JP3947815B2 - 塗布液およびこれを用いた薄膜作製方法 - Google Patents

塗布液およびこれを用いた薄膜作製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布液およびこれを用いた薄膜作製方法に関するもので、特に基体上に塗布して焼成することにより、金属酸化物薄膜を作製するための塗布液およびこれを用いた薄膜作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、基体上に金属イオンを含む塗布液を塗布し、この塗布液を焼成することによって金属酸化物薄膜を作製することが知られている。例えば、金属アルコラートを有機溶媒に溶解した溶液に水を添加し、金属アルコラートを加水分解して金属イオンを含むゾル液を作製する。このゾル液を塗布液として基体上に塗布することにより塗布膜を作製する。この塗布膜を焼成することによって、金属酸化物薄膜を得る。
【0003】
また、近年では、塗布液として有機配位子としてアセチルアセトンを含む金属アルコラート溶液を加水分解してゾル液を作製したり、金属石鹸を含む溶液を使用して、上記と同様の方法により、金属酸化物薄膜を作製することもできる。
【0004】
これらの方法は、いわゆるゾルゲル法として呼ばれているものである(作花済夫著、ゾル−ゲル法の科学、アグネ承風社、1988年、85−103頁)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の金属酸化物膜は、ゾルゲル法によって作製することができるが、いくつかの問題点を有する。
【0006】
金属アルコラートは、加水分解速度が速いので、該加水分解速度を制御することが困難である。このため、そのまま放置しておくとゲル化が進んでしまい、塗布液として使用できなくなるとか、粘度が変化して均一な厚膜を得ることができない、という問題点がある。例えば、チタニウムテトライソプロポキシドは、加水分解速度がきわめて速いため、空気にさらしておくだけでゲル化が進行して、白色ゲルとなるので、塗布液として使用することができない。
このような問題点を解消するために、アセチルアセトンを含む金属アルコラートを用いる方法が提案されているが、この方法でも加水分解速度を十分に制御することができない。
【0007】
また、複数の金属イオンを含む複合酸化物膜を作製する場合には、加水分解速度が異なると、これら金属イオンを均一に混合できなくなるという問題点がある。
【0008】
さらに、これら金属アルコラートは、一般に高価で、原材料費が高くなってしまう、という問題点がある。この問題点を解決するために、原材料として金属石鹸を用いる方法もあるが、この方法では有機物の含有量が多いので、焼成後に緻密膜が得られない、という問題点がある。
【0009】
従って本発明の目的は、上記の問題点を解決し、塗布およびその後の焼成工程により金属酸化物膜を作製するに際し、塗布液の安定性がよく、ポットライフが長く、しかも廉価な金属酸化物膜を作製するための塗布液を提供することにある。
【0010】
また、本発明の別の目的は、上記塗布液を用いて金属酸化物膜を形成する方法を提供することにある。特に、本発明の他の目的は、複数の金属イオンが均一に混合した複合金属酸化物薄膜を容易に形成する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定のアルキルアミンを対イオンとする所定の有機配位子を配位したアニオン金属錯体を含有させた塗布液を用いることにより、上記問題点を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
第1の発明は、下記の一般式(1):
【化4】
〔(A1)(A2)〕[MB]・・・(1)
〔式中のA1は、一般式N(R )(R )(R (式中のR,Rおよび 、それぞれ水素原子または1−10の炭素数を有するアルキル基で、これらR,Rおよび 、それぞれ同じでも異なっていてもよいが、少なくとも一つはアルキル基を示す)で示されるアルキルアミンを表し、A2は、水素イオンまたは+1価もしくは+2価の陽イオンを表し、mおよびnは、陽イオン{(A1)(A2)}が錯陰イオン[MB]の電荷の絶対値に一致することを満たす0以上の数を示し、Mは、周期表の1〜16族から成る群から選ばれた少なくとも1種の金属イオンおよび/またはそのオキソ体を表し、Bは、下記の一般式(2)または(3):
