JP3946576B2 - カバー材、それを用いたガス除去用濾材およびガス除去ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、臭気成分で汚染された流体を濾過して清浄化するための自動車用などの生活環境における空調機器に装着して用いる脱臭濾材や、半導体や液晶の生産施設やクリーンルームなどにおいて空気や雰囲気中に含まれるガス状汚染物質を除去するケミカルフィルタ用濾材などのガス除去用濾材に関し、ガス除去用濾材に用いる好適なカバー材、それを用いたガス除去用濾材およびガス除去ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生活環境での不快な臭気物質の除去などや、半導体や液晶の生産施設やクリーンルームなどにおいて空気や雰囲気中に含まれるガス状汚染物質の除去などには、様々な脱臭濾材やケミカルフィルタ用濾材などが提案されてきた。係る脱臭濾材やケミカルフィルタ用濾材の大半は、通気性を有するシート状の部材に、例えば活性炭や種々の化学吸着剤やイオン交換樹脂や触媒からなるガス除去粒子を保持したり、或いはこれらのガス除去粒子を熱可塑性樹脂で連結して多孔質体としたり、或いはこれらのガス除去粒子を通気性のあるケースに入れたものである。また、以上に述べたような従来のガス除去粒子の保持技術を改良した技術として、例えば特開平11−76747号公報や特開平11−253720号公報がある。この公報では、ホットメルト樹脂からなるウエブに脱臭紛粒体を固着することによって、脱臭紛粒体の表面が有効に利用され、優れた脱臭効率を呈するものである。また、大容量の空気や雰囲気中に含まれるガス状汚染物質の除去には、このような脱臭濾材やケミカルフィルタ用濾材のガス除去効率を維持しながら、通気抵抗を少なくすることが必要であり、そのため脱臭濾材やケミカルフィルタ用濾材をプリーツ状に折り曲げてフィルタ枠に取り付けたガス除去ユニットが使用されている。そして、折り曲げによるガス除去粒子の脱落を防ぐため、また粗塵を除去するため脱臭濾材やケミカルフィルタ用濾材の表面には、空気抵抗の少ない繊維シートからなるカバー材が積層されており、このカバー材には特開平11−76747号公報や特開平11−253720号公報のように、薄くても強度のある連続繊維からなるスパンボンドの不織布が使用されていた。
【0003】
図5は、この種のガス除去ユニットの構成を説明するため、一部の構成成分を切り欠いて斜視的に示す図である。ガス除去ユニット11は、ホットメルト樹脂などの接着剤を用いて、プリーツ加工された濾材13を枠体15で囲むように構成される。例えば、上述の自動車用途では、高さh及び幅wが20〜30cm角の矩形の空気通過面に1〜4cm程度の深さdで構成したガス除去ユニットが使用されている。
【0004】
しかしながら、カバー材に連続繊維からなるスパンボンドの不織布を使用すると繊維組織が密な場合は表面濾過となるので、ガス除去ユニットとしての粗塵の保持容量が少なくなり目詰まりが早く生じてしまい、ガス除去性能が低下するという問題があった。そこで、保持容量を上げようとして繊維組織を粗くすると、ガス除去ユニットとしての粗塵の保持容量は得られるものの、カバー材の濾過効率が低下して、ガス除去粒子の層に多くの粗塵が堆積するので、ガス除去性能が低下するという問題があった。また、繊維組織が粗い場合は、脱臭濾材やケミカルフィルタ用濾材をプリーツ状に折り曲げたときに、プリーツの折り山のRを小さくして鋭角にしようとしても、プリーツの折り山部分でカバー材が破れてしまうという問題があった。そのためプリーツの折り山のRを大きくするとカバー材は破れないものの、一定幅の枠の間のプリーツの山数が少なくなったり、隣り合うプリーツ同士の間隔が狭くなったりして、ガス除去ユニットとしての圧力損失が高くなり、目的とするガス除去性能が低下するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、臭気成分で汚染された流体を濾過して清浄化するための脱臭濾材などとしてのガス除去用濾材や、半導体や液晶の生産施設やクリーンルームなどにおいて、空気や雰囲気中に含まれるガス状汚染物質を除去するためのケミカルフィルタ用濾材などとしてのガス除去用濾材に関し、ガス除去用濾材のプリーツ形成時に破損のないカバー材を提供し、このカバー材を用いてなるガス除去用濾材をプリーツ加工することにより、圧力損失が低く、ガス除去性能に優れたガス除去ユニットを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段は、請求項1の発明では、ガス除去粒子を保持し且つプリーツ加工が可能なガス除去材の上流側に貼り合せて使用するカバー材であって、捲縮繊維を有し、且つ熱接着により繊維同士が部分的に接着すると共に接着剤によっても繊維同士が接着している不織布であり、面密度が10g/m2以上であり、面風速0.5m/秒における圧力損失が30Pa以下であることを特徴とするカバー材である。
