JP4044711B2 - 高炉への微粉炭吹き込み操業時の炉芯昇熱方法 - Google Patents

高炉への微粉炭吹き込み操業時の炉芯昇熱方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炉への微粉炭吹き込み操業時に高炉レースウェイ内の微粉炭の燃焼焦点を羽口側からレースウエイ奥へ移行させ、レースウエイ奥から炉芯表層の温度を高める高炉炉芯の昇熱方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製鉄用高炉は大量の銑鉄を製造できしかも熱効率が90%と高い。このため、現在でも銑鉄製造の主流を維持している。しかし、高炉は巨大な向流移動層であるために、生産性、生産弾力性等に問題があり、安定した生産性と溶銑品質の確保のためにはより一層の制御性の向上が望まれている。
一方、高炉では鉄源コスト競争力強化の観点から、安価な原燃料多量使用操業や高炉羽口からの微粉炭吹き込み量が多く(高微粉炭比)、かつ、1チャージ当たりの鉱石とコークスの装入比(O/C)の高い操業が実施されつつある。
【0003】
上記のような熱および通気上過酷な操業下では、高O/Cに起因した融着帯形状垂れ下がり、粉率上昇等が起こり、炉芯部の通気性・通液性の確保が困難となりやすい。炉芯部の通気性・通液性の悪化は炉床湯流れの不均一さを引き起こし、安定した高生産性操業を継続することが難しくなる。したがって、有効な炉芯の活性化技術の確立が望まれている。
【0004】
上記炉芯部の通気性・通液性が低下した場合の炉芯の活性化方法としては、従来技術の燃料比上昇や水蒸気添加のほかに、いくつかの炉芯活性化方法の発明が提案されている。例えば特開平6−93319号公報、特開平6−93320号公報では、休風毎に複数の羽口を介して炉芯部の特性を測定して炉芯部の状態を判定し、要加熱部位の近傍の羽口から中空パイプを挿入して炉芯内コークスをサンプリングすることにより炉芯内に通気孔を設ける方法が開示されている。
【0005】
また、特開平7−268416号公報では、休風時あるいは操業時に炉芯粉率を測定し、粉率が20%以上の場合に要加熱・粉除去部位の近傍の羽口から中空パイプを挿入して炉芯内コークスをサンプリングすることにより炉芯内に空洞の通気孔を設ける方法が開示されている。さらに、特開平11−209807号公報では、二重ランスあるいは三重ランスを用いて微粉炭を内管中内部から、窒素ガス等を内管と外管の間から供給し、ガス流速を調整変更する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平6−93319号公報、特開平6−93320号公報、特開平7−268416号公報に示されている方法、すなわち羽口コークスサンプリングにより炉芯内コークスを取り出して炉芯内に空洞の通気孔を設ける方法では、羽口コークスサンプリングにより形成された炉芯内の空洞の通気孔が送風立ち上げ時に確実に維持されている保証はない。
【0007】
したがって、上記の方法では、炉芯内へ高温ガスの一部を吹き込むことによる炉芯内コークス・メタル・スラグの加熱効果や粉除去効果にバラツキが生じ、予想通りの効果が得られる場合と、予想より小さい効果しか得られない場合が生じる。たとえ、羽口コークスサンプリングにより形成された炉芯内の空洞の通気孔が送風立ち上げ時に確実に維持されている場合でも、炉芯表層部の通気性・通液性の悪い部位の根本的な原因を解消しているわけではないからである。
このように、炉芯部への高温ガス流通量が増加して炉芯部の温度が一時的に上昇しても、再度炉芯部に通気性・通液性の悪い部位が形成される可能性を避けることはできない。
【0008】
