JP3943804B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式によって画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真を利用した従来のカラー画像可能な画像形成装置では、一般に静電潜像上にトナー保持する像担持体は、電荷発生層及び電荷輸送層で構成された感光層を有した金属ドラム或いは金属ベルト(像担持体)で構成されている。
【0003】
そして、プリント開始の信号により、像担持体は一定方向に駆動されるようになっている。その後、像担持体を帯電装置(コロナ帯電器、帯電ローラ、磁性粒子など担持した剤担持体)などにバイアス印加をすることにより、像担持体表面を一定の電位まで帯電或いは電荷注入を行う。
【0004】
このとき表面電位をVD電位(又はVd電位)と呼ぶ。さらに、コントローラからの信号に基づいて、オン/オフ制御されたレーザー光或いはLED光を像担持体表面に照射する(露光)。光照射位置は電位が低下するため像担持体表面には、静電潜像が形成される。この露光された部分の電位をVL電位(又はVl電位)と呼ぶ。
【0005】
そして、像担持体に対向配置し、トナーが充填された現像装置に一定のバイアスを(現像バイアス)印加して、所定の電荷を付与されたトナーを、像担持体上の静電潜像に移すことにより、静電潜像を可視化する(現像)。現像時の像担持体上のトナー乗り量は、VL電位と現像バイアスの関係で決まる。
【0006】
そして、像担持体に隣接して配置され、像担持体と略同速度で順方向に移動する転写ローラや転写ベルト等の転写体上に像担持体上のトナーと逆極性のバイアスを印加、その状態で転写との間に転写材を通過させることにより、ドラム上に担持されたトナーを転写材上に移動させる。
【0007】
上述した画像形成動作時において像担持体の感光層は少なからず照射光による露光メモリの影響を受ける。すなわち、像担持体使用状態により露光後のVL電位が変化してしまうことになる。これは、像担持体上のトナー乗り量の変化につながり、プリント画像濃度が定まらなくなってしまう。
【0008】
この為、従来は、この露光メモリを抑制するため適当な光源を(前露光光源)を装置内に設置し、像担持体の帯電動作前に前記露光光源から像担持体表面に光を照射する。いわゆる前露光を行うようにしていた。
【0009】
しかしながら、近年、装置の小型化に伴い、前記光源(前露光光源)を装置内に設置できない場合がある。
【0010】
このことから最近では、小型化し、前露光器のない画像形成装置において、この露光メモリによる前記VL電位の変動を抑制する方法として、特開平11−202705号公報に開示されたような提案が行われている。
【0011】
上述の提案での方式は、装置立ち上げのイニシャルチェック中に、像担持体を駆動回転させながら、少なくとも像担持体表面の長手方向の画像形成領域全体を一定時間レーザー照射して、画像形成領域の感光層均一に露光メモリの影響を受けた状態にしておき、VL電位を安定化させるようなエージング露光が紹介されている。
【0012】
前記特開平11−202705号公報に開示の提案は、装置の電源投入時やジャム処理後、装置の各種消耗品の交換後のような装置のリセット後に行うエージング露光を装置内の雰囲気情報や感光体の使用状況に応じて適時変更している。
【0013】
また、像担持体上に形成したトナー像の濃度検出手段により、濃度補正制御を実行する直前に行うなどの提案がされている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。上述した装置立ち上げ時のイニシャルチェック中のエージング露光は、立ち上げ時間の増加につながり、ユーザの使い勝手の悪化を引き起こす。
【0015】
また、像担持体の感光層へのエージング露光による過剰なレーザー照射は、かえって感光層のダメージを引き起こし、感光層の劣化を早めてしまう虞がある。
【0016】
さらにエージング露光のみでは、装置の電源オン状態で長時間放置されたあとの画像形成出力時には、装置立ち上げ時のエージング露光の効果が薄れてしまっており、露光メモリによる濃度変動を抑制しきれていない。この点についても、前記特開平11−202705号公報に開示の技術では、ファーストプリントの直前にエージング露光を行うことで露光メモリ抑制できることを提案している。