【化5】
(R)(R)−N−R−N−(R)(R)・・・(2)
【化6】
(R)(R)−N−R−N−(R10)(R)−N−(R)(R)・・・(3)
(式中のR,R,R,RおよびR10は、−CHCOOH、−CHCHCOOH、−CHCHOH、−CHCHCHOH、−CHPOまたは−CHCHPOであり、これらR,R,R,RおよびR10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、Rは、−CHCH−、−CHCHCH−または−CHCH(OH)CH−である)〕で表されるアニオン金属錯体を少なくとも1種含有することを特徴とする塗布液にある。
【0013】
また、第2の発明は、上述した塗布液を基体上に塗布して焼成することにより、金属酸化物膜を作製することを特徴とする金属酸化物膜の形成方法にある。
【0014】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
ここで、用いる金属錯体とは、金属イオンに有機や無機等の任意の配位子が少なくとも1個配位している化合物であり、その構造や化学的特性については、無機化学(エフ・エー・コットンおよびジー・ウィルキンソン著、中原勝儼訳、第8版1980年、培風館)に詳しく記載されている。
【0015】
本発明においては、上記一般式において、MはAl、Si、V、Fe、Co、Cr、Ni、Zn、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Pb、Hf、Ta、W、Cu、Mg、Ca、SrおよびBaから成る群から選ばれた少なくとも1種、および/またはそのオキソ体である金属錯体が好ましい。
【0016】
配位子Bとしては、例えば以下に示されるものが挙げられる。
【化7】
Figure 0003947815
【0017】
これらの配位子Bを含むアルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体としては、例えば以下で示されるものが挙げられる。
【化8】
Figure 0003947815
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるアニオン金属錯体は安定であり、この錯体をアルキルアミンを対イオンとして含む塗布液のポットライフは長い。複数のアルキルアミンを対イオンとしてアニオン錯体と混合することにより形成した塗布液を用いることにより、複数の金属イオンを含有する複合膜が容易に形成され、かつこれら金属イオンが均一に混合した薄膜を得ることができる。
【0019】
複数の金属アルコラートを含有する溶液を加水分解する従来技術においては、それぞれの金属アルコラートの加水分解速度が異なるので、同種の金属イオンが集合したポリマーが生成しやすく、複数の金属イオンが均一分散した薄膜を得ることが困難である。
【0020】
これに対し、本発明において、アルキルアミンを対イオンとし、複数の金属イオンを含有するアニオン金属錯体を用いて塗布液を調製しても、これら金属イオンは均一に混合されるので、これら金属イオンが均一に分散した薄膜を作製することができる。さらに、このアルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体は、金属アルコラートと異なり、安価に製造することができる。また、本発明に用いるアルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体は、金属石鹸と異なり、錯体分子内に含有される有機物含有量が少なので、塗布焼成後、緻密膜を形成することができる。
【0021】
本発明の塗布液は、アルキルアミンを対イオンとし、アニオン金属錯体を任意の溶媒に溶解することにより製造することができる。塗布性、乾燥性および溶液保存性等を考慮すると、溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール等のアルコール類、アセトン等やその混合溶媒が好ましい。アニオン金属錯体は、これらの溶媒に任意の濃度に溶解することができるが、塗布性や乾燥性等の観点から、該アニオン金属錯体の量は、1〜30重量%の範囲が好ましい。アニオン金属錯体の量が1重量%未満になると塗布性が劣化し、逆に30重量%を超えると乾燥性が劣化する。
【0022】
