JP3947361B2 - Gmrヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、巨大磁気抵抗効果型(GMR)ヘッドに関し、特に磁気記録装置に適用されるスピンバルブ型GMRヘッドのうち、再生感度が高いGMRヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
スピンバルブ高感度化には、固定層、分離層、自由層の物理膜厚を減少させ、抵抗変化量を増加させる手法、固定層内又は自由層界面に酸化層を設置し、界面散乱を押さえて抵抗変化量を増加させる方法、自由層に比抵抗の低い材料を接して積層し、抵抗変化率を上げる方法等が提案されている。
【0003】
膜厚は、固定層が最も厚く、好ましい温度特性を有する反強磁性体のうちPtMnで約10nmが現在の限界となっており、限界がある。固定層への酸化層設置は磁気抵抗変化量増加に有効であるが反強磁性体と強磁性体の交換結合を低下させ、磁気ディスク装置内での動作を不安定にする可能性があり、抵抗変化量増加とは兼ね合いを計る必要がある。自由層への低抵抗膜設置は、磁気抵抗変化率(MR比)増加に有効であるが、その改善量は10%程度である。
【0004】
また、現在多く用いられているPtMnは、下地配向膜の有無、従ってPtMn自身の結晶配向によらず固定層に十分な交換結合を起こすことから、下地にNiFe/Ta構成層を適用すると、全体の比抵抗が低下し、この分感磁部MR高さを減少させ、感度を上げても素子抵抗は変わらない効果がある。高感度化手法を用いない従来構造を図6に示す。この構成のスピンバルブでMR比は7%である。
【0005】
高感度化手法を全て取り入れた膜構成の実施例を以下に示す。ガラス基板上にnm単位膜厚を付し示した(以下に示す、例えば15PtMnにおける15)以下の構造のスピンバルブを形成した。ガラス/1Ta/2NiFe/15PtMn/1.5CoFe/0.8Ru/1.5CoFe/酸化処理/2CoFe/2.1Cu/0.5CoFe/3NiFe/0.6Cu/2Taの構成でスピンバルブを形成し、250℃、9時間磁場中で熱処理した。この結果、MR比10%、固定層結合磁界63.2×103A/m(800Oe)を得た。
【0006】
更に、酸化処理のない、ガラス/1Ta/2NiFe/15PtMn/1.5CoFe/0.8Ru/2CoFe/2.1Cu/0.5CoFe/3NiFe/0.6Cu/2Ta構成のスピンバルブはMR比8〜9%で固定層結合磁界は118.5×103A/m(1,500Oe)であった。
【0007】
感度向上の別な手法として、薄膜内の伝導現象が結晶粒径に依存することから、結晶粒径を増大させ異方的磁気抵抗効果(AMR)を増加させる技術がアイ・イイー・イイ・トランザクション・オン・マグネティックス第36巻第1号381頁(2000年1月刊、IEEE.Trans.MAG−36、vol.1、p381、2000)に示されている(公知例1)。
【0008】
前記公知例1は、NiFeCrを下地膜とし、Ni0.81Fe0.19を積層し、AMR効果をはかり、Cr量40原子%付近でMR比最大となり、35原子%以下と55原子%以上では効果がないと示されている。一方、同一著者により、ジェイ・エイ・ピー第87巻、第9号、6992頁(2000年1月刊、JAP87vol9、p6992、2000)には44原子%付近でMR比最大となると開示されている(公知例2)。しかし、これらはAMR効果であるため、MR比は最大でも3.5%とGMR効果に比し極めて小さい。
【0009】
また、公知例1には高MR比となる下地NiFeCrは、欠陥の多い体心立方格子であり、この上に面心立方格子のNiFeが積層されることで面心立方格子に変化し、NiFeの結晶粒を粗大化させるので、NiFeCrは配向を揃えないことが重要と記述されている。
【0010】
また、NiFeCrを下地としたスピンバルブ膜の開示例は特開平2000−57535号公報に示されている(公知例3)。前記公知例3は、Cr25原子%のNiFeCrをTa下地とMnPt又は自由層との中間に配置し、配向性を制御するとしている。
【0011】
