JP3947673B2 - ラビングローラの平行度調整方法及びラビング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ラビング装置、すなわち液晶用ガラス基板の配向膜を布を貼り付けた回転ローラ(ラビングローラ)で擦る装置と当該装置の調整方法に関し、特にガラス基板を載置するテーブルとラビングローラとの平行度設定手段に特徴のある上記方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルを製造する工程中の一工程であるラビング工程は、ガラス基板表面の配向膜を布で擦って液晶分子を配列させる微細な溝を加工する工程である。この工程で用いられる装置は、ガラス基板を真空吸着するテーブル、テーブルの旋回及び昇降装置、周面に布を貼ったラビングローラ、ラビングローラの旋回及び傾動装置(チルト装置)、テーブルとローラとを相対移動させる送り装置などを備えている。
【0003】
加工するガラス基板はテーブルに固定され、テーブルに付設したテーブル旋回装置によってガラス基板の向きが決められると共に、昇降装置によってローラとのギャップ(ラビング圧力)が設定される。ローラは両端を挟持された状態で回転自在に支持され、チルト装置によってガラス基板表面との平行度が設定されると共に、ローラ旋回装置により摺擦方向が設定される。この状態でテーブル又はローラを送り装置で移動させることにより、ガラス基板の表面全体がラビング加工される。
【0004】
ラビングに用いる布は短時間で摩耗し、布が摩耗すると加工精度が維持できない。そこでローラを一日に数回程度の頻度で交換しなければならない。一方、ローラ表面に貼着した布は、厚さ方向のうねりがあるため、ローラを交換する毎にテーブルとローラ周面との平行度の調整を行わなければならない。この調整は、従来、図4に示すように、テーブル8の上にブロックゲージ41を置いてローラ16の左右端でローラとテーブルの間隔を測定することにより行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ブロックゲージを用いて人手で行う平行度の測定は、作業に熟練した技能を必要とし、測定値に作業者の技能差によるばらつきが生じ、時間もかかるという問題がある。特に基板の大型化により、基板表面と布表面の平行度を維持することの困難さが増大し、製造された液晶パネルの表示品質の低下や、調整作業負担の増加による生産性の低下という問題が生じてきた。更に測定時の頻繁なブロックゲージの出し入れにより、テーブル面が摩耗して測定精度が低下するという問題があった。
【0006】
そこでこの発明は、ラビングローラの周面とテーブル表面との平行度を正確にかつ少ない作業負担で効率良く調整可能な方法及びその方法を実施可能なラビング装置を得ることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、旋回テーブルの縁部にラビングローラ16側を向いた変位センサ32を装着し、このセンサで検出される旋回テーブルの端部とラビングローラ16との間隔に基づいてラビングローラ16の傾斜を自動又は手動で調整することにより上記課題を解決している。
【0008】
ラビング装置は、ラビングローラ16の長手中心を略中心にして旋回する旋回テーブル8を備えている。従って、その縁部の一箇所に変位センサ32を設けて、この部分に対向するラビングローラの周面の高さ(センサとローラ周面との距離)を計測することにより、ラビングローラ16の端部の高さを計測することができる。この計測を旋回テーブルを180度回転させた位置でそれぞれ行ってやれば、ラビングローラ16の両端部における旋回テーブル8とローラ16との間隔を計測できる。ラビングローラ16がテーブル8の表面に対して傾斜していれば、ローラ両端の計測値に差が生ずるから、この差が0となる方向にラビングローラ16を傾動させることにより、容易かつ正確にローラ16の平行度を調整できる。
【0009】
この場合における旋回テーブル8とラビングローラ16の周面との間隔は、旋回テーブル8を旋回させながら変位センサ32の検出値をサンプリングし、その極小値を計測値として使用する。そして旋回テーブルを略180度回転して同様な方法で他側の端部の計測値を得、得られた両計測値の差からラビングローラ16の平行度を測定するようにすれば、旋回テーブルの旋回位置がラビングローラの方向と一致していなかったり、旋回テーブルの旋回中心がラビングローラの軸心と一致していない状態であっても、平行度を正確に測定することができる。
【0010】
