JP3942675B2 - 内燃機関における流体ポンプ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に付設されたシール性の高い流体ポンプ構造、特に冷却水ポンプに関するものである。
【0002】
【従来技術】
内燃機関に付設される冷却水ポンプや潤滑油ポンプは、内燃機関本体とは別体に構成され、そのポンプ駆動軸は、主としてクランクケース内に突設され、該ポンプ駆動軸に取付けられたギヤまたはスプロケットが、内燃機関のクランク軸等に連結されていた(例えば、特公昭56−28209号公報参照)。
【0003】
また冷却水ポンプおよびラジエータは内燃機関と別個に設けられ、これら冷却水ポンプとラジエータと内燃機関とは、ホース等の可撓性管で接続されて、冷却水循環回路が構成されていた。
【0004】
【解決しようとする課題】
前述した従来の流体ポンプでは、ポンプ駆動軸は、ポンプケーシングを貫通しているため、ポンプケーシング内の流体が、ポンプ駆動軸の枢支部分を通過して外部へ漏洩することのないように、メカニカルシールを設ける必要があった。
【0005】
このメカニカルシールを設けると、シール性確保のために、ポンプ駆動軸が長くなり、部品点数および加工工数が増大し、シール部での摩擦で動力損失が発生し、また流体が冷却水の場合、摩耗、老化等により、僅かな漏れが生じた場合のドレイン通路を外部に向って設ける必要がある。
【0006】
またラジエータを別体に備えた内燃機関では、部品点数が著しく多くなって、コスト高となり、可撓性管の接続作業および保守点検が煩雑となるだけでなく内燃機関とこれに付属された機器全体が大型化することが避けられなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段および効果】
本発明は、このような難点を克服した内燃機関における流体ポンプ構造および冷却構造の改良に係り、頭上カム式内燃機関に設けられる流体ポンプにおいて、クランク軸とカムシャフトとを連結するカムチェン、歯付きベルト等の巻掛け伝動帯が、シリンダの最外側壁に配設され、流体ポンプは前記巻掛け伝動帯よりさらに外側に配置され、該巻掛け伝動帯に噛み合って回転駆動される駆動回転体が前記流体ポンプケーシング基部の半径方向外周に回転自在に設けられ、該駆動回転体と、前記流体ポンプのインペラー回転軸と一体の従動回転体とは、前記流体ポンプケーシングを介して磁気的に結合され、前記巻掛け伝動帯の回送に連動して前記流体ポンプが回転駆動されることを特徴とするものである。
【0008】
請求項1記載の発明は、前述したように構成されているので、前記内燃機関が運転を開始して、前記駆動回転体が回転駆動されると、該駆動回転体と磁気的に結合された従動回転体およびこの従動回転体と一体のインペラー回転軸が回転駆動され、その結果、流体ポンプのインペラーも回転駆動され、該流体ポンプは稼動状態となる。
そして、請求項1記載の発明では、インペラー回転軸のシール構造を全く必要とせずに、流体ポンプを完全なシール構造にでき、しかも流体ポンプを動弁系によって駆動できるとともに、巻掛け伝動帯に邪魔されずに、前記流体ポンプの保守・点検・整備を容易にかつ確実に行うことができる。
【0009】
また、請求項2記載の発明では、前記流体ポンプのインペラー回転軸は、前記有底中空突出部材および密閉構成体を貫通せず、これらの内側で回転自在に支持されているため、前記インペラー回転軸のシール構造を全く必要とせず、該インペラー回転軸の軸長が短縮化されて、前記流体ポンプの小型、軽量化が可能となるとともに、構造が簡略化されて、コストダウンを図ることができ、さらに前記流体ポンプの完全な密閉構造が得られ、しかも流体ポンプ回路が閉塞されて、インペラーが回転できない状態でも、前記駆動回転体が回転できて、ポンプ駆動系に大きな力が作用することが防止される。
【0010】
また本発明を請求項3または請求項4記載のように構成することにより、水密性または油密性の高い冷却水ポンプまたは潤滑油ポンプを得ることができる。
【0011】
さらに本発明を請求項5記載のように構成することにより、特別な動力取り出し機構を必要とせずに、動弁系に伝達される動力の一部を利用して前記流体ポンプを駆動することができる。
【0013】
