JP3941408B2 - 成形加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

成形加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 Download PDF

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【0001】
この発明は、成形加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法、特に深絞り成形加工性と成形加工時のリジング特性とに優れたフェライト系ステンレス鋼冷延板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
JIS G4305(1991)に規定されたSUS 430 に代表される、フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて、高価なNiを含まないために安価であり、様々な用途に供されている。しかしながら、フェライト系ステンレス鋼は、結晶構造が体心立方格子(bcc)であるため、面心立方格子(fcc)であるオーステナイト系ステンレス鋼に比べて延性が劣る。そのため、厨房機器や台所用品を始めとした成形加工用途への適用範囲を拡大するためには、延性改善に限界があるところから、主に深絞り性の指標であるr値を向上させることが、フェライト系ステンレス鋼における課題になっている。
【0003】
さらに、フェライト系ステンレス鋼では、鋼板の成形加工時に、その表面にリジングと呼ばれる、圧延方向に沿った凹凸模様の欠陥が発生し、これが美観上の問題となるため、成形加工後の表面研磨が必要不可欠になる不利がある。
従って、フェライト系ステンレス鋼の加工性を改善するには、r値を大きく、かつリジングを軽減する必要があり、そのための技術開発が種々行われている。
【0004】
これら技術開発は、2つに大別できる。
まず、鋼組成に着目し、フェライト系ステンレス鋼の加工性を劣化させるC及びNの低減をはかり、かつTiやNbなどを適正量添加する手法がある。この手法については、例えば特開平9−53155 号及び同11−106875号各公報に開示があり、いずれもフェライト系ステンレス鋼の不純物であるC及びNを低減し、さらにTiを積極的に添加し、選択的にNbまたはVを添加する技術である。それにより深絞り加工性の指標であるr値を向上し、リジング特性も改善されることが示されている。
【0005】
第2の手法としては、製造条件に着目し、熱間圧延条件や焼鈍条件の最適化を行うものがあり、例えば熱間圧延条件を最適化する技術が、特開平8−253818号及び特開2000−265215号各公報に開示されている。すなわち、特開平8−253818号公報では、粗圧延時の1パス圧下率及び温度をそれぞれ40〜70%及び970 〜1150℃とするとともに、そのときの摩擦係数を0.3 以下とし、さらに仕上げ圧延時の少なくとも1パスを 600〜950 ℃及び圧下率20〜45%で行うことにより、r値とリジング特性を向上することが提案されている。一方、特開2000−265215号公報では、仕上げ圧延の後段3パスの圧下率と摩擦係数とを制御することにより、r値とリジング特性を向上することが提案されている。
【0006】
また、冷間圧延及び焼鈍工程については、冷間圧延及び焼鈍を2回行うことによって、r値とリジング特性は向上することが知られている。この冷延2回法に関しては、例えば特開平2−217420号公報に、Alを添加したSUS430鋼種において、熱延板焼鈍を行わない場合に、1回目の冷間圧延後の焼鈍温度を900 〜1100℃とすることによりr値とリジング特性とを向上することが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術には、それぞれ以下に示すような問題点がある。
