JP3942435B2 - 燃料圧力調整弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、騒音を低減する手段を備えた燃料圧力調整弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車は、静粛性が重視されるようになってきており、静粛化が進むにつれて、燃料圧力調整弁で発生する騒音が新たな騒音源として問題になってきている。
【0003】
従来の燃料圧力調整弁は、一般に、図14に示すように、ハウジング10内に、燃料ポンプから吐出された燃料が流入口11から流入する燃料室12と、スプリング13を収容するスプリング室14とをダイヤフラム15で仕切り形成すると共に、燃料室12内の燃料を流出させる筒状のブッシュ16を設け、ダイヤフラム15に取り付けた弁体17をブッシュ16の開口部周縁に形成した弁座18に対向させると共に、スプリング13によって弁体17を弁座18の方向(閉弁方向)に付勢するようにしている。
【0004】
この燃料圧力調整弁は、弁体17(ダイヤフラム15)に対して、燃料室12内の燃料圧力(以下「燃圧」という)による開弁方向の力と、スプリング13による閉弁方向の力(設定圧力)とが作用し、燃料室12内の燃圧による開弁方向の力がスプリング13による閉弁方向の力よりも大きくなると、両者の力が釣り合う位置まで弁体17が燃圧によって開弁方向に押し上げられる。これにより、弁体17と弁座18との間に環状の隙間が形成され、この環状の隙間の各部から燃料室12内の燃料がブッシュ16の開口部の中心方向に向かって流れ、ハウジング10の流出口19から燃料タンク内へ戻される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の燃料圧力調整弁では、燃料室12内の燃料が弁体17と弁座18との間に形成される環状の隙間の各部からブッシュ16の開口部の中心方向に向かって勢い良く流れ込むため、環状の隙間の各部から勢い良く流れ込んだ燃料がブッシュ16の開口部の中心部で衝突して、その衝突部の圧力が上昇して正圧となり、その正圧が弁体17の下面の中心部に作用する。また、ブッシュ16の開口部の内周面付近では、燃料がブッシュ16の開口部の中心方向に向かって勢い良く流れるため、燃料の流れの剥離が発生して負圧が生じ、この負圧が弁体17の下面に作用する。
【0006】
エンジン運転中は、運転状態に応じて燃料消費量が刻々と変化し、それに応じて弁体17のリフト量(弁体17と弁座18との間の隙間寸法)が刻々と変化して、弁体17と弁座18との間の隙間からブッシュ16の開口部の中心方向に向かって流れる燃料の流量が刻々と変化するため、弁体17の下面付近で発生する前述の正圧と負圧が脈動し、その圧力脈動によって弁体17とダイヤフラム15が振動する現象が発生する。これにより、スプリング13が共振して騒音が発生し、更に、この燃料圧力調整弁の振動が燃料配管や燃料タンクにも伝達して、これらを共振させ、騒音を大きくしていた。
【0007】
また、流出口19よりも下流側に配設される機器との脈動共振により騒音が発生する場合がある。
【0008】
すなわち、ブッシュの開口部における燃料の圧力分布は、上述したように中央部が正圧、内周面付近が負圧となっている。すなわち圧力分布は不均一である。この不均一な圧力分布を持つ燃料が、例えばジェットポンプや燃料配管などの流出口19よりも下流側に配設される機器に流入すると、圧力分布の影響によりこれらの機器が振動する。その結果燃料圧力調整弁との間で脈動共振が発生し、この振動によっても騒音が発生していた。
【0009】
ここで、上記騒音を低減することを目的とした燃料圧力調整弁が特表平11−501388号公報に紹介されている。この燃料圧力調整弁は、ブッシュの内周側に、下流側に向かって縮径する段差を備える。すなわち段差を境に、上流側に大径部が下流側に小径部が、それぞれ配置されている。そしてこれら大径部および小径部の、直径、断面積、長さなどの寸法を適正化することにより、言い換えると小径部における流れの絞り量を適正化することにより、騒音を低減している。
【0010】
しかしながら、同公報の燃料圧力調整弁の寸法は、ブッシュ内を通過する燃料の流量が特定範囲内にある場合を想定して設定されている。ブッシュ内を通過する燃料の流量は、運転状況などに応じて刻々と変化するものである。このため同公報の燃料圧力調整弁は燃料流量が特定範囲内にある場合は有効だが、あらゆる燃料流量に対して効果的であるとは言い難い。
【0011】
さらにまた、弁体と弁座との隙間からブッシュに燃料が高速で流れ込む際、流速差により負圧領域が発現し燃料内に気泡核が生成する、いわゆる減圧沸騰が起こる場合があった。生成した気泡核はブッシュ内の負圧領域において膨張し破裂する。この破裂により発生する圧力波も、騒音発生の一因となっていた。
【0012】
ここで、上記減圧沸騰による騒音を低減することを目的とした燃料圧力制御弁が特開平12−104642号公報に紹介されている。この燃料圧力調整弁は、ブッシュの下流側に接続されたリターンパイプに、燃料タンクと連通する導入口を穿設するものである。この燃料圧力調整弁では、この導入口から、ほぼ大気圧である燃料タンク内の雰囲気を導入することにより負圧領域の発生を抑制している。そして減圧沸騰により発生する気泡核の破裂を抑制し、騒音を低減している。
【0013】
しかしながら、同公報の燃料圧力調整弁は、リターンパイプと連結されることにより初めてその効果を発揮するものである。すなわち燃料圧力調整弁がリターンパイプと連結されていなければ騒音を低減することはできない。
