JP3942716B2 - アロエ錠剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の生理効果を有するアロエ粉末及びラクチュロースを有効成分として含有し、極めて高い硬度を有するアロエ錠剤、並びにアロエ粉末、ラクチュロース、及びビフィドバクテリウム属に属する微生物、ラクトバシラス属に属する微生物、ストレプトコッカス属に属する微生物、ペディオコッカス属に属する微生物及びリュウコノストック属に属する微生物(以下これらの微生物を一括して乳酸菌類と記載することがある。)からなる群より選択される微生物の1種又は2種以上の微生物菌末の混合物を有効成分として含有し、極めて高い硬度を有するアロエ錠剤に関する。
【0002】
本明細書において、垂直方向は、打錠時に杵で加圧・圧縮する方向であり、水平方向は、垂直方向に対して直角の方向である。錠剤の水平方向の硬度は、常法により水平方向に静的圧力を加えて破砕することにより測定され、錠剤の垂直方向の硬度は、常法により垂直方向に荷重を加えて破砕することにより測定され、いずれの硬度もkgの単位により表示される。
【0003】
【従来の技術】
ラクチュロースは、ガラクトース及びフラクトースからなる2糖類(4-O- β-D-galactopyranosyl-α-D-fructose)の一種であり、乳糖にロブリー・ドブリュイン転位を行って製造される。ラクチュロースは、ビフィズス菌の増殖因子(診断と新薬、第10巻、第5号、第75ページ、1973年)として知られており、調製粉乳、離乳期用粉乳等に使用されている。また、ラクチュロースは、肝性脳症及び肝性昏睡の症状を軽減する作用を有することも知られており、既に治療に使用されている(精神医学、第15巻、第10号、第1101ページ、1973年)。
【0004】
しかしながら、ラクチュロースが錠剤の硬度を増加させる賦形剤として有効であることは知られていない。本発明者らは、先にラクチュロースが錠剤の硬度を増加させる賦形剤として有効であることを見い出し、既に特許出願を行った(特願平9−13429号。以下先願と記載する)。
【0005】
一方、アロエは、ユリ科の多年生、多肉植物であり、日本では江戸時代から民間薬として昆虫による刺傷、火傷等に広く使用されていた。アロエの薬理効果としては、
▲1▼慢性胃炎、腸炎、胃弱等による食欲不振、胃のもたれに卓効を有すること
▲2▼便秘、痔の治療効果を有すること
▲3▼昆虫による刺傷、火傷、海水浴により日焼等の皮膚障害に卓効を有すること
等が知られている(太木光一著、「プロのための食材の基礎知識」、第718ページ、オータパブリケイションズ、平成3年)。
【0006】
また、アロエ粉末の製造法としては、生葉を十分洗浄し、日光により乾燥させ、乾燥した葉をすり鉢で擂潰した粉末とする方法が知られている(三省堂企画編集部編、「現代の健康薬用食品事典」、特装机上版、第346ページ、三省堂企画、1984年)。更に、工業的規模によるアロエ粉末の製造法としては、アロエベラ葉の外皮を除去し、葉内部のゲル質を圧搾し、不溶物を沈殿させ、のち沈殿物を分離し、必要に応じて液を脱色し、乾燥し、乾燥物を粉砕し、アロエ粉末を製造する方法が知られている[ニュー・フード・インダストリー(New Food Industry) 、第26巻、第4号、第32ページ、1984年]。
【0007】
アロエ粉末を利用した製品としては、アロエ凍結粉砕物に澱粉及び乳糖を添加した整腸食品(特開昭61−183227号公報)、アロエ緑色廃棄物から得た繊維を含有するビフィズス菌成長促進組成物(特開平7−327635号公報)、アロエベラ汁にコラーゲン、ゼラチン等を混合したペレット(特表平7−502735号公報)等が開示されている。
【0008】
また、アロエ粉末を含有する錠剤としては、アロエ濃縮物に糖類を添加して固体となし、エタノールで洗浄し、アロインを除去し、粉末化して打錠する方法(特開昭50−155664号公報)、霊芝粉末に30〜50%(重量)のアロエ粉末を添加し、造粒し、乾燥し、分篩して得た顆粒を打錠し、硬度を3〜5kg/cm2 とした健康食品(特公平8−32232号公報)等が開示されているが、成分にラクチュロースを含有する錠剤は知られていない。
【0009】
一般に錠剤は1個の計量単位として摂取し易く、服用が容易であり、その製法も比較的容易であり、多くの医薬品、健康食品等に利用されている。錠剤は、製錠された後、包装されて輸送されるが、この過程で相当の振動、衝撃等の外力を受けるので、その商品価値を維持するため、錠剤が崩壊しないように適当な機械的強度を有するように製錠しなければならない。