【0017】
しかしながら、前記提案における画像形成時における感光体の帯電電位以下の感光体表面電位に対する露光は、露光メモリ抑制に対する効果は不十分である。また、直前にエージング露光を行うことは、プリント命令後からファーストプリントが出力されるまでの時間増加につながる。
【0018】
なぜなら、前記提案は、「発明が解決しようとする課題」の段落14及び段落16で、「露光メモリによる影響はVLの低下、及び画像濃度の増加」と説明されているように、露光メモリの影響によるVL電位変動を、VL電位の低下という狭い範囲を想定しており、下記に説明を行うVL電位変動に対する低減効果が必ずしもあるとはいえない。
【0019】
露光メモリによる前記VL電位の変動は、VLの絶対値の低下のみではなく、VLの絶対値が大きくなる現象も存在するからである。このような場合には、前記VLの増加により画像濃度低下が発生する。さらに連続プリントを行うと、出力枚数の増加に伴い画像濃度の低下も発生する。本発明では、露光メモリによるVL電位の増減の両方を課題としている。
【0020】
そこで本発明では、前記特開平11−202705号公報で提案されているような装置立ち上げ時、リセット後のような立ち上げ時間の増加につながるようなエージング露光を廃止しつつ、さらに、露光メモリによるVLの低下現象だけでなく、露光後のVLの増加による濃度変動にも抑制効果を有する画像形成装置を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、
静電潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された前記像担持体の表面を露光し静電潜像を形成する露光手段とを、少なくとも備えた画像形成装置において、
前記露光手段は、露光量変更手段を備え、前記像担持体の帯電電位と、前記像担持体の露光部電位との電位差である潜像コントラスト電位差が、通常使用している露光量で得られる最大潜像コントラスト電位差の略60%以上90%以下となるように前記露光手段の露光量を切り替えるゴースト低減モードを有し、
前記像担持体への露光履歴による感度変化でゴースト画像が発生した場合に、前記ゴースト低減モードに切り替え可能であるとともに、前記ゴースト低減モード時の前記露光手段の露光量低下のレベルが、画像形成装置の操作パネル上からユーザにより複数選択可能であることを特徴とする。
【0022】
また、前記露光量を切り替えた際に、前記像担持体の帯電電位、現像電位その他の画像形成条件を、通常条件と同じ画像濃度が得られる設定条件に切り替え画質補正することを特徴とする。
【0023】
また、前記最大潜像コントラスト電位差は、前記像担持体を前記帯電手段で帯電し得られる表面電位と、前記露光手段により露光量0.1[μJ/cm2]の増加量に対し露光部電位変化が50V以下の電位減衰となる領域の電位との差であることを特徴とする。
【0038】
このように、本発明に係る画像形成装置によれば、画像形成装置の使用環境に応じて露光による感光体上の露光部電位の変動による画像濃度変動を抑制させることができる。
【0039】
すなわち、露光手段における露光量を、潜像コントラスト電位が最大潜像コントラスト電位差の60%以上、90%以下となるようにしているため、露光部電位VLが露光履歴により変化しない安定領域となり、形成される画像の濃度を安定させることができる。
【0040】
また、露光量を切り替えた際に、感光体の帯電電位などの画像形成条件を通常条件と同じ画像濃度が得られる設定条件に切り替えて画質補正しているため、さらに高画質化を図ることができる。
【0041】
ここで、最大潜像コントラスト電位差とは、感光体を前記帯電手段で帯電し得られる表面電位と、露光手段により露光量0.1[μJ/cm2]の増加量に対し露光部電位変化が50V以下の電位減衰となる領域の電位との差である。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0052】
また、以下の図面において、既述の図面に記載された部材と同様の部材には同じ番号を付す。
