JP3947301B2 - 樹脂製熱交換器及び除湿機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製の熱交換器及び被除湿空気の供給を受けて当該被除湿空気中の水分を吸着させる除湿材と、水分を吸着した除湿材に加熱した再生空気を送風し除湿材から水分を除去して除湿材を再生する送風手段と、除湿材を通過した後の再生空気を冷却し、再生空気中の凝縮成分を凝縮させるための熱交換器を有する除湿機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱交換器は熱伝導性の観点から、金属が使用され、且つ熱交換効率を高めるために多数の金属製フィンを設けたものが多い。また、湿度を除去するための熱交換器においては吸湿剤を設けたハニカム状熱交換器が用いられている。これら熱交換器は作製が困難であって、金属製のものでは錆びが発生したり、重量が重いという欠点があり、ハニカム状の熱交換器は熱交換用流体の漏れを無くすことが困難であるなどの欠点があった。特にハニカム状の熱交換器は熱交換効率の観点から円筒状など体積が大きくなり小型化できないと言う欠点があった。特に、回転式除湿材を備えた除湿機において、その再生用空気から水分を除去するための凝縮器として用いる熱交換器は小型、軽量化が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は作製が簡単で形状が小さく、金属製に比して重量も軽い樹脂製熱交換器を提供するものである。また、本発明は、除湿材を備え、作成が簡単で形状が小さく、金属製に比して重量も軽い、除湿後の除湿材を再生する再生空気を冷却するための樹脂からなる通路を有する熱交換器を備えた除湿機を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂製熱交換器は上記課題を解決するために、凝縮成分を含む気体と他方の熱交換流体を熱交換させ、前記気体中に含まれる成分を凝縮させ、その凝縮液体を集めて流出する熱交換器において、前記気体を当該熱交換器へ導入する導入開口部を有する樹脂からなる導入側連通路と前記気体を当該熱交換器から導出する導出開口部を有する樹脂からなる導出側連通路と、空間部を介して設けられ、前記導入側連通路と前記導出側連通路とを連通する樹脂からなる前記気体を通過させる複数の中空状の熱交換用流体通路と、且つ下部に凝縮液体流出部とを備え、前記他方の熱交換流体が、前記複数の中空状の熱交換用流体通路の間に形成される前記熱交換器外部の空間部を通過するようにしたものである。また、樹脂製熱交換器はブロー成型で形成されているものである。また、導入開口部と導出開口部は同じ面側に設けられているものである。
【0005】
また、本発明の除湿機は、被除湿空気の供給を受けて当該被除湿空気中の水分を吸着させる除湿材と、水分を吸着した除湿材に加熱した再生空気を送風し除湿材から水分を除去して除湿材を再生する送風手段と、除湿材を通過した後の再生空気を冷却し、再生空気中の凝縮成分を凝縮させるための熱交換器を有する除湿機において、前記再生空気は前記熱交換器を介在させた再生空気経路内を循環し、前記熱交換器は前記再生空気を通過させる互いに連通する樹脂からなる複数の中空状の通路を有し、前記熱交換器に設けられ、当該熱交換器に前記除湿材を通過した再生空気を導入する再生空気導入開口部および当該熱交換器に導入された再生空気を導出する再生空気導出開口部が前記再生空気経路内に接続され、前記熱交換器内部で凝縮された凝縮水を下部に設けられた排出部から排出するように構成したものである。
【0006】
また、本発明の除湿機は、前記熱交換器の再生空気が流れる前記中空状の通路の間に形成される前記熱交換器外部の空間を、被除湿空気が通過するように構成したものである。また、本発明の除湿機は、前記導入開口部と前記導出開口部は同じ面側に設けられているものである。
【0007】
また、本発明の除湿機の前記熱交換器は、複数の熱交換器を重ねて結合したものである。
【0008】
