JP3945257B2 - 基地局および移動局 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1つ又は複数の無線パケット通信を行う移動局と前記移動局との間で1つ又は複数の無線パケット通信を行う基地局とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的な無線電話システムのひとつに、セルラー無線電話システムがある。セルラー無線電話システムを実現するためには、広い領域を細分化する。その細分化された領域をセルと称し、セルを電波的にカバーする固定局が設置される。また、その固定局を複数接続し、統合的に管理する交換局が設置される。このように、セルを複数設定することにより、広い範囲をカバーすることが可能となる。また、その交換局は既存の電話回線網、インターネット網などと接続され、対電話、対データサーバなどへの通信が可能となる。このようなシステムは、PHSなどにおいても利用されている。また、固定局と交換局をオフィスのフロアに展開し、無線LANなどの構築などにも利用されている。この固定局と交換局を介して無線通信機に対してデータ通信サービスを提供する。以下、無線通信機は移動局、固定局は基地局として説明する。
【0003】
ところで、パケット通信は、その性格上、物理的な回線の閉塞状態が存在しない。すなわち、回線を共有化できることがパケット通信最大の特徴である。しかし、回線を共有する利用者が増加するのに反比例して、各回線あたりの利用者が得られる通信速度は低下するという側面も持っている。最近では、一台の端末が複数の基地局と同時にパケット通信を行い、一つの通信相手先へのパケットデータを複数の基地局を経由することにより、高速なパケット通信を行う試みがある。
【0004】
しかしながら、移動局が複数の無線回線を利用してパケット通信を行うとき、混雑により通信速度が遅い一部の回線にて送信されたデータパケットが移動局から基地局へ到達するのが極度に遅れた場合、一定時間内に届かないものに関しては再送処理が起動することとなり、データパケットが何らかの無線回線障害で消失したのと同じ影響を全体の通信速度に及ぼす。
【0005】
このように回線を他の移動局と共有することによる遅延の発生を図9、図10、(表1)を用いて説明する。図9はマルチパスパケット通信の説明図であり、図10は混雑により遅延が発生した場合を示す説明図である。
【0006】
【表1】
(表1)で規定した条件を用い、図9の状態から、3×単位時間が経過した後の状態を図10で示す。基地局5Aが処理できるのは、単位時間当たり2パケットという条件であるが、基地局5Aは、移動局6Aと移動局6Bが無線区間を共有して利用しているため、それぞれの移動局6A、6Bが基地局5Aにて単位時間に処理してもらえるパケット数は、基地局5Aが提供できる最大の処理能力を利用者数で割っただけ(2÷2=1)である。そのため、3×単位時間が経過した後の状態を示した図10を参照してみると、基地局5A・PDS(Packet Data Server、パケットデータサーバ)4間にて、データパケット丸4、四角4が処理されている最中であり、PDS4に到達できていない。3×単位時間が、データパケットの再構築を実施する時間より長い場合、データパケットの消失として、PDS4で再送の処理が発生してしまうことがある。このようにして、PDS4から網側へデータブロック送信する処理に遅延が生じる。
【0007】
次に、回線の混雑状況を考慮せず、次パケットの送付経路を決定したことによる遅延発生を図11、図12、図13、(表2)、(表3)を用いて説明する。図11は従来の次パケット送信先選定方法を示すフローチャートであり、図12、図13は混雑度合いを考慮しない次パケット送信順序決定の動作概要を示す説明図である。
【0008】
【表2】
【0009】
【表3】
(表2)に示すとおり、全ての経路において、単位時間に処理できるパケットの数は同一の条件となっている。また、(表3)、図12に示すとおり、基地局5A・PDS4間には、処理中のパケット(丸1〜丸4)が4パケット存在し、基地局5Aを経由する経路は、混雑している状況とした。また、同様に、基地局5Bを経由する経路も、やや混雑している状況とした。このような状況で、移動局6Aは新たにパケットデータ(四角1〜四角6)の送信を実行する。この場合の従来の次パケットの送信先決定ロジックを図11に示す。