【0053】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態を図面に則して更に詳しく説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態の構造図であり、図1の(a)にその全体構造図、図1の(b)に図1の(a)に示される画像形成装置が具備する雰囲気ヒータH1,H2の概略図を示す。この画像形成装置は、LED露光装置を用いたカラー電子写真複写機である。
【0054】
但し、この露光器は、レーザービームを利用し、単色の複写機であっても本発明の実施にあたっては差し支えない。
【0055】
以下の説明では、便宜上図1の画像形成装置を用いて説明する。このカラー画像形成装置は上部にデジタル画像リーダー部、下部にデジタルカラー画像プリンタ部を有する。
【0056】
リーダー部において、原稿9を原稿台ガラス10に載せ、露光CCD読み取りセンサを露光走査することより得られる原稿9からのカラー色分解画像信号を得る。
【0057】
このカラー色分解信号は、図示しない回路を経由して、同じく図示しないビデオ処理ユニットで処理を施され、プリンタ部に送出される。
【0058】
プリンタ部において、図示矢印方向に回転する本発明の構成要素たる像担持体としての感光体1Y〜1K(以下省略して感光体1)が回転自在に支持されており、感光体1の周りには、本発明の構成要素たる帯電手段としての帯電器2Y〜2K(以下省略して、帯電器2)、現像器4Y〜4K(以下省略して、現像器4)、転写ベルト5等の画像形成手段が配置されている。
【0059】
感光体1は、帯電器2により均一に帯電され、感光体1上に、例えばLED露光器からなる、本発明の構成要素たる露光手段としての露光器3Y〜3K(以下、省略して露光器3)により色分解された光像、またはこれに相当する光像12Y〜12K(以下省略して、光像12)が照射され、その外表面に潜像形成が行われる。ついで、感光体1上の静電像は現像器4にて現像され、トナー像として顕像化される。
【0060】
上記露光器3Y〜3Kは、それぞれ露光量を変更するための露光量変更手段を備える。また、上記露光器3Y〜3Kは、画像形成装置が形成可能な最小画素に対する発光ON/OFFの2種類で制御する、いわゆる2値露光制御装置を用いている。さらに、上記露光器3Y〜3Kとして、レーザー以外にも、LEDを用いても良い。
【0061】
また、図1の(b)に示される雰囲気ヒータは、電源G及びサーモスイッチSW1及びSW2により画像形成装置の内部を暖め、画像形成装置内部の状態を画像形成に適した状態にする。
【0062】
原稿台ガラス9の読み込み命令(通常、コピーキーが押された状態)、又は、プリンタとして画像形成装置が動作する場合、例えば、PCから印刷JOB命令が送信されると、画像形成装置内に設置された図示しない内部CPUの命令により、環境センサCS1の温度/湿度情報を読み込み絶対水分量を計算する。
【0063】
この絶対水分量の値を基に、CPUは記録装置から、この環境における必要現像Vcont電位を算出する。現像Vcontの値が、環境で変化するのは、現像装置で用いるトナーの物性、例えば帯電性能が周囲の雰囲気水分量で変化するためである。
【0064】
また、この現像Vcontの算出にあたっては、あらかじめ、図2に示すような水分量と必要現像Vcont電位の関係を、テーブル化して記憶しておき、前記水分量の結果に応じて線形補間により算出する。図2は、図1に示される画像形成装置に適用される水分量と必要現像Vcontとの関係のグラフである。
【0065】
次に、潜像電位、現像装置の現像スリーブ電位の算出方法について図3を用いて説明する。図3は、図1に示される画像形成装置に適用される周囲環境の絶対水分量が変化した場合の感光体帯電電位Vdと、露光部電位Vlの関係のグラフである。例えば、図1の環境センサCS1により、23℃/5%と読み取られた場合、水分量は約1.0[g/kg]となる。
【0066】
この時、図9に示される表1のテーブルによれば、必要現像Vcont電位は、現像Vcont=280Vが選択される。図9は、図1に示される画像形成装置に適用される、水分量と現像Vcontのテーブル(表1)である。この必要現像Vcontに、地肌カブリ防止電位であるVback電位を加えると、必要とする感光体1の表層に形成する潜像Vcont電位が求められる。式であらわすと下記の様になる。