すなわち、特開平9−53155 号及び同11−106875号各公報に開示の技術では、C並びにNの含有量を極低域まで低減し、さらにTiを添加するため、まずC及びNを極低域まで低減するのに2次精錬時間を長くする必要があり、エネルギー原単位が増大するとともに、耐火物の劣化が著しくなり、その上、例えばVODにおけるAr使用量が増大するほか、添加するTiが高価であることから、溶製コストは著しく上昇する。また、極低C及びNとTi添加によりフェライト単相鋼になるため、鋳造組織が粗大化し、スラブ靭性が著しく低下する。さらに、スラブを常温まで冷却する過程では、フェライト単相鋼であるがゆえに相変態がおこらないため、スラブ表層部の熱収縮が変態による体積膨張によって相殺される効果がないことから、スラブ表層と中心部との冷却速度の違いにより、スラブ内部に引張応力が発生し、スラブ割れを生じるというトラブルが発生する。従って、スラブを冷片の状態でストックしておくことが困難であり、汎用鋼として大量生産するには不向きである。
【0008】
また、特開平8−253818号及び特開2000−265215号各公報に開示の技術では、熱間圧延時に強圧下を行うために、大量に熱間圧延を実施すると、強圧下した熱延ロール表面の荒れに起因して、ある確率で熱間圧延後の鋼板に庇が導入される結果、熱延板のグラインダー研削が必要となりコスト上昇の原因となる。さらに、この技術を利用しても、上記の極低C及びNとしてTiを添加した鋼ほどのr値は得られず、特性面でも不十分であった。同様に、特開平2−217420号公報に開示の技術でも、極低C及びNとしてTiを添加した鋼ほどのr値は達成できず、特性面が不十分であった。
【0009】
すなわち、いずれの従来技術によっても、r値及びリジング特性が改善されたフェライト系ステンレス鋼板を安価にかつ大量に製造することは難しいところに問題を残していた。
【0010】
そこで、この発明は、SUS430を典型例とする汎用フェライト系ステンレス鋼のr値及びリジング特性を、特にコストの上昇をまねくことなしに改善することによって、汎用フェライト系ステンレス鋼において極低C及びNとして、さらにTiやNbを添加したSUS430LXと同程度のr値を達成するとともに、格段に優れたリジング特性を与えることを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記の課題を解決するために、冷間圧延2回法に着目し、特にその1回目の冷間圧延後の再結晶挙動と最終冷間圧延及び焼鈍後に形成される集合組織とに関して鋭意研究した結果、最終冷延焼鈍板のr値及びリジング特性を向上するには、中間焼鈍後の結晶粒径を制御することが重要であることを見出し、この発明を完成するに到った。
【0012】
すなわち、この発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)質量%で、Cr:11%以上20%以下、C 0.015 %超え0.12%以下、Si≦1.0%、Mn≦1.0%、Ni≦0.5%、P≦0.04%、S≦0.015%、Al≦0.15%、N 0.015 %超え0.12%以下、O≦0.01%、V≦0.15%、Ca≦0.0015%、Mg≦0.0015%、B≦0.001%、Mo≦0.1%およびCu≦0.1%を含み、残部Fe及び不可的不純物からなるスラブを熱間圧延し、熱間圧延後にバッチ焼鈍による熱延板焼鈍を施し、次いで冷間圧延及びその後の焼鈍をそれぞれ2回行って、フェライト系ステンレス鋼板を製造するに当り、1回目の焼鈍後の平均結晶粒径を25μm以下に制御することを特徴とする高加工性フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0013】
(2)質量%で、Cr:11%以上20%以下、C 0.015 %超え0.12%以下、Si≦1.0%、Mn≦1.0%、Ni≦0.5%、P≦0.04%、S≦0.015%、Al≦0.15%、N 0.015 %超え0.12%以下、O≦0.01%、V≦0.15%、Ca≦0.0015%、Mg≦0.0015%、B≦0.001%、Mo≦0.1%およびCu≦0.1%を含み、残部Fe及び不可的不純物からなるスラブを熱間圧延し、熱間圧延後にバッチ焼鈍による熱延板焼鈍を施し、次いで冷間圧延及びその後の焼鈍をそれぞれ2回行って、フェライト系ステンレス鋼板を製造するに当り、1回目の焼鈍を、700 〜800 ℃の温度範囲で、かつ下記式を満足する条件にて行うことを特徴とする高加工性フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。