また、本発明の除湿機の前記熱交換器の中空状通路は、略上下方向の通路と略水平方向の通路とからなり、前記略上下方向の通路の中段に、複数の前記略上下方向の通路を接続する前記略水平方向の通路が設けられているものである。
【0009】
また、本発明の除湿機の前記熱交換器は、前記熱交換器において、前記複数結合された各熱交換器の前記略上下方向の通路をそれぞれ一方向にずらし、前記上下方向の通路のそれぞれに被除湿空気が接するように配置したものである。
このことにより、複合凝縮器を正面より見たとき、個々の凝縮器の被凝縮流体を通過させる通路(又は管とも言う)、及び各通路の間の凝縮器と熱交換させる流体を通過させるための空間部をそれぞれ平行にずらした位置に配置されるため、1つの熱交換器(凝縮器として用いる)の空間部を通過した、凝縮器と熱交換させる流体が次の凝縮器とは被凝縮流体を通過させる管に遭遇する確率を高めることができる。
【0010】
また、本発明の除湿機の前記熱交換器は、前記熱交換器は、前記略水平方向の通路の断面積が、前記略上下方向の通路の断面積より大きいものである。
【0011】
本発明によれば、樹脂製であるから製作が容易で軽量であり、熱交換器の内部を通過する流体が湿った暖かい流体であっても、普通の金属のように、錆びることもなく、また耐腐食性も優れている。また後述のように、抗菌剤を添加することも、樹脂成型品であれば容易にできる。
【0012】
また、略上下方向の被凝縮流体通路が冷却され、内部の被凝縮流体が結露し通路の内壁に付着するが、略上下方向であるため、結露した液体がスムーズに下方に落下していく。また、略水平方向の被凝縮流体通路は被凝縮流体を略上下方向の被凝縮流体通路に平行して分割するための分配管の役目であるから、それほど本数は必要ではない。
【0013】
また、上記のように略水平方向の被凝縮流体通路は被凝縮流体を略上下方向の被凝縮流体通路に平行して分割するための分配管の役目であるから、その断面積はやや大きい方が被凝縮流体が通過しやすく、略上下方向の被凝縮流体通路は被凝縮流体を冷却し凝縮させるためには、その断面積が小さい方が熱交換がし易く有利である。
【0014】
また、被凝縮流体は熱交換して冷却され結露し、その結露液体は下方に落下する。上部から被凝縮流体を取り入れ、下部の被凝縮流体の排出部に向け被凝縮流体を再生ファンにて送風し移動させることは、この結露液体の落下方向と一致し、凝縮効率の向上に貢献する。また下部には、凝縮液排出部を設け、結露液体を排出し易くしている。
【0015】
また、ブロー成型によって成型されるものであるから、複雑で、漏れのない被凝縮流体通路の作成が容易であり、かつ、必要に応じて、後加工にて、穴開け加工もできる。また、ブロー成型は射出成型等の場合に比べると金型代が非常に安価である。
【0016】
また、透明もしくは半透明の樹脂成型品であるため、凝縮器の内部で被凝縮流体が冷却されて凝縮し、結露していく様子が凝縮器外部より視認できる。
【0017】
また、抗菌剤を添加した樹脂成型品であるから、凝縮器の内部を通過する凝縮流体を閉回路で繰り返し長期間使用する場合であっても、細菌の繁殖を防止することができる。
【0018】
また、複合凝縮器を正面より見たとき、個々の凝縮器の被凝縮流体導入部、被凝縮流体導出部が重なった同位置に、接続されているから、複数個の凝縮器の被凝縮流体導入部、被凝縮流体導出部がそれぞれ最短距離で結合される。このため、被凝縮流体を導入部で個々の凝縮器にすばやく分配し、導出部で個々の凝縮器よりの被凝縮流体をすばやく集結させ得る。
【0019】
また、複合凝縮器を正面より見たとき、個々の凝縮器の被凝縮流体通路、及び各通路の間の空間部をそれぞれ左右、上下に、平行にずらした位置に配置し、1つの凝縮器の空間部を通過した、凝縮器と熱交換させる流体が次の凝縮器では被凝縮流体通路に遭遇し、凝縮効率を高め得る。
【0020】