【0014】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、燃料の流量にかかわらず効果的に騒音を低減できる燃料圧力調整弁を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の燃料圧力調整弁は、弁体と弁座との間に形成される環状の隙間の各部からブッシュの開口部の中心方向に向かって流れる燃料の流れの衝突を防止する流れ衝突防止手段をブッシュに設けた構成としたものである。この構成では、弁体と弁座との間に形成される環状の隙間の各部からブッシュの開口部の中心方向に向かって流れる燃料の流れの衝突が流れ衝突防止手段によって防止されるため、燃料の流れの衝突による正圧領域が発生しなくなる。このため、弁体の下面に正圧の脈動圧が作用しなくなり、弁体やダイヤフラムが振動する現象が抑制され、その振動伝達によって誘発されるスプリングの共振による騒音や、燃料配管や燃料タンクの共振による騒音が低減される。
【0016】
この場合、ブッシュとは別体に形成した流れ衝突防止手段をブッシュの開口部に嵌着して、該流れ衝突防止手段の一部を弁座よりも弁体側に突出させ、該弁体には、該流れ衝突防止手段の突出部分を逃げる逃げ凹部を形成した構成とする。このようにすれば、ブッシュの形状は従来と同一で良く、ブッシュの形状を設計変更する必要がない。しかも、流れ衝突防止手段とブッシュとの同心精度を両者の嵌合によって向上することができ、更に、弁体に形成した逃げ凹部によって、弁体と流れ衝突防止手段との干渉・衝突を避けることができ、弁体とブッシュの弁座とを確実に密着させることができる。
【0017】
更に、請求項2のように、流れ衝突防止手段には、弁体と弁座との間に形成される環状の隙間から流入する燃料をブッシュの内周面に沿ってその軸方向に流入させる流路又は孔を形成するようにしても良い。このようにすれば、ブッシュ内における燃料の流れの衝突を防止しながら、燃料をブッシュの内周面に沿ってその軸方向に流入させることができるため、ブッシュの内周面付近での燃料の流れの剥離を少なくすることができて、燃料の流れの剥離による負圧を低減することができ、負圧の脈動による振動も抑制することができ、騒音低減効果を更に高めることができる。
【0018】
或は、請求項3のように、流れ衝突防止手段に、燃料をブッシュ内に旋回させるように流入させる流路又は孔を形成するようにしても良い。このようにすれば、ブッシュ内における燃料の流れの衝突を防止しながら、ブッシュ内で燃料を旋回させることで、ブッシュの内周面付近での燃料の流れの剥離を少なくすることができて、燃料の流れの剥離による負圧を低減することができ、騒音低減効果を更に高めることができる。
【0019】
また、流れ衝突防止手段を設ける代わりに、請求項4のように、ブッシュに、燃料室と外部とを連通する流路又は孔を備える隔壁部を設ける構成としてもよい。
ここで隔壁部は、軸方向両端面を軸方向に貫通する流路又は孔を複数備え下流側における燃料の圧力分布を均一化する前記ブッシュの内周側に配置されている等圧化隔壁部とする構成としてもよい。また流路又は孔は、隔壁部を貫通し燃料を通過させるものである。本構成によると、この隔壁部および流路又は孔により隔壁部下流の燃料の圧力、流速を調整することができる。そして燃料圧力調整弁やブッシュ下流側の機器などの振動を抑制することができる。
【0020】
ここでブッシュ内における隔壁部の配置場所は、特に限定するものではない。例えば、ブッシュの開口部に弁体側へ突出するカップ状の隔壁部を配置してもよい。この場合は、燃料の流れを径方向に仕切ることになる。またブッシュ内に、ちょうど堰のように隔壁部を配置してもよい。この場合は、燃料の流れを軸方向に仕切ることになる。なお隔壁部は、ブッシュと一体に設けてもよい。またブッシュとは別体として設け、後からブッシュに嵌着してもよい。
【0021】
なおこの場合、隔壁部をブッシュ内の低圧領域と弁体側の高圧領域とを仕切る圧力隔壁部とする構成とすることも出来る。
【0022】
隔壁部をブッシュに配置する場合、燃料の衝突位置を、(1)隔壁部の上流側に設定する場合と、(2)隔壁部の下流側に設定する場合とがある。
【0023】
本構成は、特に上記(2)の場合に有効である。この構成では、仮に、圧力隔壁部の下流側、すなわちブッシュ内(低圧領域)で燃料の衝突による正圧領域や流れの剥離による負圧領域が発生したとしても、その圧力脈動が弁体に作用することが圧力隔壁部によって遮断される。これにより、弁体やダイヤフラムが振動する現象が抑制され、その振動伝達によって誘発されるスプリングの共振による騒音や、燃料配管や燃料タンクの共振による騒音が低減される。
【0024】
なおまた圧力隔壁部に形成する流路又は孔を、低圧領域内(ブッシュ内)に燃料を旋回させるように流入させる形状に形成することも出来る。このようにすれば、ブッシュ内における燃料の流れの衝突を防止して正圧領域の発生を防ぎながら、ブッシュ内で燃料を旋回させることで、ブッシュの内周面付近での燃料の流れの剥離を少なくして負圧領域の発生を抑制することができ、騒音低減効果を更に高めることができる。
【0025】
ここで流路又は孔の形状は、燃料をブッシュ内に旋回させるように流入させる形状であれば特に限定しない。
【0026】
例えばブッシュの開口部に弁体側へ突出するカップ状の圧力隔壁部を配置する場合は、圧力隔壁部の側周壁を接線方向に対し所定の角度で貫通する流路または孔を配置する構成としてもよい。上述したように燃料はブッシュの開口部の中央部で衝突する。本構成によると、流路または孔により、燃料の流れは螺旋状あるいは渦状に整流される。このため中心部における燃料の衝突を抑制することができる。
【0027】
また本構成の圧力隔壁部は、ブッシュ開口部の中央部に配置されている。このため圧力隔壁部の側周壁が、ちょうど燃料の中央方向への流れを堰き止めるように機能する。この側周壁によっても燃料の衝突を抑制することができる。
【0028】