(273+T)×{20+log(t)}≦22000
ここで、T:焼鈍時の最高到達板温度(℃)
t:最高到達板温度での保持時間(s)
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、この発明を導くに到った実験結果について、詳しく説明する。
(実験1)
C:0.042 質量%、Si:0.24質量%、Mn:0.56質量%、S:0.002 質量%、P:0.031 質量%、Cr:16.22 質量%、Ni:0.18質量%、V:0.065 質量%、Al:0.001 質量%及びN:0.044 質量%の主要成分組成を有する、焼鈍後の熱延板(板厚5mm)を用いて、1回目の冷間圧延(板厚: 1.5mm,圧下率:70%)後に中間焼鈍を施し、次いで2回目の冷間圧延(板厚: 0.5mm,圧下率:67%)後に最終焼鈍(820℃×10s)を行った。この工程において、中間焼鈍温度を 670〜840℃、保持時間を1〜50sの範囲内で変えることにより、中間焼鈍後の結晶粒径を種々に変化させた。
【0015】
かくして得られた冷延板から、JIS 13号B試験片を切出し、15%の引張歪みを与えてr値を求めた。r値は、L方向(圧延方向)、D方向(圧延方向に対して45°で傾いた向き)及びC方向(圧延方向に直交する向き)についてそれぞれ測定し、平均r値は(L方向r値+2×D方向r値+C方向r値)/4で算出し、また面内異方性のパラメータであるΔr値は(L方向r値+C方向r値−2×D方向r値)/2で算出した。
【0016】
図1及び図2に、中間焼鈍後の鋼板における平均結晶粒径と平均r値及びΔr値との関係をそれぞれ示す。ここで、平均結晶粒径は、鋼板の圧延方向に沿った断面(以下、TD面と示す)を組織観察することにより求めたものである。図1及び図2より、中間焼鈍後の鋼板の結晶粒径の低下に伴い最終冷延焼鈍板のr値は上昇し、Δrは低下することがわかる。すなわち、冷間圧延2回法プロセスにおいて、深絞り性を向上(平均r値の上昇とΔr低下)するには、中間焼鈍後の鋼板の結晶粒径を制御するのが非常に有効であることがわかった。特に、極低C及びNにTiを添加した鋼で得られる平均r値が1.7 〜1.8 程度であることを考慮すると、中間焼鈍後の鋼板の結晶粒径を25μm以下にして、SUS430での平均r値を 1.7〜1.9 にまで高め得ることは、極めて有効な技術であるといえる。
以上の知見に基づき、この発明では、中間焼鈍後の鋼板の平均結晶粒径を25μm以下に制御することとした。
【0017】
(実験2)
また、上記の実験1と同じ熱延焼鈍板を用いて、中間焼鈍後の結晶粒径に及ぼす焼鈍温度の影響を調査した。すなわち、圧下率:70%の1回目の冷間圧延後に中間焼鈍として 680〜860 ℃の範囲内の種々の温度で1sの保持を行い、その後空冷してから、鋼板のTD面を光学顕微鏡により組織観察して平均結晶粒径を求めた。その結果を図3に示すように、中間焼鈍温度が 800℃を超えると急激に粒成長が生じるため、平均結晶粒径:25μm以下を達成するには中間焼鈍温度を 800℃以下にする必要があることがわかる。一方、中間焼鈍温度が700 ℃未満では、冷間圧延の圧下率によっては再結晶が不十分となり、その後の冷間圧延性を阻害するため、中間焼鈍温度の下限は 700℃とすることが有利である。
【0018】
(実験3)
さらに、上記の実験2と同じ熱延焼鈍板を用いて、中間焼鈍後の結晶粒径に及ぼす焼鈍保持時間の影響を調査した。すなわち、圧下率:70%の1回目の冷間圧延後に中間焼鈍を700 〜800 ℃の範囲での到達温度における保持時間を種々に変化させて行うことにより、(T+273)×{20+log(t)}値であるラルソンミラーパラメーターを変化させて、結晶粒径を測定した。その結果を図4に示すように、ラルソンミラーパラメーターが 22000以下であれば、平均結晶粒径を25μm以下に制御し得ることがわかった。従って、この発明では、ラルソンミラーパラメーターを 22000以下に制限することが有利である。
【0019】