【0008】
請求項2の発明では、前記カバー材の厚さが0.15〜1.0mmであることを特徴とする請求項1に記載のカバー材である。
【0009】
請求項3の発明では、前記カバー材に熱接着性樹脂が付着していることを特徴とする請求項または2に記載のカバー材である。
【0010】
請求項4の発明では、ガス除去粒子を保持し且つプリーツ加工が可能なガス除去材の少なくとも上流側に、請求項1〜3の何れかに記載のカバー材を貼り合わせてなることを特徴とするガス除去用濾材である。
【0011】
請求項5の発明では、前記ガス除去材が、ホットメルト樹脂からなる連結部と樹脂凝集部とで構成されたウエブの一方の表面に、該樹脂凝集部を介してガス除去粒子を固着してなることを特徴とする請求項4に記載のガス除去用濾材である。
【0012】
請求項6の発明では、前記ガス除去材が、複数の積層単位で構成され、該積層単位がホットメルト樹脂から成る連結部と樹脂凝集部とで構成されたウエブの一方の表面に、該樹脂凝集部を介してガス除去粒子を固着してなり、該ウエブの他方の表面と、他の積層単位を構成するガス除去粒子とが樹脂凝集部を介して固着してなることを特徴とする、請求項4に記載のガス除去用濾材である。
【0013】
請求項7の発明では、請求項4〜6の何れかに記載のガス除去用濾材をプリーツ加工し、該ガス除去用濾材を枠体に装着してなることを特徴とするガス除去ユニットである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるガス除去用濾材及びその製造方法の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
本発明のカバー材は、ガス除去粒子を保持し且つプリーツ加工が可能なガス除去材の上流側に貼り合せて使用するカバー材であって、捲縮繊維を有し、且つ熱接着により繊維同士が部分的に接着すると共に接着剤によっても繊維同士が接着している不織布であり、面密度が10g/m2以上であり、面風速0.5m/秒における圧力損失が30Pa以下であることを特徴とするカバー材である。
【0016】
前記カバー材は、ガス除去粒子を保持し且つプリーツ加工が可能なガス除去材の上流側に貼り合せて使用するカバー材であり、このようなカバー材としては例えば図1のガス除去用濾材13に例示するように、ガス除去粒子3が支持体に保持されているガス除去材8の片面に貼り合されるカバー材5がある。また、例えば、図2〜4のガス除去用濾材13に例示するように、ガス除去粒子3が集積してシート状になったガス除去材8の片面に貼り合されるカバー材5がある。また、例えば、ガス除去粒子が熱融着性の樹脂で互いに接合されてシート状となったガス除去材の片面に貼り合されるカバー材がある。また、例えば、通気性のあるシート状物が袋状となっておりその袋の中に前記ガス除去粒子が詰め込まれているガス除去材の片面に貼り合されるカバー材がある。
【0017】
前記カバー材は、捲縮繊維を有する不織布であり、このような不織布としては、例えば繊維長15〜100mmの、捲縮数5〜30個/インチを有する通常ステープル繊維と呼ばれる繊維をカード機などを使用して、繊維ウエブに形成した後、繊維同士を接着や交絡などによって結合する、一般的に乾式法と呼ばれる製法によって得られる不織布がある。また、乾式法に限らずに任意の不織布製法により、潜在捲縮性の繊維を用いてウエブ又は不織布とした後に、加熱処理によって潜在捲縮性の繊維の捲縮を発現させて得られる不織布であってもよい。また、例えば、スパンボンド法による長繊維からなる不織布であっても、繊維が2成分以上の繊維形成性重合体の樹脂が例えばサイドバイサイド型に形成されており、そのうち少なくとも一成分が加熱により、他の成分より熱収縮することにより、繊維全体が捲縮を発現させて得られる不織布であってもよい。
【0018】
前記カバー材は、捲縮繊維を有する不織布であるため、厚さの大きい不織布となり、繊維組織が密であっても表面濾過とならず、ガス除去ユニットとしての粗塵の保持容量が多くなり目詰まりし難く、ガス除去性能が向上する。また、前記カバー材は、捲縮繊維を有する不織布であるため、カバー材とガス除去材とを貼り合わせたガス除去用濾材をプリーツ状に折り曲げたときに、プリーツの折り山のRを小さくして鋭角にしても、カバー材の有する捲縮繊維が部分的に伸びることができ、プリーツの折り山部分でカバー材が破れてしまうという問題が生じない。
【0019】
前記カバー材は、ガス除去粒子を保持し且つプリーツ加工が可能なガス除去材の上流側に貼り合せて使用するカバー材であるので、通風時のガス除去粒子の脱落や折り曲げによるガス除去粒子の脱落を防ぐと共にガス除去材のガス除去効率を維持しながら、通気抵抗を少なくすることが必要とされる。このため、前記カバー材の面密度は10g/m2以上であることが必要であり、好ましくは、15〜40g/m2であり、更に好ましくは15〜30g/m2である。面密度が10g/m2未満であると、ガス除去粒子の脱落を防ぐことができなくなる。また、面密度が40g/m2を超えると通気抵抗が高くなったり、カバー材とガス除去材とを貼り合わせたガス除去用濾材をプリーツ状に折り曲げたときに、プリーツの折り山のRを小さくして鋭角にすることができなくなる場合がある。
