JP3942809B2 - 固体酸触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体酸触媒、及びこの固体酸触媒を用いたエステル、あるいはケタール又はアセタールの製法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
固体酸触媒は、反応終了後の生成物の単離操作が容易である等の利点を有し、各種有機反応への利用可能性が検討されている。例えば、ゼオライト(特開昭61−200943)、IV族元素のシリケート(EP0623581A2)、含水酸化ジルコニウム(特公平4−28250)等がエステル製造用として、またイオン交換樹脂等の有機系固体触媒や、含水酸化ジルコニウム(特開昭63−146838)、モルデナイト(特開昭60−188338)等の無機系固体触媒がアセタール又はケタール製造用として知られている。
【0003】
これらの固体触媒を、特に液相反応で使用する場合は、低温での活性が不十分であることや、液相への触媒成分の溶出等によって活性あるいは触媒強度の耐久性を満足できない。
【0004】
本発明の課題は、各種有機反応に対し高い活性を発現し、かつ高い耐久性を示す固体酸触媒を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記構造(A)、構造(B)及び金属原子(C) を有する固体酸触媒、及びこの固体酸触媒を用いる、エステル、並びにケタール又はアセタールの製法である。
構造(A);無機リン酸が有するOH基の少なくとも一つから水素原子が除かれた構造
構造(B);一般式(1)又は(2)で表される有機リン酸が有するOH基の少なくとも一つから水素原子が除かれた構造
【0006】
【化2】
【0007】
[式中、−R1 及び−R2 は、それぞれ−R、−OR、−OH、−Hから選ばれ、−R1 及び−R2 の少なくとも一方は、−R又は−ORである。但し、−Rは、炭素数1〜22の有機基である。]
金属原子(C);アルミニウム、ガリウム、鉄から選ばれる一種以上の金属原子
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の固体酸触媒中の構造(A) において、無機リン酸として、オルトリン酸、メタリン酸や、ピロリン酸等の縮合リン酸等が挙げられ、性能の点から、オルトリン酸が好ましい。
【0009】
また構造(B) において、一般式(1)又は(2)で表される有機リン酸として、ホスホン酸、ホスホン酸モノエステル、ホスフィン酸、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、亜リン酸モノエステル、亜リン酸ジエステル等が挙げられ、これらの混合物でもよく、好ましくはホスホン酸である。
【0010】
有機リン酸中の有機基−Rとしては、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、 tert-ブチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル等のアルキル基、フェニル、3-メチルフェニル等のアリール基が好ましく、またそれらの基に、アミノ基、アルコキシ基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルボン酸基、クロロ基等のハロゲン基、ホスホン酸基、スルホン酸基等が結合した基も用いられる。
【0011】
金属原子(C) としては、性能及び/又はコストの点から、アルミニウムが好ましい。尚、選択性その他性能を改良する目的で、アルミニウム、ガリウム、鉄以外の金属原子を少量有してもよい。
【0012】
本発明の固体酸触媒中の構造(A)と構造(B)の割合は、性能の点から下式(3)で表わされる有機リン酸モル比xが0.01〜0.99であることが好ましい。ここで[Pinorg]は構造(A) に含まれるリン原子のモル数、[Porg]は構造(B) に含まれるリン原子のモル数を示す。
【0013】
x=[Porg]/([Pinorg]+[Porg]) (3)
また、この比xは、利用する反応によってさらに好ましい比が存在し、エステルの製造には、xは0.01〜0.7 が好ましく、0.01〜0.5 がより好ましい。また、ケタール又はアセタールの製造には、xは0.05〜0.99が好ましく、0.1 〜0.8 がより好ましい。