【0010】
また、アロエを含有する錠剤を噛み砕いて摂取する場合、ある程度の硬度がなければ咀嚼により歯等口腔内に付着し、食感の低下を惹起し、その嗜好性が著しく低下する。
【0011】
アロエを含有する錠剤は、既に数種類市販されているが、その硬度は水平方向で約3〜4kg、垂直方向で約2〜3kgであり、硬度が極めて低く、錠剤の強度の点から大きな問題があり、その食感も極めて不良であった。
【0012】
前記のとおり、従来アロエを含有する組成物を従来の方法で打錠し、錠剤を製造した場合、硬度が低く、極めて脆弱な錠剤となり、食感も極めて不良であるという問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、アロエに公知の賦形剤であるコーンスターチ等のデンプン類、乳糖、ショ糖等の糖類を添加し、従来の方法により錠剤の製造を多数試みたが、硬度の低い錠剤が得られるのみであった。
【0014】
また、本発明者らは、錠剤の全ての原料混合物又は錠剤原料の一部混合物を造粒して顆粒となし、常法による打錠を試みた。この場合、前記粉末原料を直接打錠した場合に比較して硬度は増加し、錠剤強度の改善は認められたが、商品として流通に耐え得る安定な錠剤としては、なお不充分であった。
【0015】
錠剤の硬度を増加する手段の一つとして、打錠圧を増加することも知られている(医薬品開発基礎講座Χ・製錠工学、第156ページ、地人書館、1971年)。しかしながら、ラクトフェリンを含有する組成物の製錠において、過剰な打錠圧は打錠時のキャッピング(錠剤上面の剥離)、ラミネーション(層状の剥離)等の原因となるので望ましくなく、乳酸菌類の生菌末を含有する組成物を打錠する場合には、生菌の生残数減少の原因となるという問題があった。
【0016】
本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、前記従来技術の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、先願のラクトフェリンをアロエに置換することにより、著しく硬度の高い錠剤が得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0017】
本発明は、高い硬度を有し、輸送によっても崩壊せず、極めて容易に摂取し得るアロエ粉末及びラクチュロースを有効成分として含有する錠剤を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のアロエ錠剤は、アロエ粉末と、該アロエ粉末1重量部に対して0.1重量部以上のラクチュロースを含有することを特徴とする。
【0019】
本発明のアロエ錠剤は、さらに、ビフィドバクテリウム属に属する微生物、ラクトバシラス属に属する微生物、ストレプトコッカス属に属する微生物、ペディオコッカス属に属する微生物及びリュウコノストック属に属する微生物からなる群より選択される微生物の1種又は2種以上の微生物菌末を含有することが好ましい。
前記錠剤の水平方向及び垂直方向の硬度が、いずれも6〜15kgであることが好ましい。
【0020】
次に本発明について説明する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の発明及び第二の発明に使用するアロエ粉末及びラクチュロースは、市販品又は公知の方法(例えば、前記従来技術の欄に記載した方法等)により製造することもできる。例えば、市販のアロエ粉末は、次のとおり製造されたものである(株式会社サノ企業のパンフレットから引用)。
【0022】
アロエの新鮮葉を十分洗浄し、異物及び腐葉を除去し、葉の表皮を除去した葉肉を粉砕し、繊維を濾別し、約90℃に加熱して酵素を失活させるとともにアクを除去し、得られて葉肉汁を急速に冷却し、濃縮し、濃縮葉肉汁を凍結乾燥し、アロエ粉末を得る。
【0023】
また、ラクチュロースは、例えば、特開平3−169888号公報及び特開平6−228179号公報に開示された方法により、次のとおり製造することができる。
【0024】