【0020】
また、前記カバー材は面風速0.5m/秒における圧力損失が30Pa以下であることが必要であり、好ましくは、20Pa以下であり、更に好ましくは15Pa以下である。圧力損失が30Paを超えると、カバー材とガス除去材とを貼り合わせたガス除去用濾材の圧力損失が高くなりすぎて、目的とするガス除去性能を得ることができないばかりか、埃によって目詰まりして目的とするガス除去性能を得ることができなくなる。
【0021】
また、前記カバー材の厚さは0.15〜1.0mmが好ましく、0.2〜0.5mmがより好ましく、0.25〜0.4mmが更に好ましい。厚さが0.15mm未満であると、カバー材の繊維組織が密となり、そのため表面濾過となり、カバー材による粗塵の粉塵保持容量が少なくなり、ガス除去ユニットの目的とするガス除去性能を得ることができなくなる場合がある。また、厚さが0.5mmを超えると、カバー材の濾過効率が低下して、ガス除去粒子の層に多くの粗塵が堆積するので、ガス除去性能が低下する場合がある。尚、厚さはJIS L1913−1998一般短繊維不織布試験方法6.1A法に準じて測定した値である。また、カバー材としての粗塵に対する濾過性能はJIS8種の粉塵を3g供給して、面風速0.3m/秒で、JISZ8901法により測定したときに平均質量法効率が30%以上であることが好ましく、35%以上が更に好ましい。
【0022】
また、前記カバー材の引張強度(破断強度)はタテ方向とヨコ方向の平均で2〜100N/5cm幅が好ましく、3〜50N/5cm幅がより好ましく、15〜30N/5cm幅が更に好ましい。引張強度が2N/5cm幅未満であると、カバー材がガス除去粒子の脱落を十分に防ぐことができなかったり、カバー材の使用時に破損する場合がある。引張強度が100N/5cm幅を超えると、カバー材とガス除去材とを貼り合わせたガス除去用濾材をプリーツ状に折り曲げるのが困難であったり、プリーツ状に折り曲げるときに、プリーツの折り山のRを小さくして鋭角にすることができなくなる場合がある。尚、引張強度(破断強度)はJIS L1913−1998一般短繊維不織布試験方法6.3に準じて測定した値である。
【0023】
また、前記カバー材の引張伸度(破断時の伸度)はタテ方向とヨコ方向の平均で3〜30%が好ましく、5〜20%がより好ましく、8〜15%が更に好ましい。引張伸度が3%未満であると、カバー材とガス除去材とを貼り合わせたガス除去用濾材をプリーツ状に折り曲げたときに、プリーツの折り山のRを小さくして鋭角にしようとすると、プリーツの折り山部分でカバー材が破れてしまう場合がある。引張伸度が30%を超えると、カバー材の使用時にカバー材に伸びが生じて、ガス除去粒子の脱落を十分に防ぐことができなくなるという場合がある。尚、引張伸度(破断時の伸度)はJIS L1913−1998一般短繊維不織布試験方法6.3に準じて測定した値である。
【0024】
次に、前記カバー材の好適な具体例を、乾式法不織布の製造方法に従って説明する。はじめに、繊維の太さ1.7〜5.5デシテックス(好ましくは1.7〜3.3デシテックス)、繊維長40〜72mm、捲縮数5〜30個/インチを有するステープル繊維のポリエステルやポリアミドなどの合成繊維95〜0重量%(好ましくは80〜0重量%)と、同様のステープル繊維の熱接着性複合繊維10〜100重量%(好ましくは20〜100重量%)とからなる繊維ウエブを、カードまたはランドウエッバーなどにより形成する。次に、この繊維ウエブをスムースロールと加熱したエンボスロールの間に通して、繊維同士を部分的に熱接着した不織布半製品を作製する。次に、この不織布半製品にアクリル酸エステルなどの接着剤を全体の重量に対して付着量2〜25%(好ましくは5〜10重量%)となるように、含浸などによって付着させ繊維同士を接着した不織布からなるカバー材とする。
【0025】
前述のように、熱接着法と含浸法とを組み合わせることにより得られるカバー材は、熱接着により繊維同士が接着すると共に接着剤によっても繊維同士が接着しているので、引張強度と適度な引張伸度とを有する好適なカバー材である。すなわち、熱接着による接着は繊維の接触点のみで生じるが、この熱接着による接着部分を接着剤によって補強する作用がある。また、部分的に熱接着した場合は、熱接着していない部分の接着も行うことができる。これに対して、接着剤の量を増やして含浸法のみで不織布を形成すると、接着強度は向上しても不織布全体が硬くなり破れやすくなる場合がある。
【0026】