しかも本発明を請求項6記載のように構成することにより、内燃機関の底部に、潤滑油ポンプと冷却水ポンプとを直列に接続して該両ポンプを同時に運転できるとともに、該両ポンプ内の潤滑油および冷却水を完全に分離して、両者の混合を確実に阻止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図12に図示された本発明の一実施例について説明する。
本発明の流体ポンプ構造を備えた頭上弁式4ストローク単気筒内燃機関1は、自動二輪車の図示されないフレームに、ヘッドカバー5およびシリンダ孔10が略前方水平方向へ指向した状態で装架され、該頭上弁式4ストローク単気筒内燃機関1では、左右割りの左方クランクケース2および右方クランクケース3の前方に、シリンダブロックとシリンダヘッドとを一体化してなる内燃機関本体4およびヘッドカバー5が順次重ねられて一体に結合されている。
また内燃機関本体4に形成されたシリンダ孔10に、ピストン11が前後に摺動自在に嵌されるとともに、前記左方クランクケース2および右方クランクケース3に、左方クランクシャフト12および右方クランクシャフト13が、ベアリング14を介して回転自在に枢支され、該左方クランクシャフト12および右方クランクシャフト13はクランクピン15でもって相互に一体に結合され、前記ピストン11に嵌されたピストンピン16(図4参照)と前記クランクピン15とにコネクティングロッド17の両端が回転自在に嵌合されており、ピストン11の昇降に伴なって左方クランクシャフト12および右方クランクシャフト13が回転駆動されるようになっている。
【0019】
さらに内燃機関本体4には、シリンダ孔10の左側頂部に開口する吸気ポート18と、シリンダ孔10の右側頂部に開口する排気ポート19とが形成され、該吸気ポート18は斜前上方に指向して、その先端に吸気管20を介して気化器21が接続され、前記排気ポート19は、図3に図示されるように、右方へ彎曲して図示されない排気管に接続されている。
【0020】
さらにまた吸気ポート18および排気ポート19のシリンダ孔10側に、それぞれ吸気弁22および排気弁23が設けられ、該吸気弁22および排気弁23は、左方クランクシャフト12および右方クランクシャフト13が2回転する毎に1回だけ所要のタイミングで、動弁装置24により開閉駆動されるようになっている。
【0021】
すなわち、動弁装置24は、左方クランクシャフト12および右方クランクシャフト13と平行して、内燃機関本体4およびヘッドカバー5にベアリング25を介し回転自在に枢支されたカムシャフト26と、前記吸気弁22および排気弁23の中心線上に位置して前記カムシャフト26にそれぞれ一体に形成された吸気カム27および排気カム28と、前記吸気弁22および排気弁23を常時閉方向に付勢するバルブスプリング29と、前記吸気弁22および排気弁23の頂端に付設されたバルブスプリングリテーナ30と、吸気カム27および排気カム28との介装されたバルブリフタ31と、左方クランクシャフト12に一体に設けられたドライブスプロケット32と、該ドライブスプロケット32の2倍の歯数を有しカムシャフト26の左端に一体に取付けられたドリブンスプロケット33と、該ドライブスプロケット32およびドリブンスプロケット33に架源された無端チェン34と、該無端チェン34に張りを与える上下1対のテンショナー用アイドラスプロケット35とよりなっている。
【0022】
なお吸気弁22および排気弁23の中間に位置しシリンダ孔10内に突出するように内燃機関本体4に点火栓36が嵌脱自在に取付けされている。
【0023】
また内燃機関本体4には、シリンダ孔10の頂部外周近傍にウォータジャケット37が形成されるとともに、該ウォータジャケット37に連通して内燃機関本体4の左方下部に開口する冷却水流入通路38と、該ウォータジャケット37に連通して内燃機関本体4の右方上部に開口する冷却水排出通路39とが形成され、該ウォータジャケット37および冷却水排出通路39の上方に位置して略上下方向へ指向した扁平な冷却水吸熱通路40が、前後に亘り多数形成され、該冷却水吸熱通路40の上方へ斜上前方に指向した放熱フィン41が前後に亘り複数枚形成されている。
【0024】