また、特開平11−209807号公報では、微粉炭の燃焼焦点を羽口先端側からレースウェイ奥に移動させることにより、レースウェイ奥から炉芯表層部にかけての温度を上昇させることを目的としている。しかしこの方法では、温度上昇幅が100℃前後程度であり炉芯表層部の温度上昇幅が本発明の目的からみて十分でない。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、粉炭吹き込み操業時において、微粉炭の炭種として低揮発分含有炭を用いることによって、レースウエイ奥から炉芯表層部の温度を常に高温度に維持して通気性・通液性悪化部位を根本的に解消することにより、上記問題点を解決することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記した従来方法における問題点を解決するためになされたものであって、その要旨するところは、下記手段にある。
(1) 炉羽口からの微粉炭吹き込みに際して、二重管ランスを用い、揮発分が19質量%未満の微粉炭を内管中内部から供給するとともに、冷風を内管と外管の間から供給し、該冷風の速度および/または風量を調整変更することにより、高炉レースウェイ内における微粉炭の燃焼焦点位置を羽口側からレースウエイ奥へ移行させ、レースウエイ奥から炉芯表層の温度を高めることを特徴とする高炉への微粉炭吹き込み操業時の炉芯昇熱方法。
(2) 炉羽口からの微粉炭吹き込みに際して、三重管ランスを用い、揮発分が19質量%未満の微粉炭を内管中内部から供給するとともに、冷風を中心管と中間管の間から供給し、かつ、酸素を富化した冷風を外管と中間管の間から供給し、該冷風の速度および/または風量を調整変更することにより、高炉レースウェイ内における微粉炭の燃焼焦点位置を羽口側からレースウエイ奥へ移行させ、レースウエイ奥から炉芯表層の温度を高めることを特徴とする高炉への微粉炭吹き込み操業時の炉芯昇熱方法。
【0013】
【発明の実施の態様】
炉芯部の通気性・通液性を改善し炉芯を活性化するためには、炉芯部の温度が低下するメカニズムを明確に把握しておく必要がある。炉芯部の昇温は、一般的に、炉上部から滴下してくるメタル、スラグからの伝熱とレースウェイで発生する高温の還元ガスからの伝熱により行われる。
【0014】
高微粉炭比低燃料比による高O/C操業時には、融着帯レベルの低下により滴下メタル、スラグの温度が低下すること、および微粉炭中の高Al23 濃度のAshがレースウェイ奥のコークス充填層に付着蓄積して、高Al23 濃度・高塩基度(CaO/SiO2 )スラグとしてコークス充填層の空隙を埋め、高炉炉芯内部への通気・通液性を低下させるため、滴下メタル、スラグおよびレースウェイで発生する高温の還元ガスから炉芯への伝熱量が減少し、炉芯温度が低下しやすい状況にある。
【0015】
さらに、微粉炭中の高Al23濃度のAshがレースウェイ奥のコークス充填層に付着蓄積しやすい要因のひとつとしては、図1に示すように、微粉炭多量吹き込みに伴いレースウェイ内での温度分布の変化、すなわち、微粉炭の燃焼焦点が羽口先端寄りとなり、その結果、レースウエイ奥から炉芯表層部の温度が低下することが考えられる。すなわち、図1は微粉炭吹き込み量の変化による微粉炭の燃焼焦点位置の差異を示したものであり、微粉炭比が高くなることにより微粉炭の燃焼焦点位置が羽口先端部近傍になっている。
したがって、滴下メタル、スラグおよびレースウェイで発生する高温の還元ガスから炉芯への伝熱量を増加させ炉芯を活性化するためには、滴下メタル、スラグの温度を上昇させること、あるいは微粉炭Ash中のAl23濃度をできるだけ低下することおよび微粉炭Ash中のSiO2濃度を低下させないことが必要である。
【0016】