【0067】
必要潜像Vcont=必要現像Vcont+Vback電位=280V+200V=480V…(1)
【0068】
次に、感光体1の帯電電位、露光部電位を設定する手順を説明する。必要現像Vcontが、周囲環境の状態によって変化したのと同様に、感光体1の露光部電位も、感光体1の露光感度が周囲環境の相対湿度や水分量によって変化するため、環境に適した値を求める必要がある。図3に、本実施形態の感光体において、帯電電位に対する、露光部電位の周囲環境の水分量による変化を実験的に求めた結果を示す。図3の結果を、画像形成装置は、テーブルデータとして記憶している。
【0069】
前記の環境センサの読みとり値によると、水分量1.0[g/kg]で、前記算出した潜像Vcont=480Vを得るためには、図3の結果より、帯電電位:Vd=700Vと選択すると、露光部電位Vl=220Vが得られ、必要とする潜像Vcont=480Vを満足させることができる。
【0070】
この結果、現像電位は、帯電電位Vd=700Vから、非画像部電位Vback=200Vを差し引いた500Vに設定されることにより、前記算出した必要現像Vcont=280Vが正確に得られる事になる。
【0071】
ここで、本実施形態における帯電方式は、着磁されたマグローラスリーブに粉砕、又は、重合法により作成した粉体磁性キャリア(抵抗値104〜107Ωcm)を、前記、マグローラに担持し、感光体1の表面と一定距離、例えば、500〜600μm程度の距離に固定され状態で、前記、キャリアで磁気ブラシを作成し感光体1の表面と接触させ、印加バイアスに、AC成分(1kHz、Vpp=400V程度)を重畳したDCバイアスを印加した注入方式を採用している。
【0072】
本実施形態における注入方式を用いた場合は、前記感光体の帯電電位Vdの値と、前記マグローラのDC成分バイアスがほぼ等しくなるため、Vdc=Vdとして求めることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態で使用される感光体1は、図4に示されようにアルミシリンダ1a上に感光層(電荷発生層1b、電荷輸送層1c及び電荷注入層1d)を塗布して構成されている。図4は、図1に示される画像形成装置に使用される電子写真感光体の断面図である。
【0074】
感光層は、通常絶縁体であり、特定の波長の光を照射することにより、導電となるという特徴を有している。それは、光照射により電荷発生層1b内に正孔−電子対を生成しそれらが電荷の流れの担い手となるからである。
【0075】
また、現像器4は、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤、シアン現像剤、ブラック現像剤の4色現像剤を各別に収納する4個の現像器4Y〜4Kを感光体1の外周面に対向する位置にある一定距離、例えば300〜600μm固定された2成分現像剤を用いて潜像現像の現像を行う。ここで、本発明の実施にあたっては、前記に記載した2成分現像剤を用いる現像装置ではなく、磁性−成分現像、接触−成分現像方式の現像方式を用いても差し支えない。
【0076】
一方、給紙カセット13A(13B)内に収容された転写材Pがレジストローラ14により適当なタイミングで給紙されて転写ベルト5に担持され、図示矢印方向に搬送される転写材P上に転写ベルト5の下方に配置されている、転写印加部材6Y〜6K(以下、省略して転写印加部材)によって転写電圧が印加され、感光体1上の上記トナー像が転写される。
【0077】
転写ベルト5は、誘電体シート等を張設して構成されており、この転写ベルト5には、吸着用の半導体帯電ローラ15と導体ローラによって転写材Pが吸着される。感光体1Yのイエローから、1Kのブラックまで順次転写される。
【0078】
転写材P上に、転写されたトナー像は、転写ベルト5に担持されて、定着器7に搬送され、所定の熱量、圧力を加えられ定着された後、排出トレイ8へ搬送される。
【0079】
次に、上述された画像形成装置を用いて、本発明の課題とその解決実施にあたるさらに詳細な説明を行う。
【0080】
上述された画像形成装置において、感光体1Y〜1Kに、露光器3Y〜3Kから露光することにより、電荷発生層で正孔・電子対が生成される。正孔は、電荷発生層をとおり、電荷注入層に移動し負電荷と再結合する。