市販乳糖の10%水溶液に、水酸化ナトリウムを添加し、該混合液を70℃の温度で30分間加熱し、冷却し、のち冷却した溶液をイオン交換樹脂により精製し、濃縮し、冷却し、結晶化し、未反応の乳糖を除去し、固形分含量約68%(固形分中ラクチュロース約79%)のラクチュロース水溶液を得る。この水溶液を強酸性イオン交換樹脂充填カラムに通液し、ラクチュロースを含む画分を採取し、濃縮し、固形分含量約68%(固形分中ラクチュロース約86%)の精製ラクチュロース水溶液を得る(特開平3−169888号公報記載の方法)。
【0025】
更に、前記の方法により得たラクチュロース水溶液(シロップ)を固形分含量約72%に濃縮し、この濃縮液を15℃に冷却し、ラクチュロース三水和物結晶を種晶として添加し、撹拌しながら7日間を要して5℃まで徐々に冷却し、結晶を生成させ、10日後に上澄液の固形分含量が約61%に低下した結晶を含む液から瀘布式遠心分離器により結晶を分離し、5℃の冷水で洗浄し、乾燥させ、純度95%以上のラクチュロースの結晶を得ることができる(特開平6−228179号公報記載の方法)。
【0026】
本発明に使用するラクチュロースは、可及的に高純度であることが望ましく、特に95%以上の純度であることが望ましい。
【0027】
以上のようにして製造されたアロエ粉末を錠剤1g当たり5〜900mg、望ましくは50〜800mg、の割合で含有させる。また、本発明においては、アロエ粉末1部に対してラクチュロースを少なくとも0.1部、最大100部、望ましくは0.2〜10部の割合で含有させる。
【0028】
本発明の第一の発明及び第二の発明において、その他の成分としてショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の滑沢剤、風味及び食感を改善するために糖類、甘味料、香料、増粘剤、乳化剤等を所用量添加し、錠剤の原料を調製する。
【0029】
前記錠剤の原料は、公知の粉砕機[例えば、回転型ピンミル(ホソカワミクロン社製)等]により粉砕することもでき、また、打錠の前に予め押出し造粒機[例えば、エクストルード・オー・ミックス(ホソカワミクロン社製)等]、流動層造粒機[例えば、グラット流動造粒乾燥機(大川原製作所製)等]等の公知の造粒装置を用いて造粒して顆粒となし、打錠することもできる。しかしながら、滑沢剤、香料、後記する乳酸菌類の生菌末等は、造粒しないほうが望ましい。
【0030】
以上のとおり調製した錠剤の原料を公知の方法及び装置により打錠する。打錠に使用する機械は、粉粒体圧縮式の打錠機であり、公知のロータリー型打錠機、エキセントリック型打錠機等のいずれも使用することができるが、工業的規模での生産用としてはロータリー型打錠機を用いることが望ましい。具体的には、例えば、前記のとおり調製した錠剤の原料をロータリー型打錠機[例えば、HT−PA型小型高速打錠機(畑鐵工所製)等]に供給し、所望の錠形を有する上下の杵の間で圧縮し、成型することにより錠剤を得ることができる。打錠時の圧縮圧力は、錠剤原料の組成、錠形、打錠速度、打錠機の種類等により異なるが、通常1トン以上、5トン以下の範囲である。また、本打錠の直前に、錠剤の原料を1トン程度の圧力で予備圧縮することもできる。
【0031】
錠形については、極端な異形の場合、強度が若干低下することもあるが、一般に錠形として用いられている丸形、三角形、多角形、フットボール形、バッカル形、花形、ハート形等に打錠することができる。
【0032】
本発明の第二の発明に使用する乳酸菌類の菌末は、生菌末又は死菌末のいずれであってもよいが、生体内で整腸作用を有することから、生菌末が望ましい。乳酸菌類の菌末は、市販品又は公知の方法(例えば、特開平1−221319号公報に記載の方法等)により調製することができるが、その一例を示せば、所望する菌種の前培養を常法により大量培養し、培養液から分離した菌に必要に応じて各種の糖類、アミノ酸、デンプン、ゼラチン、脱脂粉乳等の保護作用を有する分散媒を添加し、凍結乾燥することにより、乾燥菌体を調製することができる。尚、乳酸菌類の菌末のより詳細な調製方法については、後記する参考例1乃至参考例4のとおりである。
【0033】
本発明の第二の発明においては、過剰な打錠圧をかける必要がないので、多量の乳酸菌類を生菌の状態で錠剤中に含有させることができるという大きな利点がある。
【0034】
以上のようにして製造された本発明の第一の発明及び第二の発明の錠剤は、硬度が高く、耐摩損性を有するため、ビン、缶、袋詰、ブリスター包装等の包装形態を問わずこれらに充填し、包装することが可能であり、かつ輸送中の破損、崩壊等を防止することができる。
【0035】