本発明の塗布液は、フロー法、カーテン塗布法、ディップ法等任意の方法により基体上に塗布することができる。本発明に用いる基板としては、任意のものを使用することができるが、特に焼成温度に対する耐性から、ソーダライムガラス、低膨張ガラス、石英ガラス等のガラス類、鉄、アルミニウム、SUS等の金属類、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム等のセラミックス類、ポリイミド等のポリマーフィルム等が好ましく用いられる。また、かかる基板の他に、塗布液を任意の薄膜や厚膜上にも塗布することができる。
【0023】
本発明の方法によれば、塗布液の基体への塗布後、焼成を空気、酸素ガスおよび窒素ガスから成る群から選ばれた少なくとも1種の気体中で行うことが好ましい。また、焼成工程を複数とし、例えば、まず空気中で焼成し、次いで窒素中で焼成するというように、焼成工程を複数とすることもできる。焼成温度は、特に制限されず、例えば塗布膜をまず200℃で焼成し、次いで500℃で焼成するというように、焼成温度を多段階とすることもできる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0025】
アルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体は、例えば以下の方法により合成することができる。
【0026】
合成例
錯体2の合成
ビーカー中で、4.93gの塩化コバルト(II) 6水和物を約40mlの水に溶解し、その水溶液に6.01gのB1を攪拌しながら加えて、混合溶液を90℃で加熱した。55℃まで一旦冷却した後、この不均一溶液に12.81gのトリブチルアミンを徐々に添加した。同一温度で透明な均一溶液が得られるまで、加熱攪拌した。その溶液を氷冷しながら、3%の過酸化水素水30mlを徐々に添加し、その後55℃で1時間加熱攪拌した。得られた深赤紫色の溶液を30mlになるまで減圧濃縮し、その溶液を室温で1晩放置した。生成した沈殿物をろ別し、少量のアセトニトリルで洗浄した後、減圧下乾燥して錯体2を得た。
【0027】
錯体3の合成
ビーカー中で、4.89gの塩化コバルト(II) 6水和物を約40mlの水に溶解し、その水溶液に6.63gのB2を攪拌しながら加えて、混合溶液を90℃に加熱した。55℃まで一旦冷却した後、この不均一溶液に12.61gのトリブチルアミンを徐々に添加した。同一温度で透明な均一溶液が得られるまで、加熱攪拌した。その溶液を氷冷しながら、3%の過酸化水素水30mlを徐々に添加し、その後55℃で2時間加熱攪拌した。得られた深赤紫色の溶液を20mlになるまで減圧濃縮した。この濃縮液に60mlのメタノールと200mlのジエチルエーテルとを攪拌しながら添加し、沈殿物を析出させた。生成した沈殿物をろ別し、少量のジエチルエーテルで洗浄した後、減圧下乾燥して錯体3を得た。
【0028】
錯体4の合成
ビーカー中で、15.40gの塩化コバルト(II) 6水和物を約100mlの水に溶解し、その水溶液に20.00gのB2を攪拌しながら加えて、混合溶液を90℃に加熱した。この不均一溶液に38.01gの酢酸カリウムを徐々に添加した。同一温度で透明な均一溶液が得られるまで、加熱攪拌した。この溶液に3%の過酸化水素水60mlを徐々に添加し、その後90℃で1時間加熱攪拌した。得られた深赤紫色の溶液を30mlになるまで減圧濃縮した。この濃縮液に90mlのメタノールと300mlのジエチルエーテルとを攪拌しながら添加し、沈殿物を析出させた。生成した沈殿物をろ別し、少量のジエチルエーテルで洗浄した後、減圧下乾燥した。
【0029】
得られた沈殿物10.00gを水40mlに溶解してカリウム塩水溶液を得た。この水溶液をテトラブチルアンモニウム型に調整した湿潤体積300mlの陽イオン交換樹脂(Dowex50W-X2)を充填したガラスカラム(45×2cm)の上部より注入し、樹脂を通過した着色成分を集めた。その水溶液を20mlになるまで減圧下で濃縮した。この濃縮液に60mlのメタノールと200mlのジエチルエーテルとを攪拌しながら添加し、沈殿物を析出させた。1晩放置して熟成した後、生成した沈殿物をろ別し、少量のジエチルエーテルで洗浄した後、減圧下乾燥して錯体4を得た。
【0030】
錯体5の合成
