JP3941939B2 - ロールと対象物との距離測定用治具および距離測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は帯状フィルムの製造・加工等に使用するロールと他のロール等の対象物との距離を測定する治具および該治具を用いたロールと対象物の距離の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
帯状高分子フィルムの製造、フィルム表面への他の材料の塗布、フィルムの張り合わせ、表面加工、延伸等の各種加工においてロールは不可欠の要素である。一般に複数のロールを組み合わせて使用されているが、ロールが平行でない場合には、フィルムの厚みが不均一になる、皺が生じる、塗布厚が不均一になる、延伸が不均一になる等の問題が生じる。特に、光学素子のような均一性が要求されるフィルムにおいては、ロールが平行でないことによるこれらの問題が製品の品質に大きく影響するためロール間距離の厳密な調整、すなわちロールの芯出し、が重要な課題になっている。このようなロール間距離調整の重要性は、高分子フィルムの製造加工だけでなく、印刷産業、製紙産業や金属の圧延等のロールを不可欠の要素とする各種加工方法においても見られる。金属圧延のような高圧下でのロール圧延における芯出し方法(例えば特許文献1参照)が提案されているが、高分子フィルムの製造・加工のような低圧力で多数のロールを使用する場合には、より簡便な方法が求められる。巻尺を使用する方法などが現場で使用されているが、精度が悪く、ロールに巻尺を巻きつけなければならず、簡便さに欠ける。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−103808号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ロールと対象物の距離を簡便かつ精密に測定しロールの芯出しを行うための、治具および方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、一方のロールの軸に平行してロール表面に2線接触し得る、該ロール表面に向かって拡開した、二つの平面を有する切妻屋根型の支持体(1)、該支持体から拡開側と反対方向の他方の対象物に向かって、該支持体の拡開した二つの平面のなす角度を 2 等分する方向であって、かつ支持体をロールに 2 線接触させたときに該一方のロールの中心軸と交差する方向に、延長された棒状体(2)および該棒状体の先端に設けた微小変位計(3)からなることを特徴とするロールと対象物との距離測定用治具に関するものである。
【0006】
本発明の第2は、本発明の第1のロールと他の対象物との距離測定用治具において、微小変位計が、ダイヤルゲージ、レーザー変位計および渦電流変位計のいずれかから選ばれたものである治具に関するものである。
【0007】
本発明の第3は、本発明の第1または第2のロールと他の対象物との距離測定用治具において、該対象物が他のロールである治具に関するものである。
【0008】
本発明の第4は、一方のロールの軸に平行してロール表面に2線接触し得る、該ロール表面に向かって拡開した、二つの平面を有する切妻屋根型の支持体(1)、該支持体から拡開側と反対方向の他方の対象物に向かって、該支持体の拡開した二つの平面のなす角度を 2 等分する方向であって、かつ支持体をロールに 2 線接触させたときに該一方のロールの中心軸と交差する方向に、延長された棒状体(2)および該棒状体の先端に設けた微小変位計(3)を有するロールと他の対象物との距離測定用治具の該支持体の内面と一方のロールの表面とが2線接触し、微小変位計の測定端が他方の対象物(6)の表面に接触することによりロールから対象物までの距離を測定することを特徴とするロールと対象物の距離測定方法に関するものである。
【0009】
本発明の第5は、本発明の第4の方法において、該微小変位計が、ダイヤルゲージ、レーザー変位計および渦電流変位計のいずれかから選ばれたものである方法に関するものである。
【0010】
本発明の第6は、本発明の第4または第5において、該対象物が他のロールである方法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の例を説明する。図1は、本発明のロールと対象物との距離測定用治具の一例の概略斜視図である。図1において、1は支持体、2は該支持体から他方のロールに向かって延長した棒状体、3は該棒状体の先端部にクランプ4等で固定した微小変位計(一例としてダイヤルゲージを示している)、5は微小変位計(一例としてのダイヤルゲージ)の測定端である。図2は、本発明のロールと対象物の間の距離測定方法の一例を示す模式図である。図2において、1は支持体、2は該支持体から他方の対象物(ロール等)に向かって延長した棒状体、3は該棒状体の先端部にクランプ4等で固定した微小変位計(一例としてダイヤルゲージを示す)、5は微小変位計(一例としてのダイヤルゲージ)の測定端、6はロール、7は他方の対象物(一例としてロールを示す)、61および62は該支持体がロール6と2線で接触している箇所である。なお微小変位計としては、一例として図示したダイヤルゲージの他にレーザー変位計、渦電流変位計等を適用することも可能である。