本発明者らの検討で、前記のNiFeCr/Taは、上述したNiFe/Taとほぼ同様の効果でNiFeCr厚さを20〜70nmと厚くしてもMR比が低下しない効果があることがわかっている。また、前記公知例3ではCr組成と磁気抵抗変化量との関係は明らかでない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明のGMRヘッドが使用される、主に磁気ディスク装置又は磁気テープ装置等磁気記録の分野では、磁気記録装置の大容量化、小型化が常に要求されこれを実現するため恒常的な記録密度の増大が課題となっている。
【0013】
図4に磁気ディスク装置の概要を示す。装置は、記録媒体である磁気ディスク、回転モータ、アーム先端に取り付けた磁気ヘッド、アーム駆動部、電気系、から構成される。記録密度の増大は、記録幅、最短記録波長の縮小によるが、これは磁気ヘッドでの再生出力低下を招き、このため巨大磁気抵抗効果型(GMR)ヘッドがスピンバルブ構造として提案され現在の主流技術となっている。
【0014】
従来、スピンバルブヘッドは、主に固定層、分離層、自由層の3要素から成る。固定層はFeMn、NiO、CrMnPt、PtMn、PtMnRh等反強磁性体と主にCo、CoFe等の強磁性体を積層したもので、分離層は主にCu等から、自由層はCo、CoFeから、あるいはそれにNiFeを積層して構成される。
【0015】
固定層、分離層、自由層の積層順は、反強磁性膜の種類、スピンバルブヘッドの構造設計等により選択される。PtMnはいずれの構成も実施可能である。スピンバルブヘッドは高感度化のため、MR高さ方向120(図5参照)の寸法縮小が求められており、これに伴う再生信号の歪みを低減するため、固定層は、反強磁性体上に、主にCo/Ru/CoあるいはCoFe/Ru/CoFe等強磁性体の積層構造とし(この積層構造が全体として強磁性体層として機能するものである)、実質的に固定層磁化を減少させる構造である積層フェリ構造とするのが良い。
【0016】
また、再生感度向上のため、自由層はCo又はCoFeを分離層界面に配置し、NiFeを積層させる。さらなる感度向上にはCo、CoFeを単独で用いる場合とこれら強磁性体とRuで積層フェリ構造としても良い。
【0017】
また、固定層を上下2層とし、自由層を中心に置く2重スピンバルブ構造も有効である。
【0018】
しかしながら、これらの技術はスピンバルブ感磁部のMR高さ方向の縮小を前提として高感度化を達成するもので、最近の0.2μm(マイクロメートル)前後の値は機械加工で決まる加工限界に近づきつつある。従来技術では、大幅なMR比向上は期待できず、高感度なGMRヘッドの実現に支障があった。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
反強磁性体と強磁性体とを積層した固定層、前記固定層上の分離層、前記分離層上の強磁性体からなる自由層、を形成するスピンバルブ型再生ヘッドと、電磁誘導型記録ヘッドと、から構成されるGMRヘッドであって、
基板上にNiFeCr層を形成し、前記NiFeCr層上に前記固定層を形成し、前記NiFeCr層の組成が、(Ni1−xFex)1−yCryと表記すると、0<x<1、且つ0.32<y<0.38 である構成とする。
【0020】
また、前記GMRヘッドにおいて、前記固定層の強磁性体は、CoFe/Ru/CoFeであり、前記固定層の反強磁性体は、PtMnである構成とする。
【0021】
また、前記GMRヘッドにおいて、前記固定層の強磁性体は、強磁性体を積層して、実質的にフェリ磁性体又は反強磁性体として機能させる層であり、前記固定層は、非磁性体を介在させて上下に固定層を形成するデュアルスピンバルブ膜である構成とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る高感度のGMRヘッドについて図面を用いて以下説明する。図1、図2及び図3に本発明の基本的な実施形態に係るスピンバルブヘッドの構成例を示す。
【0024】
まず、本発明の特徴的な構成、機能乃至作用について、その概要を説明する。即ち、本発明の構成上の特徴は、反強磁性体及び強磁性体からなる固定層と、自由層と、固定層と自由層間の分離層と、から形成されるスピンバルブ膜の主構成要素の下地膜にNiFeCr単独膜を適用することであり、また、そのNiFeCr単独膜の組成を特定範囲とすることに特有の効果が存することを新たに見出したことにある。
【0025】