滴下メタル、スラグの温度を上昇させるためには、融着帯レベルを上昇させること、すなわち炉下部の熱レベルを上昇させることが必要であり、現実には燃料比を上昇させる手段が採られている。しかし、この方法では銑鉄の生産量が低下し、生産コストが上昇するため、前述した微粉炭Ash中のAl23 濃度を低下し、SiO2 濃度を低下させない方法あるいはレースウェイ奥の温度を上昇させる方法を開発することが必要となる。
【0017】
休風時の羽口サンプリング結果によると、図2、図3に示すようにレースウェイ奥の滴下スラグ中の塩基度(CaO/SiO2 )、Al23 濃度がレースウェイ内、炉芯内に比べて高い。これは、レースウェイ内に吹き込まれる微粉炭中のAshによる影響が大きいためである。
微粉炭中のAshの80%前後はAl23 、SiO2 であり、図4に示すように羽口からレースウェイ内に吹き込まれた微粉炭Ash中のSiO2 が、コークス中あるいは微粉炭中のカーボン(C)と反応してSiOガスとなるため、レースウェイ奥に飛散していくAshの成分は、吹き込み前のAsh成分に比べてAl23 濃度が上昇しSiO2 濃度が低下する。
【0018】
すなわち、レースウェイ奥の滴下スラグ中の塩基度(CaO/SiO2 )、Al23 比率がレースウェイ内、炉芯内に比べて高くなるのは、吹き込み前のAsh成分に比べて高Al23 の濃度、低SiO2 濃度となったAshがレースウェイ奥に付着蓄積するためである。その結果、高融点、高粘性のスラグが形成されて滴下せずにレースウェイ奥のコークス充填層にトラップされるため、レースウェイ奥の通気性・通液性が悪化する。上記現象は、コークスAshに比べて反応性が高い微粉炭Ashを多量に吹き込む操業時において顕著になることが予測される。
【0019】
レースウェイ奥のコークス充填層に滞留している高融点・高粘性のスラグを滴下させるためには、スラグの塩基度(CaO/SiO2 )およびAl23 濃度を低下させて、滴下スラグの融点、粘性を下げてやることの他に、レースウェイ奥の温度を上昇させることが考えられる。
【0020】
ここでまず、通常の微粉炭吹き込みランスの設置状態を図5に示した。高炉炉壁1には羽口2が設けられ、羽口2の後端にブローパイプ3が連接されている。ブローパイプ3には加熱空気等のガスが供給されており、ブローパイプ3を介して羽口2から炉内4に送風される。このような送風羽口においてランス7がブローパイプ3を貫通してガス通路内に開口し、該ランス7を介して微粉炭がガス通路内に吹き込まれるように構成されており、羽口2の前方にはガスによる噴流5が形成され、さらに炉内4に充填されたコークスが旋回しながら燃焼する領域、すなわちレースウェイ6が形成されている。
【0021】
該ランス7から吹き込まれた微粉炭Ash中のSiO2 はガスによる噴流域でコークス中あるいは微粉炭中のカーボン(C)と反応してSiOとなるので、微粉炭Ash中のSiO2 濃度は低下しAl23 濃度は相対的に上昇する。このガスによる噴流域で高Al23 濃度、高CaO/SiO2 になった微粉炭Ashがレースウェイ奥のコークス充填層の空隙に付着蓄積して、高融点・高粘性の滴下スラグを形成し、炉芯への通気・通液性を悪化させる。
【0022】
この炉芯への通気・通液性を改善するためには、レースウェイ奥に到達するAshのAl23 濃度とCaO/SiO2 を低下させてやることが有効であるが、そのためにはSiO2 濃度の高いフラックスを吹き込むことの他に、レースウェイ奥の温度を上昇させることが必要となる。
【0023】