請求項1に係るラビングローラの平行度調整方法は、ガラス基板を載置する旋回テーブル8の縁部に変位センサ32を設け、この変位センサでラビングローラ16の長手両側部分の高さを計測し、その計測値に基づいてラビングローラ16を旋回テーブル8のテーブル面と平行になる方向に傾動させるというものである。
【0011】
また請求項2に係るラビングローラの平行度調整方法は、ガラス基板を載置する旋回テーブル8の縁部一箇所にに変位センサ32を設け、この変位センサをラビングローラ16の一方の端部に対向させて旋回テーブル8を旋回させながらローラ高さの極小値を計測し、次に旋回テーブル8を略180度回転して同様な操作により第2の極小値を計測し、この2つの極小値の差に基づいてラビングローラ16を旋回テーブル8のテーブル面と平行になる方向に傾動させるというものである。
【0012】
計測値に基づくラビングローラの傾動は、ラビングローラ16の傾動装置23に駆動モータ22を設け、変位センサ32の計測値に基づいてラビングローラ16が旋回テーブル8のテーブル面と平行になる方向にモータ22を駆動する制御装置を設けることによって、自動的に行うことができる。手動による場合には、変位センサ32の計測値から演算された操作値をディスプレイに表示する制御装置を設け、その表示値に基づいてオペレータがラビングローラの傾動装置23を手動ハンドルで操作する。
【0013】
請求項3に係るラビング装置は、ラビングローラ16の両端を支持する一対の支持体15a、15bを備えたローラ支持フレーム14と、このローラ支持フレームに対向する旋回テーブル8と、この旋回テーブルを前記ローラに向けて相対的に近接離隔する昇降台6と、前記ローラ支持フレーム14をローラ16の長手方向と直交する方向の枢支ピン13回りに傾動させる傾動装置23とを備えたラビング装置において、旋回テーブル8の縁部に装着されて前記ローラ16の周面までの距離を無接触で計測する変位センサ32を備えている。
【0014】
平行度を自動調整する上記装置は、更に、傾動装置23を駆動するモータ22と、変位センサ32の計測値に基づいてラビングローラ16が旋回テーブル8のテーブル面と平行になる方向にモータ22を駆動する制御装置とを備えている。また平行度を手動調整する上記装置は、変位センサ32の計測値に基づく傾動装置23の操作量を演算する制御装置と、その演算値を表示する表示装置とを備えている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図示のラビング装置は、ベース1とこのベース上に立設された門型の支持枠2とを備えている。ベース1はその長手方向に延びる移動レール3を備えている。移動レール3には往復台4が移動自在に搭載されており、この往復台は移動レール3と平行に配置された図示しない送りねじに螺合して往復駆動される。往復台4の上面は、支持枠2側が高い傾斜面となっており、この傾斜面に2本の昇降レール5が固定されている。昇降レール5には反支持枠側が低い方向に傾斜した下面を有する昇降台6が移動自在に搭載されており、この昇降台は昇降レール5と平行に装架された図示しないネジ杆に螺合している。
【0016】
昇降台6の上面中央には、鉛直方向の旋回軸7回りに旋回する旋回テーブル8が搭載されている。旋回テーブル8の上面には真空ポンプに繋がる多数の透孔が開口しており、この透孔に負圧を作用させることにより、ラビング加工するガラス基板をテーブル8に吸着固定する。
【0017】
支持枠2の天井下部には鉛直方向の旋回軸受11で支持ブラケット12が旋回可能に装着されており、この支持ブラケットに設けた水平方向の枢支ピン13でローラ支持フレーム14が傾動可能に保持されている。ローラ支持フレーム14は下向きコ字形をしており、その両端には内側を向いて対向する支持軸15a、15bが設けられている。ラビングローラ16は、その両端の軸芯を対向する支持軸15a、15bで挟持された状態で、図示しない駆動装置で回転駆動される。ラビングローラ16の周面にはラビング布が巻装されている。
【0018】
支持フレームには、枢支ピン13と平行なピン21回りに揺動可能に、モータ22が下向きに搭載されている。このモータにはエンコーダが内蔵されており、当該モータの出力軸にはボールねじ23が連結されている。このボールねじは、ローラ支持フレーム14に装着したボールナット24に螺合している。このボールナットは、図2の紙面直角方向の軸回りに回動可能なクロスヘッドを介してローラ支持フレーム14に装着されている。モータ22が回動すると、ボールナット24が昇降して、ローラ支持フレーム14を枢支ピン13回りに傾動させる。傾動に伴うローラ支持フレーム14の角度変化は、モータ22の支持部に設けたピン21とボールナット24を支持するクロスヘッドの揺動によって吸収される。