前記カバー材は、熱可塑性合成繊維のみからなる繊維ウエブを部分的に熱接着して得ることもできるが、熱可塑性合成繊維と熱接着性繊維とを含む繊維ウエブか、或いは熱接着性繊維のみの繊維ウエブを加熱処理して繊維同士を接着した場合の方が引張強度に優れたものを得ることができる。このような熱接着性繊維としては、例えば他の繊維よりも融点が低く他の繊維を熱接着することのできる単一樹脂成分からなる繊維や、他の繊維よりも融点が低く他の繊維を熱接着することのできる低融点成分を繊維表面に有する複合繊維がある。このような複合繊維には、その横断面形状が例えば、低融点成分を繊維表面に有する芯鞘型やサイドバイサイド型などの複合繊維があり、またその材質は例えば、共重合ポリエステル/ポリエステル、ポリブチレン/ポリエステル、共重合ポリブチレン/ポリエステル、共重合ポリプロピレン/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリアミド、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエステル、ポリエチレン/ポリエステルなどの繊維形成性重合体の組み合わせからなる複合繊維がある。また、該熱接着性繊維の全体の繊維に占める割合は好ましくは10重量%以上であり、更に好ましくは20重量%以上である。
【0027】
なお、前記カバー材に、粘着性のある樹脂などの粘着剤を含浸、コーティング、スプレイなどの方法によって塗布することにより、粘着剤を有するようにして、このカバー材をガス除去材の上流側に貼り合せてガス除去用濾材とすれば、プリーツ加工時や運搬時のガス除去用濾材から粒子の破片の脱落量や飛散量を少なくすることができる。また、前記カバー材に抗菌、抗黴剤や撥水剤などが含まれるようにすることも可能である。
【0028】
前記カバー材はガス除去材の上流側に貼り合せて使用するが、前記カバー材に熱接着性樹脂が付着していると、貼り合せ工程でのトラブルが少なくなるので好ましい。このような熱接着性樹脂の付着形態としては、例えばペースト状の熱可塑性樹脂をドット状にプリントしたもの、熱可塑性樹脂のパウダーを散布したもの、或いは熱可塑性樹脂を溶融紡糸して蜘蛛の巣状のホットメルト不織布としたものなどがある。このような熱接着性樹脂の付着量は、面密度で5〜40g/m2が好ましく、10〜20g/m2が更に好ましい。
【0029】
前記熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはポリオレフィン変性樹脂などを、各々、単独または混合して用いることができる。ここで云うポリオレフィン変性樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂 (エチレン−メタクリル酸共重合体に金属を付加した感熱性樹脂)などが挙げられる。また、前記ホットメルト不織布に利用できるホットメルト樹脂としては、MIが50以上500以下のものを選択するのが好ましい。この好適範囲よりも低いMIの樹脂は、加熱処理時に流動性が低く、熱処理時に、ガス除去粒子の固着が不完全となることがある。更に、上記範囲よりも高い樹脂では、加熱処理時の流動性が高く、ガス除去粒子の固着が不完全となることがある。
【0030】
本発明のガス除去用濾材は、ガス除去粒子を保持し且つプリーツ加工が可能なガス除去材の少なくとも上流側に、前記カバー材を貼り合わせてなることを特徴とするガス除去用濾材である。
【0031】
前記カバー材は、ガス除去材の片面又はガス除去材の両面に貼り合わせてなる。前記カバー材がガス除去材の両面に貼り合わせてなる場合、両面のカバー材は同じ材質や形態であっても、異なる材質や形態であってもかまわないが、カバー材とガス除去材とが接着剤などによって貼り合わせられていることが必要である。
【0032】
前記ガス除去用濾材の形態としては、例えば図1のガス除去用濾材13に例示するように、ガス除去粒子3が支持体に保持されているガス除去材8の片面または両面にカバー材5が貼り合されているものがある。また、例えば、図2〜4のガス除去用濾材13に例示するように、ガス除去粒子3が集積してシート状になったガス除去材8の片面または両面にカバー材5が貼り合されているものがある。また、例えば、ガス除去粒子が熱融着性の樹脂で互いに接合されてシート状となったガス除去材の片面にカバー材が貼り合されているものがある。また、例えば、通気性のあるシート状物が袋状となっておりその袋の中に前記ガス除去粒子が詰め込まれているガス除去材の片面にカバー材が貼り合されているものがある。
【0033】
前記ガス除去材の少なくとも上流側に、前記カバー材を貼り合わせる方法としては、例えば接着剤を用いる方法や、ホットメルト不織布又はホットメルト樹脂粒子などのホットメルト樹脂を用いる方法などがあり特に限定されない。カバー材とガス除去材とを接着剤やホットメルト樹脂によって貼り合わせるには、例えば、カバー材やガス除去材の一方に接着剤やホットメルト樹脂を塗布した後、カバー材とガス除去材とを積層して積層シートとし、この積層シートを加熱加工などにより貼り合わせる方法や、予め熱接着性樹脂が付着したカバー材を作製しておいて、このカバー材とガス除去材とを積層して積層シートとし、この積層シートを加熱加工などにより貼り合わせる方法などがある。後者の予め熱接着性樹脂が付着したカバー材を作製しておく方法によれば、生産工程でのトラブルが少なくなる利点があり好ましい。