また例えばブッシュ内に堰のように圧力隔壁部を配置する場合は、圧力隔壁部の軸方向両面を軸方向に対し所定の角度で貫通する流路または孔を配置する構成としてもよい。本構成によると、流路または孔により、燃料の流れは螺旋状に整流される。このため中心部における燃料の衝突を抑制することができる。
【0029】
また請求項4のように、隔壁部を、軸方向両端面を軸方向に貫通する流路又は孔を複数備え下流側における燃料の圧力分布を均一化する等圧化隔壁部とする構成としてもよい。
【0030】
つまり本構成は、ブッシュの軸方向に貫通する流路又は孔を複数配置する等圧化隔壁部を設けるものである。
【0031】
上述したように隔壁部をブッシュに配置する場合、燃料の衝突位置が、(1)隔壁部の上流側にある場合と、(2)隔壁部の下流側にある場合とがある。
【0032】
本構成は、特に上記(1)の場合に有効である。すなわち上流側で燃料の衝突が起こると、燃料の圧力分布は不均一となる。具体的にはブッシュ中央部の圧力は高く、ブッシュ内周面付近の圧力は低くなる。
【0033】
ここで本構成の等圧化隔壁部には、軸方向に貫通する流路又は孔が複数配置されている。そしてこれらの流路又は孔により、燃料の流れは絞られる。このため流速、すなわち単位時間あたりの流量の大きい中央部を流れる燃料が、この流量を維持したまま等圧化隔壁部の中央部に配置される流路または孔を通過することはできない。したがって中央部を流れる燃料の一部は等圧化隔壁部により堰き止められることになる。これに対し、流量の小さい内周面付近を流れる燃料は、流量を維持したまま等圧化隔壁部のブッシュ内周面付近に配置される流路又は孔を通過することができる。ここでブッシュ内周面付近の流路又は孔には、未だ流量的に余裕がある。このため、上記堰き止められた中央部の燃料が内周面付近の流路又は孔に流れ込む。
【0034】
このような等圧化隔壁部の分流作用により、等圧化隔壁部の下流側においては、燃料の圧力分布が均一化される。また孔による絞り損失のため燃料の流速が低下する。このため、ブッシュよりも下流側に配設される機器の振動を抑制することができる。また、圧力分布の均一化により、等圧化隔壁部の下流側においては負圧領域が発現しにくくなる。このため、減圧沸騰による気泡核の膨張を抑制することができる。
【0035】
ここで等圧化隔壁部は、下流側に配設される機器よりも、上流側に配置されていさえすればよい。このためブッシュ内のあらゆる場所に配置することができる。ただし、好ましくは請求項4の構成において、請求項5のように、等圧化隔壁部を、弁座から軸方向に離間して配置する構成とする方がよい。つまり本構成は、等圧化隔壁部を弁座から陥没してブッシュ内に配置するものである。
【0036】
弁座は、弁体が着座する際、燃料の流れをシールする役割を有する。このため弁座には厳しい寸法精度が要求される。ここで等圧化隔壁部を弁座と同じ高さ、すなわち面一に配置すると、等圧化隔壁部にも弁体が着座することになる。したがって等圧化隔壁部にも厳しい寸法精度が要求されることになる。本構成では、等圧化隔壁部を弁座から陥没して配置している。このため等圧化隔壁部にまで厳しい寸法精度が要求されることがない。したがって、より簡単に等圧化隔壁部、ひいては燃料圧力調整弁を作製することができる。
【0037】
またさらに好ましくは、請求項5の構成において、請求項6のように、等圧化隔壁部を弁座の軸方向直下に配置する構成がよい。燃料は、弁体と弁座との隙間からブッシュ内に流入する。このとき弁体と弁座との隙間の絞り効果により燃料は絞られ高圧化する。そして、弁体と弁座との隙間から離れるにつれ、絞られた燃料は再び膨張する。ここで等圧化隔壁部を弁座から離して配置すると、膨張した燃料を再度流路又は孔により絞ることになる。そしてこの絞りによる抵抗は、弁体が取り付けられているダイヤフラムを揺動させる一因となる。
【0038】
この点、本構成では等圧化隔壁部を弁座の軸方向直下に配置している。このため弁体と弁座との隙間の絞り効果により絞られた燃料が、膨張することなくそのままの状態で流路又は孔に流入することになる。したがってブッシュ下流側に配設される機器の振動のみならず、ブッシュ上流側に配設されるダイヤフラムの揺動までも、抑制することができる。
【0039】
またさらに好ましくは、請求項6の構成において、請求項7のように、等圧化隔壁部を軸方向上流側端面が弁座から軸方向下流側に0.1mm以上0.7mm未満だけ離間するように配置する構成がよい。つまりこの構成は、等圧化隔壁部の軸方向両端面のうち上流側の端面が弁座から0.1mm以上0.7mm未満の範囲だけ離間した下流側位置にくるように、等圧化隔壁部を配設するものである。
【0040】
ここで、上流側端面の位置を弁座から0.1mm以上としたのは以下の理由による。すなわち、弁体と弁座との隙間から流入する燃料中には、微小な異物が混入している場合がある。そして、この異物が等圧化隔壁部の上流側端面の面上に滞留する場合がある。このとき、上流側端面が弁座と過度に近接していると、面上に滞留した異物が閉弁時に弁体と接触し、シール性が低下するおそれがある。このため上流側端面を弁座から0.1mm以上離間して配置すれば、たとえ面上に異物が滞留しても閉弁時に異物が弁体と接触することはない。以上の理由から、本構成においては上流端面を弁座から軸方向に0.1mm以上離間して配置した。
【0041】
また、上流側端面の位置を弁座から0.7mm未満としたのは以下の理由による。すなわち、上述したように、まず燃料は弁体と弁座との隙間を通過することにより絞られ、次に弁座から流下するにしたがって膨張し、それから等圧化隔壁部の流路又は孔により再度絞られる。このため、膨張した後の燃料を等圧化隔壁部に流入させると、流路または孔の絞り抵抗により脈動が生じるおそれがある。ここで燃料の膨張は弁座から0.7mm以上流下すると顕著になる。したがって、燃料を弁座から0.7mm以上流下させないで等圧化隔壁部に流入させれば、脈動の発生を効果的に抑制することができる。以上の理由から、本構成においては上流端面を弁座から軸方向に0.7mm未満だけ離間して配置した。
