JP3947222B2 - 機械加工された金属フィラメントの束を含む繊維構造物 - Google Patents

Description

本発明は、機械加工又はシェービングにより得られる金属フィラメントの束を含む繊維構造物に関する。
発明の背景
米国特許第４，９３０，１９９号明細書から、心棒の回りにぐるぐる巻かれた薄い金属ホイルの端面から機械加工、シェービング又は切断により細い金属フィラメントを製造するための方法は公知である。これは、主に四辺形の断面を持つほぼ平行なフィラメントの束を製造し、その等価直径は、ホイルの厚み及びシェービング又は切断工具の切断速度に依存して、１５〜１５０μｍである。等価直径とは、本明細書において、フィラメントの四辺形の断面と同一の表面積を持つところの円の直径を意味する。
これらの機械加工されたフィラメントはしばしば、引抜き加工されたフィラメントより低い引張強度を持ち、かつ引抜き加工されたフィラメントほど真っ直ぐでない故に、これらは、通常の速度でよることによりフィラメントヤーンに加工することが困難である。
発明の目的及び対象
それ故、撚られているとしてもほんの僅かであり、かつ機械加工プロセスにより得られるところの細い金属フィラメント又は金属ファイバーの束を含む繊維構造物（textile fabric）を提供することが、本発明の目的である。術語繊維構造物は、本明細書において、一連のメッシュ又は開口及び、メッシュの境界を規定するところのフィラメント束を含むところの構造、例えば、織られ、編まれ、結ばれ、織り込まれ又はタフテッドされた構造を言う。
更に、細いフィラメント又はファイバーの該束から繊維構造物を製造するための方法において、該束への撚り作業が回避されている方法を提供することが、本発明の目的である。機械加工装置により製造されたほぼ平行なフィラメントのかなり嵩張った束はそれ故、その後、編み、織り、編み組み、結び又はタフティングにより繊維構造物に加工するために他の方法において圧縮され、又はコンパクト化される必要がある。
更に、機械加工された束の初期の嵩張った特性が、後に繊維構造物においていくらか復元される必要があり得るときはいつでも、このコンパクト化又は統合処理の効果を逆にすることが少なくとも部分的に可能でなければならない。ある適用のために、例えば、構造物においてある可とう性を達成するために繊維構造物に比較的嵩張った特性を与え又は保持することが、まさに本発明の意向である。
それ故本発明は、機械加工プロセスにより得られた金属フィラメントの束を含む繊維構造物において、これらのフィラメントは、１５〜１５０μｍの等価フィラメント直径を有し、かつ束中でほぼ平行な配列で配置されている繊維構造物を提供する。術語「フィラメント」は、本明細書において、連続するフィラメント及びステープルファイバーの両者を言う。
繊維構造物の製造のための本発明に従う方法は、機械加工されたフィラメント又はファイバーの束を結合材により統合すること、かつ統合された束を例えば、織り、編み又は編み組みにより繊維構造物に加工することを含む。所望なら、この結合材は、例えば、該束の元の嵩張った特性を少なくとも部分的に回復させるために、後で取り除かれ得る。術語結合材とは、一方では、例えば、結合材として束の回りに螺旋形態で巻き付けられる得る（ラッピング）ところの、自己支持型のフィラメント形状又はリボン形状の物体を意味する。他方では、それは、該束がそれにより覆われるかまたは包まれるところの接着剤であり得る。その組成に依存して、該結合材は、例えば、溶解、融解、蒸発、凍結、酸化若しくは燃焼により、熱分解、炭化により、又は他の化学反応により除去され得る。
本発明はまた、機械加工により得られた金属フィラメント又はファイバーの束自体に関し、それは、結合材により統合され、かつ例えば、繊維構造物を製造するための方法において使用され得る。本発明に従う繊維構造物は、金属フィラメントの、（結合材のいくつかの場合において）束の、及び繊維構造物の最終的構造の、組成、構造及び性質の適切な選択に夫々依存して、広い範囲の適用のために使用され得る。