そこで本発明者は、微粉炭を多量に吹き込む高炉操業において、レースウェイ奥の温度を上昇させる方法について種々なる検討を行った。すなわち、通常の単管ランスあるいは二重ランスあるいは三重ランスにおいて、どのような微粉炭を吹き込めばレースウェイ奥の温度を効率よく上昇できるかの検討を行った結果、低揮発分の微粉炭を吹き込むことによって、レースウェイ奥の温度を効果的に上昇できるとの知見を得た。
【0024】
すなわち、レースウェイ奥の温度上昇方策として、高炉羽口からの微粉炭吹き込みに際して、使用する炭種の揮発分が低いものを選択することが考えられる。低揮発分の微粉炭は燃焼速度が遅く、そのため羽口先端近傍での燃焼量が少なくなり、レースウェイ奥の方で燃焼するため、燃焼最高温度値(燃焼焦点)のピークが羽口先端から離れ、炉芯近傍に達する。
【0025】
このことを図示すると図6の如くになる。図6は微粉炭中の揮発分含有量と微粉炭燃焼最高温度のピーク値の関係を示したもので、微粉炭中の揮発分が変化することにより、微粉炭の燃焼最高温度のピーク値が羽口先端からの距離が変わっていることが示されている。すなわち、微粉炭中の揮発分が低い程燃焼最高温度のピーク値がレースウェイの奥の方に移向していることが明らかに表れている。
【0026】
高炉羽口からの微粉炭吹き込みに当たり揮発成分が高い微粉炭を使用した場合には、微粉炭の燃焼性が著しく上昇するため高炉内ガス流が周辺部に移行し、高炉操業の不安定化をもたらす。つまり、揮発分の高い石炭には内部にCO・H2等から構成される揮発性成分を多量に含有するため、高炉送風用羽口で熱風と接触した際に、通常の範囲(30%前後)の揮発成分を含有する微粉に比較し燃焼性が向上する。特に微粉炭は揮発性成分が40重量%を越えるとその燃焼性が極端に上昇する。
【0027】
これは、揮発性成分が熱風に接触した際に微粉炭に亀裂が入り微細化されるため、微粉炭の燃焼性が更に向上すると言った相乗効果により、燃焼・ガス化が著しく上昇するためである。この結果、高炉内で微粉炭のガス化が早くなるため、高炉内の上昇ガス流は高炉中心部から高炉周辺部へと移行する。
高炉上昇ガスの周辺部への移行は高炉ガス流れの不安定化を起因とした鉱石還元遅れ、羽口よりの熱風吹き込み量の不安定化、炉体放散熱上昇による燃料原単位の悪化、高炉ステープの損傷等の問題を引き起こす。
したがって、微粉炭の燃焼焦点をレースウェイ奥の方に移向するには先ず低揮発分の炭種を単独で用いるか、または揮発分の異なる複数の炭種を適宜混合して所定の低揮発分となるようにその配合割合を調整してやることで、目標とする低揮発分値を保持すべきである。
【0028】
前述した如く、微粉炭の揮発分を低くすることで燃焼焦点をレースウェイ奥まで移向することができるが、微粉炭に含有される揮発分については炭種(銘柄)によって異なり、通常高炉羽口からの吹き込みに用いられている微粉炭については、その揮発分は30〜40%程度であり、比較的高い含有量を有する。
したがって、低揮発分の微粉炭を指向する本発明においては揮発分の低い炭種を選び単独で使用するか、または、燃焼焦点位置の如何によっては、揮発分の含有量に応じて複数の異なる揮発分を有する炭種を混合して揮発分含有量の調整を行い、所要とする揮発分を確保する必要がある。
【0029】
この場合、通常微粉炭の吹き込みは前記した図5に示される如く、単管ランスから供給されており、供給された微粉炭は羽口から噴出すると同時にレースウェイ内で奥へ向かって順次燃焼が進行していく。この時、揮発分の高い微粉炭においては前述したような理由により羽口先端近傍での燃焼率が高くなることを避けることはできない。
この現象を回避するためには、微粉炭を周辺から冷風(空気)で包み込む様な形のカーテン状の冷風遮断膜を形成せしめ、微粉炭吹き込みランス先端部における微粉炭と外部酸素との接触できる限り抑制することが必要となる。
微粉炭の燃焼焦点をレースウェイの奥に移向させるためには、二重管ランスあるいは三重管ランスを使用することが考えられる。
