JP3615673B2 - 高炉操業方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉操業方法に関し、詳細にはシャフト部の炉壁煉瓦や炉底部の側壁煉瓦の損傷を抑制する高炉操業方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉操業中のシャフト部において、高温ガスの偏流等により炉壁耐火物が損傷を受けた部位、あるいはステーブクーラー等の冷却装置が十分に機能していない部位などでは熱負荷が高くなり、当該部位の炉壁耐火物の損傷が更に進行し、鉄皮にまで損傷が拡大することが懸念される。このような場合の従来より行われている一般的な対策は、高温ガスが周辺に流れないように高炉に装入する塊鉱石、ペレット、コークスなどの装入物分布を制御することである。この対策により、高温ガスは炉壁周辺より炉中心部に流れるようになり熱負荷が低減される。しかし、必ずしもこの対策だけでは十分とはいえない。
【0003】
そこで、シャフト部の熱負荷の高い部位の下に配設されている羽口の支管風量を独立に変更しレースウエイ深度を制御できれば、炉下部におけるガス分配が制御され、ガス流れを安定させることができると考えられるが、従来よりブローパイプに接続して普通に用いられてきた羽口〔例えば第3版鉄鋼便覧第II巻製銑・製鋼(第 306頁図 5・170)、特開昭64−4410号公報参照〕(以下通常羽口と称す)では、その羽口から微粉炭などの補助燃料を吹込みながら高炉操業が行われているため、補助燃料が羽口内で脱揮及び燃焼ガス化するためにガス体積が増し羽口圧損が上昇し、特に微粉炭吹込み比が増大(100kg/銑鉄t〜 150kg/銑鉄t)している今日では前記羽口圧損を抑制することは難しくレースウエイ深度の拡大を望むことは難しい。
【0004】
一方、高炉の炉底部は一般にカーボン煉瓦で作られている。このカーボン煉瓦は累計出銑量の増加と共に浸食される。浸食には炉底部の側壁浸食と底部浸食の二種類がある。底部の煉瓦厚さに対して側壁の煉瓦厚さが薄いため、通常高炉の寿命は側壁の残存厚さで決まることが多い。そして、炉底側壁煉瓦の浸食が進展した場合には、▲1▼減産、▲2▼溶銑成分の変更、▲3▼炉内からの高融点付着物の形成、▲4▼出銑口深度の延長、▲5▼浸食部分直上の羽口径の縮小と閉塞、などの対応策が取られていた。以下にこれら対応策の詳細とその問題点について説明する。
【0005】
▲1▼減産について
カーボン煉瓦の浸食は溶銑・スラグとの接触によって発生する。具体的には、接触による化学的な溶解、溶銑・スラグの流れによる物理的な損耗、溶銑・スラグの浸透による破壊が発生する。これを減少させるには溶銑・スラグとカーボン煉瓦の接触の機会を減らす、減産が一番有力な方法である。しかし、減産は、生産設備の本来の目的に反し好ましい対応策とは言えない。
【0006】
▲2▼溶銑成分の変更について
カーボン煉瓦が溶銑との接触で浸食される最大の理由は、溶銑中の C(カーボン)が飽和していないため、カーボン煉瓦から Cが溶出することである。従って、この場合には滴下過程で溶銑中の Cが飽和するように浸炭時間を長くとる必要がある。
次に、溶銑の粘性が重要な影響を持つ。すなわち、カーボン煉瓦の物理的浸食を抑制するにはカーボン煉瓦−溶銑界面の溶銑流速を下げればよい。それには溶銑の粘性を上げる方法をとる。溶銑中のSi(珪素)は高いほど粘性が高くなる。 S(イオウ)は低いほど粘性が高くなる。従って、炉底側壁煉瓦保護のためには、高Si、低S の溶銑成分を目指す必要があるが。そのためには高燃料比操業になり、高炉の生産性が低下する。
【0007】
しかし、上記溶銑成分の変更、特にSiの上昇は製鋼コストの上昇を招く問題がある。製鋼プロセスでは、脱C に先立ちSiが酸化されSiO2になる。脱P の必要性から CaO/SiO2は平均3.5 になるように調整されている。従ってSiが高いと、生成するSiO2が増加し、 CaO装入量も増加するとともに、製鋼スラグ量が増加してしまう。と言った問題が起こる。又は、溶銑予備処理で脱Siする場合にも、酸化剤であるFeO の量を多く必要とし生成する脱Siスラグも増加し処理コストが上昇し、処理能力が落ちると言った問題が起こる。