ビーカー中で、3.58gの塩化コバルト(II) 6水和物を約40mlの水に溶解し、その水溶液に4.38gのB1を攪拌しながら加えて、混合溶液を90℃に加熱した。55℃まで一旦冷却した後、この不均一溶液に10.28gのトリペンチルアミンを徐々に添加した。同一温度で透明な均一溶液が得られるまで、加熱攪拌した。その溶液を氷冷しながら、3%の過酸化水素水30mlを徐々に添加し、その後55℃で1時間加熱攪拌して透明で均一な錯体5を得た。
【0031】
錯体8の合成
ビーカー中で、5.81gのB1を90℃に加熱した約40mlの水に攪拌しながら加えて、4.36gの酢酸亜鉛(II) 2水和物をその水溶液に加えた。この不均一溶液に9.03gのトリペンチルアミンを徐々に添加した。90℃のままで2分間加熱攪拌して透明で均一な錯体8を得た。
【0032】
錯体9の合成
ビーカー中で、6.51gのB2を90℃に加熱した約100mlの水に攪拌しながら加えて、3.35gの水酸化インジウム(III)水和物を3倍モル量よりやや過剰な塩酸で塩化インジウム(III)に代えてその水溶液に加えた。70℃まで一旦冷却(2−プロパノールの沸点以下)した後、2−プロパノール40mlを加え、この不均一溶液に17.93gのトリペンチルアミンを徐々に添加した。同一温度で透明な均一な溶液が得られるまで加熱攪拌した。溶液を室温まで冷却し、遊離する未反応のトリペンチルアミンをエーテル抽出によって除去した。余剰のアミンが存在するとき、溶液は白濁する。この場合にも、加熱によって透明で均一な錯体9が得られた。
【0033】
錯体10の合成
ビーカー中で、3.88gの酢酸銅(II) 1水和物を90℃に加熱した約50mlの水に攪拌しながら加えて、その水溶液に5.66gのB11を加えた。溶液の色が青から緑に変化した溶液に9.13gのトリペンチルアミンを徐々に添加した。90℃で30分加熱攪拌して青色の透明な均一な錯体10を得た。
【0034】
錯体11の合成
ビーカー中で、5.895gのB5を90℃に加熱した約100mlの水に攪拌しながら加えて、4.51gの塩化スズ(II) 2水和物をその水溶液に加えた。この不均一溶液に18.06gのトリペンチルアミンを徐々に添加した。60℃まで一旦冷却(2−プロパノールの沸点以下)した後、2−プロパノールを100mlを加え、同一温度で透明な均一溶液が得られるまで、1時間加熱攪拌して透明で均一な錯体11を得た。
【0035】
錯体13の合成
ビーカー中で、5.87gのB1を90℃に加熱した約150mlの水に攪拌しながら加えた。7.71gの硝酸イットリウム(III)6水和物をその水溶液に加えた。この不均一溶液に18.20gのトリペンチルアミンを徐々に添加した。80℃まで一旦冷却(2−プロパノールの沸点以下)した後、2−プロパノールを100mlを加え、同一温度で透明な均一溶液が得られるまで加熱攪拌した。溶液を室温まで冷却し、遊離する未反応のトリペンチルアミンをエーテル抽出によって除去した。余剰のアミンが存在するとき、溶液は白濁する。この場合にも、加熱によって透明で均一な錯体13が得られた。
【0036】
錯体14の合成
ビーカー中で、約40mlの水に5.56gの塩化鉛(II) を溶解し、その水溶液に6.02gのB1を90℃で加熱攪拌しながら加えた。この不均一溶液に18.24gのトリペンチルアミンを徐々に添加した。90℃で30分間攪拌して、透明で均一な錯体14を得た。
【0037】
錯体16の合成
ビーカー中で、5.76gのB7を80℃に加熱した約100mlの水に攪拌しながら加えた。5.4gの塩化鉄(III)6水和物をこの水溶液に加えた。この不均一溶液に10gのトリプロピルアミンを徐々に添加した。60℃まで一旦冷却した後、2−プロパノール100mlを加え、同一温度で透明な均一溶液が得られるまで加熱攪拌した。この溶液を室温まで冷却し、遊離する未反応のトリプロピルアミンをエーテル抽出によって除去した。余剰のアミンが存在するとき、溶液は白濁する。この場合にも、加熱によって透明で均一な錯体16が得られた。
【0038】
錯体23の合成
ビーカー中で、60.1gのB1を90℃に加熱した約150mlの水に攪拌しながら加えた。5.56gの塩化鉛(II)をこの水溶液に加えた。この不均一溶液に10gのトリプロピルアミンを徐々に添加した。80℃まで一旦冷却した後、2−プロパノールを100mlを加え、同一温度で透明な均一溶液が得られるまで加熱攪拌した。溶液を室温まで冷却し、遊離する未反応のトリペンチルアミンをエーテル抽出によって除去した。余剰のアミンが存在するとき、溶液は白濁する。この場合にも、加熱によって透明で均一な錯体23が得られた。