【0030】
先ず二重管ランス9を用いる方法につき、その実施態様として図7(a)と(b)にそれぞれランスの断面図と側面図を示した。すなわち、ランス9は外管20の内部に内管21を挿入した二重管構造をとり、ガス体流路を2通路としたもので、内管内部25からは微粉炭を供給し、内管と外管の間26からは冷風を適切な流速および/または流量のもとで供給する。
または三重管ランス8を用いる方法があり、図7同様、図8(a)と(b)にそれぞれランスの断面図と側面図を示したが、三重管ランス8から微粉炭、冷風、酸素をそれぞれ同時に吹き込むものである。すなわち、ランス8は外管10の内部に中間管11を挿入し、さらにその内部に中心管12を挿入した三重管構造をとり、ガス体流路を3通路とし中心管内部15には微粉炭を供給し、中心管と中間管の間16には冷風を、中間管と外管の間17には冷風および/または酸素を供給できるように構成し、それぞれの通路から冷風を適切な流速および/または流量のもとで供給する。
【0031】
しかして、二重管あるいは三重管ランスを用い、各管の間より送り込む冷風(空気)を調整し、微粉炭の燃焼焦点を羽口側からレースウェイ奥に移動させることにより、レースウェイ奥から炉芯表層部の温度を上昇させることができる。しかしこの方法では、レースウェイ奥の温度上昇幅が50〜100℃前後であり炉芯表層部の温度上昇幅が十分でない。
【0032】
一方、炉内に吹き込む微粉炭として揮発分の低いものを用い単管ランスから吹き込むことにより、微粉炭の燃焼焦点を羽口側からレースウェイ奥に移動させることが可能となる。この方法では、レースウェイ奥の温度上昇幅が150℃前後となる。したがって、前述の二重管ランスあるいは三重管ランスでの冷風吹き込み法を本技術に適用すれば、両者の相乗効果により温度上昇幅はほぼ200℃前後となる。
【0033】
レースウェイ内での微粉炭燃焼焦点位置をどの位置にすればよいかは、高炉操業時の操業条件または炉内状況によって異なり、一概に微粉炭の燃焼焦点をレースウェイでの最深部まで持っていく必要はない。
本発明においては微粉炭中の揮発分を19%未満に抑制すると共に、微粉炭中の揮発分の含有量と、微粉炭を吹き込む二重管または三重管ランスからの冷風速度および冷風量を制御することによってレースウェイ内での微粉炭燃焼焦点位置を自由に調整することが可能である。
【0034】
本発明法の実施により、通常の微粉炭吹き込み法の条件では、レースウェイ奥の温度が1400〜1500℃であったのが、1600〜1700℃に上昇するため、融着帯からレースウェイ奥に滴下してきたメタルはレースウェイ奥のコークス充填層に滞留することなく炉床部へ滴下させることができる。
【0035】
すなわち、融着帯からレースウェイ奥に滴下してきたスラグは、レースウェイ内のスラグに比べて高CaO/SiO2 、高Al23 ではあるが、高温度雰囲気のためメタルと同様にレースウェイ奥のコークス充填層に滞留することなく炉床部へ滴下させ得る。この結果、レースウェイ奥にメタル、スラグ特に高融点・高粘性スラグの滞留量が極めて少なくなり、炉芯内部への通気・通液性が良好となり、そのため、滴下メタル、スラグおよびレースウェイで発生する高温の還元ガスから炉芯への伝熱量が上昇し、炉芯温度が上昇しやすい状況になる。
【0036】
なお、レースウェイ奥温度の上昇幅が100〜150℃で十分である場合は、二重管ランスあるいは三重管ランスを使用する必要はなく、揮発分の低い微粉炭を用いて単管ランスから吹き込むことでも十分に対応できる。
【0037】
本発明において微粉炭に含有され揮発分を19%未満に限定したのは、19%以上の微粉炭の使用では燃焼効率が高く、羽口先端近傍で燃焼のピークが起こり、本発明の目的が達せられないばかりではなく、前述したように炉況不安定の要因となるからである。
