JP3947224B2 - エマルションインキ - Google Patents

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Description

発明の属する技術分野
本発明は、消費量の水準が温度によって実質的に一定であるエマルションインキに関する。該インキは、デジタル及びステンシルデュプリケーターに特に有用であるが、例えば、凸版印刷やシルクスクリーン印刷などの他の印刷用途にも使用することができる。
発明の背景技術
デジタルデュプリケーター及びステンシルデュプリケーターに使用されるインキは、非エマルションインキの使用も知られているけれども、一般に、油中水型エマルションに基づくものである。米国特許第5,378,739号に、従来の油中水型エマルションインキの例が開示されている。
特開平6−128516号公報には、ステンシル印刷法に使用される油中水型エマルションインキが開示されており、それは、裏移り特性が改良されているものである。該インキは、油相中に熱硬化性または熱溶融性成分を、また、水相中及び/または油相に、全インキ量に対して1〜20重量%(%w/w)のシリコーンオイルを含有している。実施例に示されているインキでは、油相中のシリコーンオイルの量は、せいぜい21.6重量%までである。
このようなインキの問題点は、その消費量の水準が温度に依存しており、それ故に、操作環境の温度により印刷品質が変動することである。インキ消費量、したがってインキ温度に関連する印刷品質の側面は、印刷濃度、裏移り及び固体領域埋設(solid area infill)を含む。
EP−A−0661356は、改良された温度依存性を有するとされる油中水型エマルションインキを開示している。該インキは、水相中に水不溶性の着色剤を含有しており、それによって、油相中の樹脂分散剤の必要を避けている。これは、ある程度の温度非依存性を達成しているものの、通常の操作範囲の下端領域でのみかなりの効果があるものの、全領域においてではない。
発明の概要
本発明によれば、水相と油相とからなる油中水型エマルション及び着色剤を含有するインキにおいて、油相が連続相であって、かつ、少なくとも25重量%のシリコーンオイルと、該連続油相に可溶性の乳化剤を含有することを特徴とするインキが提供される。
シリコーンオイルが十分な濃度で存在しているならば、デジタルまたはステンシルデュプリケーターでのインキ消費量は、少なくとも約10〜35℃の通常の操作範囲では、温度に大きく依存しない。
発明の説明
本発明で使用するシリコーンオイルは、適当な乳化剤が存在しないとエマルションを形成することができない。適当な乳化剤であればいずれでも使用することができるが、シリコーン系乳化剤が、シリコーンオイルとの良好な混和性と良好なエマルション安定性がこの型の乳化剤によって得られるため、好ましい。
その最も単純な形態において、油相は、乳化剤とシリコーンオイルとのみからなる。この場合、乳化剤は、シリコーンオイルに可溶性である。シリコーンオイルに可溶性の乳化剤の具体例は、米国特許第5,132,047号に開示されており、末端シリコン原子のひとつに付いたポリエーテル基またはその他の置換基により修飾されたアルキルシロキサンポリマー類を含むものである。
印刷適用に応じてインキ特性を変更し、あるいは、シリコーンオイルと乳化剤との混和性を増大させるために、油相中に第三成分を含ませることが望ましい。この場合、実質的に連続的な油相を形成するように、シリコーンオイルは、第三成分に可溶性であることが必要である。乳化剤もまた第三成分に可溶性である。
完全に若しくは油相中でのこれらの成分の割合の結果シリコーンオイルと非混和性であり、かつ、前述の第三成分と共に使用するのが望ましい乳化剤の具体例は、一般式
Figure 0003947224
(式中、Rは、炭素数10以上のアルキル基、例えば、ラウリルまたはセチルであり、R′は、ポリエーテルである。X及びYは、広く変化し得るが、好ましい範囲の例は、X=1〜100で、Y=1〜40である。)
のポリエーテル側鎖を持つアルキルシロキサンポリマーを含む。
シリコーンオイルと乳化剤との間の混和性を高めるのに使用される成分の具体例は、炭化水素油または溶剤、及び一般式
Figure 0003947224
(式中、n=3、4または5)
を有するシクロメチコン類(cyclomethicones)を含む。
使用する炭化水素油または溶剤は、揮発性であっても、あるいは非揮発性であってもよいが、シクロメチコン類は、すべて揮発性の傾向を有する。揮発性の第三成分の使用は、その揮発性が水に匹敵し、印刷機で使用中に蒸発するが、エマルションの水/油バランスを維持させることができるものであれば好ましい。しかしながら、幾つかの揮発性成分の使用に伴う不利益は、大気中への損失が油相の分離を引き起こし、エマルション構造の崩壊をもたらすのに十分であり得ることである。