【0014】
また下記式(4)で表される値Yは、0.15〜2.0 であることが好ましい。
【0015】
Y=[Metal]/([Pinorg]+[Porg]) (4)
ここで[Metal]は触媒中の金属原子(C) の原子数を示す。
【0016】
触媒中に含まれる金属原子(C) の全てが、必ずしも、構造(A)あるいは構造(B)と結合している必要はなく、金属原子(C) の一部分が金属酸化物あるいは金属水酸化物等の形で存在しても構わない。
【0017】
本発明の固体酸触媒の調製法として、沈澱法や、金属酸化物あるいは水酸化物へ無機リン酸及び有機リン酸を含浸する方法、無機リン酸アルミニウムゲル中の無機リン酸基を有機リン酸基へ置換する方法等が用いられ、沈澱法が好ましい。沈殿法においては、水溶性のアルミニウム塩と無機リン酸及び有機リン酸の水溶液(S)と、アンモニア水や炭酸ソーダ水溶液、苛性ソーダ水溶液等のアルカリ(T)を混合し、pHを調整することによって、本固体酸触媒の沈澱が得られる。尚、水溶液(S)とアルカリ(T)の添加順序は限定されない。また、有機リン酸の水溶性が乏しい場合は、メタノールやアセトン等の溶剤を適宜加えることにより水溶液(S)を調製してもよい。得られた沈殿は、乾燥した後、必要に応じて、さらに焼成を行う。その際、高温での焼成は、有機リン酸から誘導される構造中の有機基を消失させる恐れがあり、600℃以下での焼成が好ましく、500℃以下での焼成がさらに好ましい。
【0018】
また、本発明の触媒を調製する際に、高表面積の担体を共存させ、担持触媒を得ることも可能である。担体として、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、ジルコニア、活性炭等を用いることができる。担体を過剰に用いると、活性成分の含有量が低下し、活性を低下させるため、触媒中の担体の占める割合は、90重量%以下が好ましい。
【0019】
触媒の形態は、粉末のまま原料に分散させて用いることも可能であるし、あるいは適当な粒度また形状に成形し、反応塔に充填して連続反応を行うことも可能である。
【0020】
本発明の固体酸触媒は、反応に使用する状態において、構造(A) 及び構造(B)を同時に有することが不可欠である。ただし、仕込みに使用した無機リン酸基並びに有機リン酸基すべてを有する必要はない。
【0021】
本発明の固体酸触媒は、種々の触媒反応に利用可能であり、例えば、エステル交換、エステル化、アルデヒドとアルコールからのアセタール化あるいはケトンとアルコールからのケタール化、アルドール縮合反応、アミド化、アミノ化、アルコールの脱水反応によるオレフィンあるいはエーテルの合成、オレフィンへの水和やアルコールの付加反応、異性化反応、芳香環のアルキル化あるいはアシル化等が挙げられる。
【0022】
上記各種反応における反応条件は、例えば、反応相(気相又は液相)は、反応の種類によって最適な条件が選ばれるが、本発明の固体酸触媒は、温和な条件でも高い活性を示すため、気相のみならず、従来の固体触媒では高い活性を発現するのが難しい液相条件下での使用も好ましい。また、例えば、反応圧力は、反応の種類によって最適な条件が選ばれ、加圧下で行ってもよく、大気圧下、又は減圧下で行ってもよい。また、例えば、反応温度は、構造(B) 中の有機基が消失しない温度、例えば、酸素存在下では600 ℃以下での使用が好ましく、500 ℃以下での使用がさらに好ましい。
【0023】
本発明の固体酸触媒は、エステル交換反応又はエステル化反応に対し、非常に高い活性と良好な選択性を示し、さらには長期間その活性と選択性を維持することができる。その結果、短い反応時間で、高収率かつ高純度のエステルを、長期間に渡り得ることができる。
【0024】
エステル交換又はエステル化反応は、原料エステル又は原料カルボン酸(a) と、原料アルコール(b) を混合して、反応条件下に本固体酸触媒と接触させることで行われる。
【0025】