【0010】
図11において、まず、Tの初期値=1で基地局を選択する(S61)。この場合、基地局5Aを1、基地局5Bを2、基地局5Cを3と設定する。次に、移動局6Aは、捕捉している基地局の数Rを取得する(S62)。次に、パケット送信後(S63)、次の対象基地局番号を決定する(S64、S65、S66)。この次パケット送信先選択ロジックを用いて、基地局5A→基地局5B→基地局5Cと送信した後、再度基地局5Aからサイクリックに送信することとし、基地局の混雑度合いは全く考慮しない条件とした。この場合、4×単位時間経過後にPDS4に集まるデータはどのような状態になるかを図13を用いて示す。全ての経路が同じ処理能力を有しているにも関わらず、基地局5Aを経由するルートは混雑していたため、4×単位時間を経過しても、PDS4に到達できないパケット(四角1、四角4)が発生してしまう。このことより、混雑度合いを無視した次パケット送出先決定を行った場合、データパケットのPDS4到達遅延により、移動局6Aが得られる通信速度は低下してしまう結果となる。つまり、捕捉している複数の無線回線のうち、通信速度の遅い一部の回線に全体の通信速度が引きずられる形となり、各無線回線が持つ最大通信速度の捕捉回線数倍の速度は得ることは事実上できないことが問題視されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の基地局と移動局では、通信速度の遅い一部の回線に全体の通信速度が引きずられる形となり、各無線回線が持つ最大通信速度の捕捉回線数倍の速度は得ることは事実上できないという問題点を有していた。
【0012】
この移動局および基地局では、無線パケット通信の混雑度合いに基づき、移動局が最適な通信速度を得られる基地局を自動的に選択することができることが要求されている。
【0013】
本発明は、この要求を満たすため、無線パケット通信の混雑度合いに基づき、最適な通信速度を得られる基地局を移動局が自動的に選択することができる基地局、および、無線パケット通信の混雑度合いに基づき、最適な通信速度を得られる基地局を移動局が自動的に選択することができる移動局を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の基地局は、移動局から上り制御チャネルを受信し、移動局との通信チャネルを捕捉する通信制御部と、移動局へ下り制御チャネルを送信し、下り制御チャネルを通じて移動局に対して通信チャネルを割り当てる制御情報送信部とを有し、移動局との間でマルチパスパケット通信を行う基地局であって、一定時間内に処理を行ったパケット数をカウントし、基地局の混雑度合いを算出する通信量測定部を備え、制御情報送信部は、無線パケット通信を行う場合に、下り制御チャネルを通じて、通信量測定部で算出した基地局の混雑度合いを移動局に報知する構成を備えている。
【0015】
これにより、無線パケット通信の混雑度合いに基づき、最適な通信速度を得られる基地局を移動局が自動的に選択することができる基地局が得られる。
【0016】
上記課題を解決するために本発明の移動局は、複数の基地局と複数の移動局との間の通信に用いる移動局であって、基地局は、移動局との無線信号の送受信に用いるアンテナと、一定時間内に基地局を通過したパケット数をカウントし、そのカウント結果を数値化した混雑度合いを出力する通信量測定部と、通信量測定部が出力した混雑度合いを移動局に送信する制御情報送信部と、を有し、移動局は、基地局との無線信号の送受信に用いるアンテナと、混雑度合いを含む制御情報を受信し出力する制御情報受信部と、制御情報受信部の混雑度合いを含む制御情報に基づいて次のパケット送信の経路選択を行う通信経路判定部と、通信経路判定部が経路選択をした基地局との通信処理を行う通信制御部と、を有し、通信制御部は、通信経路判定部が経路選択をした基地局それぞれの混雑度合いに応じてそれぞれの基地局に送信しようとするパケット数をそれぞれ規定し、経路選択をした基地局それぞれに規定したパケット数を送信することを特徴とする移動局である。
【0017】