第1の構成例として、従来の高感度化の手法を取り入れた構成のスピンバルブ膜であって、更にNiFeCrを下地膜とし、そのCr組成を変化させMR比(磁気抵抗変化率であり、磁場を印加したときの抵抗変化率を抵抗値で除した比率である)を調べた結果を図7に示す。膜構成は図7に示す通りであり、ガラス基板とPtMnとの間にはNiFeCrが介在しているものである。実験にはRFマグネトロンスパッタを用い、組成はNi0.82Fe0.18ターゲット上にCrチップを乗せ、チップ数を変えて変化させた。
【0026】
図7に示すように、組成約30原子%からCr組成を増加させていくと、MR比は増大し、35〜37原子%で最大となる。38原子%を超えると急激にMR比は低下し、それ以上の組成ではMR比は6%程度となり、下地膜をTaとしたものより低下してしまう。従って、この膜構成のスピンバルブは、Cr量32〜38原子%迄がMR比10%以上となり有効である。また、本構成例の固定層CoFeを、1.5nmCoFe/酸化/2.0nmCoFeとしても、2.0nmCoFe単層としても、実験の結果でMR比は変わらず、スピンバルブヘッドとしての動作も同じであった。
【0027】
次に、第2の構成例として、下地膜であるNiFeCrとPtMnとの間にNiFe層を置き、NiFeCrのCr組成を変化させた実験結果を図8に示す。膜構成は図8中に記述した通りである。図8に示すように、Cr組成30原子%から増加すると、前記第1の構成例と同様にMR比は増加していく。
【0028】
高いMR比を示すのは34〜37原子%と広い。また、40原子%を超えてもMR比の低下は緩やかで、50原子%までMR比9%を維持している。MR比10%以上となるのは32〜42原子%である。また、第1構成例と同様、固定層CoFeを、1.5nmCoFe/酸化/2.0nmCoFeとしても、2.0nmCoFe単層としてもMR比は変わらず、スピンバルブヘッドとしての動作も同じであった。
【0029】
次に、第3の構成例として、NiFeCrを下地膜とし、PtMnを上部に、自由層を下部に置いたスピンバルブのNiFeCr中のCr組成を変化させた実験結果を図9に示す。図9に示すように、基板のガラスと自由層のNiFeとの間にNiFeCrの下地膜が介在している。ここで、MR比は図8と同様なCr組成依存を示す。この第3の構成例は前述した図7と図8に示す2つの構造と異なり、酸化処理していないため、MR比8%以上が有効な範囲である。これより有効Cr組成は、32〜42原子%となる。本構成例でもCr量増減によるMR比の急激な減少は見られない。
【0030】
以上のような構成例は、スピンバルブの下地という意味で公知例1,2とは異なり、組成範囲に関しても、公知例1に見られる40原子%中心又は公知例2の40〜53%範囲とは明らかに異なっており、公知例1に示された格子変態による結晶粒粗大化効果とは別の現象が作用していると考えられる。
【0031】
図10に、下地膜である(Ni0.82Fe0.18)65Cr35単層膜5nmの広角X線回折パターンAと面内X線回折パターンBを示す。図10でそれぞれ試料回転角度はθ,Φと表記した(検出器回転角度は2θ,2Φとなる)。膜面に垂直方向の回折結果である広角X線回折パターンA(試料面である下地膜の面垂直方向の配向状況が分かる)より、NiFeCrは膜面垂直に結晶配向していることがわかる。しかし、単一ピークであるため結晶構造は同定できない。
【0032】
そこで、図10の下段に示す、面内X線回折を行い、膜面内の結晶構造を調べた。パターンBより、Aとほぼ同じ位置と、75°付近に回折線があることから、膜は体心立方格子で、膜面垂直に(011)配向していることがわかった。これは公知例1のNiFeCr膜(偏向した体心立方格子ではない構造である)とは構造が異なり、組成範囲による差は明らかである。
【0033】
また、NiFeCrの下に5〜20AのTaを設置するとともに、NiFeCrのCr量の原子%を35〜38にすると(本発明の組成範囲と共通する)、PtMnとCoFeの交換結合が著しく低下し、スピンバルブの評価はできなかった。これにより公知例3とも異なる。
【0034】
「第1の実施形態」
図1に示す本発明の第1の実施形態において、基板80上に下地層10としてNiFeCr膜を3〜6nm形成する。次に真空の下で引き続き、反強磁性体 (PtMn)21を10〜15nm、強磁性体(CoFe)22を2nm形成し、設計に応じてRuを6〜8AとCoFeを2〜3A形成して固定層20とし、更に連続して分離膜30としてCuを2nm、自由層40としてCoFe、NiFe合わせて2〜4nm形成後、保護層50としてCu及びTa合わせて3nm形成する。