【0008】
▲3▼炉内からの高融点付着物の形成(炉底側壁浸食部に炉内側から高融点物質による保護層を付着させる方法)について
炉底側壁の冷却には、鉄皮のシャワー散水冷却とステーブクーラー冷却の二通りの方法がある。その目的は、鉄皮側からの冷却によってカーボン煉瓦を冷却し、カーボン煉瓦に接触する溶銑を凝固させるものである。 C飽和銑鉄の凝固点は1150℃でカーボン煉瓦表面には凝固銑鉄があり、その前面には半凝固状態の溶銑が存在する。その半凝固状態の溶銑をマッシーゾーンという。銑鉄の凝固温度を1150℃より高温にすればマッシーゾーンは拡大する。この目的で装入物中にチタン酸化物(TiO2)を入れ、これを高炉内で還元してTiC, TiNを生成させる。これらは溶銑中に懸濁しており、融点は溶銑より高温である。そのため、冷却されたカーボン煉瓦界面でTiC, TiNが晶出し、浸食部分に付着し保護層として作用する。また、TiC, TiNは粘性が高いため、上記▲2▼の理由により浸食を抑制する。
【0009】
しかし、上記の炉内からの高融点付着物の形成は、TiO2源として、砂鉄、イルミナイトあるいは含チタン鉱石を使用するが、鉄鉱石に比べ高価である。また、TiO2の装入によってTiが上昇し、溶銑の粘性が高くなる。Siが高いときには粘性がさらに高くなる。このように溶銑の粘性が高くなると、羽口前で溶銑が滞留することがあり、羽口破損の原因になる。と言った問題がある。
【0010】
▲4▼出銑口深度の延長について
出銑口深度は炉底の湯流れに影響を及ぼす。出銑口深度が短いと、炉底側壁近傍から溶銑・スラグを流出するため、湯流れの環状流化(側壁近傍を円周方向に流れる)を助長する。湯流れの環状流化は側壁の煉瓦浸食を促進し、溶鉱炉の寿命を短くする。出銑口深度が長ければ、溶銑・スラグは炉底の中心側から流出される。この場合、煉瓦は底方向に浸食されるが、その速度は炉壁の煉瓦浸食に比べて極めて小さい。しかし、出銑口深度の延長は、流出点の変化による湯流れの変化に伴う間接的な環状流の消失を狙うため、効果が出るまでに時間を要する。一方、出銑口深度の延長に伴って環状流が抑制されると、溶銑による側壁部への熱供給が低下し、カーボン煉瓦近傍の温度が低下する。その結果、溶銑が再凝固しマッシーゾーンが拡大される。と言った効果が期待できる。
【0011】
▲5▼浸食部分直上の羽口径の縮小と閉塞について
羽口からの送風で羽口前のコークスは燃焼する。コークスは主に上部から供給される。しかし、一部ではあるが、羽口下部にある炉芯コークスも湧き上がって羽口前で燃焼消費する。この羽口下部からのコークスの消費はマッシーゾーンの動きを引き起し、マッシーゾーンを縮小させる。マッシーゾーンが縮小するとカーボン煉瓦への熱負荷が増大し、煉瓦溶損を促進するため、この湧き上がりコークスの動きを抑制する必要がある。浸食したカーボン煉瓦直上の羽口径を縮小すると羽口前、羽口上そして羽口下のコークスの燃焼が減少し、コークスの動きが減少して、カーボン煉瓦前面のマッシーゾーンの動きが減少する。出銑口直上の羽口を閉塞すると直下のコークスの移動がさらに減少し、この効果はさらに大きくなる。而して、羽口径の縮小及び閉塞は、コークスやマッシーゾーンの動きが減少することから炉底の浸食抑制に大きな効果をもたらす。
【0012】