【0081】
これにより感光体表層(電荷注入層)の負電荷量が減少し、表面電位の絶対値が低下する。この状態での感光体上の表面電位が略VL電位となる。
【0082】
しかしながら、露光により減衰する感光体上のVL電位は、露光量によって変化し、かつ表面電位の大きさによっても変化する。
【0083】
ここで、感光体Aの露光量E[μJ/cm2]と感光体上の電位[V]の関係を図5に示す。図5に示されるように露光量が増加するとドラム上の電位は非線形に減衰する様子がわかる。図5は、図1に示される画像形成装置に使用されるドラムAの露光量と電位との関係のグラフである。
【0084】
さらに、このE−V特性の測定を、ドラム2周分の全面露光を与えた場合に測定した結果を図6に示す。図6は、図1に示される画像形成装置に使用される異なる種類のドラムである、ドラムA及びドラムBの露光量と電位との関係のグラフである。
【0085】
この図から、感光体の表層に与える露光量を大きくしていくと、露光量の値が小さい場合は一度露光を受けた部分のVL電位(ドラム2周目のVL電位)は、1周目よりも小さくなるが、ある一定上の露光量を与えると、ドラム2周目の電位が1周目よりも大きくなっていることが分かる。このようなVL電位の変動が発生した場合は、濃度低下の画像不具合が発生する。
【0086】
図6に示されるように、感光層の特性(電荷発生層、電荷輸送層、電荷注入層)が異なる別の感光体Bで同様の実験を行ったところ、E−V特性は大きく異なるが感光体Aと同様の結果が得られた。
【0087】
また、感光体上の表面電位(VD)を変化させた場合のE−V特性を図7に示す。図7は、ドラム上電位VDを変化させた場合の、図1に示される画像形成装置に使用されるドラムAの露光量と感光体上の電位との関係のグラフである。この図より、VD電位が変化しても露光量増加に伴い感光体1周目VL電位に対し、2周目VL電位が減少→増加領域にシフトすることがわかる。
【0088】
また、1周目のVL電位に対し2周目の値が減少から増加に変化する露光量の値がVDの値により変化することが判明した。
【0089】
さらに、露光メモリによりVLの値が変化しない領域も存在していることが図7から分かった。また、VD電位を変化させた場合、露光量を変化させてもVLの値が変化しない領域は、露光量の大きな範囲にシフトしていき、さらに露光メモリによるVL電位変動のない領域も大きくなっている様子がわかる。
【0090】
以上の結果から、露光によるVLの変動は、露光量とドラム表面電位によって、露光履歴によるVL変動が増加方向、減少方向の2種類存在することが明らかになった。
【0091】
また、必ず露光の影響によりVL変動がない領域も感光体の種類によらず存在することも明らかになった。
【0092】
次に、実験結果よりVL安定領域を図8に示す。図8は、図1に示される画像形成装置に適用される、VL変動のない露光量領域とVL電位の領域との関係を示すグラフである。
【0093】
図8より、表面電位と露光部電位の差を潜像コントラスト電位とし、E−V特性を測定した場合に露光部電位がほとんど変動しない領域を最大潜像コントラスト電位差と、露光量を増加させ0.1[μJ/cm2]の変化量に対する露光部の電位変化が50V以下となる電位変化の収束領域で得る電位差を任意の表面電位に対する最大潜像コントラスト電位差とした場合、VL電位が露光履歴により変化しない安定領域は、この最大潜像コントラスト電位の約70(略60%を含む)〜90%程度の範囲に存在していることがわかった。
【0094】
以上の調査結果より本実施形態の画像形成装置は、通常使用している露光量で画像形成を行い感光体に露光履歴によるゴースト画像が発生した場合、通常条件での潜像コントラスト電位の60〜90%になるよう露光量の大きさを、通常設定の約70%になる切り替えスイッチ(仮称、ゴースト低減モード)を、画像形成装置の操作パネル上に配置している。
【0095】
しかしながら、このゴースト低減モードが操作パネル上で選択された場合、露光量を単純に低減させるのみでは、現像コントラストが小さくなり、画像濃度が小さくなる。
【0096】
