JP3942521B2 - 携帯機のアンテナ構造 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波信号を送信あるいは受信するアンテナを有した携帯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の携帯機の要部を示す。
1は基板で、電子部品2が搭載され送信回路と受信回路を含む電子回路が構築されており、また、基板1の上には給電点3とグランド4とが形成されている。
【0003】
5はアンテナであり、基板1の所定の位置に搭載される。
このアンテナ5は次のように構成されている。
絶縁体6の一方の面の略全面にはアンテナ導体7が形成されており、このアンテナ導体7の略中央に設けられたスルーホール8によって、絶縁体6の他方の面に導出されて基板接続端子9に接続されている。絶縁体6のアンテナ導体7が形成された反対側の面には、接地導体10が形成されている。つまり、絶縁体6の前記アンテナ導体7の反対面には、基板接続端子9が形成された領域を除いた領域全体に接地導体10が形成されている。絶縁体6の一側面側には連結接続部11が形成されている。この連結接続部11はスルーホール8から遠い側の側面に形成されている。
【0004】
なお、アンテナ5の基板接続端子9は給電点3と対向するように設定され、接地導体10はグランド端子4と対向するよう設定されている。
このように構成されたアンテナ5は、図5に示すように、基板接続端子9と給電点3とが対向するようにアンテナ5を装着し、基板接続端子9と給電点3ならびに接地導体10とグランド4とが半田などで電気接続されている。
【0005】
なお、この従来技術の先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−74718号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の携帯機のアンテナ構造では、基板1の上に、絶縁体6の両面にアンテナ導体7と接地導体10とを有したアンテナ5を装着していたので、携帯機の厚さが増すという課題を有している。
【0008】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、薄い携帯機を実現できる携帯機のアンテナ構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の携帯機のアンテナ構造において、コイルアンテナは125KHz帯の周波数の信号を受信するために、銅線を複数回巻き回して枠型に形成され、このコイルアンテナで囲まれた基板上に前記電子回路を形成、前記アンテナは、前記基板の表面に固定された絶縁体と、この絶縁体の上面に前記基板と略平行に設けられたアンテナ導体と、このアンテナ導体と略平行に配置されるとともに前記基板の裏面に設けられる接地導体と、前記絶縁体を貫通して前記アンテナ導体と接続された第1のスルーホールと、前記絶縁体の側面に形成された給電端子とによって構成され、前記基板には、前記第1のスルーホールに対向する位置に前記接地導体と接続された導体パターンと、前記給電端子の下方に設けられた給電点と、前記導体パターンと前記接地導体との間を接続する第2のスルーホールとを設け、前記絶縁体及びアンテナ導体は四辺形状とするとともに、前記給電端子は前記第1のスルーホールから最も離れた側の側面に形成し、前記アンテナは、前記コイルアンテナの外側であるとともに、前記基板の長さ方向に沿って前記基板の略縁部に配置し、前記アンテナの前記基板への固定は、前記第1のスルーホールと前記導体パターンとを半田付けするとともに、前記給電端子と前記給電点とを半田付けしたものである。
【0010】
これにより、薄い携帯機を実現することができる携帯機のアンテナ構造を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の携帯機のアンテナ構造は、所定周波数の高周波信号を送信または受信するアンテナと、このアンテナが接続される送信回路または受信回路を含む電子回路が表面に配設された基板とを有する携帯機において、前記アンテナは、前記基板の表面に固定された絶縁体と、この絶縁体の上面に前記基板と略平行に設けられた導体と、この導体と略平行に配置されるとともに前記基板の裏面に設けられる接地導体とによって構成されることを特徴とする。
【0012】
これによりアンテナは、基板の裏面に設けられた接地導体と、基板の表面に固定された絶縁体の上面に、基板と平行に設置されたアンテナ導体とで構成されるため、基板自体も絶縁体の一部となり、基板の厚さ分だけ携帯機を薄型化できる。
【0013】