しかし、効果が最も大きいが弊害も大きい。特に羽口閉塞では、羽口閉塞によって衝風のバランスが崩れ、原料装入物の円滑な降下が阻害される(棚吊り、スリップ、片減り等)。また、羽口閉塞によって、その羽口上部ではガス量が不足し、還元が不十分になり、炉壁に付着物を形成する。また更に羽口閉塞によって送風量が減少し、出銑量が減少する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような技術背景をもとになしたものであって、その目的は、羽口からの微粉炭吹込み比を抑制したり、銑鉄を減産したり、溶銑成分を変更(Siを高める等)したりするなどの銑鉄の生産コストを損なうような対策を取ることなく、シャフト部の炉壁煉瓦に悪影響を及ぼすシャフト部の炉壁の熱負荷や、炉底部の側壁煉瓦を損傷させるような溶銑流の発生を抑制し得る高炉操業方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1の高炉操業方法は、シャフト部の炉壁の熱負荷が高い部位の下に位置する羽口を、羽口入口径及び羽口出口径より小径の縮径部を有するラバール羽口とするとともに、そのラバール羽口においては補助燃料吹込みランスの先端位置を縮径部より羽口出口側に配置して補助燃料を高炉内に吹込むものである。
【0015】
上記請求項1に記載の発明の構成並びに作用効果について詳細に説明する。
図1は、ラバール羽口と通常羽口の概要図であって、ラバール羽口1は、羽口入口径D1及び羽口出口径D3より小径D2の縮径部2を有する。通常羽口3は、羽口入口径D4が羽口出口径D5よりも大径に形成されその間がテーパーに形成されている。また、図2と図3に示すグラフ図は、羽口入口径が同径(D1=D4)で、且つ縮径部の径と羽口出口径が同径(D2=D5)のラバール羽口と通常羽口をそれぞれ模型実験炉に装備し、同じ羽口流速〔ここでは、羽口内の最小断面積部(縮径部2)での流速と定義する。〕で空気を吹込んだ場合の、羽口圧損(図2)とレースウエイ深度(図3)を調査した結果を無次元化して示すグラフ図である。
【0016】
図2から明らかなように、羽口部を通過する流体の圧力損失はその流体流量に比例するが、その比例係数は通常羽口に比べてラバール羽口の方が小さい。その結果、通常羽口とラバール羽口が混在して配設された場合、ラバール羽口に分配される流体流量の方が多くなる。また、レースウエイ形成に対する特性も異なるため、図3から明らかなように、混在下ではラバール羽口のレースウエイ深度の方が大きくなる。
【0017】
図4に、通常羽口とラバール羽口で形成されるレースウエイ形状の違いを示す。この図4に示すように、同じ羽口流速〔羽口の最小断面積部:ラバール羽口の縮径部、通常羽口の先端部(羽口出口部)〕の場合には、通常羽口に比べてラバール羽口の方がレースウエイ深度は若干小さく、幅が大きくなる。しかし、上述したようなラバール羽口の流量増大効果によってラバール羽口の流速は通常羽口より大きくなるので、通常羽口と混在するラバール羽口のレースウエイ形状(深度、幅)は通常羽口よりも大きくなる。その結果、高炉全体として炉内圧損が低下し、更に、この炉内圧損低下によって一層のラバール羽口への流体の優先的分配が促進され、ラバール羽口のレースウエイが拡大する。
【0018】
図5に、総送風量(Vt)一定の条件において、全て通常羽口の状態からラバール羽口混在の状態になったときのレースウエイ深度と風圧の変化を示す。全羽口本数がnの場合、初期状態では羽口1本の支管風量はV1=Vt/nである。ラバール羽口をm本混在させると(ラバール羽口割合=m/n)、各羽口の圧損が等しくなるように支管風量は自律的に分配され、支管風量バランスは(n−m)・V2+m・V3=Vtとなる。ここで、圧損係数の低いラバール羽口の支管風量(V3)は通常羽口の支管風量(V2)よりも多く、V3>V1>V2となる。通常羽口に着目するとV1>V2であり、羽口圧損はラバール羽口の混在によって低下する。羽口圧損低下によって送風圧が低下し、実ガス体積が膨張し、ガス流速は増大する。その結果、通常羽口における流速低下は抑制され、ラバール羽口における流速増大は促進されるため、レースウエイ深度の拡大が促進される。
【0019】