【0039】
錯体24の合成
ビーカー中で、5.56gのB12を90℃に加熱した約100mlの水に攪拌しながら加えて、4.75gの塩化ニッケル(II) 6水和物をその水溶液に加えた。この不均一溶液に10gのトリプロピルアミンを徐々に添加した。80℃まで一旦冷却した後、2−プロパノール100mlを加え、同一温度で透明な均一溶液が得られるまで加熱攪拌した。溶液を室温まで冷却し、遊離する未反応のトリプロピルアミンをエーテル抽出によって除去した。余剰のアミンが存在するとき、溶液は白濁する。この場合にも、加熱によって透明で均一な錯体24が得られた。
【0040】
実施例1
アルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体1をエタノールに溶解し10重量%の溶液を作製し塗布液とした。この塗布液をフロー法によりソーダライムガラス上に塗布してピンホールやハジキ故障のない塗膜を得た。この塗膜を空気中にて500℃で30分間焼成して、茶褐色の薄膜を得た。この薄膜は、膜厚が100nmでバラツキがなく均一であった。また、薄膜にはピンホール、ハジキおよびクラック等の故障はなかった。この薄膜を元素分析およびX線回折にて解析したところ、Co3 4 の組成を有する立方相であった。
塗布液を室温で1ケ月間放置したところ、塗布液は白濁や析出もなく透明のままで、粘度変化もなかった。1ケ月後、この塗布液を用いて、上記と同様の試験を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
【0041】
実施例2
アルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体8の溶液を5mlまで濃縮し、この濃縮液にエタノールを加えて96mlに仕上げた。この塗布液をディップ法によりソーダライムガラス上に塗布して、ピンホールやハジキ故障のない塗膜を得た。この塗膜を空気中にて500℃で40分間焼成して、透明な薄膜を得た。この薄膜は、膜厚が200nmでバラツキがなく均一であった。また、薄膜にはピンホール、ハジキおよびクラック等の故障はなかった。この薄膜を元素分析およびX線回折にて解析したところZnOの組成を有する結晶体であった。
塗布液を室温で1ケ月間放置したところ、塗布液は白濁や析出もなく透明のままで、粘度変化もなかった。1ケ月後、この塗布液を用いて、上記と同様の試験を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
【0042】
実施例3
アルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体9の溶液を5mlまで濃縮し、この濃縮液にエタノールを加えて280mlに仕上げた。この塗布液をフロー法によりソーダライムガラス上に塗布して、ピンホールやハジキ故障のない塗膜を得た。この塗膜を空気中にて450℃で60分間焼成して、透明な薄膜を得た。この薄膜は、膜厚が150nmでバラツキがなく均一であった。また、薄膜にはピンホール、ハジキおよびクラック等の故障はなかった。この薄膜を元素分析およびX線回折にて解析したところIn2 3 の組成を有する結晶体であった。
塗布液を室温で1ケ月間放置したところ、塗布液は白濁や析出もなく透明のままで、粘度変化もなかった。1ケ月後、この塗布液を用いて、上記と同様の試験を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
【0043】
実施例4
アルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体11の溶液を5mlまで濃縮し、この濃縮液にエタノールを加えて95mlに仕上げた。この塗布液をディップ法によりホウケイサンガラス上に塗布して、ピンホールやハジキ故障のない塗膜を得た。この塗膜を空気中にて600℃で50分間焼成して、透明な薄膜を得た。この薄膜は、膜厚が250nmでバラツキがなく均一であった。また、薄膜にはピンホール、ハジキおよびクラック等の故障はなかった。この薄膜を元素分析およびX線回折にて解析したところSnO2 の組成を有する結晶体であった。