【0042】
また、請求項8のように、ハウジング内に、燃料が流入する燃料室と、スプリングを収容するスプリング室とをダイヤフラムで仕切り形成すると共に、燃料室内の燃料をスプリング室に流出させる筒状のブッシュ弁体をダイヤフラムに設け、ブッシュ弁体に対向する弁座を燃料室内に配置し、スプリングによってブッシュ弁体を弁座の方向に付勢するようにし、開弁時に前記ブッシュ弁体は前記弁座から離座する燃料圧力調整弁において、ブッシュ弁体に、燃料室とスプリング室とを連通する、軸方向両端面を軸方向に貫通する流路又は孔を複数備え下流側における燃料の圧力分布を均一化する等圧化隔壁部を設ける構成としてもよい。
【0043】
この構成は、いわゆる1−wayタイプと呼ばれる燃料圧力調整弁に隔壁部を設けるものである。1−wayタイプの燃料圧力調整弁においては、ダイヤフラムに筒状のブッシュ弁体が設置されている。またこのブッシュ弁体と対向して燃料室内に弁座が配置されている。そしてダイヤフラムおよびブッシュ弁体は、スプリングにより弁座方向に付勢されている。本構成の隔壁部の作用、効果、実施態様は、上述した請求項4の隔壁部の作用、効果、実施態様と同様である。
【0044】
すなわち、本構成の隔壁部によると、隔壁部下流の燃料の圧力、流速を調整することができる。ブッシュ弁体内における隔壁部の配置場所は、特に限定するものではない。また隔壁部は、ブッシュ弁体と一体でも別体でもよい。
【0045】
なおまた、請求項8の構成において、隔壁部をブッシュ弁体内の低圧領域と弁体側の高圧領域とを仕切る圧力隔壁部とする構成とすることが出来る。本構成の圧力隔壁部の作用、効果、実施態様は、上述した圧力隔壁部の作用、効果、実施態様と同様である。
【0046】
すなわち、本構成によると仮にブッシュ弁体内(低圧領域)で燃料の衝突による正圧領域や流れの剥離による負圧領域が発生したとしても、その圧力脈動が弁座に作用することが圧力隔壁部によって遮断される。これにより、弁座の振動が抑制され、その振動伝達によって誘発されるスプリングの共振による騒音や、燃料配管や燃料タンクの共振による騒音が低減される。
【0047】
また、圧力隔壁部に形成する流路又は孔を、低圧領域内(ブッシュ弁体内)に燃料を旋回させるように流入させる形状に形成するようにすることが出来る。本構成の流路又は孔の作用、効果、実施態様は、上述した流路又は孔の作用、効果、実施態様と同様である。
【0048】
すなわち、流路又は孔により燃料をブッシュ弁体内に旋回流入させると、ブッシュ弁体内における燃料の流れの衝突を防止して正圧領域の発生を防ぎながら、ブッシュ弁体の内周面付近での燃料の流れの剥離を少なくして負圧領域の発生を抑制することができる。このため騒音低減効果を更に高めることができる。ここで流路又は孔の形状は、燃料がブッシュ弁体内に旋回流入できる形状であれば特に限定しない。
【0049】
また、隔壁部を、軸方向両端面を軸方向に貫通する流路又は孔を複数備え下流側における燃料の圧力分布を均一化する等圧化隔壁部とする構成とすることが出来る。つまり本構成は、ブッシュ弁体の軸方向に貫通する流路又は孔を複数配置する等圧化隔壁部を設けるものである。本構成の等圧化隔壁部の作用、効果、実施態様は、上述した請求項4の等圧化隔壁部の作用、効果、実施態様と同様である。
【0050】
すなわち、本構成によると、等圧化隔壁部の分流作用により、等圧化隔壁部の下流側においては、燃料の圧力分布が均一化される。また孔による絞り損失のため燃料の流速が低下する。このため、燃料圧力制御弁よりも下流側に配設される機器の振動を抑制することができる。また、圧力分布の均一化により、等圧化隔壁部の下流側においては負圧領域が発現しにくくなる。このため、減圧沸騰による気泡核の膨張を抑制することができる。等圧化隔壁部は、ブッシュ弁体内のあらゆる場所に配置することができる。
【0051】
好ましくは、請求項8の構成において、請求項9のように、等圧化隔壁部を、ブッシュ弁体の軸方向上流側端面から軸方向に離間して配置する構成とする方がよい。つまり本構成は、等圧化隔壁部を軸方向上流側端面から陥没してブッシュ弁体内に配置するものである。本構成の等圧化隔壁部の配置による作用、効果は、上述した請求項5の等圧化隔壁部の配置による作用、効果と同様である。
【0052】
すなわち、本構成では、等圧化隔壁部を軸方向上流側端面から陥没して配置している。このため等圧化隔壁部にまで厳しい寸法精度が要求されることがない。したがって、より簡単に等圧化隔壁部、ひいては燃料圧力調整弁を作製することができる。
【0053】
さらに好ましくは、請求項9の構成において、請求項10のように、等圧化隔壁部をブッシュ弁体の軸方向上流側端面の軸方向直下に配置する構成がよい。本構成の等圧化隔壁部の配置による作用、効果は、上述した請求項6の等圧化隔壁部の配置による作用、効果と同様である。
【0054】
すなわち、本構成では等圧化隔壁部を軸方向上流側端面の軸方向直下に配置している。このためブッシュ弁体と弁座との隙間の絞り効果により絞られた燃料が、膨張することなくそのままの状態で流路又は孔に流入する。したがって燃料圧力調整弁の下流側に配設される機器の振動のみならず、ブッシュ弁体が設置されているダイヤフラムの揺動までも、抑制することができる。
【0055】
またさらに好ましくは、請求項10の構成において、請求項11のように、等圧化隔壁部の軸方向上流側端面が、ブッシュ弁体の軸方向上流側端面から軸方向下流側に0.1mm以上0.7mm未満だけ離間するように配置する構成がよい。つまりこの構成は、等圧化隔壁部の軸方向両端面のうち上流側の端面が、ブッシュ弁体の軸方向上流側端面から0.1mm以上0.7mm未満の範囲だけ離間した下流側位置にくるように、等圧化隔壁部を配設するものである。本構成の等圧化隔壁部の配置による作用、効果は、上述した請求項7の等圧化隔壁部の配置による作用、効果と同様である。