このように本発明の第一の発明及び第二の発明の錠剤は、ラクチュロースを添加しているので、アロエ粉末を含有しているにもかかわらず、水平方向及び垂直方向に、いずれも6〜15kgの高い硬度を有しており、製錠時及び包装時の取扱い、輸送による衝撃に耐えられ、生産性及び製品品質の向上が可能であるばかりでなく、摂取時の口腔内への付着がない等の嗜好的にも優れており、従来の製品にない特徴を有している。
【0036】
次に、試験例を示して本発明を説明する。
試験例1
この試験は、アロエ粉末含有錠剤の製錠に与えるラクチュロースの効果を、他の糖アルコールであるエリスリトール、マルチトールを添加した場合と比較するために行なった。
【0037】
1)試料の調製
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)1部に対してラクチュロース粉末(森永乳業社製)を0.5部の割合で配合した混合物97部に、滑沢剤としてグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製)3部を添加し、均一に混合し、錠剤の原料を調製した(試料1)。
【0038】
これとは別に、アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)1部に対してエリスリトール粉末(日研化学社製)及びマルチトール粉末(東和化成工業社製)を各0.5部の割合で配合した混合物97部に、滑沢剤としてグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製)3部を添加し、均一に混合し、錠剤の原料を調製した(試料2及び試料3)。
【0039】
各試料を回転テーブル型打錠機(畑鐵工所製)に、直径10mmの丸形錠剤用杵を装着し、前記各試料を打錠圧力2トンで打錠し、直径10mm、重量0.5gの丸形錠剤各500錠を調製した。
【0040】
2)試験方法
得られた各試料から無作為に30錠を採取し、各錠剤の硬度をデジタル硬度計(木屋製作所製)により、水平方向及び垂直方向の硬度を測定し、各試料の平均値を算出し、硬度の比較試験を行った。
【0041】
3)試験結果
この試験の結果、エリスリトールを用いた錠剤(試料2)は極めて脆弱であり、その硬度の平均値は水平方向0.5kg、垂直方向0.3kgであり、錠剤の賦形剤として一般に使用されるマルチトールを用いた錠剤(試料3)の平均硬度は、前記試料1よりも高く、水平方向3.0kg、垂直方向1.2kgであった。
【0042】
これに対して、ラクチュロースを添加した錠剤(試料1)の平均硬度は、水平方向10kg、垂直方向8kgであり、ラクチュロースの使用により錠剤の硬度が顕著に増加することが認められた。
【0043】
尚、アロエ粉末及びラクチュロース、並びに打錠機の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0044】
試験例2
この試験は、製錠に適したアロエ粉末とラクチュロースとの比率を調べるために行なった。
【0045】
1)試験方法
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)1部に対して、表1に示すとおりラクチュロース粉末(森永乳業社製)0部〜0.95部の割合で配合した混合物97部を用いたことを除き、試験例1と同一の方法により、1錠あたり0.5gの丸形錠剤を調製した。また、これとは別に、アロエ粉末を配合せずにラクチュロース粉末(森永乳業社製)のみ97部を用いたことを除き、試験例1と同一の方法により、1錠あたり0.5gの丸形錠剤を調製した。
【0046】
2)試験方法
前記試験例1と同一の方法により、平均硬度を測定して試験した。
【0047】
3)試験結果
この試験の結果は表1に示すとおりである。表1から明らかなとおり、アロエ粉末1部に対して0.1部以上のラクチュロース添加により、輸送等の衝撃に耐え得る錠剤硬度(水平方向平均4kg、垂直方向平均3kg)を有する錠剤が得られ、0.2部以上の添加では、水平方向平均6kg以上、垂直方向平均6kg以上の硬度を有する強固な錠剤が得られた。また、アロエ粉末1部に対してラクチュロースを100部添加した場合、錠剤の硬度は、水平方向、垂直方向ともに平均15kgであり、ラクトフェリン無添加のもの(水平方向、垂直方向ともに平均16kg)に近い錠剤が得られた。
【0048】
また、得られた各錠剤について、ラクチュロース添加量がアロエ粉末1部に対して0.08部以下では全ての試料においてキャッピングが認められ、0.1部添加では付着がほとんど認められず、0.2部以上の添加では全く認められなくなった。