その問題を解決するため、図3の各環境における表面電位とVL電位の関係テーブルを、ゴースト低減モードの露光量に対して記憶しており、ゴースト低減モードが選択されると同時に感光体の帯電電位、現像装置の環境電位等の条件が、通常露光量と同じ画像濃度が得られるように瞬時に選択され、電位変動のない安定した画像出力が可能となる。
【0097】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る画像形成装置の第2の実施形態について説明する。本第2の実施形態は、ゴースト低減の精度をより高精度に行うことを目的とした実施形態である。前述の第1の実施形態では、ゴースト低減モードを実行する際、露光量を一律70%になる低減モードであった。
【0098】
しかしながら、前述したように、露光履歴によるVL変動がない安定領域は、表面電位VDの値によって多少変化する。
【0099】
特に、VDの小さな、例えばVD=500Vの設定条件で画像形成を行っている場合、VL変動のない安定領域にするためには、通常モードの潜像コントラストの約60%付近まで露光量を低減させると十分な低減効果が得られる為、実施例1の70%では多少不足気味になりわずかにゴーストが発生する。
【0100】
本実施形態では、このように低減効果が不十分な場合に対しても、対応するため操作パネルのゴースト低減モードスイッチにレベル差を設けることで対応している。
【0101】
ゴースト低減モードは、図10に示される表2に示すように配置されており、ゴーストの低減効果が不十分な場合には、通常の低減モードが選択されると、約70%露光量低下のレベル2が選択されるのに対して、約60%のレベル1を選択すると、低減効果が増加しより安定した画質補正が行われる。ここで、図10は、本発明に係る画像形成装置の第2の実施形態に適用される、ゴースト低減モードのランクを示すテーブル(表2)である。
【0102】
この段階的なゴースト低減モードを配置することにより、よりゴーストのない安定した画像形成が可能となる。
【0103】
また、このゴースト低減のレベル調整機能を付加した画像形成層は、その露光量レベルに応じて、図3に示す表面電位と、VL電位の関係テーブルを記憶しており、各低減モードのレベルに応じて画像濃度を変化させることなく瞬時に、感光体の帯電電位、現像電位が選択され通常モードと同等の画像濃度を得ることが可能である。
【0104】
以上のように本第2の実施形態は、前述の本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、ゴースト低減モードの露光量の設定を、レベル別に数ランクもち、かつユーザが画像形成装置の操作パネル上から自由に条件変更を行うことで、ゴースト低減のレベルが不十分な場合には、必要に応じてさらに画質補正を行うことができる。
【0105】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る画像形成装置の第3の実施形態について説明する。本第3の実施形態は、前述の第2の実施形態のゴースト低減モードのレベル調整を、ユーザ操作パネル上で実施する必要がなく、ゴースト低減モードが選択され場合に、その時点での通常モードの画像形成条件のVd設定値より、露光量の低減モードレベルを判断することを特徴とした画像形成装置である。
【0106】
前述の第2の実施形態では、ユーザが、ゴーストのレベルが悪いことを確認してから、さらに低減モードレベルの調整を行う手間が発生していた。
【0107】
しかしながら、図7の結果よりわかるようにVdの値で露光によるVLの変動ない安定領域はほぼ決定されるため、自動的に図11に示される表3に示す設定表にしたがって、露光量の低減レベルを決定することで、本実施形態は、前述の本発明に係る画像形成装置の第1又は第2の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、自動的に低減レベルの選択が可能となる。図11は、本発明に係る画像形成装置の第3の実施形態に適用される、通常画像形成条件のVd設定値とゴースト低減モード時の露光量設定値の関係を示すテーブル(表3)である。
【0108】
この通常モード時のVd設定値から、自動的にゴースト低減モードでの露光量の低減レベルを設定することにより、本実施形態は、前述の第1の実施形態よりも高精度で、前述の第2の実施形態よりもユーザに手間をかけることなく安定した画像形成を行うことができる。