【0034】
前記ガス除去粒子とは、生活環境での不快な臭気物質の除去などや、半導体や液晶の生産施設やクリーンルームなどにおいて空気や雰囲気中に含まれるガス状汚染物質の除去などに用いる、ガス状物質を吸着したり、ガス状物質を吸着しやすい物質に変化させたりすることのできる固体粒子である。このようなガス除去粒子としては、例えば活性炭や、これに酸性ガス又は塩基性ガスなどを除去できる数々の化学成分を付加した添着炭、ゼオライト、種々の化学吸着剤、イオン交換樹脂、光触媒などの触媒などがあり、これらの中から一種又は二種以上を適宜選択することができる。また、このうち例えば脱臭を目的として活性炭を選択した場合は比表面積が200m2/g以上の多孔質のものが好ましく、500m2/g以上のものがより好ましい。また、脱臭を目的としたガス除去粒子の粒径は、高効率と低圧損とを共に実現するために平均粒径を0.147mm(100メッシュ)以上1.65mm(10メッシュ)以下とするのが好適である。この好適範囲の下限よりも細かい平均粒径のガス除去粒子を用いると、初期のガス除去効率を高く採れる反面、圧力損失が大きくなってしまう場合がある。
【0035】
前記ガス除去材は前記ガス除去粒子が保持されており、厚さや質量などは特に限定されるものではないが、形状がシート状となっているものが好ましく、厚さは、0.3mm〜5mmが好ましく、0.5mm〜3mmが更に好ましい。厚さが0.3mmより少ないと、ガス除去性能が低下する場合があり、厚さが5mmより多いと、カバー材が破損する場合がある。また、その形態には例えば、図1に例示するように、支持体にガス除去粒子3が保持されてシート状となるか、或いは図2〜図4に例示するように、ガス除去粒子3が集積してシート状になるか、或いはガス除去粒子が熱融着性の樹脂で互いに接合されてシート状となるか、或いは通気性のあるシート状物が袋状となっておりその袋の中に前記ガス除去粒子が詰め込まれている形態のものなどがある。
【0036】
前記ガス除去材の形態のうち、支持体にガス除去粒子が保持されてシート状となっている形態の場合、前述のガス除去粒子を保持する支持体は通気性を有するシート状物ならばいずれも使用可能であり、このような通気性を有するシート状物としては、不織布、織物、膜、ろ紙、スポンジなどの多孔質体などが挙げられ、なかでも不織布は通気性が高いので好ましい。また、支持体に用いるシート状物が高分子材料であれば、フィルタ加工におけるプリーツ折り加工などへの追従性が高く、耐久性に優れているので好ましく用いることができる。
【0037】
前記ガス除去材の形態のうち、ガス除去粒子が集積してシート状になっている形態には、例えば、図2〜図3に示すように、ホットメルト樹脂からなる連結部1と樹脂凝集部2とで構成されたウエブの一方の表面に、樹脂凝集部2を介してガス除去粒子3が固着されてなる形態がある。また、例えば、図4に示すように、複数の積層単位4で構成され、積層単位4がホットメルト樹脂から成る連結部1と樹脂凝集部2とで構成されたウエブの一方の表面に、樹脂凝集部2を介してガス除去粒子3を固着してなり、該ウエブの他方の表面と、他の積層単位4’を構成するガス除去粒子3’とが樹脂凝集部2”を介して固着してなる形態がある。このような形態であれば、低圧力損失でしかもガス除去粒子の表面が有効に利用されるので優れたガス除去効率を呈することができる。また、このようなガス除去材はプリーツ加工がし易く、フィルターの枠体に設置してユニット化する場合、ユニット加工も容易であるので好ましい。
【0038】
このようなガス除去材を得る方法としては、例えば、図4に示すように積層単位4が2層以上である場合は、ホットメルト不織布10の表面にガス除去粒子3を配した後、加熱処理によって該ホットメルト不織布と該ガス除去粒子とが接する部分に樹脂凝集部3を形成し、かつ樹脂形成部3とホットメルト樹脂からなる連結部1とからなるウエブを形成する第一の工程と、該ガス除去粒子のうち、該ウエブに固着されたガス除去粒子のみを残存せしめて積層単位4を形成する第二の工程と、積層単位4のガス除去粒子3に接してホットメルト不織布10”を積層し、続いて、ホットメルト不織布10”の表面にガス除去粒子3’を配した後、前記第一の工程と前記第二の工程とを順次行う方法がある。なお、ホットメルト不織布10のかわりに、前記カバー材にホットメルト不織布を付着させたシートを用いることにより、カバー材を貼り合わせたガス除去材とすることができる。
【0039】