【0049】
従って、アロエ粉末1部に対して、ラクチュロースを少なくとも0.1部、望ましくは0.2〜10部添加することにより、水平方向及び垂直方向に、いずれも6〜15kgの硬度を有する強固な錠剤が得られることが判明した。
【0050】
尚、アロエ粉末及びラクチュロース、並びに打錠機の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0051】
【表1】
Figure 0003942716
【0052】
試験例3
この試験は、生菌を含有する本発明の錠剤における生菌数に及ぼす打錠の影響を調べるために行なった。
【0053】
1)試料の調製
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)1部に対してラクチュロース粉末(森永乳業社製)を0.5部の割合で配合した混合物95部に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)M−8201(微工研研寄第6548号)の菌体粉末(生菌数:100×108 /g。森永乳業社製)2部、滑沢剤としてグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製)3部を添加し、均一に混合し、錠剤の原料(生菌数:2×108 /g)を調製した(試料4)。
【0054】
これとは別に、アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)1部に対してマルチトール粉末(東和化成工業社製)を0.5部の割合で配合した混合物95部に、ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌体粉末(生菌数:100×108 /g。森永乳業社製)2部、滑沢剤としてグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製)3部を添加し、均一に混合し、錠剤の原料(生菌数:2×108 /g)を調製した(試料5)。
【0055】
ロータリー型打錠機(畑鐵工所製)に直径10mmの丸形錠剤用杵を装着し、
前記各試料を打錠圧力2トンで打錠し、重量0.5gの丸形錠剤各500錠を調製した。
【0056】
2)試験方法
前記試験例1と同一の方法により、平均硬度を測定して試験した。
【0057】
また、得られた各試料の錠剤から無作為に10錠を採取し、混釈培養法により各錠剤のビフィズス菌の生菌数を測定し、各試料の平均値を算出し、生菌数の比較試験を行った。
【0058】
3)試験結果
この試験の結果は表2に示すとおりである。表2から明らかなとおり、ラクチュロース添加(試料4)の場合、生菌数をほとんど減少させずに強固な錠剤(水平方向平均約10kg、垂直方向平均約8kg)であったのに対して、マルチトール添加(試料5)の錠剤では、生菌数がラクチュロース添加と同様にほとんど減少しなかったが、その硬度は、水平方向平均約3kg、垂直方向平均約1kgであり、極めて脆弱であった。
【0059】
従って、乳酸菌類の生菌末、アロエ粉末及びラクチュロースからなる原料を打錠することにより、生菌数をほとんど減少させることなく、強固な錠剤を製錠できることが判明した。
【0060】
尚、アロエ粉末、ラクチュロース及び生菌菌末、並びに打錠機の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0061】
【表2】
Figure 0003942716
【0062】
参考例1
ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)M−8201(微工研研寄第6548号)をグルコースを添加したABCM培地(栄研化学社製)を用いて10代継代培養した後、グルコース、酵母エキス、ペプトン及びリン酸塩からなる合成培地50lに接種し、37℃の温度で14時間培養した。得られた培養物を遠心分離し、菌体を集め、得られた菌液1lにグルタミン酸(和光純薬社製)100g及びショ糖50gを水に溶解した分散媒500mlを添加し、凍結乾燥した。
【0063】
得られた粉末菌体275gに、乳糖(和光純薬社製)2kg及び乾燥コーンスターチ(松谷化学工業社製)2.5kgを添加し、混合して倍散し、ビフィドバクテリウム・ロンガムの粉末菌体約4.7kg(生菌数:110×108 /g)を得た。