【0012】
支持体(1)はロールの軸に平行して2線接触し得る2つの平面(11および12)を有する。この二つの平面は一定の角度で一方のロールに接する側に向かって拡開している。図1および図2では切妻屋根型の支持体を示してあるが、切妻屋根型の棟部分が平面であっても良い。
【0013】
支持体(1)の拡開側と反対方向、すなわち他方の対象物(他のロール)に向かう方向に、延長された棒状体(2)を有する。棒状体の延長方向は支持体の拡開した二つの面のなす角度を2等分し、かつ支持体をロールに2線接触させたときに、棒状体の方向が該ロールの中心軸と交差するようにする。棒状体を支持体に、溶接またはネジ込み等で固定する。棒状体の長さは測定しようとするロールと対象物との距離に対応するが、現場では種々のロールの組み合わせを使用しているので、各種のロール間距離に対応した長さの各種の棒を用意するか、複数の棒を接続して所定の長さにする等の手段をとることができる。
【0014】
微小変位計(3)は、クランプ(4)等の固定具によって棒状体の先端部に装着されている。微小変位計の測定精度は1目盛り100分の1ミリメートル〜1000分の1ミリメートルの範囲のものを適宜使用できる。
【0015】
このようなロールと他の対象物との間の距離測定用治具を用いてロールと他方のロール等の対象物との距離を測定する方法を、図2に沿って説明する。まず一方のロール(6)の適宜の箇所(例えば左端)の表面に支持体(1)を押し当てると、支持体の2面(11および12)がロール(6)の軸に平行な2線(61および62)でロール表面と接触する。棒状体(2)の先端部に固定した微小変位計(3)(一例としてダイヤルゲージを示す)の測定端(5)を、棒状体および測定端がロール(6)と他の対象物(7)(一例としてロールを示す)の中心線を結ぶ線上にあるように、他方のロール(7)の表面に接触させる。そこで微小変位計(ダイヤルゲージ)の数値を読み取る。両者の読み取り値に相違が無くなるように2つのロールのスクリュー軸の位置を調整して芯出し作業を行う。
【0016】
【発明の効果】
本発明の治具および方法によれば、簡便な治具を用いて、微小変位計の測定精度である0.01mm〜0.001mmの精度でロールと他の対象物との距離を測定でき、この測定値に基づきロールの芯出しも同様の精度で達成できる。製造現場で簡便に高精度のロールの芯出し作業を行うことができるようになった。このようにして芯出ししたロール群を使用して、皺や欠陥のない製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロールと他の対象物との距離測定用治具の一例の概略斜視図。
【図2】本発明のロールと他の対象物との距離測定方法の一例を示す模式図。
【符号の説明】
1…支持体
2…棒状体
3---微小変位計
4…固定具
5…測定端
6、7…ロール
11,12…支持体の拡開面
61,62…支持体の面とロール表面の線接触部位
Claims (6)
- 一方のロールの軸に平行してロール表面に2線接触し得る、該ロール表面に向かって拡開した、二つの平面を有する切妻屋根型の支持体(1)、該支持体から拡開側と反対方向の他方の対象物に向かって、該支持体の拡開した二つの平面のなす角度を 2 等分する方向であって、かつ支持体をロールに 2 線接触させたときに該一方のロールの中心軸と交差する方向に、延長された棒状体(2)および該棒状体の先端に設けた微小変位計(3)からなることを特徴とするロールと対象物との距離測定用治具。
- 微小変位計が、ダイヤルゲージ、レーザー変位計および渦電流変位計のいずれかから選ばれたものである請求項1記載の治具。
- 対象物が他のロールである請求項1または2記載の治具。
- 一方のロールの軸に平行してロール表面に2線接触し得る、該ロール表面に向かって拡開した、二つの平面を有する切妻屋根型の支持体(1)、該支持体から拡開側と反対方向の他方の対象物に向かって、該支持体の拡開した二つの平面のなす角度を 2 等分する方向であって、かつ支持体をロールに 2 線接触させたときに該一方のロールの中心軸と交差する方向に、延長された棒状体(2)および該棒状体の先端に設けた微小変位計(3)を有するロールと対象物の距離測定用治具の該支持体の内面と一方のロールの表面とが2線接触し、ダイヤルゲージの測定端が他方の対象物に接触することによりロールと対象物の距離を測定することを特徴とするロールと対象物の距離測定方法。
- 微小変位計が、ダイヤルゲージ、レーザー変位計および渦電流変位計のいずれかから選ばれたものである請求項3記載の方法。
- 対象物が他のロールである請求項4または5記載の治具。
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