これにより、基地局の通過パケット数に基づいて判定した混雑度合いに基づき、最適な通信速度を得られる基地局を移動局が自動的に選択することができる移動局が得られる。また、発信する移動局から自発的に混雑していない基地局システムへ重点的にデータパケットを送信するため、基地局システム全体のデータパケットの通信速度は有利なものとなり、輻輳による通信速度の減退を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の発明における基地局は、移動局から上り制御チャネルを受信し、移動局との通信チャネルを捕捉する通信制御部と、移動局へ下り制御チャネルを送信し、下り制御チャネルを通じて移動局に対して通信チャネルを割り当てる制御情報送信部とを有し、移動局との間でマルチパスパケット通信を行う基地局であって、一定時間内に処理を行ったパケット数をカウントし、基地局の混雑度合いを算出する通信量測定部を備え、制御情報送信部は、無線パケット通信を行う場合に、下り制御チャネルを通じて、通信量測定部で算出した基地局の混雑度合いを移動局に報知することとしたものである。
【0019】
この構成により、一定時間内に処理を行ったパケット数をカウントして、無線パケット通信の混雑度合いを基地局が判定し、それを制御チャネルを介して移動局に報知することができるので、この制御チャネルの情報を移動局が受信することにより、最適な通信速度がえられる複数の基地局の選択を自動的に行うことができると共に、データパケットを送信する際、遅延による再送処理がもたらす通信速度の低下を防ぐことができるという作用を有する。
【0020】
本発明の第2の発明における移動局は、基地局へ上り制御チャネルを送信し、基地局との通信チャネルを捕捉する通信制御部と、基地局から下り制御チャネルを受信する制御情報受信部とを有し、基地局を相手にパケット通信を行う移動局であって、通信を行う基地局を自動的に選択する通信経路判定部を備え、制御情報受信部は、無線パケット通信を行う場合に、基地局から下り制御チャネル上にて報知される基地局の混雑度合いを受信し、通信経路判定部は、受信した基地局の混雑度合いに基づいて、通信を行う基地局を自動的に選択することとしたものである。
【0021】
この構成により、移動局は基地局から制御チャネルを介して報知される無線パケット通信の混雑度合いを受信することができ、その混雑度合いを用いることにより、自動的に複数の基地局の選択を行って無線回線を確立することができるので、最適な通信速度が得られる複数の基地局の選択を自動的に行うことができると共に、データパケットを送信する際、遅延による再送処理がもたらす通信速度の低下を防ぐことができるという作用を有する。また、混雑していない無線回線に重点的にデータパケットを送信するため、基地局システム全体へのデータパケットの住み分けが行われ、輻輳による通信速度の減退を防止することができるという作用を有する。
【0022】
本発明の第3の発明は第2の発明に記載の移動局において、通信経路判定部は、基地局の混雑度合いが予め設定されたしきい値よりも低い基地局を選択することとしたものである。
【0023】
この構成により、移動局に簡単な構成を付加するだけで、最適な通信速度が得られる複数の基地局の選択を自動的に行うことができるという作用を有する。
【0024】
本発明の第4の発明における移動局は、複数の通信中の無線回線の各通信速度を測定する通信速度測定部と、無線回線の品質を測定する回線品質測定部と、品質が劣化した無線回線をより品質の良い無線回線に切りかえる回線切替部と、基地局から下り制御チャネル上にて報知される基地局の混雑度合いを受信する制御情報受信部と、制御情報受信部で受信した基地局の混雑度合いと、通信速度測定部で測定した通信中の無線回線の通信速度と、品質測定部で測定した無線回線の品質とに基づいて、通信を行う複数の基地局を自動的に選択する通信経路判定部とを有することとしたものである。
【0025】
この構成により、基地局の混雑度合いだけでなく、無線回線の状況も考慮することができるので、最適な通信速度が得られる複数の基地局の選択を自動的に行うことができると共に、データパケットを送信する際、遅延による再送処理がもたらす通信速度の減退を防ぐことができるという作用を有する。また、混雑していない無線回線に重点的にデータパケットを送信するため、基地局システム全体へのデータパケットの住み分けが行われ、輻輳による通信速度の減退を防止することができるという作用を有する。
【0026】