原料エステル又は原料カルボン酸(a) のうち、原料エステルは、例えば炭素数1〜22の直鎖あるいは分岐鎖を持つ脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸あるいはそれらの混合物と、炭素数1〜22の直鎖あるいは分岐鎖を持つ1価アルコール又は多価アルコールとのエステルあるいは部分エステルが用いられる。具体的には、酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸等のカルボン酸あるいはジカルボン酸及びそれらの混合物と、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ステアリルアルコール等の1価脂肪族アルコール、フェノール等の1価芳香族アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコールとからなるエステルであり、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の天然植物油、牛脂、豚脂等の動物油等が好ましい。また原料カルボン酸は、上記の炭素数1〜22の直鎖あるいは分岐鎖を持つ脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸あるいはそれらの混合物が用いられる。
【0026】
また、原料アルコール(b) としては、上記の炭素数1〜22の直鎖あるいは分岐鎖を持つ1価アルコール又は多価アルコールが用いられる。
【0027】
エステル化の方法は、例えば、原料エステル又は原料カルボン酸(a) と原料アルコール(b) を、固体酸触媒を充填した反応塔に連続的に供給する方法、反応槽で、回分式に原料エステル又は原料カルボン酸(a) と原料アルコール(b) を、固体酸触媒と接触させて反応を行う方法等がある。その際、反応後の処理がろ過のみで済み、一般に使用されている均一系触媒の場合に必要な、中和工程や触媒除去工程を省くことができる。また、未反応原料の回収も容易となる。
【0028】
反応圧力や温度は、目的反応によって好ましい条件を選ぶことができる。反応温度は、副反応を考慮した場合、より低い温度で反応を行うことが好ましい。本発明の固体酸触媒は、従来の固体酸触媒と比較して、低温条件下でも高いエステル化反応活性を発揮するため、高い選択率で目的エステルを得ることができる。
【0029】
本発明の固体酸触媒は、ケトン又はアルデヒド(c) と、アルコール(d) とのアセタール化又はケタール化反応に対しても、非常に高い活性と良好な選択性を示し、さらには長期間その活性と選択性を維持することができる。その結果、短い反応時間で、高収率かつ高純度のアセタール又はケタールを長期間に渡り得ることができる。
【0030】
ケトン又はアルデヒド(c) は、炭素数1〜22の直鎖あるいは分岐鎖を持つ脂肪族ケトン又はアルデヒド、芳香族ケトン又はアルデヒド等が用いられる。より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、3−ペンタノン、2−ペンタノン、ジn−ヘキシルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ドデカナール、ベンズアルデヒド等が例示できる。
【0031】
また、アルコール(d)は、上記エステル化反応で例示した、原料アルコール(b)と同じものが用いられる。
【0032】
ケタール化あるいはアセタール化の方法は、例えばケトン又はアルデヒド(c)と、アルコール(d) を、触媒を充填した反応塔に連続的に供給する方法、あるいは、反応槽で回分式に反応を行う方法等がある。その際、ベンゼンやヘプタン等の適当な共沸溶剤を用いて、生成した水を留去することにより、反応速度あるいは反応平衡を有利にすることもできる。
【0033】
本発明の固体酸触媒を使用すれば、反応後の処理がろ過のみで済むため、一般に使用されるパラトルエンスルホン酸や鉱酸等の均一系触媒の場合に必要な、中和工程を省くことができる。また、蒸留の際も、塩の存在による副反応等が起こらず、精製時の歩留まりを高めることができ、さらには未反応原料の回収が容易となる。
【0034】
【実施例】
実施例1−1(触媒調製)
フェニルホスホン酸14.2gと、85%オルトリン酸27.7g、硝酸アルミニウム(9水和物)112.5 gを、水1000g及びメタノール80gに溶解させた。室温にて、この混合溶液にアンモニア水溶液を滴下し、pHを5まで上昇させた。途中、ゲル状の白色沈殿が生成した。沈殿をろ過し、水洗後、110 ℃で15時間乾燥した。60メッシュ以下に粉砕し、250 ℃で3時間焼成することにより、固体酸触媒を得た。