なお、冷間圧延2回法プロセスにおいて、中間焼鈍後の結晶粒径の制御が最終冷延焼鈍板のr値向上に有効であるのは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、結晶粒界近傍には冷間圧延時の不均一変形態が優先的に形成され、冷間圧延後の焼鈍時には、この不均一変形態が再結晶の優先サイトとして作用する。従って、冷間圧延前の結晶粒径が小さくなるほど、再結晶サイトが増加する。一方、冷間圧延後の焼鈍時には、高転位密度領域である粒界近傍から{111}再結晶粒が優先的に発生する。これは、r値の向上に寄与する{111}方位粒が、冷間圧延前の結晶粒径を小さくすることにより増加するためと考えられる
【0020】
なお、この発明で対象とする、フェライト系ステンレス鋼板は、フェライト系ステンレス鋼として適度な耐食性を確保するために、成分組成におけるCr量を11質量%以上とする。一方、この発明の効果を十分に得るには20質量%以下とする。
【0021】
また、Cr以外の成分については、前述したように、溶製コストを考慮すると、C及びNを0.015 質量%以下の低レベルまで低減する必要はなく、同様にTi,Nb, ZrまたはTaなどの積極的な添加も不要である。その他の成分組成範囲は以下のとおりである。
C≦0.12質量%、Si≦1.0 質量%、Mn≦1.0 質量%、Ni≦0.5 質量%、P≦0.04質量%、S≦0.015 質量%、Al≦0.15質量%、N≦0.12質量%、O≦0.01 量%、V≦0.15質量%、Ca≦0.0015質量%、Mg≦0.0015質量%、B≦0.001 量%、Mo≦0.1 質量%、Cu≦0.1 質量%。
【0022】
なお、中間焼鈍後の結晶粒径を25μm以下とする手法として、中間焼鈍温度を制御する方法について上述したが、この発明は、この手法に限定されず、例えば熱間圧延時の仕上圧延機出側温度(FDT)を 800℃以下にすれば、中間焼鈍温度が800 ℃を超えても中間焼鈍後の結晶粒径を25μm以下に制御できる。
【0023】
さらに、SUS430LX並みのr値を達成するには、熱間圧延工程における熱延板焼鈍は必要不可欠であり、連続焼鈍による高温短時間加熱では不十分であり、好ましくはバッチ焼鈍を行う必要がある。バッチ焼鈍の条件としては、770 ℃〜900℃で2時間以上の保持をすることが好ましい。
次に、2回の冷間圧延における各冷間圧延の配分について特に限定はしないが、冷延圧下率が低すぎると、その後の再結晶が不十分となるため、いずれの冷間圧延時も40%以上の圧下率とすることが望ましい。
そして、最終焼鈍条件は、700 〜890 ℃で1〜180 s保持することが材質特性の面から好ましい。
【0024】
また、ステンレス冷延鋼板の表面仕上げには、酸洗まま(表面仕上げ記号:No.2D)、酸洗後にスキンパス処理(同No.2B)、光輝焼鈍(同BA)、ヘアライン仕上げ(同HL)や、各種研磨仕上げなどを経たものがあるが、この発明は、表面仕上げに関わらずに所定の効果が発現されるため、表面仕上げ状態は特に限定する必要はない。
【0025】
【実施例】
表1に示す成分組成を有する5種類の材料を、転炉−VOD法にて溶製、そして連続鋳造することによって、200 mm厚の連鋳スラブとした。該スラブは、1160℃で1時間均熱後、粗熱間圧延(7パス)により板厚34mmのシートバーとし、さらに7スタンドよりなる連続圧延機により仕上げ圧延し、板厚5mmの熱延鋼帯とした。このときの仕上圧延機出側温度(以下、FDT と示す) を780 〜970 ℃の範囲内で変化させた。次いで、熱延鋼帯を焼鈍(I:850 ℃×6hのバッチ焼鈍、II:900 ℃×1min の連続焼鈍、III :焼純なし、IV:900 ℃×10sの連続焼鈍)後、酸洗(硫酸浸漬+硝弗酸の混酸浸漬)により脱スケールを行った。その後、1回目の冷間圧廷により板厚1.5mm (圧下率:70%)とした後、種々の条件にて中間焼鈍を実施し、さらに2回目の冷間圧延で板厚 0.5mm(圧下率:67%)に仕上げ、その後再結晶焼鈍(鋼1〜4については、820 ℃×5s、鋼5については880 ℃×5s)を施した。
かくして得られた製品板に関して、そのコイル長手方向中央部の幅方向中央部より試験片を採取し、r値測定とリジング特性の評価を行った。
【0026】
なお、リジング特性については、圧延方向に平行に JIS5号引張試験片を採取し、15%の引張歪みを付与して表面に発生した圧延方向に平行な凹凸(リジング)を粗度計を用いてC方向に沿って測定した。リジング指数として最大うねり高さが5μm以下を(a)、15μm以下を(b)、15μmを超える場合を(c)として評価した。また、FDT 、熱延板焼鈍条件、中間焼鈍条件、中間焼鈍後鋼板の平均結晶粒径とr値およびリジングの評価結果は、それぞれ表2に示すとおりである。