さらに内燃機関本体4の右側に位置した冷却水排出通路39の開口と冷却水吸熱通路40の右端開口とに右側蓋部材6が水密にかつ一体に装着され、該右側蓋部材6の凹部42でもって冷却水排出通路39と冷却水吸熱通路40とが連通され、該右側蓋部材6の外方上部には、略前後方向へ指向した放熱フィン43が上下に亘り複数枚形成されるとともに、該放熱フィン43の下方に位置して内部に吸熱溝部44を備えた2枚の放熱フィン45が平行に形成され、これら冷却水吸熱通路40および放熱フィン41でもって通路フィンラジエータ部46が構成されている。
【0025】
さらにまた内燃機関本体4の左側下方に位置した冷却水流入通路38の開口に、アルミニュームまたは樹脂の如き磁気透過性のある冷却水ポンプケーシング9のリング状突出部47が水密に嵌合されるとともに、該冷却水ポンプケーシング9の左側面は仕切部材7の右側面に図示されないボルトでもって水密に取付けられ、さらに仕切部材7の左側面に左側蓋部材8の右側面がボルト49(図8参照)でもって水密に取付けられている。
【0026】
また図12に図示されるように、仕切部材7の右側面の下部には、渦巻状吐出凹部50が形成され、該渦巻状吐出凹部50の後端は内燃機関本体4の冷却水流入通路38および冷却水ポンプケーシング9の連通孔48に連通され、該渦巻状吐出凹部50の彎曲中心にインペラ収納凹部51が形成されるとともに、仕切部材7左側面に連通する周方向へ3個配列された円弧状吸入孔52が形成され、仕切部材7の右側面の上部には内燃機関本体4の冷却水吸熱通路40の左端部を密閉する凹部53と仕切部材7の左側面の凹部54に連通する連通孔55が形成されている。
【0027】
さらに図10に図示されるように、仕切部材7の左側面の後部には、略上下方向へ指向した吸熱フィン56が前後方向へ亘り複数枚形成され、さらにその前後には、略前後方向へ指向した放熱フィン57が上下方向へ亘り複数枚形成され、該吸熱フィン56および放熱フィン57でもって、フィンラジエータ部79が構成されている。
【0028】
さらにまた図11に図示されるように、左側蓋部材8の右側面の下部(図11では上部になっている)に吸入凹部58が形成され、その上方に略上下方向へ指向した吸熱フィン59が、前記相隣る渦巻状吐出凹部50の中間に位置し前後方向へ亘り複数枚形成され、左側蓋部材8の上端に形成された冷却水注入部60に連通する連通孔61が設けられ、図1に図示されるように、左側蓋部材8の左側面には、略前後方向へ指向した放熱フィン62が上下方向に亘り複数枚形成され、該吸熱フィン59と放熱フィン62とでフィンラジエータ部80が構成されている。
【0029】
しかして図8に図示されるように、冷却水ポンプケーシング9には、仕切部材7のインペラ収納凹部51の右方に位置してロータ収納部63が形成され、仕切部材7の右側面において、3個の円弧状吸入孔52の配置中心に枢支盲孔64が形成されるとともに、その中心線右方延長線上に位置して冷却水ポンプケーシング9のロータ収納部63の底面に枢支盲孔65が形成され、該両枢支盲孔64、65にポンプ回転軸66の両端が回転自在に嵌装され、該ポンプ回転軸66にインペラ67が一体に嵌着され、該インペラ67の軸部インペラ67aの外周に、N、S極を交互に周方向に複数個配列された永久磁石68が固定されている。
【0030】
そして、図8に図示されるように、冷却水ポンプケーシング9のロータ収納部63と同軸状でかつ該ロータ収納部63の半径方向外方に位置して内燃機関本体4にベアリング嵌合凹部69が形成され、該ベアリング嵌合凹部69にベアリング70を介してドリブンスプロケット71が回転自在に支持され、該ドリブンスプロケット71の内周に、N、S極を交互に周方向に前記永久磁石68と同数個配列された永久磁石72が固定され、前記ドリブンスプロケット71は前記無端チェン34に噛合され、冷却水ポンプケーシング9のロータ収納部63、ポンプ回転軸66、インペラ67、永久磁石68、ベアリング嵌合凹部69、ドリブンスプロケット71および永久磁石72でもって、冷却水ポンプ73が構成されており、頭上弁式4ストローク単気筒内燃機関1の運転で無端チェン34が回送されると、ドリブンスプロケット71が回転駆動され、ドリブンスプロケット71と一体の永久磁石72と、インペラ67と一体の永久磁石68との間に働く磁力により、永久磁石68が回転され、冷却水ポンプ73が駆動されるようになっている。
【0031】