【0035】
得られた触媒の組成を分析した結果を表1に示す。なお組成分析は、金属及びPはICP分析装置(島津製作所製ICPS1000III)、CはCHN元素分析計(パーキンエルマー社製2400-2)を用いて行った。また、得られた触媒のP−NMR(バリアン社製UNITY INOVA 300 を使用)を分析したところ図1に示す結果が得られ、オルトリン酸から誘導される構造中のPに由来するピーク(−29.2Hz)と、フェニルホスホン酸から誘導される構造中のPに由来するピーク(−5.2Hz)の2つのピークが共存していることが確認された。それぞれのピークの同定は、下記比較例1−1で調製したフェニルホスホン酸アルミニウム、並びに比較例1−2で調製したリン酸アルミニウムのピークとの比較、さらには文献値(Inorg. Chem., 37(1998), 4168 等)との比較から行った。
【0036】
また、触媒中に存在する[Pinorg]及び[Porg]をC及びPの組成分析結果を基に算出し、上記式(3)で表される有機リン酸モル比xを求めた。結果を表1に示す。
【0037】
実施例1−2(触媒調製)
原料の種類及び仕込量、並びに調製条件を表1に示すように変えること以外は実施例1−1と同様の方法で固体酸触媒を得た。得られた触媒の組成分析値及び有機リン酸モル比xを表1に示した。
【0038】
また、得られた触媒のP−NMRを分析したところ図2に示す結果が得られ、オルトリン酸から誘導される構造中のPに由来するピーク(−29.8Hz)と、フェニルホスホン酸から誘導される構造中のPに由来するピーク(−5.3Hz)が共存していることが確認された。
【0039】
実施例1−3〜1−8(触媒調製)
原料の種類及び仕込量、並びに調製条件を表1に示すように変えること以外は実施例1−1と同様の方法で固体酸触媒を得た。得られた触媒の組成分析値及び有機リン酸モル比xを表1に示した。
【0040】
比較例1−1(触媒調製)
フェニルホスホン酸47.4gと、硝酸アルミニウム(9水和物)75.0gを、水800g及びメタノール160 gに溶解させた。室温にて、この混合溶液にアンモニア水溶液を滴下して行き、pHを4まで上昇させた。途中、ゲル状の白色沈殿が生成した。沈殿をろ過し、水洗後、110 ℃で15時間乾燥した。60メッシュ以下に粉砕し、250 ℃で3時間焼成することにより、触媒を得た。
【0041】
得られた触媒の組成を分析した結果を表1に示す。また得られた触媒のP−NMRを分析したところ図3に示す結果が得られ、フェニルホスホン酸から誘導される構造に由来するピークが−9.5 Hzに存在していることが確認された。
【0042】
比較例1−2(触媒調製)
85%オルトリン酸563 gと、硝酸アルミニウム(9水和物)173 gを、水5000gに溶解させた。室温にて、この混合溶液にアンモニア水溶液を滴下して行き、pHを7まで上昇させた。途中、ゲル状の白色沈殿が生成した。沈殿をろ過し、水洗後、110 ℃で十分乾燥した。60メッシュ以下に粉砕し、400 ℃で3時間焼成することにより、触媒を得た。
【0043】
得られた触媒の組成を分析した結果を表1に示す。また得られた触媒のP−NMRを分析したところ図4に示す結果が得られ、オルトリン酸から誘導される構造中のPに由来するピークが−28.4Hzに存在していることが確認された。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例2−1〜2−6、比較例2−1〜2−4(エステル化反応)
オートクレーブ中に、パーム核油(トリグリセリド)200gと、メタノール55.8g、本発明の触媒として実施例1−1及び1−4〜1−8で調製した固体酸触媒、比較の触媒として比較例1−1及び1−2で調製した触媒、水酸化ジルコニウム(第一稀元素製)を空気中で300 ℃で2時間焼成して得た含水酸化ジルコニウム、並びにモルデナイト(東ソー製)を10g仕込んだ。反応温度200 ℃で5時間、密閉条件で懸濁反応させた後、触媒を濾別し、反応終了液の組成をガスクロマトグラフィーで分析して5時間目のエステル収率を求め、また、下記式(4)で表される反応速度を求めた。結果を表2に示す。なお反応平衡時のエステル収率は81.7%である。