【0019】
旋回テーブル8の端部一箇所に上向きコの字形のブラケット31を介して変位センサ32がラビングローラ16の端部周面と対向するように上向きに装着されている。この実施例で使用した変位センサ32は、被測定物に向けてレーザビームを投射する構造のセンサである。このセンサ32の検出信号は制御装置に送られ、制御装置は、その信号に基づいてローラ支持フレームを傾動させるモータ22の回転角を制御する。
【0020】
次に上記装置おけるラビングローラ16の平行度調整動作を説明する。ラビングローラ16は、支持軸15a、15bを進退させることにより交換する。ローラ支持フレーム14に新しいラビングローラ16が装填されたら、往復台4と昇降台6をそれぞれ移動レール3及び昇降レール5に沿って移動して、旋回テーブル8の旋回中心がラビングローラ16の下方に位置し、かつテーブル面がラビングローラ16に近接する位置に移動させる。この状態で変位センサ32がラビングローラ16の一方の端部に概ね対向するので、この状態で旋回テーブル8をゆっくり旋回させながら変位センサ32の検出値をサンプリングし、その極小値を第1計測値として記憶する。次にテーブル8を略180度旋回し、同様に旋回テーブル8をゆっくりと旋回しながら変位センサ32の検出値をサンプリングし、その極小値を第2計測値として記憶する。旋回テーブル8のテーブル面に対するラビングローラ16の傾斜は、第1計測値と第2計測値との差で検出できるから、この差が0となる方向と量の回転信号をモータ22に与えることにより、ローラ支持フレーム14を枢支ピン13回りに傾動して平行度を調整する。指令したモータ22の回転は、内蔵されたエンコーダによって検出されて、制御装置にフィードバックされる。以上のようにして旋回テーブル8とラビングローラ16の平行度が設定されたら、テーブル8上にガラス基板を置き、ラビング作業を開始する。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したこの発明によれば、頻繁に行われるラビングローラの交換時に、旋回テーブルとラビングローラとの平行度の調整を人手で行う必要がなくなり、ばらつきのない正確な調整が可能になると共に、作業時間も短縮できる。また、旋回テーブルの一側縁に装着した1個の変位センサでラビングローラの両端の高さを変位センサの極小値で検出して平行度を設定することにより、旋回テーブルとラビングローラの位置関係を厳密に設定しなくても正確な平行度の調整が可能になり、変位センサも1個のみでよいため、装置を安価に提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のラビング装置の全体構造を示す斜視図
【図2】旋回テーブルに装着した変位センサとローラの傾動機構を示す正面図
【図3】計測値の変位センサとラビングローラとの関係を示す断面側面図
【図4】従来方法を示す模式的な正面図
【符号の説明】
6 昇降台
8 旋回テーブル
13 枢支ピン
14 ローラ支持フレーム
15(a,b) 支持軸
16 ラビングローラ
22 モータ
23 ボールねじ
32 変位センサ
Claims (3)
- ガラス基板を載置する旋回テーブル(8)の縁部に変位センサ(32)を設け、この変位センサでラビングローラ16の長手両側部分の高さを計測し、その計測値に基づいてラビングローラを旋回テーブルのテーブル面と平行になる方向に傾動させることを特徴とする、ラビングローラの平行度調整方法。
- ガラス基板を載置する旋回テーブル(8)の縁部一箇所に変位センサ(32)を設け、この変位センサをラビングローラ(16)の一方の端部に対向させて旋回テーブル(8)を旋回させながらローラ高さの極小値を計測し、次に旋回テーブル(8)を略180度回転して同様な操作により第2の極小値を計測し、この2つの極小値の差に基づいてラビングローラを旋回テーブルのテーブル面と平行になる方向に傾動させることを特徴とする、ラビングローラの平行度調整方法。
- ラビングローラ(16)の両端を支持する一対の支持体(15a,15b)を備えたローラ支持フレーム(14)と、このローラ支持フレームに対向する旋回テーブル(8)と、この旋回テーブルを前記ローラに向けて相対的に近接離隔する昇降台(6)と、前記ローラ支持フレーム(14)をローラ(16)の長手方向と直交する方向の枢支ピン(13)回りに傾動させる傾動装置(23)と、旋回テーブル(8)の縁部に装着されて前記ローラの周面までの距離を無接触で計測する変位センサ(32)とを備えている、ラビング装置。
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