なお、ここでアンテナ導体と接地導体との距離は、アンテナゲインに影響する。一般に、アンテナ導体と接地導体との距離が大きいほうがアンテナゲインは大きくなる。つまり本発明では、基板の裏面に接地導体が設けられ、基板の表面に固定された絶縁体の上面にアンテナ導体が設けられるので、基板の厚さ分だけ携帯機を薄くしてもアンテナゲインは小さくならない。
【0014】
また、前記絶縁体及びアンテナ導体を、四辺形状とするとともに、基板の長さ方向に沿って前記基板の略縁部に設けた場合には、携帯機に曲げ応力が加わっても、長さ方向にアンテナを構成する絶縁体が配置されているので、前記絶縁体が補強部材となって携帯機の剛性を向上させることができる。従って、携帯機の厚みを薄くしても、落下等による破損等は少なくなる。
【0015】
また、アンテナが基板縁部に配置され、送信回路または受信回路等を構成する基板上の電子部品から離れるため、電子部品(発振器等)が出すノイズを受信することがなく受信感度が向上する。
【0016】
また、前記基板には、その軸方向が前記基板に対して垂直となるように配置されるとともに、受信回路に接続されるコイルアンテナが装着され、このコイルアンテナの外側に前記アンテナを配置した場合には、アンテナはコイルアンテナの外側に配置されるので、アンテナの大きさ(四辺形状の面積)がコイルアンテナに制約されることがないので、送受信性能を向上させることができる。
【0017】
また、アンテナ導体と接地導体との接続を、スルーホールとした場合には、アンテナのインピーダンス整合が取り易くなり、反射損失を低減することができる。
【0018】
さらに、アンテナ導体と接地導体との接続はスルーホールとしているので、アンテナ導体のパターン形状やアンテナの必要特性に応じて適宜その位置を容易に変更することができ、幅広い仕様に対応できる。
【0019】
以下、本発明のアンテナ構造を実施の形態に基づいて説明する。
(実施の形態1)
近年、自動車や家などの解錠に関して、電子キーが用いられるようになってきた。このような電子キーを含む携帯機には、その携帯性が要求され、小型あるいは薄型が要求されるようになってきた。本発明においては、このような要求に応じて、薄型の携帯機を実現できるアンテナ構造を提供するものである。
【0020】
図1〜図4は本発明の実施の形態における携帯機のアンテナ構造を示す。
図2は前記携帯機の拡大上面図を示し、図1は図2のアンテナ部分のA−A’断面図である。図3は前記携帯機の下面図である。
【0021】
平面形状が四角形状をなした基板21の上には、電子部品22がクリーム半田等によって装着され、高周波信号を送信あるいは受信する高周波回路とが構成されている。この高周波回路は、300MHz帯の第1の高周波信号を送信するRF送信回路23と、前記第1の高周波信号を受信するRF受信回路24と、125KHz帯の第2の高周波信号を受信するLF受信回路25とを有している。
【0022】
RF送信回路23とRF受信回路24の送信用・受信用となるアンテナ26は、四辺形状で前記基板21の略縁部にこの基板21の長さ方向に沿って設けられている。
【0023】
アンテナ26は、図4に示すように四辺形状の絶縁体27にアンテナ導体28などを設けて構成されており、これを前記基板21に実装して高性能の300MHz帯のアンテナ構造を達成している。絶縁体27は従来のアンテナと同じ材料を用いた。
【0024】
基板21の一部とアンテナ26とで構成されるアンテナ構造は、次のように構成されている。
図1と図4に示すように、アンテナ26は絶縁体27と、これに形成されたアンテナ導体28と、スルーホール32と、給電端子31とによって構成されている。アンテナ導体28は絶縁体27の上面27aに形成されている。本実施の形態においてアンテナ導体28は、上面27aの全体に設けられている。
【0025】
基板21の裏側21aには接地導体29が形成されている。この接地導体29は、アンテナ導体28と略平行となるように設けられるとともに、アンテナ導体28の下方全体にわたって設けられている。
【0026】
なお、このような構成において、これらが有効なアンテナとして働くためには、アンテナ導体28と接地導体29とを回路的に接続することが必要である。そこで、これらを接続する接続体30は、絶縁体27を貫通してアンテナ導体28と接続して設けられたスルーホール32と、このスルーホール32のビア32aと対向する位置に形成されるとともに基板21の表面21b上に設けられた導体パターン33と、この導体パターン33と接地導体29とを接続するように基板21を貫通して設けられたスルーホール34とで構成されている。
【0027】
そして、第1のスルーホール32のビア32a内にはんだ36を流し込むことによって、絶縁体27と基板21とが固定されるとともに、アンテナ導体28と接地導体29とが電気的に接続されている。
【0028】