【0064】
参考例2
ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)ATCC−19433を用いたことを除き、参考例1と同様の方法により、ストレプトコッカス・フェカリスの粉末菌体約4.0kg(生菌数:230×108 /g)を得た。
【0065】
参考例3
ラクトバシラス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus) ATCC−4356を用いたことを除き、参考例1と同様の方法により、ラクトバシラス・アシドフィラスの粉末菌体約4.5kg(生菌数:340×108 /g)を得た。
【0066】
参考例4
リュウコノストック・クレモリス(Leuconostoc cremoris)ATCC−19254を用いたことを除き、参考例1と同様の方法により、リュウコノストック・クレモリスの粉末菌体約3.5kg(生菌数:50×108 /g)を得た。
【0067】
次に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
【実施例】
実施例1
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)40kg、ラクチュロース(森永乳業社製)40kg、エリスリトール(日研化学社製)8.5kg、マルチトール(東和化成工業社製)8kg、ステビア(日本製紙社製)0.1kg、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製)3kg及びヨーグルトフレーバー(長谷川香料社製)0.4kgを均一に混合し、回転テーブル型打錠機(畑鐵工所製)により打錠圧力2トンで打錠し、1錠当たり0.5gの三角形錠剤195,000錠を得た。
【0069】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均10kg、垂直方向平均9kgであった。
【0070】
実施例2
アロエ粉末(サノ企業社製。WP200)72.0kg、ラクチュロース(森永乳業社製)8.0kgを用いたことを除き、実施例1と同様の方法により、1錠あたり0.5gの三角形錠剤195,000錠を得た。
【0071】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均6kg、垂直方向平均6kgであった。
【0072】
実施例3
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)65.0kg、ラクチュロース(森永乳業社製)15.0kgを用いたことを除き、実施例1と同様の方法により、1錠あたり0.5gの三角形錠剤195,000錠を得た。
【0073】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均7kg、垂直方向平均7kgであった。
【0074】
実施例4
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)0.8kg、ラクチュロース(森永乳業社製)80kgを用いたことを除き、実施例1と同様の方法により、1錠あたり0.5gの三角形錠剤195,000錠を得た。
【0075】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均14kg、垂直方向平均13kgであった。
【0076】
実施例5
アロエ粉末(サノ企業社製。WP200)30kg、ラクチュロース(森永乳業社製)30kg、キシリトール(東和化成工業社製)8.5kg、マルチトール(東和化成工業社製)8kg、ステビア(日本製紙社製)0.1kg、参考例1と同一の方法により製造したビフィドバクテリウム・ロンガムの菌末20kg、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製)3kg及びヨーグルトフレーバー(長谷川香料社製)0.4kgを均一に混合し、回転テーブル型打錠機(畑鐵工所製)により打錠圧力2トンで打錠し、1錠あたり0.5gの三角形錠剤195,000錠を得た。
【0077】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均10kg、垂直方向平均9kgであった。また生菌数は、打錠前22×108 /g、打錠後21×108 /gであった。
【0078】
実施例6
