JP3943831B2 - 微粉炭吹き込み操業における炉芯昇熱方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉操業方法に関し、特に高炉羽口からの微粉炭吹き込み操業における炉芯昇熱方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製鉄用高炉は大量の銑鉄を製造でき、しかも熱効率が90%と高い。このため、現在でも銑鉄製造の主流となっている。しかし、高炉は巨大な向流移動層であるために、生産性、生産弾力性等に問題があり、安定した生産性と溶銑品質の確保のためにはより一層の制御性の向上が望まれている。
また、高炉では鉄源コスト競争力強化の観点から、安価原燃料の多量使用や高微粉炭比高O/C操業が実施されつつある。例えば、微粉炭比で100kg/t以上の微粉炭を高炉羽口から吹き込み、且つ1チャージあたりの鉱石とコークスの装入重量比(O/C)が4.0以上であるような高微粉炭比高O/Cの操業下では、微粉炭比の増大に伴う炉内の粉率上昇やO/Cの増大に伴う融着帯の垂れ下がり等が発生し、特に高炉炉芯部の通気通液性が低下しやすくなる。
【0003】
高炉炉芯部の通気通液性の低下は、炉床湯流れの不均一さの問題を引き起こすため、安定した高生産性操業を継続するためには、高微粉炭比高O/Cの操業時における有効な炉芯の活性化技術の確立が望まれている。
【0004】
上記高炉炉芯部の通気性通液性が低下した場合の対策としては、従来から知られている燃料比上昇や水蒸気添加のほかにも、最近いくつかの炉芯活性化方法が開示されている。例えば、特開平6−93319号公報、特開平6−93320号公報では、高炉の休風時に複数の羽口を介して高炉炉芯部の特性を測定することにより炉芯部の状態を判定し、加熱が必要な炉芯部位の近傍にある羽口から中空パイプを挿入して、その部位のコークスをサンプリングすることにより通気孔を設ける方法がある。
【0005】
また、特開平7−268416号公報では、高炉休風時あるいは操業時に炉芯粉率を測定し、粉率が20%以上の場合に加熱が必要な部位や粉除去が必要な部位の近傍にある羽口から中空パイプを挿入して炉芯内コークスをサンプリングすることにより空洞の通気孔を設ける方法が提示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平6−93319号公報、特開平6−93320号公報、特開平7−268416号公報で示されている方法、すなわち羽口から炉芯内コークスのサンプリングを行い炉芯内に空洞の通気孔を設ける方法では、高炉休風時のコークスサンプリングにより形成された炉芯内の空洞の通気孔が送風立ち上げ時に確実に維持されている保証はない。
したがって、上記のような炉芯の通気孔から炉芯内へ高温ガスの一部を吹き込むことにより炉芯内のコークス、メタル、スラグを加熱したり、コークス粉除去を行う方法では、送風立ち上げ時の炉芯の通気孔の状態により、その効果にバラツキが生じてしまうため、安定して予想通りの効果を得ることは困難である。
【0007】
また、この方法により炉芯内に形成された空洞の通気孔が仮に送風立ち上げ時に確実に維持されて炉芯部の温度が一時的に上昇したとしても、炉芯表層部位の通気通液性を悪化させる根本的な原因を解消したわけではないため、操業時に再度炉芯部に通気性通液性の悪い部位が形成される可能性は大きい。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑み、特に高炉の微粉炭吹き込み操業時に炉芯温度低下の原因となる炉芯表層部の通気通液性の悪化を従来のように燃料比を上げずに根本的に解消することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)微粉炭の吹き込み量が150kg/t以上である微粉炭吹き込み操業において、高炉羽口から微粉炭と共に粉蛇紋岩を高炉内に吹き込み、かつ前記粉蛇紋岩の粒径が0.01mm超から2mm未満である微粉炭吹き込み操業における炉芯昇熱方法。