図1に示すように、アンテナ導体28と基板21上の導体パターン33との接続は、スルーホール32を介して行われる。従って、アンテナのインピーダンス整合は取り易くなり、反射損失を低減させることができる。さらに、アンテナ導体28と接地導体29との接続をスルーホールとしているので、アンテナ導体28のパターン形状やアンテナの必要特性に応じて適宜その位置を容易に変更することができ、幅広い仕様に容易に対応できる。
【0029】
基板21に設けられた35は、RF送信回路23の出力が接続されるとともにRF受信回路24の入力が接続された給電点である。この給電点35は基板21の表面21bに設けられ、第1のスルーホール32とは離れた側の絶縁体27の側面27bに形成された給電端子31の下方に形成されている。
【0030】
そして、この給電点35と給電端子31とを半田などで接続し、アンテナとRF送信回路23やRF受信回路24とを電気的に接続している。
前記LF受信回路25の入力に接続されるLF受信用のコイルアンテナ41は、125KHz帯周波数を受信するので、非常に大きなインダクタンス値が必要となる。従って、直径0.03mmのポリウレタン皮膜銅線を枠型(ロの字型)に幾十にも巻いた空芯状のコイルアンテナとしている。このコイルアンテナ41は図2に示すように、RF送信回路23とRF受信回路24およびLF受信回路25を取り巻くように基板21の上面に配置されており、絶縁体27は、コイルアンテナ41の外側に配置されている。
【0031】
さらに詳しくは、本実施の形態においては、図2に示されるように、絶縁体27は、基板21の一方の縁部40から1mmの位置に搭載している。さらに、コイルアンテナ41は、その軸方向が基板21に対して垂直となる方向に装着され、その一辺は絶縁体27に近接(約1mm)させ、それ以外の辺も基板21の縁部から約1mmの距離となるように配置されている。そしてこのコイルアンテナ41の内部にRF送信回路23やRF受信回路24や、LF受信回路25が形成されている。
【0032】
このようなアンテナ構成によって、300MHz帯のアンテナは、基板21の裏面に設けられた接地導体29と、基板21の表面に固定された絶縁体27の上面に、基板21と平行に設置されたアンテナ導体28とで構成されるため、基板21自体も等化的に絶縁体27の一部となっている。従って、基板21の厚さ分だけ携帯機を薄型化することが可能となる。
【0033】
なお、アンテナ導体28と接地導体29との距離が大きいほうがアンテナゲインは大きくなるので、基板21の裏面21aに接地導体29を設け、一方基板21の表面21bに固定された絶縁体27の上面27aにアンテナ導体28を設けてやれば、基板21の厚さ分だけ携帯機を薄くしてもアンテナゲインは小さくならない。
【0034】
また、アンテナ26が基板21の縁部近くに設けられているので、絶縁体21が補強部材となって携帯機の剛性を向上させることができる。従って、携帯機の厚みを薄くしても、落下等による破損等は少なくなる。
【0035】
さらに、アンテナ26が基板21の縁部に配置され、RF送信回路23やRF受信回路24、さらにはLF受信回路25から離れるため、これらの送信回路や受信回路に用いられる発振器等によるノイズの影響をうけることを少なくすることができ、アンテナの受信感度を向上させることができる。
【0036】
さらにまた、アンテナ26はコイルアンテナ41の外側に配置されることとなり、アンテナ26の大きさはコイルアンテナ41に制約されることがないので、充分な大きさとすることができ、送受信におけるアンテナ感度を向上させることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、300MHzの周波数の高周波信号を送信または受信するアンテナと、このアンテナが接続される送信回路または受信回路を含む電子回路が表面に配設された基板と、前記基板にその軸方向が前記基板に対して垂直となるように配置されるとともに、前記受信回路に接続される空芯状のコイルアンテナとを有する携帯機において、前記コイルアンテナは125KHz帯の周波数の信号を受信するために、銅線を複数回巻き回して枠型に形成され、このコイルアンテナで囲まれた基板上に前記電子回路を形成、前記アンテナは、前記基板の表面に固定された絶縁体と、この絶縁体の上面に前記基板と略平行に設けられたアンテナ導体と、このアンテナ導体と略平行に配置されるとともに前記基板の裏面に設けられる接地導体と、前記絶縁体を貫通して前記アンテナ導体と接続された第1のスルーホールと、前記絶縁体の側面に形成された給電端子とによって構成され、前記基板には、前記第1のスルーホールに対向する位置に前記接地導体と接続された導体パターンと、前記給電端子の下方に設けられた給電点と、前記導体パターンと前記接地導体との間を接続する第2のスルーホールとを設け、前記絶縁体及びアンテナ導体は四辺形状とするとともに、前記給電端子は前記第1のスルーホールから最も離れた側の側面に形成し、前記アンテナは、前記コイルアンテナの外側であるとともに、前記基板の長さ方向に沿って前記基板の略縁部に配置し、前記アンテナの前記基板への固定は、前記第1のスルーホールと前記導体パターンとを半田付けするとともに、前記給電端子と前記給電点とを半田付けしたものである。