【0046】
反応速度[1/hr]=〔ln((EV0−EVe)/(EV5h−EVe))〕/5 (4)
ここで、EV0 は原料トリグリセリドのエステル価(KOHmg/g)、EVe は平衡エステル価(KOHmg/g)、EV5hは反応5時間目の反応液に残存しているグリセリドのエステル価(KOHmg/g)である。
【0047】
【表2】
【0048】
実施例3−1〜3−2、比較例3−1(エステル化反応)
本発明の触媒として実施例1−1及び1−5で調製した固体酸触媒、比較の触媒として比較例1−2で調製した触媒を用い、これらをヌードル状に押し出し成形して反応塔に充填し、パーム核油(トリグリセリド)とメタノールとの固定床連続反応を行った。反応条件は、温度170 ℃、メタノール/トリグリセリドモル比10[mol/mol]、LHSV 0.2 [1/hr]で行った。エステル収率及び下記式(5)で表される反応速度を表3に示す。なお平衡エステル収率は、95.5%である。
【0049】
反応速度=ln((EV入口−EVe)/(EV出口−EVe)) (5)
ここで、EV入口は原料トリグリセリドのエステル価(KOHmg/g)、EVe は平衡エステル価(KOHmg/g)、EV出口は反応塔出口の反応液に残存しているグリセリドのエステル価(KOHmg/g)である。
【0050】
比較例3−2(エステル化反応)
チタノシリケート〔Ti/Si=1/9.2 、アルコキシド法により調製(上野晃史ら、アイピーシイー、P303、金属アルコキシドを用いる触媒調製を参照) 〕をヌードル状に押し出し成形した触媒を反応塔に充填し、パーム核油(トリグリセリド)とメタノールとの固定床連続反応を行った。反応条件は、実施例3−1より反応進行上有利な、温度200℃、メタノール/トリグリセリドモル比60[mol/mol]、LHSV 0.2 [1/hr]で行った。エステル収率及び上記式(5)で表される反応速度を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
実施例4−1及び4−2(エステル化反応)
実施例1−5で調製した固体酸触媒を用い、実施例3−2と同じ条件で、表4に示す通液倍数(反応塔に充填した触媒の重量に対する、それまでの期間に通過した原料トリグリセリドの重量の比)で、長期間の連続運転を行った。その結果を表4に示す。表4から明らかなように高いトリグリセリド転化率(エステル収率)が維持された。
【0053】
【表4】
【0054】
実施例5−1(ケタール化反応)
200 mlのフラスコに、メチルエチルケトン32.4gと、グリセリン27.6g、ヘプタン13.2g、触媒として実施例1−1で調製した固体酸触媒を3.75g入れた。オイルバスを用いて昇温し、約100 ℃でヘプタンと水の留出が始まった。その後、還留量を一定にしながら、徐々に温度を上げた。反応の進行は、留出してくる水量で追った。ただし、留出水中には、メチルエチルケトンが約20%溶解していた。留出水の留出速度で、反応速度を比較した。結果を表5に示す。留出水量が6mlに達するまでに要した時間は、時間が短いほど反応活性が高いことを示す。反応は5時間で終了し、その時の留出水量は6.2 mlであった。
【0055】
その後、触媒をろ過で除去し、蒸留によりグリセリンのケタールを得た。ケタールの収率は93.7%、選択率は98.4%であった。
【0056】
実施例5−2及び5−3(ケタール化反応)
触媒として実施例1−2及び1−3で調製した固体酸触媒を使用した以外は、実施例5−1と同じ方法で、反応を行った。留出水の留出速度の比較結果を表5に示す。
【0057】
比較例5−1(ケタール化反応)
触媒として比較例1−1で調製した触媒を使用した他は、実施例5−1と同じ方法で、反応を行った。留出水の留出速度の比較結果を表5に示す。その後、触媒をろ過で除去し、蒸留によりグリセリンのケタールを得た。ケタールの収率は89.2%、選択率は97.6%であった。
【0058】
比較例5−2(ケタール化反応)
触媒として比較例1−2で調製した触媒を使用した他は、実施例5−1と同じ方法で、反応を行った。留出水の留出速度の比較結果を表5に示す。反応5.0 時間後、触媒をろ過で除去し、蒸留によりグリセリンのケタールを得た。ケタールの収率は40.5%であった。
【0059】
比較例5−3(ケタール化反応)