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)54.6kg、ラクチュロース(森永乳業社製)5.46kgを用いたことを除き、実施例5と同様の方法により、1錠あたり0.5gの三角形錠剤195,000錠を得た。
【0079】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均6kg、垂直方向平均6kgであった。また生菌数は、打錠前22×108 /g、打錠後20×108 /gであった。
【0080】
実施例7
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)50.0kg、ラクチュロース(森永乳業社製)10.0kgを用いたことを除き、実施例1と同様の方法により、1錠あたり0.5gの三角形錠剤195,000錠を得た。
【0081】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均6kg、垂直方向平均6kgであった。また生菌数は、打錠前22×108 /g、打錠後21×108 /gであった。
【0082】
実施例8
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)0.2kg、ラクチュロース(森永乳業社製)20kgを用いたことを除き、実施例1と同様の方法により、1錠あたり0.5gの三角形錠剤64,000錠を得た。
【0083】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均15kg、垂直方向平均15kgであった。また生菌数は、打錠前22×108 /g、打錠後20×108 /gであった。
【0084】
実施例9
参考例2と同一の方法により製造したストレプトコッカス・フェカリスの菌末20kgを用いたことを除き、実施例5と同様の方法により、1錠あたり0.5gの三角形錠剤195,000錠を得た。
【0085】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均10kg、垂直方向平均10kgであった。また生菌数は、打錠前46×108 /g、打錠後44×108 /gであった。
【0086】
実施例10
参考例3と同一の方法により製造したラクトバシラス・アシドフィラスの菌末10kgを用いたことを除き、実施例5と同様の方法により、1錠あたり0.5gの三角形錠剤195,000錠を得た。
【0087】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均10kg、垂直方向平均9kgであった。また生菌数は、打錠前68×108 /g、打錠後62×108 /gであった。
【0088】
実施例11
参考例4と同一の方法により製造したリュウコノストック・クレモリスの菌末10kgを用いたことを除き、実施例5と同様の方法により、1錠あたり0.5gの三角形錠剤195,000錠を得た。
【0089】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均11kg、垂直方向平均9kgであった。また生菌数は、打錠前10×108 /g、打錠後9×108 /gであった。
【0090】
実施例12
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)30kg、ラクチュロース(森永乳業社製)30kgを予め混合し、流動造粒乾燥機(大川原製作所製)を用いて顆粒化したことを除き、実施例5と同様の方法により、1錠あたり0.5gの三角形錠剤195,000錠を得た。
【0091】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均12kg、垂直方向平均11kgであった。また生菌数は、打錠前22×108 /g、打錠後20×108 /gであった。
【0092】
実施例13
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)30kg、ラクチュロース(森永乳業社製)30kg、エリスリトール(日研化学社製)8.5kg、マルチトール(東和化成工業社製)8.0kg、ステビア(日本製紙社製)0.1kgを予め混合し、流動造粒乾燥機(大川原製作所製)を用いて顆粒化したことを除き、実施例5と同様の方法により、1錠あたり0.5gの三角形錠剤195,000錠を得た。