【0038】
微粉炭において単独の炭種で揮発分が19%未満であり、かつ目標とする羽口先端からの距離において燃焼焦点が得られる見込みがある場合は、その炭種のみを用いることでもよいが、揮発分が19%以上の炭種を用いる場合は、揮発分の低い炭種と混合し、その配合割合を適宜変更することにより、揮発分を19%未満となすことは容易であり、また、目標とするレースウェイ内での燃焼焦点距離に応じて揮発分の値を調整し得ることもでき、さらには複数の炭種において、それぞれの揮発分の値を勘案の上、その配合割合を調整し混合することにより、揮発分の値を自由に選定することができる。
【0039】
上記したように微粉炭の揮発分を調整することにより、微粉炭の燃焼焦点を変更することができるが、微粉炭吹き込みに使用する二重管または三重管ランスから微粉炭を包囲する冷風量および/または冷風速度を制御することによっても、燃焼焦点を移動することが可能であり、例えば冷風量の増大、冷風速度の増速は燃焼焦点距離を羽口先端から遠い位置(炉芯に近づく)に設定することができ、きめ細かな管理が可能となる。
【0040】
また、微粉炭を燃焼させてやるのに羽口から送風される空気中の酸素のみでは不足することが予測されるような場合や、ランスから供給する冷風量や、冷風速度の調整により燃焼焦点距離を炉況変動の都度変更するのが煩わしい場合には、冷風中に酸素を富化することにより簡易に対処できる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の効果を実際の高炉に適用した実施について以下説明する。
実施例に用いた高炉は何れも3280m3 の内容積を有し、微粉炭吹き込み用ランスの先端は何れも羽口先端から0.3m内部に入った羽口内である。
なお、低揮発分を維持するために用いた炭種A,B,Cのそれぞれの揮発分は、炭種Aで35%,炭種Bで15%,炭種Cで8%であった。
【0042】
(実施例1)
図7に示したような二重管を用いた例であり、炭種Aを30%と炭種Cを70%とを混合して揮発分を16%とし、微粉炭吹き込み時に冷風を添加したものについて述べる。
微粉炭吹き込み量は180kg/t−pig(以下t−pigを単にt・pと記す)で、同時に同一ランスより冷風を流速200m/secで6m3 /minを吹き込んだ。その結果、冷風を付加しない通常の微粉炭吹き込み時に比べて、燃焼焦点位置が0.5m羽口先端からレースウェイ内部方向に移動し、レースウェイ奥温度が180℃上昇した。
【0043】
(実施例2)
実施例1と同様に図7に示したような二重管を用いた例であり、炭種Bを60%と炭種Cを40%とを混合して揮発分を12%とし、微粉炭吹き込み時に冷風を添加したものについて述べる。
微粉炭吹き込み量は180kg/t・pで、同時に同一ランスより冷風を流速200m/secで6m3 /minを吹き込んだ。その結果、冷風を付加しない通常の微粉炭吹き込み時に比べて、燃焼焦点位置が0.6m羽口先端からレースウェイ内部方向に移動し、レースウェイ奥温度が220℃上昇した。
【0044】
(実施例3)
実施例1と同様に図7に示したような二重管を用いた例であり、炭種Aを10%,炭種Bを10%,炭種Cを80%の3種を混合して揮発分を11%とし、微粉炭吹き込み時に冷風を添加したものについて述べる。
微粉炭吹き込み量は180kg/t・pで、同時に同一ランスより冷風を流速250m/secで7.5m3 /minを吹き込んだ。その結果、冷風を付加しない通常の微粉炭吹き込み時に比べて、燃焼焦点位置が0.65m羽口先端からレースウェイ内部方向に移動し、レースウェイ奥温度が230℃上昇した。