触媒として比較例2−3で用いたものと同じ含水酸化ジルコニウムを使用した他は、実施例5−1と同じ方法で反応を行った。留出水の留出速度の比較結果を表5に示す。
【0060】
【表5】
【0061】
実施例6−1(エステル化反応)
本発明の触媒として実施例1−5で調製した固体酸触媒を用い、これらをヌードル状に押し出し成形して反応塔に充填し、脂肪酸とメタノールとの固定床連続反応を行った。反応条件は、温度200 ℃、系内圧力1.0MPa、メタノール/脂肪酸モル比3[mol/mol]、LHSV 0.5 [1/hr]で行った。脂肪酸としては、ラウリン酸とミリスチン酸の混合物(酸価270 KOHmg/g)を使用した。反応塔から出た液からメタノール及び水を留去することにより、90.5%の収率で、脂肪酸メチルエステルが得られた。続いて、得られた90.5%の粗メチルエステルを、温度200 ℃、系内圧力1.0MPa、メタノール/(脂肪酸及びメチルエステル)のモル比3[mol/mol]、LHSV 1 [1/hr]の条件下反応を行った。反応塔からでた液からメタノール及び水を留去することにより、99.7%の収率で、脂肪酸メチルエステルが得られた。
【0062】
【発明の効果】
本発明の固体酸触媒は、固体表面に有機基を有するために、有機反応基質と触媒表面活性点の親和性が高く、高活性である。
【0063】
この触媒は種々の触媒反応に利用可能である。特に、エステル化あるいはエステル交換によるエステルの製造、ケタール化又はアセタール化によるケタール又はアセタールの製造に対し、生成物と触媒の分離を容易に行うことができ、長期間に渡って生成物を高収率かつ高選択的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1−1で得られた触媒のP−NMRスペクトルである。
【図2】 実施例1−2で得られた触媒のP−NMRスペクトルである。
【図3】 比較例1−1で得られた触媒のP−NMRスペクトルである。
【図4】 比較例1−2で得られた触媒のP−NMRスペクトルである。
Claims (6)
- 下記構造(A)、構造(B)及び金属原子(C) を有する、エステル交換反応、エステル化反応、アルデヒドとアルコールからのアセタール化反応、ケトンとアルコールからのケタール化反応、アルドール縮合反応、アミド化反応、アミノ化反応、アルコールの脱水反応によるオレフィンあるいはエーテルの合成反応、オレフィンへの水和反応、アルコールの付加反応、異性化反応、芳香環のアルキル化あるいはアシル化反応から選ばれる少なくとも1種の反応用固体酸触媒。
構造(A);無機リン酸が有するOH基の少なくとも一つから水素原子が除かれた構造
構造(B);一般式(1)又は(2)で表される有機リン酸が有するOH基の少なくとも一つから水素原子が除かれた構造
金属原子(C);アルミニウム、ガリウム、鉄から選ばれる一種以上の金属原子 - エステル交換反応、エステル化反応、アセタール化反応又はケタール化反応用である、請求項1記載の固体酸触媒。
- 構造(A) がオルトリン酸から誘導される構造である、請求項1又は2記載の固体酸触媒。
- 構造(B) がホスホン酸から誘導される構造である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体酸触媒。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒を用い、原料エステル又は原料カルボン酸(a) と、原料アルコール(b) からエステルを製造するエステルの製法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒を用い、ケトン又はアルデヒド(c) と、アルコール(d) からケタール又はアセタールを製造するケタール又はアセタールの製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000184236A JP3942809B2 (ja) | 1999-06-21 | 2000-06-20 | 固体酸触媒 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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