また図3に図示されるように、左方クランクシャフト12にスタータドリブンスプロケット74が嵌着され、図2に図示されるスタータモータ75のドライブスプロケット(図示されず)と該スタータドリブンスプロケット74とに無端チェン76が架渡されており、スタータモータ75の回転でもって頭上弁式4ストローク単気筒内燃機関1が始動されるようになっている。
【0032】
さらに左方クランクケース2、右方クランクケース3内には、図2に図示されるように潤滑油ポンプ77が設けられており、頭上弁式4ストローク単気筒内燃機関1が運転すると、これに連動して潤滑油ポンプ77が駆動されるようになっている。
なお、図中78は発電機である。
【0033】
図1ないし図12に図示の実施形態は前記したように構成されているので、スタータモータ75により、頭上弁式4ストローク単気筒内燃機関1は始動されると、無端チェン34の回送でもってドリブンスプロケット71が回転駆動され、冷却水ポンプ73は稼動状態となる。
【0034】
そして冷却水ポンプ73が稼動状態となると、図7に図示れるように、仕切部材7の左側面と右側面とで囲まれた空間内の冷却水は、左側蓋部材8の吸入凹部58から仕切部材7の円弧状吸入孔52を介してインペラ収納凹部51に吸入され、ドリブンスプロケット71とつれ回りされているインペラ67により渦巻状吐出凹部50へ吐出され、渦巻状吐出凹部50の後端から冷却水ポンプケーシング9の連通孔48およびの冷却水流入通路38を介してウォータジャケット37に送られ、シリンダ孔10の頂部が冷却される。
【0035】
シリンダ孔10内の燃焼ガスの熱により高温に加熱された冷却水は、ウォータジャケット37の右側上方の冷却水排出通路39より右側蓋部材6の放熱フィン43を介して内燃機関本体4の冷却水吸熱通路40に流入し、放熱フィン43内の冷却水の一部は放熱フィン45に触れて冷却されるとともに、冷却水によって加熱された右側蓋部材6は吸熱溝部44、通路フィンラジエータ部46にて放熱される。
【0036】
また内燃機関本体4の冷却水吸熱通路40は扁平で数多く存在しているため、冷却水が冷却水吸熱通路40内を通過する間に、充分に吸熱され、該冷却水で加熱された冷却水吸熱通路40の周辺部は放熱フィン41により冷却される。
【0037】
さらに冷却水吸熱通路40を通過した冷却水は、仕切部材7の右側凹部53から連通孔55を介して仕切部材7の左側凹部54に流入し、仕切部材7と左側蓋部材8とで挟まれた冷却水通路空間内を下方へ流れ、左側蓋部材8の吸入凹部58から再び仕切部材7の円弧状吸入孔52に流入し、冷却水循環回路中を循環することができる。
【0038】
さらにまた仕切部材7と左側蓋部材8とで挟まれた冷却水通路空間内を冷却水が流れる際に、仕切部材7の吸熱フィン56と左側蓋部材8の吸熱フィン59とに触れて、冷却水中の熱がこれら吸熱フィン56、59に吸熱され、それぞれ仕切部材7、左側蓋部材8内を伝導して仕切部材7の放熱フィン57および左側蓋部材8の放熱フィン62より大気中へ放熱される。
【0039】
このように図1ないし図12に図示の実施形態では、内燃機関本体4、右側蓋部材6、仕切部材7および左側蓋部材8で囲まれた空間でもって冷却水循環回路が構成され、該冷却水循環回路中に通路フィンラジエータ部46およびフィンラジエータ部79、80が介装されているため、シリンダ孔10内で発生した燃焼熱が冷却水に吸収されるとともに、この燃焼熱で加熱された冷却水は大気中に放熱され、空冷式内燃機関に比べると、高水準の冷却性能が得られる。
【0040】
通常タイプのラジエータを使用した形態に対して冷却水の管路抵抗が非常に小さく、また揚程差も小さいため、ポンプの必要駆動トルクが小さく、水ポンプの小型化が可能となる。
【0041】
また前記冷却水循環回路中に介装された通路フィンラジエータ部46およびフィンラジエータ部79、80は、頭上弁式4ストローク単気筒内燃機関1に一体に組込まれているため、冷却系統を含めた頭上弁式4ストローク単気筒内燃機関1の全体が小型、軽量化され、かつ構造が簡略化されて、大巾なコストダウンが可能となり、しかも従来のコルゲートフィンタイプのラジエータを必要としないため、丈夫であって耐久性に富み、塵埃等の付着による目詰りが避けられ、塵埃の多い劣悪な環境でも安定した冷却性能が得られる。
【0042】