塗布液を室温で1ケ月間放置したところ、塗布液は白濁や析出もなく透明のままで、粘度変化もなかった。1ケ月後、この塗布液を用いて、上記と同様の試験を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
【0044】
実施例5
アルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体13の溶液を10mlまで濃縮し、この濃縮液にイソプロパノールを加えて150mlに仕上げた。この塗布液をフロー法により石英ガラス上に塗布して、ピンホールやハジキ故障のない塗膜を得た。この塗膜を空気中にて600℃で50分間焼成して、透明な薄膜を得た。この薄膜は、膜厚が100nmでバラツキがなく均一であった。また、薄膜にはピンホール、ハジキおよびクラック等の故障はなかった。この薄膜を元素分析およびX線回折にて解析したところY2 3 の組成を有する結晶体であった。
塗布液を室温で1ケ月間放置したところ、塗布液は白濁や析出もなく透明のままで、粘度変化もなかった。1ケ月後、この塗布液を用いて、上記と同様の試験を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
【0045】
実施例6
アルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体16の塗布液をディップ法によりソーダライムガラス上に塗布して、ピンホールやハジキ故障のない塗膜を得た。この塗膜を空気中にて500℃で50分間焼成して、透明な薄膜を得た。この薄膜は、膜厚が180nmでバラツキがなく均一であった。また、薄膜にはピンホール、ハジキおよびクラック等の故障はなかった。この薄膜を元素分析およびX線回折にて解析したところFe2 3 の組成を有していた。
塗布液を室温で1ケ月間放置したところ、塗布液は白濁や析出もなく透明のままで、粘度変化もなかった。1ケ月後、この塗布液を用いて、上記と同様の試験を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
【0046】
実施例7
アルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体19の塗布液をスピンナー法によりホウケイサンガラス上に塗布して、ピンホールやハジキ故障のない塗膜を得た。この塗膜を空気中にて550℃で45分間焼成して、透明な薄膜を得た。この薄膜は、膜厚が230nmでバラツキがなく均一であった。また、薄膜にはピンホール、ハジキおよびクラック等の故障はなかった。この薄膜を元素分析およびX線回折にて解析したところNb2 (Nb2 5 )O5 の組成を有していた。
塗布液を室温で1ケ月間放置したところ、塗布液は白濁や析出もなく透明のままで、粘度変化もなかった。1ケ月後、この塗布液を用いて、上記と同様の試験を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
【0047】
実施例8
アルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体23の塗布液をスピンナー法によりホウケイサンガラス上に塗布して、ピンホールやハジキ故障のない塗膜を得た。この塗膜を空気中にて530℃で20分間焼成して、透明な薄膜を得た。この薄膜は、膜厚が120nmでバラツキがなく均一であった。また、薄膜にはピンホール、ハジキおよびクラック等の故障はなかった。この薄膜を元素分析およびX線回折にて解析したところPbO2 の組成を有していた。
塗布液を室温で1ケ月間放置したところ、塗布液は白濁や析出もなく透明のままで、粘度変化もなかった。1ケ月後、この塗布液を用いて、上記と同様の試験を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
【0048】
実施例9
アルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体24の塗布液をスピンナー法により石英ガラス上に塗布して、ピンホールやハジキ故障のない塗膜を得た。この塗膜を空気中にて600℃で40分間焼成して、透明な薄膜を得た。この薄膜は、膜厚が160nmでバラツキがなく均一であった。また、薄膜にはピンホール、ハジキおよびクラック等の故障はなかった。この薄膜を元素分析およびX線回折にて解析したところNiOの組成を有していた。