本発明の第5の発明における移動局は、基地局へ上り制御チャネルを送信し、基地局との通信チャネルを捕捉する通信制御部と、基地局から下り制御チャネルを受信する制御情報受信部と、基地局を相手にパケット通信を行う移動局であって、通信を行う基地局を自動的に選択する通信経路判定部を備え、制御情報受信部は、基地局から下り制御チャネル上にて報知される基地局の混雑度合いを受信し、通信経路判定部は、受信した混雑度合いに基づいて、送信すべきパケット毎にパケットを送信する無線回線を逐次選択することとしたものである。
【0027】
この構成により、データパケット毎にデータパケットを送信するのに最適な基地局を選択することができ、効率よく最適な通信速度が得られる複数の基地局の選択を自動的に行うことができると共に、データパケットを送信する際、遅延による再送処理がもたらす通信速度の低下を防ぐことができるという作用を有する。また、混雑していない無線回線に重点的にデータパケットを送信するため、基地局システム全体へのデータパケットの住み分けが行われ、輻輳による通信速度の減退を防止することができるという作用を有する。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図8を用いて説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による基地局を示すブロック図であり、図2は、本発明の実施の形態1による移動局を示すブロック図である。
【0030】
図1において、1は移動局2との間でマルチパスパケット通信を行う基地局、3は回線網、11は移動局2との間の無線信号の送受信の為に用いられる基地局1のアンテナ、12は移動局2側の通信チャネル確立の上り制御チャネルに対し移動局2側との通信チャネルを捕捉、解放する処理を行う基地局1の通信制御部、13は基地局1にてあらかじめ規定した一定の時間内に、どれだけのパケット数を処理したかをカウントし、そのカウント結果を基地局1にてあらかじめ規定したしきい値レベルにより数値化し、数値化された混雑度合いを後述の制御情報報知部14に出力する通信量測定部、14は通信量測定部13から受信した混雑度合いを下り制御チャネルにて移動局2に送信する制御情報送信部、15は回線網3とのパケットデータの送受信処理を行うと共に通信制御部12や制御情報送信部14とのデータのやり取り等を行う回線制御部である。
【0031】
また、図2において、21は基地局1との無線信号の送受信の為に用いられる移動局2のアンテナ、22は後述する制御情報受信部23で受信した混雑度合いを含む制御情報を用いて、通信先基地局の選択を行い、選択先基地局との間で通信チャネルを捕捉、解放する処理を行う移動局2の通信制御部、23は下り制御チャネルから混雑度合いを含む制御情報を受信し数値化し、移動局2の通信制御部22に出力する制御情報受信部、24は制御情報受信部23で受信した混雑度合いを含む制御情報や無線回線品質等を用いて次のデータパケット送信の経路選択を行う通信経路判定部、25は各部22〜24の入出力を制御する入出力制御部、26は外部との間でデータの送受を行うデータインタフェース部(データI/F部)である。
【0032】
以下のように構成された基地局1および移動局2について、まずは、基地局1側の混雑度合いの報知方法について図3を用いて説明する。図3は基地局1側の混雑度合いの報知方法を示すフローチャートである。
【0033】
基地局1の通信量測定部13は、パケット数のカウントを初期化して(S1)測定監視タイマを起動させ(S2)、一定時間にその基地局1を通過したパケットの数をカウントする(S3、S4、S5)。一定の時間が経過した後、基地局1の通信量測定部13は、カウントしたパケット数をあらかじめ定めておいたしきい値(規定値)Aと比較する(S6)。通過したパケット数がしきい値Aより多いときは、混雑度レベルAとし、「非常に混雑している」と判定を下す(S7)。通過したパケット数がしきい値Aよりも少ない場合、Aよりも小さい値を設定したしきい値Bと比較する(S8)。しきい値Bよりも大きい場合は、混雑度レベルBとし、「やや混雑している」と判定を下す(S9)。また、しきい値Bよりも小さい場合は、混雑度レベルCとし、「混雑していない」と判定を下す(S10)。制御情報送信部14は、このようにして算出した混雑度レベルを制御チャネル情報に反映させ(S10a)、移動局2に下り制御チャネルを通じて報知する。このようにして、下り制御チャネルで現在の基地局1の混雑度合いが報知される。