【0056】
すなわち、上流側端面の位置を弁座から0.1mm以上としたのは、上流側端面上に異物が滞留しても閉弁時に異物が弁座と接触しないからである。また、上流側端面の位置を弁座から0.7mm未満としたのは、脈動の発生を効果的に抑制することができるからである。
【0057】
【発明の実施の形態】
[実施形態(1)]
以下、本発明の実施形態(1)を図1乃至図4に基づいて説明する。
【0058】
図1に示すように、燃料圧力調整弁のハウジング21は、上ハウジング22と下ハウジング23とをかしめ等により結合して構成され、下ハウジング23内には、燃料ポンプ(図示せず)から吐出された燃料が流入口24から流入する燃料室25が形成されている。この下ハウジング23の下部に設けられた小径筒部23a内には、円筒状のブッシュ26が上下方向に嵌着固定され、小径筒部23aの下部には、流出口27が設けられている。ブッシュ26の上端面(開口部周縁)には、弁座28が形成されている。
【0059】
一方、上ハウジング22内にはスプリング室29が形成され、このスプリング室29と燃料室25とがダイヤフラム30によって仕切られている。このダイヤフラム30の中央部には、弁体ホルダ31がかしめ等により固定され、この弁体ホルダ31の下側には、調芯用の球体32を介して弁体33がブッシュ26の上端開口部周縁の弁座28に対向するように保持されている。そして、スプリング室29内に収容したスプリング34によって弁体33が弁座28の方向(閉弁方向)に付勢されている。
【0060】
図2及び図3に示すように、ブッシュ26の上端開口部には、流れ衝突防止部材35(流れ衝突防止手段)が圧入、溶接等により嵌着され、この流れ衝突防止部材35の上部が弁座28(ブッシュ26の上端面)よりも弁体33側に突出している。この流れ衝突防止部材35は、円柱状の金属材料により形成され、その外周部には、燃料をブッシュ26の内周面に沿ってその軸方向(下方)に流入させる複数本(例えば3本)の流路36(又は孔)が等間隔に形成されている。各流路36は、流路断面が円弧状に形成され、且つ下流側ほど流路断面が少しずつ大きくなるように形成されている。
【0061】
一方、弁体33には、流れ衝突防止部材35の突出部分を逃げる逃げ凹部37が形成されている。この逃げ凹部37は、各部品の組付誤差や寸法誤差を考慮して弁体33が流れ衝突防止部材35と干渉・衝突しないように、少し大きめのサイズに形成されている。
【0062】
以上のように構成した燃料圧力調整弁は、弁体33(ダイヤフラム30)に対して、燃料室25内の燃圧による開弁方向の力と、スプリング34による閉弁方向の力(設定圧力)とが作用し、燃料室25内の燃圧による開弁方向の力がスプリング34による閉弁方向の力よりも大きくなると、両者の力が釣り合う位置まで弁体33が燃圧によって開弁方向に押し上げられる。これにより、図2に示すように、弁体33と弁座28との間に環状の隙間が形成され、この環状の隙間の各部から燃料室12内の燃料が内径方向に向かって流れる。
【0063】
本実施形態(1)では、弁体33と弁座28との間に形成される環状の隙間の内周側には、流れ衝突防止部材35の上部が突出しているため、環状の隙間の各部を内周方向に向かって流れる燃料の流れの衝突が流れ衝突防止部材35によって防止され、弁体33の下側で燃料の流れの衝突による正圧領域が発生しなくなる。このため、弁体33の下面に正圧の脈動圧が作用しなくなり、弁体33やダイヤフラム30が振動する現象が抑制され、その振動伝達によって誘発されるスプリング29の共振による騒音や、燃料配管や燃料タンクの共振による騒音が低減される。
【0064】
更に、本実施形態(1)では、流れ衝突防止部材35には、弁体33と弁座28との間に形成される環状の隙間から流入する燃料をブッシュ26の内周面に沿ってその軸方向(下方)に流入させる流路36を形成したので、ブッシュ26内における燃料の流れの衝突を防止しながら、燃料をブッシュ26の内周面に沿ってその軸方向(下方)に流入させることができる。これにより、ブッシュ26の内周面付近での燃料の流れの剥離を少なくすることができて、燃料の流れの剥離による負圧を低減することができ、負圧の脈動による振動も抑制することができ、騒音低減効果を更に高めることができる。
【0065】
ところで、図8に示す従来の燃料圧力調整弁は、図4に点線で示すように、リターン流量(流出口27から流出する流量)が多くなるほど、制御燃圧(燃料噴射弁への供給燃圧)が高くなる特性がある。このため、制御燃圧がリターン流量によって変化してしまい、制御燃圧を一定に保つことが困難である。一般に、燃料噴射量の制御は、制御燃圧が一定であることを前提として行われるため、リターン流量の変化により制御燃圧が変化すると、燃料噴射量が変化してしまい、空燃比が目標空燃比からずれるという問題が発生する。
【0066】
これに対し、本実施形態(1)では、ブッシュ26の上端開口部に嵌着した流れ衝突防止部材35がブッシュ26内の燃料の流れの乱れ(流れの衝突や剥離)を少なくする役割を果たすため、図4に実線で示すように、リターン流量に対する制御燃圧の変化が小さくなり、燃圧制御特性を安定化させることができ、燃料噴射制御精度(空燃比制御精度)を向上させることができる。
【0067】
尚、流れ衝突防止部材35(流れ衝突防止手段)に相当する部分をブッシュ26に一体に形成しても良いが、本実施形態(1)のように、ブッシュ26とは別体に形成した流れ衝突防止部材35をブッシュ26の開口部に嵌着するようにすれば、ブッシュ26の形状は従来と同一で良く、ブッシュ26の形状を設計変更する必要がない。しかも、流れ衝突防止部材35とブッシュ26との同心精度を両者の嵌合によって向上できる。
【0068】