【0045】
(実施例4)
実施例1〜3と異なる図8に示したような三重管を用いた例であり、炭種Aを20%と炭種Cを80%とを混合して揮発分を13%とし、微粉炭吹き込み時に冷風を添加したものについて述べる。
微粉炭吹き込み量は180kg/t・pで、同時に同一ランスより冷風を流速200m/secで6m3 /minを吹き込み、酸素を2m2 /minを吹き込んだ。その結果、冷風および酸素を付加しない通常の微粉炭吹き込み時に比べて、燃焼焦点位置が0.6m羽口先端からレースウェイ内部方向に移動し、レースウェイ奥温度が225℃上昇した。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、高微粉炭比高O/C操業において、単管ランスあるいは二重管ランスあるいは三重管ランスから、揮発分が19%未満の微粉炭を吹き込むことにより、レースウェイ奥の温度を200℃前後上昇させることができ、レースウェイ奥に付着堆積した高Al23 濃度、高CaO/SiO2 スラグの粘性を下げることができる。したがって、高微粉炭比高O/C操業において、炉芯への通気性・通液性を常に良好な状態に維持できることにより、高微粉炭比高O/C下での安定操業を長期的に継続できるなど、高炉操業に多大な効果をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】微粉炭吹き込み量の変化による燃焼焦点位置の差異の1例を示す図
【図2】休風時の羽口サンプル中の滴下スラグ分析結果を示す図
【図3】休風時の羽口サンプル中の滴下スラグ分析結果を示す図
【図4】微粉炭Ash中のAl23 が高濃度になるメカニズムを示す図
【図5】本発明に用いられるランスおよび羽口の断面を示す模式図
【図6】微粉炭中の揮発分含有量と微粉炭燃焼最高温度のピーク値の関係を示した図
【図7】本発明に用いられる二重管ランスの断面を示す図
【図8】本発明に用いられる三重管ランスの断面を示す図
【符号の説明】
1 高炉炉壁
2 羽口
3 ブローパイプ
4 炉内
5 噴流
6 レースウェイ
7 ランス
8 三重管ランス
9 二重管ランス
10 外管
11 中間管
12 中心管
13 管先端絞り部
15 中心管内部
16 中心管と中間管の間
17 中間管と外管の間
20 外管
21 内管
25 内管内部
26 内管と外管の間
30 単管ランス

Claims (2)

  1. 炉羽口からの微粉炭吹き込みに際して、二重管ランスを用い、揮発分が19質量%未満の微粉炭を内管中内部から供給するとともに、冷風を内管と外管の間から供給し、該冷風の速度および/または風量を調整変更することにより、高炉レースウェイ内における微粉炭の燃焼焦点位置を羽口側からレースウエイ奥へ移行させ、レースウエイ奥から炉芯表層の温度を高めることを特徴とする高炉への微粉炭吹き込み操業時の炉芯昇熱方法。
  2. 炉羽口からの微粉炭吹き込みに際して、三重管ランスを用い、揮発分が19質量%未満の微粉炭を内管中内部から供給するとともに、冷風を中心管と中間管の間から供給し、かつ、酸素を富化した冷風を外管と中間管の間から供給し、該冷風の速度および/または風量を調整変更することにより、高炉レースウェイ内における微粉炭の燃焼焦点位置を羽口側からレースウエイ奥へ移行させ、レースウエイ奥から炉芯表層の温度を高めることを特徴とする高炉への微粉炭吹き込み操業時の炉芯昇熱方法。
JP37211499A 1999-12-28 1999-12-28 高炉への微粉炭吹き込み操業時の炉芯昇熱方法 Expired - Lifetime JP4044711B2 (ja)

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