【0093】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均12kg、垂直方向平均11kgであった。また生菌数は、打錠前22×108 /g、打錠後20×108 /gであった。
【0094】
実施例14
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)40kg、ラクチュロース(森永乳業社製)20kg、エリスリトール(日研化学社製)8.5kg、マルチトール(東和化成工業社製)8.0kg、ステビア(日本製紙社製)0.1kg、参考例1と同一の方法により製造したビフィドバクテリウム・ロンガムの菌末5kg、参考例2と同一の方法により製造したストレプトコッカス・フェカリスの菌末1kg、参考例3と同一の方法により製造したラクトバシラス・アシドフィラスの菌末5kg、参考例4と同一の方法により製造したリュウコノストック・クレモリスの菌末5kg、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製)3.0kg及びヨーグルトフレーバー(長谷川香料社製)0.4kgを均一に混合し、回転テーブル型打錠機(畑鐵工所製)により打錠圧力2トンで打錠し、1錠あたり0.5gのフットボール形錠剤195,000錠を得た。
【0095】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均9kg、垂直方向平均8kgであった。また生菌数は、打錠前37×108 /g、打錠後34×108 /gであった。
【0096】
実施例15
アロエ粉末(サノ企業社製。UP200)5.45kg、ラクチュロース(森永乳業社製)54.5kg、エリスリトール(日研化学社製)8.5kg、マルチトール(東和化成工業社製)8kg、ステビア(日本製紙社製)0.1kgを予め混合し、流動造粒乾燥機(大川原製作所製)を用いて顆粒化した後、参考例1と同一の方法により製造したビフィドバクテリウム・ロンガムの菌末5kg、参考例2と同一の方法により製造したストレプトコッカス・フェカリスの菌末5kg、参考例3と同一の方法により製造したラクトバシラス・アシドフィラスの菌末5kg、参考例4と同一の方法により製造したリュウコノストック・クレモリスの菌末5kg、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製)3kg及びヨーグルトフレーバー(長谷川香料社製)0.4kgを加えて均一に混合し、回転テーブル型打錠機(畑鐵工所製)により打錠圧力2トンで打錠し、1錠あたり0.5gのハート形錠剤195,000錠を得た。
【0097】
得られた錠剤の硬度を試験例1と同一の方法により測定した結果、水平方向平均13kg、垂直方向平均12kgであった。また生菌数は、打錠前37×108 /g、打錠後33×108 /gであった。
【0098】
【発明の効果】
以上詳細に説明したとおり、本発明は、アロエ粉末及びラクチュロースを有効成分として含有し、極めて高い硬度を有するラクトフェリン錠剤、並びにアロエ粉末、ラクチュロース、及び乳酸菌類からなる群より選択される微生物の1種以上の微生物の菌末を有効成分として含有し、極めて高い硬度を有するアロエ錠剤に関するものであり、本発明により奏せられる効果は次のとおりである。
1)硬度が高く強固なアロエ粉末含有錠剤を従来の装置を用いて製造することができる。
2)摂取時の口腔内への付着のない、嗜好的に優れたアロエ粉末含有錠剤が得られる。
3)過剰の打錠圧力を必要としないため、強固なアロエ粉末含有錠剤にもかかわらず多量の乳酸菌類の生菌を含有している。
4)打錠時のキャッピングが認められないので、製造に好都合である。

Claims (3)

  1. アロエ粉末と、該アロエ粉末1重量部に対して0.1重量部以上のラクチュロースを含有することを特徴とするアロエ錠剤。
  2. さらに、ビフィドバクテリウム属に属する微生物、ラクトバシラス属に属する微生物、ストレプトコッカス属に属する微生物、ペディオコッカス属に属する微生物及びリュウコノストック属に属する微生物からなる群より選択される微生物の1種又は2種以上の微生物菌末を含有する請求項1記載のアロエ錠剤。
  3. 前記錠剤の水平方向及び垂直方向の硬度が、いずれも6〜15kgである請求項1または2に記載のアロエ錠剤。
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