また、本実施形態(1)では、流れ衝突防止部材35の外周部に、流路36を軸方向(下方)に形成したが、流路36を軸方向(下方)に対して所定角度傾斜させて、流路36からブッシュ26内に燃料を旋回させるように流入させるようにしても良い。このようにすれば、ブッシュ26内における燃料の流れの衝突を防止しながら、ブッシュ26内で燃料を旋回させることで、ブッシュ26の内周面付近での燃料の流れの剥離を少なくすることができて、燃料の流れの剥離による負圧を低減することができ、騒音低減効果を高めることができる。
【0069】
[参考実施形態(2)]
次に、本発明の参考実施形態(2)を図5乃至図7に基づいて説明する。本参考実施形態(2)では、流れ衝突防止部材35に代えて、圧力隔壁部41がブッシュ26の上端開口部に圧入、溶接等により嵌着され、この圧力隔壁部41の上部が弁座28(ブッシュ26の上端面)よりも弁体33側に突出している。この圧力隔壁部41は、上端面を閉塞した円筒カップ状に形成され、該圧力隔壁部41の上端部には、複数個(例えば3個)の流入孔42(又は流路)が等間隔に形成されている。
【0070】
図7に示すように、圧力隔壁部41の各流入孔42は、圧力隔壁部41の内径方向に対して所定角度傾斜させて形成し、各流入孔42から流入した燃料が圧力隔壁部41の内周面に沿って旋回するようになっている。この圧力隔壁部41の各流入孔42は、弁座28(ブッシュ26の上端面)よりも弁体33側に突出し、弁体33と弁座28との間に形成される環状の隙間の内周側に各流入孔42が位置している。この圧力隔壁部41によって、ブッシュ26内の低圧領域と弁体33の下面付近の高圧領域とが仕切られている。その他の構成は、前記実施形態(1)と同一である。
【0071】
以上説明した本参考実施形態(2)では、ブッシュ26の上端開口部に、該ブッシュ26内の低圧領域と弁体33の下面付近の高圧領域とを仕切る圧力隔壁部41を嵌着したので、仮に、ブッシュ26内(低圧領域)で燃料の衝突による正圧領域や流れの剥離による負圧領域が発生したとしても、その圧力脈動が弁体33に作用することが圧力隔壁部41によって遮断される。これにより、弁体33やダイヤフラム30が振動する現象が抑制され、その振動伝達によって誘発されるスプリング34の共振による騒音や、燃料配管や燃料タンクの共振による騒音が低減される。
【0072】
しかも、本参考実施形態(2)では、圧力隔壁部41に形成する流入孔42を、低圧領域内(圧力隔壁部41内)に燃料を旋回させるように流入させる形状に形成したので、ブッシュ26内(圧力隔壁部41内)における燃料の流れの衝突を防止して正圧領域の発生を防ぎながら、ブッシュ26内で燃料を旋回させることで、ブッシュ26の内周面付近(圧力隔壁部41の内周面付近)での燃料の流れの剥離を少なくして負圧領域の発生を抑制することができ、騒音低減効果を更に高めることができる。
【0073】
尚、本参考実施形態(2)では、各流入孔42を圧力隔壁部41の内径方向に対して所定角度傾斜させて形成したが、各流入孔42の加工を簡単にするために、各流入孔42を圧力隔壁部41の内径方向に形成しても良い。この構成では、各流入孔42から圧力隔壁部41内に流入する燃料の流れが圧力隔壁部41内の中心部で衝突するが、ブッシュ26内と弁体33の下面付近の高圧領域とが圧力隔壁部41によって仕切られているため、圧力隔壁部41内で燃料の衝突により発生する圧力脈動が弁体33に作用することが圧力隔壁部41によって遮断され、騒音が低減される。
【0074】
本参考実施形態(2)では、圧力隔壁部41とブッシュ26とを別体に形成して圧力隔壁部41をブッシュ26の上端開口部に嵌着するようにしたが、圧力隔壁部41に相当する部分をブッシュ26の上端部に一体に形成しても良い。
【0075】
その他、本発明の燃料圧力調整弁は、上記実施形態(1)の構成に限定されず、ブッシュと弁体を備えた種々の構成の燃料圧力調整弁に本発明を適用して実施することができる。
【0076】
[実施形態(3)]
次に、本発明の実施形態(3)を図8および図9に基づいて説明する。本実施形態(3)では、参考実施形態(2)における圧力隔壁部41に代えて、等圧化隔壁部50がブッシュ26の内周側上方に嵌着されている。その他の構成については参考実施形態(2)と同じである。
【0077】
等圧化隔壁部50はタブレット状を呈している。そして、この等圧化隔壁部50の上流側の上端面と下流側の下端面とは、孔51により貫通している。孔51は図9に示すように、同心二重円状に計12個分散配置されている。また孔51は、ブッシュ26の軸方向と平行に、等圧化隔壁部50の上端面と下端面とを貫通している。なお等圧化隔壁部50の上端面は、弁座28の直下に配置されている。
【0078】
本実施形態(3)では、ブッシュ26の内周側上方に、孔51を備える等圧化隔壁部50を嵌着した。このため等圧化隔壁部50の上流側で燃料の衝突が発生し圧力分布が不均一となっても、12個の孔51により燃料を分流化することができる。そしてこの分流化により等圧化隔壁部50の下流側において再び合流した燃料の圧力分布を等圧化することができる。また孔51の絞り損失により、燃料の流速を低下させることができる。
【0079】
しかも本実施形態(3)では、等圧化隔壁部50の上端面を、弁座28の直下に配置したので、等圧化隔壁部50にまで厳しい寸法精度が要求されることもない。また弁体33と弁座28との隙間により絞られた燃料は、ほとんど膨張せずに孔51に流入するため、ダイヤフラム30の揺動を抑制することができる。さらに等圧化隔壁部50の下流側では、燃料は等圧化されるため、負圧領域が発現しにくい。このため減圧沸騰による騒音も効果的に抑制することができる。
【0080】