図3より、羽口流速が大きい程レースウエイ深度は大きいことが分かる。全羽口がラバール羽口になると支管風量は通常羽口と変わらなくなるが、送風圧低下による体積膨張が生じるので、羽口流速は増加する。その結果、レースウエイ深度も通常羽口よりも大きくなる。このレースウエイ深度と流速の関係、曲線パターンは羽口形状(羽口入口径D1、羽口出口径D3、縮径部の径D2、縮径部の位置、羽口内面粗度など)に依存する。ラバール羽口の場合、図4に示すように同一流速では通常羽口よりレースウエイ深度が小さいが、ラバール羽口と通常羽口の混在使用の場合では逆に通常羽口よりもレースウエイ深度が大きくなる。全て通常羽口の状態から考えると、ラバール羽口混在によって送風圧が低下すると同時にラバール羽口に支管風量が優先的に分配され、ラバール羽口のレースウエイ深度は増大する(図5)。このとき通常羽口は支管風量が低下してレースウエイ深度が低下するが、ラバール羽口のレースウエイ深度増大の方が大きいので、全羽口平均のレースウエイ深度は増大し、高炉全体としては炉内通気性が改善される。
【0020】
そこで、上述したようなラバール羽口の特性の知見のもとに、本発明に係る請求項1の高炉操業方法では、シャフト部の炉壁の熱負荷が高い部位の下に位置する羽口を、ラバール羽口とし、そのラバール羽口において補助燃料吹込みランスの先端位置を縮径部より羽口出口側に配置して補助燃料を高炉内に吹込むことにしたもので、このようなラバール羽口としたことで、レースウエイ深度が増大でき、補助燃料の吹込みを維持あるいは増量して吹込むことができ、更にガス流れを周辺流から中心流へ変えることができ、シャフト部の炉壁の熱負荷を軽減させることができる。
【0021】
次に、本発明に係る請求項2の高炉操業方法は、炉底部の側壁浸食部又は/及び出銑口の上の羽口を、羽口入口径及び羽口出口径より小径の縮径部を有するラバール羽口とするとともに、そのラバール羽口においては補助燃料吹込みランスの先端位置を縮径部より羽口出口側に配置して補助燃料を高炉内に吹込むものである。
【0022】
上記請求項2に記載の発明の構成並びに作用効果について詳細に説明する。
高炉の炉底湯溜まりにはコークスが充填しており、その空隙中に溶銑・スラグが充溢している。羽口からの送風によって羽口前のコークスが燃焼する。燃焼するコークスの大部分は羽口上部から供給されたものであるが、羽口より下の湯溜まり部にあるコークスも湧き上がりによって羽口前で燃焼する。この羽口下部からのコークスの湧き上がりは、羽口前のコークスの燃焼により炉床から起こり、炉底の側壁部をゆっくりと上昇している。
【0023】
一方、炉底側壁の浸食部は、鉄皮からの冷却によってカーボン煉瓦が冷却され、カーボン煉瓦と溶銑の接触面は凝固している。凝固線より炉内側は固相と液相が共存する、いわゆるマッシーゾーンで、コークス充填層の空隙中に存在している。
【0024】
従って、炉底側壁の浸食を抑制し、凝固物の付着を促進するためには、マッシーゾーン中のコークスの動きを抑制すればよく、更にそのコークスの動きを少なくするためには上部の羽口におけるコークスの燃焼を減少させればよいことになる。そこで、本発明に係る請求項2の高炉操業方法では、炉底部の側壁浸食部又は/及び出銑口の上の羽口を、ラバール羽口とし、そのラバール羽口において補助燃料吹込みランスの先端位置を縮径部より羽口出口側に配置して補助燃料を高炉内に吹込むことにしたものである。このようなラバール羽口としたことで、前述したラバール羽口の特性より明らかなように、羽口内の通気抵抗を増加させることなく補助燃料吹込み量を他の羽口より増量して吹込め、衝風中の酸素を補助燃料の燃焼に消費させて羽口前のコークスの燃焼量を減少させることができる。コークスの燃焼が減少すると、コークスの動きが減少し、カーボン煉瓦前面のマッシーゾーンの動きが減少するので、炉底側壁の浸食を抑制することができる。
【0025】