【0010】
(2)高炉羽口から微粉炭と共に粉蛇紋岩を高炉内に吹き込む際に、前記微粉炭と前記粉蛇紋岩を高炉羽口のブローパイプ内に臨ませた1本のランスを通して高炉内に吹き込む上記(1)に記載の微粉炭吹き込み操業における炉芯昇熱方法。
(3)高炉羽口から微粉炭と共に粉蛇紋岩を高炉内に吹き込む際に、前記微粉炭と前記粉蛇紋岩を高炉羽口のブローパイプ内に臨ませた2本の吹き込みランスを通してそれぞれ別々に高炉内に吹き込む上記(1)に記載の微粉炭吹き込み操業における炉芯昇熱方法。
【0011】
(9)前記SiO2 系フラックスが粉珪石からなる上記(1)ないし(8)の何れか1項に記載の微粉炭吹き込み操業における炉芯昇熱方法。
(10)前記SiO2 系フラックスが粉蛇紋岩からなる上記(1)ないし(8)の何れか1項に記載の微粉炭吹き込み操業における炉芯昇熱方法。
(11)前記MgO系フラックスが粉ドロマイトからなる上記(3)、(4)、(6)、(8)の何れか1項に記載の微粉炭吹き込み操業における炉芯昇熱方法。
(12)前記微粉炭の吹き込み量が150kg/t以上である上記(1)ないし(11)の何れか1項に記載の微粉炭吹き込み操業における炉芯昇熱方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、先ず、特に高炉の高微粉炭吹き込み操業において顕著になる炉芯部の通気通液性の悪化及び炉芯部の温度低下のメカニズムについて検討した。一般に、高炉の炉芯部の昇温は、高炉上部から滴下してくるメタル及びスラグからの伝熱とレースウェイで発生する高温の還元ガスからの伝熱により行われることが知られている。
【0013】
従来、高微粉炭比及び低燃料比指向の高O/C操業において発生する炉芯温度低下の原因は、高O/C操業に起因する融着帯レベルの低下や微粉炭吹き込み量の増大に伴う炉内粉率上昇であると考え、その対策としてO/Cの低下により融着帯レベルの上昇、すなわち炉下部の熱レベルを上昇させたり、微粉炭吹き込み量の低下により炉内粉率を低下させることにより炉芯温度の活性化を行っていた。しかしながら、この方法では燃料比が上がるため銑鉄の生産量の低下や生産コストの上昇の問題を招いていた。
【0014】
本発明者らは、上記の高微粉炭比および低燃料比指向の高O/C操業における炉芯部の温度低下メカニズムを実験等により詳細に調査した結果、その原因は上記の他に、羽口から吹き込む微粉炭中のAshに含まれるAl2 O3 およびSiO2 に起因してレースウェイ奥で生成されるスラグのAl2 O3 濃度および塩基度(CaO/SiO2 )が増加し、スラグの融点および粘度が上昇するために、炉芯内部への還元ガスの通気性や滴下メタルおよびスラグの通液性を阻害し、その結果、炉芯内部への伝熱量が減少し、最終的に炉芯温度が低下することが判った。
【0015】
図1および図2は、高炉休風時に羽口サンプリングを行い、その中の滴下スラグを分析した結果を示す。図1および図2から分かるようにレースウェイ奥(羽口先端から約1.5mの近傍位置)の滴下スラグ中の塩基度(CaO/SiO2)およびAl2 O3 の濃度がレースウェイ内や炉芯内に比べてそれぞれ高いことが判る。
本発明者らは、上記の現象を次のように考察した。一般に微粉炭Ash中に80%前後のAl2 O3 、SiO2 が含有されているが、図3に示すように羽口からレースウェイ内に吹き込まれた微粉炭のAsh中のSiO2 は、コークス中あるいは微粉炭中のカーボン(C)と反応してSiOガスとなるため、レースウェイ奥に飛散していくAshの成分は、吹き込み直前の微粉炭のAsh成分に比べてSiO2 濃度が低くAl2 O3 濃度が高いものとなる。
【0016】