なお本実施形態(3)では、孔51を有する等圧化隔壁部50をプレス成形により作製し、その後ブッシュ26の内周側上方に嵌着した。しかしながら、先に等圧化隔壁部50を作製してから、その後孔51を穿設してもよい。また、等圧化隔壁部50に相当する部分をブッシュ26の内周側上方に一体に形成しても良い。
【0081】
[実施形態(4)]
次に、本発明の実施形態(4)を図10に基づいて説明する。図10は本実施形態(4)の燃料圧力調整弁のブッシュ26付近の拡大縦断面図である。本実施形態(4)は、実施形態(3)における等圧化隔壁部50を、ブッシュ26の弁座と面一に嵌着するものである。その他の構成については実施形態(3)と同じである。
【0082】
本実施形態(4)によると、上述したように等圧化隔壁部50にまで厳しい寸法精度が要求されることになる。しかしながら、弁体33と弁座28との隙間および孔51とは連続している。したがって、弁体33と弁座28との隙間により絞られた燃料はそのまま孔51に流入する。このため、ダイヤフラム30の揺動をより効果的に抑制することができる。また等圧化隔壁部50をブッシュ26とは別体として作製する場合、弁座28を目安に等圧化隔壁部50の嵌着位置を決めることができる。このため、等圧化隔壁部50の位置決めがしやすいという利点もある。
【0083】
なお本実施形態(4)においては等圧化隔壁部50をタブレット状としたが、タブレット状ではなく、同軸の大径部と小径部とからなる二段円盤状、すなわち鍋蓋状としてもよい。そして小径部のみをブッシュ26の開口部に圧入嵌着し、大径部の上端面を弁座としてもよい。この構成によると弁座28と等圧化隔壁部50との面一化は不要である。また大径部の下端面がブッシュ26の上端面と燃料流れ方向に当接するため、等圧化隔壁部50が燃圧により位置ずれするおそれがない。
【0084】
[実施形態(5)]
次に、本発明の実施形態(5)を図11に基づいて説明する。図11は本実施形態(5)の燃料圧力調整弁のブッシュ26付近の拡大縦断面図である。本実施形態(5)は、実施形態(3)における等圧化隔壁部50を、ブッシュ26の下端面と面一に嵌着するものである。その他の構成については実施形態(3)と同じである。
【0085】
本実施形態(5)によると、等圧化隔壁部50をブッシュ26とは別体として作製する場合、弁座28を目安に等圧化隔壁部50の嵌着位置を決めることができる。このため、位置決めがしやすい。またブッシュ26の下端面は、上端面に配置される弁座28のように、厳しい寸法精度が要求されることもない。このため等圧化隔壁部50の寸法自由度が向上する。
【0086】
[実施形態(6)]
次に、本発明の実施形態(6)を図12に基づいて説明する。図12は本実施形態(6)の燃料圧力調整弁の等圧化隔壁部50の拡大正面図である。本実施形態(6)は、実施形態(3)における等圧化隔壁部50の孔51を大径化し、その孔数を計3個とするものである。その他の構成については実施形態(3)と同じである。
【0087】
本実施形態(6)によると、孔51が少なくまた孔51同士の間隔が広いため等圧化隔壁部50を容易に作成することができる。
【0088】
なお本実施形態(6)においても、上記実施形態(4)および実施形態(5)のように、等圧化隔壁部50の軸方向位置を調整することができる。
【0089】
その他、本発明の燃料圧力調整弁は、上記実施形態の構成に限定されず、ブッシュと弁体を備えた種々の構成の燃料圧力調整弁に本発明を適用して実施することができる。
【0090】
[実施形態(7)]
次に、本発明の実施形態(7)を図13に基づいて説明する。図13は本実施形態(7)の燃料圧力調整弁のブッシュ付近の拡大縦断面図である。本実施形態(7)は、実施形態(3)における等圧化隔壁部50の上流側端面の取付高さ、すなわち軸方向位置52を、弁座28から軸方向に0.4mmだけ下方に離れた位置に設定するものである。その他の構成については実施形態(3)と同じである。
【0091】
本実施形態(7)によると、たとえ等圧化隔壁部50の上流側端面の面上に異物が滞留しても、閉弁時に異物が弁体33と接触するおそれが小さい。また弁座28から流下した燃料が膨張する前に孔51に流入するため、孔51の絞り抵抗により脈動が生じるおそれも小さい。さらに等圧化隔壁部50の下流側では負圧領域が発現しにくいため、減圧沸騰による脈動が生じるおそれも小さい。
【0092】
以上本発明の実施形態について説明した。しかしながら、本発明の燃料圧力調整弁は、上記実施形態の構成に限定されず、ブッシュと弁体を備えた種々の構成の燃料圧力調整弁に適用して実施することができる。
【0093】
[実施形態(8)、(9)、(10)]
図15から図17に本発明の実施形態(8)から(10)を示す。これらはいずれも一般に1−wayタイプと呼ばれる燃料圧力調整弁であり、流入した燃料が一方向に流れて吐出される構成となっている。
【0094】
図15は、実施形態(8)を示した図である。この実施形態(8)ではバルブシートの周方向の一部に軸方向に連通孔が形成されていて、この孔を通った燃料はダイヤフラム5を押すことでダイヤフラム5に一体になったブッシュ弁体3が弁座が形成される板状のフラットバルブ(弁座体)2から離座しこの間の空間を流れた燃料はさらに等圧化隔壁部4に形成された孔を流れスプリング6が設けられている空間、すなわちスプリング室を通り流出口7を介して外部に燃料が流出する。この実施形態(8)においても実施形態(3)と同様に等圧化隔壁部の下流側において再び合流した燃料の圧力分布を等圧化することができ、負圧領域が発現しにくく、減圧沸騰による気泡核の膨張を抑制することができる。
【0095】
図16は実施形態(9)を示した図である。この実施形態(9)は弁座を球の一部を切り欠いた弁座体2の平坦面に形成している例である。その他は実施形態(8)と同様であるので説明を省略する。
【0096】
図17は実施形態(10)を示した図である。この実施形態(10)は弁座を球である弁座体2に形成している例である。その他は実施形態(8)と同様であるので説明を省略する。