シリコーンオイルを含有させることによりもたらされる利点は、乳化剤の割合が一定であると仮定すると、油相中の第三成分の割合が増加するに従って減少すると考えられる。したがって、第三成分の割合を最小にするのが望ましく、乳化剤の可溶性を達成するのに十分なちょうどの量を加えるのが好ましい。
インキ組成物で使用する乳化剤の量は、安定な油中水型エマルションを達成するのに十分な量でのみ必要である。典型的には、それは、全インキ組成物量に対して、少なくとも1または2重量%の量で存在するが、エマルションの安定性が不利に影響されない場合には、より低い量で使用することができる。非常に高い乳化剤の濃度は、インキ組成物中でのシリコーンオイルの量を必然的に減少させるため、避けることが好ましい。油中水型エマルションの形成を促進するために、少なくとも1つの共乳化剤をインキ組成物に含有させることもできる。好適な一例は、トリグリセリル−4−イソステアレートである。
本発明のインキ中の油相の濃度は、10〜80重量%の範囲で変化させることができるか、使用する乳化剤によっては、この範囲外の濃度も使用することができる。しかしながら、油相の濃度は、典型的には15〜50重量%の範囲であり、好ましくは20〜30重量%、より好ましくは20〜25重量%である。
上述したように、油相がシリコーンオイル及び炭化水素油/シクロメチコンの両方を含むときは、好ましくは、シリコーンオイルの量は、最大限とされる。シリコーンオイルの量は、油相の少なくとも約25重量%とすべきであり、好ましくは少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約40重量%、最も好ましくは少なくとも約50重量%である。しかしながら、これら2つの成分の割合をこれらの範囲外に変更し、それでもなお、典型的な操作範囲の10〜35℃において、実質的に一定であるインキ消費量を達成できるだけの許容度のあることは明らかである。実質的に一定とは、以下の実施例に記載のタイプのデジタルデュプリケーターで試験したとき、この温度範囲の両端(すなわち、10℃及び35℃)と常温(約21℃)との間でのインキ消費量の変動が、典型的には約20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下であることを意味する。しかしながら、インキが使用される印刷適用に応じて、これらよりも高い消費量の変動が許容され得る。
本発明のインキにおいて用いられる好適なシリコーンオイルは、例えばダウコーニング社から商業的に入手できるような種々の分子量のポリ(ジアルキルシロキサン)、好ましくはポリ(ジメチルシロキサン)、及びポリ(フェニルメチルシロキサン)などのポリ(アリールアルキルシロキサン)を含む。最も好ましいシリコーンオイルは、ポリ(ジメチルシロキサン)オイルである。
本発明のインキの着色は、顔料または染料などの着色剤によって提供される。着色剤は、所望により、適当な分散剤の選択などの慣用技術によって、インキの油相中または水相中に含ませることができる。黒色インキには、通常、カーボンブラックが着色剤として使用され、その他のカラーインキには、例えば、フタロシアニンブルーなどの汎用の有機顔料が使用される。使用する着色剤の量は、そのタイプ及び分散される相に依存し、全インキ組成物量に対して、30重量%までであり得るが、多くの場合、これ以下であり、例えば、10重量%までであり、例えば、3〜7重量%のカーボンブラックである。
本発明のインキの組成は、例えば、油相の量と粘度及び水の量に関連して、印刷適用に従って、また、若干のケースでは、使用する特定のデュプリケーターまたは他の装置に従って、変化させることが必要となる。
本発明のインキ組成物は、付加的な汎用のインキ成分、例えば、樹脂(水及び/または油に可溶性)、安定剤、伸展剤、ワックス、凍結防止剤、顔料分散剤、防黴剤、及びエマルションインキを変性して有益な作用をもたらすことが知られているその他の成分を含有することができる。
本発明は、ここに、下記の実施例及び添付図面によって具体的に説明される。
実施例1
下記に概説する方法を用いて、表1に示す組成の3種類のインキを作成した。
Figure 0003947224
方法
油相の調製
テゴプレン(Tegopren)7008(1部)、アイソラン(Isolan)GI 34(1.4部)、及びヘキシルラウレート(1部)を混合して乳化剤ブレンドを作成し、濁りのない均一な液体を得た。