したがって、図1及び図2に示されるようにレースウェイ奥で生成される滴下スラグ中の塩基度(CaO/SiO2 )及びAl2 O3 の濃度が、レースウェイ内や炉芯内に比べて高くなる原因は、上記のメカニズムでAl2 O3 濃度が高く、SiO2 濃度が低いAshがレースウェイ奥に付着蓄積するためであると考えられる。この結果、レースウェイ奥の滴下スラグ中のAl2 O3 濃度が上昇し、SiO2 濃度が低下することにより、滴下スラグの融点及び粘度は上昇するため、スラグは滴下し難くなりレースウェイ奥に滞留するようになり、最終的にレースウェイ奥における炉芯への高温還元ガスの通気性及び滴下メタル・スラグの通液性が悪化する。
以上のよううな現象は、多量微粉炭吹き込み操業時のように、コークス中に比べて反応性が高い微粉炭中のAshが多く吹き込まれる場合に顕著になると予想される。
【0017】
本発明者らは、上記の知見を基に、微粉炭吹き込み操業時に燃料比を上げずに、羽口からフラックスを吹き込むことでレースウェイ奥のスラグ組成(スラグ中のSiO2 及びAl2 O3 含有量)を制御し、スラグの融点及び粘度を低下し、炉芯への通気性通液性の向上及び炉心の昇温を行う方法について検討した。
【0018】
以下に本発明について詳細に説明する。
図4は、本発明の一例として高炉羽口からランスを用いて微粉炭と共にフラックスを吹き込む方法を示す。通常、高炉炉内4への送風は、高炉炉壁1に設けられた羽口2の後端に連結されたブローパイプ3を介して、加熱空気等の高温ガスを供給することにより行われる。
本発明において微粉炭及びフラックスの吹き込みは、前記ブローパイプ3を貫通してガス通路内に開口されたランス7および8を用いて行われ、微粉炭とフラックスの混合物をランス7のみを介して、或いは微粉炭およびフラックスをそれぞれランス7および8を介して、ガス通路内に吹き込まれる。
【0019】
また、羽口2前方には吹き込まれた高温ガスによる噴流域5が形成され、さらに炉内4に充填されたコークスが旋回しながら燃焼する領域、すなわちレースウェイ6が形成される。ランス7から吹き込まれた微粉炭は、その中に含まれるAshの含有成分であるSiO2 が噴流域5の中で、コークス中のカーボン(C)、或いは吹き込まれた微粉炭中のカーボン(C)と反応してSiOとなるため、微粉炭Ash中のSiO2 濃度は低下し、Al2 O3 濃度は相対的に上昇する。
このようにして、Al2 O3 濃度および塩基度(CaO/SiO2 )が高くなった微粉炭中のAshは、レースウェイ6奥のコークス充填層の空隙に付着蓄積して、高融点及び高粘性の滴下スラグを形成し、これが炉芯への通気通液性を悪化させる原因となる。
【0020】
本発明者らは、この炉芯への通気通液性を改善するためには、レースウェイ奥に到達するAshのAl2 O3 濃度と塩基度(CaO/SiO2 )を低下させる方法が有効であり、そのためにSiO2 濃度の高いフラックスを吹き込むことで達成できると考え、種々のフラックスについて検討をおこなった。
先ず、本発明者らは、吹き込むフラックスの種類として、SiO2 濃度の高いSiO2 系フラックスとして珪石粉を考えた。しかし、この珪石粉のようなSiO2 系フラックスを用いた場合、珪石粉中のSiO2 成分の一部がコークス中あるいは微粉炭中のカーボン(C)と反応してSiOとなるため、レースウェイ奥のAsh中のAl2 O3 濃度および塩基度(CaO/SiO2 )の低下は期待できるものの、同時に溶銑中のSiを上昇させることがわかった。
【0021】
そこで、本発明者らは、高い濃度でSiO2 を含有し、且つSiO2 とカーボン(C)によるSiO生成反応を抑制するフラックスとしてSiO2 とMgOをそれぞれ40%弱含む蛇紋岩粉に着目した。本発明者らの実験によれば、この蛇紋岩粉をフラックスとして用いた場合、蛇紋岩粉中に多量に含有するMgOが微粉炭Ash中のSiO2 の活量を低下させ、SiO2 とコークス中あるいは微粉炭中のカーボン(C)との反応(SiO生成反応)を抑制する作用があるため、溶銑中のSiを上昇させることなく、レースウェイ奥のAsh中のAl2 O3 濃度及び塩基度(CaO/SiO2 )を低下できる。