また、個々の凝縮器の被凝縮流体導入部及び被凝縮流体導出部にそれぞれパッキンを咬ませて接続し、複数個の弾性体で個々の凝縮器を複数個重ねて結合させているから、個々の凝縮器の組み立て及び分解が容易である。また、個々の凝縮器の凝縮液排出部を1つの排出管で結合しているから、複数個の凝縮器の各排出部が固定され、動きが規制される。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係る樹脂製熱交換器を凝縮器として用いた場合を実施の形態として、以下説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態に係る樹脂製の複合凝縮器の概略斜視図である。図2は正面図である。図3は図2のAA断面図である。図4は図2のBB断面図である。以下図1〜図4を参照しながら、凝縮器の構造を説明する。
【0023】
図1において、1、2は夫れ夫れ凝縮器であって、半透明のポリプロピレン樹脂を用いた中空状のブロー成型品であり、抗菌樹脂を使用している。以下凝縮器1について説明するが、特に記載がなければ凝縮器2についても同形状である。
【0024】
凝縮器1は、縦横30cm、厚み2.5cmの正方形状をなし、被凝縮流体通路である略水平方向の被凝縮流体通過管として、内部には上部を略水平に接続する上部水平管14、下部を略水平に接続する下部水平管15、上部と下部の間で略水平に接続する2本の水平管16、16と、これら略水平方向の被凝縮流体通過管の間を略上下に連通させる多数本の略上下方向の被凝縮流体通過管17とが形成されている。
【0025】
略上下方向の被凝縮流体通過管17の断面形状は凝縮器1と直交する熱交換流体の進行を妨げないように、奥行き厚さに対し横幅を小さくした略楕円形状(例えば長径2.5cm、短径0.8cm)であり、隣接する被凝縮流体通過管17との間には凝縮器1と熱交換させる流体を通過させるための空間部18が設けられている。また、水平管16の断面形状は略円形状(2.5cm直径)で、その断面積は上下方向の被凝縮流体通過管17の断面積より大きい。なお、肉厚は、何れも1mm〜2mm程度としている。
【0026】
上部水平管14の一端には、凝縮器前面に開口した穴である被凝縮流体導入部11が形成され、下部水平管15の一端であって上記被凝縮流体導入部11と反対側に、凝縮器前面に開口した穴である被凝縮流体導出部12が設けられている。この穴11、12は取り入れた被凝縮流体を多数の略上下方向の被凝縮流体通過管17に分配したり、多数の略上下方向の被凝縮流体通過管17からの流体を集結させるため、その断面積は大きくとってある。
【0027】
13は凝縮液排出部であって、図2に明示したように、その開口部は凝縮器1の内容物が導かれる最下位置に設置され、下部水平管15の底部は凝縮液排出部13に向かって傾斜している。凝縮器1と熱交換させる流体を通過させるための空間部18、固定用のネジ穴19はブロー加工後トムソン型で抜き、被凝縮流体導入部11、被凝縮流体導出部12、凝縮液排出部13の開口部は機械加工で穴を開けている。
【0028】
上記凝縮器1、2はブロー成型によって成型されるものであるから、複雑で、漏れのない被凝縮流体通過管部の作成が容易であり、かつ、必要に応じて、後加工にて、穴開け加工もできる。また、ブロー成型は射出成型等の場合に比べると金型代が非常に安価である。また、樹脂製であるから軽量である。
【0029】
また、凝縮器1、2は半透明の樹脂であるから、凝縮器1、2の内部で被凝縮流体が冷却されて結露している様子が外部から目視で確認できる。回転式除湿材を利用した除湿機において、吸湿した回転式除湿材に加熱された熱風を吹きかけ、水分を奪って湿った空気を凝縮器にて冷却して結露させる場合は、結露水発生状況から除湿の状況が目視でき、また異常時の故障診断にも利用できる。
【0030】
図3に示すように、凝縮器1、2にはそれぞれ同じ位置に、被凝縮流体導入部11、21、被凝縮流体導出部12、22、凝縮液排出部13、23の開口部が備えられている。ただ、凝縮器1の被凝縮流体導入部11、被凝縮流体導出部
12が凝縮器2の被凝縮流体導入部21、被凝縮流体導出部22との接続のため、表面、裏面共に開口部となっているのに対し、凝縮器2の被凝縮流体導入部21、被凝縮流体導出部22は表面のみ開口部となっており、裏面は開口部ではない。開口部は後加工により形成できる。