次いで、1リットルの容器に、乳化剤ブレンド(27.3g)、パラセット(Paraset)26H(18.2g)、及び5センチストークス(cSt)のDC 200流体(54.5g)を連続して加えて、油相を調製した。これらを、パドル翼を備えた攪拌機を用いて、穏やかな速度で2分間攪拌した。
水相の調製
塩化リチウム(3.7g)、水性カーボン分散液(61.3g)、エチレングリコール(30g)、及び水(204.9g)からなる成分を第二の容器に連続して加え、5分間攪拌した。
エマルションインキの調製
油相を穏やかな速度で攪拌し、水相の2.0mlを攪拌しながら滴下して加え、1分間攪拌を継続した。その後、攪拌を続け、水相の残部を17分間かけて加えた。次いで、得られたエマルションを3枚刃のスクリュー攪拌機により、穏やかな速度で2分間、さらに高速で3分間攪拌したところ、その時点で、かなりの濃密化が生じた。
表2は、ゲステットナーコピープリンター(Gestetner CopyPrinter)(登録商標)デジタルデュプリケーターにより試験を行ったときのインキ1の消費量と印刷濃度を、標準のゲステットナーインキグレードCPT1と対比して示す。
図1は、インキ1と標準のインキCPT1のインキ消費量の結果のグラフであり、両方のインキが21℃で名目上の消費量1を与えることを基礎としている。
インキ1は、標準CPT1インキよりも、かなり少ない消費量の変動を示している。
表3は、ゲステットナーコピープリンターデジタルデュプリケーター5380で試験を行ったときのインキ2(本発明のインキ)とインキ3(シリコーンオイルを含まない)の相対的な消費量を示している。
インキ3は、インキCPT1よりも低い粘度であり、その結果、CPT1よりも消費量において少ない変動を示している。このことに関係なく、インキ2は、インキ3よりもかなり少ない消費量の変動を示している。
Figure 0003947224
1. インキ消費量は、設定印刷速度で、標準ゲステットナー試験原画(概略15%有効範囲)を使用し、特定標準紙上に250テストプリントを印刷するためのインキの重量(g)である。
2. 印刷濃度は、マクベスRD914反射濃度計を用いて測定した。
Figure 0003947224

Claims (17)

  1. 水相と油相とからなる油中水型エマルション及び着色剤を含有するインキにおいて、油相が連続相であって、かつ、少なくとも25重量%のシリコーンオイルと、該連続油相に可溶性の乳化剤を含有することを特徴とするインキ。
  2. 油相が、少なくとも30重量%のシリコーンオイルを含有する請求項1記載のインキ。
  3. 油相が、少なくとも40重量%のシリコーンオイルを含有する請求項2記載のインキ。
  4. 油相が、少なくとも50重量%のシリコーンオイルを含有する請求項3記載のインキ。
  5. 乳化剤が、シリコーン系乳化剤である前記いずれか1項に記載のインキ。
  6. 油相が、シリコーンオイルが可溶性の成分をさらに含有する前記いずれか1項に記載のインキ。
  7. 前記成分が、炭化水素油または溶剤である請求項6記載のインキ。
  8. 前記成分が、式
    Figure 0003947224
    (式中、n=3、4または5)
    を有するシクロメチコンである請求項6記載のインキ。
  9. シリコーンオイルが、ポリ(ジアルキルシロキサン)オイルまたはポリ(アリールアルキルシロキサン)オイルである前記いずれか1項に記載のインキ。
  10. シリコーンオイルが、ポリ(ジメチルシロキサン)オイルである請求項9記載のインキ。
  11. 油相が、全インキ量の10〜80重量%である前記いずれか1項に記載のインキ。
  12. 油相が、全インキ量の15〜50重量%である請求項11記載のインキ。
  13. 油相が、全インキ量の20〜30重量%である請求項12記載のインキ。
  14. 着色剤が、油相中にある前記いずれか1項に記載のインキ。
  15. 着色剤が、水相中にある請求項1ないし14のいずれか1項に記載のインキ。
  16. 前記いずれか1項に記載のインキを利用した、デジタル及びステンシルデュプリケーターでの使用を含むステンシル印刷法。
  17. 使用中実質的に一定のインキ消費量を達成するための水相と油相とからなる油中水型エマルションインキ中でのシリコーンオイルの使用であって、シリコーンオイルが、該シリコーンオイルに可溶性の乳化剤とともに連続油相を形成するか、あるいは油相中に可溶性であって、連続油相に可溶性の乳化剤とともに続油相を形成することを特徴とするシリコーンオイルの使用。
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