【0109】
(第4の実施形態)
次に、本発明に係る画像形成装置の第4の実施形態について説明する。前述の第1の実施形態乃至第3の実施形態では、ゴースト低減モードが選択されると、画像形成装置は常に低減モードで画像形成を行ってしまう。
【0110】
しかしながら、画像比率の少ない文字原稿などが出力される場合、特にプリンタ、FAX等の文章を出力する場合、特に低減モードに常にする必要はない。
【0111】
したがって、ユーザ画像形成装置の用途にしたがって選択できるように、画像形成装置をプリンタ、FAX、複写機等の機能モード別に選択できるように、操作パネル上から設定可能にしておくこと便利である。
【0112】
本第4の実施形態は、画像形成装置が複数の画像形成出力機能を持つ場合、その用途に応じて低減モードを実施することで、前述の本発明に係る画像形成装置の第1乃至第3の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、ユーザが自由に選択できる機能を追加し、ユーザの利便性をさらに向上している。
【0113】
(第5の実施形態)
次に、本発明に係る画像形成装置の第5の実施形態について説明する。前述の第1の実施形態乃至第4の実施形態は、ゴースト低減モードを実施にあたり、画像形成装置上の操作パネル上から選択しなければならなかった。
【0114】
しかしながら、最近の画像形成装置は、ネットワーク上での画像形成装置として使用されることが大変多く、かつ、画像出力装置がユーザの出力命令を行い場所(例えば事務所のPC上)から出力命令を実施する場合が多い。
【0115】
また、ネットワーク通信を用いて、遠隔地より、画像形成装置の状況をモニターし、遠隔地から画像形成装置で発生した不具合に対して、販売者、またはメーカーのサービスセンターなどから、ユーザのクレームに対して対応する場合が多々存在する。
【0116】
そのため、本実施形態は、画像不具合(ゴースト画像)に対して、遠隔地からネットワーク通信を介して、低減モードへの選択を行うことにより、ユーザの手を煩わせることなく画質補正を可能にしていることを特徴としている。
【0117】
つまり、本実施形態は、露光量の切り替えや露光量の値の設定を、PC上などに表示される印刷ダイアログ画面上又は画像形成装置とネットワークにより接続された通信手段を介して行う。通信手段としては、PC、PDC等の端末がある。
【0118】
そして、ユーザが出力する画像の経験上、ゴーストが発生しそうと判断した場合には、容易にネットワーク上のPC上の印刷ダイアログ画面や通信手段上から、出力画像のみゴースト低減モードを選択する事を可能とすることにより、他のユーザの設定条件に関係なく、そのユーザ独自の設定で出力可能となる。
【0119】
以上のように、本実施形態は、前述の本発明に係る画像形成装置の第1乃至第4の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、ユーザがゴースト低減モードを選択する手段として、画像形成装置上に備えている操作パネル上からの設定のみではなく、ネットワーク通信所からの設定ができる。
【0120】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、所定のタイミングで露光量を、潜像コントラスト電位差が、通常使用している露光量で得られる最大潜像コントラスト電位差の略60%以上、90%以下になる露光量に切り替えることにより、感光体の露光メモリによるVL変動に伴う画像濃度変動を防止することができ、良好な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態の構造図である。
【図2】図1に示される画像形成装置に適用される水分量と必要現像Vcontとの関係のグラフである。
【図3】図1に示される画像形成装置に適用される周囲環境の絶対水分量が変化した場合の感光体帯電電位Vdと、露光部電位Vlの関係のグラフである。
【図4】図1に示される画像形成装置に使用される電子写真感光体の断面図である。
【図5】図1に示される画像形成装置に使用されるドラムAの露光量と電位との関係のグラフである。