さらに冷却水ポンプ73においては、インペラ67と一体のポンプ回転軸66は、インペラ67を密閉する仕切部材7および冷却水ポンプケーシング9を貫通することなく、これら仕切部材7、冷却水ポンプケーシング9に回転自在に支持され、ポンプ回転軸66およびインペラ67と一体の永久磁石68と、冷却水ポンプケーシング9のロータ収納部63の外周側にて内燃機関本体4のベアリング嵌合凹部69にベアリング70を介して回転自在に支持されたドリブンスプロケット71と一体の永久磁石72との磁気力により、無端チェン34の回送で回転駆動されるドリブンスプロケット71の回転に引ずられながらインペラ67が回転される結果、ポンプ回転軸66のメカニカルシールを全く必要とせずに、高い水準の水密性が得られる。
【0043】
そしてポンプ回転軸66のシール構造を必要としないため、ポンプ回転軸66が短かく、かつ構造が単純化される結果、この点でも小型軽量化とコストダウンが可能となる。
【0044】
さらにまた、動弁装置24の無端チェン34の回送によりドリブンスプロケット71が強制的に回転駆動されているが、ドリブンスプロケット71とインペラ67とは永久磁石68、永久磁石72との相互磁気力によって間接的にトルクの伝達が行われるため、たとえインペラ67に大きな抵抗トルクが発生しても、ドリブンスプロケット71とインペラ67とに相対的に滑りが生じて、ドリブンスプロケット71が回転を続けることができ、動弁装置24に大きな力が加わることがない。
【0045】
さらにまた、内燃機関本体4はシリンダブロックとシリンダヘッドとを一体化して構成されているため、構造が簡単となり、この面でもコストダウンが可能となる。
【0046】
図1ないし図12に図示の実施形態では、冷却水ポンプ73のインペラ67を回転駆動させるドリブンスプロケット71は無端チェン34の外側に配置され、かつ冷却水ポンプ73のインペラ67はドリブンスプロケット71および無端チェン34の外方に設けられていたが、図13ないし図14に図示するように、ドリブンスプロケット71を無端チェン34の内側に配置し、インペラ67をドリブンスプロケット71および無端チェン34の内方に設けてもよい。
【0047】
また図1ないし図12に図示の実施形態では、冷却水ポンプ73と潤滑油ポンプ77とは別個所にかつそれぞれ別の動力伝達系を介して駆動されていたが、図15に図示するように、クランクシャフト81と一体のドライブスプロケット82と、潤滑油ポンプ77の回転軸83と一体のドリブンスプロケット84とに無端チェン85を架渡し、ドリブンスプロケット84と反対側の回転軸83の端部を筒状体86に形成し、該筒状体86の内周面にN、S極を交互に周方向に配列した永久磁石72を一体に取付け、該筒状体86内に冷却水ポンプケーシング9のロータ収納部63を同芯状に遊嵌させてもよく、この実施形態では、冷却水ポンプ73と潤滑油ポンプ77とが同一軸線上に隣接していても、冷却水ポンプ73の水密性が完全に保持されるため、冷却水と潤滑油との混合が確実に阻止される。
【0048】
また水ポンプ駆動部分だけでなく、全体をオイル室内部に配置することも可能である。
【0049】
しかも潤滑油ポンプ77の動力伝達系を利用して冷却水ポンプ73を回転駆動させることができるため、頭上弁式4ストローク単気筒内燃機関1の構造を簡略化してコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の左側面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図1のIII −III 線に沿って裁断した縦断平面図である。
【図4】図3のIV−IV線の沿って裁断した縦断側面図である。
【図5】図3のV−V矢視図である。
【図6】図1に図示の内燃機関の内燃機関本体の右側面図である。
【図7】図1、図2、図4および図5のVII −VII 線に沿って裁断した横断背面図である。
【図8】図1、図2、図4および図5のVIII−VIII線に沿って裁断した横断断面図である。
【図9】図8のIX−IX矢視図である。
【図10】図3のX−X矢視図である。
【図11】図3のXI−XI矢視図で、この左側蓋部材8を上下に引操り返して図10の仕切部材7に取付けると図1に図示された状態となる。
【図12】図3のXII−XII矢視図である。
【図13】本発明の他の実施形態の縦断平面図である。
【図14】図13のXIV−XIV矢視図である。
【図15】本発明のさらに他の実施形態の縦断平面図である。
【符号の説明】