【0034】
なお、基地局・PDS間の単位時間に処理できるパケットの数により基地局の混雑度合いは異なるため、それぞれの基地局に応じたしきい値A,Bを設定することが望ましく、また他の基地局などの関係において通信径路が混雑した場合、実際に処理できるパケット数も変動することがあり、この場合には、実際に処理できるパケット数に応じてしきい値A,Bを設定することが望ましい。
【0035】
次に、報知された混雑度合いを用いて、移動局2が通信を行う基地局1を選択する手順を(表4)、図4を用いて説明する。図4は報知された混雑度合いに基づいて移動局2が基地局1を選択する手順を示すフローチャートである。
【0036】
【表4】
(表4)の条件において、基地局α、βとも、新規のパケット通信呼を収容可能である。
【0037】
図4において、まず、ユーザー(移動局2)が発呼を行い(S11)、通信経路判定部24は、パケット通信を行う上で十分な速度が得られるか否かの判定を行う(S12、S13、S14)。混雑度合いが大きく、十分な速度が得られないと判定した場合、混雑している基地局αを通信先候補から外し(S15)、通信可能な基地局から基地局βを選びなおし(S12)、暫定通信先基地局として再度通信速度に関する判定を行う(S14)。基地局βは(表4)より、混雑度レベルCで、混雑していないという判定を得ることができるため、移動局2の通信制御部22は、上り制御チャネルを使用して通信チャネル確立要求を送信し(S16)、基地局βと通信チャネル確立処理を起動し、通信チャネルを確立できる(S17)。基地局βは、収容しているパケット通信量が基地局αより少ないため、新規にパケット通信を収容しても、それぞれの移動局に提供する通信速度は、基地局αに収容されている移動局よりも高速な通信速度を提供することが可能である。移動局2は、これから新規に通信を行うために、得られる通信速度が高速な基地局βを選択するほうが有利にデータ通信を行うことができる。この基地局選択方法を複数の無線回線を確立する際にも同様に適用する。各通信回線毎に、混雑度合いを考慮に入れた基地局選択処理を行い、確立された複数の無線回線を用いてパケット通信を行う。これを、図5に示す。図5は、確立された複数の無線回線を用いてパケット通信を行う場合を示すフローチャートである。
【0038】
図5において、ステップS21〜S27は図4のステップS11〜S17と同様であるので、その説明は省略する。図5では、図4に対して、必要な回線数だけ図4の処理を繰り返す判定処理(S28、S29)を加え、それを実現する。そのことにより、一台の移動局が複数の基地局を相手に同時にパケット通信を行う際に、混雑度合いを考慮に入れた基地局選択処理が可能となる。
【0039】
なお、混雑した基地局を候補から除くこと(S15、S25)に代えて、混雑レベルが低い基地局から通信チャネルの確立を行うように、基地局が混雑しているかどうかの判定(S14、S24)として、混雑度レベルCか否かで判定し、混雑度レベルCの基地局がなければ、次に混雑度レベルBの基地局があるかどうかを判定するようにしても構わない。また、無線回線確立後、全体の通信速度を維持するため、それぞれの無線回線は一定の送信速度を確保する必要がある。複数の無線回線を確保しているため、次のパケットをどの無線回線で送信するかというのは、全体の通信速度に大きな影響を及ぼすことは、前述した通りである。ここで、図7の状況で、(表2)、(表3)条件を適用する。図7は混雑度合いを考慮に入れた次パケット送信順序決定の動作概要の説明図である。(表3)より、基地局の混雑度合いを(表5)のように規定する。
【0040】
【表5】
(表5)に示された混雑度合いは、移動局2Aに通知されているものとする。混雑度合いと送信パケット数の規定を(表6)に示す。
【0041】
【表6】
データパケットを送信する際に混雑度合いを考慮して送信スケジュールを決定するロジックを図6、図7、図8、(表5)、(表6)を用いて説明する。図6は次パケット送信先選定方法を示すフローチャートであり、図8は混雑度合いを考慮に入れた次パケット送信順序決定の動作概要の説明図である。
【0042】