【0031】
凝縮器1と凝縮器2とを重ねて複合凝縮器とするには、それぞれの被凝縮流体導入部11と21、被凝縮流体導出部12と22をパッキン3を介して接続し、図1、図2に示すように弾性を有するコの字状の金属バネ板材4を使って2箇所で固定し結合する。このように複合凝縮器は複数個の凝縮器を重ねて結合させているから、個々の凝縮器の組み立て及び分解が容易である。
【0032】
凝縮器1と凝縮器2との間隔は、被凝縮流体導入部11と21、被凝縮流体導出部12と22とでその間隔は決まってくるが、図2で説明すると右上、左下でも所定間隔を確保するために、凝縮器1と凝縮器2とから、互いに対面する位置に、不図示の突起をそれぞれ設けている。つまり4箇所の略コーナー部にて、凝縮器1と凝縮器2とは所定間隔を確保されている。
【0033】
凝縮器1、2の凝縮液排出部13、23の開口部は円筒状になっていて、1本のゴム管からなる排出管5が挿嵌されている。1本の排出管5に挿嵌されているため、凝縮器1、2の凝縮液排出部13、23の動きが規制される。
【0034】
凝縮器1と凝縮器2はほぼ同形状であるため、同じ金型を使用してもよいが、穴開け等、多少の後加工がさらに必要になってくる。ただ、同じ金型で同じ形状であれば、次に示す他の実施の形態のような使い方はできない。このときは、凝縮器1と凝縮器2をずらして取り付け、複合の凝縮器とするなどの対応が必要になってくる。そのずらした組み立て方に応じて、被凝縮流体導入部11、12、被凝縮流体導出部12、22の位置を考慮する必要がある。
【0035】
複合凝縮器を正面より見たとき、凝縮器1と凝縮器2の略上下方向の被凝縮流体通過管17、及び各通過管17の間の空間部18をそれぞれ左右方向に平行にずらした位置に配置しておくと、凝縮器1の空間部18を通過した、凝縮器1と直交し、冷却する熱交換流体が次の凝縮器2では被凝縮流体通過管17に遭遇し、凝縮効率を高め得る。図4に相当する図6にその様子を図示している。
【0036】
同様に、2本の水平管16についても、凝縮器1と凝縮器2とでその上下位置をずらすことで、凝縮器1の空間部18を通過した熱交換流体が、凝縮器2の水平管16に遭遇し、熱交換効率を高め得る。
【0037】
本発明に係る樹脂製熱交換器が凝縮器として使用される回転式除湿材を備えた除湿機の構成についてまず説明する。
【0038】
図5は除湿機の全体構成説明図である。除湿ローター31は平面シートに片波成形体を巻回したハニカムローターの表面や内部にゼオライト(吸湿剤)を担持させたもので、ゼオライトには潮解現象がなく、結晶質で安定した細孔構造を持ち、水分吸着に対して劣化が少なく、長期間安定した吸湿作用を有する。
【0039】
被除湿空気32は除湿ファン45に吸引され、フィルター33で粗いゴミを取り去り、凝縮器34を通過し、後述のように、暖かく湿った凝縮器内部の再生空気を冷却し、再生空気中の水分を結露させる。凝縮器34を通過した被除湿空気32は除湿ローター31を通過し、吸湿剤に吸湿させ、乾燥空気36となり、熱回収熱交換器35にて熱回収後、室内に放出される。
【0040】
吸湿した除湿ローター31の吸湿剤を再生させるため、電気ヒーターである再生ヒーター37にて再生空気を200°C〜250°Cに加熱した後、除湿ローター31に再生ファン38により送風する。加熱された再生空気は除湿ローター31の吸湿剤から水分を受け取り、暖かく湿った空気となり、上記樹脂製凝縮器34にて冷却され、水分を結露させて排出する。結露水39は排出部13を介して水受タンク40に導かれる。水受タンク40には水位を検知するフロートスイッチを備え、所定の水位を検知すると、備えられている揚水ポンプ41を運転し、揚水チューブ58を経て貯水タンク42に結露水39を蓄える。
【0041】
除湿ローター31は図示しない駆動モーターで回転されており、被除湿空気32が通過する除湿部と加熱された熱風が通過する再生部は少しづつ回転移動しており、吸湿してもまた再生され、連続的に使用可能である。
【0042】