【0097】
【発明の効果】
本発明によると、燃料の流量にかかわらず効果的に騒音を低減できる燃料圧力調整弁を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態(1)を示す燃料圧力調整弁の縦断面図である。
【図2】 実施形態(1)の主要部の拡大縦断面図である。
【図3】 図2のA−A線に沿って示す主要部の拡大横断面図である。
【図4】 リターン流量に対する制御燃圧の特性を示す図である。
【図5】 本発明の参考実施形態(2)を示す燃料圧力調整弁の縦断面図である。
【図6】 参考実施形態(2)の主要部の拡大縦断面図である。
【図7】 圧力隔壁部の拡大横断面図である。
【図8】 本発明の実施形態(3)を示す燃料圧力調整弁の縦断面図である。
【図9】 実施形態(3)の等圧化隔壁部の拡大正面図である。
【図10】 本発明の実施形態(4)のブッシュ付近の拡大縦断面図である。
【図11】 本発明の実施形態(5)のブッシュ付近の拡大縦断面図である。
【図12】 本発明の実施形態(6)の等圧化隔壁部の拡大正面図である。
【図13】 本発明の実施形態(7)のブッシュ付近の拡大縦断面図である。
【図14】 従来の燃料圧力調整弁の縦断面図である。
【図15】 実施形態(8)を示す燃料圧力調整弁の縦断面図である。
【図16】 実施形態(9)を示す燃料圧力調整弁の縦断面図である。
【図17】 実施形態(10)を示す燃料圧力調整弁の縦断面図である。
Claims (11)
- ハウジング内に、燃料が流入する燃料室と、スプリングを収容するスプリング室とをダイヤフラムで仕切り形成すると共に、前記燃料室内の燃料を流出させる筒状のブッシュを設け、前記ダイヤフラムに取り付けた弁体を前記ブッシュの開口部周縁に形成した弁座に対向させると共に、前記スプリングによって前記弁体を前記弁座の方向に付勢するようにした燃料圧力調整弁において、
前記弁体と前記弁座との間に形成される環状の隙間の各部から前記ブッシュの開口部の中心方向に向かって流れる燃料の流れの衝突を防止する流れ衝突防止手段を前記ブッシュに設け、前記流れ衝突防止手段は前記ブッシュの開口部に嵌着され、該流れ衝突防止手段の一部が前記弁座よりも前記弁体側に突出し、該弁体には、該流れ衝突防止手段の突出部分を逃げる逃げ凹部が形成されていることを特徴とする燃料圧力調整弁。 - 前記流れ衝突防止手段には、前記環状の隙間から流入する燃料を前記ブッシュの内周面に沿ってその軸方向に流入させる流路又は孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料圧力調整弁。
- 前記流れ衝突防止手段には、前記環状の隙間から流入する燃料を前記ブッシュ内に旋回させるように流入させる流路又は孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料圧力調整弁。
- ハウジング内に、燃料が流入する燃料室と、スプリングを収容するスプリング室とをダイヤフラムで仕切り形成すると共に、前記燃料室内の燃料を流出させる筒状のブッシュを設け、前記ダイヤフラムに取り付けた弁体を前記ブッシュの開口部周縁に形成した弁座に対向させると共に、前記スプリングによって前記弁体を前記弁座の方向に付勢するようにし、開弁時に前記弁体と前記ブッシュとは離間する燃料圧力調整弁において、
前記ブッシュは、前記燃料室と外部とを連通する、軸方向両端面を軸方向に貫通する流路又は孔を複数備え下流側における燃料の圧力分布を均一化する、前記ブッシュの内周側に配置されている等圧化隔壁部を有することを特徴とする燃料圧力調整弁。 - 前記等圧化隔壁部は、前記弁座から軸方向に離間して配置されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料圧力調整弁。
- 前記等圧化隔壁部は、前記弁座の軸方向直下に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の燃料圧力調整弁。
- 前記等圧化隔壁部は、軸方向上流側端面が前記弁座から軸方向下流側に0.1mm以上0.7mm未満だけ離間するように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の燃料圧力調整弁。
- ハウジング内に、燃料が流入する燃料室と、スプリングを収容するスプリング室とをダイヤフラムで仕切り形成すると共に、前記燃料室内の燃料を前記スプリング室に流出させる筒状のブッシュ弁体を前記ダイヤフラムに設け、前記ブッシュ弁体に対向する弁座を前記燃料室内に配置し、前記スプリングによって前記ブッシュ弁体を前記弁座の方向に付勢するようにし、開弁時に前記ブッシュ弁体は前記弁座から離座する燃料圧力調整弁において、
前記ブッシュ弁体は、前記燃料室と前記スプリング室とを連通する、軸方向両端面を軸方向に貫通する流路又は孔を複数備え下流側における燃料の圧力分布を均一化する、前記ブッシュ弁体の内周側に配置される等圧化隔壁部を有することを特徴とする燃料圧力調整弁。 - 前記等圧化隔壁部は、前記ブッシュ弁体の軸方向上流側端面から軸方向に離間して配置されていることを特徴とする請求項8に記載の燃料圧力調整弁。
- 前記等圧化隔壁部は、前記ブッシュ弁体の軸方向上流側端面の軸方向直下に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の燃料圧力調整弁。
- 前記等圧化隔壁部は、軸方向上流側端面が前記ブッシュ弁体の軸方向上流側端面から軸方向下流側に0.1mm以上0.7mm未満だけ離間するように配置されていることを特徴とする請求項10に記載の燃料圧力調整弁。
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