また、前記ガス除去材は以上に述べた形態と同種のもの又は多種のものを幾つか組み合わせて積層したものであってもよい。また、このように積層されたシート状物の間を接合一体化することもできる。各シート状物の間を接合一体化するには、熱可塑性ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などの熱融着性の樹脂を粒子状や不織布状にして用いることができる。接合の方法は、例えば各シート状物の間に熱融着性の樹脂からなる不織布を積層して、積層物全体を加熱して接合することができる。
【0040】
本発明のガス除去ユニットは、前記ガス除去用濾材をプリーツ加工し、該ガス除去用濾材を枠体に装着してなることを特徴とするガス除去ユニットである。
【0041】
前記ガス除去ユニットは、図5に例示するように、ガス除去用濾材13に、所定のピッチでプリーツ加工を施し、設計に応じた山間隔を保持するために、種々の合成樹脂、紙、または金属材料など周知の材料からなる枠体15に接着固定して、ガス除去ユニット11を得ることができる。尚、同図及び後述の実施例では、ガス除去ユニットの最も一般的な形状を示したに過ぎず、濾過面を構成する形状は、例示した矩形に代えて、円形、三角形、楕円形など、ガス除去ユニットを装着する機器に応じた形状とすることができる。
【0042】
前記ガス除去ユニットは、例えば自動車用途に用いる場合は、ガス除去ユニットの寸法は、高さhは50〜300mmが好ましく、幅wは50〜300mmが好ましく、プリーツ深さdは15〜30mmが好ましい。また、このガス除去ユニットの面風速3.0m/秒における圧力損失は200Pa以下が好ましく、150Pa以下が更に好ましい。
【0043】
以下、本発明の実施例につき説明するが、これは発明の理解を容易とするための好適例に過ぎず、本願発明はこれら実施例の内容に限定されるものではない。
【0044】
【実施例】
(実施例1)
繊維の太さ3.3デシテックス、繊維長64mm、捲縮数11個/インチのポリエステルステープル繊維80%と、繊維の太さ2.2デシテックス、繊維長51mm、捲縮数12個/インチの変性ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートの2成分からなるサイドバイサイド型の熱接着性複合繊維20%とからなる繊維原料を、ランドウエッバーに供給することによって、繊維ウエッブを形成した。次に、この繊維ウエブをスムースロールと加熱したエンボスロールの間に通して、繊維同士を部分的に熱接着した面密度24g/m2の不織布半製品を作製した。次に、この不織布半製品にアクリル酸エステルを主成分とするエマルション型の接着剤を含浸して、その後乾燥させることによって、全体の質量に対して6%の接着剤が付着した面密度25.5g/m2の不織布からなるカバー材を得た。このカバー材は熱接着により繊維同士が接着すると共に接着剤によっても繊維同士が接着していた。得られたカバー材の面風速0.5m/秒における圧力損失は8Paであり、カバー材としての粗塵に対する濾過性能はJIS8種の粉塵を3g供給して、面風速0.3m/秒で、JISZ8901法により測定したときに平均質量法効率が44.7%であり、濾過性能に優れていた。また、得られたカバー材の厚さは0.29mmであり、引張強度(破断強度)はタテ方向とヨコ方向の平均で21.5N/5cm幅であり、引張伸度(破断時の伸度)はタテ方向とヨコ方向の平均で10.0%であった。このように、得られたカバー材は、捲縮繊維を有する不織布であり、面密度が10g/m2以上であり、面風速0.5m/秒における圧力損失が30Pa以下であるので、ガス除去粒子を保持し且つプリーツ加工が可能なガス除去材の上流側に貼り合せて使用する場合、ガス除去材のガス除去性能を向上させることができ、プリーツ加工時にカバー材が破損することもなく好適に使用できるカバー材であった。
【0045】
(実施例2)
繊維の太さ3.3デシテックス、繊維長64mm、捲縮数11個/インチのポリエステルステープル繊維50%と、繊維の太さ2.2デシテックス、繊維長51mm、捲縮数12個/インチの変性ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートの2成分からなるサイドバイサイド型の熱接着性複合繊維50%とからなる繊維原料を、ランドウエッバーに供給することによって、繊維ウエッブを形成したこと以外は実施例1と同様にして、面密度25.5g/m2の不織布からなるカバー材を得た。このカバー材は熱接着により繊維同士が接着すると共に接着剤によっても繊維同士が接着していた。得られたカバー材の面風速0.5m/秒における圧力損失は8Paであり、厚さは0.31mmであり、引張強度(破断強度)は20.0N/5cm幅であり、引張伸度(破断時の伸度)は10.8%であった。このように、得られたカバー材は、捲縮繊維を有する不織布であり、面密度が10g/m2以上であり、面風速0.5m/秒における圧力損失が30Pa以下であるので、ガス除去粒子を保持し且つプリーツ加工が可能なガス除去材の上流側に貼り合せて使用する場合、ガス除去材のガス除去性能を向上させることができ、プリーツ加工時にカバー材が破損することもなく好適に使用できるカバー材であった。