除湿ローター31に加熱された熱風が通過し少しづつ回転移動するため、除湿ローター31は暖められている。ここに被除湿空気32が通過するため、通過後の暖められた乾燥空気36で、熱回収熱交換器35に熱を回収する。熱回収熱交換器35の内部には凝縮器34で結露水39を排出した後の再生空気が通過し、暖められた分だけ、再生ヒーター37の電力を節約できる。再生空気は上記のように、閉回路になって、繰り返し使用されている。
【0043】
凝縮器としては金属製が熱伝導等の関係で通常使用されるが、圧縮機を使用する冷凍サイクル方式の除湿機と異なり、回転式除湿材(除湿ローター)を備えた除湿機では、軽量、騒音/振動が少ないという特徴を生かし、机上設置型、壁掛け型等への展開が容易である。そこで樹脂製の熱交換器34が使用される。これにより通常の金属製凝縮器では、問題となるコスト、重量等が改善される。また暖かく湿った空気が繰り返し使用される凝縮器の錆び、腐食、細菌の繁殖なども改善される。
【0044】
更に、樹脂製の熱交換器34であるから、閉回路が容易にできるばかりでなく、再生用空気の漏れを無くすことができる。また、薄型形状であるので、除湿機全体が小型化する。
【0045】
次に、この熱交換器34すなわち複合凝縮器内部での被凝縮流体の流れについて説明する。回転式除湿材31を利用した除湿機において、吸湿した回転式除湿材31に加熱された熱風を吹きかけ、水分を奪って湿った再生空気を凝縮器34にて冷却して結露させる実施の形態においては、被凝縮流体導入部11より凝縮器34を構成する凝縮器1に取り込まれた被凝縮流体は、重ねて接続されている凝縮器2の被凝縮流体導入部21にも、ほとんど同時に流入し、断面積の大きい上部水平管14を経て、多数本の略上下方向の被凝縮流体通過管17に分配される。
【0046】
凝縮器1、2の被凝縮流体導入部11、21、被凝縮流体導出部12、22がそれぞれ最短距離で結合されているため、被凝縮流体を導入部で凝縮器1、2にすばやく分配し、排出部で凝縮器1、2よりの被凝縮流体をすばやく集結させ得る。
【0047】
被凝縮流体通過管17は除湿ファン45の送風で、熱交換流体である被除湿空気32により冷却され、通過管17内部の被凝縮流体である湿った高温の再生空気は結露し、結露水39を発生する。結露水39は通過管17の内壁を伝わって、下方に落下し、下部水平管15の底部を通って凝縮液排出部13の開口部より、ゴム管からなる排出管5に集められる。
【0048】
上部から被凝縮流体を取り入れ、下部の被凝縮流体の排出部に向け被凝縮流体を再生ファン38にて送風し移動させることは、この結露液体の落下方向と一致し、凝縮効率の向上に貢献する。
【0049】
各被凝縮流体通過管17を通過する被凝縮流体の量のバラツキや、結露流体の量により、2本の水平管16で流体通過量が適宜調整される。そして断面積の大きい下部水平管15に到着した被凝縮流体は凝縮器2からの分をも併せて被凝縮流体導出部12を経て複合凝縮器を出て行く。
【0050】
略水平方向の被凝縮流体通過管は被凝縮流体を略上下方向の被凝縮流体通過管17に平行して分割するための分配管の役目であるから、それほど本数は必要ではなく、その断面積はやや大きい方が被凝縮流体が通過しやすく、略上下方向の被凝縮流体通過管17は被凝縮流体を冷却し凝縮させるためには、その断面積が小さい方が熱交換流体との熱交換効率が向上し有利であり、多くの本数が必要である。
【0051】
次に抗菌剤を添加した点について説明する。凝縮器1内部にかびが発生しても、閉回路内のことであり、直接人体の健康に影響しないとしても、凝縮器1内部の被凝縮流体通過管17の通路を妨害し、熱交換効率には悪影響を及ぼす。また、凝縮器1の外部を通過する熱交換流体は、例えば除湿機に応用された場合は、被除湿空気であり、凝縮器1の外部にかびが発生すれば、直接人体に影響を及ぼす。
【0052】
まず凝縮器1に防かび剤を塗布することも考えられる。しかし、凝縮器1内部の細い被凝縮流体通過管17等の内部に必要量を効率良く塗布することは難しく、また、せっかく塗布しても、凝縮器1内部の結露水39と共に流れ落ち、長期間使用する内に効果がなくなってくる。特にポリプロピレン樹脂は結晶性樹脂であるために防かび剤の付着力が弱い。