図6において、ステップS31、S32は図11のS61、S62と同様であるので、説明は省略する。次に、通信経路判定部24は、パケットを送信しようとする基地局を対象に、受信した混雑度合いを参照する(S33)。混雑度合いがCの場合(S34、S35)、通信制御部22は、混雑していない基地局1Cに対しては、データパケットを多めに規定(S36)した数(4パケット)だけ送信する(S37)。同様にして、混雑度合いがBの場合(S38、S39)は、データパケットを少なめに規定(S40)した数(2パケット)だけ送信する(S37)。パケット送信はパケット数がゼロとなるまで繰り返される(S46、S47)。混雑度合いがAの場合(S38、S41)は、データパケットを送信せず、より混雑していない基地局へ回線切り替え動作を起動する(S42、S43、S44、S45)。次に、通信制御部22は、次対象基地局番号が補足基地局数となるまで、また送信するパケットが有る限り、ステップS32〜S47を繰り返す(S48、S49、S50、S51)。
【0043】
このことにより、図7の四角1〜四角4に示すように、混雑していない無線回線に重点的にデータパケットを送信することが可能となる。また、図7の四角5、四角6に示すように、少し混雑している回線に流入するデータ量を抑制することになり、その回線のさらなる混雑も抑制される。4×単位時間経過した後のパケットの送信状況は、図8に示すとおりである。移動局2Aが得られる全体の通信速度は、混雑度合いを考慮に入れていない図5に示される場合よりも、(表2)に示される回線条件が同一にも関わらず、図8に示す通り、有利なものとなり、全てのパケットがPDS4にて再構築される。図8で、1Dはより混雑していない基地局である。
【0044】
なお、移動局2と基地局1との間の無線回線の品質によって、移動局2と基地局1との間で送信できるパケット数が変ることがあり、この移動局2と基地局1との間の無線回線の品質を考慮することより、通信速度の低下をより防止する移動局2を提供することができる。この場合、移動局2内に、無線回線の品質(電界強度やノイズレベルなど)を測定する回線品質測定部と、無線回線の切替処理を行う回線切替部とを設けることにより実現可能である。具体的には、回線品質測定部により測定した無線回線の品質が所定の閾値より低い(品質が悪い)と判定した場合、回線切替部により回線品質が閾値より高い(品質がよい)無線回線(他の基地局、若しくは切替前の基地局の異なる無線チャネル)に切り替える機能を通信経路判定部24に追加することになる。また、さらに、複数の通信中無線回線の各送信速度を測定する通信速度測定部を加え、無線回線の速度が所定以上のときに回線を切り替えるようにしてもよい。ここで、この無線回線品質測定部や通信速度測定部を用いた基地局選択は、基地局の混雑度合いに関係なく、実施するようにしてもよい。
【0045】
以上のように本実施の形態によれば、移動局2から上り制御チャネルを受信し、移動局2との通信チャネルを捕捉する通信制御部12と、移動局2へ下り制御チャネルを送信し、下り制御チャネルを通じて移動局2に対して通信チャネルを割り当てる制御情報送信部14とを有し、移動局2との間でマルチパスパケット通信を行う基地局1であって、一定時間内に処理を行ったパケット数をカウントし、基地局1の混雑度合いを算出する通信量測定部13を備え、制御情報送信部14は、無線パケット通信を行う場合に、下り制御チャネルを通じて、通信量測定部13で算出した基地局1の混雑度合いを移動局に報知することにより、一定時間内に処理を行ったパケット数をカウントして、無線パケット通信の混雑度合いを基地局1が判定し、それを制御チャネルを介して移動局2に報知することができるので、この制御チャネルの情報を移動局2が受信することにより、最適な通信速度がえられる複数の基地局1の選択を自動的に行うことができると共に、データパケットを送信する際、遅延による再送処理がもたらす通信速度の低下を防ぐことができる。
【0046】
