぎて縫製加工中の糸切れが多発し、比較例3はオーバーフィード率が低すぎて緊張度合いが高くなり過ぎ、糸加工中に糸切れが生じた。比較例4はオーバーフィード率が高すぎて緊張度合いが低くなり、毛羽の発生が100個/m以下に減少し、縫製加工テストの高速自動縫製性の点数が20点以下の極めて低い可縫性であった。
【0058】
製品染め用に用いたポリエステルミシン糸の特性を表1に示した。
【0059】
実施例4
ポリエチレングリコール(分子量1000)を7.5重量%共重合したポリエチレンテレフタレートからなる常圧可染型ポリエステルからなるポリエステルマルチフィラメントのデニール構成について、デニール差を有する例として太い方の単繊維フィラメント糸条に36デニール6フィラメント糸を、細い方の単繊維フィラメント糸条に1デニール36フィラメント糸の合計72デニール42フィラメント糸として構成された異デニールマルチフィラメント糸を用い、下ヨリとしてS方向に975T/m加えて下ヨリ糸とし、この糸を3本引き揃えながら−6%の高緊張下において糸−糸擦過による毛羽加工を行い、10m/minの速度にて引取りチーズに巻き上げた。
【0060】
毛羽付与された引き揃え状態にある3糸条の該下ヨリ糸にZ方向750T/mの上ヨリを加えて3子ヨリ糸条とした。残留収縮率を下げるため、乾熱180℃、緊張率3%にて熱セットを行った。油剤仕上げ処理加工を行ない製品染め用のポリエステルミシン糸を製造した。
【0061】
製品染め用に用いたポリエステルミシン糸の特性を表1に示した。
【0062】
なお、該ミシン糸を分解したところ、構成繊維の単繊維繊度が太いマルチフィラメント糸条36デニール6フィラメント糸には毛羽は付与されていなく、構成繊維の単繊維繊度が細いマルチフィラメント糸条1デニール36フィラメント糸に毛羽が集中していた。
【0068】
【表1】
Figure 0003948058
【0069】
【発明の効果】
本発明のポリエステルミシン糸によれば、縫製品の外観、品位をほとんど損なうことがなく、次の効果を奏することができる。
【0070】
A.常圧常温染色できるので、生地を痛めなく風合いが損なわれない。
【0071】
B.製品染めができるので、工程の合理化がはかれ大幅なコスト低減になる。
【0072】
C.分散染料以外でも染色できるので、染料の選択自由度が広く、カラーバリエーションがとれやすい。
【0073】
D.高速自動縫製時の糸切れが少ない。
【0074】
E.洗濯あるいは熱乾燥を行った時のパッカリングが少ない。
【0075】
F.高速厚地縫いの時に糸切れが少ない。
【0076】
G.該ミシン糸を用いて製品染めされた製品は、縫い目が美しい。
【0077】
H.該ミシン糸と生地の色差がない。
【0078】
I.縫い目が柔らかい。
【0079】
J.該ミシン糸と生地のなじみが良い。
【0080】
K.短く多い毛羽がコ−ンからの糸解舒輪抜けを防止する。
【0081】
L.毛羽成分糸条と強力成分糸条を単独設計できるので、製品の目的に合致したミシン糸を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステルミシン糸の一例をモデル的に示す概略図である。
【図2】本発明のポリエステルミシン糸の製造方法の一例をモデル的に示す概略工程図である。
【図3】本発明のポリエステルミシン糸の一例のS−Sカーブである。
【符号の説明】
イ:毛羽部
ロ:ミシン糸
1:マルチフイラメント糸
2:マルチフイラメント糸
3:マルチフイラメント糸
4:フィードローラ
5:フィードローラ
6:フィードローラ
7:ガイド
8:毛羽加工ローラ
9:デリベリ―ローラ
10:巻取チーズ
ハ:本発明のポリエステルミシン糸
ニ:従来品のポリエステルミシン糸
P1 :本発明のポリエステルミシン糸の降伏点
P2 :従来品のポリエステルミシン糸の降伏点

Claims (3)

  1. ポリエステルマルチフィラメント糸条からなる上ヨリと下ヨリが施されたミシン糸であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条はポリエチレングリコールを共重合した常圧可染型であり、かつ、下記特性を有することを特徴とするポリエステルミシン糸。
    A.毛羽数が100〜540個/
    B.降伏点応力が2.4〜4g/
    C.ストレート強度が3.5g/d以上
    D.180℃の20分間フリー状態における乾熱収縮率が3%以下
  2. 構成繊維の単繊維繊度が2デニール以下のマルチフィラメント糸条および構成繊維の単繊維繊度が3デニール以上のマルチフィラメント糸条から構成され、該構成繊維の単繊維繊度が2デニール以下のマルチフィラメント糸条は毛羽を有し、該構成繊維の単繊維繊度が3デニール以上のマルチフィラメント糸条は毛羽を有しないことを特徴とする請求項1記載のポリエステルミシン糸。
  3. 請求項1または2のポリエステルミシン糸を用いたことを特徴とする縫製品。
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