【0027】
【表1】
Figure 0003941408
【0028】
【表2】
Figure 0003941408
【0029】
表2に示すように、発明例である条件A−1,A−2,B−1,B−3、C−1,C−2,C−3、D−1及びD−3では、比較例の条件A−3,A−4、B−2,B−4、C−4,D−2及びD−4に比べて、平均r値が大きくかつΔrが小さく、著しく深絞り性が改善されていると同時に、リジング発生も非常に軽微であることがわかる。比較のために、極低C及びN−Ti添加材について、冷間圧延1回法(条件E−3)、冷間圧延2回法(条件E−1,E−2)で得られた特性も表中に示したように、発明例では極低C,N−Ti添加材の冷間圧延2回法によるものとほぼ同等の特性が得られていることがわかる。また、この発明の手法を適用しても熱延板焼鈍を連続焼鈍(条件C−4)或いは省略する(条件B−4,D−4)と得られるr値とリジング特性とが不十分になることもわかる。
【0030】
【発明の効果】
この発明によれば、SUS430をはじめとした汎用フェライト系ステンレス鋼のr値とリジング特性を、コストの上昇をまねくことなく、向上することができ、極低C及びN−TiまたはNb添加鋼である、SUS430LXと同程度のr値を達成し、同時に格段に優れたリジング特性を得られる。その結果、高加工性フェラィト系ステンレス鋼を安価にかつ大量に製造することができ、様々な用途への適用が可能となり、産業の発展進歩に大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 最終製品板のr値に及ぼす中間焼鈍後の鋼板の結晶粒径の影響を示す図である。
【図2】 最終製品板のΔr値に及ぼす中間焼鈍板の結晶粒径の影響を示す図である。
【図3】 結晶粒径に及ぼす焼鈍温度の影響を示すグラフである。
【図4】 結晶粒径に及ぼすラルソンミラーパラメーターの影響を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 質量%で、Cr:11%以上20%以下、C 0.015 %超え0.12%以下、Si≦1.0%、Mn≦1.0%、Ni≦0.5%、P≦0.04%、S≦0.015%、Al≦0.15%、N 0.015 %超え0.12%以下、O≦0.01%、V≦0.15%、Ca≦0.0015%、Mg≦0.0015%、B≦0.001%、Mo≦0.1%およびCu≦0.1%を含み、残部Fe及び不可的不純物からなるスラブを熱間圧延し、熱間圧延後にバッチ焼鈍による熱延板焼鈍を施し、次いで冷間圧延及びその後の焼鈍をそれぞれ2回行って、フェライト系ステンレス鋼板を製造するに当り、1回目の焼鈍後の平均結晶粒径を25μm以下に制御することを特徴とする成形加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  2. 質量%で、Cr:11%以上20%以下、C 0.015 %超え0.12%以下、Si≦1.0%、Mn≦1.0%、Ni≦0.5%、P≦0.04%、S≦0.015%、Al≦0.15%、N 0.015 %超え0.12%以下、O≦0.01%、V≦0.15%、Ca≦0.0015%、Mg≦0.0015%、B≦0.001%、Mo≦0.1%およびCu≦0.1%を含み、残部Fe及び不可的不純物からなるスラブを熱間圧延し、熱間圧延後にバッチ焼鈍による熱延板焼鈍を施し、次いで冷間圧延及びその後の焼鈍をそれぞれ2回行って、フェライト系ステンレス鋼板を製造するに当り、1回目の焼鈍を、700〜800℃の温度範囲で、かつ下記式を満足する条件にて行うことを特徴とする成形加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。

    (273+T)×{20+log(t)}≦22000
    ここで、T:焼鈍時の最高到達板温度(℃)
    t:最高到達板温度での保持時間(s)
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