1…頭上弁式4ストローク単気筒内燃機関、2…左方クランクケース、3…右方クランクケース、4…内燃機関本体、5…ヘッドカバー、6…右側蓋部材、7…仕切部材、8…左側蓋部材、9…冷却水ポンプケーシング、10…シリンダ孔、11…ピストン、12…左方クランクシャフト、13…右方クランクシャフト、14…ベアリング、15…クランクピン、16…ピストンピン、17…コネクティングロッド、18…吸気ポート、19…排気ポート、20…吸気管、21…気化器、22…吸気弁、23…排気弁、24…動弁装置、25…ベアリング、26…カムシャフト、27…吸気カム、28…排気カム、29…バルブスプリング、30…バルブスプリングリテーナ、31…バルブリフタ、32…ドライブスプロケット、33…ドリブンスプロケット、34…無端チェン、35…アイドラスプロケット、36…点火栓、37…ウォータジャケット、38…冷却水流入通路、39…冷却水排出通路、40…冷却水吸熱通路、41…放熱フィン、42…凹部、43…放熱フィン、44…吸熱溝部、45…放熱フィン、46…通路フィンラジエータ部、47…リング状突出部、48…連通孔、49…ボルト、50…渦巻状吐出凹部、51…インペラ収納凹部、52…円弧状吸入孔、53…凹部、54…凹部、55…連通孔、56…吸熱フィン、57…放熱フィン、58…吸入凹部、59…吸熱フィン、60…冷却水注入部、61…連通孔、62…放熱フィン、63…ロータ収納部、64…枢支盲孔、65…枢支盲孔、66…ポンプ回転軸、67…インペラ、68…永久磁石、69…ベアリング嵌合凹部、70…ベアリング、71…ドリブンスプロケット、72…永久磁石、73…冷却水ポンプ、74…スタータドリブンスプロケット、75…スタータモータ、76…無端チェン、77…潤滑油ポンプ、78…発電機、79…フィンラジエータ部、80…フィンラジエータ部、81…クランクシャフト、82…ドライブスプロケット、83…回転軸、84…ドリブンスプロケット、85…無端チェン、86…筒状体。

Claims (5)

  1. 頭上カム式内燃機関に設けられる流体ポンプにおいて、
    クランク軸とカムシャフトとを連結するカムチェン、歯付きベルト等の巻掛け伝動帯が、シリンダの最外側壁に配設され、
    流体ポンプは前記巻掛け伝動帯よりさらに外側に配置され、
    該巻掛け伝動帯に噛み合って回転駆動される駆動回転体が前記流体ポンプケーシング基部の半径方向外周に回転自在に設けられ、
    該駆動回転体と、前記流体ポンプのインペラー回転軸と一体の従動回転体とは、前記流体ポンプケーシングを介して磁気的に結合され、
    前記巻掛け伝動帯の回送に連動して前記流体ポンプが回転駆動されることを特徴とする内燃機関における流体ポンプ構造。
  2. 前記流体ポンプにおいて、
    前記内燃機関の本体に、磁気透過性有底中空突出部材が固定され、
    前記内燃機関の運転に連動して回転駆動される駆動回転体が、前記有底中空突出部材の半径方向外周に回転自在に遊嵌され、
    前記有底中空突出部材の開口外周部に当接する密閉構成体と該有底中空突出部材とで流体ポンプのケーシングが構成され、
    該流体ポンプのケーシング内にインペラーとインペラー回転軸が、前記駆動回転体と同芯状に回転自在に支持され、
    N,S極を交互に周方向に配列した複数対の磁石が、前記磁気透過性有底中空突出部材の周壁を挟んで、前記駆動回転体の回転中心孔内周部と、該駆動回転体の中心寄りに位置した前記インペラー回転軸の外周部とにそれぞれ一体に設けられ、
    前記流体ポンプは、インペラー回転軸を貫通するとともに該インペラー回転軸の両端を軸支するポンプ回転軸を備えたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関における流体ポンプ構造。
  3. 前記流体ポンプは、前記内燃機関の冷却用ポンプであることを特徴とする前記請求項2記載の流体ポンプ構造。
  4. 前記流体ポンプは、前記内燃機関の潤滑用ポンプであることを特徴とする前記請求項2記載の流体ポンプ構造。
  5. 前記流体ポンプケーシング基部の半径方向外周に回転自在に設けられた前記駆動回転体は、動弁系のカムチェンに噛合って回転駆動されるスプロケットであることを特徴とする前記請求項1ないし2のいずれか記載の流体ポンプ構造。
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