【0038】
これにより、アンテナは、基板の裏面に設けられた接地導体と、基板の表面に固定された絶縁体の上面に、基板と平行に設置されたアンテナ導体とで構成されるため、基板自体も絶縁体の一部となっている。従って、基板の厚さ分だけ携帯機を薄型化することが可能となる。
【0039】
なお、ここでアンテナ導体と接地導体との距離は、アンテナゲインに影響する。一般に、アンテナ導体と接地導体との距離が大きいほうがアンテナゲインは大きくなる。つまり本発明では、基板の裏面に接地導体が設けられ、基板の表面に固定された絶縁体の上面にアンテナ導体が設けられるので、基板の厚さ分だけ携帯機を薄くしてもアンテナゲインは小さくならない。
また、携帯機に曲げ応力が加わっても、長さ方向にアンテナを構成する絶縁体が配置されているので、前記絶縁体が補強部材となって携帯機の剛性を向上させることができる。従って、携帯機の厚みを薄くしても、落下等による破損等は少なくなる。
さらに、アンテナが基板縁部に配置され、送信回路または受信回路等を構成する基板上の電子部品から離れるため、電子部品(発振器等)が出すノイズを受信することがなく受信感度が向上する。
さらにまた、前記基板には、その軸方向が前記基板に対して垂直となるように配置されるとともに、受信回路に接続されるコイルアンテナが装着され、このコイルアンテナの外側に前記アンテナを配置した場合には、アンテナはコイルアンテナの外側に配置されるので、アンテナの大きさ(四辺形状の面積)がコイルアンテナに制約されることがないので、送受信性能を向上させることができる。
さらに加えて、アンテナ導体と接地導体との接続を、スルーホールとしているので、アンテナのインピーダンス整合が取り易くなり、反射損失を低減することができる。
その上さらに、アンテナ導体と接地導体との接続はスルーホールとしているので、アンテナ導体のパターン形状やアンテナの必要特性に応じて適宜その位置を容易に変更することができ、幅広い仕様に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の携帯機のアンテナ構造の実施の形態における要部拡大断面図
【図2】同実施の形態の図1の上面図
【図3】同実施の形態の図1の下面図
【図4】同実施の形態の実装前の状態を示す分解図
【図5】従来の携帯機のアンテナ構造の断面図
【符号の説明】
21 基板
26 アンテナ
27 絶縁体
28 アンテナ導体
29 接地導体

Claims (1)

  1. 300MHz帯の周波数の高周波信号を送信または受信するアンテナと、このアンテナが接続される送信回路または受信回路を含む電子回路が表面に配設された基板と、前記基板にその軸方向が前記基板に対して垂直となるように配置されるとともに、前記受信回路に接続される空芯状のコイルアンテナとを有する携帯機において、
    前記コイルアンテナは125KHz帯の周波数の信号を受信するために、銅線を複数回巻き回して枠型に形成され、
    このコイルアンテナで囲まれた基板上に前記電子回路を形成
    前記アンテナは、
    前記基板の表面に固定された絶縁体と、
    この絶縁体の上面に前記基板と略平行に設けられたアンテナ導体と、
    このアンテナ導体と略平行に配置されるとともに前記基板の裏面に設けられる接地導体と、
    前記絶縁体を貫通して前記アンテナ導体と接続された第1のスルーホールと、
    前記絶縁体の側面に形成された給電端子とによって構成され、
    前記基板には、
    前記第1のスルーホールに対向する位置に前記接地導体と接続された導体パターンと、
    前記給電端子の下方に設けられた給電点と
    前記導体パターンと前記接地導体との間を接続する第2のスルーホールとを設け
    前記絶縁体及びアンテナ導体は四辺形状とするとともに、前記給電端子は前記第1のスルーホールから最も離れた側の側面に形成し、
    前記アンテナは、前記コイルアンテナの外側であるとともに、前記基板の長さ方向に沿って前記基板の略縁部に配置し
    前記アンテナの前記基板への固定は、前記第1のスルーホールと前記導体パターンとを半田付けするとともに、前記給電端子と前記給電点とを半田付けした携帯機のアンテナ構造。
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