束中の金属フィラメントは、銅、黄銅、チタン、種々のタイプのステンレス鋼、ニッケル合金、及び例えば、クロム、アルミニウム及び／又はニッケル及び０．０５〜０．３重量％のイットリウム、セリウム、ランタン又はチタニウムを含む他の特定のタイプの鋼であり得る。後者の鋼（ＦｅＣｒ合金、ＮｉＣｒ合金、アルクローム（Aluchrome））は、高温に対して非常なる耐性を有し、そしてそれ故、例えば下記において説明されるようなバーナー膜において使用され得る。もし、フィラメントがそれから機械加工されなければならないところのぐるぐる巻かれた金属ホイルが、ホイル自体の組成と異なる組成を有しかつ機械加工されることができるところの被複層を有するなら、機械加工後に、二成分又は多成分のフィラメントが得られる。
例えば、上記において述べたような結合フィラメントにより束を統合した後、所望なら、一つ又はそれ以上の他のフィラメント又はヤーンが、結合フィラメントのもとで金属束と平行に一緒にされることができて、繊維構造物への加工性を改善し、又はこのようにして得られた不均質な束及び／又は最終的な繊維構造物の特定の機能上の要件を満たす。統合された金属フィラメントの束に加えて（及びそれとは別に）構造物中に他のヤーン構造を組み込むことにより不均質な繊維構造物を製造することがまた可能である。繊維構造物はまた、異なるタイプのヤーン及び／又は金属フィラメントの束の使用を組合せるか否かにかかわらず、これらの構造物の厚み全体に亘って及び／又はこれらの表面において、相互に異なる構造を持つ限定された領域を作ることにより不均質の特質を与えられ得る。これらの下部構造（substructure）はすると、弾性、圧縮性、密度、毛状性、平滑性、こわさ等に関して互いに相違することができる。そのような構造は、例えば、Stoll社（ドイツ国）により製造されたＣＭＳ４４０又はUniversal社により製造されたＭＣ７のような平編機により製造され得る。
統合された束は、全種類の製織プロセスにおいてたて糸及び／又は横糸物質として使用され得る。これらは、ネットワークへと織り込まれることができ、Rachel機を含む環状編機又は平編機及びたて編み機において横又はたて編み構造物へとタフテッドされ又は編まれ得る。該構造物の単位表面積当りの重量は、３００〜４，０００ｇ／ｍ²で有り得、かつとりわけ２，５００ｇ／ｍ²未満であり得る。好ましい実施態様によれば、該束は、例えば構造物端が巻くのを防ぐために、ダブルベッドフラット（double-bed flat）又は環状（circular）編み構造中に組み入れられる。
本発明はとりわけ、金属フィラメント又はファイバーから作られた特定の編み構造物に関し、ここで、該編み構造物は、高温に耐性があり、かつ全く驚くべきことに表面放射システム（100kW/m²以上）及び青炎システム（最大10,000kW/m²）の両者のためのガスバーナーにおけるバーナー膜として使用するために優れていることが分かった。
この全ては今、例えばバーナー膜として使用され得るところの編み構造物のための多数の可能な実施態様に基いて説明されるであろう。
実施態様の詳細な説明
０．２〜０．４のメートル数（Ｎｍ）を持つフィラメントの束は、米国特許第４，９３０，１９９号明細書において述べられた機械加工法に従って、０．１重量％のイットリウムを持つＦｅＣｒ合金から製造される。これらの合金のかつ束ね引抜き加工により得られた金属ファイバーのバーナー膜においての使用は、例えば本出願人の欧州特許第０，３９０，２５５号公報からそれ自体既に公知である。本明細書において示された機械加工されたファイバーの等価フィラメント直径は、２５〜５０μｍ、例えばおおよそ３６μｍである。多数のこれらの束は、一緒にされ、そして牽引フレーム（drafting frame）上で引き伸ばされて破壊されて、ファイバースライバーにされる。