次に、本発明に係る請求項3の高炉操業方法は、シャフト部の炉壁の熱負荷が高い部位の下に位置する羽口と炉底部の側壁浸食部又は/及び出銑口の上の羽口を、羽口入口径及び羽口出口径より小径の縮径部を有するラバール羽口とするとともに、そのラバール羽口においては補助燃料吹込みランスの先端位置を縮径部より羽口出口側に配置して補助燃料を高炉内に吹込むものである。このようにシャフト部の炉壁の熱負荷が高い部位の下に位置する羽口と炉底部の側壁浸食部又は/及び出銑口の上の羽口とを、ラバール羽口とすることで、上述した請求項1と請求項2の高炉操業方法における作用効果を同時に享受する外、高炉全体として全羽口平均のレースウエイ深度が増大すると共に炉内通気性が改善され、より効果的な高炉操業が行える。また、本発明の高炉操業方法では、シャフト部の炉壁の熱負荷が高い部位の下に位置する羽口と炉底部の側壁浸食部又は/及び出銑口の上の羽口に加え、適宜、通常羽口に換えてラバール羽口を装着しラバール羽口の装着数を増すことができ、これにより、更に全羽口平均のレースウエイ深度の増大と炉内通気性の改善がなされるとともに、高炉に吹込まれる微粉炭等の補助燃料の更なる増量が期待される(銑鉄 1トン当たり 200kg以上)。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0027】
まず、請求項1に係る実施形態について
シャフト部の炉体の熱負荷が高くなった部位の下と、その前後の羽口の合計3本の羽口について図1aに示すラバール羽口を装着して操業を行った。そして、そのラバール羽口に変える前(通常羽口の状態)と後の炉体の温度を測定した。その測定結果を無次元化して図6に示す。なお、前記ラバール羽口においては補助燃料吹込みランスの先端位置を縮径部より羽口出口側に配置し、その吹込みランスより通常羽口と同量の補助燃料を吹込んだ。
【0028】
図6から明らかなように、通常羽口の場合を1.0 とした場合にラバール羽口を装着することで、その熱負荷を0.8 に軽減することができた。これは、ラバール羽口を装着することで、その羽口に支管風量が優先的に分配されるため局所的に大きなレースウエイが形成されたためと推測される。すなわち、図7に示すように、レースウエイ深度が大きくなることから、ラバール羽口の上の炉壁側へのガス分配が抑制され、シャフト部周辺ガスが低減し、炉体への熱負荷が低減したものと考える。なお、図7は、高炉内のガス流れを模式的に示した図であって、aは通常羽口の場合、bはラバール羽口の場合で、4は炉壁、5はレースウエイ、6はガス流れを示す。
【0029】
次に、請求項2の実施形態について
高炉の炉底部には底面より約1000mm程度下部に熱電対が埋め込まれており、この熱電対による測定温度によりその直上における煉瓦の残存厚さが推定できる。本例では、その測定温度が 250℃と高くなり、その時の残存煉瓦厚さが 650mmと推定された場合に、その測定温度が高くなった箇所の直上に位置する5本の羽口を図1aに示すラバール羽口とした。そして、そのラバール羽口からの微粉炭吹込み量を羽口1本当たり定常操業の21〜30kg/min に増量して高炉操業を行った。この時の熱電対による温度記録を図8に示す。この図8から明らかなように、増量後2日目から温度上昇箇所の測定温度が低下しはじめ、30日後には 150℃に低下し、安定したことが分かる。
このことは、微粉炭の局部羽口大量吹込みによって、羽口前のコークス燃焼量が減少し、炉床のコークスの移動量が減少して煉瓦の局部溶損箇所の前面にマッシーゾーンと呼ばれる不動層が形成されたものと推定される。
【0030】
図9には同じく 240℃を示した測定温度上昇箇所の直上の3本の羽口をラバール羽口とし、微粉炭吹込み量を15〜18kg/min に増量した場合の熱電対による温度記録を例を示すが、この例では、増量後6日目頃から温度低下を開始し、50日後に 165℃で安定した。なお、図8の場合も図9の場合もラバール羽口においては補助燃料吹込みランスの先端位置を縮径部より羽口出口側に配置した。
【0031】
上記の例においては、通常羽口であれば微粉炭吹込み量を増加すると送風圧力が上昇するところ、図8の場合も図9の場合も微粉炭増量羽口にラバール羽口を使用した結果、送風圧力の上昇は認められなかった。なお、その送風圧力は図8の場合3.95kg/cm2 、図9の場合3.97kg/cm2 で一定であった。
【0032】