【0022】
また、上記の蛇紋岩粉をフラックスとして用いた場合、同等な効果を得る方法として、珪石粉のようなSiO2 濃度の高いSiO2 系フラックスとドロマイト粉のようなMgO濃度の高いMgO系フラックスを予め混合させて、混合物フラックスとして用いることも有効である。
本発明では、SiO2 系フラックスを単独で吹き込むか、SiO2 系フラックスとMgO系フラックスを混合して吹き込むかのどちらを採用するかは、高炉の操業条件によって使い分けることがより好ましい。
【0023】
本発明において上記効果を効率的に発揮させるためには、フラックスがレースウェイ奥に到着し、滴下スラグと接触して効率良く同化反応することが必要であり、そのためにはSiO2 系フラックスおよびMgO系フラックスのそれぞれの粒径を0.01mm超から2mm未満の範囲にすることが適正であることが判った。
すなわち、上記フラックスの粒径が0.01mm以下では、フラックスが高炉内に吹き込まれた後、炉内ガスの上昇流に随伴されて上方に運ばれて、目的とするレースウェイ奥に到達しなくなる。また、上記フラックスの粒径が2mm以上になると、フラックスはレースウェイ奥に到達するものの、フラックス粒径が大きすぎるために滴下スラグとの同化反応が効率良く進行しない。
【0024】
本発明のフラックスの吹き込み方法としては、予め微粉炭とフラックスを混合して1本のランスを介して羽口内の高温ガス通路中に吹き込む方法(混合吹き込み)、微粉炭とフラックスを2本ランスを介して別々に羽口内の高温ガス通路中に吹き込む方法(単独吹き込み)の何れも、本願の目的とするレースウェイ奥の滴下スラグの塩基度およびAl2 O3 濃度の低下にとって有効である。
前者と後者の吹き込み方法を比較するならば、前者のフラックスと微粉炭との混合吹き込みの方法は、後者のラックスの単独吹き込み方法に比べて、フラックスの温度が、混合された微粉炭の燃焼に伴い2000℃前後に急激に上昇し、フラックスは十分に溶融した状態でレースウェイ奥に到着できるため、滴下スラグの塩基度(CaO/SiO2 )およびAl2 O3 濃度を有効に低下できるという利点がある。
【0025】
しかしながら、前者のフラックスと微粉炭との混合吹き込みの方法は、後者のフラックスの単独吹き込み方法に比べて、フラックスと微粉炭が混合されているため、フラックス中SiO2 が微粉炭中のカーボン(C)と反応してSiOになりやすく、溶銑中Siが上昇する可能性がある。
したがって、これらのフラックス吹き込み方法のどちらを採用するかは、吹き込むフラックスの成分値、物性値、あるいは個々の高炉のレースウェイ状態によって使い分けることがより好ましい。
なお、本発明においては、微粉炭の吹き込み量が150kg/t以上の高
微粉炭比操業においてより大きな効果が期待できる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の効果を実際の高炉に適用した実施について以下説明する。
実施例に用いた微粉炭吹き込み用ランスの先端は何れも羽口先端から0.3m内部に入った羽口内である。
【0027】
(実施例1)
本発明方法を用いて3280m3 の高炉にて、微粉炭とフラックス(珪石粉)の混合吹き込みを1本のランスにて行った。
微粉炭比(PCR=180kg/t)、1チャージあたりの鉱石とコークスの装入重量比(O/C)が5.5という操業条件であり、炉下部の通気状態を表す下部K値が上昇し溶銑温度が1480℃未満になる割合が増加傾向にあり、炉下部の通気性・炉熱状態が厳しいことが予想された。
休風時に羽口サンプリングを行ったが、レースウェイ奥の羽口先端から1.5m〜2.0mの範囲でサンプラーの挿入速度が急激に低下し、サンプラーの深度は3mと浅かった。レースウェイ奥の滴下スラグのAl2 O3 は17%、CaO/SiO2 は1.4と高く、高粘性・高融点の滴下スラグが形成されていた。