多数のスライバーは次に、もう一度一緒にされ、そして更なる牽引操作の後に、ほぼ平行なファイバーのこのようにして得られた束を再び、いわゆるラッピング装置において、例えば、２００〜５００回転／分の包み速度で（結合材としての）連続する合成フィラメントにより、包むことにより統合される。巻き付けのちょっと前に、必要なら、ファイバーコアが、牽引フレームにおいてスライバーの間に挿入され得る。統合された束中の金属の比率は０．５〜５であり得る。それは好ましくは１．５〜５Ｎｍである。
このように統合された束は、構造物端のその後の巻き上りを良好に防止するために、ダフルベッド編み構造に平織機（５〜１４ゲージ）において加工される。該構造物は、８００〜２，０００ｇ／ｍ²、例えば約１，２００ｇ／ｍ²の単位表面積当りの重量を持ち得る。より単位表面積当りの重量のある構造物は、より長い寿命を提供する。編み構造物は好ましくは、約２ｍｍの厚み及び８００〜１，５００ｇ／ｍ²の単位表面積当りの重量を有する。編み構造の製造は全く簡単で有り得る（例えば、インターロック及びゲージ７における管状）。合成支持糸がまた、編みプロセスを容易にするために編みの間に加えられ得る。結合材（及びもしあれば他の非金属糸）が次に、これらを燃焼することにより除去され、従って、元の機械加工された束の嵩張りが部分的に復元されているところの編み構造物をもたらす。結合材の除去後に、例えば構造物におけるなお一層均質な透過率を得るために、編み構造物を圧延又は等圧圧縮（isostatic compress）することがまた有用であり得る。
この編み構造物は次いで、公知の様式でプレミックスガスバーナーのハウジング内の枠組み上に炎のレベルにおいて平らな又は管状の膜として固定される。そのようなガスバーナーは、なかんずく、本出願人の国際特許出願公開第９３／１８３４２号公報において説明されている。慣用の（夫々、化学量論的な混合比率及び過剰の空気を有する）プロパン／空気混合物がバーナーに送られる。それは、中間における突然の中断を伴う、表面放射システムから青炎システムに亘る連続サイクルでの長時間の操作状態に置かれる。構造物のガス透過性は、炎のバックファイヤー及び高流速における笛吹き音の発生なしに、一様な燃焼前面を持つことを可能にすることが分かる。それ故、これは、膜を通過するガスの入口側と出口側の間の良好な温度分離のしるしである。いずれにせよ、ＣＯ及びＮＯｘの放出値は、操作中において低いままである。もし、必要とされなければならないなら、プレスされ又は圧延された膜構造物が推薦され得る。
この編み構造は、通常の焼結された薄膜と対称的に、柔軟であるという利点を提供する。従って、剛直な焼結された膜板の膨脹の周知の問題は回避される。加えて、編み構造物は、巻き上げられた形態における大きな表面積において供給され得る。これは、構造物を裁断することによる損失を低く維持することを可能にする。もし、編まれたＲａｃｈｅｌ構造物が使用されるなら、メッシュ開口部は、０．５〜５ｍｍに維持されなければならないであろう。膜の特定の表面領域において、メッシュ密度は、隣接する表面領域におけるメッシュ密度とは相違して作られることができ、従って、使用されるガス流量に依存して、膜中に異なる局部的な燃焼システムを作り出すことができる。
焼結された金属ファイバーバーナー膜と比較して、編み構造は、加えて、それらがより一層迅速に昇温するという利点を提供する。従って、本発明に従う構造物により、例えば１秒より短く持続する非常に激しい加熱パルスを発生することが可能である。この興味ある特徴は、例えば、ガラス板を曲げるための炉のある区画において本発明の構造物の使用を可能にする。そのような炉は次に、例えば欧州特許第０，６５９，６９７号公報に開示されているような異なる加熱をもつ領域を含み得る。