次に、出銑口上の羽口2本について図1aに示すラバール羽口を装着し、そのラバール羽口からの微粉炭吹込み量を変化させて出銑口深度の変化を調査した。この実験において、微粉炭吹込み量の変化が出銑口深度の変化に及ぼす影響は時定数が大きく、変化が顕著に現れたのは 5〜 7日後であった。図10は、吹込み量変更後 7日目の出銑口深度を示している。
【0033】
このように、出銑口上の羽口からの微粉炭吹込み量を増やすと、コークス燃焼量が減少し、炉床のコークス移動量が減少し、出銑口深度が伸長することが実証された。これは、通常羽口であれば微粉炭吹込み量を増量すると送風圧力が上昇するところ、この例では微粉炭増量羽口にラバール羽口を使用したため、送風圧力は4.05kg/cm2 で一定であった。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る高炉操業方法によれば、高炉のシャフト部の炉壁の熱負荷が高い部位の下に位置する羽口や、炉底部の側壁浸食部又は/及び出銑口の上の羽口を、所謂ラバール羽口とすることで、シャフト部の炉壁の熱負荷であれば、その熱負荷を低減し炉壁を保護して高炉操業が行え、また炉底部の側壁の浸食であれば、その側壁浸食を抑制して高炉操業が行える。
【0035】
また、全て通常羽口を装着した場合の高炉操業よりも、全羽口平均のレースウエイ深度の増大と炉内通気性の改善が望めるとともに、これにより高炉に吹込まれる微粉炭等の補助燃料の更なる増量が期待でき、銑鉄 1トン当たり 200kg以上での高微粉炭吹込み高炉操業も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】羽口の概要図であって、aはラバール羽口、bは通常羽口の場合である。
【図2】羽口流速と羽口圧損との関係を示すグラフ図である。
【図3】羽口流速とレースウエイ深度との関係を示すグラフ図である。
【図4】通常羽口とラバール羽口で形成されるレースウエイ形状の深度と幅の関係を示すグラフ図である。
【図5】ラバール羽口の装着割合と風圧及びレースウエイ深度との関係を示すグラフ図である。
【図6】通常羽口の時と、それをラバール羽口に換えた後の炉体の温度の変化を示すグラフ図である。
【図7】通常羽口とラバール羽口によるレースウエイ深度とガス流れを模式的に示す説明図であって、aは通常羽口の場合、bはラバール羽口の場合である。
【図8】本発明の実施例における炉底側壁の温度推移を示すグラフ図である。
【図9】本発明の別の実施例における炉底側壁の温度推移を示すグラフ図である。
【図10】羽口1本当たりの微粉炭吹込み量と出銑口深度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1:ラバール羽口 2:縮径部 3:通常羽口
4:炉壁 5:レースウエイ 6:ガス流れ
D1:ラバール羽口の羽口入口径 D2:ラバール羽口の縮径部の径
D3:ラバール羽口の羽口出口径 D4:通常羽口の羽口入口径
D5:通常羽口の羽口出口径
Claims (3)
- シャフト部の炉壁の熱負荷が高い部位の下に位置する羽口を、羽口入口径及び羽口出口径より小径の縮径部を有するラバール羽口とするとともに、そのラバール羽口においては補助燃料吹込みランスの先端位置を縮径部より羽口出口側に配置して補助燃料を高炉内に吹込むことを特徴とする高炉操業方法。
- 炉底部の側壁浸食部又は/及び出銑口の上の羽口を、羽口入口径及び羽口出口径より小径の縮径部を有するラバール羽口とするとともに、そのラバール羽口においては補助燃料吹込みランスの先端位置を縮径部より羽口出口側に配置して補助燃料を高炉内に吹込むことを特徴とする高炉操業方法。
- シャフト部の炉壁の熱負荷が高い部位の下に位置する羽口と炉底部の側壁浸食部又は/及び出銑口の上の羽口を、羽口入口径及び羽口出口径より小径の縮径部を有するラバール羽口とするとともに、そのラバール羽口においては補助燃料吹込みランスの先端位置を縮径部より羽口出口側に配置して補助燃料を高炉内に吹込むことを特徴とする高炉操業方法。
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