【0028】
そこで、全周の羽口から粒径が0.01超から2mm未満の範囲にある珪石粉を微粉炭とともに溶銑t当たり8kg/tの吹き込みを行った結果、1週間後から徐徐に溶銑温度が1480℃以上になる割合が増加し下部K値が低下傾向を示した。溶銑中Siは0.41%とフラックス吹き込み前に比べて0.01%上昇と若干の上昇に留まった。
休風時に羽口サンプリングを行ったが、レースウェイ奥の羽口先端から1.5m〜2.0mの範囲でサンプラーの挿入速度の急激な低下がなく、サンプラーの深度は4.5mまで上昇した。レースウェイ奥の滴下スラグのAl2 O3 は14%、CaO/SiO2 は1.2とフラックス吹き込み前の休風時に比べて大幅に低下していた。
【0029】
(実施例2)
本発明方法を用いて3280m3 の高炉にて、微粉炭とフラックス(蛇紋岩粉)の混合吹き込みを1本のランスにて行った。
微粉炭比(PCR=180kg/t)、1チャージあたりの鉱石とコークスの装入重量比(O/C)が5.5という操業条件であり、炉下部の通気状態を表す下部K値が上昇し溶銑温度が1480℃未満になる割合が増加傾向にあり、炉下部の通気性・炉熱状態が厳しいことが予想された。
休風時に羽口サンプリングを行ったが、レースウェイ奥の羽口先端から1.5m〜2.0mの範囲でサンプラーの挿入速度が急激に低下し、サンプラーの深度は2.5mと浅かった。レースウェイ奥の滴下スラグのAl2 O3 は17.5%、CaO/SiO2 は1.35と高く、高粘性・高融点の滴下スラグが形成されていた。
【0030】
そこで、全周の羽口から粒径が0.01超から2mm未満の範囲にある蛇紋岩粉を微粉炭とともに溶銑t当たり16kg/tの吹き込みを行った結果、1週間後から徐徐に溶銑温度が1480℃以上になる割合が増加し下部K値が低下傾向を示した。溶銑中Siは0.40%とフラックス吹き込み前に比べて全く変化がなかった。
休風時に羽口サンプリングを行ったが、レースウェイ奥の羽口先端から1.5m〜2.0mの範囲でサンプラーの挿入速度の急激な低下がなく、サンプラーの深度は4.3mまで上昇した。レースウェイ奥の滴下スラグのAl2 O3 は14.5%、CaO/SiO2 は1.22とフラックス吹き込み前の休風時に比べて大幅に低下していた。
【0031】
(実施例3)
本発明方法を用いて3280m3 の高炉にて、微粉炭吹き込みランスとは別のランスからフラックス(珪石粉)の単独吹き込みを行った。
微粉炭比(PCR=180kg/t)、1チャージあたりの鉱石とコークスの装入重量比(O/C)が5.5という操業条件であり、炉下部の通気状態を表すK値が上昇し溶銑鉄温度が1480℃未満になる割合が増加傾向にあり、炉下部の通気性・炉熱状態が厳しいころが予想された。
休風時に羽口サンプリングを行ったが、レースウェイ奥の羽口先端から1.5m〜2.0mの範囲でサンプラーの挿入速度が急激に低下し、サンプラーの深度は3.1mと浅かった。レースウェイ奥の滴下スラグのAl2 O3 は18%、CaO/SiO2 は1.37と高く、高粘性・高融点の滴下スラグが形成されていた。
【0032】
そこで、全周の羽口から粒径が0.01超から2mm未満の範囲にある珪石粉を微粉炭とともに溶銑t当たり7.5kg/tの吹き込みを行った結果、1週間から徐々に溶銑温度が1480℃以上になる割合が増加し下部K値が低下傾向を示した。溶銑中Siは0.40%とフラックス吹き込み前に比べて全く変化がなかった。休風時に羽口サンプリングを行ったが、レースウェイ奥の羽口先端から1.5m〜2.0mの範囲でサンプラーの挿入速度の急激な低下がなく、サンプラーの深度は4.5mまで上昇した。レースウェイ奥の滴下スラグのAl2 O3は14.4%、CaO/SiO2 は1.21とフラックス吹き込み前の休風時に比べて大幅に低下していた。
【0033】
(実施例4)
本発明方法を用いて3280m3 の高炉にて、微粉炭吹き込みランスとは別のランスからフラックス(蛇紋岩粉)の単独吹き込みを行った。