【0053】
そこで、ポリプロピレン樹脂に、この樹脂の形成温度より熱分解温度の高いジフェニルエーテル類、N−ハロアルキルチオ類、ベンズイミダゾル類、有機砒素類、アルミナシリカ含水金属塩類の抗菌剤のうちのいずれか1種類又は2種類以上をポリプロピレン樹脂材中に0.6〜2.0wt%添加して成形することにより、半永久的に抗菌効果を発揮させることができる。詳細は特公平8−14383号や実公昭46−22309号等の特許公報に記載されている。なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0054】
【発明の効果】
本発明に係る樹脂製熱交換器は、これまでの熱交換器に比して小型化や薄型化更には軽量化ができる。また、熱交換器を所定形状にすることが簡単であり、特にブロー成型によればより簡単に作製できる。勿論、錆びることもなく、また耐腐食性も優れており、抗菌剤を添加することもできる。
【0055】
また、熱交換器内部の流体は漏れることがなく、その取り付けが容易となる。特に、回転式除湿材を備えた除湿機において閉回路内で再生用空気を循環させる場合、その熱交換器として好適となる。
【0056】
また、被凝縮流体通路が略上下方向であるため、結露した液体がスムーズに下方に落下していく。また、略水平方向の被凝縮流体通路は被凝縮流体を略上下方向の被凝縮流体通路に平行して分割するための分配管の役目であるから、それほど本数は必要ではなく、その断面積はやや大きい方が被凝縮流体が通過しやすく、略上下方向の被凝縮流体通路は被凝縮流体を冷却し凝縮させるためには、その断面積が小さい方が熱交換がし易く有利である。
【0057】
また、被凝縮流体の結露液体は下方に落下する。上部から被凝縮流体を取り入れ、下部の被凝縮流体の排出部に向け被凝縮流体を再生ファンにて送風し移動させることは、この結露液体の落下方向と一致し、凝縮効率の向上に貢献し、下部には、凝縮液排出部を設け、結露液体を排出し易くしている。
【0058】
また、ブロー成型によって成型されるものであるから、複雑で、漏れのない被凝縮流体通過管部の作成が容易であり、かつ、必要に応じて、後加工にて、穴開け加工もできる。また、ブロー成型は射出成型等の場合に比べると金型代が非常に安価である。
【0059】
また、透明もしくは半透明の樹脂成型品であるため、凝縮器の内部で被凝縮流体が冷却されて凝縮し、結露していく様子が凝縮器外部より視認できる。
【0060】
また、抗菌剤を添加した樹脂成型品であるから、凝縮器の内部を通過する凝縮流体を閉回路で繰り返し長期間使用する場合であっても、細菌の繁殖を防止することができる。
【0061】
また、複合凝縮器を正面より見たとき、個々の凝縮器の被凝縮流体導入部
、被凝縮流体導出部が重なった同位置に、直列に接続されているから、複数個の凝縮器の被凝縮流体導入部、被凝縮流体導出部がそれぞれ最短距離で個々の凝縮器を結合し、被凝縮流体を導入部で個々の凝縮器にすばやく分配し、排出部で個々の凝縮器よりの被凝縮流体をすばやく集結させ得る。
【0062】
また、複合凝縮器を正面より見たとき、個々の凝縮器の被凝縮流体通過管、及び各通過管の間の空間部をそれぞれ左右や上下に、平行にずらした位置に配置させ、1つの凝縮器の空間部を通過した、凝縮器と熱交換させる流体が次の凝縮器では被凝縮流体通過管に遭遇し、凝縮効率を高め得る。
【0063】
また、個々の凝縮器の被凝縮流体導入部及び被凝縮流体導出部にそれぞれパッキンを咬ませて接続し、複数個の弾性体で個々の凝縮器を複数個重ねて結合させているから、個々の凝縮器の組み立て及び分解が容易である。また、個々の凝縮器の凝縮液排出部を1つの排出管で結合しているから、複数個の凝縮器の各排出部が固定され、動きが規制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態に係る樹脂製の熱交換器の概略斜視図である。
【図2】本発明実施の形態に係る樹脂製の熱交換器の正面図である。
【図3】本発明実施の形態に係る図2のAA断面図である。
【図4】本発明実施の形態に係る図2のBB断面図である。