【0046】
(実施例3)
熱可塑性ポリアミド系樹脂(190℃におけるメルトインデックス:80)を溶融紡糸して、面密度10g/m2の蜘蛛の巣状のホットメルト不織布を形成した後、直ちに実施例1のカバー材の上に積層した。ホットメルト不織布は冷却されると同時にカバー材に付着して、熱接着性樹脂が付着した面密度35.5g/m2のカバー材を得た。
【0047】
(実施例4)
図4に例示するように、実施例1のカバー材5を用い、カバー材5に熱可塑性ポリアミド系樹脂(190℃におけるメルトインデックス:80)からなる面密度10g/m2のホットメルト不織布10を積層しておく。次いで、このように積層したホットメルト不織布10の表面に、粒径0.3〜0.5mmに分級した市販の活性炭粒子3を散布する。続いて、約5Kg/cm2の水蒸気処理をカバー材5側(ホットメルト不織布10側)から約7秒間行い、ホットメルト不織布10を可塑化溶融して、ホットメルト樹脂からなる連結部1と樹脂凝集部2とで構成されたウエブに、樹脂凝集部2を介して活性炭粒子3を固着させた。続いて、固着した活性炭粒子以外を除去することにより、活性炭粒子3が、各々の粒径に応じて固着され、しかもカバー材5と接着された1層目の積層単位4を得た。さらに、この状態の積層単位4にホットメルト不織布10”を積層し、活性炭粒子3’散布、水蒸気処理、並びに固着されていない活性炭の除去を経て2層目の積層単位4’を形成した。次に実施例3で得られたカバー材5’を、ホットメルト不織布10’側が積層単位4’に接するようにして積層単位4’の上に積層し、約5Kg/cm2の水蒸気処理をカバー材5’側(ホットメルト不織布10’側)から約7秒間行い、ホットメルト不織布10’を可塑化溶融して、ホットメルト樹脂からなる連結部1’と樹脂凝集部2’とで構成されたウエブに、樹脂凝集部2’を介して活性炭粒子3’を固着させた。得られたガス除去用濾材の厚さは1.0mmであり、面密度は380g/m2であり、面風速0.5m/秒における圧力損失は75Paであり、粉塵保持容量が大きく、ガス除去性能が向上し、プリーツ加工時にカバー材が破損することもなく好適に使用できるガス除去用濾材であった。
【0048】
(実施例5)
実施例4によって得られたガス除去用濾材を、図5に例示するように、幅w及び高さhが220mm、並びに深さdが30mmの寸法となるように、6mmのプリーツ間隔でプリーツ加工を行い、ガス除去ユニットを作製した。このガス除去ユニットの面風速3.0m/秒における圧力損失は105Paであり、粉塵保持容量はJIS15種の粉塵を用いて、面風速3.0m/秒で、JISZ8901法により測定したときに16.1gであった。得られたガス除去ユニットは、粉塵保持容量が大きく、プリーツの折り山のRを小さくして鋭角にしても、プリーツの折り山部分でカバー材が破れてしまうという問題は生じず、或いはプリーツの山数が少なくなったり、隣り合うプリーツ同士の間隔が狭くなったりするという問題は生じず、目的とするガス除去性能を向上させることができた。
【0049】
(比較例1)
実施例3において、実施例1のカバー材のかわりに、面密度30g/m2の部分熱接着タイプのポリエステルスパンボンドを用いたこと以外は実施例3と同様にして、熱接着性樹脂が付着した面密度40g/m2のカバー材を得た。尚、用いたスパンボンドは、構成繊維が捲縮しておらず、面風速0.5m/秒における圧力損失は4Paであり、カバー材としての粗塵に対する濾過性能はJIS8種の粉塵を3g供給して、面風速0.3m/秒で、JISZ8901法により測定したときに平均質量法効率が25.1%であり、濾過性能に劣るものであった。また、用いたカバー材の厚さは0.12mmであり、引張強度(破断強度)はタテ方向とヨコ方向の平均で63.6N/5cm幅であり、引張伸度(破断時の伸度)はタテ方向とヨコ方向の平均で31.0%であった。このように、用いたカバー材は、捲縮繊維を有していない不織布であり、面密度は10g/m2以上であり、面風速0.5m/秒における圧力損失が30Pa以下であるが、ガス除去粒子を保持し且つプリーツ加工が可能なガス除去材の上流側に貼り合せて使用する場合、繊維組織が粗いので、ガス除去ユニットとしての粗塵の保持容量は得られるものの、カバー材の濾過効率が低下して、ガス除去粒子の層に多くの粗塵が堆積して、ガス除去性能が低下するものであった。また、繊維組織が粗いので、ガス除去材のプリーツ加工時に、プリーツの折り山のRを小さくして鋭角にしようとしても、プリーツの折り山部分でカバー材が破れてしまうという問題が生じた。そのためプリーツの折り山のRを大きくするとカバー材は破れないものの、一定幅の枠の間のプリーツの山数が少なくなったり、隣り合うプリーツ同士の間隔が狭くなったりして、ガス除去ユニットとしての圧力損失が高くなり、ガス除去性能が低下した。
【0050】