【0035】
その後、ハードバイアスプロセスとして知られる手法により、永久磁石層60、電極層70、保護膜90を形成しスピンバルブヘッドとした。下地層として、従来のNiFe/Taに比べて、従来7%程度のMR比が10%へと大きく改善し、再生出力が40%向上した。
【0036】
「第2の実施形態」
前記第1の実施形態において、NiFeCrのCr量を32〜38原子%の組成範囲とすることで図7に示すような従来例を超えた特有な効果を奏した。この際、Ni、Feの比はFeが0〜1の広い範囲で効果は変わらない。
【0037】
「第3の実施形態」
図2に示す本発明の第3の実施形態において、基板80上に下地層10としてNiFeCr膜を2〜5nm形成する(第1の実施形態に比べて次に示す補助層の厚さ分だけ薄くなっている)。引き続いて補助層15としてNiFeを1〜3nm形成する。次に真空の下で引き続き反強磁性体(PtMn)21を10〜15nm、強磁性体(CoFe)22を2nm形成し、設計に応じてRuを6〜8AとCoFeを2〜3A(オングストローム)形成して固定層20とし、更に連続して分離膜30としてCuを2nm、自由層40としてCoFe、NiFeあわせて2〜4nm形成後、保護層50としてCu及びTa合わせて3nm形成する。
【0038】
その後、ハードバイアスプロセスにより、永久磁石層60、電極層70、保護膜90を形成しスピンバルブヘッドとした。下地層として、図6に示すNiFe/Taの7%程度のMR比が10%へと改善し、再生出力が40%向上した。また、第1の実施形態よりNiFeCrが薄くできる効果がある。
【0039】
「第4の実施形態」
前記第3の実施形態において、NiFeCrのCr量を32〜42原子%の組成範囲とすることで図8に示すような従来例を超えた特有な効果を奏した。この際、Ni、Feの比はFeが0〜1の広い範囲で効果は変わらない。ここで、補助層15を採用したことにより、Cr量の組成範囲を32〜38から32〜42原子%に拡大することができた。
【0040】
また、補助層はNiFeの他Co、CoFe、CoNiFe等、面心立方又は最密六方晶系材料でも良い。
【0041】
「第5の実施形態」
図3に示す本発明の第5の実施形態において、基板80上に下地層10として、NiFeCrを3〜7nm形成し真空の下で引き続き、自由層40として、NiFe膜、CoFe膜を合計4nm形成し、続いて分離層30として2nmのCuを、強磁性体22にCoFe2〜3nmと、設計に応じてRuを6〜8AとCoFeを2Aとを形成し、反強磁性体21にPtMnを15nm形成して固定層20とし、保護層50にTaを2nm形成し、ハードバイアスプロセスによりスピンバルブヘッドを形成した。下地膜にTa2nmを用いた場合8%であったMR比がNiFeCrでは10%と20%程度向上する。
【0042】
「第6の実施形態」
図3に示す本発明の第5の実施形態において、NiFeCrのCr量を32〜42原子%の組成範囲とすることで図9に示すような従来例を超えた特有な効果を奏した。この際、Ni、Feの比はFeが0〜1の広い範囲で効果は変わらない。
【0043】
「第7の実施形態」
前記第5の実施形態において、下地層のNiFeCrと、自由層のNiFe及び/又はCoFeと、の間に緩衝層を設けることにより、自由層の磁歪定数を調節することもできる。例えば、NiFeと下地層との間に、緩衝層としてPdを4〜6A(オングストローム)設けると、自由層の磁歪定数を1×10−6〜1×10−7まで低下させることができる。更に、Pdを厚くすると磁歪が負となる。同様の磁歪調節効果は、Pdに代えてPt、Ru、Rh、Ir、Re、Os、Cu、Ag、Au又はそれらの合金でも得られる。
【0044】
以上説明したスピンバルブ膜の構成において、固定層は図1に示すような反強磁性体層と強磁性体層(単層でも多層でも可)の積層体として説明し、前記強磁性体層が図7に示すようにCoFeの強磁性体をRuを挟んで積層して実質的にフェリ磁性体(反強磁性体の一種)として機能する積層フェリ構造となっている。ここで、各CoFeの膜厚を1対1にすると積層フェリ構造は反強磁性体の属性を示し、1対1でなくて膜厚に差を持たせると実質的なフェリ磁性体となるが、いずれの積層フェリ構造でも反強磁性体と相俟って固定層としての機能を奏するものである。
【0045】