【図5】本発明に係る樹脂製の熱交換器が使用される回転式除湿材を備えた除湿機の全体構成説明図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る図2のBB断面図である。
【符号の説明】
1、2 個々の凝縮器(組み合わせたものが複合凝縮器)
3 パッキン
4 金属バネ板材(弾性体)
11、21 被凝縮流体導入部
12、22 被凝縮流体導出部
13、23 凝縮液排出部
14 上部水平管(略水平方向の被凝縮流体通過管)
15 下部水平管(略水平方向の被凝縮流体通過管)
16 水平管(略水平方向の被凝縮流体通過管)
17 略上下方向の被凝縮流体通過管
18 (熱交換流体通過用)空間部
19 (固定用)ネジ穴
Claims (10)
- 凝縮成分を含む気体と他方の熱交換流体を熱交換させ、前記気体中に含まれる成分を凝縮させ、その凝縮液体を集めて流出する熱交換器において、
当該熱交換器は、
前記気体を当該熱交換器へ導入する導入開口部を有する樹脂からなる導入側連通路と
前記気体を当該熱交換器から導出する導出開口部を有する樹脂からなる導出側連通路と、
空間部を介して設けられ、前記導入側連通路と前記導出側連通路とを連通する樹脂からなる前記気体を通過させる複数の中空状の熱交換用流体通路と、
且つ下部に凝縮液体流出部とを備え、
前記他方の熱交換流体が、前記複数の中空状の熱交換用流体通路の間に形成される前記熱交換器外部の空間部を通過するようにしたことを特徴とする樹脂製熱交換器。 - 前記熱交換器は、ブロー成型で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂性熱交換器
- 前記導入開口部と前記導出開口部は同じ面側に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂製熱交換器。
- 被除湿空気の供給を受けて当該被除湿空気中の水分を吸着させる除湿材と、水分を吸着した除湿材に加熱した再生空気を送風し除湿材から水分を除去して除湿材を再生する送風手段と、除湿材を通過した後の再生空気を冷却し、再生空気中の凝縮成分を凝縮させるための熱交換器を有する除湿機において、
前記再生空気は前記熱交換器を介在させた再生空気経路内を循環し、
前記熱交換器は前記再生空気を通過させる互いに連通する樹脂からなる複数の中空状の通路を有し、
前記熱交換器に設けられ、当該熱交換器に前記除湿材を通過した再生空気を導入する再生空気導入開口部および当該熱交換器に導入された再生空気を導出する再生空気導出開口部が前記再生空気経路内に接続され、
前記熱交換器内部で凝縮された凝縮水を下部に設けられた排出部から排出することを特徴とする除湿機。 - 前記熱交換器の再生空気が流れる前記中空状の通路の間に形成される前記熱交換器外部の空間を、被除湿空気が通過することを特徴とする請求項4に記載した除湿機。
- 前記導入開口部と前記導出開口部は同じ面側に設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の除湿機。
- 前記熱交換器は、複数の熱交換器を重ねて結合したものであることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の除湿機。
- 前記熱交換器の中空状通路は、略上下方向の通路と略水平方向の通路とからなり、前記略上下方向の通路の中段に、複数の前記略上下方向の通路を接続する前記略水平方向の通路が設けられていることを特徴とする請求項4〜7の何れかに記載の除湿機。
- 前記熱交換器において、前記複数結合された各熱交換器の前記略上下方向の通路をそれぞれ一方向にずらし、前記上下方向の通路のそれぞれに被除湿空気が接するように配置したことを特徴とする請求項7に記載の除湿機。
- 前記熱交換器は、前記略水平方向の通路の断面積が、前記略上下方向の通路の断面積より大きいことを特徴とする請求項8に記載の除湿機。
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