(比較例2)
実施例4において、実施例1のカバー材5のかわりに、面密度30g/m2の部分熱接着タイプのポリエステルスパンボンドを用いたこと、および実施例3で得られたカバー材5’のかわりに比較例1で得られたカバー材を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、ガス除去用濾材を作製した。得られたガス除去用濾材の厚さは1.0mmであり、面密度は380g/m2であり、面風速0.5m/秒における圧力損失は70Paであった。
【0051】
(比較例3)
実施例5において、実施例4によって得られたガス除去用濾材を用いたかわりに、比較例2のガス除去用濾材を用いた以外実施例5と同様にして、ガス除去ユニットを作製した。このガス除去ユニットの面風速3.0m/秒における圧力損失は102Paであり、粉塵保持容量はJIS15種の粉塵を用いて、面風速3.0m/秒で、JISZ8901法により測定したときに18.0gであった。得られたガス除去ユニットは、用いたカバー材の繊維組織が粗いので、ガス除去ユニットとしての粗塵の保持容量は得られるものの、カバー材の濾過効率が低下して、ガス除去粒子の層に多くの粗塵が堆積して、ガス除去性能が低下するものであった。また、繊維組織が粗いので、ガス除去材のプリーツ加工時に、プリーツの折り山のRを小さくして鋭角にしようとしても、プリーツの折り山部分でカバー材が破れてしまうという問題が生じた。そのためプリーツの折り山のRを大きくするとカバー材は破れないものの、一定幅の枠の間のプリーツの山数が少なくなったり、隣り合うプリーツ同士の間隔が狭くなったりして、ガス除去ユニットとしての圧力損失が高くなり、ガス除去性能が低下した。
【0052】
【発明の効果】
本発明のカバー材は、捲縮繊維を有し、且つ熱接着により繊維同士が部分的に接着すると共に接着剤によっても繊維同士が接着している不織布であり、面密度が10g/m2以上であり、面風速0.5m/秒における圧力損失が30Pa以下であるので、このカバー材をガス除去材の上流側に貼り合せてガス除去用濾材とすると、ガス除去用濾材のガス除去性能を向上させることができる。また、このガス除去用濾材をプリーツ加工する際に、プリーツの折り山のRを小さくして鋭角にしても、プリーツの折り山部分でカバー材が破れてしまうという問題は生じず、或いはプリーツの山数が少なくなったり、隣り合うプリーツ同士の間隔が狭くなったりするという問題は生じず、目的とするガス除去性能の向上したガス除去ユニットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス除去用濾材の一例を示す断面模式図
【図2】本発明のガス除去用濾材の他の一例を示す断面模式図
【図3】本発明のガス除去用濾材の他の一例を示す断面模式図
【図4】本発明のガス除去用濾材の他の一例を示す断面模式図
【図5】本発明のガス除去ユニットの一例および従来技術の説明に具する斜視図
【符号の説明】
1, 1’, 1” 連結部
2, 2’ 樹脂凝集部
3, 3’ ガス除去粒子
4, 4’ 積層単位
5, 5’ カバー材
8 ガス除去材
10, 10’, 10” ホットメルト樹脂(ホットメルト不織布)
11 ガス除去ユニット
13 ガス除去用濾材
15 枠体
Claims (7)
- ガス除去粒子を保持し且つプリーツ加工が可能なガス除去材の上流側に貼り合せて使用するカバー材であって、捲縮繊維を有し、且つ熱接着により繊維同士が部分的に接着すると共に接着剤によっても繊維同士が接着している不織布であり、面密度が10g/m2以上であり、面風速0.5m/秒における圧力損失が30Pa以下であることを特徴とするカバー材。
- 前記カバー材の厚さが0.15〜1.0mmであることを特徴とする請求項1に記載のカバー材。
- 前記カバー材に熱接着性樹脂が付着していることを特徴とする請求項1または2に記載のカバー材。
- ガス除去粒子を保持し且つプリーツ加工が可能なガス除去材の少なくとも上流側に、請求項1〜3の何れかに記載のカバー材を貼り合わせてなることを特徴とするガス除去用濾材。
- 前記ガス除去材が、ホットメルト樹脂からなる連結部と樹脂凝集部とで構成されたウエブの一方の表面に、該樹脂凝集部を介してガス除去粒子を固着してなることを特徴とする請求項4に記載のガス除去用濾材。
- 前記ガス除去材が、複数の積層単位で構成され、該積層単位がホットメルト樹脂から成る連結部と樹脂凝集部とで構成されたウエブの一方の表面に、該樹脂凝集部を介してガス除去粒子を固着してなり、該ウエブの他方の表面と、他の積層単位を構成するガス除去粒子とが樹脂凝集部を介して固着してなることを特徴とする、請求項4に記載のガス除去用濾材。
- 請求項4〜6の何れかに記載のガス除去用濾材をプリーツ加工し、該ガス除去用濾材を枠体に装着してなることを特徴とするガス除去ユニット。
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