また、図1に示す自由層は、強磁性体の単層でも多層でも良いが、多層の場合に、CoFe又はNiFeの強磁性体をRuを介在させて積層し各強磁性体の膜厚に差を持たせて実質的なフェリ磁性体として機能させる積層構造であっても良い。
【0046】
因みに、積層フェリ構造とは、一般的に云えば、積層した2つの強磁性層を中間膜を用いて反強磁性的に結合させて実質的な磁気モーメントを減少させる構成を指称し、強磁性層はCo,CoFe,NiFeやそれらの合金のいずれでも良く、中間膜はRuの外にIr,Rh,Cr,Cuでも良い。スピンバルブ膜に用いる場合、固定層に使用する際にはCoFe/Ru/CoFe/PtMn等の構成で積層フェリ固定層と称し、自由層に使用する際にはCoFe/NiFe/Ru/NiFe等の構成で積層フェリ自由層と称する。
【0047】
また、本発明の実施形態に係るスピンバルブ膜は図1に示すような、反強磁性体、強磁性体、分離層、自由層からなる主構成層について説明したが、これに限らず、反強磁性体、強磁性体、分離層、自由層、Cu層、強磁性体、反強磁性体からなる主構成層を形成するデュアルスピンバルブ膜についても、本発明の実施形態となり得るものである。
【0048】
【発明の効果】
本発明のNiFeCr下地を用いることにより、著しい技術的困難さを伴う薄膜化を追求せず、スピンバルブの高感度化を達成できた。これにより高記録密度のGMRヘッドが実現できた。
【0049】
また、NiFeCrは2重スピンバルブの下地、トンネル型GMRヘッドの下地としてもMR比向上に効果がある。
【0050】
また、NiFeCr下地は、MR膜との重なり部(アバット部等と称する)でハードバイアス膜の保磁力が低下するのを防ぎ、MR膜の磁化方向安定化してバルクハウゼンノイズを減少させる効果がある。
【0051】
また、NiFeCrは媒体材料の下地とすると、Cr等に比べ保磁力を低下させず低ノイズ化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係るスピンバルブヘッドの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第3及び第4の実施形態に係るスピンバルブヘッドの構成例を示す図である。
【図3】本発明の第5〜第7の実施形態に係るスピンバルブヘッドの構成例を示す図である。
【図4】磁気ディスク装置の概要構成を示す図である。
【図5】GMRヘッドにおけるスピンバルブ部の構成図である。
【図6】従来構造のスピンバルブヘッドのMR膜の構成を示す図である。
【図7】第1及び第2の実施形態におけるMR比とCr組成の関係図である。
【図8】第3及び第4の実施形態におけるMR比とCr組成の関係図である。
【図9】第5〜第7の実施形態におけるMR比とCr組成の関係図である。
【図10】NiFeCr膜構造のX線回折分析結果を示す図である。
【符号の説明】
10 下地層
15 補助層
20 スピンバルブ固定層
21 反強磁性膜
22 強磁性膜
30 分離層
40 自由層
50 保護層
60 永久磁石層
70 電極
100 シールド層1
110 再生ヘッドトラック幅
120 MR高さ
130,140 ギャップ膜
150 シールド2
201 ベース
202 スピンドル
203 磁気ディスク
204 磁気ヘッド
205 サスペンション
Claims (3)
- 反強磁性体と強磁性体とを積層した固定層、前記固定層上の分離層、前記分離層上の強磁性体からなる自由層、を形成するスピンバルブ型再生ヘッドと、電磁誘導型記録ヘッドと、から構成されるGMRヘッドであって、
基板上にNiFeCr層を形成し、前記NiFeCr層上に前記固定層を形成し、前記NiFeCr層の組成が、(Ni1−xFex)1−yCryと表記すると、0<x<1、且つ0.32<y<0.38 である
ことを特徴とするGMRヘッド。 - 請求項1に記載のGMRヘッドにおいて、
前記固定層の強磁性体は、CoFe/Ru/CoFeであり、
前記固定層の反強磁性体は、PtMnである
ことを特徴とするGMRヘッド。 - 請求項1または2に記載のGMRヘッドにおいて、
前記固定層の強磁性体は、強磁性体を積層して、実質的にフェリ磁性体又は反強磁性体として機能させる層であり、
前記固定層は、非磁性体を介在させて上下に固定層を形成するデュアルスピンバルブ膜である
ことを特徴とするGMRヘッド。
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