【図6】図1に示される画像形成装置に使用されるドラムA及びドラムBの露光量と電位との関係のグラフである。
【図7】ドラム上電位VDを変化させた場合の、図1に示される画像形成装置に使用されるドラムAの露光量と感光体上の電位との関係のグラフである。
【図8】図1に示される画像形成装置に適用される、VL変動のない露光量領域とVL電位の領域との関係を示すグラフである。
【図9】図1に示される画像形成装置に適用される、水分量と現像Vcontのテーブル(表1)である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の第2の実施形態に適用される、ゴースト低減モードのランクを示すテーブル(表2)である。
【図11】本発明に係る画像形成装置の第3の実施形態に適用される、通常画像形成条件のVd設定値とゴースト低減モード時の露光量設定値の関係を示すテーブル(表3)である。
【符号の説明】
1,1Y,1M,1C,1K 感光体
1a アルミシリンダ
1b 電荷発生層
1c 電荷輸送層
1d 電荷注入層
2,2Y,2M,2C,2K 帯電器
3,3Y,3M,3C,3K 露光器
4,4Y,4M,4C,4K 現像器
5 転写ベルト
6,6Y,6M,6C,6K 転写印加部材
7 定着器
8 排出トレイ
9 原稿
10 原稿台ガラス
11 画像読み取りセンサ
12,12Y,12M,12C,12K 光像
13A,13B 給紙カセット
14 レジストローラ
15 半導体帯電ローラ
CS1,CS2 環境センサ
H1,H2 雰囲気ヒータ
SW1,SW2 サーモスイッチ
F1,F2,F3 冷却/攪拌ファン
P 転写材

Claims (5)

  1. 静電潜像を担持する像担持体と、
    前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、
    前記帯電手段により帯電された前記像担持体の表面を露光し静電潜像を形成する露光手段とを、少なくとも備えた画像形成装置において、
    前記露光手段は、露光量変更手段を備え、前記像担持体の帯電電位と、前記像担持体の露光部電位との電位差である潜像コントラスト電位差が、通常使用している露光量で得られる最大潜像コントラスト電位差の略60%以上90%以下となるように前記露光手段の露光量を切り替えるゴースト低減モードを有し、
    前記像担持体への露光履歴による感度変化によってゴースト画像が発生した場合に、前記ゴースト低減モードに切り替え可能であるとともに、前記ゴースト低減モード時の前記露光手段の露光量低下のレベルが、画像形成装置の操作パネル上からユーザにより複数選択可能に構成されている
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記ゴースト低減モードに切り替えられた際に通常条件と同じ画像濃度が得られるように、少なくとも前記像担持体の帯電電位と現像電位とを含む画像形成条件を変更する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記ゴースト低減モードに切り替えられた際に、前記露光量のレベルに応じた所定の前記像担持体の帯電電位と露光部電位の関係テーブルに基づいて、前記像担持体の帯電電位および現像電位が選択される
    ことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
  4. 前記ゴースト低減モードに切り替えられた際に、前記ゴースト低減モードにおける複数の露光量低下のレベル調整を、前記操作パネル上で実施することなく、通常モードにおける画像形成条件での前記像担持体の帯電電位の設定値に基づいて自動で行う
    ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  5. 前記最大潜像コントラスト電位差は、前記像担持体を前記帯電手段で帯電し得られる前記像担持体の帯電電位と、前記露光手段により露光量0.1[μJ/cm2]の増加量に対し露光部電位変化が50V以下の電位減衰となる領域の電位との差であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置。
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