微粉炭比(PCR=180kg/t)、1チャージあたりの鉱石とコークスの装入重量比(O/C)が5.5という操業条件であり、炉下部の通気状態を表す下部K値が上昇し溶銑温度が1480℃未満になる割合が増加傾向にあり、炉下部の通気性・炉熱状態が厳しいことが予想された。
休風時に羽口サンプリングを行ったが、レースウェイ奥の羽口先端から1.5m〜2.0mの範囲でサンプラーの挿入速度が急激に低下し、サンプラーの深度は3.1mと浅かった。レースウェイ奥の滴下スラグのAl2 O3 は18.5%、CaO/SiO2 は1.36と高く、高粘性・高融点の滴下スラグが形成されていた。
【0034】
そこで、全周の羽口から粒径が0.01超から2mm未満の範囲にある蛇紋岩粉を微粉炭とともに溶銑t当たり15kg/tの吹き込みを行った結果、1週間後から徐徐に溶銑温度が1480℃以上になる割合が増加し下部K値が低下傾向を示した。溶銑中Siは0.38%とフラックス吹き込み前に比べて0.01%低下した。
休風時に羽口サンプリングを行ったが、レースウェイ奥の羽口先端から1.5m〜2.0mの範囲でサンプラーの挿入速度の急激な低下がなく、サンプラーの深度は4.4mまで上昇した。レースウェイ奥の滴下スラグのAl2 O3 は14.2%、CaO/SiO2 は1.21とフラックス吹き込み前の休風時に比べて大幅に低下していた。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、高微粉炭比および低燃料比指向の高O/C操業において、燃料比を上げずに、羽口から高SiO2 系フラックスを吹き込むことにより、炉芯への通気性通液性の低下の原因となっているレースウェイ奥の高Al2 O3 濃度、高CaO/SiO2 スラグのAl2 O3 濃度、CaO/SiO2 を低下させて、レースウェイ奥の滴下スラグの融点・粘性を下げることができる。
したがって、高微粉炭比高O/C操業において、炉芯への通気性通液性を常に良好な状態に維持できることにより、高微粉炭比高O/C下での安定操業を長期的に継続できるなど、高炉操業に有効な効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】休風時の羽口サンプル中の滴下スラグ分析結果であり、羽口先端からの距離と塩基度(C/S=CaO/SiO2 )を示す図。
【図2】休風時の羽口サンプル中の滴下スラグ分析結果であり、羽口先端からの距離とAl2 O3 濃度を示す図。
【図3】炉内に吹き込まれた微粉炭のAsh中のAl2 O3 が高濃度になるメカニズムを説明するための図。
【図4】本発明のフラックスの吹き込み方法を説明するための図。
【符号の説明】
1 高炉炉壁
2 羽口
3 ブローパイプ
4 炉内
5 噴流域
6 レースウェイ
7 微粉炭吹き込み、或いは微粉炭及びフラックスの混合物の吹き込み用ランス
8 フラックス吹き込み用ランス
Claims (3)
- 微粉炭の吹き込み量が150kg/t以上である微粉炭吹き込み操業において、高炉羽口から微粉炭と共に粉蛇紋岩を高炉内に吹き込み、かつ前記粉蛇紋岩の粒径が0.01mm超から2mm未満であることを特徴とする微粉炭吹き込み操業における炉芯昇熱方法。
- 高炉羽口から微粉炭と共に粉蛇紋岩を高炉内に吹き込む際に、前記微粉炭と前記粉蛇紋岩を高炉羽口のブローパイプ内に臨ませた1本のランスを通して高炉内に吹き込むことを特徴とする請求項1に記載の微粉炭吹き込み操業における炉芯昇熱方法。
- 高炉羽口から微粉炭と共に粉蛇紋岩を高炉内に吹き込む際に、前記微粉炭と前記粉蛇紋岩を高炉羽口のブローパイプ内に臨ませた2本の吹き込みランスを通してそれぞれ別々に高炉内に吹き込むことを特徴とする請求項1に記載の微粉炭吹き込み操業における炉芯昇熱方法。
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