また、基地局1へ上り制御チャネルを送信し、基地局1との通信チャネルを捕捉する通信制御部22と、基地局1から下り制御チャネルを受信する制御情報受信部23とを有し、基地局1を相手にパケット通信を行う移動局2であって、通信を行う基地局1を自動的に選択する通信経路判定部24を備え、制御情報受信部23は、無線パケット通信を行う場合に、基地局1から下り制御チャネル上にて報知される基地局1の混雑度合いを受信し、通信経路判定部24は、受信した基地局1の混雑度合いに基づいて、通信を行う基地局1を自動的に選択することにより、移動局2は基地局1から制御チャネルを介して報知される無線パケット通信の混雑度合いを受信することができ、その混雑度合いを用いることにより、自動的に複数の基地局の選択を行って無線回線を確立することができるので、最適な通信速度が得られる複数の基地局の選択を自動的に行うことができると共に、データパケットを送信する際、遅延による再送処理がもたらす通信速度の低下を防ぐことができる。また、混雑していない無線回線に重点的にデータパケットを送信するため、基地局システム全体へのデータパケットの住み分けが行われ、輻輳による通信速度の減退を防止することができる。
【0047】
さらに、通信経路判定部24は、基地局の混雑度合いが予め設定されたしきい値よりも低い基地局を選択することにより、移動局に簡単な構成を付加するだけで、最適な通信速度が得られる複数の基地局の選択を自動的に行うことができる。
【0048】
さらに、複数の通信中の無線回線の各通信速度を測定する通信速度測定部と、無線回線の品質を測定する回線品質測定部と、品質が劣化した無線回線をより品質の良い無線回線に切りかえる回線切替部と、基地局1から下り制御チャネル上にて報知される基地局の混雑度合いを受信する制御情報受信部23と、制御情報受信部23で受信した基地局の混雑度合いと、通信速度測定部で測定した通信中の無線回線の通信速度と、品質測定部で測定した無線回線の品質とに基づいて、通信を行う複数の基地局を自動的に選択する通信経路判定部24とを有することにより、基地局の混雑度合いだけでなく、無線回線の状況も考慮することができるので、最適な通信速度が得られる複数の基地局の選択を自動的に行うことができると共に、データパケットを送信する際、遅延による再送処理がもたらす通信速度の減退を防ぐことができる。また、混雑していない無線回線に重点的にデータパケットを送信するため、基地局システム全体へのデータパケットの住み分けが行われ、輻輳による通信速度の減退を防止することができる。
【0049】
さらに、基地局1へ上り制御チャネルを送信し、基地局1との通信チャネルを捕捉する通信制御部22と、基地局1から下り制御チャネルを受信する制御情報受信部23と、基地局1を相手にパケット通信を行う移動局2であって、通信を行う基地局1を自動的に選択する通信経路判定部24を備え、制御情報受信部23は、基地局1から下り制御チャネル上にて報知される基地局1の混雑度合いを受信し、通信経路判定部24は、受信した混雑度合いに基づいて、送信すべきパケット毎にパケットを送信する無線回線を逐次選択することにより、データパケット毎にデータパケットを送信するのに最適な基地局1を選択することができ、効率よく最適な通信速度が得られる複数の基地局1の選択を自動的に行うことができると共に、データパケットを送信する際、遅延による再送処理がもたらす通信速度の低下を防ぐことができる。また、混雑していない無線回線に重点的にデータパケットを送信するため、基地局システム全体へのデータパケットの住み分けが行われ、輻輳による通信速度の減退を防止することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明したように本発明の基地局によれば、一定時間内に処理を行ったパケット数をカウントして、無線パケット通信の混雑度合いを基地局が判定し、それを制御チャネルを介して移動局に報知することができるので、この制御チャネルの情報を移動局が受信することにより、最適な通信速度がえられる複数の基地局の選択を自動的に行うことができると共に、データパケットを送信する際、遅延による再送処理がもたらす通信速度の低下を防ぐことができるという有利な効果が得られる。
【0051】
本発明の移動局によれば、基地局から制御チャネルを介して報知される無線パケット通信の混雑度合いを受信することができ、その混雑度合いを用いることにより、自動的に複数の基地局の選択を行って無線回線を確立することができるので、最適な通信速度が得られる複数の基地局の選択を自動的に行うことができると共に、データパケットを送信する際、遅延による再送処理がもたらす通信速度の低下を防ぐことができるという有利な効果が得られる。また、混雑していない無線回線に重点的にデータパケットを送信するため、基地局システム全体へのデータパケットの住み分けが行われ、輻輳による通信速度の減退を防止することができるという有利な効果が得られる。