本発明の構成の範囲において、バーナー膜として本出願人からの編まれたＢｅｋｉｔｈｅｒｍ構造物（例えば、タイプＫＮＣ１、ＫＮＣ３）を使用することを考えることがまた可能である。これらの構造物は、米国特許第３，３７９，０００号明細書において述べられているような束状引抜き加工（bundled drawing）の方法により得られ、かつ４〜５０μｍの等価直径を有するところの（例えば、ＦｅＣｒ合金の）金属ファイバーから作られる。束の複合物の浸出処理の後に得られるところのこの平行な金属フィラメントの束はヤーンに紡がれ得る。しかし、編み前に、これらの束はまた、本発明の方法に従う結合フィラメントにより包まれ得る。所望なら、二つ又はそれ以上のヤーン又は巻かれた束は、所望のヤーンタイター（yarn titre）を得るために編み又は織るために一緒に撚られ得る。束状引抜き加工された金属ファイバーにより作られたヤーン又は包まれた束はもちろんまた、機械加工されたファイバーから造り上げられた束のための上記において述べられたようなダブルベッド構造に、平織機において加工され得る。他の金属原料はもちろん、バーナー膜とは異なる適用における使用のために考慮され得る。
本発明の繊維構造物はまた、フィルターシートとして使用されることができて、熱ガス流中の粗い粒子を捕獲する。これらはまた、トンネル炉の入口又は出口において熱遮蔽又はカーテンとして使用され得る。
該構造物はまた、例えば、摩擦によりステンレス鋼の表面を磨くために使用され得る。管状編み構造物は、例えば、摩擦処理により外側の表面を磨くために、棒又はロッド又は管上にスリーブ付けされ得る。
触媒活性物質により被覆された時、該構造物は、反応器中でそのような触媒のための担体シートとしてふるまうことができる。該構造物はまた、エアーバッグフィルターにおける支持層として使用され得る。

Claims (15)

1. １５〜１５０μｍの等価フィラメント直径を持つ、機械加工プロセスにより得られた金属フィラメントから作られた束を含む繊維構造物であって、かつ該フィラメントが該束中でほぼ平行な配列で配置されているところの繊維構造物。
2. 繊維構造物が編んで作られ、かつ３００〜４，０００ｇ／ｍ²の単位表面積当りの重量を持つことを特徴とする請求項１記載の繊維構造物。
3. 繊維構造物が圧延又は等圧圧縮により圧縮されたものであることを特徴とする請求項１記載の繊維構造物。
4. 繊維構造物がダブルベッドフラット又は環状編み構造を持つことを特徴とする請求項２記載の繊維構造物。
5. 等価フィラメント直径が２５〜５０μｍであり、かつ束中の金属の比率が０．５〜５Ｎｍであるところの請求項４記載の平編み繊維構造物。
6. ８００〜２，０００ｇ／ｍ²の単位表面積当りの重量を持つ請求項５記載の繊維構造物。
7. ステンレス鋼製フィラメントの束を含む請求項１記載の繊維構造物。
8. チタンフィラメントの束を含む請求項１記載の繊維構造物。
9. クロム、アルミニウム及び０．０５〜０．３重量％のイットリウムを含む鋼合金から作られたフィラメントを含むところの請求項１記載の繊維構造物。
10. 結合材によるフィラメント束の統合、及び該統合された束を織り、編み又は編み組みにより繊維構造物に加工することを含むところの請求項１記載の繊維構造物の製造法。
11. 該結合材が繊維構造物から後に除去されるところの請求項１０記載の方法。
12. 結合材により統合され、かつ請求項１０記載の方法における使用のために向られる金属ファイバーの束。
13. 結合材により包まれ、かつ２５〜５０μｍの等価フィラメント直径を持つほぼ平行に配列された機械加工された金属フィラメントから作られているところの束であって、かつ該束中の金属の比率が０．５〜５Ｎｍであるところの束。
14. ガスバーナー膜として請求項９記載の繊維構造物を使用する方法。
15. ガスバーナー膜として、クロム、アルミニウム及び０．０５〜０．３重量％のイットリウムを含む鋼合金から作られたフィラメントを含む請求項６記載の繊維構造物を使用する方法。