塗布液を室温で1ケ月間放置したところ、塗布液は白濁や析出もなく透明のままで、粘度変化もなかった。1ケ月後、この塗布液を用いて、上記と同様の試験を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
【0049】
比較例1
チタニウムテトライソプロポキシド28.4gを無水エタノール200mlに溶解した。この溶液を攪拌しながら、室温にて60%HNO3 lmlと水1.8mlとを徐々に添加し、さらに30分間攪拌を続けて、チタニアゾルの塗布液を作製した。この塗布液をフロー法にてソーダライムガラス上に塗布し、500℃で30分間焼成して、透明な薄膜を得た。この薄膜は、膜厚が100nmでバラツキがなく均一であった。また、薄膜にはピンホール、ハジキおよびクラック等の故障はなかった。この薄膜を元素分析およびX線回折にて解析したところTiO2 の多結晶体であった。
この塗布液を室温で1ケ月間放置したところ、3日目より塗布液は白濁した。3日後、この塗布液を用いて、上記と同様の試験を行ったが、失透した膜が得られ、透明膜を作製することができなかった。尚、この塗布液は10日目で増粘し、塗布は不可能であった。
【0050】
比較例2
60%HNO3 lmlと水3.0mlとした他は、比較例1と全く同様な方法により塗布液を作製したところ、液は急激に白濁し、塗布液として使用することができなかった。
【0051】
【表1】
Figure 0003947815
【0052】
【表2】
Figure 0003947815
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、アルキルアミンを対イオンとするアニオン金属錯体を少なくとも一種含む塗布液として調整することにより、ポットライフが長く、製造コストが安価な塗布液を提供することができる。
【0054】
また、本発明の方法によれば、該塗布液を塗布して焼成することにより、緻密な金属酸化物薄膜を容易に得ることができる。

Claims (5)

  1. 下記の一般式(1):
    Figure 0003947815
    〔式中のA1は、一般式N(R )(R )(R (式中のR,Rおよび 、それぞれ水素原子または1−10の炭素数を有するアルキル基で、これらR,Rおよび 、それぞれ同じでも異なっていてもよいが、少なくとも一つはアルキル基を示す)で示されるアルキルアミンを表し、
    A2は、水素イオンまたは+1価もしくは+2価の陽イオンを表し、
    mおよびnは、陽イオン〔(A1)(A2)〕が錯陰イオン[MB]の電荷の絶対値に一致することを満たす0以上の数を示し、
    Mは、周期表の1〜16族から成る群から選ばれた少なくとも1種の金属イオンおよび/またはそのオキソ体を表し、
    Bは、下記の一般式(2)または(3):
    Figure 0003947815
    Figure 0003947815
    (式中のR,R,R,RおよびR10は、−CHCOOH、−CHCHCOOH、−CHCHOH、−CHCHCHOH、−CHPOまたは−CHCHPOであり、これらR,R,R,RおよびR10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、Rは、−CHCH−、−CHCHCH−または−CHCH(OH)CH−である)〕で表されるアニオン金属錯体を少なくとも1種含有することを特徴とする塗布液。
  2. アニオン金属錯体が1〜30重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の塗布液。
  3. MがAl、Si、V、Fe、Co、Cr、Ni、Zn、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Pb、Hf、Ta、W、Cu、Mg、Ca、SrおよびBaから成る群から選ばれた少なくとも1種および/またはそのオキソ体であることを特徴とする請求項1記載の塗布液。
  4. 請求項1〜3記載の塗布液を基体上に塗布して焼成することにより、金属酸化物膜を形成することを特徴とする薄膜作製方法。
  5. 焼成が空気、酸素ガスおよび窒素ガスから成る群から選ばれた少なくとも1種の気体中で行われることを特徴とする請求項4記載の薄膜作製方法。
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