【0052】
さらに本発明の移動局によれば、簡単な構成を付加するだけで、最適な通信速度が得られる複数の基地局の選択を自動的に行うことができるという有利な効果が得られる。
【0053】
また、本発明の移動局によれば、基地局の通過パケット数に基づき混雑度合いを判定するから、無線通信条件と回線網条件との総合判定をすることができる。従って、最適な通信速度が得られる複数の基地局の選択を自動的に行うことができると共に、データパケットを送信する際、遅延による再送処理がもたらす通信速度の減退を防ぐことができるという有利な効果が得られる。また、発信する移動局から自発的に混雑していない基地局システムへ重点的にデータパケットを送信するため、基地局システム全体のデータパケットの通信速度は有利なものとなり、輻輳による通信速度の減退を防止することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による基地局を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1による移動局を示すブロック図
【図3】基地局側の混雑度合いの報知方法を示すフローチャート
【図4】報知された混雑度合いに基づいて移動局が基地局を選択する手順を示すフローチャート
【図5】確立された複数の無線回線を用いてパケット通信を行う場合を示すフローチャート
【図6】次パケット送信先選定方法を示すフローチャート
【図7】混雑度合いを考慮に入れた次パケット送信順序決定の動作概要の説明図
【図8】混雑度合いを考慮に入れた次パケット送信順序決定の動作概要の説明図
【図9】マルチパスパケット通信の説明図
【図10】混雑により遅延が発生した場合を示す説明図
【図11】従来の次パケット送信先選定方法を示すフローチャート
【図12】混雑度合いを考慮しない次パケット送信順序決定の動作概要を示す説明図
【図13】混雑度合いを考慮しない次パケット送信順序決定の動作概要を示す説明図
【符号の説明】
1、1A、1B、1C、1D 基地局
2、2A 移動局
3 回線網
4 PDS
11、21 アンテナ
12、22 通信制御部
13 通信量測定部
14 制御情報送信部
15 回線制御部
23 制御情報受信部
24 通信経路判定部
25 入出力制御部
26 データインタフェース部
Claims (2)
- 複数の基地局と複数の移動局との間の通信に用いる移動局であって、
前記基地局は、
前記移動局との無線信号の送受信に用いるアンテナと、
一定時間内に前記基地局を通過したパケット数をカウントし、そのカウント結果を数値化した混雑度合いを出力する通信量測定部と、
前記通信量測定部が出力した前記混雑度合いを前記移動局に送信する制御情報送信部と、を有し、
前記移動局は、
前記基地局との無線信号の送受信に用いるアンテナと、
前記混雑度合いを含む制御情報を受信し出力する制御情報受信部と、
前記制御情報受信部の前記混雑度合いを含む制御情報に基づいて次のパケット送信の経路選択を行う通信経路判定部と、
前記通信経路判定部が経路選択をした前記基地局との通信処理を行う通信制御部と、
を有し、
前記通信制御部は、前記通信経路判定部が前記経路選択をした前記基地局それぞれの前記混雑度合いに応じてそれぞれの前記基地局に送信しようとするパケット数をそれぞれ規定し、前記経路選択をした前記基地局それぞれに前記規定したパケット数を送信することを特徴とする移動局。 - 前記通信量測定部が出力した前記混雑度合いは、通過したパケット数の前記カウント結果を予め定めた2段階の閾値と比較して判定した3種類の混雑度合いであり、
前記通信制御部が前記3種類の混雑度合いに応じて規定するパケット数は、「混雑していない」混雑度合いの場合に多めのパケット数に規定し、「やや混雑している」混雑度合いの場合に少なめのパケット数に規定し、「混雑している」混雑度合いの場合にパケットを送信しない規定とすることを特徴とする請求項1記載の移動局。
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